「小規模宅地等の特例」とは?相続税を節税できる要件をわかりやすく解説
相続資産のなかに土地が含まれる場合、「小規模宅地等の特例」が使えると、土地の評価額を大きく下げることができます。
自宅として住んでいた土地だけではなく、事業で使っていた土地や、賃貸経営などに使っていた土地にも適用できるため、相続税対策として多くの方が利用しています。
ただし、この制度の適用を受けるためには、詳細な要件をクリアする必要があり、土地活用の段階から専門家のサポートが必要になります。
この記事では、はじめての土地活用や相続税対策をお考えの方に向けて、「小規模宅地等の特例」の制度をわかりやすく解説しながら、安心して土地活用ができるようご紹介します。
なお、相続はスタートしてしまうと、節税のためにできることが限られてきます。
相続が気になりはじめたら、土地活用も含めた節税のことを複数のプロに相談をして準備をしておく必要があります。
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この記事の内容
1.小規模宅地等の特例とは
「小規模宅地等の特例」とは、相続税の評価額を下げる効果がある制度です。
小規模の「宅地」として、住居などのある土地の評価が小さくなります。
もともとは、相続税の負担によって生活に欠かせない土地や建物を失うことがないようにするためにある特例です。
例えば、相続で引き継いだ自宅やアパートやマンションなどの宅地に対し、この特例が適用されると、最大で8割もの評価減があります。
ただし、この特例を使うためには要件をクリアする必要があります。
2.小規模宅地等の特例でよくある3つの土地要件・面積・減額割合
小規模宅地等の特例には、合計で8種の特例対象の土地があります。
その中でも一般的に特例が使われる3種類の土地は以下です。
- 特定居住用地等
- 特定事業用宅地等
- 貸付事業用宅地等
上記の中でも、「被相続人が住んでいた土地」か「生計が一緒の方が住んでいた土地」かで、さらに分けられます。
また、所有している土地が要件に当てはまる場合でも、相続にかかわるその他の資産や家族構成によって、相続内容が変わる可能性もあります。
適用条件が法的にクリアできていても、実際の相続で有効かを判断することは難しいため、必ず税理士や弁護士などにも確認のうえで進めるようにしてください。
以下の表は、3種の土地の要件と適用限度面積、減額割合をまとめたものです。
用途 |
限度面積 |
併用 |
減額% |
A…特定居住用宅地等:被相続人が住んでいた土地(自宅) |
330平米 |
併用可:730平米 |
80% |
B…特定居住用宅地等:被相続人と生計が一緒の方住んでいた土地(自宅) |
|||
C…特定事業用宅地等:被相続人が事業で使っていた土地 |
400平米 |
||
D…特定事業用宅地等:被相続人と生計が一緒の方が事業で使っていた土地 |
|||
E…貸付事業用宅地等:被相続人が不動産賃貸業で使っていた土地 |
200平米 |
条件による |
50% |
F…貸付事業用宅地等:被相続人と生計が一緒の方が不動産賃貸業で使っていた土地 |
参照:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
2-1.特定居住用宅地等(A・B 自宅として使っていた土地)
特定居住用宅地等とは、被相続人(亡くなった方)が自宅として住んでいた土地のことです。
Aの亡くなった方が「住んでいた」というのは、亡くなるときまで住民票があり、生活の本拠地として住んでいた家のことを指します。
Bの「生計が一緒の方」とは、お財布が一緒であるということです。
亡くなった方に別に家があっても、お財布が一緒である親族が住んでいるケースです。例えば、未婚の子が離れに住んでいるような場合です。
子が独立していて、親との生活費の援助のやり取りがない場合は、お財布が一緒とは言わないので、特例は適用されません。
ただし、二世帯住宅に関してはお財布が一緒でなくても、建物が区分登記されていなければ対象範囲に入ります。
詳細は「4-2.二世帯住宅に住んでいる」をご覧ください。
適用できる土地の広さは330平米(100坪)までです。
自宅として使っていた土地と、次項で説明する事業用に使っていた土地は、合わせて730平米までが適用の対象となります。
2-2.特定事業用宅地等(C・D 事業用に使っていた土地)
特定事業用宅地とは、亡くなった方が事業をしていた場合、その社屋・倉庫・工場などが建っている土地のことです。
ただし、この事業に不動産賃貸業は含まれません。
適用のためには、亡くなった方と同じ事業を、小規模宅地等の特例の申告期限まで継続しなければなりません。
また、事業用地は住宅ではありませんが、その場所や建物がなくなってしまうと、生計を立てるための方法がなくなってしまう場合を考慮して、小規模宅地の特例が適用されることがあります。
適用となる土地の広さは400平米(約133坪)までです。自宅として使っていた土地と合わせて730平米までが適用の対象となります。
2-3.貸付事業用宅地等(E・F 賃貸経営をしていた土地)
貸付事業用宅地とは、被相続人(亡くなった方)が、亡くなる前からアパート・貸家・駐車場などを賃貸しており、土地そのものを貸して地代収入がある土地のことです。
「他人に貸している土地」である必要があるため、相続のときに現在進行形で賃貸業が営まれている必要があります。
Fは、亡くなった方とお財布が一緒の親族が、亡くなった方の土地を使って不動産賃貸業をしている場合です。
貸付事業用宅地等は、3種の土地の中では最も限度面積が小さく、なおかつ併用にも条件があります。
相続財産の中に複数のタイプの土地がある場合は、どの土地に対して優先的に特例を使うと最大の節税効果が得られるかを、税理士などの専門家に相談し、対策を練っておく必要があります。
3.小規模宅地等の特例の対象になる人物
土地の用途や限度面積が特例の要件をクリアしていても、安心はできません。
さらにその土地を相続で取得する相続人にも、要件があります。
所有する不動産の中に、小規模宅地の特例の対象になる土地があった場合は、その特例を受ける人物を、誰にしたらよいのかを確認しておきます。
相続人となるので、基本的に配偶者・同居親族・同居親族が対象になります。
相続人の種類 |
適用要件 |
配偶者 |
無条件で小規模宅地等の特例を適用できる |
同居親族 |
相続税の申告期限までは自宅に居住し、土地を所有していること |
同居親族以外(家なき子の特例) |
適用にはさまざまな要件がある |
3-1.配偶者
配偶者には要件が必要ありません。無条件で特例が適用されます。
仮に、相続前に亡くなった方と一緒に住んでいない別居中だった配偶者であっても、特例の対象になります。
3-2.同居親族
同居の親族とは、亡くなった方と同じ家で生活をしている「配偶者および6親等以内の血族、3親等以内の姻族」のことです。
「姻族」とは普段使わない言葉ですが、亡くなられた方の親・子・孫が血族、配偶者の親などを指します。
3親等・6親等以内をわかりやすくすると、親子が1親等、祖父母・兄弟が2親等、叔父・叔母が3親等で、6親等はかなり広い範囲の親族となります。
例えば、相続が起きた際の法定相続人は、亡くなった方の子>父母・祖父母>兄弟姉妹の順番で、相続が優先されます。
しかし、亡くなった方の自宅に孫が同居していて、遺言によって故人の自宅を孫が相続する場合には、同居の親族として特例が適用されます。
参照:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
3-3.同居親族以外(家なき子の特例)
別居していた親族であっても、「家なき子の特例」が適用される場合があります。
「家なき子の特例」とは、亡くなった方の自宅に同居していなかった親族が相続する場合、「小規模宅地等の特例」が80%減額で使えるという特例です。
ただし、次の6つの細かな要件を満たす必要があります。
- 亡くなられた方に配偶者や同居の親族がいないこと
- 亡くなる3年以内前に持ち家に住んだことがないこと※1.
- 亡くなる3年以内前に3親等以内の親族の家に住んでいないこと※1.
- 亡くなる3年以内前に特別な関係の法人が所有する家に住んでいないこと※1.
- 相続開始時、住んでいる家を過去に所有したことがない※2.
- 相続開始から10か月以内に相続した土地を売却しないこと
※1.日本国内の家屋に限る
※2.日本国内だけでなく、国外の家屋も対象
参照:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
上記のように、「家なき子」はもともと住んでいない家を相続して、特例を適用させるためのもので、要件も厳しくなります。
節税対策や相続のことを考える際には、将来的にこのような相続人が存在する可能性も考えておく必要があります。
4.こんなとき「小規模宅地等の特例」は適用される?よくある4ケース
本章では、実際の相続が起きるときのシチュエーションをもとに、「小規模宅地等の特例」が適用されるよくあるケース4例をまとめています。
- 単身赴任していた
- 二世帯住宅に住んでいる
- マンションが自宅だった
- 亡くなった方が老人ホームに入居していた
4-1.単身赴任をしていた
亡くなられた方がもともとは同居していたものの、仕事の都合で単身赴任をしていた場合です。
相続が起きたときに同居していなかった場合でも、小規模宅地の特例が適用されます。
単身赴任はあくまで一時的なことであり、業務上やむをえないことです。
本来の生活拠点はもともと同居をしていた自宅ですから、赴任期間が終われば、ふたたび同居することが想定できます。
そのため、自宅に同居をしていた扱いになります。
4-2.二世帯住宅に住んでいる
二世帯住宅に住んでいる親子などで「区分登記されていない状態」(単独名義)の場合には、同居とみなされます。
区分登記とは、二世帯住宅を建て、1階部分を親の持ち物、2階を子の持ち物として登記を行うことです。
申請は任意ですが、区分登記をすると1つの棟に住居が2つあることになります。
区分登記がされていなければ、二世帯住宅内に生活する場所が2つあっても、その建物は1つであるとみなされます。
小規模宅地等の特例をフルに使うためには、建物を亡くなった方の単独名義(例:父の名義)にしておく必要があります。
共有名義の場合は、亡くなった方の持ち分のみ特例が適用されます。
4-3.マンションが自宅
亡くなった方の自宅がマンションだった場合、マンションの「敷地利用権」が小規模宅地等の特例の対象になります。
一般的に、分譲マンションを購入するときには、建物の区分所有権と土地の敷地利用権がセットになっています。
自宅として使っていたマンション(1棟内の区分所有)を相続すると、その敷地利用権も一緒に相続することになります。
適用要件は、宅地と同じように、亡くなった方が亡くなるまで住んでいたマンション、または亡くなった方が事業に使っていたマンション、人に貸していたマンションの3種類です。
特例が適用できる人物も、自宅と同じです。
注意する点は、築年数の古いマンションによっては、建物の区分所有権と土地の敷地利用権が一緒になっていない物件があることです。
変更登記をすれば特例の適用はできますが、時間とお金がかかります。
これから相続税対策をお考えの方で、マンションを所有している方は、登記の確認もしておいてください。
ただし、マンションに付随する宅地面積は大きくはないため、小規模宅地等の特例が適用できても、節税効果があまり感じられないかもしれません。
税理士などに相談をして、所有するマンションをどう扱うべきかを考えておく必要があります。
4-4.老人ホームに入居していた
高齢になった親に介護が必要となって老人ホームに入居し、そのまま亡くなるケースがあります。
その場合でも、次の3要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例が適用できます。
- 亡くなられた方が要介護認定、もしくは要支援認定を受けていること
介護のためにやむをえずにホーム入居していることが前提です。
- 自宅を賃貸にしていないこと
自宅を人に貸してしまうと、その時点で老人ホームが自宅になってしまうため、特例の適用ができなくなります。
法廷相続人ではない親族の誰かが貸してしまった場合でも、適用から外れますので注意してください。
- 都道府県知事への届け出がされている老人ホームに入居していること
老人福祉法にもとづいた、厚生労働省が許認可を出したホームを利用している必要があります。
ホーム選びの際には、将来の相続なども想定して、ホーム探しをする必要があります。
参照:厚生労働省「有料老人ホームの概要」(PDF)
上記の要件を満たしている必要があります。
例えば、亡くなった方とは別に生活拠点があり、介護のために週末だけ寝泊りしていた場合や、とても体調が悪くなった一時期だけ同居していたなどの場合は、適用外になります。
5.小規模宅地等の特例に必要な5つの書類
小規模宅地等の特例を受けるには、必要となる5種類の書類があります。
相続が実際にはじまってからそろえる書類なので、早くから用意しておく必要はありません。
- 被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本
- 住民票または戸籍の附表
- 遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
- 申告期限後3年以内の分割見込書(遺産分割でもめている場合)
5-1.被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本
戸籍謄本は、特例の適用となる方が法定相続人であることを証明するために必要です。
戸籍謄本の写しでも構いませんが、亡くなった方の死亡日から10日以後に作成された戸籍謄本を取得します。
死亡日から10日以後であるのは、死亡届の内容が戸籍に反映されるのが届出日の翌々開庁日以降となり、さらに本籍地ではない市区町村で死亡の届出をした場合には反映するまで1週間程度かかるためです。
そのため、相続税申告書に添付する戸籍謄本は「相続の開始の日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの」とされています。
参照:国税庁「相続税の申告の際に提出していただく主な書類」(PDF)
5-2.住民票または戸籍の附表
自宅に小規模宅地等の特例を適用する場合は、住民票や戸籍の附票の写しが必要です。
これは相続する方が、亡くなった方と同居していたことを証明する必要があるためです。
ただし、相続人がマイナンバーを持っている場合、住民票と戸籍の附表は提出する必要はありません。
5-3.遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写しは、相続の開始後、誰が宅地の相続人なのかを明らかにするために必要となります。
遺言書が自筆(自筆証書遺言)だった場合は、その内容が有効かどうかを家庭裁判所で検認してもらう必要があります。
5-4.相続人全員の印鑑証明書
相続人全員の印鑑証明書が必要となります。
これは、遺産分割協議書に押印した印鑑証明のために使います。
5-5.申告期限後3年以内の分割見込書(遺産分割でもめている場合)
「3年以内の分割見込書」は、相続税の申告期限までに遺産分割が整わない場合(未分割の場合)に提出します。
小規模宅地等の特例は、相続をする土地と人物が決まらないと適用ができません。
「3年以内の分割見込書」を提出しておけば、遺産分割協議が済んだときに、特例が使えるようになります。
分割見込み書は相続税の申告書に添付します。
参照:国税庁「申告期限後3年以内の分割見込書」書式(PDF)
6. 小規模宅地等の特例で注意すべきポイント
小規模宅地等の特例の利用を検討する際に、注意するべきポイントがいくつかあります。
- 小規模宅地等の特例には相続税の申告が必要
- 遺産分割協議でもめると、小規模宅地等の特例が使えなくなる
- 相続税申告期限前に売却すると特例が使えない
- 「相続時精算課税に係る贈与」で取得した宅地には適用できない
- 現金は人に貸す不動産に換えておけば節税できる
- 更地・空き地のままでは税金がかかるだけ
- 駐車場では大きな節税は期待できない
- 土地活用には3年以上の経営実績が必要。
- 特例を使うならアパート経営は順調でなければならない
- 小規模宅地等の特例を賢く使うなら事前にプロへ相談する
6-1.小規模宅地等の特例には相続税の申告が必要
小規模宅地等の特例は、相続に付随した制度なので、特例のみ単体で申請することはできません。
また、相続税の納付が必要ない場合も、特例を利用する必要がありません。
もし、相続のことが気になったら、まずは簡単な資産リストを作り、相続資産の総額がいくらになるのかを確認します。
また、国税庁 相続税の申告要否判定コーナーを使うと、簡易な入力で相続税のシミュレーション計算が無料でできます。
具体的な節税方法に関しては、「HOME4U土地活用」を活用し、土地活用プランを請求して複数の相続税対策になるプランを比較したうえで、税理士や弁護士などに相談することをお勧めします。
6-2.遺産分割協議でもめると、小規模宅地等の特例が使えなくなる
相続税の支払い期限は、相続開始から10か月以内です。
しかし、相続人が複数人いる場合は、申告期限までに遺産分割協議がまとまらない可能性があります。
小規模宅地等の特例の申請は、相続税申告書と一緒に提出する必要があるので、遺産分割協議がまとまらないと、誰に何を相続させるのかわからないため、特例制度を利用できません。
期限までに間に合わない場合は、「3年以内の分割見込書」を提出して、相続税の納付のタイミングで暫定的な相続税額を支払い、遺産分割協議がまとまってから4か月以内に特例の申請をすれば、支払い過ぎた分は返納されます。
参照:国税庁「B1-5 相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続」
ただし、同じ相続で複数回の手続きをする労力を考えると、遺産分割協議でもめないことが一番です。
そのためには、遺言書、生前贈与、生前の話し合いなどをして、相続がスムーズになるように家族で協力しあう必要があります。
6-3.相続税申告期限前に売却すると特例が使えない
小規模宅地等の特例は、遺族が生活や生計に困らないようにするための特例です。
適用の対象になる自宅などを、相続税の申告期限まで保有していることが要件になっています。
そのため、相続税の申告期限よりも前に売却をしてしまうと、特例は使えなくなります。
ただし、配偶者には適用要件がないので、期限前でも売却できます。
6-4.「相続時精算課税に係る贈与」で取得した宅地には適用できない
相続時の精算課税は、2,500万円までの贈与であれば贈与税は非課税にできます。
しかし、贈与した方が亡くなった時には、その方の遺産だけでなく、過去に生前贈与した分も一緒に相続税が課税されます。
これが、「相続時精算課税に係る贈与」(相続時精算課税)という制度です。
しかし、小規模宅地等の特例を適用するためには、土地を相続や遺言(遺贈)によって取得している必要があります。
相続時精算課税制度を使って土地を贈与してしまうと、「贈与」で土地を取得したことになり、小規模宅地等の特例の対象外になります。
さらに、相続時精算課税は一度申請すると後で撤回ができないため、注意が必要です。
参考:国税庁「参考 相続時精算課税制度のあらまし」
6-5.現金は人に貸す不動産に換えておけば節税できる
現金資産が多い方は、現金をアパート経営などの人に貸すための不動産に換えておくと、相続税対策になります。
相続税の評価額は、現金はそのままの金額が課税対象になりますが、不動産は市場価格の7割程度に換算され、さらに小規模宅地等の特例などが適用でき、大きな節税効果を発揮します。
相続は資産の内容と相続人とのバランスによって、最大限に節税できる組み合わせが変わってきます。
しかし、相続発生時に現金がたくさんあると、遺族ができる節税対策はほぼないので、現金は不動産に換えておく方が、突然の相続が起きた際にも、ご家族と資産を守ることができます。
どのような賃貸不動産にしておくのかは、一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができる、NTTデータグループが運営する「HOME4U土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
一度にたくさんの土地活用プランやアパート建築プランが比較でき、現金資産に合わせたプラン選びができます。
6-6.更地・空き地のままでは税金がかかるだけ
所有はしているものの、更地や空き地のままでほとんど土地を活用していない場合は、想定よりも高い税金がかかっている可能性があります。
土地は更地のままでは固定資産税が満額請求されます。
しかし、土地の上にアパートなどの住居を建てると、小規模宅地の特例が適用され、固定資産税が1/6になります。
アパート経営をすると、入居者には借家権という権利が発生し、相続が発生した場合にも、相続人がその土地や建物を自由にできないという配慮から、「貸家建付地」の特例が適用されて一定の割合が土地の評価額から減額されます。
参照:国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」
さらに人に貸している住宅にも小規模宅地等の特例は適用されるので、その他の特例と合わせて大きな節税が期待できます。
所有する土地を何も活用していない場合は、将来の相続対策として何らかの土地活用を検討しておくことをお勧めします。
6-7.駐車場では大きな節税は期待できない
土地を駐車場として使っている、または活用する予定がある場合、次の内容であれば特例が適用できます。
駐車場経営の土地は、貸付事業用地になります。
- 自用で使っている
自家用として使っている駐車場は、自宅の一部とみなされるので、自宅用(特定居住用宅地等)の特例が適用できます。
- 賃貸住宅や事業所などで利用する駐車場である
アパート入居者が利用するための駐車場は、アパートと同じ敷地内にある場合のみ、アパート経営に付随するものとして特例が適用できます。
同じ理由で、事業用社屋や工場に続いている駐車場も適用できます。
離れた場所にある駐車場に関しては、周辺条件を合わせて判断されるので、税理士などの専門家に確認しておく必要があります。
- アスファルト舗装された駐車場経営をしている
アスファルトは構造物としてみなされるため、宅地が構造物の敷地として使われているので事業用の特例が適用できます。
同じ駐車場経営でも、青空駐車場やコンクリート敷の場合は、特例自体が適用できませんので、土地活用の際には注意してください。
- コインパーキング会社に貸している
コインパーキング会社が運営する駐車場も、アスファルト舗装されていれば適用されます。
特例の適用のためには、誰が経営しているかではなく、敷地が構造物のために使われているかどうかが重要です。
上記のように、駐車場で小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、敷地を構造物のために利用しているか自用で使っている必要があります。
自用で使う場合は、自宅に住んでいる方が使う、家についている駐車場としてみなされる必要があり、複数ある駐車場の一部を親族が使うケースでは適用されません。
また、お金はもらっているが親族に格安で貸す駐車場も、事業とはみなされないため、適用外です。
事業であるかどうかの判断は、「その収益で経営が成立しているか」です。親族割引をしたとしても、年間収支で黒字になる金額にしておく必要があります。
駐車場のためのアスファルト舗装は、暫定的な土地活用としては初期費用も高く、節税効果としても限定的といえます。
将来の相続税対策として土地活用をお考えの場合は、できるだけアパートやマンションなどの人に貸す住宅を前提にご検討いただき、駐車場は賃貸不動産に付随する形にすると、土地からの節税効果を最大にできます。
6-8.土地活用には3年以上の経営実績が必要
小規模宅地等の特例は、相続を開始する直前3年以内に新たにスタートした事業用宅地には適用できません。
そのため、アパート経営によって相続税対策を検討している場合は、相続が始まる前の段階で、丸3年以上の経営実績が必要です。
アパート建築には約1年、その前のプラン比較などにも最低半年くらいの期間が必要です。
相続税対策として賃貸経営をするのであれば、最低でも4~5年を見ておく必要があります。
ただし、すでに経営中のアパートがある場合は、新規に建てるアパート経営が3年未満でも特例の対象になります。
相続がいつ始まるかは誰にもわかりません。相続のことが気になりだしたら、早めの準備を始めておくのがお勧めです。
まずは「HOME4U土地活用」で、複数の土地活用プランを請求し、どのような賃貸経営ができるのかを比較検討してください。
6-9.特例を使うなら賃貸経営は順調でなければならない
相続税対策としてスタートする賃貸経営は、先々も順調に経営できるかを考えておく必要があります。
小規模宅地等の特例を適用させるためには、相続が起きた時点で、現在進行形で順調な経営が行われている必要があります。
例えば、空室が多くて年間収支が悪い状態のアパートは、たとえ3年以上経営を継続していても、適用外になる可能性があります。
これは、小規模宅地等の特例の本来の目的が「相続によって、生活や生計に必要な宅地を失うことから守るため」にあることから、相続税対策のためだけに行われた賃貸経営は、特例の目的に沿っていないと判断されるためです。
確実に制度を適用させたいのであれば、空室が出たらすぐに入居者を募集し、空室は全体の2割程度までで済むような一般的な経営努力が必要です。
順調な賃貸経営をするためには、エリアのニーズに沿った賃貸物件を作る必要があり、さらに長期にわたって黒字経営ができる経営計画が必要です。
6-10.小規模宅地等の特例を賢く使うなら事前にプロへ相談する
大きな節税効果を期待できる小規模宅地の特例を利用するには、最も大きな効果が期待できるように考えて準備をしておく必要があります。
適用のためには必要な要件をクリアしなければなりません。
相続がはじまったあとになってから「もっと有利に特例が使えたはずなのに」と後悔しても、何もすることができません。
将来の節税対策として土地活用するためには、一人で考えるよりも土地活用や相続税対策の経験が豊富な専門家の助けを借りる方が、より良いアイデアを出してもらえます。
税金のことに関しては税理士、法律に関しては弁護士、そして土地活用に関してはプロのハウスメーカーや建設会社にサポートを受けるのが良いと言えます。
NTTデータグループが運営する「HOME4U土地活用」であれば、土地活用と相続税対策の実績が多いハウスメーカーや建築会社に相続税対策を含めたさまざまな土地活用プランを提案してもらえます。
一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができるで、節税にも強い土地活用の方法を提案してくれるパートナー企業探しに最適です。
数多くの候補の中から、節税対策にも土地活用にもピッタリなプランが見つかります。
気になるプランがあれば、現地調査をしてもらうことで、より具体的な提案をしてもらえます。
7.小規模宅地等の特例を賢く利用して相続税の節税を
小規模宅地等の特例は、相続の際に宅地の評価額を最大で8割減にまでできる特例です。
上手に活用すれば、大きな節税効果が期待できます。ただし、要件を満たしている必要があるので、事前の準備を整えておく必要があります。
将来の相続税対策と土地活用の両方が気になる方は、まずは「HOME4U土地活用」で、どのような土地の活用方法があるかを確認してください。
そのうえで、税理士や弁護士にも相談をして万全な準備をしておくようにしてください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。