【詳しく解説】3階建てアパートの建築費はいくら?適している土地と初期費用を抑える方法
アパート建築の選択肢として、最初に悩むのは規模ではないでしょうか。高い収益性を求めて3階建てアパートにしようと考えると、建築費がどのくらいになるのか気になるところです。
3階建てアパートは耐火建築物としての耐火性能が求められるため、建築費は2階建てアパートよりも高額になるのが相場です。
本記事では、3階建てアパートの建築費の相場や、建築費を抑えるコツ、気をつけたい建築規制や注意点について解説します。
なお、もっと簡単に3階建てアパートの建築費が知りたい方は、以下のボタンから建築プランの請求ができますので、ぜひご利用ください。
この記事の内容
1.【3階建てアパート】の建築費の相場
3階建てアパートの建築費は、坪単価で木造が80万~100万円、鉄骨造が90万~120万円、RC造(鉄筋コンクリート)が100万~120万円ほどです。
50坪(3階建てで合計150坪)のアパートでいうと、建築費の相場は木造で1億2千万円~1億5千万円、鉄骨造で1億3.5千万円~1億8千万円、RC造で1億5千万円~1億8千万円となります。
2階建てアパートよりも坪単価が高くなるため、3階建てアパートの建築費がより大きくなります。
以下は、2階建てと3階建てのアパート建築費の坪単価相場です。
アパート構造 | 2階建て | 3階建て |
---|---|---|
木造 | 77万円~100万円 | 80万円~100万円 |
鉄骨造 | 90万円~120万円 | 軽量鉄骨:90万円~105万円 重量鉄骨:90万円~120万円 |
RC造(鉄筋コンクリート) | 90万円~120万円 | 100万円~120万円 |
※HOME4U調べ
一階部分の面積50坪のアパートを立てるとして、建築価格の相場を比較してみましょう。
計算は、『坪単価 × 50坪 × 階数』で行います。
アパート構造 | 2階建て | 3階建て |
---|---|---|
木造 | 7,700万円~1億円 | 1億2,000万円~1億5,000万円 |
鉄骨造 | 9,000万円~1億2,000万円 | 軽量鉄骨:1億3,500万円~1億5,750万円 重量鉄骨:1億3,500万円~1億8,000万円 |
RC造(鉄筋コンクリート) | 9,000万円~1億2,000万円 | 1億5,000万円~1億8,000万円 |
3章で詳しく解説しますが、3階建てアパートは耐火構造が必要となるため、鉄骨造やRC造がよく選ばれる傾向が多く、2階建てアパートよりも坪単価が割高になります。
アパートの建築費については、以下の動画や関連記事も併せてご確認ください
また、以下のボタンから土地の情報を入力すると、あなたの土地にあったアパートの建築費の見積もりを、最大10社の建築会社から無料で取り寄せることができます。
1-1.付帯工事・諸経費も初期費用
アパート建築には建築費用のほかにも、付帯工事費やさまざまな手続きにかかわる初期費用がかかります。
付帯工事費は以下のような項目です。
- 外構工事費
- 地盤改良工事費
- 整地工事費
- 給排水工事・ガス引き込み工事費
- 仮設工事費
建築会社の中にはこうした費用も建築費の一部として組み込んでいる場合もあります。
諸費用は、火災保険の保険料や登録免許税、専門家に依頼した場合の報酬などにかかるお金です。一般的に本体工事費の5~10%とされています。
1-2. 杭工事など追加費用がかかる場合も
2階建てアパートと3階建てアパートを比較すると、同じ面積の土地に建てるとしたら当然3階建てアパートの方が重量が重くなります。
そのため、建物を支える杭工事が必要になる可能性があります。
杭工事の費用相場は、アパート建築費の10%程となります。
また杭工事の前には、地盤を調査するボーリング工事が必要です。
ボーリング工事の費用相場は、1ポイントあたり50万円程です。
なお、杭工事の必要があるか調べる簡易的な地盤調査が必要な場合は、10万円程度で実施できます。
3階建てに限らず、他の規模・階数のアパート建築費用については、以下の記事でも解説しています。ぜひご参照ください。
2. 【3階建てアパート】の間取り例と建築費シミュレーション
それでは構造別に、3階建てアパートの建築費をシミュレーションしてみましょう。併せて間取りの事例もご紹介します。
なお、所有地に合った3階建てアパートの建築プランと具体的な建築費を知りたい方は、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」を利用して最大10社から無料で建築プランが手に入れられます。
2-1. 木造3階建てアパートの場合
木造で3階建てのアパートを建てる場合、後に詳述する「木3共」という建築規制の規制緩和措置がとれます。木造なら、狭小地や変形地でのアパート建築にも柔軟に対応できます。
<設定条件>
- 木造3階建て
- 1K×2部屋・1LDK×1部屋
- 延べ床面積:42坪
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:3,570万円=85万円×42坪
- 諸費用:357万円=3,570万円×10%
- 付帯工事費:589万500円=(3,570万円+357万円)×15%
- 総費用:4,516万500円
2-2. 軽量鉄骨造3階建てアパートの場合
軽量鉄骨造は、多くの建築会社が規格化し、ブランド化しているアパート構造です。耐久性アップとローコスト化が図れる構造です。
<設定条件>
- 軽量鉄骨造3階建て
- 1DK×1部屋・1LDK×2部屋
- 延べ床面積:33坪
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:2,970万円=90万円×33坪
- 諸費用:297万円=2,970万円×10%
- 付帯工事費:490万500円=(2,970万円+297万円)×15%
- 総費用:4,049万500円
2-3. 鉄筋コンクリート造3階建てアパートの場合
建築会社の中には、鉄筋コンクリート造で堅牢なアパート建築を得意とするところもあります。比較的大きな規模のアパートで採用される構造です。1階部分を貸店舗にして経営できるなど、広い空間どりが可能です。
<設定条件>
- 鉄筋コンクリート造3階建て
- 貸店舗×1・1DK×1部屋・1LDK×1部屋・3LDK×1部屋
- 延べ床面積:60坪
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:6,300万円=105万円×60坪
- 諸費用:630万円=6,300万円×10%
- 付帯工事費:1,039万5,000円=(6,300万円+630万円)×15%
- 総費用:7,969万5,000円
3. 【3階建てアパート】は耐火建築物のため割高になる
共同住宅は3階建て以上にすると、耐火建築物として構造計算が義務付けられます。また、耐火構造にするには使用する建材にも耐火性能が求められるため、建築費は割高になります。
3階建てアパートの建築費が、2階建てアパートに比べて割高になる理由をまとめると、以下の様になります。
- 構造計算が必要
- 建材に耐火性能が求められる
- 防火設備の設置が必要
2階建てアパートの場合では、メーカー独自基準などで実施していない限り、重視されないポイントです。
アパートなど共同住宅を3階以上の規模で建てる場合、建物は耐火建築物としての基準をクリアしている必要があります。災害などが発生した場合、3階からの避難は時間がかかることから、こうした措置がとられています。
耐火建築物とは、柱や壁面、屋根などの主要構造部と各戸の開口部の耐火性を一定基準以上満たしている建物のことです。
3階建てアパートは火災時に延焼を防ぎ、一定の時間は倒壊しない性能が求められます。したがって、構造は鉄骨造、鉄筋コンクリート造が選ばれるのが一般的です。
3-1. 木造で3階建てアパートを建てる場合
木造の共同住宅の場合、「木3共」の条件を満たすことで3階建てにできます。
「木3共」とは「木造3階建て共同住宅」の略称で、敷地の避難経路などを確保した上で準耐火建築物仕様によって建てられたアパートのことです。つまり、一定の適用条件を満たせば、耐火建築物でなくても建てられる建築規制の緩和措置となっています。
「木3共」には、以下のような土地の条件と建物の条件が必要となります。
<土地の条件>
- 防火地域以外であること
- 隣の敷地と建物の間を3メートル空けていること
<建物の条件>
- 階数が3階建てで、そのすべてが共同住宅として供されていること
- 構造が1時間火にさらされても遮煙性、遮熱性を維持できること
- 技術的基準に適合した構造であること
- 避難に利用できるバルコニーが各戸に設けられていること
- 各戸の扉や窓部分に防火設備が使われていること(準防火地域)
木3共は、他の建築構造に比べ安価に建てられるメリットがありますが、対応している建築会社は限らるので注意しましょう。
4. 【3階建てアパート】建築に適している土地
3階建てアパートは高さがあるため、どんな土地でも建てられるものではありません。日陰規制などを問題なくクリアするには一定以上の広さも求められます。
ここでは、3階建てアパート建築に向いている土地をご紹介します。
4-1. 容積率は150%以上
土地には、建てられる建物規模の上限が設定されています。建坪の上限が決まる建ぺい率と延べ床面積の上限が決まる容積率で示されるものです。
3階建ての場合、チェックが必要となるのは主に容積率で、150%以上の容積率であることが望ましいでしょう。60坪の土地であれば、容積率150%で延べ床面積90坪の建物を建てることができます。
ただし、建て替えの場合は、周辺エリアの環境変化によって以前よりも建ぺい率・容積率が上がっていることがあります。ニーズのあるエリアであれば、3階建てに建て替えて収益を大きく伸ばすことも可能です。
4-2. 高さは10メートル/12メートル以内
3階建てアパートの高さはおおよそ10メートルもしくは12メートル以内です。
建築基準法に基づき第1種・第2種低層住居専用地域では、建物の高さは10メートル以内もしくは12メートル以内と制限されています。また、建物の高さ制限にはこれだけでなく、周辺への日陰の影響を限度内にとどめる斜線制限や日影規制によっても高さが制限されます。
斜線制限や日影規制に関しては、複雑な計算が必要です。3階建てアパートが建てられるかどうか、建築会社に調査を依頼すると良いでしょう。
4-3. 若年層の需要があるエリア
3階建てアパートでは、エレベーターを設置しないケースがほとんどです。設置の費用が高額になるだけでなく、メンテナンスにも費用がかかるためです。エレベーターがなければ、入居者は自室との行き来を階段で昇り降りするしかありません。そのため、3階の居室は高齢者やベビーカーを利用するファミリー層には不向きといえるでしょう。
立地が学生街や単身若年層が多いエリアであれば、3階であっても日当たりが良いなどの理由もあって入居者は見つけやすくなります。立地に若年層ニーズがある場合は、3階が貸しにくいこともないため3階建てでも空室リスクは少なく済むでしょう。
5. 【3階建てアパート】建築の初期費用を抑える方法
3階建てアパートは、2階建てアパートに比べて建築費が高額になりがちです。しかし、ポイントを押さえることでアパート建築のローコスト化が図れます。ここでは3階建てアパートの建築費を抑えるコツをご紹介します。
なお、アパート建築のローコスト化については、以下の記事でも解説しています。
5-1. 規格化されたユニット工法にする
大手建築会社では、規格化した建築部材を工場で製作し、現地で組み立てるユニット工法によるアパートブランドを展開していることがあります。ユニット工法のメリットは、品質が一定に保たれ、工期の短縮につながり、ローコスト化できることです。
仕上げ材や設備の仕様などの選択肢は絞られますが、ローコスト化は魅力です。
3階建てアパートにも鉄骨造で規格化したアパートブランドは多数あります。ただし、変形地や狭小地などには対応していない場合もあるので、事前に確認することをおすすめします。
5-2. 設計施工一貫方式を選ぶ
建築会社の多くには自社の設計部門があり、施工する物件は設計から担当するのが一般的です。これを設計施工一貫方式と呼びます。
設計施工一貫方式は、設計会社などに設計のみを依頼する分離方式に比べ、設計料が著しくローコストで済むことが特徴です。分離方式では建築費の7~10%の設計料がかかるのに対し、一貫方式では1~3%で済みます。
特に、3階建てのアパート設計では構造計算などの手間もかかるため、設計料は高くなりがちなので、その差は大きいでしょう。
5-3. 建築会社を比較検討する
アパート建築の際には、複数の会社の建築プランを比較検討すれば、アパート建築費の削減にもつながります。
建築会社には、それぞれ得意とする建築構造やプランニングがあります。コストカットに関しても得意とするアパート構造であれば、どの部分を削るのが効果的なアドバイスを得られます。
アパート建築プランの比較検討には、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」をぜひご活用ください。建築費のシミュレーションを含むプランを最大10社から取り寄せて、比較検討することができます。
6. 【3階建てアパート】経営の注意点
3階建てアパートは、高い収益力を期待できる一方、リスクも大きくなることもあります。ここでは、3階建てアパートが順調に経営できるために、建築時から注意しておきたいポイントを3つご紹介します。
6-1. エリアのニーズを見極める
3階建てアパートの場合、3階部分の入居者が決まりにくいという傾向があります。特にファミリー向けの物件で顕著です。
立地エリアのニーズがファミリー向け中心であれば、3階のみを単身若年層向け物件にすることも検討しましょう。あるいは単身若年層にニーズがあるエリアと判断できれば、全体を単身者向けの間取りにするのも良いでしょう。
アパート経営の大敵は空室リスクです。空室リスクを最小限とするには、立地に合った間取りを選択することがもっとも重要です。エリアのニーズを調査するには、建築会社の力を借りるとスムーズです。
6-2. 長期的な経営プランを立てる
3階建てアパートは耐火性能や堅牢性が求められることから、建築費は高くなりがちです。多くの場合でアパートローンを利用しますが、返済は長期にわたります。返済プランをしっかり立て、何か問題に見舞われたときに対処できるだけの体力が必要です。
アパートローンの返済をしながら体力をつけるためには、長期的な経営プランを立てておくことが重要です。アパート経営のプランも、一括プラン請求サービスからのお申し込みで建築会社から手に入れることができます。
6-3. 3階建てアパートの実績がある建築会社を選ぶ
3階建てアパートはどの建築構造で建てても規模が大きくなり、経営の難易度が上がります。そのため、建築会社には3階建てアパート経営のサポート体制が整っている実績豊富な企業を選択すると安心です。
また、木造3階建て共同住宅は、規制緩和のための規定が細かく設定されているため、木3共の建築に慣れている企業を選んだ方がよいでしょう。
アパートを3階建てにするには構造計算が伴います。構造計算はできるのは有資格者のみであることにも注意が必要です。
3階建てアパートの建築を相談するには、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」を利用するのが便利です。ひと手間で最大10社の建築会社から建築プランを手に入れられます。
7. 【3階建てアパート】建築費はプラン比較が重要
3階建てアパートは、2階建てアパートに比べて規模が大きいため、高い収益性が期待できます。しかし、土地が3階建てアパートに合っているのかを一人で判断するのは、難しいことです。
また、建築会社にはそれぞれ得意とする建築構造などがあるため、どこの会社が最適なパートナーか決めにくいでしょう。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」は、土地の情報などを入力するだけで、最大10社の建築会社から3階建てアパートの建築プランを手に入れられます。
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アパート建築費は構造別に坪単価の相場があります。3階建てアパートの建築費相場は2階建てアパートより割高です。
- 木造:80万~100万円
- 鉄骨造:90万~120万円
- 鉄筋コンクリート造:100万~120万円
詳しくは「3階建てアパートの建築費の相場」で解説しています。
3階建てアパートを建てる際、以下のような3つのポイントを押さえると建築費を抑えられます。
- 規格化アパートで建てる
- 建築会社で設計施工一貫方式を選ぶ
- 建築会社のプランを比較検討する
それぞれの手法について「3階建てアパートの初期費用を抑える方法」でご確認ください。
3階建てアパートに向いている土地には以下のような特徴があります。
- 容積率が150%以上
- 高さ制限が10メートル/12メートル以内
- 若年層の需要があるエリア
詳しくは「3階建てアパート建築に適している土地」で解説しています。
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