駐車場経営について、メリット・デメリットや合っている土地のタイプ、具体的なシミュレーションに加え、駐車場経営で知っておきたいポイントや数字をわかりやすく解説しています。
- こんな方に
オススメ
- 「初期費用を抑えてor一旦仮に活用したい」
「狭い土地を活用したい」方向け
駐車場経営
駐車場経営の特徴一覧
人気度◎高い→×低い |
収益性◎高い→×低い |
初期費用◎低い→×高い |
相続税対策◎高い→×低い |
流動性◎高い→×低い |
リスクの大きさ◎小さい→×大きい |
管理の手間◎楽→×大変 |
◎ |
○ |
◎ |
× |
◎ |
◎ |
○ |
流動性◎高い→×低い |
リスクの大きさ◎小さい→×大きい |
管理の手間◎楽→×大変 |
◎ |
◎ |
○ |
メリット
- 初期投資が少ない
- 狭小地でも経営できる
- 短期間で営業が開始できる
- 月極駐車場は継続的な収入を得やすい
- コインパーキングは、月極よりもニーズがある
- 管理会社を入れれば管理の手間がかからない
- 転用しやすい
デメリット
- 周辺に駐車場が多いと価格競争に陥る可能性がある
- 税制上のメリットが少ない(固定資産税の優遇措置がない)
- 相続税対策の効果が低い
- 自身で管理するとトラブル対応が発生する
合っている土地のタイプ
- ・スーパーや店舗、商業施設の近く
- ・観光地や観光施設の近くや車通りの多い路地裏や大通り沿い
- ・アパートが多い住宅密集地や駅周辺
- ・6坪~
参考シミュレーション
- 前提条件
- 地方都市の商業施設が近くにあり、最寄り駅まで徒歩6、7分の立地
駐車スペース:10台(1台25㎡)
月額賃料(収入):20万円
管理委託料(支払):年6万円
- 初期費用
- 合計:約180万(アスファルトを敷く費用等)
- 利回り
- 年間収入:約240万
年間経費:約52万円
年額利益:約188万円
解説
車1台分の狭い土地や傾斜のある土地も活用できます。流動性が高く、初期費用も経営方式によっては0円でスタートできますので、とりあえず土地活用を始めたいという方にはピッタリの活用法です。
他にも土地活用法がなかなか決まらず、放置されている期間が長い土地をお持ちの方にもおすすめです。
月極駐車場の表面利回りの相場である5%~15%に比べ、コインパーキングのような時間貸しは15%~30%と収益は高くなる傾向にあります。
気軽にスタートできる活用法ですが、立地の良し悪しの判断は必要になります。
1. 知っておきたい数字・ポイント
表面利回りの相場
月極駐車場:約5%~15%
コインパーキング:約15%~30%
主な経費は13種類
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儲かる駐車場にする
ポイント5つ
1.駐車場運営会社を比較する
2.需要が高い場所で行う
3.固定資産税の安いところで行う
4.無駄が生じない土地で行う
5.価格設定をこまめに見直す
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初期費用の相場
土地面積:34坪(112.5平米)
駐車台数:5台の場合
238万円
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経営の種類・形態
月極駐車場
コインパーキング
の2種類
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3つの経営方式
個人経営
管理委託
一括借り上げ
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相続税対策
現金での相続よりは、相続税対策が可能
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2.「表面利回りの相場」について
2-1.表面利回りと実質利回りの基礎知識と計算方法
利回りには、表面利回りと実質利回りの2種類あります。
表面利回りとは、年間賃料収入の投資額に対する割合です。
表面利回り = 年間賃料(満車時)÷ 土地価格×100
実質利回り(ネット利回り)とは、年間純収益の投資額に対する割合です。
実質利回り(ネット利回り)=(年間賃料-ランニングコスト)÷(土地価格+初期費用)✕100
実質利回り(ネット利回り)は、実際に受け取る賃料と土地価格のほかに、舗装費用等の「初期費用」と、固定資産税等や管理委託料等の「ランニングコスト」も計算に入れます。
その際の「支出(経費)」の主な費目13種類を一覧で紹介します。また、この13種類は経費として計上する事が認められているものです。
<駐車場経営 主な経費の費目13種一覧>
費目 |
内容 |
固定資産税 |
全ての駐車場の経営形態で発生します。 |
都市計画税 |
全ての駐車場の経営形態で発生します。ただし、原則として都市計画で指定されている市街化区域内の物件に限ります。 |
事業税 |
時間貸し駐車場で事業税が課された場合に発生します。 |
償却資産税 |
アスファルト舗装等の償却資産に課税される税金です。土地貸しのように土地所有者がアスファルト舗装を行っていない場合には生じません。 |
不動産免許税 |
土地を購入した初年度に発生します。 |
登録免許税 |
土地を購入した初年度に発生します。 |
司法書士手数料 |
土地を購入した初年度に発生します。 |
借入金利子 |
土地を借入金で購入している場合には、その利子は経費となります。元本返済部分は経費にはなりません。 |
管理委託料 |
管理委託方式で管理委託料を支払っている場合に発生します。 |
修繕費 |
主に管理委託方式でバーロックや自動精算機等を保有しており、20万円未満で修繕対応した場合には、一括で経費計上できます。 |
光熱費 |
主に管理委託方式でバーロックや自動精算機等を保有している場合には電気代等の光熱費が費用となります。 |
人件費 |
駐車場経営で従業員を雇っている場合には給与等が経費です。 |
減価償却費 |
アスファルト舗装や自動精算機等の償却資産を保有している場合には減価償却費が費用となります。 |
2-2.表面利回りのシミュレーション
駐車場経営での表面利回りは、月極駐車場が約5%~15%、コインパーキングは約15%~30%と言われています。
具体的な数字で、表面利回りを算出してみましょう。
月額駐車場のケース
- 駐車スペース:10台(1台25㎡)
- 月額賃料:2万円
- 土地価格:4,000万円
表面利回り = 年間賃料(満車時)÷ 土地価格×100
6.0%=240万円÷4,000万円×100
コインパーキングのケース
- 駐車スペース:10台(1台25㎡)
- 賃料:400円/1時間
- 稼働率:25%
- 土地価格:4,000万円
表面利回り = 年間賃料(25%)÷ 土地価格×100
21.6%=864万円÷4,000万円×100
2-3.実質利回り(ネット利回り)のシミュレーション
月額駐車場:4,000万円の更地を購入し、アスファルト舗装工事を行ったケース
- 駐車スペース:10台(1台25㎡)
- 月額賃料:2万円
- 稼働率:80%
- ランニングコスト:52万円
管理委託料:賃料の5%(12万円/年)
固定資産税等:40万円/年
- 土地価格:4,000万円
(相続で土地の購入費用がかかっていない場合には、土地価格は0円ということになります。)
- 初期費用:209万円
アスファルト舗装工事:17,000円/坪 合計129万円
精算機、車止めブロック等:80万円
(相続で土地を入手した場合には、相続に際して生じた費用も初期費用に含めてください。)
実質利回り(ネット利回り)=(年間賃料-ランニングコスト)÷(土地価格+初期費用)✕100
3.3%=((240万円×80%)-12万円-40万円)÷(4,000万円+209万円)×100
コインパーキング:4,000万円の更地を購入し、アスファルト舗装工事を行ったケース
- 駐車スペース:10台(1台25㎡)
- 賃料:400円/1時間
- 稼働率:25%
- ランニングコスト:340万円
管理委託料:1台当あたり3,000円(36万円/年)
固定資産税等:40万円/年
- 土地価格:4,000万円
- 初期費用:209万円
アスファルト舗装工事:17,000円/坪 合計129万円
精算機、車止めブロック等:80万円
(相続で土地を入手した場合には、相続に際して生じた費用も初期費用に含めてください。)
実質利回り(ネット利回り)=(年間賃料-ランニングコスト)÷(土地価格+初期費用)✕100
19.7%=((3,456万円×25%)-36万円-40万円)÷(4,000万円+209万円)×100
3.儲かる駐車場にする5つの方法ついて
3-1.儲かる駐車場にする5つの方法
- 駐車場運営会社を比較する
- 需要が高い場所で行う
- 固定資産税の安いところで行う
- 無駄が生じない土地で行う
- 価格設定をこまめに見直す
- 1.駐車場運営会社を比較する
-
儲かる駐車場を経営するには、最初に駐車場運営会社を比較することが重要です。
「一括借り上げ方式」または「管理委託方式」のいずれの経営方式を選択しても、儲かるかどうかは駐車場運営会社によって決まります。
一括借り上げ方式の場合
駐車場運営会社が固定の賃料を支払いますので、賃料の高い駐車場運営会社を選択することで、どれだけ儲けられるかが決まります。
管理委託方式の場合
売上の想定シミュレーションや管理委託料が異なりますので、収益性は駐車場運営会社によっても異なることになります。
駐車場運営会社によってレイアウト等の提案内容が異なることもありますので、比較がとても重要です。
- 2.需要が高い場所で行う
-
儲かる駐車場を行うなら、需要が高い場所で行うのが鉄則です。
時間貸し駐車場の需要は、人が集まる場所の周辺に多く発生します。
駐車場の需要が高いエリアとしては、以下のような場所が挙げられます。
- ターミナル駅周辺
- 郊外の駅の周辺
- 百貨店やショッピングセンターの周辺
- 観光名称または観光施設の周辺
- 大きな病院の周辺
駐車場需要は必ずしも都市部に限られるわけではありません。
郊外の駅周辺にも多くの時間貸し駐車場のニーズがあります。
- 3.固定資産税の安いところで行う
-
儲かる駐車場経営とするには、固定資産税の安いところで行うことがとても重要です。
駐車場の最大の費用は固定資産税ですので、固定資産税が安い場所で行えば利益率が高くなります。
固定資産税は、場所が近くても少し裏通りや細い道に入るだけでかなり低くなります。
また、駐車場は表通りで行うよりも裏通りで行った方が利用率は高まる傾向にあります。
理由としては、裏通りの方が車は徐行しやすく停めやすいからです。
表通りだと車がそれなりのスピードを出して走るため、過ぎ去られてしまうことがよくあります。
例えば、駅周辺で駐車場を行う場合でも、表口よりも裏口の方が儲かることがあります。
裏口は交通量も少なく、ドライバーが落ち着いて駐車場を探しやすいのです。
裏口の駐車場も、良く利用するヘビーユーザーに認識されればリピーターになってもらえるので、収益も安定し儲かるようになります。
- 4.無駄が生じない土地で行う
-
儲かる駐車場にするには、無駄が生じない土地で行うこともポイントです。
駐車場は同じ面積の土地でも間口や奥行き、形状によってレイアウトできる台数が決まってしまいます。
駐車場は、1台あたり縦5m横2.5mの広さを要します。
例えば、以下のような縦7.5m横5mの2つの土地があったとします。
上図の右の土地は間口が広いため、3台の車を綺麗にレイアウトすることができます。
一方で、左の土地は間口が狭いため、2台の車しかレイアウトすることができません。
左の土地で車が停められない部分はデッドスペースとなります。
同じ面積の土地であっても、間口の狭い土地よりも間口の広い土地の方が無駄は省けることが多く、儲かる傾向にあります。
- 5.価格設定をこまめに見直す
-
駐車場経営を開始した後も、価格設定をこまめに見直すことで収益改善が図れます。
駐車場ビジネスは参入障壁が低いため、周辺にすぐ競合の駐車場ができてしまうことがよくあります。
駐車場経営では、知らない間に売上が落ちてしまうことがありますが、ほとんどの場合、周辺に競合駐車場ができたことが原因となっていることが多いのです。
売上を挽回するには、価格設定を見直すことがコツとなります。
価格設定の見直しといっても、決して料金を下げてはいけません。料金を下げるのではなく、まずは表現を変えることがポイントです。
例えば、今までは「1時間400円」と表現していたものを、「30分200円」と変更します。
「1時間400円」も「30分200円」も時間単価は同じです。
しかしスピードを出しているドライバーからすると、一瞬、「30分200円」の方が安く感じます。
そのため、「1時間400円」から「30分200円」へと見直すと、利用率が回復することがあります。
同様に、最大利用料金や深夜の長時間料金も定期的に見直していくことがコツです。
駐車場は差別化が難しいビジネスであるため、他の駐車場と差別化するには価格設定が大きなポイントとなります。
4.初期費用の相場について
4-1.駐車場経営の初期費用の相場とシミュレーション
経営方式が個人経営方式と管理委託方式の場合の初期費用の相場になります。
土地を持っていることを前提に、以下の条件でシミュレーションします。
土地面積:34坪(112.5平米)
駐車台数:5台
初期費用:238万円
<駐車場経営時の工事内容と相場、概算額の一覧>
工事内容 |
相場 |
概算の総額 |
アスファルト舗装 |
1.7万円/坪 |
58万円 |
ライン引き |
1.2万円/台 |
6万円 |
車止めブロック |
3,000円~5,000円/個 |
4万円 |
精算機 |
50万円前後/台 |
50万円 |
パークロック |
10万円前後/台 |
50万円 |
看板・照明 |
20万円前後 |
20万円 |
設備設置工事費用 |
50万円前後 |
50万円 |
初期投資額 |
238万円 |
5.経営の種類・形態について
駐車場経営の種類・形態は、月極駐車場とコインパーキングの2種類あります。
ここでは、それぞれの特徴を比較します。
5-1.月極駐車場とコインパーキングの特徴比較(メリット・デメリット比較)
<月極駐車場とコインパーキングの特徴一覧>
|
月極駐車場 |
コインパーキング |
特徴 |
利用者と契約を結び、月単位で貸し出す。 |
分単位の利用料金設定をして、利用時間に応じて料金を徴収する。 |
立地 |
賃貸には条件が悪い土地や狭小地でも始められる。住宅地や郊外の土地でも借り手がつけば収益を得られる。 |
駅周辺や近隣に商業施設があるなど、人の集まる場所に向いている。 |
収益性 |
月当たりの収益の上限が決まっているため、利回りは高くない。 |
貸し出しの時間区分を小さくすることで単価を上げることができる。利回りは月極より高い傾向。 |
安定性 |
契約者がいれば、安定的に賃料収入が得られる。メンテナンスの手間があまりない。 |
周辺の状況や競合の有無などが、収益に影響を与えやすく、月々の収益が安定しない。 |
どちらの場合も、稼働率が低くなると収入が得られないリスクがある点にご注意ください。
6.3つの経営方式について
6-1.駐車場経営の3つの経営方式の解説
駐車場の経営方法は、大きく分けて次の3種類あります。
- 個人経営方式
- 管理委託方式
- 一括借り上げ(サブリース)方式
- 1.個人経営方式
- 月極駐車場で多く取り入れられている経営方法で、料金などは自分の判断で設定や変更ができ、高い収益性を目指したい人や自分の力で経営したい方には向いています。
この方式では、土地の整備から設備設置、利用者の募集、契約、清掃、入金管理、設備修繕、事故やトラブルの対応までを自身で全て対応を行います。
- 2.管理委託方式
- 駐車場の施工までオーナーが行い、利用開始後の管理業務のみ企業に委託する方法です。
経営には関わりたいが管理まではできないという方や、ある程度の収益を得たいという方には向いています。
管理委託料は受け取った賃料の5%~10%程度を支払うのが一般的です。
- 3.一括借り上げ(サブリース)方式
- 駐車場事業を営む企業に土地を貸し、その土地で駐車場を経営してもらう方法です。
駐車場の利用率に関わらず毎月地代が入ってくるので安定した収入を得ることができますが収入は一定ですので、固定資産税分だけ稼げればいいという方には向いています。
7.相続税対策について
7-1.相続税対策の考え方と駐車場経営の効果
・現金の相続と土地の相続の相続税評価の違い
駐車場経営は他の土地活用に比べて相続税評価額が低くならず、相続税対策には適していないように思いますが、現金を相続した場合にかかる相続税より、新たに駐車場に適した土地を購入し、駐車場経営を行った土地を相続する方が相続税は安くなるので、現金相続よりは相続税対策になるといえます。
・駐車場で利用区分を分ける
土地の利用区分を不整形な土地と駐車場に分けることによって、不整形補正によって評価が下がり、新設した駐車場も更地より少し評価が下がります。
・小規模宅地の特例を適用する
駐車場は「貸付事業用地」に分類されるので、「小規模宅地の特例」が適用可能です。
アスファルトなどで舗装された駐車場で広さが200㎡までなら、相続税が50パーセントも軽減されます。
8.「お役立ちガイド」掲載コンテンツ一覧
8-1.駐車場経営ガイド記事一覧