30坪の土地に建てるアパートの建築費用はいくら?利回りシミュレーションと成功のコツ

30坪の土地活用で「アパート経営は難しそう…」と考える方は意外と多いです。ですが、立地や形状によっては30坪であってもアパート経営は可能です。
この記事では、30坪の土地に建てるアパートの建築費用と、可能な部屋数から利回りのシミュレーションについて解説します。
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この記事の内容
1.【30坪】の土地にはどんなアパートが建てられる?
土地には建築基準法などさまざまな建築規制がかかっているため、建物の規模を無尽蔵に拡大することはできません。建物の規模に影響がある建築規制は主に以下のものがあります。
建ぺい率 | 土地面積に対する建築可能な建物面積(建坪)の割合 |
---|---|
容積率 | 土地面積に対する建築可能な延床面積の割合 |
接道義務 | 4メートル幅以上の道路への出入り口を2メートル以上確保する義務 |
高さ制限 | その土地に建てる建物の高さの上限を決める制限 |
用途地域 | どのエリアにどのような使用目的の建物を、どのくらいの規模で建築可能かなどを制限するもの |
自治体の条例 | ワンルーム規制など |
例えば同じ30坪でも建ぺい率や容積率の高い土地ならアパートを建設できますが、低い土地では戸建て賃貸が現実的な選択となる場合もあります。また、接道義務を満たしていない土地でセットバックが必要となれば、狭小地では活用が難しくなるかもしれません。
また、建ぺい率70%、容積率200%の東京都世田谷区の30坪の土地の場合、3階建てまで建てられるとすると、ワンルームでは6部屋、2DK~3DKでは3部屋が可能です。
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2.【構造別】30坪の土地に建てるアパート建築費用相場
アパートの建築費用は構造によって坪単価相場が変わってきます。アパートの構造に多く採用されるのは、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造です。この中でも、狭小地に建てるアパートの構造は、木造か鉄骨造が多くを占めます。
ここでは、構造別にアパート建築費用についてシミュレーションしてみます。
2-1.アパート建築費の構造別坪単価
アパートの建築費用は、坪単価相場で計算することで概算が可能です。構造別の坪単価相場は以下のようになっています。
構造別 坪単価の相場 | |
---|---|
木造 | 坪あたり:92万~104万円 |
軽量鉄骨造 | 坪あたり:92万~108万円 |
重量鉄骨造 | 坪あたり:110万~140万円 |
鉄筋コンクリート造 | 坪あたり:110万~ |
※HOME4U調べ(成約物件より)
アパート建築費用の概算をするには以下の計算式を用います。
- アパート建築費用=坪単価×延床面積(坪)
30坪規模の土地に建てる場合、木造か軽量鉄骨造が選ばれるのが一般的です。そのため、ほかの構造よりは比較的価格が抑えやすいといえるでしょう。
2-2.アパート建築でかかる費用の内訳
アパート建築時にかかる費用は大きく3つの種類に分けられます。
種類 | 内容 | 割合 |
---|---|---|
本体工事費 | アパートの本体にかかる費用。基礎部分、躯体、外装、内装、住設など。 | 全体の7~8割 |
付帯工事費 | アパート本体にかかわらない工事の費用。地盤改良工事や駐車場などの外構工事、給排水工事など。 | 本体工事費の約2割 |
諸費用 | 工事以外にかかる費用。不動産取得税や登録免許税など税各種、水道負担金、アパートローンの手数料、火災保険料など。 | 本体工事費の約1割 |
これらを合計した額がアパート経営の初期費用となります。
2-3.【30坪】の土地に建てるアパート建築費用シミュレーション
30坪の土地に建ぺい率・容積率いっぱいのアパートを建てた場合を想定して建築費をシミュレーションしてみます。
2-3-1.木造
<設定条件>
- 建ぺい率・容積率:60%・150%
- 建築面積・延床面積:18坪・36坪(2階建て)
- 坪単価:95万円
<建築費シミュレーション>
本体工事費:3,420万円=95万円×36坪
付帯工事費:684万円=3,420万円×20%
諸費用:342万円=3,420万円×10%
初期費用:4,446万円
2-3-2.軽量鉄骨造
<設定条件>
- 建ぺい率・容積率:60%・150%
- 建築面積・延床面積:18坪・45坪(一部3階建て)
- 坪単価:100万円
<建築費シミュレーション>
本体工事費:4,500万円=100万円×45坪
付帯工事費:900万円=4,500万円×20%
諸費用:450万円=4,500万円×10%
初期費用:5,850万円
2-3-3.重量鉄骨造
<設定条件>
- 建ぺい率・容積率:80%・300%
- 建築面積・延床面積:24坪・90坪(4階建て・オーバーハング)
- 坪単価:110万円
<建築費シミュレーション>
本体工事費:9,900万円=110万円×90坪
付帯工事費:1,980万円=9,900万円×20%
諸費用:990万円=9,900万円×10%
初期費用:1億2,870万円
アパートの建築費については、以下の動画や関連記事も併せてご確認ください
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2-4.自己資金orローン?建築費の準備方法
建築費のシミュレーションを確認すると、想像より予算が必要なことに驚く方もいらっしゃるかもしれません。ただ、実際には自己資金のみでアパート経営を始めるケースは珍しく、アパートローンを利用する場合がほとんどとなります。
フルローンが認められることは現在はほぼありませんが、自己資金の目安は2割。3割あれば余裕のある経営となる可能性が高いでしょう。
3.【30坪】の土地に建てるアパートの間取り例と利回りシミュレーション
30坪で可能なアパート経営の規模がわかったところで、具体的な間取り例と間取り例に基づく利回りのシミュレーションをしてみます。
同時に検討したい賃貸併用住宅の間取り例も紹介します。
3-1.木造2階建てアパート
木造は、狭小地や変形地の建物に向いている構造です。建築費用をもっとも抑えられる構造でもあります。木造2階建てアパートのシミュレーションは以下のとおりです。
<設定条件>
- 木造2階建て
- 1R×4部屋
- 家賃収入6万円/戸
- 延床面積:36坪


<利回りシミュレーション>
本体工事費:3,420万円=95万円×36坪
付帯工事費:684万円=3,420万円×20%
諸費用:342万円=3,420万円×10%
総費用:4,446万円
家賃収入:288万円=6万円×4戸×12ヶ月
経費:57万6,000円=288万円×20%
利回り:約5%=(288万円-57万6,000円)÷4,446万円
3-2.木造3階建てアパート(木3共)
木造の3階建てアパートは、木3共と呼ばれています。木造3階建て共同住宅の略称で、建築規制の緩和措置が受けられます。
<設定条件>
- 木造3階建て
- 1R×5部屋
- 延床面積:38坪
- 家賃収入:7万円/戸



<利回りシミュレーション>
本体工事費:3,800万円=100万円×38坪
付帯工事費:760万円=3,800万円×20%
諸費用:380万円=3,800万円×10%
総費用:4,940万円
家賃収入:420万円=7万円×5戸×12ヶ月
経費:84万円=420万円×20%
利回り:約8%=(420万円-84万円)÷4,940万円
3-3.軽量鉄骨造3階建てアパート
軽量鉄骨造は、規格化アパートによく用いられる構造です。ローコスト化と工期短縮が可能というメリットがあります。軽量鉄骨造アパートのシミュレーションは以下のとおりです。
<設定条件>
- 軽量鉄骨造3階建て
- 1K×6部屋
- 延床面積:54坪
- 家賃収入:8万円/戸


<利回りシミュレーション>
本体工事費:5,400万円=100万円×54坪
付帯工事費:1,080万円=5,400万円×20%
諸費用:540万円=5,400万円×10%
総費用:7,020万円
家賃収入:576万円=8万円×6戸×12ヶ月
経費:115万2,000円=576万円×20%
利回り:約6.6%=(576万円-115万2,000円)÷7,020万円
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3-4.賃貸併用住宅の場合
賃貸併用住宅は同一の建物の中にオーナー住居と賃貸アパートが共存する建物です。自宅専有面積を建物の50%以上とするとアパートローンより金利が安く、借入期間が長く設定できる住宅ローンを利用できます。賃貸収入を自宅建築のローン返済に充てられることもメリットです。
<設定条件>
- 鉄骨造2階建て
- 1LDK×2部屋+オーナー住戸
- 延床面積:55坪
- 家賃収入:9万円/戸


<利回りシミュレーション>
本体工事費:4,950万円=90万円×55坪
付帯工事費:990万円=4,950万円×20%
諸費用:495万円=4,950万円×10%
総費用:6,435万円
家賃収入:216万円=9万円×2戸×12ヶ月
経費:32万4,000円=216万円×15%
利回り:約2.8%=(216万円-32万4,000円)÷6,435万円
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4.【30坪】のアパート経営を成功させるポイント
30坪ほどの狭小地にアパートを建てる場合、建築費に大きく影響する坪数をあまり確保できないことから建築費は比較的抑えられます。
アパート経営は建物を建てて始める投資であり、成功の秘訣は建築時に多く潜んでいます。本章では、30坪程度の狭小アパートでの成功のポイントをご紹介します。
4-1.適切な構造を選ぶ
アパートの構造として選ばれるのは主に、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3種類です。ただし、狭小アパートの場合に鉄筋コンクリート造が選択されることはまれと考えてよいでしょう。
鉄筋コンクリート造は建築坪単価も高めで堅牢であることから、中高層マンションのような負荷が大きい建物に向いています。
30坪程度の土地に建てるなら変形地にも対応できる木造を選び、敷地でとれる最大面積を確保すれば、建築費を抑えられるうえに、収益性も確保できます。
また、木3共(木造3階建て共同住宅)の規制緩和の下では、木造でも3階建てのアパートが建てられます。
4-2.立地にあった間取りにする
狭小地に建てるアパートとなると3階建てアパートを検討するケースも多いでしょう。狭小地の3階建てアパートの場合、多くでエレベーターは設置しません。設置場所で居住空間が狭められることや、設置費用や維持費がかかることが理由です。
エレベーターのない3階建ての場合、3階部分の間取りは若年層にニーズがあるワンルームタイプが最適です。
しかし、周辺が閑静な住宅地などの場合は、ファミリー層の需要しか見込めないこともあります。そうした場合には、常に空室リスクに経営を脅かされる可能性が出てくるかもしれません。
建築計画時にはエリアニーズをしっかり把握したうえで、間取りを決めるのが賢明です。
4-3.差別化を図るポイントを作る
アパート経営は典型的な立地商売です。同じエリアに点在する競合アパートは同一ニーズを反映させていることからどれも同じような間取り、特徴になっているかもしれません。
将来的に築年数が経過したり、供給数が増えたりすると競合の中で選ばれる物件となるのが難しくなる可能性があります。経営を安定化するには、競合と差が出せる何かをもつことも有効です。
差別化は、建築時に導入すれば容易にできることがたくさんあります。例えば、セキュリティ面での設備投資やペットに優しい設備を設けるなどは後にリフォームするよりも手間がなく、差別化が図れるでしょう。
4-4.シンプルな意匠にする
差別化が経営安定の秘訣となる一方で、シンプルな意匠にすることもまた、入居者を集めるうえで有効な手段となります。
インテリアの好みは千差万別です。箱である部屋がシンプルなつくりのほうが、さまざまなインテリアデザインを楽しめます。そのため、賃貸の部屋はシンプルに、間取りもシンプルにすると入居者を集めやすくなるでしょう。
設備のグレードを下げることも建築費を抑える方法として有効です。戸数を減らす手段ではその後の収益に影響しますが、設備のグレードを下げるだけであれば、劇的に建築費用を減らせないまでもある程度負担を軽減することはできます。
例えば、和室を設けている場合、通常の住居に入れるグレードの半分程度の畳で十分といわれています。賃貸住戸の場合、入退室が定期的にあることで適切な時期に畳表の張り替え等ができ、安いものを選んでも長く維持することが可能だからです。
4-5.ハウスメーカーのプランを比較検討する
狭小地にアパートを建てる場合、設計の難易度は上がります。また、収益性を最大限確保する方法も立地によって異なり、建築前の調査の重要度も上がるものです。
難題が多い狭小地のアパートでは、さまざまなプランを比較検討することが最良プランを見つけるカギとなります。また、ハウスメーカーによって得意とする構造や意匠も異なるため、比較することで最適なハウスメーカーを選べます。
ハウスメーカー選びで活用したいのが「HOME4U 土地活用」です。プラン請求が可能な建築会社・ハウスメーカーは多くが大手であり、経営開始後のサポート体制を整えている企業も多くあります。以下のボタンより、ぜひご利用ください。
アパート建築費は構造別の坪単価相場で建築費が概算できます。延床面積と構造をもとに計算すると、初期費用の一例は以下の通りです。
- 木造(36坪):4,446万円
- 軽量鉄骨造(45坪):5,850万円
- 重量鉄骨造(90坪):1億2,870万円
詳しくは「【構造別】30坪の土地に建てるアパート建築費用相場」で解説しています。
30坪のアパート経営を成功させるには以下のような建築時のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 適切な構造を選ぶ
- 立地に合った間取りにする
- 差別化を図るポイントを作る
- シンプルな意匠にする
- ハウスメーカーのプランを比較検討する
詳しくは「【30坪】のアパート経営を成功させるポイント」で解説しています。
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