【基本を解説】固定資産税と都市計画税の違いと基礎知識
固定資産税と都市計画税の違いは、大きく3つあります。
「税収の使用目的」「課税対象」「税率」が異なり、都市計画税の方が固定資産税より税額が安いです。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
種類・目的 | 地方税(普通税) | 地方税(目的税) |
課税対象となる資産 | 土地・家屋および 償却資産 |
市街化区域内にある土地および家屋で、償却資産は対象外 |
税率 | 標準税率(1.4%) | 制限税率(0.3%) |
本記事では、固定資産税と都市計画税の概要や計算方法、違いを解説します。
この記事を読むと、
- 固定資産税と都市計画税の概要、それぞれの計算方法
- 固定資産税と都市計画税の違い
- 固定資産税と都市計画税の軽減措置について
といったことがわかります。
1.固定資産税とは
固定資産税とは毎年1月1日時点に土地や家屋、償却資産を所有している人に課される地方税のことです。
固定資産の価格をもとに税額を算出し、その資産の所在地である市町村に税金を納めます。
ただし、東京都23区内においては特例により東京都が課税主体です。
固定資産税は、税収の使用方法が定められていない普通税として徴収されます。
1‐1.固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法は、以下のとおりです。
固定資産税課税標準額(固定資産税評価額)× 標準税率(1.4%)
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を所有している場合、2,000万円×1.4%=28万円と計算でき、この場合の固定資産税額は28万円となります。
なお、固定資産税の税率は各自治体の判断により変更することも可能ですが、基本的には全国一律「1.4%」です。
1‐1‐1.固定資産税「課税標準額」と「評価額」の違い
固定資産税および都市計画税は、どちらも「固定資産税課税標準額」に税率をかけて算出されます。
「課税標準額」は各自治体が決める「固定資産税評価額」を基に算出しており、基本的には「課税標準額」と「評価額」は同額になります。
名称 | 内容 |
---|---|
固定資産税 課税標準額 |
税率をかけて固定資産や都市計画税の税額を算出する基になる金額 |
固定資産税 評価額 |
固定資産の価値を示しており、各自治体が固定資産評価基準に従って、家屋と土地の評価額を決定 |
なお、固定資産税の評価額は3年に一度見直しされるため、同じ税額が続くわけではありません。
見直しにより負担額が変わることもあります。
2.都市計画税とは
都市計画税とは市街化区域内に土地や家屋を所有している人に課税される地方税のことです。
償却資産は課税対象になりません。
都市計画税は「都市計画事業または土地区画整理事業にかかる費用に充てるための目的税」として課税され、徴収後は道路や公園などの整備等に使用されます。
参考:総務省|都市計画税」
2-1.都市計画税の計算方法
都市計画税の計算方法は、以下のとおりです。
固定資産税課税標準額×制限税率(0.3%以内)
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を所有していて、所在地の地域の税率が0.3%の場合、2,000万円×0.3%=6万円となります。
なお、都市計画税の税率は各自治体が制限税率である0.3%の範囲内で決めることができます。そのため、0.15%のところや2%のところもあり地域によりまちまちです。
都市計画税の税率を調べる際は、所有している土地、家屋がある自治体のホームページで確認すると良いでしょう。
2-2.都市計画税がかからない地域
都市計画税は「市街化調整区域」と「都市計画区域外の地域」では課税されません。
課税されるのは「市街化区域」のみです。
市町村の発展に伴う都市計画事業や土地区画整理事業に充てることを目的としているため、市街化を抑制する地域等では非課税となります。
ただし、市街化区域以外であっても「一部の条例で定める区域」にある土地、家屋に対しては各市町村の判断により課税できます。
3.固定資産税と都市計画税の納付期限と支払い方法
一般的に、固定資産税と都市計画税は一緒に納税します。
納税通知書が届く時期は各市町村により異なりますが、毎年4月~6月に届くのが一般的です。
いずれも、納付方法には一括払いと年4回の分割払いがあり、納付方法や各市町村によって納期限が異なります。
ここでは、納付方法の一例として東京都23区内における令和5年度の納期限を紹介します。以下の表は年4回の分割払いの納期限をまとめたものです。
支払い期間 | 納期限 | |
---|---|---|
第1期 | 令和5年6月1日~6月30日まで | 6月30日まで |
第2期 | 令和5年9月1日~10月2日まで | 10月2日まで |
第3期 | 令和5年12月1日から12月27日まで | 12月27日まで |
第4期 | 令和6年2月1日~2月29まで | 2月29日まで |
固定資産税の納付期限と支払い方法については、下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
4.固定資産税と都市計画税の違い
固定資産税と都市計画税のそれぞれの特徴は、以下表のとおりです。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
種類・目的 | 地方税(普通税) | 地方税(目的税) |
課税対象となる資産 | 土地・家屋および償却資産 | 市街化区域内にある土地および家屋 |
納税義務者 | 毎年1月1日時点に固定資産課税台帳に所有者として登録されている人 | 市街化区域内にある土地・家屋の所有者(毎年1月1日時点に固定資産課税台帳に所有者として登録されている人) |
税率 | 標準税率(1.4%) | 制限税率(0.3%) |
課税標準 | 固定資産税課税標準額 | 固定資産税課税標準額 |
非課税の 範囲 |
国や地方自治体が所有する固定資産 | 国や地方自治体が所有する固定資産 |
免税点 (※1) |
土地:30万円未満 家屋:20万円未満 |
土地:30万円未満 家屋:20万円未満 |
(※1)免税点:課税が免除される金額。固定資産税と都市計画税の場合、課税標準額が土地30万円未満、家屋20万円未満であれば課税されません。
上記の表を見比べると両者の違いは
- 種類・目的
- 課税対象となる資産
- 税率
の3点です。
4‐1.【違い①】種類・目的
固定資産税と都市計画税は、いずれも地方税ですが使用目的が異なります。
固定資産税は税収の使い道が定められていない普通税に対し、都市計画税は使用目的が定められた目的税です。
種類 | 相違点 |
---|---|
固定資産税 | 地方税(普通税) |
都市計画税 | 地方税(目的税) |
都市計画税は、市町村の発展を目的に都市計画事業や土地区画整理事業など一定の事業のために使用されています。
4‐2.【違い②】課税対象となる資産
固定資産税は土地や家屋および償却資産が課税対象です。
全市町村(東京23区の場合は都)が課税主体となり、不動産や償却資産の所有地に関係なく課税されます。
一方、都市計画税は市街化区域内にある土地および家屋が課税対象です。
建物の付属設備や事業用の設備といった償却資産は課税対象ではありません。
種類 | 相違点 |
---|---|
固定資産税 | 土地・家屋および償却資産 |
都市計画税 | 市街化区域内にある土地および家屋 |
また、課税主体は都市計画区域を有する市町村に限られており、所有地が対象地域でなければ都市計画税を徴収されることはありません。
4‐3.【違い③】税率
固定資産税の税率は基本的に「1.4%」となりますが、必要に応じて異なる税率を市町村が設定できます。
一方、都市計画税は「0.3%」の制限税率内であれば各市町村が自由に設定することが可能です。
種類 | 相違点 |
---|---|
固定資産税 | 標準税率(1.4%) |
都市計画税 | 制限税率(0.3%) |
そのため、都市計画税は固定資産税よりも税額が低くなります。
5.固定資産税と都市計画税の軽減措置
固定資産税・都市計画税ともに軽減される特例として、「住宅用地に対する課税標準額の特例」があります。
一戸建てやアパートなど住宅が建っている土地に対して課税標準額を減額することができ、結果的に税負担が軽減されます。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
小規模住宅用地 (住宅用地で住宅1戸につき200㎡以下の部分) |
評価額 × 1/6 | 評価額 × 1/3 |
一般住宅用地 (住宅用地で住宅1戸につき200㎡超の部分) |
評価額 × 1/3 | 評価額 × 2/3 |
参考:総務省|固定資産税制度について」
その他の固定資産税の軽減措置については、下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
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