【詳しく解説】アパート経営始めるなら木造?鉄骨?経営視点からの賢い選び方
アパートは木造と鉄骨造を採用したものが多く、この2つの構造はそれぞれに異なる特徴・特性を持っています。構造のメリット・デメリットはアパート経営への影響が大きく、目的に合わせて構造を選ばなければなりません。
そこで本記事はアパート構造の木造と鉄骨造にフォーカスし、アパート経営に出る構造の差について解説します。
この記事を読むと、
- 初期費用は木造が有利
- 長期安定型経営なら鉄骨造が有利
- 木造アパートが建てられないケースがある
アパート建築について構造や建築費に迷いがある方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U 土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。
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この記事の内容
1.アパート経営で気になる木造と鉄骨造の差
木造と鉄骨造は構造的特徴が異なるため、アパート経営にも異なる特性が発揮されます。まずは、それぞれの構造のストロングポイントと経営に与える影響を解説します。
1-1.ポイント別構造比較表
木造 | 鉄骨造 | |
---|---|---|
階数 | 2~3階2~3階 | 2~4階(軽量) 3~5階(重量)2~4階(軽量) 3~5階(重量) |
建築費 | 坪単価相場77万~100万円坪単価相場77万~100万円 | 坪単価相場80万~120万円坪単価相場80万~120万円 |
遮音性 | 性能が向上している性能が向上している | 鉄骨の厚みで差が出る鉄骨の厚みで差が出る |
耐火性 | 低い低い | 中程度中程度 |
耐震性 | 重量鉄骨には劣る重量鉄骨には劣る | 鉄骨の厚みで差が出る鉄骨の厚みで差が出る |
法定耐用年数 (減価償却) |
22年22年 | 軽量(3ミリ以下)19年 (3ミリ超4ミリ以下)27年 重量34年軽量(3ミリ以下)19年 (3ミリ超4ミリ以下)27年 重量34年 |
※坪単価相場はHOME4U調べ
それぞれの構造がもつ特性によって性能に差が出ます。ただし、建築基準法の改正や建築技術の進歩によって、どの構造も性能が向上している傾向です。
1-2.初期費用は木造有利
アパート経営を始めるにあたって必要な建築費などの初期費用は木造のほうが出費を抑えられる傾向です。
軽量鉄骨造と比べると大差ないようにも見えますが、坪単価で3万円違えば、延床面積50坪のアパートの建築費で150万円の差が出ます。
初期費用を抑えられることで、経営の利回りも高くなるでしょう。利回り計算の分母は初期費用です。分母の数字を小さくできれば、初期の段階から安定的な返済プランが立てられます。
1-3.遮音性は差が出ない
アパートは複数の世帯が一つの建物に居住することから、遮音性、防音性が重視されます。
一昔前までは、木造の遮音性はほかの構造に劣るといわれていました。しかし、現在では壁材や床材などに防音性能を高めた建材を使うことによって、木造でも一定以上の遮音性が期待できます。
ただし、以前のイメージによって木造アパートは集客力が劣るケースも考えられるでしょう。実際の性能とイメージとのかい離には対策が必要です。
「HOME4U 土地活用」に参画するハウスメーカーの中には遮音性に優れたアパート建築に力を入れている企業が多くあります。下のボタンから建築プランを取り寄せて比較検討できます。
1-4.耐火性は鉄骨造有利
木造は階数によって、防火地域・準防火地域での建築に規制がかかります。一定の条件を満たせていない場合、木造3階建てアパートは建てられません。
木造は躯体も可燃性の木でできているため避難時間の確保に問題があるとして、規制の対象になっています。このことからも、木造は鉄骨造に比べて耐火性能が劣ると捉えてよいでしょう。
しかし、実際は木造も鉄骨造も耐火性について大差ありません。木造は躯体を支える柱や梁に耐火性をつける処理を施すのが一般的です。鉄骨でも熱による変形を防ぐために躯体構造に耐火性能を高める処置をします。
1-5.耐震性は鉄骨造有利
耐震性は、建築基準法で耐震性に関する厳しい規定があることからも木造と鉄骨造での差は大きくありません。ハウスメーカーは、集合住宅の耐震性を高める技術に独自性を出しており、どの構造であっても耐震技術を売りとしているところが多くあります。
ただし、木造のほうが揺れは大きくなる傾向です。そのため、中高層アパートの構造としては向いていません。
1-6.耐用年数は経営目的によって選ぶ
法定耐用年数は構造によって異なり、木造は22年、鉄骨造は19~34年です。
法定耐用年数は建物の寿命を現した年数ではなく、税務上価値がなくなるまでの期間を示しています。アパート経営では、不動産所得計上時に建築にかかった費用を数年に分割して経費として計上します。これがアパートの減価償却費で、減価償却できる期間は法定耐用年数と同じです。
例えば、木造と重量鉄骨造のアパートを同額で建てた場合、木造は減価償却期間が短いものの1年の計上額が多くなり、重量鉄骨はその逆になります。
木造はアパート経営を早く軌道に乗せたいときにもってこいの構造といえるでしょう。重量鉄骨造は長期的に安定経営を目指している場合に向いている構造です。
2.アパートの構造は経営目的で選ぶ
アパートの建築構造の差はアパート経営に大きく影響します。構造を選ぶ際は、経営の目的を明確にしたうえで検討するとのちのミスマッチを防げるでしょう。ここでは目的別に向いているアパート構造を紹介します。
2-1.節税目的なら木造アパート経営
アパート経営で家賃収入を得たら確定申告をしなければなりません。所得税・住民税や事業税の納付では、経営にかかった費用(経費)を計上して利益額から経費分を差し引くことが可能です。経費には建築にかかった費用を減価償却費として含めることもできます。
木造の場合、法定耐用年数である減価償却期間が22年と短く、その分1年で計上できる減価償却費を増やせます。減価償却費は経費全体でも少なくない割合を占めます。この部分を増やすことで、課税対象額を減らすことができるため、大幅な節税が可能です。
また、建物にかかる固定資産税に関しても木造のほうが評価額は低くなる傾向で、こちらでも税負担軽減が期待できます。
2-2.長期安定を目指すなら鉄骨アパート経営
短期的に所得税節税が図れる木造の一方で、鉄骨造は法定耐用年数が長い分長期的に減価償却費を計上できます。
法定耐用年数に基づき設定されることの多いアパートローンも長期返済の設定が可能なため、鉄骨アパートのほうが長期安定型の経営がしやすくなります。
また、木造は虫害などの懸念があるため、修繕に備えて多くの費用をプールしておく必要がありますが、鉄骨造は木造ほど修繕の頻度が高くありません。修繕のスパンが長くなれば費用負担も減るため、こうした面でも長期に運用する場合は鉄骨のほうが有利です。
2-3.経営拡大を目指すなら木造アパート経営から
アパート経営をスタートさせ、ゆくゆくは事業を拡大させたいと考えているならば、木造アパートから始めるのがおススメです。
木造アパートは短期的に税負担を減らせるため、資金面で将来に備えやすくなります。将来に備えた資金は修繕などに備えるだけでなく、事業拡大のための自己資金にもなりえるでしょう。
ただし、売却を視野に事業拡大を検討するなら、木造より鉄骨造のほうが有利です。木造より鉄骨造のほうが資産価値は高くなりやすく、売却もしやすくなります。
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3.アパート経営視点で構造を選ぶ際の注意点
木造か鉄骨造か、構造を選ぶのはオーナーの自由と思われがちですが、特定の構造が建てにくいケースがあることも把握しておかなければなりません。また、長期的に見て構造それぞれのあとのリスクも確認しておくとよいでしょう。ここでは構造を選ぶ際の注意点を解説します。
3-1.木造アパートが建てられないケースがある
アパートの建設予定地が防火地域や準防火地域にある場合、可燃性構造である木造を選択することは難しいでしょう。
不燃処理をした建材を使用する、避難経路を確保するなどの対応で、木造建築でもアパート建築が可能になるケースもあります。しかし、こうした処理は高額になるため、もともと防火地域にも対応している鉄骨造や鉄筋コンクリート造を選ぶのが一般的です。
3-2.修繕費で差が出る
アパートは、状態を維持するために定期的にメンテナンスや修繕で手を加える必要があります。
外積塗装や屋根のメンテナンスなどは、どの構造でも頻度に差がありません。しかし、シロアリなど虫害の恐れがある木造は定期防除が必要になるため、ほかの構造よりも維持や修繕にかかる費用が高くなる傾向です。運用が長くなるほど、修繕費での差は大きくなります。
3-3 築年数がたつと賃料設定に影響がある
アパートは新築から時間がたつほど、空室リスクが高くなります。それに伴い、家賃設定の見直しを迫られることも少なくありません。
木造の場合、賃料設定の下落がより顕著に表れます。虫害の恐れがある木造は定期的なメンテナンスや修繕が必要です。建物は修繕の回数が多いほど、ダメージ回復が難しくなるため、そうした影響が賃料設定に響いてくるでしょう。
一方、鉄骨造は耐久性にも優れるため、経年劣化の影響が賃料設定に響きにくい傾向です。
4.木造と鉄骨造のアパート建築費はいくら?
木造アパートと鉄骨造アパートの建築費をシミュレーションします。
構造に最適な階数を設定してのシミュレーションです。
4-1.坪単価比較
アパート建築の坪単価相場を構造別にまとめました。
構造 | 坪単価相場 |
---|---|
木造 | 77万~100万円 |
軽量鉄骨 (鉄骨の厚みが6ミリ未満) |
80万~100万円 |
重量鉄骨 (鉄骨の厚みが6ミリ以上) |
90万~120万円 |
鉄筋コンクリート造 | 90万~120万円 |
※HOME4U調べ
鉄骨造は使われる鉄骨の厚みによって坪単価も異なります。
坪単価に延床面積をかけると建築費を試算できます。建築費に付帯工事費や諸費用足した総額がアパート経営の初期費用です。
4-2.木造アパートの建築費シミュレーション
一般的に木造が選ばれることも多い2階建て規模でアパート建築費を試算します。
木造は建築費用をもっとも安価にできる構造です。
<設定条件>
- 木造2階建て
- 延床面積:80坪
- 坪単価:80万円
<建築費シミュレーション>
本体工事費:6,400万円=80万円×80坪
付帯工事費:1,280万円=6,400万円×20%
諸費用:640万円=6,400万円×10%
初期費用:8,320万円
4-3.鉄骨アパートの建築費シミュレーション
鉄骨アパートは規模によって軽量鉄骨か重量鉄骨かを選ぶ必要があります。
ここでは、軽量鉄骨アパートを3階建てと、重量鉄骨アパートを4階建てでシミュレーションします。
<設定条件>
- 軽量鉄骨造3階建て
- 延床面積:120坪
- 坪単価:85万円
<建築費シミュレーション>
本体工事費:1億200万円=85万円×120坪
付帯工事費:2,040万円=1億200万円×20%
諸費用:1,020万円=6,400万円×10%
初期費用:1億3,260万円
<設定条件>
- 重量鉄骨造4階建て
- 延床面積:140坪
- 坪単価:100万円
<建築費シミュレーション>
本体工事費:1億4,000万円=100万円×140坪
付帯工事費:2,800万円=1億4,000万円×20%
諸費用:1,400万円=1億4,000万円×10%
初期費用:1億8,200万円
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5.アパート経営に最適な構造を相談できるハウスメーカーの選び方
アパートの構造は経営の目的によって選ぶと経営状況のミスマッチを最小限に抑えられる可能性が高くなります。
しかし、構造を比較したり、最適な構造を選んだりするには相応の知識が必要です。また、土地の状況によっても最適な構造は異なるため、さらに構造選びの難易度は増します。さまざまな状況を把握したうえで、構造についてはプロに相談してみるとよいでしょう。
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木造アパートのメリットには、以下の点が挙げられます。
- 初期費用が安く済む
- 節税しやすい
鉄骨アパートのメリットは以下の通りです。
- 耐火性に優れる
- 耐震性に優れる
- 長期安定経営を目指しやすい
それぞれの構造による差については「アパート経営で気になる木造と鉄骨造の差」「アパートの構造は経営目的で選ぶ」で解説しています。
アパート構造は先のリスクを見越して選ぶのが重要です。注意点には以下のようなものが挙げられます。
- 木造アパートが建てられないケースがある
- 修繕費で差が出る
- 築年数がたつと賃料設定に影響がある
具体的な解説は「アパート経営視点で構造を選ぶ際の注意点」をご一読ください。
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