【建築事例】築50年越えのアパートを建て替え人気物件オーナーに/東京都北区
今回の物件は、東京都北区にある1LDK/6戸の紹介です。
大家のナノさんは、両親が高齢になったことを機に、もともと経営していた築50年越えのアパートを立て替え、オーナーになりました。立て替え後のアパートにはお母様が住まれており、ナノさんも近くに住んでいらっしゃいます。
アパートの建て替えという、なかなかないケースにもかかわらず着実に話を進め、今ではあっという間に入居が決まる駅近の人気物件を経営しています。
大家になろうと思ったきっかけや成功の秘訣を聞きました。
- 年代:40代女性
- 土地活用のきっかけ:親の高齢を機に物件の建て替え
- 場所:東京都北区
- 土地面積:72.6坪
- 構造:木造/3階建て
- 間取り:1LDK(6戸)
- 竣工年月:2022年完成
- 建築メーカー:ミサワホーム
- 建築費: 9,001万円以上
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1.「立て替えの背後にあるストーリー」
大家になったきっかけを教えてください。
2021年の春頃だったでしょうか。もともと今回の物件を建てた土地にアパートを所有していたのですが、その物件が築50年を越えていたこと、両親が共に高齢となり建て替えるなら今しかないかと思って話をしたことが主なきっかけです。
以前のアパートの3階に住んでいた親が引越し、3階が空き家状態になりました。「もったいないな」という思いと、母が小さい頃から住んでいた家だったこともあり、母が最終的にどこで暮らしたいかという話もありました。
ご両親は、どういった経緯でアパートを所持されていたのでしょうか。また、当時はどんな管理をしていたのですか。
最初にアパートを建てたのは母方の祖母ですね。賃貸収入で母が生きていけるような環境を残してあげたいと思ったようで、アパート兼住宅の物件を手に入れました。物件の収入は全てローンに充てて、自分が仕事を引退したら家賃収入が全て老後の収入として入ってくるような形で経営していたと聞きました。
すごい方だったのですね・・・。立て替え前のアパートの情報について、もう少しお聞かせください。
はい、以前は建物が2つに分かれていまして、全部で10部屋ほどありました。1階から2階は賃貸として貸し出し、3階が空き家という状態でした。造りは木造ではなく、鉄骨造でしたね。
立て替え前も入居者の方がいらっしゃったのでしょうか。立ち退き問題などは大変でしたか。
賃貸は満室でした。ミサワホームからもアドバイスをいただき、比較的すんなりと立ち退き交渉を進めることができました。ただ、高齢の方が多いアパートだったこともあり、金銭的に少し苦しい方にはプラスアルファで立ち退き料を支払うなどしていましたね。
交渉にどのくらいの時間を要したのでしょうか。
だいたい6か月前に告知はしていたのですが、交渉に2~3カ月ほどかかった方もいらっしゃいました。
立ち退き交渉をされて、建物の解体をしたかと思うのですが、どのくらいの解体費用がかかったか覚えていらっしゃいますか。
1400万円ほどです。ただ、アスベストが使われていなかったことは本当にラッキーでした。アスベストが使われているとさらに解体費が高くなるのでほっとしました。
2.「依頼先の選定と不動産を引き継ぐ難しさ」
物件の建築にあたって、地元の工務店などは問い合わせの候補に入りませんでしたか。
前のアパートを建てたのは50年以上前なので、もうそこにお願いするのは現実的ではないかと思いました。また、自宅ならまだしも、賃貸部分も含めてとなると大手に依頼した方が安心かなという気持ちもありました。トータルで見て欲しいなと。
ハウスメーカーへの問い合わせから建築を依頼するまでの一連の流れはナノさんが主導で進められたのですか?
父はもともと銀行員で建設系の知識もあったので、結構意見を述べていたように思います。ただ、母の土地ということもあって最終的な決定権は母にありました。父についてはもともと乗り気ではなかったものの、ミサワホームの提案を見せてからは気持ちが前向きになり、元の家に住めるなら進めようかと(笑)。
両親は70歳を超えていたこともあり、年齢からしても建て替えたところでローンが組めないんじゃないかと不安に思っていたのですが、ミサワホームが早い段階から銀行の方も入れて話をしてくれたことで、運用面も含めてシミュレーションできたこともあり、話を進めることができました。
ただ今回、改めてひとつの不動産を引き継ぐことの難しさを感じました。ローンを組んだときに継承者についての話は出てきたものの、まずは目の前の建て替え問題を何とかしなければという感じで。ただ、結局建ててからもローンは残るし、プラスの部分だけでなく、マイナスの部分も残るのでちゃんと整理しておくべきだったなと思いました。
3.「建築でこだわったポイントと居住者層」
賃貸に出している部屋の広さが1LDKということでしたが、間取りの取り方についてもミサワホームからアドバイスがあったのでしょうか。
ワンルームだと8部屋くらい作れると聞いたのですが、ワンルームの場合は徐々に需要が落ち込んでくるだろうという話でした。東京都北区は1LDKの物件がそう多くないこともあって、2人暮らしや1人でも広めに使える1LDKは需要が高いのではないかとアドバイスをもらいました。
駅からは徒歩10分以内で2駅(東十条と王子神谷)、南北線と京浜東北線が使えるのでアクセスにも恵まれています。
オートロックや宅配ボックスなどの設備も完備されているのでしょうか。
はい。全部屋オートロックですし、宅配ボックスも設置してあります。いわゆる付帯設備ですかね、メジャーなところはだいたい全部ついているかなと。
付帯設備についても、ミサワホームさんからアドバイスがあったのでしょうか。
ほぼほぼ提案いただいた感じでした。トイレなども、こういった型の方がメンテナンスしやすいですよといったアドバイスをいただいたり、クロスについてもアクセントクロスを採用した方がいいと教えていただいたり、さまざまな観点で説明してもらいましたね。
4.「蔵を採り入れた感想」
今回、ミサワホームで物件を建てられたということで、ミサワホームと聞くと「蔵」にこだわっているイメージですが、実際どうでしたか。
建てた物件のうち、1部屋は蔵があります(笑)。
私自身は結構蔵を気に入っていて。なにより広いですし、荷物もそれなりに置くことができるのでいいなと思います。
実際に入居者を募集した際も蔵のある部屋が一番先に埋まりました。蔵があることによって中2階みたいな部屋ができるので、賃貸にしては天井の高いおしゃれな部屋ができあがるんですよね。小さいお子さんとかであれば、蔵の中に入って遊んだりもできるので、楽しいんじゃないかなと思います。
先ほど、もともと建っていたアパートが鉄骨造だったというお話があったかと思うのですが、木造に立て替えるにあたって不安はありましたか。
以前の物件が築50年以上もっていたこともあり、鉄骨から木造にするにあたって不安はありました。木造に対するイメージが正直あまりよくなくて、火災だったり、地震のときの耐久性だったり、心配なところが多かったんですよね。なので、ミサワホームさんにもそのことは話していましたし、実際に火災実験や震災性能がわかるような実験施設に連れていってもらいました。建物を目で見て納得した部分もありますし、東日本大震災のときもミサワホームの家は倒壊したケースが少なかったという話を聞いて、これならという感じでした。
あと、昔のアパートが50年以上もっていたものの、解体するときの費用もすごく高いんですよね。結局木造も今は30年くらいの保証期間がありますし、中には40年、50年ともっている木造住宅もたくさんあります。それなら木造でも鉄骨造でもそんなに変わらないねと。
5.「物件の管理と今思うこと」
物件の管理について教えてください。
依頼したハウスメーカーの不動産が入っていて、管理は完全にお任せになっています。入居者の募集や管理、退去にいたるまで全部やっていただいています。また、ミサワホームさんから写真付きで物件のレポートがもらえるので、少し汚れているようであれば業者を頼まずに自分たちで簡単に掃除をしてしまうときもあります。
家賃は、部屋によって幅がありますが11~12万円の間です。家賃設定も、周辺の物件と比較してもこれなら入ってくれるだろうといった金額を設定しています。
今の管理会社に依頼した決め手は?
とりあえず1年間はサブリース(家賃保証)があるとのことだったので、ちょっとやってみようかという感じでした。もし自分たちでもできそうだねという状況になれば、また考えます。
管理会社に不満はないのですが、やはり手数料(1.5%)がかかってしまうというのは正直あります。とは言え、建て替え前から満室で、空室が発生しにくい立地ということもあり、管理会社を挟まないよう見直すことは検討中です。
しばらくたったら昔お世話になった不動産に切り替えるのも検討中です。
解体、建築、そして今にいたるまでの資金繰りで何か、こうしとけばよかったなと思うことはありますか。
一番怖かったことは「あくまでも見積もりです」という一言。最初見積もりを取った時点で、かかるであろう費用を洗い出すだけ出してもらい、ミサワホームも細かく丁寧に計算してくれたので、他者と比べてもそこに対する不安は大幅に解消できたように感じています。
ミサワホームでは退去費用まで見積もりに入れてくれていましたが、他社ではその項目がなかったり……。金額上は同じに見えても、細かく見ていくとこっちには入っているけれど、こっちには入っていないねということがかなりありました。
この先、何か不安に思っていることや考えていることはありますか。
そうですね、やっぱり築年数の経過と共にあちこち傷んでくると思うので修繕にかかるお金は気にしています。また、電化製品などはやはりいつか壊れるものですし、今手元に入ってきている家賃収入にはなるべく手をつけずに貯めておくことを意識していますね。
最後に、これから土地活用をしようかと思っている型に対して何かアドバイスなどをいただけるでしょうか。
知識がある人はそんなに心配がないかもしれませんが、私のようにあまり詳しくない人は極力、複数の会社の意見を聞いた方がいいかなと思います。
今回でいうと、たとえば最初から木造にすると決めているのであれば、木造を売りにしている会社で見積もりを取って比較するとか、ですね。
複数社に見積もりを取ることで、価格交渉もしやすくなるんじゃないかと思います。ただ、あんまり声をかけすぎてしまうのも限界がきます。実際、私は仕事をしながらでしたので、3社ほどで限界だなと。
それから、詳しい人が身近にいるのであれば、その人の意見を聞いたりすると参考になるかと思います。相談したハウスメーカーの話だけを信じるのではなくて、第三者の目線も入れながら情報の確からしさを確認していくといいと思います。
(編集後記)
はじめて大家さんの場合、アパート立ち退き交渉⇒アパート建て替えというのは珍しいでしょう。不動産の知識があまりないとお話しされていましたが、見積もりの時点からきちんと不安点を洗い出し、一つ一つ着実に不安をクリアにされてから先に進むその姿勢からは学ぶところが非常に多かったように感じています。
※記事内の情報は全て取材当時のもの
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