ZEH賃貸物件の5大特徴とオーナーと入居者のメリット・デメリット

ZEH賃貸とは、断熱性能が高くてエネルギー効率の良い賃貸住宅のことです。世界的な環境負荷を低減させ、再生可能エネルギーを主体に使うという考えのもと、日本でもZEHの建物が浸透し始めています。しかし、まだ新しい概念であることと、普通の住宅と比較すると前例が少ないことから、「気にはなる」けれども、採用するかを悩まれている方は多いと言えます。
本記事では、ZEH全体の理解と、ZEHを賃貸経営に採用することで、土地活用にどのような影響があるのかをまとめています。ZEH賃貸経営をご検討している方は、普通の土地活用と比較してみてください。
1.ZEH賃貸物件の5大特徴
ZEHとは、ゼロ・エネルギー・ハウスの頭文字です。1年間のエネルギー消費量の合計が、ほぼゼロまたはそれ以下になる住宅のことです。従来型のエネルギー消費を減らし、再生可能エネルギーを利用することで、エネルギーの自給自足を目指す家といえます。「ハウス」とありますが、戸建て以外に、アパートやマンションも含まれます。具体的な特徴は以下の5つです。
1.断熱性が高い 2.高気密性 3.再生可能エネルギーを利用する 4.効率の良い設備を使っている 5.モニタリングと管理によるエネルギー収支ゼロ |
1-1.断熱性が高い
ZEHの家は、高性能な断熱材や窓を使うことにより、冷暖房のエネルギーロスを大きく減らせます。断熱性が高いと、室温が外気温度の影響を受けにくくなるため、冷暖房設備の消費エネルギーを下げることにつながります。
例)断熱材の種類・厚さ・性能。窓の開口部の大きさ、二重サッシなどにより、温度を一定に保つ
1-2.高気密性
高い気密性を持った家は、室外の空気の流入・流出を最小にします。その結果、夏は冷房で冷やした空気が外に逃げにくく、外気の暑さが室内に入りにくくなります。外気の影響を少なくするために、建物内での空気循環をさせる必要があります。高気密性はZEH基準の必須条件ではありませんが、ZEH効果を高めるためには積極的に取り入れることが推奨されています。
例)樹脂サッシ・片開き玄関ドア・窓を少なく・窓を小さくすることで、すき間の少ない家をつくる
1-3.再生可能エネルギーを利用する
主に太陽光発電を利用して、家のエネルギー需要の一部または全部をカバーします。「創エネ」とも呼ばれ、自然界にある天然の原料から電気を作る仕組みを使うという、新しい考え方です。
今使っている家電などを動かすためのエネルギーは、発電所やガス会社などから提供されていますが、創エネが標準化されれば、同じエネルギーを自治体・企業・一般家庭で作れるようになっていきます。
広義の創エネには、以下のようなものが含まれますが、現在、住宅で採用されているのは、太陽光発電システムです。
太陽光発電:屋根などに設置した太陽電池で太陽エネルギーを電気に変換 水力発電:河川やダムなどで水が上から下に落ちる水流の力を電気に変換 風力発電:風が風車を回すエネルギーを電気に変換 地熱発電:マグマで暖められた地下水の蒸気を電気に変換 水素発電:水素と酸素を化学反応させるエネルギーを電気に変換 バイオマス発電:木材チップ・食品廃棄物・建設発生木材など動植物由来資源を電気に変換 海洋温度差発電:海水の温度差を電気に変換 |
1-4.効率の良い設備を使っている
エネルギー効率の良い設備や家電を使っている家のことです。1つの家電を動かすために必要な電力が小さいほど、エネルギー効率が良い商品になります。家電メーカーが販売する家電には、国が定めた基準値の達成度合いによって、グリーンやオレンジの省エネラベルが表示されています。省エネ度100%以上のグリーンラベルを積極的に使うことで、エネルギー効率の良い家を維持できます。
例)エネルギー効率の高い省エネ家電・LED照明・エアコンや空調などを使う
1-5.モニタリングと管理によるエネルギー収支ゼロ
家のエネルギー消費やエネルギー生成の状況を、リアルタイムでモニタリングするシステムを使って、エネルギー管理をします。たとえば、冷房が効きすぎの場合は、適切な温度設定を提案してくれます。
このようなシステムを導入することで、適切なエネルギー管理をし、年間のエネルギーバランスを限りなくゼロに近づけることができます。IoT(Internet of Things)家電のような、インターネットに接続できる機能を持つ家電を使うことで、スマホアプリで管理が可能です。
例)IoT(Internet of Things)家電・スマート家電の利用。電力・ガス会社の提供するアプリの使用
ただし、上記のようなZEH物件としての認定を受けるためには、国の決めたさまざまな条件を満たす必要があります。そのため、ZEH賃貸の実務経験と施工経験の豊富なハウスメーカーや建築会社のサポートが必要になります。
【参照:経済産業省 ZEHロードマップ検討委員会】
2.ZEH賃貸のメリット
ZEH賃貸で土地活用をすると、物件オーナーとその入居者に、どのようなメリットがあるのかをまとめました。ZEHは時代の流れに沿ったことですので、基本的には両者にメリットが多い物件になります。
メリット |
物件オーナー |
入居者 |
---|---|---|
1.建物と人の両方に良い |
◎ |
◎ |
2.光熱費が押さえられる |
◎ |
◎ |
3.居室空間が快適になる |
◎ |
◎ |
4.地球環境へ社会貢献できる |
〇 |
〇 |
5.災害に強い |
◎ |
◎ |
6.不動産価値が上昇する |
◎ |
〇 |
7.補助金が使える |
◎ |
〇 |
2-1.建物と人の両方に良い
ZEH賃貸の住宅は、気密性と断熱性が高いので、外気温度や季節に関係なく、室内の温度を一定に保つことができます。寒暖差による急激な温度変化や、部屋ごとの温度変化による身体への負担が少なく、お年寄りから子供まで、快適に過ごせるようになります。
温度差が少ないことで、結露やカビの発生も少なくなる傾向があり、建物の内外を良い状態で維持しやすくなります。入居者にとっては快適な生活を、物件オーナーにとっては維持管理がしやすく、経費負担の少ない建物になります。
2-2.光熱費を抑えられる
ZEH住宅は、エネルギー使用量の低い家電を使い、エネルギーの自給自足ができるので、電気代の大きな節約につながります。電気代が高騰することがあっても、ZEHの家は、それほど請求金額が変わらないなど、支払いに関したリスクを回避しやすくなります。今後、ZEHが広まっていくにつれて、入居者の物件探しの「こだわり検索」に、燃費の良い物件という項目が出てくる可能性があります。物件オーナーは、共有部分で使用する電気代を抑えることができます。
2-3.居室空間が快適になる
高断熱で高気密な家は、外部温度の影響を受けないだけではなく、音も伝わりにくくします。そのため、建物の構造とは関係なく、静かな暮らしが可能です。外部の音が響かないだけではなく、自室の音も外に響きにくくなりますので、近隣への気遣いによるストレスが減り、より快適な暮らしができるようになります。物件オーナーにとっては、音に関した住民トラブルを回避しやすくなります。
2-4.地球環境へ社会貢献できる
入居者にとってZEHの家を選ぶことが、物件オーナーにとってはZEHの家を建てることが、そのまま地球環境への貢献になります。再生可能エネルギーを使うことにより、化石燃料への依存とCO2排出を削減できます。結果的に、地球温暖化問題の解決をサポートすることになります。
2-5.災害に強い
ZEHの家は、家自体にエネルギーを作る能力があることに加え、蓄電や蓄熱設備によって、作ったエネルギーを蓄えておく力があります。そのため、大きな災害が起きてインフラにダメージが出た場合にも、自力で電力を賄えます。インフラが復旧するまでの1~2週間の間、電力やガスの供給がなくても、今までと同じように家電を使うことも可能です。
また、一時的にエアコンなどが使えなくなっても、家自体が外気の影響を受けにくいつくりであることから、暑い寒いのトラブルが起きにくいと言えます。
2-6.不動産価値が上昇する
先進的な環境技術を導入した、新しい住環境を持つ物件は、その付加価値により、不動産価値が上昇します。特に、高気密・高断熱の家に、キレイな空気を循環させるための換気システムは、後付けが難しいタイプの設備です。リフォームやリノベーションではカバーできない装備のあるZEHの家は、近隣エリアのライバル物件と比較すると希少性が高い物件になります。同じ間取りと面積であれば、より高額な査定が予想されます。
2-7.補助金が使える
ZEHの賃貸住宅を建てるときに、建築費の一部に補助金が使えます。ZEHの家づくりは、どれも初期コストがかかりますが、それぞれの設備に対して補助がありますので、ある程度の負担軽減にはなります。
ただし、建物の規模・階数・室数・経費によって補助額や上限額が違うので、どのくらいの補助を受けられそうかは、プランの段階で確認しておく必要があります。
3.ZEH賃貸のデメリット
ZEH仕様の賃貸物件のデメリットとして考えられるものをまとめてあります。しかし、このデメリットは、ZEHの賃貸住宅で得られるメリットで、ある程度はカバーできる可能性があります。
デメリット |
物件オーナー |
入居者 |
---|---|---|
1.コストがかかる |
△ |
△ |
2.デザインに制限がある |
△ |
△ |
3.立地や天候で効果が変わる |
△ |
△ |
4.建築会社が限られる |
△ |
△ |
3-1.コストがかかる
物件オーナーにとっては初期費用が高いこと、入居者にとっては、賃料設定が高くなることがデメリットです。建物の構造部分については、高断熱高気密のレベルによって、コストはどんどん上がっていきます。しかし、品質の良い高断熱高気密の住宅は、室内の温度を一定に保ち、換気システムにより、一年中、花粉や汚染物質、ハウスダストなどの心配がない、クリーンな空気を作り出し、住むだけで健康にプラスになる環境で暮らせます。
太陽光発電の費用も、建物の規模やパネル品質によって、いくらでもコストをあげることができます。しかし、多少コストがかかっても、入居者にとっては安定したエネルギー供給のある家で、電気代が上下する心配なしに暮らせる物件になりますので、家賃設定が高くても、優良な物件となります。
<対処法>
建築費が割り高になる部分は、補助金でカバーしながら、慎重な経営計画を立てる必要があります。建築費負担が多い分、賃料設定を高くすることができますので、返済計画自体は無理のないものになる傾向があります。補助金申請ができるハウスメーカーや建築会社は、大手企業が多いため、ZEHで賃貸住宅をご検討の方は、はじめから大手にプラン請求をしておく方が、スムーズです。
ただし、ZEHだから集客できるのではなく、もともと賃貸需要がある場所に、ZEH仕様の物件があれば、ライバル物件との大きな差別化ができるという点に注意してください。
3-2.デザインに制限がある
ZEHの建物は、その性能が最大限に活かせる構造が必要になるため、一般的な意味でのデザインを優先していません。そのため、オーナーが希望する建物のイメージと、ZEHで建築可能な建物にズレが生じることがあります。今後、ZEH建築の技術が進むにつれ、よりデザイン性は高くなる可能性があります。
<対処法>
太陽光パネル設置ありきであるため、屋根の形は太陽光パネルにとって最適な形や大きさにする必要があります。デザイナーズハウスのようなオシャレさを追求する方にとっては、物足りなさがあります。
しかし、デザインが限られているとは言うものの、基本的には都市地域や住宅地での設定を前提に、街の風景になじむデザインやデコレーションを取り入れていますので、外観はとても自然なものです。
賃貸住宅としてアピールするべきポイントも違いますので、デザインの選択肢が少ないことは、賃貸経営のリスクにはつながりにくいと言えます。
3-3.立地や天候で効果が変わる
ZEHの効果は立地条件によって、大きく変わります。特に、日当たりや風通しは、ZEHの建物のエネルギー消費量に大きな影響を及ぼします。同じ理由で、天候や季節の影響も大きいので、ZEHの効果は1年と通してみる必要があります。
ZEHにはコストがかかりますので、その分、家賃設定も高めにします。入居者は、ZEHの家に入ることで、家賃のプラス分を上回るメリットが感じられなければ、更新をせずに普通の物件へ移る可能性があります。エコロジー的な観点で土地活用に取り組むときは、ZEHの採用が、賃貸経営にプラスになるかをよく検討しておく必要があります。
<対処法>
せっかくコストをかけてZEHの賃貸物件を建てるのであれば、エネルギー効率も経営効率も最大になるようにします。先にハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして、ご所有の土地を参考例にした普通の建築と、ZEHでの建築を比較するようにしてください。
複数の比較することで、ご所有の土地で得られる最大のZEH効果もわかるようになります。土地条件があまりZEH向きではない場合には、無理をしてコストをかけるよりも、可能な範囲でエネルギー効率の良い建物を建てるに切り替えてしまう方が、アパート経営としては成功しやすくなります。
3-4.建築会社が限られる
ZEHは始まったばかりの新しい考え方の建築物ですので、信頼に足りる建築実績を持つ会社は、大手のハウスメーカーや建設会社に限定されています。規模の小さな工務店や建築会社では施工実績がないため、ZEH賃貸経営をお願いしても、実現できない可能性があります。
また、ZEH賃貸に使う補助金は、国の制度を利用することになりますので、申請はZEH賃貸のデベロッパー登録がされている企業に限られています。
<対処法>
ZEHで賃貸経営をしたい場合には、大手ハウスメーカーや建築会社と契約することを前提にお考え下さい。ZEHの建物には、国からの補助金利用のほか、建築後の定期的メンテナンスやアフターサービスが不可欠です。そのため、受注・建築・管理において、デベロッパー登録許可を受けた企業からのみ、各種の申請ができるようになっています。
現在、ZEH賃貸を建てられる建築会社は限られているため、複数の選択肢からしっかりと吟味する必要があります。NTTデータグループの「HOME4U 土地活用」ならば、一度の入力で、大手ハウスメーカーや建築会社など、ZEHデベロッパー登録済の企業の中から、最大で10社にまでプラン請求が可能です。
補助金申請はZEH建築を請け負った会社がするので、先に、ZEH建築ができるか、ZEHデベロッパー登録済の会社であるかを、確認しておく必要があります。複数のプランを比較したら、必ず現地調査を依頼し、立地条件などがZEHに適しているかを確認してもらいます。
そのうえで、ZEH建築と普通の賃貸建築のプランを比較し、ご所有の土地からの利益が最大化できる方法を探ってください。
4.ZEH賃貸の補助金制度と申請方法まとめ
ZEH賃貸の補助金申請と申請に必要な細かな計算などは、すべてハウスメーカーや建築会社が行いますので、オーナーはだいたいの流れを把握しておけば良いと言えます。ZEHの種類は、主に建物の規模や高さを基準として4種あり、それぞれにゼロエネルギーの達成水準も違います。
どのZEHを目指すのかは、土地条件に加え、エネルギー効率レベル、さらに予算と返済計画も合わせて、慎重に判断していくことになります。
1. 補助金は全部で4種類 |
4-1.補助金はぜんぶで4種類
集合住宅用の補助金には、一般住宅の「戸建ZEH」と、集合住宅用の「集合ZEH-M」があります※。集合住宅用は、3階建て以下の低層ZEH-M、4~5階建て中層ZEH-M、6階以上の高層ZEH-Mがあり、戸建と合わせて、ぜんぶで4種の補助金枠があります。※2024年(令和6年現在)
建物の形式で申請先が違うため、戸建賃貸は「戸建ZEH」、アパートやマンションは「集合ZEH-M」です。補助金要綱の中で、集合住宅はZEH-M(ゼッチ・マンション)という名前ですが、木造アパートも含まれます。
アパートやマンションの建築プランによって、補助金の申し込み先も変わり、建物の高さや規模によって、達成すべきZEH基準も変わるため、さまざまな角度から、適切なプランを選びだす必要があります。
申し込みは先着順であり、さらに毎年の予算上限があります。さらに、いつでも申し込めるわけではありませんので、ZEHの賃貸経営を検討するのであれば、余裕を持った計画を立てておく必要があります。
4-2.申請はZEHビルダー・デベロッパーが行う
基本的に、補助金の申請は、オーナーから委任された形で、施工会社が行います。申請資格は、ZEHデベロッパー登録かZEHビルダー登録がされていることですので、認定のない事業者は申請自体ができません。そのため、先にZEHデベロッパー登録のあるハウスメーカーや建築会社探しが先になります。
ZEHデベロッパーとビルダーの違いは、以下の通りです。
・ZEHビルダー ・ZEHデベロッパー |
賃貸経営で一棟アパートやマンション建築を検討している場合は、はじめから、あらゆる賃貸物件のプランに対応できるZEHデベロッパーから探した方が、選択肢が多く、スムーズに進められます。
以下はNTTデータグループの「HOME4U 土地活用」からプラン請求ができる、ZEH-Mシリーズの建築・計画実績があり、さらに、ZEH仕様の標準プランを持つ企業の一部です。
【参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ ZEHデベロッパー一覧】
上記のような大手ハウスメーカーや建築会社では、もともと標準仕様でZEHに必要なだけの断熱基準や気密性の高い住宅作りをしています。そのため、従来型の家づくりや建物作りにおける、換気・空調・照明・給湯設備などを、省エネアイテムに変更する・屋根を太陽光発電パネルに変更するなど、いくつかの変更・追加のみで、ZEH-Mに対応することも可能です。詳細はプラン請求後、各企業の担当者に確認してください。
4-3.補助金申請までの流れ
補助金は申請=交付ではなく、先着順です。申し込みが殺到した場合や補助金の上限に達すると、当年度の交付は終了します。申し込みが多い場合は採択審査が行われますので、申請ができても交付は絶対ではありません。工事中の建物には補助金交付はありませんので、かならず、申請・交付が決定してから工事着工してください。
以下の図は、補助金申請から工事が完了するまでのおおざっぱな流れです。どの段階に何カ月かかるかなどは、建物の規模や設備内容によって異なります。
ZEH補助金は国庫が財源ですが、その他の財源の補助金であれば、併用も可能です。自治体などで発表している補助金情報を参考に申請してください。個人で申し込める補助金であっても、併用することは必ずハウスメーカーや建築会社に伝えてください。
アパートやマンションなどの賃貸経営をする場合には、ZEH補助金の申請も大切ですが、もっと大切なのが、竣工のタイミングです。賃貸経営にとって最適な時期に入居者募集ができるように、スケジュールには注意してください。各段階でどのような作業が必要なのかを、かんたんにまとめました。
1.設計 2.ローン審査 3.契約 4.補助金の申請 5.審査 6.補助金の交付決定 7.着工 8.竣工後に実績報告書を提出 9.入金 10.アンケート提出 |
【参照:低層ZEH-M促進事業】
5.ZEH賃貸をスムーズに成功させるための3原則
ZEH賃貸は、新しい賃貸住宅のかたちですので、まだ全国的には実施者も少ない状態です。これから拡大していくタイプの賃貸物件であるため、コストやエリア需要とのバランスを考えて慎重に検討する必要があります。
しかし、ZEH賃貸物件は、その希少性から、エリアでのライバル物件との明確な差別化が出る可能性があります。次の3つの点に留意しながら、慎重に進めていってください。
1.ZEHの標準仕様プランがあるハウスメーカーにプラン請求 |
5-1.ZEHの標準仕様プランがあるハウスメーカーにプラン請求
ZEHの建物の最大の目的は、高い断熱性と気密性でエネルギーロスを減らし、太陽光発電によるエネルギーを自給自足できる建物の実現です。
高い断熱性を実現させるためには、室内に大きく開けた場所や、外気の影響を受ける窓は少ない方が熱効率は良いため、一般的な家づくりで人気のある、開放的な窓や吹き抜け・広々としたリビングなどは、はじめから提案されないことがあります。さらに、十分な発電をするためには、ある程度の大きさの太陽光パネルを載せられる屋根面積が必要ですので、建物の上部の構造にも制限が出てきます。
このように、ZEHとしてレベルの高い建物を建てるためには、設計とデザインにある程度の制約が出てくるため、技術の高い設計士の存在が不可欠です。大手ハウスメーカーや建築会社には、複数の設計士やデザイナーが在籍しており、チームでプラン設計をしていますので、ZEHの建物として効率の良さを追求しながら、外観デザインとしても自然な建物の提案ができます。
せっかく大きな費用をかけて、ZEH賃貸で土地活用をするのであれば、選択肢が多く、オーナーの希望に沿ったプランやデザインが出せる大手ハウスメーカーや建築会社の方が適しています。また、このような企業は、もともと高断熱高気密の省エネ住宅のプランが豊富にそろっているため、企業によっては、ZEH賃貸にするために、いくつかのオプションを追加するだけで良いケースもあります。
5-2.プラン比較・補助金申請スケジュールを同時に比較する
ZEH賃貸住宅を建てる際には、補助金利用が前提です。そのため、土地活用をご検討の際には、補助金申請のタイミングを基軸にして、スケジュールを立てる必要があります。補助金の申請時期は例年5~11月ごろですが、申請交付は先着順であり、申し込み多数の場合は審議で選択をされることもあります。
万が一、その年の申請対象から漏れた場合は、翌年まで待たないと補助金は使えません。また、補助金は着工前の物件にしか交付されませんので、竣工日が動かせない場合は、補助金申請ができなくなる可能性もあります。また、建物の階数によっては、中途報告をしながらの進行になるため、2年以上の建築期間が必要になることもあります。
そのため、オーナーがZEH賃貸を検討するときには、補助金申請のタイミングと建築スケジュールを合わせて計画し、そのスケジュールを前提としてプラン選択をすることになります。仮に、着工から竣工に1年かかるのであれば、その前年の4月前(補助金の募集開始前)までには契約をする企業とプランが決まっていて、補助金申請のための経営計画・ローン審査などの準備ができている必要があります。
このように、ZEH賃貸には補助金交付のタイミングがありますので、プラン請求とプラン比較だけでも、早い段階から準備しておいてください。
5-3.ZEH以外のプランとも比較して最適な1つを選ぶ
土地活用を検討する際には、ZEHや補助金にこだわらず、幅広く土地活用プランを比較するようにしてください。ZEHは確かに先進的な環境に良い住宅です。しかし、気密性や断熱性は建てたときの機能のままが期待できますが、太陽光発電に限っては、思った通りにはならない可能性もあります。
例年より天気の悪い年には、年間のエネルギー生産量は下がりますし、近隣にマンションやビルができて日陰になれば、太陽光による十分なエネルギー生産は期待できなくなります。
また、ZEHには「光熱費がほぼ0円」というイメージがありますが、実際にZEHでカバーできる電力は、冷暖房などの空調設備・高気密に対応した換気設備・蓄熱蓄電設備のある給湯設備・照明設備の4種だけです。それ以外の一般生活家電・パソコン・テレビなどの光熱費は、今までと同じように普通にかかりますので、実際には光熱費がタダになるわけではありません。
タダにできる可能性があるのは、太陽光パネルから十分な発電量があり、その電力を売電できた金額が使用料を超えた場合のみです。それならば、はじめから高断熱高気密で性能の良い賃貸住宅に、高度な省エネ家電を組み合わせた方が、入居者もオーナーにとっても、コストのかからない燃費の良い建物にできる可能性が高くなります。
このように、環境に良い家、生活コストの低い家、燃費の良い家という発想自体は良いものですが、ご所有の土地条件が、エネルギー生産に適していない場合には、必ずしも最善の選択というわけではなくなります。ZEH以外の選択肢とも比較して、土地からの利益が最大化する方法を探す必要があります。
ご所有の土地が本当にZEH賃貸経営に適しているかどうかは、ZEH賃貸経営に信頼と実績のあるハウスメーカーや建築会社にプラン請求をし、担当者に判断をしてもらう必要があります。ZEH賃貸経営を建てられる企業は現時点では多くはありませんので、たくさんのプランを比較検討する必要があります。
ZEH賃貸を建てるときには補助金利用が前提になりますので、申請資格のある建築会社に事前相談をしておきます。ZEH賃貸を含めた土地活用のプランを比較する際には、「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。一度の入力で最大10社にまでプラン請求ができます。
まとめ
ZEH賃貸についてまとめました。ZEHの家は、建物が生産するエネルギーで電力をまかない、年間を通じて、エネルギー生産と消費がほぼゼロになるタイプの建物です。戸建て以外にも、アパートやマンションなどの集合住宅でも採用できるため、「燃費の良い賃貸住宅」という新しいライフスタイル提案になり、ライバル物件との差別化が出来そうです。
国や自治体からの補助金も利用できますので、省エネをテーマとした賃貸住宅をご検討の方は、補助金申請資格のある、ハウスメーカーや建築会社を探してください。まずは、「HOME4U 土地活用」の一括プラ請求で、アパートやマンションなどの集合住宅「ZEH-M」の施工実績がある会社にプラン請求と問い合わせをしてください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。