【初心者向け】「家なき子特例」とは?|ミスなく活用するための基礎知識
本記事では、相続の際に「家なき子特例」を活用する基礎知識を初心者向けに解説していきます。
この記事を読むと、
- 「家なき子特例」の概要
- 「家泣き子特例」を活用した場合、どれだけ相続税の節税効果があるのか
- 「家なき子特例」の対象になる人や適用条件
がわかります。
なお、実家や親の土地を相続した際の節税対策の詳細は、以下記事で解説していますので、併せてご確認ください。
この記事の内容
1.家なき子特例の正式名称は「小規模宅地等の特例」
「家なき子特例」とは、被相続人(亡くなった人)と同居していない相続人でも「小規模宅地等の特例」を利用できるようになる制度です。
制度を活用すれば、相続税の課税額を80%減額でき高い節税効果を期待できます。
家なき子特例を活用するには、適用要件を満たさなければなりません。
特例の概要や適用要件は、以下のとおりです。
正式名称 | 小規模宅地等の特例(の例外) (正確には、本来亡くなった人と同居している場合にしか使えない「小規模宅地等の特例」を同居していない相続人でも利用可能になる例外的なケースを指して「家なき子特例」と読んでいる) |
---|---|
制度の内容 | 相続人と同居していない親族が住居等を相続する場合に、相続税の課税額が80%減額される |
対象者
(適用条件) | 相続人が以下の5つの条件すべてに当てはまっている場合のみ適用される
|
適用される土地・ 宅地の限度面積 |
330平方メートル(居住用住宅の場合) |
必要書類 |
|
参考:国税庁|「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
1-1.家なき子特例が適用される5つの条件
家なき子特例の適用要件は、以下のとおりです。なお、以下の適用要件はすべて満たす必要があります。
- 日本国籍を保有している
- 亡くなった人に配偶者や同居の相続人がいない
- 相続開始前の3年間、一定条件を満たす持ち家に住んでいない
- 相続開始時・前ともに住居を所有したことがない
- 相続開始後10ヶ月以上所有すること
1-1-1.【適用要件①】日本国籍を保有している
第一に、相続人が日本国籍を保有していることが条件です。
日本で納税をしている場合でも、外国籍の相続人は家なき子特例の適用を受けられません。
1-1-2.【適用要件②】亡くなった人に配偶者や同居の相続人がいない
第二に、相続開始直前に亡くなった人(被相続人)に日本国籍を持った同居の配偶者・親族がいないことです。
相続の放棄があった場合でも、同居の配偶者・親族がいる時は放棄がなかったものとされます。
つまり、亡くなった人が親族と同居していない状態でなければなりません。
1-1-3. 【適用要件③】相続開始前の3年間一定条件を満たす持ち家に住んでいない
第三として、相続開始前の3年間に一定条件を満たす持ち家に住んでいないことも条件になります。
一定条件の内容は、以下のとおりです。
- 相続人の持ち家
- 相続人の配偶者の持ち家
- 相続人の3親等以内の持ち家
- 相続人と特別関係がある一定の法人の持ち家
また、持ち家でなくとも相続人本人に近い親族が経営する会社が所有する家に居住している場合は、家なき子特例の対象外となります。
1-1-4.【適用要件④】相続開始時・前ともに住居を所有したことがない
第四に、相続開始時および以前にも住居を所有していないことです。
2018年(平成30年)の改定時に加えられたもので、相続人が相続開始時または前において一度でも住居を所有していれば「家なき子」に該当しないことになりました。
1-1-5.【適用要件⑤】相続開始後10ヶ月以上所有すること
第五の条件は、相続した宅地等を相続開始から相続税申告期限まで所有していることです。
相続税の申告書に家なき子特例適用を受ける旨を記載するため、申告期限まで所有する必要があります。
1-2.家なき子特例が適用できる土地・宅地面積
亡くなった方の居住用に供されていた宅地等の場合、宅地面積の上限は330平方メートルです。
また、家なき子特例が適用できる宅地面積は、相続開始直前の利用区分により異なります。詳細は国税庁の専用サイトからご確認ください。
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2.家なき子特例を活用した場合の課税額シミュレーション
次に、家なき子特例を活用した場合としなかった場合の課税額をシミュレーションして比較します。
本章では、相続税評価額6,000万円の不動産を、配偶者なし、子ども1人で相続するケースを事例に挙げて、課税額を算出します。
両者の比較結果は、以下のとおりです。
事例: 評価額6,000万円の土地を 子どもが1人で相続する場合 |
相続税の金額 |
---|---|
家なき子特例を 適用した場合 |
【課税額から80%減額】 【課税額:評価額-基礎控除】 【相続税額】0円 |
家なき子特例を 適用しなかった場合 |
【課税額:評価額-基礎控除】 【相続税額】 |
上記の事例では、家なき子特例の適用を受けるか否かで課税額に310万円もの差がでることが分かりました。
この結果から見ても、特例を活用することで節税につながることが分かります。
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3.家なき子特例を活用する際の注意点
家なき子特例を活用するときの注意点は、以下2つです。
- 相続人が過去に一度でも持ち家を所有していれば適用対象外
- 相続税の申告が必要
3-1.相続人が過去に一度でも持ち家を所有していれば適応対象外
家なき子特例は、2018年(平成30年)の改正に伴い適用要件が増え、基準が厳しくなりました。
従来、相続開始前の3年間に持ち家を所有していないことが要件だったのが、過去に持ち家に居住していた場合は対象外になっています。
これまで一度でも持ち家に住んだことがある場合、特例の適応対象外となることを覚えておきましょう。
3-2.相続税の申告が必要
家なき子特例の利用は、相続税申告時に申し出ます。そのため、特例を使うときは相続税税が非課税であっても相続税の申告手続きが必要です。
特例の「特定居住用宅地等である小規模宅地等」の要件を満たすには、相続人が相続税申告まで相続した住宅に居住していなければなりません。
なお、相続税の申告手続き等は以下記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
4.家なき子特例を利用するために必要な書類
家なき子特例適用を受けるために必要な書類は以下のとおりです。
必要書類 | 備考 |
---|---|
亡くなった方の戸籍謄本または法定相続情報一覧図(写し) | 亡くなった方に配偶者や同居していた親族がいないことの証明。戸籍謄本は相続開始日(亡くなった日)から10日以降に作成されたものを取り寄せる。 |
相続人の戸籍の附票(写し) | 亡くなる前3年以内に住んでいた場所の証明。戸籍の附票は相続開始日(亡くなった日)から10日以降に作成されたものを取り寄せる。 |
遺言書または遺産分割協議書(写し) | 対象の土地家屋を家なき子特例を活用する相続人が相続していることの証明。 |
相続人全員の印鑑証明書 | 遺産分割協議書に押印した印鑑を使用する。 |
賃貸借契約書や登記事項証明書(写し) | 賃貸マンションや賃貸アパートに居住しており、本人・配偶者・3親等以内の親族の持ち家に居住していない証明。 |
|
亡くなった方が老人ホーム等に入所していた場合に必要。 |
上記の書類とともに、相続税の申告書に家なき子特例適用を受ける旨を記載します。
5.まとめ
「家なき子特例」を利用すれば、亡くなった人と同居していない相続人でも「小規模宅地等の特例」を利用でき、高い節税効果を期待できます。
実家や親の土地を相続した際の節税対策の詳細は、以下記事で解説していますので、併せてご確認ください。
なお、不動産相続をスムーズに進めるには、相続に強い不動産会社を頼ることが賢明です。
「HOME4U 土地活用」では、60秒で最大10社の相続に強い不動産会社にプラン請求できます。相続を控えている方はもちろん、早めに相続対策を講じたい方はぜひご活用ください。
家なき子特例とは、被相続人(亡くなった人)と同居していない相続人でも「小規模宅地等の特例」を利用できるようになる制度のことです。
特例の適用対象となれば、相続税を80%減額できます。
家なき子特例の詳細は「1.家なき子特例の正式名称は「小規模宅地等の特例」」にて解説しています。
適用要件は、以下5つです。
- 日本国籍を有している
- 亡くなった人に配偶者や同居の相続人がいない
- 相続開始前の3年間一定条件を満たす持ち家に住んでいない
- 相続開始時・前ともに住居を所有したことがない
- 相続開始後10ヶ月以上所有すること
詳細は「1‐1.家なき子特例が適用される5つの条件」にて解説していますので、ご確認ください。
- 亡くなった方の戸籍謄本または法定相続情報一覧図(写し)
- 相続人の戸籍の附票(写し)
- 遺言書または遺言分割協議書の(写し)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 賃貸借契約書や登記事項証明書(写し)
- 亡くなった方の戸籍の附票(写し)※
- 亡くなった方が要介護・要支援の認定を受けていたことを証明できる書類※
- 施設入所時における契約書(写し)※
※亡くなった方が老人ホーム等に入所していた場合に必要
詳細は「4.家なき子特例を利用するために必要な書類」をご確認ください。
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