【初心者向け】「遺産分割協議書作成」にかかる費用と手間について
本記事では、遺産分割協議書の作成に要する費用と手間について解説します。
この記事を読むと、
- 遺産分割協議書を作成できる人
- 自分で作成する場合と専門家に依頼する場合の費用相場
- 遺産分割協議書作成の流れ
といったことがわかります。
1.遺産分割協議書を作成できる人とは
遺産分割協議書は
- 相続人自ら
- 各専門家
上記の人が作成できます。
1-1.遺産分割協議書は自分で作成できる!
遺産分割協議書は、相続人自ら作成可能です。
相続人全員で遺産分割協議を行い、その協議内容を文書に記録します。
自分で作成すると、協議書の作成費用を抑えられる点がメリットです。
一方で、無効にならないよう注意しなければなりません。
遺産分割協議書は、協議の形式や書類の記載事項などに不備があれば無効となることがあります。
相続人が自分で協議書を作る際は、以下の点に気をつけましょう。
- 相続人全員が協議に参加していることを確認して作成する
- タイトルは「遺産分割協議書」とする
- 作成年月日を記載する
- 署名は手書きにする
- 被相続人の情報を記載する(氏名、死亡日、最終本籍地・住所など)
- どの相続人がどの遺産を相続するか明記する
- 借金等があれば債務も記載する
- 相続人全員の住所・氏名を記載の上、実印(認印不可)にて押印する
- 遺産分割協議書を2通以上作成する場合は割り印を押す
また、遺産相続手続き全体を自分でする方法に関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので併せてご確認ください。
1‐1‐1.信用性を高めるなら公正証書にする方法も
遺産分割協議書の信用性を高めるなら、公証人に作成してもらい公正証書にすることも一つの手です。
公正証書にすることで、
- 相続手続きがスムーズに進みやすい
- 後のトラブルを防げる
- 無効にならない
といった利点があります。
また、公正証書にすれば協議書の原本が公正役場に保管されるため、紛失の心配がない点もメリットです。
なお、公正証書に関する詳細は、日本公証人連合会のホームページも併せてご確認ください。
参考:日本公証人連合会「遺産分割協議」
1-2.専門家に依頼する
遺産分割協議書は、専門家へ依頼して作成することもできます。
作成を依頼できる専門家は、以下のとおりです。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
専門家に依頼すれば、遺産分割協議が無効になる心配もなく、スムーズな相続手続きを期待できます。
しかし、専門家ごとに対応できる業務範囲が異なることや費用がかかることは難点です。
専門家への依頼を検討するなら、あらかじめ依頼内容を整理し頼みたいことに対応しているか調べておきましょう。
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | |
---|---|---|---|---|
遺産分割協議書の作成 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
遺産分割協議の代理交渉 | 〇 | × | × | × |
相続税申告 | △(※1) | × | × | 〇 |
不動産登記 | △(※2) | 〇 | × | × |
自動車の名義変更 | 〇 | × | 〇 | × |
(※1)税理士業務を行う旨を国税局長に通知した場合
(※2)窓口になり司法書士に一任することがほとんど
参考:国税庁「税理士制度」
相続した土地の活用にお困りなら「HOME4U 土地活用」が便利です。最大10社から無料でご所有の土地に合った活用プランを受け取れます。
2.遺産分割協議書の作成にかかる費用
遺産分割協議書の作成にかかる費用は、自分で作成した場合と専門家に依頼した場合で大きく変わります。
それぞれの費用相場は以下の表のとおりです。
作成者 | 費用相場 |
---|---|
自分で | 0円~ |
弁護士 | 依頼者の経済的利益に応じて |
司法書士 | 6~7万円ほど(※不動産登記手続きを含む) |
行政書士 | 3~5万円ほど(※書面のみ) |
税理士 | 遺産総額の0.5~1.0%ほど (※相続税申告手続きを含む) |
2-1.自分で作成する場合
相続人が自分で遺産分割協議書を作成するなら、作成のための費用はかかりません。
協議書を作成するにあたり必要な書類を集めるための費用のみで済みます。
必要書類の取得費は、1通300~600円程度です。
2-1-1.公正証書の場合は費用がかかる
公正証書とする場合は作成手数料がかかります。
手数料は、以下のとおりです。
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え 200万円以下 |
7,000円 |
200万円を超え 500万円以下 |
11,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万円を超え 1億円以下 |
43,000円 |
1億円を超え 3億円以下 |
43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額 |
3億円を超え 10億円以下 |
95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額 |
10億円を超える 場合 |
249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額 |
参考:日本公証人連合会「手数料」
公正証書の作成手数料は、相続の価額に比例して高額になります。手数料を踏まえたうえで公正証書とするか、または専門家へ依頼するか決めると良いでしょう。
2-2.弁護士に依頼する場合
弁護士の費用は、依頼者の経済的利益に応じて決定されます。
これは、かつて「日本弁護士連合会」が定めた報酬基準と同様です。
現在、この報酬基準は廃止され弁護士費用は自由化されていますが、今でも基準を参考にしている弁護士は多く費用相場の目安になっています。
依頼者の経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
300万円以下 | 8% (最低額10万円) |
16% |
300万円超~ 3,000万円以下 |
5%+9万円 | 10%+18万円 |
3,000万円超~ 3億円以下 |
3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円超 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
出典:「(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準」
なお、弁護士に相談する際は、相談料がかかります。
相談料は30分ごとに5,000円~1万円の範囲が相場価格です。また、事務所により相談料を設けていないところもあります。
2-3.司法書士に依頼する場合
司法書士の費用は相談内容や地域により変動しますが、およそ6~7万円が相場です。
以下は、司法書士連合会による報酬アンケート(2018年1月実施)の結果となります。
地区 | 低額者10%の 平均 |
全体の 平均値 |
高額者10%の 平均 |
---|---|---|---|
北海道地区 | 28,320円 | 60,983円 | 97,843円 |
東北地区 | 35,457円 | 60,983円 | 99,733円 |
関東地区 | 39,212円 | 65,800円 | 103,350円 |
中部地区 | 37,949円 | 63,470円 | 116,580円 |
近畿地区 | 45,842円 | 78,326円 | 118,734円 |
中国地区 | 37,037円 | 65,670円 | 111,096円 |
九州地区 | 38,021円 | 62,281円 | 96,892円 |
出典:「司法書士連合会による報酬アンケート結果」
上記は、相続に伴う不動産登記手続きを受任し、遺産分割協議書等の作成を代理した場合にかかる費用です。
なお、相続登記にかかる費用や必要書類などの詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
2-4.行政書士に依頼する場合
行政書士の費用は、書面のみの作成依頼であれば3~5万円ほどかかります。
そのほか、書類作成に必要な書類の収集等も依頼する場合、依頼の範囲に応じて1万円~5万円程度プラスされるイメージです。
2-5.税理士に依頼する場合
税理士の費用は、遺産総額の0.5~1.0%が相場となります。
たとえば、遺産総額が5,000万円なら25万円~50万円が費用相場です。
税理士に依頼する場合は、遺産分割協議書の作成だけでなく相続税の申告も併せて頼むことが多くなります。
そのため、税理士費用には相続税の申告まで含められていることが一般的です。
3.遺産分割協議書作成の流れ
最後に、遺産分割協議書作成の流れを解説します。
主な流れは、以下のとおりです。
- 相続人の調査・確定
- 被相続の財産調査・確定
- 遺産分割協議・協議書作成
3-1.【手順①】相続人の調査・確定
第一に行うべきことは、相続人の確定です。
遺産分割協議は、相続人全員が参加して実施しなければ無効となってしまいます。
そのため、まず相続人の調査と確定が必要です。
なお、相続人は、被相続人の誕生から死亡するまでの戸籍謄本を取得し親族にあたる人をすべて洗い出すことにより調べられます。
3-2.【手順②】被相続人の財産調査・確定
第二に、被相続人の財産をすべて調査し確定します。
調査する財産は、不動産や預貯金などの資産だけでなく、被相続人が返済中の債務等の負債も対象です。
また、死亡保険や死亡退職金といったみなし財産(被相続人の死亡をきっかけに受け取れる財産)も対象となります。
3-3.【手順③】遺産分割協議・協議書の作成
最後に、遺産分割協議と協議書の作成です。
協議は、遺産の分割方法について話し合い、全員の合意が取れたら協議の内容を協議書に記して相続人全員が署名捺印して締結します。
なお、協議書は原本のほか相続人の人数分の控えが必要です。
不動産の名義変更等を行う相続人の代表者が原本を所有し、そのほかの相続人は控えを手元に保管します。
遺産分割協議書の作成費用は、依頼先によりまちまちです。
作成者 | 費用相場 |
---|---|
自分で | 0円~ |
弁護士 | 依頼者の経済的利益に応じて |
司法書士 | 6~7万円ほど (※不動産登記も一緒に行った場合) |
行政書士 | 3~5万円ほど(※書面のみ) |
税理士 | 遺産総額の0.5~1.0%ほど |
詳しい費用については「2.遺産分割協議書の作成にかかる費用」にて解説していますので、ご一読ください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。