個人が行う駐車場経営では、どのようなものが経費になるか気になる方も多いと思います。
経費が増えれば節税することができますので、経費は漏れなく計上することが節税のポイントです。
ただし、あらゆる支出が経費になるわけではないため、確定申告の際は経費に認められるものをしっかりと把握しておくことが必要となります。
そこでこの記事では、「駐車場経営の経費」について解説していきます。
駐車場経営の経費や所得の分類、固定資産税の計算方法、土地購入で必要な経費等をわかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までおつきあいいただき、上手な駐車場経営を実現するためにお役立てください!
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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット
1.駐車場経営の所得の分類
駐車場経営は、経営形態によって所得が分類される点が特徴です。
個人の所得には、不動産所得や事業所得、雑所得、給与所得、譲渡所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得と言った10種類があります。
このうち、駐車場経営は「不動産所得」または「事業所得」もしくは「雑所得」のいずれかに分類されます。
所得とは収入のことではなく、収入から経費を除いたものを指します。
所得 = 収入金額 - 必要経費
駐車場経営の所得の分類は、自己の責任において他人の物を保管する場合は事業所得または雑所得、そうでない場合の所得は不動産所得に分類するのが基本です。
駐車場の経営形態と所得の分類を示すと下表のようになります。
経営形態 |
内容 |
所得 |
月極駐車場 |
毎月固定の賃料で駐車スペースを貸す方式 |
不動産所得 |
土地貸し |
時間貸しの駐車場運営会社に土地を貸し出す方式。アスファルト舗装は駐車場運営会社が行う。 |
不動産所得 |
施設貸し |
時間貸しの駐車場運営会社に施設を貸し出す方式。施設とはアスファルト舗装のことを指す。アスファルト舗装は土地所有者が行う。 |
不動産所得 |
管理委託A |
バーロックや自動精算機等は駐車場運営会社が持ち込み、管理を駐車場運営会社に委託する方式。駐車場運営会社から受領する賃料は変動型となる。 |
不動産所得 |
管理委託B |
バーロックや自動精算機等は土地所有者が保有し、管理を駐車場運営会社に委託する方式。 |
事業所得 |
管理委託C |
不動産所得以外に該当するケースで、台数が少なく他に主要な収入があるような場合。 |
雑所得 |
駐車場所得の区分は、バーロックや自動精算機等を保有していなければ、自己の責任において他人の物を保管する場合に該当せず、不動産所得となります。
よって、バーロックや自動精算機等を購入する形態でなければ不動産所得ということです。
一方で、土地所有者がバーロックや自動精算機等まで購入し、自ら経営する場合(管理だけ委託する場合も含む)には事業所得となります。
ただし、自ら経営する場合であっても、駐車場収入が少額で、かつ、土地所有者にメインとなる収入が存在するケースでは、その所得は雑所得に分類されます。
駐車場経営が「不動産所得」または「事業所得」に該当すると、損益通算をすることが可能です。
損益通算とは、マイナスとなった不動産所得または事業所得を他の所得から控除して節税できる仕組みを指します。
例えば、給与所得が1,000万円で不動産所得が▲200万円であった場合、全体の所得は損益通算によって800万円となります。
全体の所得が800万円になれば、1,000万円の所得を前提に支払われていた源泉所得税は払い過ぎていたことになり、還付を受けることができます。
2.駐車場経営の経費
この章では、「駐車場経営の経費」について解説します。
国税庁では、不動産所得、事業所得、雑所得において、必要経費に算入できる金額を以下のように定めています。
【国税庁:No.2210やさしい必要経費の知識】
(必要経費に算入できる金額)
事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
不動産所得や事業所得、雑所得であっても、経費の考え方は基本的に同じです。
一般的に、駐車場経営で経費として認められるものは以下の費目が該当します。
費目 |
内容 |
固定資産税 |
全ての駐車場の経営形態で発生します。 |
都市計画税 |
全ての駐車場の経営形態で発生します。ただし、原則として都市計画で指定されている市街化区域内の物件に限ります。 |
事業税 |
時間貸し駐車場で事業税が課された場合に発生します。 |
償却資産税 |
アスファルト舗装等の償却資産に課税される税金です。土地貸しのように土地所有者がアスファルト舗装を行っていない場合には生じません。 |
不動産免許税 |
土地を購入した初年度に発生します。 |
登録免許税 |
土地を購入した初年度に発生します。 |
司法書士手数料 |
土地を購入した初年度に発生します。 |
借入金利子 |
土地を借入金で購入している場合には、その利子は経費となります。元本返済部分は経費にはなりません。 |
管理委託料 |
管理委託方式で管理委託料を支払っている場合に発生します。 |
修繕費 |
主に管理委託方式でバーロックや自動精算機等を保有しており、20万円未満で修繕対応した場合には、一括で経費計上できます。 |
光熱費 |
主に管理委託方式でバーロックや自動精算機等を保有している場合には電気代等の光熱費が費用となります。 |
人件費 |
駐車場経営で従業員を雇っている場合には給与等が経費です。 |
減価償却費 |
アスファルト舗装や自動精算機等の償却資産を保有している場合には減価償却費が費用となります。 |
駐車場の経営形態に合わせ、上表の中から発生する費目を選んで計上する形となります。
例えば、月極駐車場の場合は、バーロックや自動精算機等はないことから、償却資産税や修繕費、光熱費等は生じないため、経費計上できないことになります。
一般的に事業所得となるケースではバーロックや自動精算機等の設備を保有しているため、光熱費や修繕費等の計上できる費目が多くありますが、不動産所得となるケースでは設備を保有していないため、計上できる費目は少ないという点が特徴です。
尚、不動産所得となるケースでは、駐車場台数が50台以上となる「事業的規模」となります。
駐車場が事業的規模になると、最大65万円の青色申告特別控除が利用でき、また「青色事業専従者給与」と呼ばれる親族への給与も経費とすることができます。
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3.固定資産税および都市計画税の計算方法
駐車場経営では、土地の固定資産税および都市計画税が発生します。
固定資産税とは、1月1日時点の不動産の所有者に課させる市区町村税です。
都市計画税とは、原則として都市計画で指定されている市街化区域内における1月1日時点の不動産の所有者に課させる市区町村税となります。
課税は1月1日時点の所有者に対してなされるため、土地を購入した場合は初年度の固定資産税及び都市計画税は売主が引き続き納税し、買主は課税されないのが通常です。
土地の固定資産税および都市計画税は以下の計算式で求められます。
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%(標準税率)
課税標準とは税率を直接乗じて税金を求めるための価額のことです。
宅地の課税標準額は、一般的には固定資産税評価額の70%となります。
宅地の課税標準額 = 固定資産税評価額 × 70%
固定資産税及び都市計画税には、「住宅用地の軽減」という特例が存在しますが、駐車場は住宅用地ではないため、住宅用地の軽減は適用されません。
そのため、アパートや自宅等の住宅を取り壊してから駐車場を始めると、住宅用地の軽減が外れることから土地の固定資産税が高くなるので注意が必要です。
4.土地購入で駐車場を始めた場合の経費
この章では、「土地を購入して駐車場経営をした場合の経費」について解説します。
土地購入時は一定の初期費用が生じます。
一部の初期費用については、駐車場経営の初年度に経費として計上することが可能です。
土地購入時に発生する初期費用と初年度の経費計上の可否を示すと下表のようになります。
〇:経費計上できる、×:経費計上できない
初期費用項目 |
経費計上の可否
|
不動産取得税 |
〇 |
登記費用 |
〇 |
印紙税 |
〇 |
土地購入費 |
× |
仲介手数料 |
× |
固定資産税等清算金 |
× |
(1)不動産取得税
土地購入時には不動産取得税が発生します。
不動産取得税は、初年度の確定申告の経費として計上することが可能です。
土地の不動産取得税は以下の計算式で計算されます。
土地の不動産取得税 = 固定資産税評価額 × (1/2) × 3%
土地の不動産取得税は、2021年3月31日までに取得したものは、固定資産税評価額に2分の1を乗じたものが課税標準額となります。
また、税率は2021年3月31日までに取得したものは「3%」が適用されます。
駐車場は住宅用地ではないため、住宅用地の軽減措置の適用はありません。
(2)登記費用
土地購入時は、登録免許税および司法書士手数料等の登記費用が発生します。
登記費用は、初年度の確定申告の経費として計上することが可能です。
土地の所有権移転の登録免許税は以下の計算式で計算されます。
土地の所有権移転の登録免許税 = 固定資産税評価額 × 1.5%
税率は2021年3月31日までに取得したものは「1.5%」が適用されます。
また、所有権移転登記を司法書士に依頼する場合、別途、司法書士手数料も発生します。
所有権移転登記の司法書士手数料の相場は「5万円前後」が一般的であり、物件や地域によって「3万円~10万円」程度の幅があります。
(3)印紙税
土地購入時は、売買契約書に印紙を貼り付けるため、印紙税が発生します。
印紙税は、初年度の確定申告の経費として計上することが可能です。
印紙税の金額は、売買契約書に記載する売買金額で決定されます。
軽減税率適用期間内であれば、軽減税率の金額を用います。
契約書に記載する売買金額 |
本則 |
軽減税率※ |
1万円未満 |
200円 |
非課税 |
1万円以上10万円以下 |
200円 |
200円 |
10万円超50万円以下 |
400円 |
200円 |
50万円超100万円以下 |
1,000円 |
500円 |
100万円超500万円以下 |
2,000円 |
1,000円 |
500万円超1,000万円以下 |
10,000円 |
5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 |
20,000円 |
10,000円 |
1億円超5億円以下 |
100,000円 |
60,000円 |
5億円超10億円以下 |
200,000円 |
160,000円 |
10億円超50億円以下 |
400,000円 |
320,000円 |
金額の記載のないもの |
200円 |
200円 |
※2014年4月1日~2022年3月31日まで
(4)土地購入費
土地購入費そのものは経費にならず、資産に計上されることになります。
資産とは、現金や有価証券、建物、土地等の財産的価値のあるもののことです。
土地購入費は資産を購入したものとみなされるため、初年度の確定申告の経費として計上できないものとなります。
また、土地は建物とは異なり、減価償却の対象にはならない資産です。
土地は、会計上は時間が経っても価値が減らない財産であると考えられています。
よって、土地購入費は、減価償却によって費用化されていくことはなく、そのまま資産として帳簿上に残る形となります。
(5)仲介手数料
土地購入時は、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、初年度の確定申告の経費として計上することができない支出です。
仲介手数料は、土地購入費とともに資産として計上されます。
仲介手数料は、取引額に応じて以下の速算式で計算されるものが上限額です。
取引額 (売買金額) |
速算式(上限額) |
200万円以下 |
5% |
200万円超から400万円以下 |
4%+2万円 |
400万円超 |
3%+6万円 |
例えば、1,000万円の土地を購入したら、36万円(=1,000万円×3%+6万円)が仲介手数料の上限額となります。
(6)固定資産税等精算金
土地購入時は、固定資産税等精算金が発生します。
固定資産税等精算金とは、引渡日以降の固定資産税および都市計画税の実質的な負担を買主に移転するために売主に支払う金銭のことです。
例えば、年間の固定資産税および都市計画税の合計が12万円の場合、2月1日に引渡を行うと、残り11ヶ月分の11万円を固定資産税等精算金として売主に支払います。
固定資産税および都市計画税の納税義務者は1月1日時点の所有者であるため、土地を購入した年の初年度の固定資産税および都市計画税は、売主が引き続き納税をすることになります。
しかしながら、引渡日以降の固定資産税等を売主が引き続き負担しなければならないのは不合理であることから、引渡日以降のその年の残存分の固定資産税等を買主から売主へ支払うことで実質的な負担の調整を図ります。
ただし、固定資産税等精算金は税金ではなく、売主と買主との間で行っている負担の調整であることから、土地価格の「単なる値上げ」に過ぎません。
買主としては、固定資産税等精算金の分だけ土地を高く購入したこととなることから、固定資産税等精算金は土地価格に含まれ、資産として計上されることになるのです。
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まとめ
いかがでしたか。
「駐車場経営の経費」について解説してきました。
駐車場経営の所得は形態によって不動産所得、事業所得、雑所得のいずれかに分類されます。
駐車場経営の経費には、固定資産税や都市計画税等がありました。
駐車場の固定資産税は非住宅用地として課税されます。
土地を買って駐車場経営をする場合、土地購入費や仲介手数料、固定資産税等精算金は経費計上できませんが、購入時に発生した不動産取得税や登録免許税等は初年度に経費にすることができます。
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