コインパーキング経営の5つのタイプとメリット・デメリット
コインパーキング経営は、アパートやマンション経営と比較すると、少ない初期費用でスタート出来て、管理の手間も少ない土地活用方法です。
コインパーキング経営にはいくつかの経営プランがあり、中には、初期費用0円でスタートできるものもあるため、特に、土地活用初心者にとってはハードルの低い土地活用方法として人気があります。
しかし、実際に始めるにあたって、自分にはどのような経営プランが合っているのか、開業したらどのくらいの利益が見込めるのかなど、わからない部分が多いかと思います。
そこで今回は、コインパーキング経営を土地活用としてご検討中の方向けに、以下のようにまとめています。
- コインパーキングの経営方法5タイプ
- コインパーキング経営に向いている土地とオーナーのタイプ
- コインパーキング経営でかかる初期費用と収入めやす
- コインパーキング経営をするメリット・デメリット
- コインパーキング経営で失敗しないための知っておくべき注意点4つ
最後までお読みになれば、コインパーキング経営の全体像がつかめ、ご自身とご所有の土地が、コインパーキング経営に適しているかなどもわかるようになります。
なお、コインパーキング以外の「駐車場経営全般」について知りたい方はこちらをご覧ください。
この記事の内容
1.コインパーキングの経営方法5タイプ
コインパーキングは民間が運営する、24時間経営の、無人の時間貸し駐車場です。
経営方法には、主に専門会社に委託する方法と、自主経営(個人経営)があり、合計で5タイプがあります。
経営タイプ | 経営責任 | 初期費用 | 適した土地オーナー |
---|---|---|---|
一括借り上げ | なし | 0円~低予算 | 自分で管理をしたくない・できない |
利益分配 | 話し合い | 話し合い | メリットの多い利益配分がしたい |
管理委託 | 土地オーナー | パーキング整備・設置費用 | 経営の一部だけを委託したい |
機械買い取り | 土地オーナー | パーキング整備・設置費用 | 将来、自主経営を計画している |
機械レンタル | 土地オーナー | パーキング整備・設置費用 | 短期利用・土地活用として試用 |
1-1.一括借り上げタイプ
- 経営責任:なし
- 初期費用:0円~低予算
- 適した土地オーナー:自分で管理をしたくない・できない
最も多いコインパーキング経営のスタイルです。ご所有の土地を、コインパーキング専門会社に貸し、専門会社がコインパーキング経営をします。
経営責任もコインパーキング専門会社にありますので、土地オーナーは本当に土地を貸すだけで、以下のような内容をすべて、コインパーキング専門会社が受け持ちます。(内容は、会社によって違いがあります)
- 土地の整備、駐車場機器の設置、保守点検
- トラブル時の緊急出動
- 遠隔監視と遠隔操作
- コールセンター対応
- 料金システム運用
- 日常清掃と点検
- 料金回収と清算管理
- 収支管理
- 集客活動(ネット・システム・チラシ・のぼり旗など)
- 利用データ分析とマーケティング
- 解約時の駐車場機器などの撤去作業
一括借り上げ方式では、土地オーナーの収入は、土地の賃料を含んだ定額賃料設定となり、パーキング利用数や収益に変動があっても、毎月の収入には変化がありませんので、安定した収入を得られます。
ただし、パーキング会社は運営リスク分も想定して賃料を決定しますので、一括借り上げタイプ以外のコインパーキング経営の収入と比較すると、収益は低めになります。
<一括借り上げタイプに適したオーナー>
ご所有の土地が、オーナーが住んでいるエリアから離れていて、自分で管理ができない方。または、土地は近くにあって土地活用はしたいが、パーキングの運営をする意志がないか、土地が広すぎて管理しきれないなど、ご自身で運営するのが難しい場合に適しています。
1-2.利益分配タイプ
- 経営責任:話し合い
- 初期費用:話し合い
- 適した土地オーナー:一括借り上げ以外で利益配分したい
一括借り上げと似ていますが、土地オーナーとコインパーキング会社が、あらかじめ利益分配の割合を取り決め、収益に対して割合分を毎月受け取る運営方法です。例えば、5:5と決めていたら、売上の高い月でも低い月でも関係なく5:5で利益を分配します。
一括借り上げのような定額ではないため、毎月の受取額に変動はありますが、コインパーキングの利用者が多い場合は、大きな利益を得られるときもあります。
管理委託をする場合には、土地オーナーは受け取った月額の中から、委託料を支払うことになります。パーキング整備・設備費用と経営責任に関しても両者の話合いの上で取り決めをします。
<利益配分タイプに適したオーナー>
パーキング利用者が多いエリアに土地をお持ちで、一括借り上げで定額にしてしまうと、明らかに土地オーナー側にデメリットがあると想定できるケースに適しています。
または、駐車場利用のハイシーズンがあり、それ以外の季節はほとんど利用がないようなエリア(海辺・スキー場・別荘地など)に土地をお持ちの場合は、両者の経営リスクを最小限にする方法として採用することがあります。
1-3. 管理委託タイプ
- 経営責任:オーナー
- 初期費用:パーキング整備・設置費用
- 適した土地オーナー:経営の一部だけを委託したい
土地オーナーが経営に必要な整地や機械を設置してコインパーキングを完成させ、その後、運営管理を、専門会社に委託します。
駐車場設備をする会社・コインパーキング機械の会社・管理会社など、土地オーナーが自由に組み合わせることができます。経営責任は土地オーナーが持つことになります。
委託内容は、専門会社が持っているプランの中から選ぶか、土地オーナーと専門会社との話し合いで決めていくこともできます。
土地オーナーは契約をした月額委託費用を支払。コインパーキング専門会社は、土地オーナーに対して、毎月の管理運営の収支報告を行い、パーキング利用者に対して必要な対処をします。
<管理委託タイプに適したオーナー>
委託と自主経営の中間です。土地活用としてコインパーキング経営に取り組みたいが、すべてを自分で管理するのは難しいため、自分の手の回らないことは管理委託をし、経営者としての仕事は自分でやりたい方に向いています。
1-4.機器買い取りタイプ
- 経営責任:オーナー
- 初期費用:パーキング整備・設置費用
- 適した土地オーナー: 将来、自主経営を計画している
コインパーキングとして土地を整備・機械設置するときに、一括借り上げ・管理委託ともに、パーキング用の機械はリースかレンタルをすることが多いのですが、機械を購入するタイプの経営方法です。
パーキング運営で使う機械には、主に以下のものがあります。
- 1.車をロックするもの
-
- ・ロック式
-
後輪にフラップ式のロック板を出して、この板が下がらないと車が動かせないようになっています。1台から設置可。
- ・ゲート式
-
駐車台数が多いパーキングで使います。出入口にゲートがあり、駐車券が発行されるタイプです。
- ・ロックレス式
-
24時間監視カメラで車両ナンバーを認識し、ネット回線で管理をする。
- 2.精算機・発券機
- 3.防犯カメラなど
機械は、最初から買う・途中で買う・やめる時に買うなど、さまざまなパターンがあり、コインパーキング専門会社との話合いで決まります。
購入した機械を使った清算管理などは、管理委託をするか、自主管理をすることになります。多くの場合、機械メーカーが管理業務プランを持っています。パーキングの経営責任は土地オーナー側にあります。
購入した機械は自己所有になりますので、初期費用は高くなりますが、機械が壊れない限りは最もランニングコストを抑えることができ、減価償却費として経費計上もできます。ただ、新規でとても良い機種が出ることもあるため、機械選びは慎重にする必要があります。
<機器買い取りタイプに適したオーナー>
将来的にコインパーキングや駐車場の自主経営をする予定の方に向いています。また、コインパーキングの機械は、車だけではなく、自転車やバイクにも使えますので、将来、入手している専門機械を使った多角的な駐車場経営などに切り替えていく計画がある土地オーナーに向いています。
すでに月額駐車場などを運営しており、その一部だけをコインパーキングにしたい場合にも適しています。はじめから自主経営で始める場合には、機械は中古を購入することもでき、より初期費用を下げることもできます。
1-5.機器レンタルタイプ
- 経営責任:オーナー
- 初期費用:パーキング整備・設置費用
- 適した土地オーナー: 短期利用・土地活用として試用
パーキングの整備設備と管理の全部を土地オーナーが受け持ち、コインパーキング運営に必要な機械類をすべてレンタルする方法です。敷地への機械類設置は、コインパーキングの専門会社が受け持ちます。
経営責任は土地オーナーにありますが、機械に対する責任はコインパーキング専門会社が受け持ちます。
この方法は、新機種ができた時や、経営している駐車場の一部だけをコインパーキングにしたい時、またはコインパーキングの一部を普通の駐車場に戻したい時など、運営状況が変わりやすいときにも、両者ともロスが少ない経営方法です。
※5年、10年単位のリース契約もありますが、途中解約ができないため、レンタルを希望されるオーナーが多い傾向にあります。
<機械レンタルタイプに向いているオーナー>
土地活用はしたいが、今のところ最適と思える活用方法が思いつかないので、とりあえず駐車場として活用するなど、土地の短期活用や変更が前提の場合に向いています。
同じ駐車場でも、月極駐車場にしてしまうと、最低でも2~3年の契約になることがあり、他の活用をしようと思ったときにネックになります。コインパーキングであれば、機械類を撤去すればすぐに止められます。
土地整備の代金は、機械レンタルの申込時に、コインパーキング専門会社に依頼しても良いのですが、ほとんどのケースで整備・撤去がセットになった料金設定になっているため、個人で頼むよりも割高になります。
個人で土地整備を頼んでも、その工事タイミングに合わせて機械設置をしてもらえばよく、コインパーキング経営を止めた後も、舗装された地面はそのまま残せ、普通の駐車場としても利用できます。ただし、この場合は、機械類はロックレス式にしたほうが良いでしょう。
◆コラム◆コインパーキング経営と月極駐車場経営の違い
コインパーキングも、月極駐車場も、同じ駐車場経営です。
月極駐車場は、駐車場利用者と土地オーナーが数か月~年単位で賃貸契約を結ぶタイプの、昔からよくある駐車場のことです。ご所有の土地に何台収容できるかで収入が決まります。
コインパーキングは、不特定多数の方を対象にした、時間貸しの駐車場です。24時間365日経営で、場所が空いていればいつでも・誰にでも貸せますので、ニーズの高いエリアであれば、契約者数にしばられない、効率の良い駐車場経営ができます。
どちらも、利用者がいない=空室リスク となりますので、利用者の確保は必須です。月極駐車場は空きを作らなければ契約期間が長いので、長期安定収入になります。
コインパーキングはマーケティングをしっかりし、駐車場利用が24時間発生するようなエリアであれば、月極駐車場よりも利益を出せます。どちらも土地活用としては、初期費用は低めで、手間も少ないため、人気のある活用方法です。
2.コインパーキング経営に向いている土地とオーナーのタイプ
本章では、コインパーキング経営に向いている人物像と、土地についてまとめています。土地活用としてコインパーキング経営をご検討の方で、他の活用方法と比較されている段階の方は、以下の土地と人物像を参考にしてください。
2-1.コインパーキング経営に向いている土地の特徴4つ
コインパーキング経営をするのに適している土地の特徴を4つにまとめています。
- 繁華街に近いエリアである
- 道路幅が5メートル以上ある
- 土地の高低差がない
- 近所に満室のコインパーキングがある
2-1-1.繁華街に近いエリアである
コインパーキング経営は、車と人の量が多いのに、駐車場が不足しがちな繁華街の周辺にあると、高収益が期待できます。
例えば、繁華街や都心部エリアです。
都心部や繁華街周辺エリアは道が狭く入り組んでいるため、「ちょっと車を停めたい」と思っても、そもそも駐車スペースがないか、満車であるケースが多く、必要な時間だけサッと止められるコインパーキングのニーズがあります。
また駐車場施設が小さい、または駐車場がない病院や商業施設も多く、車で来た人たちのコインパーキングのニーズは高いと言えます。ただし、同じ繁華街でも、ターミナル駅のように複数の電車が乗り入れる駅では、車の利用客そのものが少ないか、大きな商業施設に無料の駐車場が完備されているため、コインパーキングの需要がないケースもありますので、念入りな市場調査は必要です。
2-1-2.道路幅が5メートル以上ある
コインパーキングは道路幅が5メートル以上ある道路の方が、利用しやすい駐車場になります。5メートル以上ある道路は、大きな道路に接していることが多く、コインパーキングの少し手前で看板などを見つけてから、すぐに駐車しやすい傾向があります。
5メートル以下の道路に面したコインパーキングは、大きな道路よりも、さらに一本奥に入った、入り組んだ場所であることが多く、大きな車や初心者ドライバーの場合は、何度も切り返しをいないと駐車ができないことがあります。
コインパーキングの車1台あたりの駐車スペースは、最低横幅2.5m、高さ5mは必要です。セダン型やボックス型の大型車利用も入れれば幅は3メートル、ベビーカーや車いす利用も考えれば、幅は3.5メートルあるのがベストです。ご所有の土地の広さにもよりますが、稼働率のマーケティングをしっかりしてから、利益が出やすい台数を確保します。
2-1-3.土地の高低差がない
道路からコインパーキングへは、段差がないことが理想です。コインパーキングと道路に傾斜や凸凹などの高低差がある場合は、スロープ工事か、駐車場の段差部分に置くタイプの、段差スロープの設置が必要です。
【参照:段差スロープ】
駐車場ス―ペースに向かう敷地に向かって高低差がある場合には、スロープ工事をして、駐車する場所までスムーズに入れるのようにします。道路面からコインパーキングに入るところに段差がある場合には、駐車場用の段差スロープを設置します。
2-1-4.近所に満車のコインパーキングがある
活用予定地の近隣に、いつも満車のコインパーキングがある場合は、そのエリアはコインパーキング需要が高いとみてよいでしょう。コインパーキングは24時間365日、いつでも空きがあれば使えるタイプの駐車場ですので、満車のときが多いコインパーキングが近くにあるということは、そのエリアには、常に「ちょっと停める場所」を求めている人が数多く存在している可能性が高くなります。
このような需要は、そのエリアで駐車場を必要としているドライバーにしかわからないので、土地を所有している側には想像のつかないニーズが隠れています。このようなケースでは、台数の多さよりも「そこにパーキングができる」ことの方が重要ですので、広さや形状の問題から台数が確保できない土地でも、ニーズに応えることができます。
2-2.コインパーキング経営に向いている土地オーナー3タイプ
コインパーキング経営に向いている土地オーナーの人物像を3タイプにまとめました。
タイプ1 リスクを押さえて土地活用をしたい
タイプ2 狭い土地・変形地を活用したい
タイプ3 将来に土地の売却や転用を検討している
2-2-1.タイプ1 リスクを押さえて土地活用をしたい
コインパーキング経営は、さまざまな土地活用の中でも、低リスクにスタート出来る土地活用方法です。中でも、一括借り上げタイプのコインパーキング経営にすれば、土地の整備・機械設置・初期費用・管理費などを全てコインパーキングの専門会社が負担してくれますので、自己資金ゼロで始められます。
初期費用がほぼ不要ですので、自己資金がなくてもスタートしやすく、管理の手間がいらない活用方法と言えます。
2-2-2.タイプ2 狭い土地・変形地を活用したい
小さい土地、三角形の土地、傾斜のある土地など、アパートなどの建物を建てるのに適していない土地や、土地の活用方法が見つからないほど狭い土地であっても、コインパーキング経営なら開業できます。
自動車が1台でも止められればコインパーキングはできますので、小さな土地や所有地の空きスペースでも有効活用できます。
2-2-3.タイプ3 将来的に土地の売却や転用を検討している
ご所有の土地を、将来的に売る予定がある、または駐車場経営をした後で、他の活用方法を検討する場合も、コインパーキング経営が向いています。
コインパーキングは、建物を建てませんのですぐに更地に戻せます。コインパーキングに使用していたメーター類とアスファルトを撤去すれば、売却や土地の転用が可能です。
また、コインパーキングは不特定多数向けの時間貸し駐車場ですので、個人との契約をしていません。そのため、契約者の更新のタイミングで契約解除をする必要がある月極タイプの駐車場とは違い、コインパーキングを止めれば、そのまま駐車場経営もやめられます。
3.コインパーキング経営でかかる初期費用と収入めやす
本章では、土地活用としてコインパーキング経営をご検討の方向けに、スタートするのにどのくらいの費用が必要なのか、お持ちの土地には何台分のパーキングが作れるのか、収入はどのくらいになるか、などを解説します。
- コインパーキングでかかる初期費用めやす
- コインパーキング経営のランニングコストめやす
- 50坪の土地なら10台のパーキング設置ができる
- 50坪の土地で初期費用と収入のシミュレーションをしてみよう!
3-1.コインパーキングでかかる初期費用めやす
以下の表にある設備は、コインパーキングをスタートさせるために、最低限必要なものになります。1章で解説をした経営タイプのうち「一括借り上げ」にすると、すべての初期費用をコインパーキング専門会社が負担しますので、初期費用0円でスタートできます。
設備 | 料金めやす | |
---|---|---|
1 | アスファルト舗装/平米 | 5,000円 |
2 | 精算機システム設置費用 | 700,000円 |
3 | ロック板設置/1台あたり | 100,000~200,000円 |
4 | 初期・電気引き込み代 | 150,000円 |
5 | 照明・宣伝・満車ランプなどの設置 | 150,000円 |
6 | 監視カメラなどセキュリティ類 | 10,000円 |
- 1.アスファルト舗装費用
- コインパーキングの整地は、後で撤去をしやすいアスファルト舗装をします。費用は地域と土地面積によっても違いがありますが、平均5,000円/平米です。
オーナーが施工会社を自分で探して申し込むか、一括借り上げなどでコインパーキング専門会社が提携する施工会社に申し込むかによっても、値段に違いが出てきます。個人経営でも、専門会社への委託をするのでも、必ず複数の見積もりを取って比較をしてから決めると、初期費用を抑えることができます。
- 2.精算機システム設置費用
-
コインパーキング経営に必要な基本的な機械類を導入します。精算機方法にカード利用やプリペイド方式があるなど、コインパーキング専門会社によって採用している機械も違うため、複数社の資料をよく比較してください。
- 3.ロック板/1台あたり
-
車を停めたときに、清算しないと出庫できないようにするためのロック板です。最近はノンロックタイプもありますが、現在の主流はロック板方式が採用されています。パーキング台数分、必要です。ノンロック式の場合はロック板の設備は不要です。
- 4.初期・電気引き込み代
-
活用予定地に電気などのインフラ引き込みがない場合は、電気会社による引き込み工事が必要です。
- 5.照明・宣伝・満車ランプなどの設置
-
空車の有無がわかるランプや、コインパーキングであることを示す看板などです。これ以外に、夜間照明・登旗などが必要です。
- 6.監視カメラ・セキュリティ類
-
パーキングの不正使用や、駐車している車へのいたずら、車上あらしなどを監視するためのものです。多くの場合、警備会社へ連絡がいくタイプのものが採用され、万が一の場合のかけつけ対応も含まれています。自主経営の場合は、スマホを使った自主管理も可能です。
コインパーキング専門会社で一括借り上げタイプの経営をすると、アスファルト舗装に加え、事故防止のためのパーキング敷地を囲むフェンス設置もセットになりますので、初期費用が高くなります。
3-2.コインパーキング経営のランニングコストめやす
コインパーキング経営を開始してから発生する、ランニングコストには、以下のようなものがあります。
運営にかかるランニングコスト/月 | 税金関連/年 |
---|---|
|
|
上記の金額は、活用土地の大きさやエリア、機械類の契約方法、コインパーキング専門会社との契約内容などによって違います。各コインパーキング専門会社から資料をもらって見積もりを取ると、おおよその費用がわかるようになります。契約方法や経営タイプについては、本記事1章を参照してください。
コインパーキングの運営を管理委託する場合は、上記表の運営欄から任意の内容を選び、コインパーキングの専門会社に管理してもらいます。委託管理費用に関しては、契約内容によって違いはありますが、不動産の管理委託費用に準じますので、売上の5~10%が毎月の委託料になるのが一般的です。
3-3.50坪の土地なら10台のコインパーキング設置ができる
活用予定地の広さや形により、パーキング台数が変わります。本項では、道路付けが良く、四角形に近い50坪の活用予定地があった場合、車が何台駐車できるのかを計算します。
- (ア) 車1台に必要な広さは約4坪
-
車の平均的な大きさは、1台で2.5メートル×5メートルくらいですので、駐車スペースを坪数(1坪=3.3平米)に換算すると、2.5×5÷3.3=3.7坪、つまり約4坪必要なことがわかります。
- (イ) 機械類が占める広さは約1坪
-
精算機などが専有する広さは約1坪程度です。
車1台で4坪+機械1坪=合計5坪必要ですので、10坪あると2台置けることになります。パーキング内で車が通る道などを考慮すると、単純計算で、50坪あれば車10台置けることになります。
※実際の台数は、地形や接面道路の広さなどにもよりますので、専門会社による調査をしてもらうようにします。
3-4.50坪の土地で初期費用と収入のシミュレーションをしてみよう!
前項までの初期費用とランニングコストを使って、50坪の土地に10台の駐車台数でシミュレーション計算をします。
名目 | 料金 | 数 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
1 | アスファルト舗装/平米換算(50坪)* | 5,000 | 165 | 825,000円 |
2 | 精算機システム設置費用 | 700,000 | 1 | 700,000円 |
3 | ロック板設置/1台あたり20万円で計算 | 200,000 | 10 | 2,000,000円 |
4 | 監視カメラなどセキュリティ類 | 10,000 | 1 | 10,000円 |
5 | 照明・宣伝・満車ランプなどの設置 | 150,000 | 1 | 150,000円 |
6 | 初期・電気引き込み代 | 150,000 | 1 | 150,000円 |
50坪の土地活用 コインパーキング初期費用めやす | 3,010,000円 |
*50坪×3.3=約165平米
次に、運営開始後の収入を、以下の例で月額シミュレーション計算してみます。
例)東京の都心部にある50坪のコインパーキング 平日の通常料金帯のみ満車の場合 1か月の収入 ・月間売上
・管理委託費のランニングコスト/月間 ・月間売上-管理委託費ランニングコスト月間 |
|
50坪の土地活用 コインパーキング 月間収益めやす |
1,587,600~1,675,800円 |
上記の内容から、土地50坪10台のパーキングで、初期費用は300万円前後、月収めやすは160万円前後(税金なし)であることが試算できました。
これらの金額は、コインパーキング専門会社に見積もり依頼したときに、何通りかのシミュレーション計算をしてもらえます。
4.コインパーキング経営をするメリット・デメリット
本章では、コインパーキング経営のメリットとデメリットをそれぞれ、まとめています。
4-1.コインパーキング経営の5つのメリット
土地活用としてのコインパーキング経営には、以下のような5つのメリットがあります。
- 少ない初期投資でもスタートできる
- 狭い土地や変形地でもはじめられる
- 何も経営のことがわからなくても大丈夫
- すぐスタートできる
- すぐやめられる
4-1-1.少ない初期投資でもスタートできる
本章1章で紹介をした経営タイプの中にある「一括借り上げ」タイプを選べば、自己資金が0または非常に少額で土地活用を始められます。
その他の方法を選んでも、アパートやマンション経営などの土地活用と比較すれば、少ない資金でスタートできる土地活用法ですので、リスクが低く、はじめての土地活用でも安心してスタートできます。
4-1-2.狭い土地や変形地でもはじめられる
1台でも車を停められるス―ペースさえあれば、どんな狭小地や変形地であってもコインパーキング経営をスタートできます。また、すでに何か土地活用をしている場合でも、空いたスペースを利用してコインパーキングを作ることもできます。
コインパーキングは車だけではなく、バイクや二輪車などにも対応できますので、ご所有の土地を最大限に収益することができます。
4-1-3.何も経営のことがわからなくても大丈夫
はじめての土地活用で、経営のことが何もわからなくても、コインパーキング経営ができます。一括借り上げや委託管理にすれば、コインパーキング経営に必要な管理や顧客対応はすべて、管理会社が引き受けます。
コインパーキング会社は蓄積されたノウハウから適切な管理をし、必要な場合は、より収益性が高くなるビジネスプランを提案し、土地から得られる収益が最大化するようにサポートをしてくれます。
4-1-4.すぐスタートできる
コインパーキング経営は、土地に何かを建築する必要がなく、コインパーキングのための設備を導入するだけですぐにスタートできます。そのため、土地活用をしようと決めてから1か月ほどで、コインパーキングの開業ができます。
4-1-5.すぐにやめられる
コインパーキング経営は、将来、別の土地活用をしたいと思ったときに、コインパーキング設備とアスファルトを撤去すれば、すぐに更地になり、別の事業を始められます。
現時点では土地活用方法が明確に定まっていないため、資金や計画の準備ができるまでの期間、ご所有の土地から収益を得る方法として、暫定的にコインパーキング経営をすることもできます。
4-2.コインパーキング経営のデメリット
土地活用としてのコインパーキング経営には、ふたつのデメリットがあります。
- アパート経営に比べると税金が多い
- 土地活用としては効率が低め
4-2-1.アパートやマンション経営に比べると税金が多い
コインパーキング経営をしている土地には住宅が建っていないため、「更地」の評価となります。
そのため、固定資産税の優遇措置である「住宅用地の特例」が適用できないので、固定資産税や都市計画税の軽減がありません。そのため、住宅が建っている土地と比べると、およそ6倍もの固定資産税を支払うことになります。
また、相続税評価時も「更地」としての評価になりますので、同じように人に土地を貸していても、アパートやマンション経営のように評価減の対象となる「貸宅地・貸家建付地」としての適用ができません。
小規模宅地の評価減は適用されますが、「200平米まで50%」に抑えられますので、どちらにしてもコインパーキング経営は、相続税対策としてはあまり大きな節税にはなりにくいと言えます。
所得税に関しても、初期費用が0円の一括借り上げタイプの経営をした場合は、減価償却費の対象となるものがありません。さらに、コインパーキング経営のための必要経費はほぼ0円ですので、コインパーキング経営から得られる収入に対する課税割合が高くなってしまいます。一括借り上げ以外の方法で運営した場合は、敷地設備・レンタル費・管理委託費用などが経費計上できます。
【参照:固定資産税 住宅用地の特例】
【参照:小規模宅地等の特例】
4-2-2.土地活用としては効率が低め
同じ土地活用として、アパート・マンション経営やビル経営などと比較すると、土地活用の効率は低くなります。アパートやマンションのように、土地の持つ能力いっぱいまで縦横に使うのと、コインパーキングは平地である必要があるため、土地の利用効率が低くなります。
また、住居や事務所を貸すのと違い、コインパーキングの利用料金は低価格なため、利益も低めになります。さらに、同じ駐車場経営という点においても、月極タイプの駐車場と比べると、集客が立地に大きく左右されるため、安定収入になりにくいことがあり、土地によっては経営効率も低くなります。
コインパーキング経営で成功するためには、エリアや立地条件などがコインパーキング経営に向いた土地であることが、大前提となります。
◆コラム◆土地なしでもコインパーキング経営はできる?
活用すべき土地を持っていなくても、コインパーキング経営はできます。実際、一括借り上げをしているコインパーキング専門会社は、借りた土地の上でコインパーキングを開業し、会社として利益を出しています。
土地を借りてコインパーキング経営をしているコインパーキング専門業者は、土地の賃料と経費を差し引いた分が、会社の収入になります。このビジネスモデルの個人版が、土地なしのコインパーキング経営です。つまり、土地がなくてもコインパーキング経営はできます。
土地オーナーが経営するコインパーキングと比較るすと、賃料という費用があるため、一つのコインパーキングあたりの利益は低いのですが、数多く経営することで、ある程度の利益を確保することは可能です。また固定資産税が不要ですので、まとまったお金が出ていくこともありません。
ただし、コインパーキング経営を含む駐車場ビジネスは、土地活用の中ではローリスクローリターンな方法ですので、借りた土地で運営するコインパーキングで、大きなお金を得るのは難しいと言えます。
土地なしでコインパーキング経営をしても、最終的に不動産は土地オーナー所有のままですので、資産形成にはなりにくい点も理解しておきましょう。また、コインパーキング経営のために土地を購入しても、土地代金は経費にならないため、同じ土地を購入するのであれば、アパート経営やマンション経営による資産形成をしたほうが良いと言えます。
現在、ご所有の土地の活用方法をお悩みの場合は、コインパーキング経営ならば、資金0円ですぐにでもスタートできることをご理解いただいたうえで、本格的な土地活用としてアパート・マンション経営による資産形成の可能性についても、あわせてご検討下さい。
どのような活用方法をするのであっても、まずは、ご所有の土地が持つ可能性を探ることが大切です。複数の不動産会社に土地活用に関したプラン請求をし、ご自分の土地でどんなことができるかを比較してみることをおすすめします。プラン請求の際には、NTTデータグループが運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご利用下さい。
HOME4U 土地活用では、ご所有の土地に最適な建築プランなどを提案してくれるハウスメーカーや建築会社を、日本全国から。最大10社までにまとめて、無料で土地活用・不動産投資のプランを提案します。
気になるプラン提案があった会社には、現地調査による具体的な見積もりを立ててもらい、必要な費用やランニングコストなども把握できますので、土地と相性の良い活用方法が見つかります。
5.コインパーキング経営で失敗しないための知っておくべき注意点4つ
本章では、コインパーキング経営を土地活用としてご検討の土地オーナー様向けに、失敗しないための注意点を4つにまとめています。
- 立地と土地の形状が成功のカギ
- あまり多くの収入を期待しないこと
- 他の土地活用方法と比較すること
- パーキング専門会社を複数社で比較すること
5-1.立地と土地の形状が成功のカギ
コインパーキング経営は、土地と土地の形が大切です。基本的に都心部で、交通量の多い場所で「ちょっと車を停めたい」ニーズに対して、需要が足りていないエリアであれば、コインパーキング経営は成功しやすくなります。
また、土地の形は、パーキング台数の確保と利用者数に影響します。出来れば5メートル以上の道路幅がある道路に接した、四角形に近い地形であるほうが、より多くの台数を確保し、さらに、利用者にとっても使いやすいパーキングになります。
5-2.あまり多くの収入を期待しないこと
コインパーキングは一回当たりの利用料が低いので、とても条件の良いエリアで、稼働率が高い場所以外は、あまり大きな収益にはなりにくい傾向があります。
1章で解説をしたとおり、コインパーキングの経営方法はいくつかありますが、月間の収入だけではなく、税金支払いなどの年間にかかる費用なども含めて試算をしないと、選んだ経営プランによっては、利益がほとんど手元に残らないケースも十分あり得ます。
また、車を停める場所を時間貸しするビジネスですので、外出が少ないシーズンや天候などには大きく影響を受けることもあり、予定していた数字に達しないことも十分考えられます。
コインパーキング専門会社に提案された見積もりの中には、甘めの計算になっていることもありますので、数字を鵜呑みにせず、常に控えめな数字で経営計画を立てておくことをおすすめします。
5-3.他の土地活用方法と比較すること
コインパーキング経営の最大の魅力は、一括借り上げによる資金0スタートが可能なところです。他の不動産活用と比べると圧倒的にスタート時点でのハードルが低く、すべての管理から、やめる時の撤去までやってもらえるのですから、土地オーナーとしては「ずいぶんラクチンな土地活用だなあ!」と思うのは当然です。
しかし、本記事でも何度も解説している通り、コインパーキング経営がうまくいくのは、都心部やコインパーキング需要が不足しているエリアだけですので、ご所有の土地条件によっては、コインパーキング経営をしても、思ったような収益になりにくい可能性があります。
その場合、せっかく土地活用をしているのに、土地に十分に働いてもらっていることにはならず、いたずらにコインパーキング専門会社が儲かるのをサポートすることになってしまいます。
土地活用の主役は、あくまで土地オーナーですので、ご所有の土地から十分な収益を得られるタイプの土地活用方法を選び、比較検討したうえで、コインパーキング経営をするかを検討するようにします。
5-4.パーキング専門会社を複数社で比較すること
コインパーキングの専門会社は数多くありますので、最低でも3社以上の会社から資料をもらい、経営方法や収益プランなどにどんな違いがあるのかを比較検討します。
コインパーキングの専門会社にも大手が運営しているものから、コインパーキング専用機の会社が運営するもの、駐車場ビジネス全般の取り扱い会社など、それぞれ個性があります。また、中には、コインパーキング経営とレンタカーが一体化したものや、バイクや自転車駐車場も併用したコインパーキング経営などもあります。
土地活用方法の情報を集める一貫として、コインパーキング専門会社のプランも複数社分もらって、比較検討をし、納得のいく会社を選び出します。さらにその上で、前項の他の土地活用とも比較してみてから、慎重に判断をされるようにしてください。
まとめ
コインパーキング経営についてまとめました。経営方法には、全部で5つの方法がありましたが、最もハードルの低い開業方法は、コインパーキングの専門会社による一括借り上げのスタイルです。この方法であれば、初期費用も専門知識も不要で開業ができ、管理経営もすべてお任せすることができます。
コインパーキング経営には、土地や人物像としても向き不向きがありますので、まずはご所有の土地がコインパーキング経営向きかどうかを判断したうえで、再検討されてみて下さい。
初期費用とランニングコストめやすは、土地に確保できる台数と、土地のあるエリア需要によって大きく変わってきますので、複数のコインパーキング専門会社で見積もりを取り、比較をしてみて下さい。
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