賃貸併用住宅の土地活用を東京都内で成功させるための5大条件

東京都内に土地をご所有で土地活用をお考えの方、または、これから資産形成として不動産投資を検討中の方にとって、賃貸併用住宅は選択肢の一つといえます。人口の多い東京都内での賃貸併用住宅は、他のエリアとは違ったポイントがいくつかあります。今回は、東京で賃貸併用住宅をする場合に、知っておいた方が良いことをまとめています。
この記事の内容
1.賃貸併用住宅経営を東京で成功させるための5大条件
賃貸併用住宅とは、1つの敷地と建物の中に、マイホーム部分と賃貸部分がある建物のことです。やさしく言うと、アパートがついているマイホームですので、自宅に住みながら賃料収入が受け取れます。
賃貸併用住宅は、賃貸ニーズのある場所であればどこでもできますが、東京のような人の多い場所であれば、空室の心配なしに経営することも可能です。都内にマイホームを持ち、さらに収入まで得られるのですから、文句なしの土地活用・資産運用方法ではありますが、次の5つのことに注意しておくことによって、より成功しやすくなります。
1.希望する建物が建てられる土地であること
2.賃貸に適したエリア・土地条件であること
3.ローン返済に必要な部屋数が取れること
4.賃料相場に適した部屋が作れること
5.快適なマイホーム部分が確保できること
1-1.希望する建物が建てられる土地であること
ご所有の土地条件によって、建てられる建物の高さや大きさが決まります。賃貸併用住宅は、自宅がついている賃貸物件(共同住宅)ですので、希望しているマイホームの大きさ、マンションやアパート部分を含めた規模の建物が建てられる土地条件が必要です。
土地の使用方法を制限するきまりを「用途地域」と言い、以下のように、全部で13種あります。
|
用途地域の種類 |
目的・用途規制の要旨 |
---|---|---|
1 |
第1種低層住居専用地域 |
低層住宅のための地域。小規模店舗・事務所兼用住宅が可 |
2 |
第2種低層住居専用地域 |
低層住宅のための地域。150平米までの店舗も可 |
3 |
第1種中高層住居専用地域 |
中高層住宅のための地域。500平米までの店舗も可 |
4 |
第2種中高層住居専用地域 |
中高層住宅のための地域。1500平米までの店舗や事務所なども可 |
5 |
第1種住居地域 |
住環境を守るための地域。3000平米㎡までの店舗・事務所・ホテル可 |
6 |
第2種住居地域 |
住環境を守るための地域。、店舗・事務所・ホテル・カラオケボックス可 |
7 |
田園住居地域 |
都市部の田園風景と良好な低層住宅の環境を守るための地域 |
8 |
準住居地域 |
道路沿道の自動車関連施設と、周辺住環境を保護するための地域 |
9 |
近隣商業地域 |
住民が日用品の買物などをするための地域。住宅・店舗・工場が可 |
10 |
商業地域 |
銀行・映画館・飲食店・百貨店などが集まる地域。住宅や工場も可 |
11 |
準工業地域 |
軽工業の工場やサービス施設等がある地域。危険や環境悪化がない工場 |
12 |
工業地域 |
どんな工場でも建てられる地域。住居・店舗も可 |
13 |
工業専用地域 |
工場のための地域 |
【参照:国土交通省 用途地域データ】
賃貸併用住宅は、13番の工業専用地域以外であれば建てられますが、各地域で設けられている高さや延床面積の制限を守る必要があります。
たとえば、所有地が1番の第1種低層住居専用地域だった場合には、「建築物の高さは10~12m以下としなければならない」という決まりがありますので、建てられる賃貸併用住宅は、1~3階建て※に限定されることになります。※ワンフロアの外寸3メートル・内寸2.7メートルで計算
そのため、検討段階で4階建ての建物を想定していても、上記の土地条件ならば3階建てまでしか建てられません。活用予定地の用途地域は、固定資産税の課税明細書の記載を確認するか、国土交通省の用途地域データで、住所を入れると確認できます。
1-2.賃貸に適したエリア・土地条件であること
エリアに建てられる、法的な建物の高さや規模がわかったら、次は、所有している土地の条件を確認します。土地の条件とは、その土地を使って建てても良い規模をタテヨコに制限するものです。ヨコ方向は建ぺい率、縦方向は容積率で表されます。
例えば、100平米の土地があり、建ぺい率50%・容積率200%であれば、平面で使って良いのは50%の50平米分まで、縦方向には200平米分まで使ってよいことになります。前項の用途地域に加えて、土地条件までが加わると、ご所有の土地に建てられる建物は、ある程度まで絞られてきます。
以下の例を参考にして、土地条件によってどのような使い方が可能かをイメージしてみてください。実際の計算はハウスメーカーや建築会社がしてくれます。
【例】100平米の土地 建ぺい率50% 容積率200% 第1種低層住居専用地域の場合
- 建ぺい率による平面の平米数 50平米分
- 容積率による総延べ床面積 200平米分
- 第1種低層住居専用地域による高さ制限 1~3階建てまで
- 建てられる賃貸併用住宅のめやす
- ワンフロアが50平米の建物を3階建てまで建築可
上記のようなことを理解したうえで、さらに、賃貸併用住宅を建てるエリアにどのような賃貸ニーズがあるか、ニーズがあるとすればどのような物件が必要なのかなど、市場調査をもとにした判断をすることになります。
1-3.ローン返済に必要な部屋数が取れること
賃貸併用住宅はマイホーム付きの不動産投資でもあるため、金融機関はローン審査の際に、返済原資が賃料収入であることを前提としています。そのため、毎月のローン返済額に対して、賃料収入は最低でも同額、または上回っている必要があります。
たとえば、毎月20万円の返済をするのであれば、ワンルーム1戸5万円の物件ならば4室以上が必要です。これだけの部屋数を、ご所有のさまざまな土地条件で確保できて、はじめて賃貸併用住宅の経営が軌道に乗ります。
空室が発生すれば、その期間はオーナーが持ち出しで返済を続けることになります。また、賃貸物件には運営コストがかかりますので、毎年の修理修繕費・管理費・中長期のメンテナンス費なども予定に入れておく必要があります。
複数のシミュレーションをしたうえで、必要な部屋数と適切な賃料の設定ができれば、長期にわたって賃料収入が続きます。さらに、ご自宅部分の返済も入居者家賃から支払うことができますので、文字通り、タダでマイホームを入手することができます。
1-4.賃料相場に適した部屋が作れること
賃料相場とは、一定エリアでの平均的な賃料のことです。設備が良く、駅から近く、広くて新しく、人気エリアほど家賃は高くなります。
家賃は、駅からの距離・築年数・設備・周辺の環境という基本スペック以外に、エリアの人気度やライバル物件の存在によって相対的に決まっていきますので、賃貸物件の広さ・価格・設備などは、ライバル物件を調査しておくと、わかりやすいといえます。
たとえば、ワンルームを経営する予定であれば、大手不動産ポータルサイト(SUUMO・アットホームなど)を使い、同エリアでほぼ同条件のワンルーム物件を4~5件ほどリストします。そして、自分の物件と比較し、プラスポイントとマイナスポイントをチェックしていきます。
「駅歩6分で築8年。うちは新築。この物件で10万円なら、うちはもう少し高くしても大丈夫」
「うちよりも駅近なのに同じ価格。うちは設備をかなり良くしないと見劣りするかもしれない」
など、お部屋探しをする方の視点で比較をすると、価格も設備も何が必要なのかがみえてきます。また、プラン請求をすればハウスメーカーや建築会社の担当者が、プロフェッショナルなエリアマーケティングと自社の独自データに基づいた、適切な価格設定と設備を提案してくれます。
1-5.快適なマイホーム部分が確保できること
賃貸併用住宅は、自宅と賃貸部分が同じ敷地と建物内にあります。一般的に都内の土地は、市街の土地と比較すれば小さめであることが多いため、自宅部分の広さが十分に取れない可能性もあります。さらに、狭小地・旗地などの地形の問題から、普通に戸建てを建てるのでもむつかしい土地での土地活用になる可能性もあります。
恵まれた土地条件ではない場合、賃貸併用住宅を建てるときに、賃貸物件として必要なこと、マイホームとして譲れないことを加減し、バランス良く実現していく必要があります。とくに、賃貸部分を優先してマイホーム部分を大きく譲歩すると、快適さの低い自宅になる可能性があります。
賃貸併用住宅は普通の戸建てを建てるよりも資金も大きくなりますので、暮らしやすいマイホームつくりができるように、ご家族でよく話しあってください。
2.賃貸併用住宅を東京で経営する10のメリット
賃貸併用住宅を東京都内で経営すると、以下のような10のメリットがあります。前半4つは東京ならではのメリット、それ以降は、賃貸併用住宅に共通したメリットです。
1.賃料を高めに設定できる
2.憧れエリアにマイホームが持てる
3.イフスタイルに合った使い方ができる
4.資産運用先として適している
5.住宅ローンが使える
6.家賃でローン返済できる
7.節税対策になる
8.無駄のない土地活用ができる
9.将来の蓄えや備えになる
10.保険代わりにもなる
2-1.賃料を高めに設定できる
全く同じ間取りと設備の物件は、郊外と都内であれば、都内の方が家賃を高く設定できます。エリアごとに相場家賃はありますが、これから賃貸併用住宅を建てるのであれば、しばらくは「新築プレミアム」という、新築ならではの少し高めの家賃でも、入居者に困ることは少ないと言えるでしょう。
また、人気エリアに近ければ、建物や設備が経年劣化しても、その利便性や人気度により、家賃を下げなくても、経営には困らずに済むこともあります。賃料の高さは、利便性とエリア人気度に比例しますので、駅歩のある土地の場合は、都内であっても相場家賃に準じた価格設定になります。
2-2.憧れエリアにマイホームが持てる
本記事1章で解説をした用途地域の問題や、その他の土地条件によって、希望する賃貸併用住宅を建てられない場合は、思い切って、土地の買い替えによる賃貸併用住宅経営も検討してみてください。
たとえば、駅歩がある、人気エリアではない、高さのある建物が建てられない地域の場合、ご所有の土地の敷地面積が半分になったとしても、駅近・人気エリア・容積率がある方が、賃貸併用住宅としての経営条件は、飛躍的に良くなります。
オーナーも人気エリアの駅前物件に住むことになりますので、生活利便性は飛躍的に上がります。郊外にあるような、広々としたリビングのマイホームはむつかしくなるかもしれませんが、一歩家を出れば、住みたいエリアナンバーワンの憧れの街を、自分の庭のように歩くことができます。
ローンが完済すれば、自宅部分も賃貸に出すこともできますので、老後はもっと静かな場所に移動するなどの際にも、資金面で力強い味方になってくれます。
2-3.ライフスタイルに合った使い方ができる
賃貸併用住宅は、もともと家族と他人が1つの敷地内で、問題なく暮らせるように設計してありますので、ライフスタイルの変化に強いという、一般の家にはない大きなメリットがあります。
たとえば、賃貸併用住宅でローン返済が終わったら、賃貸部分を二世帯住宅の子世帯用として使用する。さらに、将来的に子世帯が引っ越していく場合は、マイホーム部分と二世帯の二階部分も、賃貸用に変更するなどが可能です。
二世帯にした場合でも、もともとオーナー家族と入居者が別に暮らすことが前提ですので、玄関・配管などもすべて個別で使用できます。構造を後から変えられる設計にしておけば、ワンルーム2~3室を連結させて1~2LDKとして使うことも可能です。
このような可変型の構造は、大手ハウスメーカーや建築会社に多く、またこのような商品特徴を活かした賃貸併用住宅のプランも豊富にそろっています。
2-4.資産運用先として適している
東京都内での賃貸併用住宅は、資産運用先としても優れています。とくに、土地をご所有の方は、その土地を活用して、マイホームと不動産投資の両方を取得できます。普通のマイホーム取得は、給与収入から返済をしていきますが、賃貸併用住宅は家賃収入でローン返済ができます。
一般的な資産運用としての株式投資などでは、自己資金以上の金額を運用することはできません。しかし、不動産投資の場合は自己資金額の何倍もの金額を借りられて、それを入居者が返してくれます。このような資産運用方法は、他にはないと言っても過言ではありません。
さらに、東京都内の土地であれば、不動産評価額も高額になるため借入資金にも余裕があります。東京は全国で最も人の出入りが多い場所であり、他エリアとは比較にならないほど人が集まってきますので、空室リスクも低めであり、経営も成功しやすい条件が整っています。
税制面においても、土地にマイホームだけを建てるよりも、一部だけでも賃貸部分があることで、相続税などの節税効果が高くなります。このように、自宅と不動産投資物件を別々に購入するよりも、賃貸併用住宅での土地活用は、資産運用効率が良く、費用対効果の良い投資結果を期待できます。
2-5.住宅ローンが使える
賃貸併用住宅の住宅部分は、総延べ床面積の1/2以上を住宅にすれば、住宅ローンが使えます。そのため、マイホームに限って言えば、通常のマイホーム購入と同様の、低金利・長期借入が可能です。
賃貸部分にはアパートローンを適用することになります。金融機関は、土地と新築の建物を担保に融資審査をしますので、東京都内の土地は不動産評価額も高いため、比較的有利な条件だと言えます。
サラリーマンなどの給与収入がある方は、ボーナス時などにまとまった資金を繰り上げ返済することで、元金を大きく減らしていくなど、ライフプランに合わせた返済額のコントロールも可能です。
2-6.家賃でローン返済できる
賃貸併用住宅を建てるために借りたローンは、賃料収入から返済します。そのため、毎月の返済額を賃料収入の範囲内に設定しておけば、オーナーの返済負担はゼロ円です。賃貸物件としての条件が良ければ、長期にわたって空室リスクの低い状態で経営ができますので、ローン完済すれば、オーナーは文字通り、タダでマイホームを手に入れることが可能です。
賃貸部分はアパートローン、住居部分は住宅ローンですので、金利の高いアパートローンを優先して支払うことで、返済負担をコントロールしていくことが可能です。
2-7.節税対策になる
土地をご所有で活用をしていないと、その土地からの利益はゼロ円です。都内の土地のほとんどは、固定資産税に加えて都市計画税が発生しますので、何もしないでも毎年、税負担が生じます。
土地に住居を建てると、住宅用地の特例が適用され、更地と比較して固定資産税は1/6、都市計画税は1/3まで減額されます。相続税対策としても、賃貸併用住宅の賃貸部分に対して、貸家建付地などの制度が適用され、相続税評価額を大きく下げることができます。
相続税対策としての賃貸併用住宅は、相続が開始しても、賃料収入に関しては課税対象外であるため、家族にマイホームと賃料収入の両方を遺してあげることができます。ただし、相続でこれらの制度が適用されるためには、相続開始時から丸3年以上の運営実績が必要です。
節税対策として賃貸併用住宅をお考えの場合は、検討し始めた段階で早急にプラン請求をして、家族との話し合いの時間を取っておく必要があります。
2-8.無駄のない土地活用ができる
郊外型のマイホームと比べると、東京に建てる家は土地も建物も小さめな傾向にあり、建築費が割高になる傾向があります。周辺には住宅・マンション・ビルなどが密集しており、日当たりや風通しも良いとは言えません。
このような都会ならではのデメリットをカバーするために、特殊な間取りと耐震性・断熱性の高さなどの工夫をすると、どうしても坪単価は高くなっていきます。しかし、マイホームではなく、賃貸併用住宅を建てるのであれば、返済原資が賃料収入になりますので、ローン返済のリスクが1つ消えます。
その分、容積率一杯に建物を建てて、賃貸部分を多くとっていくことで、高額なローンのデメリットを消すことが可能です。たとえば、4階建て建物の4階ワンフロアを自宅とすれば、日当たりも風通しも良いマイホームになります。
1~3階に返済額に十分なだけの賃貸物件をそろえておけば、立地条件の良い都会の土地であれば、空室リスクはかなり低いと言えます。さらに、人の多いエリアであれば1階部分をテナントにするなども可能です。このように、土地の持つ条件を、創意工夫で最大限にまで活用することで、土地からの利益を最大化することができます。
2-9.将来の蓄えや備えになる
賃貸併用住宅のローン返済額は、オーナーの経営計画に沿って、融資機関が許可をすれば自由に設定できます。なるべく早く返したければ、賃料収入のほとんどを返済に充てても良いし、無理のない返済を続けたければ、毎月プラスが出るような返済額にもできます。
早く完済できれば、毎月の家賃収入から経費を差し引いた分が手取り収入になります。ゆっくりした返済計画であれば、その分、毎月の賃料収入からローン返済額を差し引いた残りは手取りになりますので、賃貸物件のメンテナンス費用や、家族の生活費に充当する、貯金をしておくなど、オーナーが自由に決めて使うことができます。
ローンが終わっても賃貸経営は続きますので、賃料収入はそのまま、老後資金や生活費に充当することができます。ほかにも活用予定地があれば、完済した賃貸併用住宅を担保に、自己資金と合わせて、新たな賃貸経営をスタートすることも可能です。
2-10.保険代わりにもなる
賃貸併用住宅に限らず、大型のローンを組むときには、団体信用生命保険を申し込むのが一般的です。団体信用保険とは、ローン申請者に万が一のことがあった場合には、ローン残債を保険金で全額充当するという保険商品です。
この保険があることによって、将来、家族がマイホームを失うことなく、また、高額なローン返済で苦しむことなく、安心して暮らしていける家を遺してあげることができます。死亡だけではなく、高度障害などの働けない状態になった時にも適用されますので、どのような状態でも、家族・自宅・不動産投資物件を守り切ることができます。
団体信用生命保険は、住宅ローン部分は原則加入、アパートローン部分は任意加入となっています。金融機関によって取り扱い内容が違いますので、ローンを検討する段階で、保険内容の比較もしておいてください。
3.賃貸併用住宅を東京で経営する5デメリットと対策案
本章では、賃貸併用住宅の経営を、東京でする場合のデメリットを5つにまとめ、その対策方法を提案しています。
1.普通のマイホームにはならない
2.自宅部分が狭くなることがある
3.設計プランが難しく間取りに工夫が必要
4.賃貸併用住宅を扱う建築会社が少ない
5.経営リスクはゼロにはならない
3-1.普通のマイホームにはならない
賃貸併用住宅は、1つの敷地内にマイホームと賃貸物件がある建物であるため、一般的な戸建てや一般的な賃貸建物とは違った構造の建物になります。たとえば、2階建ての建物を、マイホームと賃貸物件を建物の中で上下に分け、1階を自宅、2階を賃貸にしたとします。
オーナーと入居者のプライバシー性を高くするために、1階自宅の玄関と2階へ上がる階段部分を、遠く離して設置する配慮をすると、上記イラストのような建物になります。普通のマンション・戸建てであれば、入口や玄関は1つで済みますので、この時点で特殊な建物の構造であることがわかります。
これは、建物を左右にわけても同じことであり、お互いのプライバシーを守りながら快適に暮らすためには、視線や動線が行き交わないような配慮をしておく必要があります。普通の家や賃貸物件にはこのような配慮は必要ありません。このようなことから、賃貸併用住宅は注文住宅と同じ扱いになります。
・対策>
マイホームには家族の夢も詰まっていますので、上記のような、普通の家にはないものがあることを前提に、事前によく話あっておく必要があります。間取り図がある方が具体的な意見が出せますので、賃貸併用住宅の建築プランを複数社へ請求し、デザイン画や間取り図を見ながら話し合うようにしてください。会社選びをする前の、無料プランを作ってもらう段階であっても、家族からの意見がある方が、プランは作りやすくなります。
3-2.自宅部分が狭くなることがある
マイホームと同じ敷地に他人が住む住居があると、双方の快適な暮らしのためには、防音性・耐久性・プライバシー性などに、以下のような配慮や工夫が必要になってきます。たとえば、以下のような工夫方法があります。
・防音や安全性確保のため、賃貸部分との壁を厚くする
・水回りの向きや出入口の場所に配慮をする
・テレビ音や話し声が響かないようにするために双方の今の間にクローゼットなど配置する
このような変わった配管と水回りの位置を選択する結果、家族の希望する方角にキッチンやリビングが配置できないなどの可能性が出てきます。さらに、家族と入居者双方の生活快適性を確保するために、自宅に廊下・階段・ベランダなど、部屋として活用できないスペースが必要になることもあります。
このような設計上の創意工夫が重なることにより、結果的に、防音性・安全性・プライバシー性は確保できるものの、自宅部分が最初のイメージよりも手狭になることがあります。特に、東京都内の土地はそう大きくはないため、その傾向が強くなる可能性があります。
・対策>
マイホームとして譲れないこと、賃貸経営として削ってはならないことを、不動産経営のプロフェッショナルである担当者と一緒に、話し合う必要があります。また、たくさんのハウスメーカーや建築会社の賃貸併用住宅プランを見ていくと、どこの企業でも必ず提案してくるプランや間取りスタイルがあります。
そのようなプランは、土地活用としてもマイホームとしても、失敗しにくいアイデアでもありますので、積極的に取り入れるようにしてください。そのためには、数多くの賃貸併用住宅プランを請求し、各社を比較しながら、気に入ったものを絞り込んでいく作業が必要です。
3-3.設計プランが難しく間取りに工夫が必要
東京の土地は、人や建物が密集しているエリアに建てることになるため、周辺の住環境に対しての配慮も必要になります。たとえば、4~5階建ての建物が建てられるとしても、すぐそばには民家やアパートなどがありますので、お互いの視線を遮り、かつ安全性が守られるような工夫が必要です。
建物が密集していれば、その分、日当たりや風通しは悪くなりますので、採光と風抜けにも計算が必要になります。さらに、隣り合っている家同士は、お互いの家の音楽やテレビの音などが大きければ、音のトラブルにつながりやすくなるため、外壁の防音性を高く、窓を二重にするなどの配慮が必要です。
・対策>
マイホーム部分に関しては、家族の夢や憧れなどの強い要望があると、現実との折り合いがつかず、なかなか話が進まないことがあります。しかし、賃貸併用住宅プランをたくさん見て比較することにより、ご所有の土地のデメリット部分が良く理解できるようになると、できること・できないこと・やった方が良いことがハッキリとわかってくるようになります。
同じ都内でも、人通りの多いエリアでの土地活用をする場合は、賃貸部分・マイホーム部分とも、外の話声・繁華街の音・車の音などの騒音問題、近隣の飲食店のニオイの問題に悩まされることになるため、普通の暮らしを維持するためには、外壁材以外にも、窓の位置や空調の位置なども考えておく必要があります。
このように、東京で賃貸併用住宅を建てる場合には、家族と入居者の暮らし以外にも、外部環境とのバランスを取る必要があり、創意工夫と高い設計技術がを持つハウスメーカーや建築会社のサポートが不可欠になります。
3-4.賃貸併用住宅を扱う建築会社が少ない
東京都内でも、賃貸併用住宅の取り扱いをしているうえで、さらに実績の高い会社は多くはありません。賃貸併用住宅は注文住宅の扱いになるため、設計施工に高い技術と経験が必要な建物です。
賃貸併用住宅の着工数は、注文住宅または賃貸住宅の中に紛れてしまうため、賃貸併用住宅のみの公的なデータはありません。賃貸併用住宅を専門に取り扱う会社はほぼないに等しいと言えますので、過去に実績のある会社の中から選ぶことになります。
・対策>
大手ハウスメーカーや建築会社の中には、賃貸併用住宅のパッケージ商品を用意しているところが複数あります。このような企業は、もともとの建築着工数が多いため、賃貸併用住宅の取り扱いがある会社であれば、実績も多いと判断しても、問題ないと言えます。
企業内には設計の専門部署があり、一級建築士などの専門家を社員や外部チームとして抱えている傾向があるため、各社の品質に合致したプラン提案が可能です。
着工件数が多いため、完成済みの賃貸併用住宅を見学させてもらえる、展示会やモデルルームなども複数用意できますので、説明もわかりやすく、他と比較しにくい賃貸併用住宅の不安をクリアできます。賃貸併用住宅の取り扱い企業の詳細に関しては、関連記事も参考にしてください。
3-5.経営リスクはゼロにはならない
東京は人口の多い場所であるため、郊外に比べれば、賃貸経営は成功しやすい傾向にあります。しかし、東京都内にも賃貸経営に苦労しているオーナーは存在しますので、東京都内で経営=満室経営になるわけではありません。
・対策>
賃貸併用住宅の賃貸物件だからダメなのではなく、ニーズがない場所にニーズのない物件を提供していれば、都内の人気エリアであっても、経営リスクは高くなる可能性があります。まずは周辺ニーズを確認し、ライバル物件の数や開発計画なども調べたうえで、長期的に安定した賃貸経営を続けるための戦略を立てる必要があります。
エリアニーズはご自分で調べることもできますが、賃貸併用住宅プランを請求すると、相場家賃などをもとに、適切な賃貸物件のプランを提案してくれます。なるべく複数のハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして、各社の見解を比較してみてください。
4.東京で賃貸併用住宅の購入を考える4ポイント
賃貸物件もマイホームも欲しいが、ゼロから考えるのには不安がある。または条件が合致しないため、所有地では希望通りの建物が作れない可能性がある場合は、市場で販売されている賃貸併用住宅を購入するという方法もあります。
ただし、不動産流通の中で賃貸併用住宅の販売数は多くはありませんし、新築で売っていることはほぼありませんので、経営中の中古賃貸併用住宅を購入することになります。そのため、以下のような4ポイントに気を付ける必要があります。
1.建てるよりも費用がかかる可能性がある
2.建物が狭い・古い可能性がある
3.入居者にも注意が必要
4.東京都下・郊外も視野に入れる
5.賃貸併用住宅の取り扱い実績が多い建築会社に相談が必要
4-1.建てるよりも予算がかかる可能性がある
賃貸併用住宅を購入する場合、賃貸経営がうまくいくエリアに購入する必要があります。貸併用住宅の購入は、原則として土地建物の両方を購入しますので、東京の地価が高いエリアに購入すると、費用は高額になります。
建物の築年にもよりますが、中古物件は耐震確認も必要です。過去に補強工事が行われていたとしても、最新の耐震基準をクリアできていない場合には、購入後に追加工事が必要になる場合もあります。
さらに、賃貸併用住宅の自宅部分は、前の所有者一家にとってベストな設計であるため、新オーナーのライフスタイルには合わない可能性があります。賃貸併用住宅は賃貸部分とのバランスを考慮した、特別な設計になっているため、普通の戸建てのように安易に改築をしてしまうと、新たに音やニオイの問題が発生する可能性もあります。
このように、普通の買い替えとは違い、中古の賃貸併用住宅を購入する場合には、賃貸物件として良い条件であることに加え、マイホームとしても良い環境になるのかを、慎重に考慮する必要があります。
4-2.建物が狭い・古い可能性がある
基本的に、収益が出ていて経営が順調な賃貸併用住宅は、市場に出てこない傾向があります。理由は明白で、収益が出ている賃貸併用住宅ならば、自分が住んでいなくても売りに出す必要がなく、万が一売却を検討したとしても、市場に出る前に不動産投資家に買われてしまう可能性が高いためです。
そのため、検索をして出てくるような中古の賃貸併用住宅は、長い間、買い手がつかなかった物件である可能性が高いと言えます。築年が古ければ、耐震の問題以外にも、狭小地・再建築不可で建て替えができないなど以外にも、間取りが古くて使いづらいなど、住まい・土地活用のどちらであっても、自由度が低くなる可能性があります。
リフォームをすれば使えると判断しても、賃貸併用住宅は特殊な間取りになっているケースが多く、一般の住宅と同じような改築をしても、状況が改善しないケースもあります。販売価格が手ごろであっても、修繕費負担が大きくなれば、賃貸経営を圧迫することになります。
さらに住宅ローンを使っての購入を検討している場合には、木造は20年以下、鉄骨・鉄筋コンクリート造は25年以下という申請時の制限がありますので、築年によっては、アパートローンを使わないと購入できないこともあります。ご所有の土地を活用するプランとの優位性を比較したうえで、慎重に判断する必要があります。
4-3.入居者にも注意が必要
入居者がいる賃貸併用住宅を購入すると、即日から賃料収入が発生するメリットがあります。しかしその場合でも、入居者がどのような人物なのか注意する必要があります。経営中で収益が発生しているのに売りに出されるということは、近隣や入居者同士のトラブルがある、騒音やニオイの問題がある、滞納が続いている入居者がいるなど、何かしらのトラブルを抱えている可能性があります。
購入希望の物件は、可能であれば現地まで見に行き、周辺環境と敷地内の清掃状態など、外観からわかる範囲での確認をするようにしてください。また、購入を検討していることと、土地活用を検討していることを担当者に正直に相談する方が、より良い回答にたどり着く可能性が高くなります。
4-4.東京都下・郊外も視野に入れる
東京での賃貸併用住宅というと、東京23区をイメージすると思いますが、東京都下や近郊にある、「住みたい街ランキング」などで取り上げられる、人気のある市街地も候補にしてみてください。このようなエリアは、マイホームとしても住みやすく、さらに人が多く集まるので、賃貸経営もしやすいと言えます。
たとえば、町田市・武蔵野市・三鷹市・国立市・八王子市・立川市・府中市などは、駅自体がターミナル駅であり複数の線が乗り入れています。さらに駅から直結で市街地が整備されているため、百貨店・スーパー・ドラッグストアなどがそろっており、生活利便性は都心部と変わらないレベルです。
このようなエリアは、大学・学校・企業も多いため、賃貸需要も多く、安定した賃貸経営が期待できます。さらに、東京には珍しいほど緑の多いエリアでもあるため、マイホームとしても環境が良く、理想的な賃貸併用住宅が見つかる可能性もあります。
このようなエリアは広い土地に二世帯住宅を建てている方も多いんで、二世帯住宅を購入して賃貸併用にリノベーションするなど、エリア特徴を生かした賃貸経営も視野に入れてみてください。
4-5.賃貸併用住宅の取り扱い実績が多い建築会社に相談が必要
賃貸併用住宅を購入する場合、ほとんどのケースで、設備や水回りの変更などのリフォームが必要になります。この時も、賃貸併用住宅に知見が深いハウスメーカーや建築会社に修繕依頼をする方が、適切な対処をしてもらえます。
そのため、購入を検討する時点で、賃貸併用住宅プランの取り扱いがある会社に相談をすれば、家探しはよりスムーズになります。NTTデータグループの運営する「HOME4U 土地活用」であれば、一回の入力で最大10社にまで、一度にプラン請求ができます。
購入を検討している場合でも、賃貸併用住宅プランの一括請求をし、備考欄に「中古の賃貸併用住宅の購入希望」であることを記載しておけば、現在、手元に物件があれば資料が届きますし、それ以外にも、賃貸併用住宅に関したさまざまな相談に乗ってもらえます。
5.東京都内で賃貸併用住宅経営を成功させる3か条
東京で賃貸併用住宅を経営し、良い結果を出すために大切なことを3つにまとめました。
1.都内でも賃貸ニーズの高い土地でおこなう
2.ケースによっては土地の買い替えも検討する
3.賃貸併用住宅の経験値が高い建築会社に相談する
5-1.都内でも賃貸ニーズの高い土地でおこなう
ご所有の土地を活用する場合は、その土地周辺で賃貸ニーズのある物件で賃貸経営をします。たとえば、ワンルームよりも事務所や店舗の方が適しているのであれば、1階部分を賃貸にして、2階以上をマイホームにします。
どのような物件の需要があるのかは、ご自分で調べるよりも、NTTデータグループの運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をすれば、ハウスメーカーや建築会社の担当者が、マーケティングデータをもとにした適切なアドバイスをしてくれます。
また、これから賃貸併用住宅を購入する際にも、現時点での入居状況を見極めたうえで、この先の賃貸経営にはどのようなニーズがあるのかを分析する必要があります。こちらも、一括プラン請求の際に「購入も検討している」ことを備考欄に書き添えていただければ、担当者が市場調査をしたうえで、予算と希望に合った物件をいくつか提案してくれます。
まずは、賃貸併用住宅に強いハウスメーカーや建築会社にプラン請求をし、活用予定地の現地調査を兼ねて相談をしてみるところからスタートしてください。
5-2.ケースによっては土地の買い替えも検討する
賃貸経営の成否は、ほぼ土地条件で決まります。 同じ都内大人気エリアであっても、駅近い物件と徒歩15分以上ある物件では、古くても狭くても圧倒的に駅から近い方が有利です。これは、賃貸物件を借りる方の心理として「生活利便性」も家賃のうち だと判断する傾向があるためです。
そのため、活用予定地があまり賃貸経営には適していない場合や、経営がスムーズにできるほどの物件数を確保できない土地条件の場合は、土地を買い替えての賃貸併用住宅経営も視野に入れてください。
ご自宅も兼ねた建物ですので、賃貸ニーズと環境選びは重要です。好きなエリア、住みたいエリアも含めて、予算と返済計画のバランスの良い土地活用先を探し出す必要があります。この場合も、まずは賃貸併用住宅に実績のある、ハウスメーカーや建築会社に相談をするところからはじめてください。
5-3.賃貸併用住宅の経験値が高い建築会社に相談する
土地活用として賃貸併用住宅を検討している方は、はじめから賃貸併用住宅に強いハウスメーカーや建築会社を探すようにしてください。賃貸併用住宅は、普通の住宅や普通の賃貸物件を建てるのとは違い、専門的な知識や技術が求められます。
また、賃貸併用住宅は賃料が返済原資である以上、成功しないとマイホームも賃貸物件も失うことにつながります。そのため、賃貸併用住宅は、賃貸ニーズ・エリア相場を調べる強いマーケティング能力が必要です。
建築費や土地代などを予算内でおさめて、マイホームとしても賃貸物件としても成立させるコストコントロール力も必要です。低金利でお金を借りるためには、マイホーム部分には住宅ローンを使うべきなのか、それとも、賃貸経営に主眼を置いて不動産投資として建てるべきかなど、土地活用として適切な判断をするポイントが、たくさんあります。
さらには、経営開始後に入居者見つけて、賃貸管理をお任せするまでの、プランから経営までをトータルでアドバイスできるためには、やはり、賃貸併用住宅の建築経験と、運用経験の両方がある大手ハウスメーカーや建築会社に集約されてきます。あらゆる角度からのサポートが万全にできる1社を見つけることが、オーナーとその家族のするべき最初のことだと言えます。
まとめ
東京で賃貸併用住宅を経営する土地活用についてまとめました。都内であっても経営リスクがゼロにはならないことはお分かりいただけたと思います。しかしながら、郊外や過疎地に比べれば、人が多い分、確実に賃貸ニーズがあるわけですから、ニーズにあった物件を作れば、長期安定収入が期待できます。
また、売っている賃貸併用住宅を購入する方法も、選択肢としてはあることもわかりました。まずは、土地活用プランを比較して、所有地にあった活用方法を確認し、そのうえで、賃貸併用住宅でどのような建物が建てられるのかを確認してみてください。
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