【建築事例】「どうすれば入居者が喜んでくれるか」ニーズを考え尽くし満室経営オーナーに/東京都江戸川区
今回の物件は、東京都江戸川区にある物件1LDK/6戸の紹介です。
大家のまーさん(仮名)は、義理のお母さまの体調を機に、アパートを建築しオーナーになりました。今でも会社勤めをしながら大家業をやっています。
右も左もわからないところから、少しずつ“アパート経営”を学び、今では入居者のニーズを把握し、満室経営ができています。
大家になろうと思ったきっかけや成功の秘訣を聞きました。
【オーナープロフィール】
- 年代:60代男性
- 土地活用のきっかけ:義母の実家の土地活用
【物件情報】
- 場所:東京都江戸川区
- 土地面積:48坪
- 構造:木造3階建て
- 間取り: 1LDK(6戸)
- 竣工年月:2022年完成
- 建築メーカー:住友不動産
- 建築費: 7001万~9000万円
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「どうせやるならかっこいいものを建てたい」
――大家になったきっかけを教えてください。
きっかけは、妻の母親の老人ホーム入居にかかわる資金のためです。義母がもともと住んでいた土地を生前贈与で譲ってもらい、そこに妻の名義で木造3階建ての賃貸アパートを建てました。
生前贈与でもらった土地を売却せずに活用しようと思ったのは、現金で持っているとやはりどうしても使ってしまう、だから不動産にしようといったところがあったからです。
老人ホームへの入居って本当にお金がかかるんですよ。月20万円以上、医療費も含めて考えたら年間300万円以上かかるんですね。
ヒトの寿命は誰にもわからないけれど、仮に5年生きたら1,500万円以上のお金がかかることになる。そう考えると、現金で引き継いだところでそのお金がすぐになくなることは目に見えていますよね。だから土地活用を選んだというところと、妻からしたら(自分の)お父さんから引き継いできた土地だから残していきたいといった気持ちもあったと思います。
――はじめての賃貸物件の建築、不安はなかったですか。
土地活用については、私自身が金融機関に勤めていることや、宅建士を所持していることもあって、そこまで大きな不安はありませんでした。また、同じく土地活用をしている先輩もまわりにいたので、オーナーになることは自然と受け止められました。
むしろ妻の方が「土地を残したい」という気持ちが強かったので、土地活用についても前向きでしたね。建物のデザインはほぼ全て妻が担当しました。質素なものにして利益を優先するという考え方もありましたが、どうせやるならかっこいいものを作りたいなと。多少の見栄もあって、階数も3階建てにしたというところがあります。
――どうやって建築メーカーを決めていったのですか。
複数の住宅メーカーに対して「この土地にどういった建物を建てるか」といった疑問をぶつけたんです。その上で、各社に見積もりや、市場調査をしたデータを提示してもらいました。
物件がある江戸川区というのは地盤が低いこともあって、水害対策をしなければならないんですね。水害対策といった観点では当然、木造よりも鉄骨の方がいい。そう思っていたので、最初に話をしたのは鉄骨大手のメーカーでした。非常にいい対応をしてくれたのですが、鉄骨だとどうしてもイメージに近い物件にすることが難しい。木造のように加工が容易でないことから、一回り小さいサイズの物件になってしまう。
最終的にお願いした建築メーカー(住友不動産)は、鉄骨だと私たちが叶えたいと思っているデザインが鉄骨では難しいこと、そして(予算的に)利益が上がらないことも正直に話してくれました。鉄骨だと建築費用が最低でも2,000万円以上上がってしまうので。
――最終的に、住友不動産にお願いした決め手はなんでしたか。
以前別件で相談した際に住友不動産の対応が良かったことからもともと気に入っていました。また、正直にいろいろ教えてくれたりしたことも好感が持てました。
デザイン性、価格などを比較検討した結果、住友不動産にお願いすることにしました。ただ、見積りをとったどの会社も、皆さん一生懸命対応してくれたので、感謝しています。
入居者のニーズをリサーチ。マーケティングが大事
――当時から「理想の物件像」はあったのでしょうか。
入居者の立場から考えると「鉄骨がいい」と考える人が多いですよね。顧客のニーズがある一方で、予算的にも鉄骨造は厳しかった。そこで、ネット検索で需要がある物件情報をどんどん取り入れることにしたんです。
駅徒歩10分以内というのがまずポイントで、これが11分になると、検索条件で「駅徒歩10分以内」ではなくなってしまう。15分以内といったくくりになると、発見される率もぐっと下がってしまいます。
そのほかにもペットは猫2匹まで可、インターネットも無料、オートロックなど、入居者の目線でどんな部屋だったら住みたいかを徹底的に考えました。もちろん予算と相談しながらですが(笑)。
たとえば、オートロックは一般的には門のところにつけるケースが多い中で、うちはアパートの入り口につけています。防犯カメラも宅配ボックスも完備しました。
また、ちょっとしたアクセントで門柱に猫のマークも入れています。
こうしたこともあって、家賃は月額10万と同条件の他の物件に比べると比較的高い値段で設定しているものの、部屋は埋まっていますね。
――猫ちゃん可はすごいですね。
家を探すときの検索条件で「猫を飼えるか否か」は上位にきていたんです。つまり、猫と一緒に住めるところを探している人がそれだけ多いということですよね。それならば可にしようと。入居者が求めているものをできるかぎり入れることができたんじゃないかと思っています。
やっぱり「住み心地」は大事ですからね。
――住み心地で工夫されていることがあるそうですが。
もちろん多少の見栄もありましたが、それ以上にいいものを作っていい住空間を提供したいという思いはありました。
できれば、自分の生活を大切にしている人に借りてほしいと思っていますし、そうすれば、建物もきれいに使ってくれますしね。
近隣は、最近ワンルームがどんどん建っていて、もはや供給過多な状態になっているんだけれど清潔感があるとはいいにくいなと。そのほとんどはお金に困らない地主さんが建てていることもあって、汚くなったらまた建てればいいやぐらいの感覚なんですよね。
ろう悪かろうにしたくないっていう気持ちは強かったです。とはいえ、途中で「俺が住むわけじゃねえし」って思ったりしたこともあったのですが、担当者に「これはビジネスだと思ってください」といったようなことを言われて、そうかビジネスなんだと。ハッとした瞬間でしたね。
――物件を建てる中で、特にこだわったポイントなどはありますか。
住友不動産の営業担当者が熱血な人だったので、コーディネーターさんをつけてくれたんです。そのコーディネーターさんに立ち会ってもらって、最終的な素材を決めていきました。
また、妻が理想とする美術的な感覚(見た目)があって、外壁を決める際に「石みたいなやつがいい」といったんです。多くの方は外壁にまで意見しない、いったとしても白がいいと無難なケースが多い。そうした中で妻が発言をしたことによって、コーディネーターさんに火がつきまして。あれもこれもと、たくさん提案をしてくれました。
デザインを決めていく過程はとってもワクワクしたし、楽しかったですよ。
――ところで、2022年築ということは、コロナや戦争による物価高騰の影響は受けなかったのでしょうか。
それが、ギリギリ受けなかったんですよね。また、建築費についても契約時点でこれ以上あげませんといった確約を得ていました。
ローンもそこの提携ローンを使って、金利もそれほど影響を受けませんでした。大手は先々までの資材がある程度確保できていたので、その点でも値段が上がることはなく、工期も延びなかったですね。
管理会社で重視したのは……
――物件に関して自己管理といった手もあったと思うのですが、サブリースを選んだ理由を教えてください。
やっぱり、ローンですよね。ローンがあったからサブリースにしたというところは大きい。サブリースにすることで一定の入りが保証されるので。空室が続いたら、と考えると怖かった。
ただ、サブリースのイメージはこれまでのニュースであまりよく感じていなかったのは事実です。一部住宅メーカーが相当無理な募集をしているのも耳にしていました。社会問題にもなりましたよね。
そういったことから、サブリースにしないほうがいいという考えはあったんだけれど、やっぱりローンが支払えなくなったらという不安は拭えなかったですね。
――管理会社はどのように決めたのでしょうか。
住友不動産の担当を通じて、管理会社についてもコンペをしてもらいました。家賃設定と手数料を提示してもらったんです。また、そもそもの基準として中堅以上の管理会社という指定もしました。
そうした中で単純に家賃設定が高い、手数料が安い、販売力が強いかといったところはもちろん、江戸川区に強いかといったところも重視したかった。ただ、匿名で見積もりを出してもらったときに地元の不動産の家賃設定が安かったんです。結局、東京・渋谷に本店があるアパマン系列の管理会社にしたんですが、そのときに地元の不動産はサブリースに不向きだと気づきました。
もし今からまた新たに物件を建てて賃貸業をやるのであれば、先に管理会社を決めた上でいろいろ相談しながら進めるのも一つの手かなと思いますね。
――サブリース契約だと、ほとんど手離れしているような状態なのでしょうか。
入居者の募集と家賃の管理を管理会社にお願いしている感じですね。
ただ、アパートの清掃は私たちでやっています。費用負担を軽くする意味もありますが、自分の物件を掃除して綺麗に保つことで宣伝にもなりますし、景観の維持にもなります。僕らが綺麗に保つことで入居者さんたちの住みやすさに繋がればと思っています。
「そもそも賃貸業とは何か」から説明してくれた
――ここまで話を伺って、すごく戦略的だと感じました。
金融勤めですし宅建士も持っていましたが、大家業に関してははじめてです。ただ、最初に問い合わせた建築会社が丁寧にデータをもって「そもそも賃貸業とはなにか」といったところから説明してくれたんですよ。いま需要が高いのは1LDKで最低でも35平米以上だと。私はLがなくても広い方がいいんじゃないかと思ったりもしたんだけれど、Lがつかないとだめ、部屋が小さくてもLを求めている人が増えているって教えてくれたりね。
――身近に相談できる人はいましたか?
1人親しく話をできる先輩はいましたが、土地活用にあたって半端に相談するようなことはしませんでした。自分の仕事自体が金融ですし、宅建士も持っていることから最低限の知識は有していたのも大きかったです。
また、学生時代の友人やお客さんで不動産に携わっている人もいる。そういった人たちから話を聞く機会がたくさんある環境で育ってきたことも影響はあるなと感じています。
――これからの展望についてお聞かせください。
物件のこれからについてはなにせまだ建てたばかりなので、当面は30年のローンを返していくしかないですね(笑)。今はまだ67歳でフルタイムで働いているけれど、もうすぐ年金だけになって家賃収入の一部を生活に充てる必要が出てくる。そうしたときに、食べていく以外にちょっと遊べるくらいの感じで回せたらいいなと。
もちろん、お金に困ったら売ろうと思っているけれど、計算上はいまのところなんとかなりそうだと思っています。家賃の下落もそこまで考えられないですしね。この先もっともっと歳を取って、それこそ80歳を超えてきたら判断能力があるうちに考えようかなと思っています。
(編集後記)
楽しそうにオーナー業を語るまーさんの笑顔が印象的でした。
事前にアパート経営の知識を自ら学んでいらっしゃたことも、笑顔で経営ができる礎になっているのだと感じました。
※記事内の情報は全て取材当時のもの
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