アパートの構造や工法は、どれを選ぶかによって建築費に大きな差が出ることもあるため、予算を考える上でも重要なポイントです。また、建てたいアパートのスタイルによっては選択できない構造もあります。
アパートの構造でよく選ばれるのは以下の構造です。
木造(W造) |
軽くて加工性が良い。建築費が安い。 |
鉄骨造(S造) |
鉄骨の厚みによって軽量と重量がある。広い空間取りができる。アパートに多い構造。 |
鉄筋コンクリート造(RC造) |
鉄筋とコンクリートで骨組みを形成する構造の総称。耐火性に優れる。 |
そこでこの記事では、アパート経営を始める前に知っておきたい構造の基礎知識について丁寧に解説します。
アパートの工法について一歩踏み込んだ知識を得ることで、自分自身のアパート経営の選択肢の幅を広げることができるようになります。アパート建築について不安や悩みがある方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U 土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。
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1.アパートでよく選ばれる構造とは
1-1.構造と工法一覧
建築の世界では、構造と工法、材料の3つが密接不可分に関係しています。
構造とは、幾つかの部分から全体を成り立たせる組立てのことです。
工法とは、加工や工事の方法のことを指します。
材料とは、加工してアパートにする原料や資材です。
主な工法と構造、材料をおおまかに分類すると下図のようになります。
|
木造 |
鉄骨造 |
鉄筋コンクリート造 |
軸組構造
・
ラーメン構造 |
軸組構造 |
ラーメン構造 |
在来工法(現場で施工)
※ただし鉄骨造においては、プレハブ工法を用いるケースもある |
壁構造 |
プレハブ工法(ある程度を工場で構築) |
ツーバイフォー |
パネル工法 |
壁式PC |
構造には柱と梁で建物を支える「軸組構造/ラーメン構造」と、壁で建物を支える「壁構造」の2種類があります。材料に基づく構造の呼び名は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造です。
工法については現場で施工する在来工法と、ある程度を工場で作るプレハブ工法に分かれます。
特に壁構造ではプレハブ工法が多く採用されています。
アパートでは、鉄骨造に関しては、軸組構造でもプレハブ工法が用いられることがあります。
1-2.木造(W造)
木造はアパートにもよく採用される構造です。
木造は、軽量で、部材重量の割に強度があります。断熱性も良く、感触が良いなどもメリットです。
木造は軽くて加工性が良く、国内で調達できるため古くから日本の主要な建築資材として用いられてきました。
ただし、木造には燃えやすい、腐朽しやすい、虫害を受ける、変形しやすいなどのデメリットも存在します。
1-3.鉄骨造(S造)
鉄骨造は、じん性(粘り強さ)に富んでおり、コンクリートに比べ軽いため、広い空間を必要とする建物や超高層建築物を建てるのに適しています。
短所は、熱に弱く、火災時の温度上昇によって強度の低下や変形を生じやすいため、耐火材量で被覆する必要がある点です。また、サビが生じやすく、耐食性に乏しい材料であるため、防サビのための塗装を要します。
鉄骨造は、一般的に鉄骨の厚みが6ミリ以下のものを「軽量鉄骨」、6ミリを超えるものを「重量鉄骨」と呼んでいます。アパートでよく採用されるのは軽量鉄骨です。3階建て以上のアパートの場合には重量鉄骨とするハウスメーカーもあります。
1-4.鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造とは、鉄筋とコンクリートにより骨組みを形成する構造の総称です。
柱・梁を剛に接合するラーメン構造が一般的ですが、低層の住居の場合は構造耐力を持つ壁と床版のみで構成する壁式構造も見られます。
コンクリートは、圧縮力に対する強度はありますが、引っ張りには非常に弱いです。それに対して鉄筋は引っ張りには非常に強く、圧縮には弱い性質を持っています。
また、鉄筋はアルカリ性であるコンクリートで覆われていることでサビにも強く、コンクリートが耐火被覆となっているため熱にも強い構造です。
つまり、コンクリートと鉄筋は、お互いに相互補完する性質を持っており、この特性を上手く組み合わせた鉄筋コンクリートは高い性能を持つ構造体となっています。
4階建て以上のアパートなどの共同住宅には鉄筋コンクリート造が多く採用されています。
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2.アパート構造のメリット・デメリット比較
この章では建物構造について比較してみます。特徴やメリット・デメリットを比較することで、どの構造が所有地に建てるアパートに最適かを見出しやすくなるでしょう。
2-1.メリット・デメリット比較表
アパート建築で主に採用される3つの材質構造についてメリット・デメリットを比較してみました。
構造 |
メリット |
デメリット |
木造(W造) |
- 建築コストを抑えられる
- 快適性の高い居住空間
- 設計に柔軟に対応
|
|
鉄骨造(S造) |
- 工期が短縮できる
- 広い空間取りが可能
- 害虫の発生リスクが小さい
|
- 減価償却期間が短い(軽量)
- 耐火性能は高くない
- サビ対策が必要
|
鉄筋コンクリート造(RC造) |
- 耐火性能が高い
- 耐震性に優れている
- 遮音性が高い
- 法定耐用年数が長い
|
- 室内に柱が張り出す可能性がある
- 結露しやすい
- 建築コストが高い
|
立地や土地の形状、経営の方針によって最適な構造は変わります。目指す経営のかたちのネックとなるデメリットがある構造を避けるとよいでしょう。
2-2.構造別特徴一覧
構造は使われる材料によって、木材は「木造」、鉄骨は使う鋼材の厚さが6ミリ以下※の場合「軽量鉄骨」、6ミリを超える場合は「重量鉄骨として区分されます。
※4ミリ以下の場合もあり
それぞれの一般的な特徴の違いを鉄筋コンクリート造とともにまとめると、以下の表のようになります。
構造 |
建築 コスト |
工期 |
間取りの 自由度 |
耐火・ 耐震・ 耐久性 |
断熱性 |
遮音性 |
法定耐用 年数 |
年間経費 計上金額 |
木造(W造) |
低 |
短 |
高 |
低~中 |
高 |
低~中 |
22年 |
多 |
鉄骨造 (S造) |
軽量鉄骨 |
中 |
中 |
中 |
中 |
中 |
中 |
19年、 27年 |
中 |
重量鉄骨 |
中 |
中 |
中 |
中 |
中 |
中 |
34年(※) |
中 |
鉄筋コンクリート造 (RC造) |
高 |
長 |
中 |
強 |
高 |
強 |
47年 |
少 |
木造(W造) |
建築コスト |
低 |
工期 |
短 |
間取りの自由度 |
高 |
耐火・耐震・耐久性 |
中 |
断熱性 |
高 |
遮音性 |
中 |
法定耐用年数 |
22年 |
年間経費計上金額 |
◎ |
鉄骨造(S造): 軽量鉄骨 |
建築コスト |
中 |
工期 |
中 |
間取りの自由度 |
中 |
耐火・耐震・耐久性 |
中 |
断熱性 |
中 |
遮音性 |
中 |
法定耐用年数 |
19年、 27年 |
年間経費計上金額 |
中 |
鉄骨造(S造): 重量鉄骨 |
建築コスト |
中 |
工期 |
中 |
間取りの自由度 |
中 |
耐火・耐震・耐久性 |
中 |
断熱性 |
中 |
遮音性 |
中 |
法定耐用年数 |
34年(※) |
年間経費計上金額 |
中 |
鉄筋コンクリート造(RC造) |
建築コスト |
高 |
工期 |
長 |
間取りの自由度 |
中 |
耐火・耐震・耐久性 |
強 |
断熱性 |
高 |
遮音性 |
強 |
法定耐用年数 |
47年 |
年間経費計上金額 |
少 |
※主要構造が4ミリを超える鋼材を使用した場合
鉄筋コンクリート造が高い機能や性能を備えていることがわかります。
2-3.構造別向いている土地と規模
鉄筋コンクリート造は高額な建築コストになるため、4、50坪程度の土地に建つ比較的小規模な賃貸住宅の場合、木造と鉄骨造の2つが主な選択肢となるでしょう。
そのため、木造と鉄骨造のどちらを選択すべきか迷う方は少なくありません。
建築技術や建材が向上している現代において、壁材の種類や工法によっては各構造のデメリットをカバーすることも可能です。どの構造を選ぶかの基準はひとつではありません。実際の建築プランから選択するほうが現実的といえるでしょう。
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アパートの建築費はいくら?
3.防音性能はアパート構造によって違いあり?
アパートなど賃貸集合住宅にとって、防音性能は入居の決め手となることもあるほど大きなポイントです。本章では構造によって防音性、遮音性は違うのかを解説します。
3-1.防音性能が高いのは鉄筋コンクリート造
アパートの代表的な構造別の防音性能を比較すると以下のように示せます。
もっとも防音性、遮音性に優れているのは壁面にコンクリートを使用する鉄筋コンクリート造です。壁面や床面に流し込まれた高密度のコンクリートによって室内への音の侵入をブロックします。
重量鉄骨造は鉄筋コンクリート造には劣りますが、骨組みが厚いことで厚い壁面を作れ、防音性能が高まります。
しかし、近年遮音性能のある壁材やダンパーの採用などによって、新築ではどの構造においても音に配慮した建物となっているのが一般的です。
3-2.構造別建築時にできる防音対策
構造の元々の性能では鉄筋コンクリート造が優れているものの、軽量鉄骨造や木造の建物でも建築時に防音対策を施せます。
集合住宅の騒音対策として有効なのは水回りの配置など間取りの工夫です。
隣り合う居室はキッチンやバスルームを合わせ面で配置する、上下階で同じ場所に配置するなど、水回りを集めることで、気になりがちな生活音がリビングなどに届きにくくできます。
また、ハウスメーカーによっては独自の工法、製品などで遮音性能を高めるシステムを持っていることがあります。依頼先を検討する際はこうしたことも注目してみるとよいでしょう。
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4.建物の主な工法
次に建物の工法について詳しく解説します。
4-1.在来工法
在来工法とは、古くからある伝統的な工法です。
在来工法は、基礎の上に、柱を立て、柱に梁等の横架材を組み合わせて軸組とし、これに壁、床、屋根等を付加して全体を構成していく工法です。
在来工法は、設計の自由度が高く、地域の気候や風土にあった建物を建築できるというメリットがあります。ただし、工期が長く、工事現場での施工が多いことから、品質を一定に保つのが難しい点がデメリットです。
職人の数や拘束時間も長いことから、コストも高くなります。
4-2.プレハブ工法(工業化工法)
プレハブ工法(工業化工法)とは、建物の部材等をあらかじめ工場で生産、加工を行い、それらの部材を現場に搬入して組み立てる工法のことです。
事前に(プレ:pre)製造、組立(ファブリケーション:fabrication)することをプレハブと呼んでいます。工場で生産する部分よってパネル工法やユニット工法と呼ばれることもあります。
プレハブ工法は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のいずれにも採用される工法です。
木造だとツーバイフォー、鉄骨造だとパネル工法、鉄筋コンクリート造だと「壁式PC (壁式プレキャストコンクリート造)」と呼ばれます。
プレハブ工法の特徴は、以下の点が挙げられます。
- 品質のバラつきが少なく、性能の向上が図りやすい
- 設計・積算の合理化を図れる
- コストの低減を図りやすい
- 工期が短縮できる
プレハブ工法は、大型工場を持つ大手ハウスメーカーでないと実現できません。アパートは大手ハウスメーカーに依頼した方が品質・コスト・納期のいずれも良くなります。
ただし、プレハブ工法は工場生産ラインの規格が決まっているため、設計の自由度が低いです。
5.アパート建築における構造や工法の選び方
アパート建築においては、何を重視するかによって選ぶ構造や工法が変わってきます。この章ではアパート建築における構造や工法の選び方について解説します。
5-1.自由な間取りを選ぶなら鉄骨造+ラーメン構造
自由な間取りを実現するなら、鉄骨造+ラーメン構造が適しています。
例えば、1階に店舗区画を入れるようなアパートであれば、1階に柱の少ない広めの空間が必要です。柱の少ない広めの空間を作るには、太い梁で支える必要があり、重量鉄骨でないと実現することができません。
5-2.コスト重視なら木造+壁構造系
コスト重視ならツーバイフォーや壁式PCなどの壁構造系が有利です。
2階建ての標準的なアパートであれば、ツーバイフォーは高いコストパフォーマンスを発揮します。坪単価相場が安くなる同じ木造でも在来工法よりツーバイフォーのほうがコストパフォーマンスに優れます。
鉄骨系の建築・設計プランでコストが合わない場合には、木造も検討してみてください。
5-3.耐火建築物や3階建てなら鉄骨造or鉄筋コンクリート造
防火地域内の土地で耐火建築物としなければいけない場合や、3階建てのアパートを建てる場合は主に鉄骨造を選びます。
特に、3階建てであれば重量鉄骨がおススメです。鉄骨造であれば、耐火構造であっても間取りの自由度が高まります。さらに重量鉄骨造であれば、法定耐用年数が長引き、耐久性も増すため、賃貸物件としての信用度も増します。
少し広い敷地であったり、4階以上の作りにしたりする場合には鉄筋コンクリート造も視野に入るでしょう。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年です。耐震性にも耐火性にも優れた構造は適切なメンテナンスをすれば、長期的に安定した経営を実現できる可能性が高まります。
6.アパート構造で迷ったら「HOME4U土地活用」で相談を
自分の予算や立地に合うアパート建築を実現するなら、まずは複数のハウスメーカーから、異なる構造や工法の建築プランの提案を受け、しっかり比較することが重要です。
ハウスメーカーはそれぞれ得意とする構造、工法が異なります。それぞれ得意とする手法をとったプランを比較することで、さまざまな選択肢から最良を見つけやすくなります。
所有する土地の広さや形には、どのような工法のどのような間取りのアパートが最適なのか、またどのハウスメーカーに打診すれば良いのか、最初から見当をつけるのはよほどの専門家でもないかぎり非常に難しいことです。
そんなときに便利なのが「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」です。
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この記事のポイント まとめ
アパートの構造の種類は?
アパートの構造で防音性能の高いのは?
アパートの構造の中で、もっとも防音性能・遮音性能に優れているのは
です。しかし、構造上で優れているものであって、ほかの構造でも騒音対策に注力することは可能です。詳しくは「防音性能はアパート構造によって違いあり?」をご一読ください。
アパートの構造はどんな観点から選ぶ?
アパートの構造を選ぶ際、ポイントとなるのは以下のような希望です。
- 自由な間取りとしたい
- コストを重視したい
- 耐火建築物にする必要がある
詳しくは「アパート建築における構造や工法の選び方」で解説しています。
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【全国対応】HOME4U「土地活用」
この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット
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