戸建て賃貸経営について、メリット・デメリットや合っている土地のタイプ、具体的なシミュレーションに加え、戸建て賃貸経営で知っておきたいポイントや数字をわかりやすく解説しています。
- こんな方に
オススメ
- 「相続税対策をしたい」
「田舎で土地活用したい」方向け
戸建て賃貸経営
戸建て賃貸経営の特徴一覧
人気度◎高い→×低い |
収益性◎高い→×低い |
初期費用◎低い→×高い |
相続税対策◎高い→×低い |
流動性◎高い→×低い |
リスクの大きさ◎小さい→×大きい |
管理の手間◎楽→×大変 |
◎ |
○ |
○ |
◎ |
△ |
△ |
◎ |
流動性◎高い→×低い |
リスクの大きさ◎小さい→×大きい |
管理の手間◎楽→×大変 |
△ |
△ |
◎ |
メリット
- 規制が緩くほとんどの地域で建設可能
- 戸建て賃貸はアパートに比べ競合が少なく、一度入居が決まったら長く住んでくれるため安定した収入が見込める
- 田舎への移住者が増えている今はチャンス。管理の手間もほぼない
- 入居者に売却できる可能性がある
- 供給量が少ないが需要は多い
デメリット
- 戸建てを建てる分の初期費用が必要になる
- 1戸しかないので、空室が発生すれば収入がなくなる
- リフォームが必要になった時は費用がかさむ
- 家賃の高さがネックになる場合がある
合っている土地のタイプ
- ・幼稚園や小学校、中学校が近くにあり、周辺に生活に便利な施設(スーパーや銀行など)がある
- ・ファミリー向けのアパートが多くある地域
- ・狭い土地や形状の悪い土地
- ・40坪~
参考シミュレーション
- 前提条件
- 広島県郊外
新築2階建て
延床面積:41.5坪
- 初期費用
- 合計:約3,051万円(住宅ローン:2,050万円、自己資金:1,000万円)
建築費:約2,700万円
諸経費:約351万円
- 利回り
- 年間家賃収入:約216万円
年間経費:約26円
年間ローン返済額:約108万円(返済期間:25年)
年額利益:約82万円
解説
一戸建てに住みたいというファミリー層や田舎への移住希望者からの需要は多くあります。家族で住みやすく、住環境が良い環境に建てられれば安定した収入が得られます。アパートを建てるほど投資をしたくないという方には人気の土地活用です。狭い土地や形状の悪い土地にも向いていて利回りは新築物件だと5%~6%、中古物件だと6%~8%と言われています。ただし、住宅地から離れてしまうと入居者が決まらない可能性もあるので注意が必要です。
また、更地の土地だけ持っている方や、使っていない戸建てがある方で相続を検討している方は賃貸にすることで相続税対策にもなり、相続税額を決める上で大切な相続評価額を2割~5割ほど減額することができるのでおすすめです。
1. 知っておきたい数字・ポイント
表面利回りの相場
新築:5%~6%
中古:6%~8%
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建築時のポイント
80平米台
(3LDK)に
抑えるのがコツ
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需要と供給
供給量は少ないのに、
一定層からの
需要が高い
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収益性
アパートに比べて
儲かりにくいが、
売却はしやすい
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相続税対策
目安
相続税額を決める上で
大切な相続税評価額を
2割~4割
減額できる
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戸建て賃貸の注意点
空室には
注意が必要
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2.「表面利回りの相場」について
戸建て賃貸の表面利回りの目安
戸建て賃貸の利回りは、年間家賃収入の投資額に対する割合になります。
戸建て賃貸の新築と中古の物件の利回りの目安は以下の通りです。
利回りは、新築物件や中古物件によっても異なります。表面利回りはあくまでも多くの物件を比較する際の判断材料とすることをおすすめします。
以下は表面利回りの計算方法です。
投資額は、土地を現在持っている人と、購入する人によって異なるので注意が必要です。
3.「建築時のポイント」について
面積は80平米台が目安
戸建て賃貸は、面積を大きくても80平米台(3LDK)程度に抑えておくことがポイントです。
1階40平米台 + 2階40平米台 = 80平米台(3LDK)
80平米台で3LDKを作ると、都心部では広めの物件であるため、もう少し狭くても良いのではないかという感じもしますが、狭くしすぎてしまうと「戸建て賃貸でゆったりと住みたい」というニーズにから離れる可能性があり、入居者を集めるのが困難になる可能性があるので注意が必要です。
戸建て賃貸は、ある程度、「広々した戸建てらしさ」を残しつつ、大きくなり過ぎないように調整することが必要です。
80平米台の戸建ての建築費の目安
戸建てを建築する際は主に、企画パッケージ商品の住宅またはオーダーメイドで造る注文住宅で建てることができ、80平米台の戸建てを建てる際の建築費は以下の通りです。
・企画パッケージ商品の住宅
1坪あたり40万円程度
24.2坪(80平米) × 40万円 = 968万円程度(建築費)
・オーダーメイドで造る注文住宅
1坪あたり85万円程度
24.2坪(80平米) × 85万円 = 2057万円程度(建築費)
企画パッケージ商品の住宅とオーダーメイドで造る注文住宅では2倍程度金額に差が出ます。
企画パッケージ商品として提供している住宅を建てることで坪単価を抑えることができ、建築費も一番安くなります。
4.「需要と供給」について
戸建て賃貸に比べてアパート・マンションは不動産投資目的で保有する方も多くいますが、戸建て賃貸は、不動産目的で保有されることが少ないため、供給量は多くありません。
供給量は少ないが需要が高い理由
戸建て賃貸はファミリー層からの需要は高くなります。以下の要望を持つ方からは特に需要があります。
- 子供がいるため騒音を出すのが心配
- ペットを飼いたい
- 庭にある家に住みたい
- 楽器の演奏が趣味だが音漏れが不安
- 車を複数台駐車できる駐車場が欲しい
戸建て賃貸は、アパート・マンションに比べて生活音などに気を使わなくてよい点など、比較的自由度が高いことから一定層からの需要が高いです。
5.「収益性」について
戸建て賃貸経営は、アパート経営やマンション経営に比べて儲かりにくい傾向があります。
しかし、売却はしやすいため収益も見込めます。
戸建て賃貸経営の収益の事例
戸建て賃貸経営の規模別の収益性の相場は以下の通りです。
戸建て賃貸規模別 収益相場一覧
項目 |
50平米(2LDK) |
80平米(3LDK) |
100平米(4LDK) |
家賃/月(共益費込) |
15万円/月 |
18万円/月 |
25万円/月 |
収入/年 |
180万円/年 |
216万円/年 |
300万円/年 |
支出/年 (収入の20%) |
約36万円/月 |
約43万円/年 |
約60万円/年 |
所得/年 |
144万円/年 |
173万円/年 |
240万円/年 |
戸建ての規模によって、収益は大きく異なります。
戸建て賃貸の収入の内訳
収入は入居時、毎月、更新時に発生します。
戸建て賃貸の収入の内訳は以下の通りです。
戸建て賃貸の収入の内訳&相場一覧
発生するタイミング |
収入の内訳 |
相場の目安 |
入居時に発生する収入 |
礼金 |
家賃0~2ヶ月分程度 |
敷金 |
家賃0~2ヶ月分程度 |
毎月発生する収入 |
家賃 |
物件による |
共益費 |
家賃の5~10%程度 |
更新時に発生する収入 |
更新料 |
家賃0.5~2ヶ月程度 |
戸建て賃貸の収入には主に、入居時に発生する収入、毎月発生する収入、更新時に発生するがあります。
売却がしやすい理由
戸建て賃貸は以下の理由からアパートやマンションに比べて入居期間が長くなる傾向にあります。
- 初めから子供の成長を前提に物件を探していた入居者が多い
- 住環境重視で物件を決めているため、環境が変わることがない限り退去を考える必要がない
そのため、住環境を気に入り売却を申し出てくるケースがあるため、まとまった収入が入る可能性が高いです。
6.「相続税対策」について
戸建て賃貸は、相続税対策に有効です。
評価額の減額による相続税対策
相続税は、相続税評価額に応じて異なるので、相続税評価額を減額させることで対策が可能になります。
資産の相続する場合は、現金や自用の不動産、賃貸不動産によって評価額は異なります。
以下は種類別の評価額になります。
相続する資産の種類別の評価額一覧
賃貸不動産(収益物件) |
自家用の不動産 |
現金 |
5000万円 |
5000万円 |
5000万円 |
評価額 2100万円~2450万円 |
評価額 3000万円~3500万円 |
評価額 5000万円 |
土地を活用し戸建て賃貸にした場合は、条件によって相続税評価額を減額させることができ、自家用の不動産として保有している場合より約2割~3割程度減額できます。
また、200平米以下の部分に対して小規模宅地等の特例を利用することにより、相続税評価額を5割程度減額させることができます。
7.「戸建て賃貸の注意点」について
戸建て賃貸の注意点は主に以下の通りです。
- 戸建て賃貸の空室のリスク
- 家賃の高さがネックになる場合がある
戸建て賃貸の空室のリスク
戸建て賃貸はアパートやマンションに比べて、空室になった場合などのリスクがあります。
戸建て賃貸は1戸のみのため、入居者が見つからない限り家賃収入は入りません。
それに比べて、日々のメンテナンスや入居者を集めるための広告宣伝費など、支出はかかってしまうので空室のリスクは把握しておく必要があります。
家賃の高さがネックになる可能性がある
戸建て賃貸はアパートやマンションに比べて、家賃が高くなる傾向があるため、家賃を抑えたいという方からは避けられる可能性があります。
そのため、家賃の高さがネックになり空室のリスクも上がってしまう可能性もあるので注意が必要です。
8.「お役立ちガイド」掲載コンテンツ一覧
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