【詳しく解説】3階建てアパートの建築費は高い?向いている土地と経営の注意点

アパート建築の選択肢として最初に悩むのは規模ではないでしょうか。高い収益性を求めて3階建てアパートにしようと考え、建築費がどのくらいになるのか気になる方も多いかもしれません。
3階建てアパートは耐火建築物として耐火性能が求められるため、建築費は2階建てより高額になる傾向です。
本記事では、3階建てアパートについて建築費はいくらかを詳しく解説します。
建築費を抑えるコツのほか、気を付けたい3階建てアパートの建築規制、経営時の注意点にも触れている内容です。3階建てアパート建築の参考として、ぜひご一読ください。
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Contents
1.3階建てアパートの建築費の相場
3階建てアパートはフロア数以外にも2階建てアパートと異なる特徴があり、その特徴が建築費に影響を及ぼしています。ここでは、3階建てアパートの建築費の相場と内訳について詳しく解説します。
1-1.3階建てアパートが割高になる理由
共同住宅は3階建て以上にすると、耐火建築物として構造計算が義務付けられます。また、耐火構造にするには使用する建材にも耐火性能が求められるため、これらが影響して建築費は割高になります。
3階建てアパートの建築費に影響がある理由は以下の3つです。
- 構造計算が必要
- 建材に耐火性能が求められる
- 防火設備の設置が必要
2階建てアパートの場合、メーカー独自基準などで実施していない限り、重視されないポイントです。
1-2.構造別単価相場
3階建てアパートは、構造によって建築坪単価の相場が変わります。以下にまとめました。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|
80万~100万円 | 軽量鉄骨:90万~105万円 重量鉄骨:90万~120万円 |
100万~120万円 |
※HOME4U調べ
3階建てアパートの建築坪単価は2階建てアパートより高くなる傾向です。
3階建てアパートは耐火構造であることが求められるため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造を選択するのが一般的です。ただし、木造であっても一定の条件を満たせば建築できます。
1-3.付帯工事と諸費用
アパート建築には建物の建築費用の他にも付帯工事費やさまざまな手続きにかかわる費用がかかります。
付帯工事費は以下のような項目です。
- 外構工事費
- 地盤改良工事費
- 整地工事費
- 給排水工事・ガス引き込み工事費
- 仮設工事費
ハウスメーカーの中にはこうした費用も建築費の一部として組み込んでいる場合もあります。
諸費用は、火災保険の保険料や登録免許税、専門家に依頼した場合の報酬などにかかるお金です。一般的に本体工事費の5~10%とされています。
2.3階建てアパートの間取り例と建築費シミュレーション
構造別に3階建てアパートの建築費をシミュレーションしてみます。併せて間取り事例も紹介します。
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2-1.木造3階建てアパート
木造で3階建てアパートを建てる場合、木3共という建築規制の規制緩和措置がとれます。木造は、狭小地や変形地でのアパート建築にも柔軟に対応が可能です。
<設定条件>
- 木造3階建て
- 1K×2部屋・1LDK×1部屋
- 延床面積:42坪



<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:3,570万円=85万円×42坪
- 諸費用:357万円=3,570万円×10%
- 付帯工事費:589万500円=(3,570万円+357万円)×15%
- 総費用:4,516万500円
2-2.軽量鉄骨造3階建てアパート
軽量鉄骨造は、多くのハウスメーカーが規格化アパートとしてシリーズ化しています。耐久性アップとローコスト化が図れる構造です。
<設定条件>
- 軽量鉄骨造3階建て
- 1DK×1部屋・1LDK×2部屋
- 延床面積:33坪



<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:2,970万円=90万円×33坪
- 諸費用:297万円=2,970万円×10%
- 付帯工事費:490万500円=(2,970万円+297万円)×15%
- 総費用:4,049万500円
2-3.鉄筋コンクリート造3階建てアパート
ハウスメーカーの中には堅牢な造りの鉄筋コンクリート造アパート建築を得意とするところもあります。比較的大きな規模のアパートで採用される構造です。1階部分で貸店舗経営をできるなど、広い空間どりが可能です。
<設定条件>
- 鉄筋コンクリート造3階建て
- 貸店舗×1・1DK×1部屋・1LDK×1部屋・3LDK×1部屋
- 延床面積:60坪



<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:6,300万円=105万円×60坪
- 諸費用:630万円=6,300万円×10%
- 付帯工事費:1,039万5,000円=(6,300万円+630万円)×15%
- 総費用:7,969万5,000円
3.3階建てアパートの建築費を抑える方法
3階建てアパートは2階建てアパートに比べ建築費が高額になりがちです。しかし、ポイントを押さえることでアパート建築のローコスト化も図れます。ここでは、建築費を抑えるコツを紹介します。
3-1.規格化アパートで建てる
大手ハウスメーカーは部材を工場で製作し、現地で組み立てるユニット工法を採用した規格化アパートブランドをもっていることがあります。ユニット工法は、品質が一定保たれる、工期の短縮につながる他、最大のメリットはローコスト化できることです。
仕上げ材や設備の仕様の選択肢が絞られることで、ローコスト化を実現しています。
3階建てアパートも規格化アパートは多数あります。多い構造は鉄骨造です。変形地や狭小地などでは対応していない場合もあるので、事前に確認をおススメします。
3-2.ハウスメーカーで設計施工一貫方式を選ぶ
ハウスメーカーの多くは自社の設計部門があり、施工する物件は設計から担当するのが一般的です。これを設計施工一貫方式と呼びます。
設計施工一貫方式は、設計会社などに設計のみを依頼する分離方式に比べ、設計料が著しくローコストで済むことが特徴です。分離方式では建築費の7~10%の設計料がかかるのに対し、一貫方式では1~3%で済みます。
特に、3階建ての設計は構造計算などの手間もかかるため、設計料は高くなりがちなので、その差は大きくなるでしょう。
3-3.ハウスメーカーを比較検討する
アパート建築の際には、複数の会社の建築プランを比較検討するのが定石です。アパート建築費の削減にもつながります。
ハウスメーカーは、それぞれ得意とする構造やプランニングがあります。コストカットに関しても得意とする構造であれば、どの部分を削るのが効果的かアドバイスを得られることもあるでしょう。
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4.3階建てアパートの建築規制
アパートなど共同住宅を3階以上の規模で建てる場合、建物は耐火建築物としての基準をクリアしている必要があります。3階からの避難は時間がかかることから、こうした措置がとられています。
耐火建築物とは、柱や壁面、屋根などの主要構造部と各戸の開口部の耐火性を一定基準以上満たしている建物のことです。
3階建てアパートは火災時に延焼を防ぎ、一定時間倒壊しない性能が求められます。したがって、構造は鉄骨造、鉄筋コンクリート造が選ばれるのが一般的です。
木造の共同住宅の場合、条件を満たすことで3階建てにできます。
◆コラム◆木3共の建築規制緩和
木造の場合、「木3共仕様」の条件を満たすことで3階建てを建てられます。
「木3共」とは「木造3階建て共同住宅」の略称で、敷地の避難経路などを確保した上で準耐火建築物仕様によって建てられたアパートのことです。つまり、一定の条件を満たせば、耐火建築物でなくても建てられる緩和措置になっています。
木3共での建築規制緩和を適用させるには、土地の条件と建物の条件があり、以下のような項目を満たす必要があります。
<土地の条件>
- 防火地域以外であること
- 隣の敷地と建物の間を3メートルあけている
<建物の条件>
- 階数が3で、3階すべてが共同住宅として供されている
- 構造が1時間火にさらされても遮煙性、遮熱性を維持できる
- 技術的基準に適合した構造
- 避難に利用できるバルコニーが各戸に設けられている
- 3階各戸の扉や窓部分に防火設備が使われている(準防火地域)
木3共は、他の構造に比べ安価に建てられるメリットがありますが、対応している建築会社は限られます。
5.3階建てアパート建築に向いている土地
3階建てアパートは高さがあるため、どの土地にでも建てられるものではありません。日陰規制などを問題なくクリアするには一定以上の広さも求められます。
ここでは、3階建てアパート建築に向いている土地を紹介します。
5-1.容積率150%以上
土地には建てられる建物規模の上限が設定されています。建坪の上限が決まる建ぺい率と延床面積の上限が決まる容積率で示されるものです。
3階建ての場合、チェックが必要となるのは主に容積率のほうで、150%以上の容積率であることが望ましいでしょう。60坪の土地であれば、容積率150%で延床面積90坪の建物が建築可能です。
建て替えの場合、周辺エリアの環境変化によって以前よりも建ぺい率・容積率が上がっていることがあります。ニーズがあるエリアであれば、3階建てを建て収益を大きく伸ばすことも可能です。
5-2.高さ制限が10メートル以上
3階建てアパートの高さはおおよそ10メートル前後です。
建築基準法に基づき第1種、第2種低層住居専用地域では、建物の高さは10、12メートル以内と制限されています。また、建物の高さ制限にはこれだけでなく、周辺への日陰の影響を限度内にとどめる斜線制限や日影規制によっても高さが制限されます。
斜線制限や日影規制に関しては、複雑な計算が必要です。3階建てが建つかどうかはハウスメーカーに調査を依頼するとよいでしょう。
5-3.若年層の需要があるエリア
3階建てアパートは、多くのケースでエレベーターを設置しません。設置費用が高額になるだけでなく、メンテナンスにも費用がかかるためです。エレベーターがなければ、入居者は階段で自室まで上がるしかありません。3階の居室は高齢者やベビーカーを利用するファミリー層には不向きといえるでしょう。
立地が学生街や単身若年層が多いエリアであれば、3階であっても日当たりがよいなどの理由もあって入居者は見つけやすくなります。立地に若年層ニーズがある場合は、3階が貸しにくいこともないため3階建てでも空室リスクは少なく済むでしょう。
6.3階建てアパート経営の3つの注意点
3階建てアパートは収益力の拡大を期待できる一方、リスクも大きくなることもあります。ここでは、3階建てアパートの順調経営のために建築時に注意しておきたいポイントを3つ紹介します。
6-1.エリアのニーズを見極める
3階建てアパートの場合、3階部分の入居者が決まりにくい特徴があります。この特徴は、特にファミリー向けの物件で顕著です。
立地エリアのニーズがファミリー向け中心であれば3階のみを単身若年層向け物件にする、単身若年層にニーズがあると判断できれば全体を単身者向けの間取りにするのもよいでしょう。
アパート経営の大敵は空室リスクです。空室リスクを最小限とするには、立地に合った間取りを選択することがもっとも重要になってきます。エリアニーズの調査は、ハウスメーカーの力を借りるとスムーズです。
6-2.長期的な経営プランをしっかり検討する
3階建てアパートは耐火性能や堅牢性が求められることから、建築費は高くなりがちです。多くの場合でアパートローンを利用しますが、返済は長期にわたります。返済プランをしっかり立てておかないと、何か問題に見舞われたときに対処できるだけの体力がないということになりかねません。
アパートローンの返済をしながら体力をつけるためには、長期的な経営プランを立てておくことが重要です。経営プランは、一括プラン請求サービスからの申し込みでハウスメーカーから手に入れることができます。
6-3.3階建てアパートの実績があるハウスメーカーを選ぶ
3階建てアパートはどの構造で建てても規模が大きくなり、経営の難易度が上がります。ハウスメーカーでは、経営のサポート体制が整っている場合も多くあるため、3階建てアパートの実績が豊富な企業を選択すると安心です。
また、木造3階建て共同住宅は、規制緩和のための規定が細かく設定されているため、木3共の建築に慣れている企業を選んだほうがよいでしょう。
アパートを3階建てにするには構造計算が伴います。構造計算はできるのは有資格者のみであることにも注意が必要です。
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7.3階建てアパートの建築費はハウスメーカーのプラン比較が重要
3階建てアパートは規模が大きくなることで、できることも増えます。
しかし、どの方向性が土地に合っているのかを一人で決めるのは難しいものです。また、ハウスメーカーはそれぞれ得意とする構造、プランニングをもっているため、どこが最適なパートナーになるかは比較しないと決められません。
そこで活用したいのが「HOME4U 土地活用」です。希望や必要事項をフォームから送れば、最大10社のハウスメーカー渾身の建築プランを手に入れられます。
また、「HOME4U 土地活用」参画の建築会社・ハウスメーカーは多くが経営開始後のサポート体制を整えているのも特徴です。
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この記事のポイント まとめ
アパート建築費は構造別に坪単価の相場があります。3階建てアパートの建築費相場は2階建てアパートより割高です。
- 木造:80万~100万円
- 鉄骨造:90万~120万円
- 鉄筋コンクリート造:100万~120万円
詳しくは「3階建てアパートの建築費の相場」で解説しています。
3階建てアパートを建てる際、以下のような3つのポイントを押さえると建築費を抑えられます。
- 規格化アパートで建てる
- ハウスメーカーで設計施工一貫方式を選ぶ
- ハウスメーカーを比較検討する
それぞれの手法について「3階建てアパートの建築費を抑える方法」でご確認ください。
3階建てアパートに向いている土地には以下のような特徴があります。
- 容積率が150%以上
- 高さ制限が10メートル以上
- 若年層の需要があるエリア
詳しくは「3階建てアパート建築に向いている土地」で解説しています。
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