賃貸併用住宅をローコストで実現させる8つの策と注意点とは?
賃貸併用住宅をローコストで建てられないか検討している方もいらっしゃると思います。
この記事を読むと、
- 賃貸併用住宅は工夫次第でローコストで建てられる
- ローコストと収益性・快適性のバランスを保つことが大切
- ローコストで賃貸併用住宅を建てるには依頼先選びが重要
といったことがわかります。
賃貸併用住宅でコストを抑えることは可能ですが、ローコストを追求し過ぎることはリスクを上げることに繋がるので注意が必要です。ぜひご一読ください。
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1.ローコストで賃貸併用住宅を実現する8つの策
この章では、一般タイプの賃貸併用住宅をローコストで実現する方法について解説します。
1-1.住宅ローンを利用する
賃貸併用住宅でコストを抑えるなら、一番に検討したいのが住宅ローンの利用です。賃貸併用住宅は自宅と賃貸部分を併用する住宅であるため、一定の条件を満たせば住宅ローンを利用することが可能です。
住宅ローンはアパートローンに比べて「長期かつ低金利」で組めることから、賃貸併用住宅のメリットの一つとなっています。住宅ローンとアパートローンの特徴を比較すると下表の通りです。
ローンの種類 | 借入期間 | 金利相場 |
---|---|---|
住宅ローン | 最長35年 | 35年固定で1.3%程度 |
アパートローン | 木造なら22年 | 変動金利で2%~5%程度 |
同じ金額を借りても、借入期間が長いほど毎月の返済額は少なくなります。そのため、長期で借りることのできる住宅ローンは、アパートローンよりも有利なローンなのです。
賃貸併用住宅は、大きく分けて「住宅ローンを使う賃貸併用住宅(一般タイプ)」と「住宅ローンを使わない賃貸併用住宅(マンションタイプ)」の2種類があります。マンションタイプは、普通にマンションやアパートを建て、その1室に住むタイプのことです。この場合は、アパートローンを利用することが一般的です。
住宅ローンが利用できるのは一般タイプとなりますが、銀行が住宅ローンを貸し出す要件として、「自宅部分は50%以上」という条件があるのが通常です。
住宅ローンの利用には大きなメリットがある一方で、一般タイプの賃貸併用住宅は自宅を50%以上としなければならないため、設計に制限が出てきます。結果的に、マンションタイプより収益性が落ちやすいことには注意が必要です。
賃貸併用住宅のローンについて、詳しくは以下の記事もご確認ください。
1-2.ファミリータイプで戸数を減らす
賃貸併用住宅の建築費をローコストで抑える方法としては、賃貸部分をファミリータイプにして戸数を減らすという方法があります。
延床面積が同じ場合、小さなワンルームよりも広いファミリータイプを詰め込んだ方が戸数は減ります。例えば下図のように、ワンルーム8戸建てられる物件をファミリータイプ4戸にすることは可能です。
ワンルームかファミリータイプか否かに関わらず、各部屋にはキッチンやバス、トイレといった住宅設備が付いています。ワンルームで戸数を増やしてしまうと、その分、住宅設備の数も増えてしまうため、建築費が上がってしまいます。
そのため、建築費を抑えたいのであれば、ファミリータイプを配置して戸数を減らした方が良いのです。
1-3.デザイン性を落とす
ローコストで賃貸併用住宅を建てるには、デザイン性を落とすことも一つの方法です。
建物は、一般的にカッコ良くておしゃれな建物ほど建築費が高くなります。デザイン性の高い建物は、おしゃれな屋根や外壁、飾りの門扉、スタイリッシュな館銘板などを付けるため、自然とコストが高くなっていきます。デザインは機能的には不要なものが多いため、無くても住むことはできます。
建物は一般的にのっぺりとした直方体とすることが無駄な壁も存在せず、最も建築費が安くなります。ローコストで建てるには、無駄な飾りの部分は省き、極力シンプルな形で建てることがコツです。
1-4.設備仕様を落とす
ローコストで賃貸併用住宅を建てるには、設備仕様を落とすという方法もあります。
今でこそアパートにはエアコンや温水洗浄便座が付いていることが当たり前になっていますが、ほんの20年くらい前は賃貸物件にエアコンや温水洗浄便座は付いていないのが普通でした。
エアコンや温水洗浄便座は時代の流れで付けるようになったものであるため、「付けなければいけないもの」ではありません。今でも古い中古物件は、エアコンや温水洗浄便座がない物件も存在するため、思い切って付けないという選択肢もアリです。
ただし、設置しない場合でも、温水洗浄便座を設置するためのコンセントや、エアコンを設置するためコンセントとスリーブ穴(配管用壁貫通穴)は用意しておく必要はあります。
必要とされる設備は、そのエリアのニーズによって異なります。どのような設備や間取りが必要か迷う方は「HOME4U 土地活用」を利用し、複数の会社から建築プランを取り寄せてみることをおすすめします。
1-5.内外装の仕上材を落とす
内外装の仕上材のグレードを落とすことも、ローコストで賃貸併用住宅を建てる方法の一つです。
仕上材のコストは、建物全体の建築費の中で40%程度を占めていますので、内外装の仕上材の仕様を下げることはコストインパクトがあります。
内装材のクロスやフローリングに関しては、できる限り廉価品を用いて仕上げます。
最初から廉価品を使っておくと、入居者の入れ替え時にオーナーの負担で張り替えるクロスも廉価品で良くなるため、修繕費も下げられるという点もメリットです。
外装もペンキだけで仕上げておくと、大規模修繕で外壁塗装を行う際もコスト圧縮することができます。
1-6.建材の規格をそろえる
石膏ボードや木材、瓦、クロスなど、壁や床、屋根に使う建築材料のことを建材といいますが、この建材を工夫して選ぶことがローコスト化につながります。
具体的には、ただ廉価品を選ぶだけでなく、依頼する建築会社やハウスメーカーに標準規格がある場合は規格内から選択するようにしておくと、コストの上昇を抑えることができます。
大手ハウスメーカーでは標準規格を設けていることが多く、大量仕入れでコストを下げる努力をしています。このようなメーカーでは、間取りや建材を統一することで省力化、ローコスト化をはかっているため、なるべく規格に合わせることでコストパフォーマンスのよい建築が叶います。
1-7.自宅部分を質素な仕様にする
自宅部分を質素な仕様にすることもローコストで賃貸併用住宅を建てる方法の一つです。
賃貸併用住宅では賃貸部分は割り切って費用を抑えて作る方が多いですが、自宅部分はつい贅沢に作ってしまう方が散見されます。賃貸併用住宅が通常のアパートよりも割高になる理由としては、自宅部分にお金をかけてしまう人が多いのも原因の一つです。
そのため、自宅部分も賃貸部分と同様な仕様で質素に作ると全体コストを下げることができます。例えば、賃貸部分のクロスや床材を廉価品としたなら、同じ型番の仕上材を自宅にも使えばコストは安くなります。
自宅部分は、つい贅沢になりがちなので、コストを意識して仕様が上がらないようにしてください。
1-8.賃貸管理は自分で行う
賃貸部分の管理業務を不動産管理会社へ委託することも可能ですが、その場合には管理委託料がかかります。相場は家賃の5%程度となりますが、この管理業務を自分で行うことも可能です。
賃貸併用住宅は賃貸部分がマイホームと一体になっているため、戸数が少なければ管理業務は比較的行いやすい傾向にあります。
ただし、入居者とコミュニケーションを取れるメリットがある一方で、管理会社を挟まず大家と直接連絡を取ることに抵抗を感じる入居者もいることはデメリットと言えるでしょう。
~マンションタイプで高収益を狙うことも検討してみる!?~
賃貸併用住宅は、ローコストにこだわるのではなく、マンションタイプで高収益を狙う方向性も検討する価値があります。
一般タイプは、賃料を生み出さない床面積が半分もあるため、ある意味「もったいない建物」です。一方、マンションタイプなら賃貸部分の面積を自由に設定できますので、賃料を生み出す床面積を最大化することが可能です。
また、マンションタイプであっても、自宅の部分だけなら住宅ローンを組むことができる銀行もあるため、オールアパートローンで組む必要もありません。自宅部分は住宅ローン、賃貸部分はアパートローンとすれば、通常のアパート経営をしている方と同じですので、それほどリスクは大きくないといえます。
一般タイプのコスト削減に悩むようであれば、思い切ってマンションタイプで収入アップを目指す方向に切り替えるのも一つです。
土地に合った賃貸併用住宅のプラン検討には「HOME4U 土地活用」をご活用ください。土地の情報など簡単な入力だけで、建築費や収益予想などが含まれたプランが最大10社から取り寄せできます。
2.ローコストの賃貸併用住宅の失敗例と注意点
工夫をすればコストを抑えることができる賃貸併用住宅ですが、ローコストを追求しすぎるとデメリットも生じます。
2-1.ファミリータイプは収益性が低い
コストを抑えるためにはワンルームよりファミリータイプが良いとお伝えしましたが、ファミリータイプは収益性が低くなるという点がデメリットです。例えば、賃貸部分をファミリー向けの間取り2室にするよりワンルームを4室にしたほうが収益は上がります。
住宅の家賃相場は、ある程度の総額に達すると頭打ちになるため、面積が広くなると賃料単価が下がる傾向にあります。賃料単価はワンルームが最も高く、次に2DK、3LDKの順で低くなっていきます。そのため、同じ面積ならワンルームで戸数を増やす方が収益は上がるのです。
また、ファミリータイプはワンルームと比べると、賃貸需要が劣ります。
ファミリー層は「借りるよりも買った方が安い」となりがちであるため、多くの方が賃貸よりも購入を選択するからです。
2-2.戸数を減らすと空室時の影響が大きくなる
ローコストのために戸数を減らすことで、空室時の影響が大きくなるという問題も生じます。
例えば2戸のファミリータイプでは、1戸の空室が生じると50%も賃料収入が減ります。一方で、4戸のワンルームなら1戸の空室は25%の収入減に留まります。
戸数が少ないと1戸の空室が生じたときのインパクトが大きく、賃貸経営が不安定になりがちです。
戸数と間取り、家賃のバランスは、賃貸併用住宅の経営の成功に直結します。より土地に合ったプランを探すには、複数の会社からプランを取り寄せ、比較するのがおすすめです。
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2-3.入居者を確保しにくくなる
建物の仕様を落とし過ぎると、入居者を確保しにくくなるという問題も生じます。
温水洗浄便座やエアコンは新築ならあるのが当然ですので、設置されていない物件はかなり成約しにくいでしょう。
デザイン性も、入居者にとってみると大事な要素になります。安っぽい印象の建物よりは、おしゃれでかっこいい建物に住みたがる人の方が多いため、貧相になりすぎないようにする注意が必要です。
2-4.自宅部分の快適性が落ちる
自宅の仕様まで下げてしまうと、自宅部分の快適性が落ちてしまうという点もデメリットです。
やはり、せっかくの自宅ですので、建てるなら自分が住みやすい住宅を建てたいのが人情だと思います。賃貸部分は借主が数年で出ていきますが、自宅部分はこれから何十年も自分が住み続ける空間です。
やはり自宅部分は、長い目で見て快適に過ごせるように、それなりの仕様で建てておくことをおススメします。
2-5.借入金の返済リスクが上がる
ローコストを追求し過ぎると、結局のところ、賃貸経営が難しくなってしまいますので、結果的に借入金の返済リスクが上がってしまいます。
本来、賃貸併用住宅には、賃貸部分の賃料で自宅のローンの一部を返済できるというメリットがあります。しかしながら、賃貸部分の賃貸経営が不安定になると、建物所有者が自宅部分に加えて、空室の賃貸部分までローンを背負わなければならなくなります。
賃貸経営が不安定になると、ローンの返済を楽にするどころか、逆に苦しくなるため、賃貸部分はローコストにし過ぎない方が良いのです。
賃貸部分は、基本的には普通のアパート経営と同じですので、相応にコストをかけて貸しやすい建物にすることが借入金の返済リスクを下げるコツになります。
3.ローコストで賃貸併用住宅を実現する依頼先の選び方
ローコストで賃貸併用住宅を実現するには、依頼先選びが重要です。選ぶポイントを以下にご紹介します。
3-1.規格商品のあるハウスメーカーを選ぶ
一般的に、ハウスメーカーより工務店が、ハウスメーカーなら大手より中小企業がリーズナブルという印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、大手ハウスメーカーでは規格商品をうまく活用することで、安価に建てられるケースがあります。
規格商品とは、建材や間取りをパターン化することで工数や仕入れ額を抑え、リーズナブルに住宅を提供できるパッケージ商品のことを言います。
ご所有の土地に合う規格住宅がある場合は、活用してみると高品質な住宅がリーズナブルに叶うでしょう。
3-2.所有している土地やエリアに詳しい企業を選ぶ
ローコストで賃貸併用住宅を建て、なおかつ空室を作らず経営するには、所有している土地やエリアに詳しい企業を選ぶことが大切です。大手のハウスメーカーや地元の工務店など、広く比較をしてみましょう。
特に、ご所有の土地が狭小地や三角地など特徴ある土地の場合にはノウハウや技術が必要となるため、その土地に対応できるか、実績があるかといった視点での比較が大切です。
まずは満足のいく建物が建ち、収益を上げられるかが大切となるため、ローコスト化にこだわる前に、土地に合った実績があるかどうかを確認することは必須です。
3-3.賃貸併用住宅に実績がある企業を選ぶ
ローコストで賃貸併用住宅を実現するなら、実績がある企業を選ぶことが重要です。
賃貸併用住宅でやみくもにローコストを追求し過ぎると、賃貸経営が難しくなり借入金の返済リスクが上がるうえ、自宅部分の快適性も下がってしまいます。安定的な賃貸経営を目指し、かつ、自宅部分の快適性も向上させるには、<b”>コストカットは適切な範囲にとどめる必要があります。
とはいえ、どのくらいの仕様にすれば良いのか、実際にコストを抑えるにはどんな工夫ができるのか、初めて賃貸併用住宅を建てる方には見当がつきにくいものです。実績のある企業なら、どの部分をカットし、どこに予算をかけるかを適切に判断してくれるでしょう。
3-4.複数の建築会社に相談する
依頼先を選ぶ際には、複数の建築会社に相談し、それぞれの会社にプランを出してもらうのが王道です。ハウスメーカーや工務店によってそれぞれ得意分野や実績が異なるため、プランを比較することで最適な間取りや仕様、土地の活かし方が見えてきます。
また、複数の建築会社に相談することで企業同士が競争状態となり、結果的に良いプランやリーズナブルな価格が引き出せる、といったメリットも期待できます。
プラン比較には「HOME4U 土地活用」をご利用ください。土地の所在地や広さなど簡単な項目を入力するだけで、最大10社のハウスメーカーから、お持ちの土地で実現可能な様々なパターンの賃貸併用住宅の間取り、構造、建築費などの提案をまとめて受けることができます。
長期的な収支計画や節税効果などの提示も受けられるので、「どのくらいの仕様の建物が自分の予算に合っていて、理想の収益が得られるのか」を、幅広く比較することができます。
まとめ
ローコストで賃貸併用住宅を建てる方法や注意点について解説してきました。
「ファミリータイプで戸数を減らす」「デザイン性を落とす」といったことでコストを抑えることは可能ですが、あまりにローコストを追求し過ぎると、入居者を確保しにくくなり、借入金の返済リスクも上がってしまうので気を付けてください。
まずは、自分の土地や予算だとどのような賃貸併用住宅が建てられるのか、「HOME4U 土地活用」を使って、複数のハウスメーカーの提案を受けてみることをおススメします。
一定の質が担保された大手ハウスメーカーの幅広い提案やアドバイスを受けながら、落として良い仕様とそうでない仕様を的確に判別し、決して「安かろう・悪かろう」の建物にしないことが失敗を避ける秘訣です。ぜひこの記事の情報を活かして、理想の賃貸併用住宅を手に入れてください。
ローコストで賃貸併用住宅を建て、適切に運営していくために押さえておきたいポイントは、以下の8つです。
- 住宅ローンを利用する
- ファミリータイプで戸数へ減らす
- デザイン性を落とす
- 設備仕様を落とす
- 内外装の仕上材を落とす
- 建材の規格をそろえる
- 自宅部分を質素な仕様にする
- 賃貸管理は自分で行う
詳しくは「ローコストで賃貸併用住宅を実現する8つの策」をご確認ください。
ローコストで賃貸併用住宅を実現するには、さまざまな注意点があります。
収益性や快適性とのバランスにもこだわるなら、依頼先選びが重要です。選び方のポイントは以下のとおりです。
- 規格商品のあるハウスメーカーを選ぶ
- • 所有している土地やエリアに詳しい企業を選ぶ
- 賃貸併用住宅に実績がある企業を選ぶ
- 複数の建築会社に相談する
詳しくは「ローコストで賃貸併用住宅を実現する依頼先の選び方」をご確認ください。
-
【基本を解説】知識ゼロから始める「賃貸併用住宅経営 基本ガイド」 賃貸併用住宅は、1つの建物の中に自宅部分とアパート部分が併存する建物です。賃貸物件ですが住宅ローンを使うことができるので、人気の高い賃貸経営方法です。賃貸併用住宅の関連記事はこちらから。
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