【基本を解説】固定資産税の基礎知識
固定資産税の基礎知識について解説します。
この記事を読むと、
- 固定資産税の対象となる資産や対象者、支払い方法
- 固定資産税の計算方法
- 固定資産税の軽減措置
がわかります。
1.固定資産税の基礎知識
固定資産税は市町村に納める地方税のひとつで、不動産や償却資産などの固定資産に対して税金が課せられます。
納税された固定資産税は税収の使途が定められていない普通税として、徴収した市町村によって道路や学校、公園など、住民の生活を支える財源として活用されています。
参考:総務省|固定資産税の概要
1-1.課税対象となる資産一覧
課税対象となる資産は以下の3つです。
固定資産の種類 | 対象資産の具体例 |
---|---|
土地 | 田、畑、宅地、池沼、山林、鉱泉地、牧場、原野、雑種地など |
建物 | 住宅、店舗、工場、倉庫、物置など |
償却資産 | 事業者が所有する構造物、飛行機、船、電車、パソコンなど |
参考:総務省|固定資産税
上記の資産を所有しているだけで固定資産税がかかります。
使用していない空き地や空き家であっても、課税対象となるため注意が必要です。
1-2.固定資産税を納める対象者
固定資産税を納めるのは1月1日時点で固定資産を所有している人です。
固定資産の種類 | 固定資産税を納める対象者 |
---|---|
土地 | 1月1日時点の所有者 (登記簿または土地補充課税台帳に登録されている人) |
家屋 | 1月1日時点の所有者 (登記簿または家屋補充課税台帳に登録されている人) |
償却資産 | 1月1日時点の所有者 (償却資産課税台帳に登録されている人) |
参考:総務省|固定資産税
仮に1月2日以降に固定資産を売却するなど手放したとしても、固定資産税を支払わなければなりません。
そのため不動産の売却時や購入時には、買主と売主の間で固定資産税の負担割合を決める調整がよく行われます。
1-3.固定資産税の納付先
固定資産税は土地や建物などの固定資産がある市区町村に納付します。
ただし、東京23区のみ東京都が納付先です。
市町村は市町村税として、東京都は都税の扱いになります。
1-4.固定資産税の支払い期限
固定資産税は「一括納付」か「分割納付」を選ぶことができ、支払い期限は市町村によって異なります。
固定資産の種類 | 納税回数 | 期限の目安 |
---|---|---|
一括納付 | 年1回 | 5月 (第1期納付期限と同日) |
分割納付 | 年4回 | 5月・7月・12月・翌年2月 |
納税通知書が4月〜6月頃に送られてくるので、支払い期限を必ず確認するようにしましょう。
1-5.固定資産税の支払い方法
固定資産税は様々な形式で支払うことが可能です。
納付方法 | 支払い場所/ 環境 |
領収書の 発行 |
決済 手数料 |
---|---|---|---|
現金 | 窓口 | ○ | なし |
口座振替 | 銀行引き落とし | × | なし |
ペイジー | ・インターネット ・ATM |
× | 一部あり |
クレジットカード | インターネット | × | あり |
スマートフォン 決済アプリ |
インターネット | × | なし |
電子マネー | 窓口 | ○ | なし |
支払い方法によっては「領収書が発行されない」「手数料がかかる」場合があります。
1-6.固定資産税が課税されないケース
固定資産税には免税点制度が設けられています。
免税点制度とは、ある基準金額を超えた場合にのみ課税される制度です。
固定資産税の場合、課税標準額が下記金額の範囲内なら課税されません。
種別 | 免税点 |
---|---|
土地 | 30万円未満 |
家屋 | 20万円未満 |
償却資産 | 150万円未満 |
参考:総務省|固定資産税の概要
2.固定資産税の計算方法|評価額・特例措置についても解説
固定資産税をスムーズに算出するためにも、以下3つを把握しておきましょう。
- 固定資産税の計算式
- 固定資産税評価額の決め方
- 固定資産税の特例措置
それぞれについて解説します。
2-1.固定資産税の計算式
固定資産税を求める計算式は以下の通りです。
固定資産税課税標準額(固定資産税評価額)× 標準税率(1.4%)
固定資産税は各自治体が決める建物や土地の評価額をもとに課税標準額を計算し、固定資産税の税率を適用することで算出されます。
また、固定資産税の税率は基本的には全国一律「1.4%」ですが、地方税であるため各自治体の判断により税率を変更することが可能です。
2-2.固定資産税の「評価額」と「課税標準額」
固定資産税の評価額は固定資産の価値を示しており、各自治体が固定資産評価基準に従って評価額を決定します。
固定資産の種類 | 固定資産評価額の決め方 |
---|---|
土地 | 「路線価方式」または「標準宅地比準方式」を基に計算される。 目安は時価の約7割。 |
家屋 | 「再建築価格」及び「経年減点補正率」等によって、評価額を算出する。 目安は建築費の5割〜6割。 |
償却資産 | 取得価格から耐用年数に応じた価値の減少を考慮して計算される。 |
基本的に評価額と課税標準額は同額になりますが、減額措置や調整措置が適用されると評価額よりも課税標準額の方が低くなります。
2-3.固定資産税の軽減措置
土地と建物の固定資産税には、それぞれ軽減措置が設けられています。
- 住宅用地の特例
- 新築住宅の特例
- リフォーム減税
それぞれについて解説します。
2-3-1.住宅用地の特例
住宅用地の特例は、戸建てやマンションなど居住用の敷地が対象です。
課税標準額を減額することにより、土地の固定資産税だけでなく都市計画税も軽減することが可能です。
土地の 固定資産税 |
都市計画税 | |
---|---|---|
小規模住宅用地 (住宅用地で住宅1戸につき200㎡以下の部分) |
評価額 × 1/6 | 評価額 × 1/3 |
一般住宅用地 (住宅用地で住宅1戸につき200㎡超の部分) |
評価額 × 1/3 | 評価額 × 2/3 |
2-3-2.新築住宅の特例
新築の一戸建てを建てたり、新築マンションを購入したりした場合、建物の固定資産税が減額されます。
本来であれば令和6年3月31日までが適用期間でしたが、令和6年度の税制改正によって「令和8年3月31日までの適用」に延長されました。
種類 | 条件 | 建物の固定資産税 の減額割合 |
減額期間 |
---|---|---|---|
新築一戸建て 新築マンション |
|
1/2 | 3年間 |
・3階建以上の耐火 ・準耐火建築物は5年間 |
|||
新築一戸建て (長期優良住宅) |
1/2 | 5年間 | |
新築マンション (長期優良住宅) |
1/2 | 7年間 |
参考:国土交通省|新築住宅に係る税額の減額措置
参考:国土交通省|認定長期優良住宅に関する特例措置
参考:国土交通省 住宅局|令和6年度国土交通省税制改正事項(住宅局関係抜粋)
「一般住宅」または「長期優良住宅」かによって、固定資産税の減額期間が異なります。
2-3-3.リフォーム減税
下記のリフォームをすることによって、建物の固定資産税を減額することができます。
リフォームの種類 | 建物の固定資産税の 減額割合 |
減額期間 |
---|---|---|
バリアフリー リフォーム |
1/3 | 1年間 (翌年分) |
省エネリフォーム | 1/3 | 1年間 (翌年分) |
耐震リフォーム | 1/2 | 1年間 (翌年分) |
長期優良住宅化 リフォーム |
2/3 | 1年間 (翌年分) |
3.固定資産税を低くするための対処法
固定資産税を少しでも低くしたい場合は、以下のような対処法が有効です。
- 軽減措置を積極的に利用する
- 評価額の不服を申し立てる
- 減免を申請する
- 土地を分筆する
- 土地活用する
- クレジットカードで納税する
なかでも「住宅用地の特例」が適用されない土地(更地)を所有していると、固定資産税が高くなります。
積極的に土地活用することで固定資産税の負担を軽減するだけではなく、収益を上げることが可能です。
固定資産税は不動産や償却資産などに課せられる税金です。
- 固定資産税の対象:土地や建物、償却資産
- 対象者:1月1日時点で固定資産を所有している人
- 納付先:固定資産がある市町村(東京都の場合は東京都)
- 支払い期限: 5月・7月・12月・翌年2月が目安
- 支払い方法: 現金やクレジットカードなど
- 課税されないケース:課税標準額が土地30万円未満、建物20万円未満
詳細は「1.固定資産税の基礎知識」にて解説しています。
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