家賃収入を得る7つのデメリットとは?賃貸経営で失敗しないポイントまとめ
賃貸経営をして家賃収入を得てみたいけれども、新しく収入得ることによって何かデメリットもあるのではないかと不安に思うことはありませんか?
今回は、初めての不動産経営を検討中の方向けに、家賃収入が入ることによるデメリットと事前にできる対策、そもそもデメリットが起きないようにするための注意点などをまとめています。
1.家賃収入を得る7つのデメリットと事前対策
土地活用や不動産投資による賃貸経営をはじめると、長期安定収入を得やすくなる半面、家賃収入があることによって今までにはなかったことが起こります。
本章では、家賃収入を得たことによって起きる可能性のあるデメリットと、その事前対応策を7つにまとめました。
- 初期費用によって現金が減る
- 経営をしなければならない
- 賃貸経営にはリスクがある
- 支払う税金が増える
- 資産価値が下がる可能性がある
- 資産価値が下がる可能性がある
- 年金対策はサポート程度
1-1.初期費用によって現金が減る
家賃収入を得るためには、人に貸すための物件が必要です。一般的な不動産投資では物件を購入し、土地活用の場合はアパートやマンションを建てる必要があります。
どちらもローンを組んで購入できますが、融資を受ける際には自己資金が必要になるため、まとまったお金が口座から出ていくことになります。
一般的に不動産を購入するときの自己資金は、購入金額の2~3割程度が必要だと言われています。
たとえば1億円のアパート建築であれば自己資金は2,000~3,000万円。5,000万円のマンション購入であれば、1,000~1,500万円の資金準備が必要です。これだけのまとまった金額が口座から一度になくなることを想像すると、不安に思う方も多くなります。
対策
土地活用でも不動産投資でも、賃貸経営は人に貸すことを前提にした物件を入手し、入居者からの賃料を得て収入にします。
口座から大きく出ていくお金は、借入金額を少なくし毎月の融資返済負担を軽くすることが目的であり、無駄使いをしているわけではありません。
毎月のローン返済には入居者の家賃が充当されますので、大きく思える融資額も支払いは入居者がしてくれることになります。
そのため、不動産経営がスタートすればオーナーからそれ以上のまとまったお金が出ていくケースは少なくなります。もし口座資金を減らしたくないという理由で、初期費用を少なくしてしまうと、融資額が増えてしまう分、金利も高くなり総返済額も増えてしまいます。
初期費用が何のためにあるのかをよく理解しておくことで、家賃収入への理解も深まります。ただし、ローン負担を軽くしたいために、銀行口座が空っぽになるほど使ってしまうと、今度は自然災害などの突発的な資金が必要なときに支障が出るようになります。
支払い負担と残しておくお金のバランスをよく考え、適切な金額を用意するようにしてください。
1-2.経営をしなければならない
賃貸経営が始まると誰でも経営者になります。家賃収入を長期安定して得続けるためには自分で考えて運営をしていく必要があるため、経営者としての勉強や努力は必要です。
賃貸経営をはじめようとすると、自己資金額の準備・金融機関の選定・家賃設定・間取りを決める・外観を決める・管理会社を決める・入居者を決めるなど、判断と決断の連続です。経営者として正しい判断をすればうまくいき、判断を間違えればトラブルが起こる可能性が高くなります。
対策
良い結果を出すためには、たとえ1室だけの経営であっても長期安定的に収入が続くように情報の更新が必要です。そのためには今までしたことのない、不動産・経理・税務・経営などの勉強も積極的にしていく必要があります。
不動産管理会社に業務の多くを委託することができ、管理会社は「管理」を請け負ってくれます。しかし経営判断は常にオーナーに確認する必要があります。
たとえば入居者の審査も管理会社がしてくれますが、最終判断はオーナーの一言で決まります。大きなお金が動く建物のリフォームや修繕判断なども、管理会社から提案はしてくれますが、資金集めと工事の判断はオーナーが行うのです。
このように、賃貸経営の重要な判断を管理会社が代わってくれるわけではないことを理解しておく必要があります。
頼りになる実績の多い不動産管理会社をパートナーにすることによって、経営はしやすくなるため、信頼のおける不動産会社選びもオーナーの仕事といえます。
1-3.経営にはリスクがある
家賃収入は賃貸経営をした結果、手に入る収入です。賃貸経営には、その規模とは関係なく以下のようなさまざまな経営リスクがあります。
- 空室リスク:入居者がつかないことによって家賃収入が発生しない
- 家賃下落リスク:家賃が下がることによって家賃収入が下がる
- 家賃滞納リスク:入居者がいるが賃料を支払ってもらえない
- 老朽化リスク:建物の劣化による修繕費負担が多くなる
- 金利上昇リスク:ローン金利が上がることにより返済費負担が増える
- 災害リスク:自然災害と火事などによる損害がおきる
特に空室リスクは、家賃収入が入らなくなる大きなリスクです。融資を受けている場合は返済原資が入ってこないことになりますので、次の入居者が決まるまでオーナーの持ち出しで返済が続きます。
資金が尽きて返済が滞ってしまうと、最悪の場合は物件そのものを金融機関に差し押さえられ、その上にローンだけが残り借金を支払い続けなければならないケースもあります。
対策
家賃収入に関したネット検索をしていると、メリットに焦点を当てた「誰でもうまくいく」という風潮の記事が目立ちます。
しかし現実の不動産経営には、経営リスクがあることを十分に理解し、スタート前の段階から対策を講じておくことでリスクを最小にする意識が重要です。
経営リスクは、経営している不動産の規模・数・経験に関係なく、不動産経営をする方に一律に起きる可能性のあるものです。そのため成功しているケースを参考にすることで、デメリットの対策ができます。また頼りになる不動産管理会社をパートナーにすることで、一番の懸念点である空室リスクはかなり回避しやすくなります。
1-4.支払う税金も増える
家賃収入が入るようになると、その分個人の年収も上がるため支払う税金も増えます。増えるのは主に所得税と住民税です。一年間の家賃収入の合計額から、必要経費を差し引いた金額が20万円を超えていたら、翌年の春には確定申告をする必要があります。
注意したいのは、入居者から入って来た家賃のすべてが自分の収入になるのではなく、賃貸経営をするために使った費用(必要経費)を支出として差し引いた残りが利益という部分です。
対策
賃貸経営の収入と支出は、家賃収入の中だけで収支バランスを取ります。そして家賃収入の収支の中で利益が出たら、それは所得として確定申告をして所得税を納税しなければなりません。所得税が決まると住民税も自動的に算出されます。
なお、会社員の方は会社が代理で確定申告をしているので、自分で不動産所得の確定申告をする必要があります。
そして日本は累進課税であるため、年収が増えると税率が上がります。たとえば以下の表の中で、今まで給与年収が600万円(C欄)だった方が家賃収入を得たことで年収が上がり700万円(D欄)になると、税率20%から23%にあがる想定となります。
| 区分 | 課税される所得金額 | 税率 |
|---|---|---|
| A | 1,000 ~ 1,949,000円 | 5% |
| B | 1,950,000~ 3,299,000円 | 10% |
| C | 3,300,000~ 6,949,000円 | 20% |
| D | 6,950,000~8,999,000円 | 23% |
| E | 9,000,000~ 17,999,000円 | 33% |
| F | 18,000,000~39,999,000円 | 40% |
| G | 40,000,000円 以上 | 45% |
【参照:国税庁 所得税の税率】
賃貸物件の規模によっては、20%の税率から33%(E欄)にまで上がることがあり、その場合の所得税率は1割も上昇してしまいます。このようなことから、家賃収入が入ると年収はあがりますが、その分税金の支払い額が増えることも理解しておく必要があります。
そのため賃貸経営を始める前に、予想される家賃収入額・必要経費・使える節税対策などをシミュレーションしておき、適切な節税対策を打つ準備が必要です。
そうしておけば、年収が増えたけれども税金支払いが多くて手残りが少ない、といった事態は回避できます。
税額のシミュレーションで困った際は、賃貸経営をはじめる前の段階で借入額・現在の収入・将来の家賃収入予想などをまとめて、自治体の無料税金相談などに行けば節税対策のアドバイスが貰えます。
1-5.資産価値が下がる可能性
不動産は一般的に、新築時をピークに少しずつ経年劣化が進み資産価値は下がっていきます。
建物の老朽化が進むと入居希望者が減り、空室を埋めるために賃料を下げざるを得ないケースも出てきます。
さらに、運営期間が長くなるほど修繕が必要な箇所が増え、費用負担も重くなります。 このように賃料収入が減る一方で修繕費がかさむため、利益を確保しづらくなり、建物の維持管理が後手に回ることも少なくありません。
その結果、物件の魅力や競争力が下がる悪循環に陥るおそれがあるのです。
最終的に売却で利益を得ようとしても、競争力の低い物件は買い手がつきにくいのが現実です。仮に売却できたとしても、修繕費のかかる物件は価格を大きく引き下げられることが多く、手元に残る利益がわずかになるケースもあります。
対策
不動産物件は築年に比例して価値が下がる前提で、経営計画を立てるようにしましょう。
実際の物件価値は、周辺ライバル物件との相対的な関係で決まります。たとえば、近隣に新しい物件が建たなければ、築10年経過しても「比較的新しい物件」として入居者は決まりやすくなります。反対に、次々と新築マンションやアパートが立ち並んでしまうエリアであれば、築浅でも新築には適わなくなります。
このように、物件価値は築年を基準に価値が上下することを頭に入れておけば、どのタイミングで手を入れるべきかなど経営判断がしやすくなります。
所有している土地にアパートを建てる場合は、建物の価値は築年数とともに下がりますが土地自体の価値は基本的に経年しません。そのため、不動産全体の価値が大きく下がりにくい点はメリットです。
ただし相続などで思い入れのある土地では、インフレなどで地価が上昇しても、心理的な理由から売却のチャンスを逃してしまうこともあります。
賃貸経営を始める際は、月々や年ごとの家賃収入だけでなく「最終的にどのように事業を終えるか」までを想定し、複数のシナリオでシミュレーションしておきましょう。あらかじめ試算をしておくことで、チャンスが訪れた際に適切な経営判断がしやすくなります。
1-6.世間のイメージする不労所得とは違う
一般的に「家賃収入=不労所得」というイメージがあるため、一度賃貸経営を始めれば、あとは何もしなくてもお金が入ってくると思っている方は少なくありません。
実際のところ、賃貸経営に関する多くの業務は不動産管理会社に委託できるため、表面的には“手間がかからない”ように見えます。しかし長期的に安定した利益を得るためには、自ら空室リスクを抑え、建物を適切に維持管理し、資金をしっかりと管理する必要があります。
こうした仕組みを整えてはじめて、「更新してもらいやすい経営の基盤」が出来上がります。将来的に本当に“何もしなくてもお金が入る状態”を実現するには、オーナー自身の工夫や努力、そして要所での適切な経営判断が欠かせません。
対策
経営を始めれば、多くの実務を不動産管理会社に任せることができます。しかし管理会社選びを誤れば、空室リスクが高まり、安定収入から遠ざかるおそれもあります。
たとえ優良な管理会社でも、オーナーがまったく関与せずコミュニケーションを取らない状態が続けば、次第に対応の質が下がり、トラブルが起きるまで気づけないこともあるのです。
こうした事態を避けるには、経営を始める前の段階で委託管理費・修繕費・賃料設定・税金対策などを複数のパターンで試算しておくことが大切です。
良いケース・悪いケースの両方を想定することで、どの部分が経営の成否を左右するかが見えてきます。 試算を重ねるうちに、適切に働いてくれる管理会社や、的確なアドバイスを行う税理士、営業力のある不動産管理会社といった“信頼できるパートナー”の存在が不可欠だと実感できるでしょう。同時に、自身にも一定の経営知識がなければ、専門家からの提案を活かしきれないことにも気づくはずです。
このようにシミュレーションを重ねていくと、世間で言われる「不労所得」と、実際の不動産オーナーの姿には大きな違いがあることが分かってきます。
そして、その“現実の姿”こそが、これから賃貸経営を検討している方が目指すべき方向です。
1-7.年金対策はサポート程度
家賃収入を将来の年金代わりにと検討する方も多いですが、家賃収入だけで老後の生活基盤を支えるというのは不安要素が多いと言えます。
家賃収入は入居者あってのものなので、長期安定して入って来ることもあれば、空室が続き収入が減少する可能性があるためです。
1つの物件になるべく長期に更新し続けてもらうためには、入居者にとって無理のない価格設定にする必要がありため、1物件から得られる家賃収入はそう多くはないことを理解する必要があります。
また、家賃収入はまるごと使えるわけではなく、そこから必要経費を差し引いた分が使っても良いお金です。
物件の規模やエリア相場によっては、手元に残るのはお小遣い程度の金額になる可能性もあります。 さらに気を付ければならないのは、老後資金として役に立つ時には、物件の築年も進んでいるという点です。古い物件は修繕費負担が多く、大きな故障による修繕や交換があった場合には収支がマイナスになる年もあります。 このようなことから、家賃収入は年金の代わりではなく、年金のサポート程度にとどめておく方が実際のシニアライフが始まった時に慌てることが少ないと言えます。
対策
老後生活のすべてを家賃収入だけでカバーしようとすると、複数口の家賃収入を見込めるようにするか、1物件の家賃設定が大きなものが必要です。
総務省の調査によれば、65歳以上の夫婦高齢者世帯の消費支出額は月額256,521円(約26万円)となっています。この金額を1室6万円のワンルームマンションで全額カバーしようとすれば、約4室以上が(26÷6万=4.3)必要です。戸建てや広めの物件であれば、1室26万円以上の高額物件となります。
どちらの場合でも入居者がいれば問題がありませんが、退去されてしまうと次の入居者が決まるまで老後の生活資金に影響が出ます。特に戸建などで1物件しかない場合には、退去されてしまうと生活費が0円になってしまいます。
このようなことから家賃収入は老後資金の心強いサポートとして考え、公的年金を主軸としたシニアライフの設計をしておくことを強くおすすめします。
2.家賃収入を得る5つのメリット
家賃収入を得ると、以下のような5つのメリットがあります。賃貸経営のデメリットを理解することによってメリットも理解しやすくなり、土地の利益を最大化できる方法が探しやすくなります。
- 長期安定収入が入る
- 相続税対策ができる
- 節税対策もできる
- メジャーな副業収入である
- 人生の備えにできる
2-1.長期安定収入が入る
賃貸経営は、入居者さえ確保できていれば長期安定的に家賃収入が入り続けます。一般的な更新のタイミングは2年なので、一度入居をしたら次の更新時までの2年間は家賃収入が確保されるケースがほとんどです。
アパートやマンションなどの賃貸物件は入居者にとっての生活ベースになりますので、給与の20~30%程度の金額が想定されます。
このように、景気によって就業状況や経済状況が変わっても変わらずに支払いができること前提に選んでいることが多いため、社会状況が変わっても住み続けてくれる可能性が高いといえます。
2-2.相続税対策ができる
アパートやマンション経営は、適切な時期に始めれば相続税対策になります。
相続が発生すると、現金は口座にある価格通りの評価になりますが、不動産は評価額から大きく減額されます。
そのため同じ1億円相当の資産であっても、現金であれば1億円にまるまるに相続税がかかってしまいますが、あらかじめ1億円で不動産を取得しておけば相続税評価額を大きく減らすことができます。
またアパート経営のために建築費の融資を受けていた場合は、マイナスの遺産として相続税の課税対象額を大きく減らすことができます。
これ以外にも、資産を次の世代に引き継いでいくためのさまざまな優遇制度の適用が可能です。
ただしアパート建築による相続税対策が認められるためには、相続が起きる3年以上前にはアパート経営が始まっている必要があるので、タイミングには注意する必要があります。
2-3.節税対策もできる
賃貸経営をすると、所得税や住民税の節税ができるようになります。アパート経営による家賃収入は不動産収入であり、そこから経費を差し引いたものが不動産所得です。
不動産所得は分離課税といって、ほかの所得とは別に税金の計算をして確定申告で納税する方法を取ります。 そのため家賃収入を得たら、自分で収支をまとめて不動産所得として確定申告をする必要があります。
この時に、会社員や公的年金などの別の収入がある方は、その年収と合算して課税額を決める「損益通算」という方法が適用できます。
たとえば、アパート経営が赤字だった場合には給与や公的年金の収入と合算して全体の所得を圧縮し、所得税額や住民税額を減らすことが可能です。アパート経営でマイナス300万円、給与収入で600万円であれば、以下のような計算になります。
| 区分 | 年収 | 所得税の税率 |
|---|---|---|
| A アパートの赤字 | -300万円 | 0% |
| B 給与収入 | 600万円 | 20% |
| 損益通算をした年収 | A-B=300万円 | 10% |
【参照:国税庁 所得税率から引用】
本来であれば給与収入で20%の税率がかかっていたところに、アパート経営の赤字が損益通算されることにより、このシミュレーションでは年収は300万円になります。
結果、所得税率は20%から10%まで下がり、その税率で出した金額をもとに所得税と住民税が決まります。
また賃貸経営の経費の中でも減価償却費は、大きな節税効果があります。
減価償却費とは、アパートやマンション建築にかかった金額を、法定耐用年数に応じて資産価値を目減りさせていく税務上の計算方法です。帳簿上の赤字であるため、実際の支出を伴わないのに経費計上できます。
法定耐用年数は、木造で22年、鉄筋コンクリート造で47年の長さがありますので、新築で建てた場合は長期間の経費計上ができ所得税と固定資産税の節税に役立ちます。
2-4.メジャーな副業である
賃貸物件の規模や戸数に関係なく、賃貸住宅の管理は不動産管理会社が行うのが一般的です。入居者が決まっても、オーナーが現場に出向く必要がありませんので本業に影響が少ない副業といえます。
最近は若い会社員の方でも、少ない自己資金でワンルームマンションを購入してスタートするなど、賃貸経営はかなりメジャーな副業になってきています。
そのため、世の中に実践者・成功者としてのお手本が数多く存在しています。銀行融資を受ける場合でも、不動産投資用・アパート経営用のパッケージ商品があるのも、職業や年齢の背景を問わずにさまざまな方が参入している証拠です。
ネット・動画・SNS・書籍・雑誌・セミナーなど、土地活用や不動産投資に関した情報チャンネルが多数存在しているので、情報の取捨選択さえ間違えなければ、うまくいっている方のやり方を真似をすることで安全なスタートができます。
2-5.人生の備えにできる
賃貸収入は、物件に入居者が入っている限り収入が発生し続けます。
不動産は築年が古くなっても適切な手入れをしていけば長持ちするため、法定耐用年数が木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年になりますが、それ以上の期間、家賃収入を生み出すことも十分に可能です。
たとえば40歳で賃貸経営をスタートし、必要なメンテナンスをしていけば、木造ならば62歳以上、鉄筋コンクリート造ならば87歳以上になるまで収入が発生し続けます。
この期間、給与収入を得ながら賃貸経営を並行していけば、結婚・離婚・出産・子育て・介護・転職・起業・病気・ケガ・老後生活など、人生の各イベントに、必要なタイミングで必要なだけのお金の準備が行えます。
メンテナンスの費用は家賃収入からカバーできるので、生活には影響のない状態で賃貸経営は続けられます。このように、賃貸経営は息が長いビジネスであるため自分のライフプランに沿った柔軟な活用ができます。
3.家賃収入を得るデメリットを封じる10の事前対策
家賃収入を得ることによって起きる可能性のある、いくつかのデメリットへの事前対策を10にまとめました。
これらの下準備をしっかりしておくことによって、気になっているデメリットが起きる可能性を小さくすることができます。
- ニーズに沿った賃貸物件にする
- ニーズに沿った設備や内装にする
- サブリースはしな
- 良い状態の建物でスタートする
- 自己資金割合を高くする
- 税金と経理の勉強をしておく
- 売却も視野に入れて考える
- 経営シミュレーションを何通りもする
- 人生シミュレーションを何通りもする
- 信頼と実績のある良質なパートナー会社を探す
3-1.ニーズに沿った賃貸物件にする
家賃収入は、入居者が存在する限り発生し続ける収入です。
別の言い方をすると、入居者が付きやすい物件であれば家賃収入が途絶える可能性は低くなります。入居者の途切れないニーズの高い物件とは、駅から近く、生活便利なお店が周囲にあり、相場家賃に準じている物件です。
すべての条件が整わなくても、エリアニーズに沿った物件にすれば入居率は高くなります。
たとえば駅から遠くても、周辺に幼稚園や小学校などがあれば、その周辺には小さな子がいる若いファミリー世帯向けの、少し広めの物件が適しています。
また周辺に似たような条件の物件が多い場合には、室内設備をライバル物件よりも便利なものにし、さらに相場家賃よりも気持ち低めにしておけばお得感から成約につながりやすくなります。
このように、そのエリアで求められている物件を用意することによって入居率はコントロール可能です。
3-2.ニーズに沿った設備や内装にする
入居者に求められている設備や内装にするのも重要です。ニーズに沿った設備は、時代によって少しずつ変わっていきます。
たとえば、数十年前はバストイレ一体型のユニットバスが主流でしたが、2025年時点ではバストイレ別の方がスタンダードです。
また、大気汚染や花粉などの影響もあり、マンションであってもベランダに干すことは少なくなったため、雨の日でも乾燥できる浴室乾燥機能付きのお風呂も強く求められる設備になっています。
防犯の面からだと、オートロックや録画機能付きインターフォンがあればセキュリティ性の高い物件とみなされます。そしてスマホを常時利用することや、在宅勤務が増えたことから無料Wi-Fiがついていることも、スタンダードになりつつあります。
このようなニーズに合った設備や内装は、エリアとターゲット層によって変わります。設備や内装に手を加えるときには、不動産管理会社に相談し、お部屋探しをする方人とって価値を感じる変更点を、一緒に探るようにしてください。
3-3.サブリースをしない
サブリースとは、サブリース運営会社に物件を丸ごと借り上げて経営代行をしてもらい、オーナーが定額家賃をもらう賃貸経営方法です。サブリース運営会社は物件を転貸する形で賃貸経営をするので、オーナーが経営に関わる必要がなくなります。
サブリース会社は、空室・滞納・修理など複数のリスクも盛り込んだ経営計画でオーナーへの支払い割合を決めます。そのためサブリース契約による家賃収入は、自分で経営をする時と比べると少なくなります。
また、経年劣化による修繕箇所が増え始める築10年目以降は、修繕費負担が増えるリスクが盛り込まれるため、さらに手取り額が減ってしまう可能性があります。
サブリースは多くのケースで、オーナー側からは契約解除ができない契約方法になっていることがほとんどです。手取り額に不満があっても、経営内容を開示させることも、経営に口出しすることもできません。
このようなことから、家賃収入を長期間安定して得る方法として、サブリースはあまりおすすめできません。
サブリースをすればオーナーには経営責任がなくなり、物件を維持したままで定額収入が入りますので、とても楽です。しかし、最終的にそれが良い結果になるかどうかは、サブリース会社の経営内容と経営手腕に依存することになります。 また、スタート時から経営を人に任せてしまっているので、何年経過しても、賃貸経営のノウハウが身につかないという点にも注意が必要です。
長期安定した家賃収入を得るためには、人任せにするのではなく、自分で経営する前提で計画を立てるようにしてください。
3-4.良い状態の建物でスタートする
空室や滞納などの家賃収入がゼロになる経営リスクの次に、家賃収入に大きな影響を与えるのが「修繕費」です。
どの不動産でも必ず経年劣化をしますので、いつか必ず修理・修繕・設備交換が必要なタイミングが来ます。一般的な修繕タイミングは、法定耐用年数を過ぎたあたりから増えていきます。
法定耐用年数が過ぎたらすぐに壊れるわけではありませんが、以下が主な設備の耐用年数です。
| 設備の種類 | 耐用年数(目安) |
|---|---|
| 電気機器・ガス機器など、キッチンやバス周りにある設備 | 6年 |
| 冷暖房機器 エアコンや床暖房などの設備 | 6年 |
| 電気設備など配線を含んだもの | 15年 |
| ガス設備・給排水設備 | 15年 |
【参照:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表】
居住中にトラブルが起きると入居者の生活に迷惑がかかり、最悪のケースでは火災や水漏れなどの大きなトラブルにもつながってしまいます。
そのため何もなくても定期点検を行い、適切なタイミングで設備を良好な状態にしておくことが重要です。
新築でスタートした方はしばらくは安心ですが、10年目前後で修繕負担が来ることを前提に資金を用意しておく必要があります。相続などで引き継いだ中古アパートや戸建でスタートさせる方は、点検修理・交換をして、設備に問題が無いことを確認したうえで貸し出すようにしましょう。また外壁などの大掛かりな費用が発生する修繕費用にも注意が必要です。
定期点検とメンテナンスは不動産管理会社の「建物管理」の仕事です。入居者募集や集金などを依頼している不動産会社に相談をすれば、建物と物件管理のメンテナンスプランを作成してもらえます。
3-5.自己資金割合を高くする
相続などで物件を引き継いだ方を除けば、賃貸物件を取得する際にはローンを組むのが一般的です。
土地活用でアパートを建てる場合は「土地を担保にして建築費を融資」してもらい、不動産投資でマンションを購入する場合は「マンションそのものを担保」に融資を受けます。
このとき、金融機関は通常、融資総額の2割程度の自己資金を求めます。
たとえばアパートの建築費が1億円なら、およそ2,000万円の自己資金が必要です。大きな金額ですが、この自己資金があることで借入額を抑えられ、結果的に毎月の返済負担を軽くすることができます。
一方、自己資金の割合が少ないと、金融機関は金利を下げにくくなり、借入総額が増えるため返済額も重くなります。返済原資は入居者からの家賃収入ですが、空室リスクを考慮すれば、返済負担はできるだけ小さい方が長期的に安定した経営をしやすくなります。
もし十分な自己資金を用意できない場合でも、借り入れ自体は可能です。
その際は、経営開始後の家賃収入の一部を返済用に積み立て、繰り上げ返済を行うことで金利負担を徐々に軽減していく方法もあります。
必要な自己資金の額は、担保とする物件の内容や経営計画、金融機関の審査方針によって異なります。自己資金に不安がある場合は、土地活用プランがある程度まとまった段階で、早めに金融機関へ相談してみましょう。
「HOME4U土地活用」の一括プラン請求を利用すれば、借入総額・毎月の返済プランなどを含む具体的な建築プランを、複数の会社から同時に比較できます。資金計画を立てるうえで、有効な判断材料になるでしょう。
3-6.税金と経理の勉強をしておく
家賃収入を得るということは、不動産経営者になるということです。 日々の細かな管理業務は不動産管理会社に任せられますが、経営判断を下すのはオーナー自身です。
そのため、良好な経営を続け安定した家賃収入を得るには、税金や経理の知識を身につけておく必要があります。
もちろん、税金や経理の実務は税理士などの専門家に依頼できます。しかし、専門家の説明内容を理解できなければ、正しい判断を下すことは難しくなります。
少なくとも、税金の仕組みや経理の基礎知識(仕訳など)は、少しずつ学んでおきましょう。
また、同じ賃貸経営でも、住宅ではなくテナント貸しの場合は注意が必要です。
2023年(令和5年)10月1日からインボイス制度が始まり、消費税の納税義務が発生しました。たとえば、飲食店やオフィスなどの「住居以外の賃貸物件」を経営するオーナーは、インボイス登録を行い、確定申告とは別に消費税の申告を行う必要があります。
税金や経理の知識がないまま経営してしまうと、制度を理解しないまま申告を怠り、後から税務署に申告のやり直しや追徴課税を求められるリスクがあります。
さらに注意したいのは、税理士などの専門家は「税金を正しく納めるための専門家」であり、オーナーが依頼しない限り、積極的な節税提案はしてくれないという点です。
オーナー自身が節税対策に意欲的であってこそ、専門家の知識を活かし、適正な節税と円滑な納税が実現します。
このように、家賃収入を安定的に得るためには、税金と経理の基本を理解しておくことが欠かせません。
今では、動画や漫画などでわかりやすく学べる教材も多いため、自分に合った方法で少しずつ知識を身につけていくのがおすすめです。
3-7.売却も視野に入れて考える
土地活用やマンション投資は、いずれも「不動産投資」です。
そのため経営計画を立てる際には、最終的にどのようにして利益を確定させるかという「出口戦略(エグジットプラン)」を考えておくことが大切です。
たとえば、アパート経営であれば、融資完済後の選択肢として次のようなものがあります。
- そのまま経営を継続する
- アパートを土地・建物ごと売却する
- 建物を取り壊して土地だけ売却する
- 新たにアパートを建て替える
- 他の土地活用に切り替える
こうした選択肢の中から、オーナーにとって最も利益の大きい方法を選ぶことが、長期的な資産形成につながります。
相続などで土地を引き継いだオーナーの中には、「売却する」という発想があまりない方もいます。
しかし、資産を最大化するという観点では、条件の良い土地に買い替え、新たな土地活用でより多くの家賃収入を得ることも、有効な出口戦略のひとつです。
また「売却」という選択肢は、経営の出口だけでなく、スタート段階でも検討する価値があります。
複数のプランを比較したうえで、「土地条件が希望の活用に合わない」「利回りが低い」「安定収益が見込めない」といった場合には、思い切って別の土地に買い替えたほうが、結果的に成功しやすいケースもあります。
ハウスメーカーや建築会社の中には、売却や買い替えも含めて柔軟に提案できる企業も多くあります。土地活用プランを検討する際は、そうした視点で相談してみるのもおすすめです。
3-8.経営シミュレーションを何通りもする
賃貸経営は長期間にわたる事業のため、想定外の出来事が起きる可能性も高くなります。たとえば、
- 近年まれな大雨でエリア一帯が浸水した
- 近隣に高層ビルが建ち、日当たりが悪くなった
- 商業施設が撤退して周辺が不便になった
など、オーナーの努力では防げない要因が生じることがあります。こうした場合、修繕費の発生や空室の増加、賃料下落、経費の増加など、経営を圧迫する要素が重なりやすくなります。
このような状況でも、金融機関への返済が滞らないように、複数のシナリオを想定した経営シミュレーションを行うことと事前の対策を立てておくこと重要です。
想定と対策の例としては、
- 自治体の開発計画や災害マップを確認し、エリアのリスクを把握する
- 近隣建物の老朽化や再開発の状況をチェックする
- 家賃収入から返済資金を積み立てておく
といった準備が考えられます。事前に対策を立てておけば、何が起きても「想定の範囲内」として冷静に対応できます。
さらに、融資の返済計画についても一般的には空室率2割で計算されますが、より厳しい条件でも返済が成り立つかをシミュレーションしておくと安心です。最悪のケースを想定しておくことで、万が一のトラブルが起きても経営を安定させやすくなります。
3-9.人生シミュレーションを何通りもする
賃貸経営は長期間に渡る事業です。若いうちに始めても、ローンを払い終えるころには定年が見えてくる年齢になります。そのため、自分のライフイベントの可能性を確認し、経営計画や返済計画と並行して考えておくことが大切です。
たとえば、40歳で親から引き継いだ土地にアパートを建て、25年のローンを組んだ場合、完済時は定年とほぼ同じタイミングになります。その間に起こり得るライフイベントとしては、
- 結婚・離婚・再婚
- 子育て・子どもの進学
- 介護や看取り
- ケガや病気
などが考えられます。
経営計画に無理があると、これらのライフイベントが重なった際に、人生と経営の両方が行き詰まる可能性があります。たとえば、夫婦双方の親の介護と子どもの大学進学が同時期に起こり、アパートに空室が増えてしまった場合、返済や生活費が厳しい状態になることも考えられます。また、中高年になってから賃貸経営を始める場合は、ご自身の相続税対策を含めたシミュレーションも重要です。
このように、賃貸経営を行う際には、人生全般を含めた計画を立て、無理のない経営を心がけることが大切です。結果的に、長期的に安定した経営につながりやすくなります。
3-10.信頼と実績のある良質なパートナー会社を探す
家賃収入を得る代表的な方法はアパート経営ですが、土地の活用方法はそれだけではありません。土地活用を成功させ、長期的に安定した家賃収入を得るためには、土地やエリアの条件に合った方法を見つけることが大切です。
自分一人で考えるよりも、土地活用や不動産経営の知識を持つプロフェッショナルと一緒に検討する方が、より良い答えを見つけやすくなります。家賃収入を得る方法を探す際は、まずご所有の土地や自己資金でどのようなことが可能か、すべての可能性を確認することからスタートしてください。
「HOME4U土地活用」の一括プラン請求を利用すれば、一回の入力で最大10社にプラン請求ができ、とても便利です。作成されるプランはすべてオリジナルで、土地の条件に合わせて設計されています。複数のプランを比較しながら、気になるプランがあれば現地調査を依頼し、より具体的な内容にブラッシュアップすることも可能です。
多くの土地活用や賃貸経営を手掛けているハウスメーカーや建築会社であれば、土地やエリアの特性だけでなく、オーナーの希望するライフスタイルまで踏まえた総合的な提案ができます。信頼と実績のあるパートナーと一緒に進めることで、より安心して長期安定の賃貸経営を目指すことができます。
まとめ
家賃収入を得ることによって起きる、デメリットを気にされている方向けに、具体的なデメリットとその対策をまとめました。また、デメリットはあるものの、家賃収入を得ることには、メリットもたくさんあります。所有している土地や不動産の可能性も含めて、さまざまな土地活用・資金活用方法を、プラン請求で比較しておくと、ご自分にとって納得のいく賃貸経営を選びやすくなります。まずは、土地活用プランを請求し、たくさんのプラン候補を比較してみてください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。


![[19周年]利用者数1,000万人[HOME4U年間利用者数2020年5月現在]](/img/common/header_f1.jpg)










