アパート経営における家賃設定の仕方・設定基準の基礎知識
本記事では、アパート経営において適切な家賃設定ができるように、家賃の決め方や設定基準等を網羅的にまとめました。
この記事を読むと
- 家賃設定の方法
- 家賃金額の設定基準
- 家賃を高めに設定するテクニック
等がわかります。
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1.家賃設定の方法3つ
物件の家賃設定方法には、次の3つがあります。
- 賃貸事例比例法
- 積算法
- 収益分析法
それぞれについて解説していきます。
1-1.賃貸事例比較法
賃貸事例比較法とは、周辺物件の似ている条件の賃貸物件と家賃相場を比較して、家賃を算出する方法です。
アパートの家賃設定をする上でもっともポピュラーな方法で、類似する物件が多いほど、正確に家賃を算出できます。
賃貸事例比較法で家賃を算出する際の条件は、下記の通りです。
- 立地:駅に近いほど家賃が高い
- 築年数:築年数が浅いほど家賃が高い
- 建物構造:鉄筋コンクリート>鉄骨造>木造の順で家賃が高い
- 間取り・階数:面積の広い高層階の方が家賃が高い
- 設備:オートロック・宅配ボックス・浴室乾燥機などの設備があると家賃が高い
そのほか、成約日から日にちが経っている場合、経過時間を加味することもあります。
1-2.積算法
積算法とはアパートの家賃設定でしばしば使われる計算方法で、オーナーの利益を確保できるのがメリットです。
積算法を使った賃料を積算賃料といい、積算賃料は、以下の計算式で求められます。
必要諸経費は、減価償却費・固定資産税・都市計画税・損害保険料・維持管理費・空室等による損失相当額などが含まれます。
1-3.収益分析法
収益分析法は、ホテルや店舗などの事業用物件の家賃算出に多く使われる計算方法で、「その物件を利用した場合に、企業が得られる収益はどれくらいか?」に着目して賃料を設定する方法です。
収益分析法は、おもに借主の利益に着目し、かつ事業用物件に多い賃料算出法なので、アパート経営では参考程度にとどめておきましょう。
家賃設定も「プロ」が的確にアドバイスします!
物件の家賃設定をする際は、プロの意見を聞くのも一つの手です。
これからアパート経営を検討する方は「HOME4U 土地活用」にて家賃収入や収益予想を含めたプランを取り寄せ、比較するのが成功への近道です。
2.家賃設定の目安になる5つの基準
家賃設定の目安になる基準は以下の5つです。
それぞれ競合物件よりも優位である程、家賃を高めに設定できます。
基準 | 競合より優位であるべきポイント |
---|---|
立地・周辺環境 | 人気・便利な立地か? |
築年数 | 新しいか? |
間取り・面積・階数 | 部屋数が多いか?面積が広いか?上層階か? |
構造 | 耐久性・防音性・防火性が高いか? |
設備 | 周辺競合物件より充実しているか? |
家賃設定はアパート経営のなかで重要なポイントなので確認しましょう。
2-1立地・周辺環境
アパート経営に適した土地には、次のような特徴があります。
この条件を多く満たしていれば、「人気・便利な立地」と言えるので、高い家賃設定が可能でしょう。
- 住宅街の中にある
- 60坪以上の広さ
- 駅から徒歩10分圏内
- 周辺にスーパーなどがある
アパート経営に適した土地については、こちらの記事で詳しく解説しています。
2-2.築年数
一般的に、築年数が浅い物件の方が人気が高く、家賃も高めに設定できます。
また、地震の多い日本では、耐震性基準の条件を満たすことも家賃の設定金額と関係します。
- 新耐震基準:1981年に導入された耐震基準。震度6〜7でも倒壊しない設計。
- 2000年基準:2000年に導入された耐震基準。地盤に応じた基礎設計など新基準が設けられている。
2000年以降の基準で建築された建物は、地震に強い設計となっているので、2000年以前の物件に比べて高い家賃設定が可能です。
2-3.間取り・面積・階数
当然の事ではありますが、基本的に「部屋数が多く、面積が広い、上層階」程、家賃も高く設定できます。
アパートで高い家賃を設定しやすい間取りは、以下の通りです。
- バス・トイレ別
- ワンルームでも25㎡以上の面積
- ファミリー向けなら3LDK以上
- 間仕切りができる
特にコロナ禍以降、家に滞在する人が増加し、一人暮らしでも25㎡程度の広さの1Kが好まれるようになりました。
25㎡のワンルームであっても、バス・トイレ別の物件は人気のため、家賃を高めに設定したいのであれば、水回りの設計を重視しましょう。
ファミリー向けアパートでは、リビングでゆったり過ごせるLDKや、間仕切りができる間取りが人気です。
アパート建設の前に、ターゲットをしっかり絞って部屋を設計すると、空室リスクを下げられます。
2-4.構造
耐久性や防音性に優れた鉄骨造は木造に比べて人気が高いため、家賃を左右するポイントとなります。
木造のアパートは防音性・防火性で鉄骨造よりも劣り、最上階では夏場の室温が上がりやすいなどのデメリットがあります。
また、シロアリ等の害虫が発生するリスクがあります。
鉄骨造のアパートは家賃が高い分、見合った設備がなければ、かえって空室を作る原因にもなりかねません。
構造別のメリット・デメリットはこちらの記事で詳しく解説しています。
2-5.設備
家賃を高めに設定したい場合は、設備で近隣物件と差をつけるのも一つの方法です。
人気の設備は、以下が挙げられます。
- オートロック・モニタ付インターホン
- インターネット無料
- 浴室乾燥・追い炊き
- 室内洗濯機置き場
- ウォークインクローゼット
近年では、防犯面を気にする入居者が多いので、オートロックやモニタ付インターホンを設置するのがおすすめです。
特にインターネット利用料が無料の物件は、家賃が高くても人気があります。
最適な物件づくりと適切な家賃設定を考えるには、まずはプロに相談するのが近道です。「HOME4U 土地活用」をご利用いただくと、最大10社から見積りや収益予想を含めたアパート経営プランを取り寄せることが可能です。
3.家賃を高めに設定するテクニック6選
家賃設定を目安より上げるテクニックには、次の6つがあります。
- 敷金・礼金なしのゼロゼロ物件にする
- フリーレントを設ける
- 人気の設備を導入する
- 広告料を増やす
- リフォームする
- 家具・家電付き物件にする
家賃設定は収益に大きく関わる部分なので参考にしてください。
3-1.敷金・礼金なしのゼロゼロ物件にする
初期費用が少ない分、家賃が相場より高めでも入居者がすぐ見つかる可能性が高まります。
しかし、初期費用が支払えない悪質な入居者が入居する可能性があるので、入居時の審査は慎重に行いましょう。
3-2.フリーレントを設ける
フリーレントとは、入居時から一定期間家賃が発生しないサービスです。
入居者にとっては初期費用の負担が少なく、オーナーにとっては空室を埋められるメリットがあります。
初期費用が下がる分、入居者にとっては引越しの敷居が低く感じるため、家賃を高めに設定しても入居が決まる可能性があります。
また、家賃そのものが下がるわけではないので、長期的に見てオーナーの損失が少ないのもメリットです。
3-3人気の設備を導入する
人気の設備は、主に以下のものが挙げられます。
- インターネット無料
- エントランスのオートロック
- 宅配ボックス
- 追い炊き機能
これらの設備を導入することで、家賃設定を高めにしても空室が出にくいアパートになります。また、アパートそのものの資産価値が高まるので、売却時に有利です。
設備導入の初期費用は、次の表の通りです。
初期費用 | 月額費用 | |
---|---|---|
インターネット:宅内設置型 | 30~40万円 | 1万円 |
インターネット:共用部設置型 | 10~20万円 | 0~2万円 |
オートロック設置費用 | 60万円~400万円 | なし |
宅配ボックス設置費用 | 5~50万円 | なし |
追い炊き機能設置費用 | 20~60万円 | なし |
条件や設置業者によって金額が変動するので、相見積もりを取りましょう。
3-4.広告料を増やす
不動産仲介業者に広告料を多めに払うことで、アパートを見込み客に紹介してもらいやすい環境を作れます。
不動産仲介業者には、借主・貸主双方から仲介手数料が支払われますが、広告費は別途となります。
広告料の相場は、通常は賃料の1ヶ月分です。しかし、駅から遠い、築年数が古いなど、不利な賃貸物件の場合、賃料の1.5〜3ヶ月分を支払うと、優先的に紹介してもらえます。
3-5.リフォームする
築年数が古くなると、家賃相場が10年につき1割ほど低くなります。
何もしなければ20年経過後は家賃が2割ほど下がってしまうので、思い切ってリフォームするのもおすすめです。
和室を洋室にしたり水回りを整えたり、外壁を工事することで築年数が古くても家賃が上げられるでしょう。
3-6.家具・家電付き物件にする
日本では家具・家電つき物件がまだまだ少ないですが、ターゲットをしぼって家具・家電付き物件にするのも一つの手段です。
これから一人暮らしを始める方に向けて、家電やカーテンを揃えておくと、入居者が決まりやすいこともあります。
家具・家電は、予算で間に合わせのものを買うのではなく、ターゲットが好みそうなトーンで統一するのがおすすめです。
家賃設定も「プロ」が的確にアドバイスします!
最適な家賃設定や物件づくりを考えるには、まずはプロに相談するのが近道です。
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4.家賃の値上げを検討する3つのタイミング
アパートのオーナーは「借地借家法」によって、正当な理由があれば家賃を値上げする権利が認められています。
家賃の値上げを検討するタイミングは、次の3つです。
- 土地・建物の税金が上がったとき
- 物価が上がったとき
- 周辺物件より家賃が低いとき
しかし、家賃を値上げすることで退去者が出て賃貸収入が減る可能性もあります。
そこで、家賃の値上げを決めたら、可能な限り早く告知するようにしましょう。告知方法は、
の順で説明します。
配達証明付の内容証明郵便を使い、告知日時をはっきりさせておくことが、争いを避けるポイントです。
参考:借地借家法
また、以下各タイミングについて解説します。
4-1.土地・建物の税金が上がったとき
都市の再開発などが影響して土地の価格が上昇した場合、土地や建物にかかる固定資産税も上がることがあります。この場合は、正当な家賃の値上げとして認められます。
4-2.物価が上がったとき
インフレによって物価が上がった場合も家賃の値上げが正当な理由として認められます。
物価が上がった場合、もともとの家賃も相対的に価値が下がるので、下がった価値を補填するために家賃の値上げが可能となります。
4-3.周辺物件より家賃が低いとき
再開発で税金が上がった場合、周辺の土地や建物の価値・家賃が上がっていることがほとんどです。
その場合、自分の物件の家賃が相対的に市場価値よりも低くなるので、家賃の見直しタイミングとなります。
周辺物件の家賃よりも自物件の家賃が低いときも、正当な理由に当てはまるでしょう。
5.賃貸経営者が家賃設定で気を付けるポイント
賃貸経営者が家賃設定で気を付けるポイントには、次の2つがあります。
- 即入居を狙う場合:初期費用を下げる
- 将来売却する場合:資産価値を維持する
家賃設定をどうしようか考えている方は、ぜひ参考にしてください。
5-1.即入居を狙う場合:初期費用を下げる
空室を減らすために即入居を狙う場合は敷金や礼金を下げて、初期費用を下げるのが有効です。フリーレントの採用も、入居者にとっては初期費用負担が低く、契約の後押しとなります。
ただし、敷金礼金がゼロのゼロゼロ物件やフリーレントは、家賃を滞納しがちな入居者が契約するリスクや事故物件と勘違いされる可能性もあります。
初期費用をなるべく抑えるとともに、広告や入居審査を入念に行い、トラブルを未然に防ぎましょう。
5-2.将来売却する場合:資産価値を維持する
将来的にアパートを売却する予定があるなら、定期的なメンテナンスで資産価値を維持しましょう。
木造の場合、鉄骨造に比べて老朽化が激しいので、特に注意が必要です。適宜内装のリフォームや設備投資をおこない、資産価値を維持しましょう。
エリアに適したニーズのあるアパートを建築し、適切な家賃設定をするにはプロの力を借りるのが近道です。「HOME4U 土地活用」をご利用いただくと、最大10社から見積りや収益予想を含めたアパート経営プランを取り寄せることが可能です。
- 立地・周辺環境
- 築年数
- 間取り・面積・階数
- 構造
- 設備
詳しく知りたい方は「2.家賃設定の目安になる5つの基準」をご確認ください。
家賃設定を目安より上げるテクニックは、以下のとおりです。
- 敷金・礼金なしのゼロゼロ物件にする
- フリーレントを設ける
- 人気の設備を導入する
- 広告料を増やす
- リフォームする
- 家具・家電付き物件にする
それぞれのポイントは「3.家賃設定を目安より上げるテクニック6選」で詳しく解説しているのでご一読ください。
家賃の値上げを検討するタイミングは、以下の3つが挙げられます。
- 土地・建物の税金が上がったとき
- 物価が上がったとき
- 周辺物件より家賃が低いとき
「4.家賃の値上げを検討する3つのタイミング」で注意点も解説しているので、ぜひご覧ください。
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