田舎での「アパート経営」基礎知識と成功の条件

1.田舎でのアパート経営は可能か？

もちろん立地によりますが、田舎でのアパート経営は十分に可能です。
以下、解説していきます。

田舎でのアパート経営の「チャンス」になっているのが、社会的背景です。

• リモートワークの増加
• 外国人労働者の増加

という社会情勢の変化です。

1-1．リモートワークの増加

リモートワークに関しては、コロナ禍を機に導入企業が令和元年の「20％」から令和2年には「47％」へと増加する事に見られるように、「どこでも働ける」環境の整備が急速に進みつつあり、ノマドワーカーと呼ばれる層が地方に移住、若しくは長期滞在するケースが増えてきています。

※参考：厚生労働省「テレワーク導入状況」

これらのノマドワーカー層の居住先として売り込むことができれば、「チャンス」があると言えるでしょう。

1-2．外国人労働者の増加

外国人労働者の数は令和4年度の調査で182万人と過去最高を記録し、上昇し続けています。
都市部ももちろん増えていますが、地方部の工場や物流関係で働く人も多く、そういった層の受け皿としてのアパート需要も出てきています。

外国人労働者の出身国によっては同郷の仲間で集まって住む事も多く、そこを掴む事も「チャンス」の一つであると言えるでしょう。

参考：厚生労働省「外国人雇用状況」

2.田舎でアパート経営する事のメリット・デメリット

田舎でのアパート経営は、上記の「チャンス」に加え、一般的に下記のメリット・デメリットがあると言われています。

総じてまとめると、「初期費用の低さと独自性を活用するアパート経営」であれば可能であると言えます。

【田舎でアパート経営する事のメリット・デメリット】

メリット	デメリット
初期費用が低く抑えられる 競合物件が少ない	空室リスクが高い 売却が難しい ローン審査のハードルが高い

以下、メリット・デメリットを個別に解説します。
一般的なアパートのメリット・デメリットに関しては以下をご覧ください。

2-1.【詳細解説】田舎でのアパート経営のメリット

田舎でアパート経営をするメリットとしては以下の2点が挙げられます。

2-1-1．初期費用が低く抑えられる

田舎で「アパート経営」をはじめる人の多くは、土地をそもそも相続等して持っている方が多く、そういった方は初期費用低く、断然有利にアパート経営をスタートできます。

「土地なし」であっても、田舎では土地の購入費用が安い傾向にあるため、手持ち資金が比較的少額でもアパート経営をスタートすることができます。

「アパート経営」を始める際は、「初期費用」をいかに低く抑えるかが初期の最重要事項と言えます。
利回りはよくなりますし、ローン借入金額も低めになるので返済額も安く、資金繰りが楽になります。

ある意味「有利」なポジションからアパート経営をスタートできるのが「田舎のアパート経営」と言えます。

2-1-2．競合物件が少ない

競合の参入が活発な都市部と比較して、田舎は競合物件が少なく、物件同士の競争が比較的ゆるやかな点が特徴です。

冒頭で述べた「チャンス」を活用して特定層にきっちりアピールして集客できれば、他の物件に流れてしまう事もなく、長期的に利益を享受する事ができるでしょう。

都市部であれば、他の物件に対する競争優位性を保つために、アパートの老朽化対策や新たな設備を追加するためにリフォーム・リノベーションを定期的に行う必要がありますが、田舎であればやや古めのアパートであっても脅威となる競合が少ないため、修繕の頻度は最低限で済み、メンテナンスコストも安上がりです。

2-2.【詳細解説】田舎でのアパート経営のデメリット

田舎でアパート経営をするメリットとしては以下の3点が挙げられます。

2-2-1．空き室リスクが高い

田舎は都市部と比較して人口の流入が少なくて流出も多いため、新たな入居者が見つかりにくく、都市部に比べて空室リスクが高いというデメリットがあります。

冒頭の「チャンス」で述べたように、田舎という立地ならではの価値を活用して「特定の層をターゲットして集客する」といったマーケティングの努力や、入居者に人気の設備を完備するなど、「間取り設計」時点からもさまざまな検討が必要となります。

2-2-2．売却が難しい

田舎は都市部と比べて賃貸需要が少ないため不動産の買い手も少なく、売却先を見つけるのがより難しいという傾向があります。
売却先が見つかっても売却金額が低くなるケースや、解体工事を行って更地を売却するケースが多いです。

従ってあらかじめ最終的にどう処分するかの「出口戦略」を決めておく必要があります。

2-2-3．ローン審査のハードルが高い

田舎の土地は、不動産を売却した際の対価である「担保価値」が低いため、金融機関からの評価額が低めとなり、ローン審査に通るハードルが高くなります。

しっかりした「経営プラン」を提出して審査に備える必要があるので、早い段階で「アパートメーカー」に相談しておくのが得策です。

「アパートメーカー」は建てるだけではなく「経営プラン」から作ってくれますし、ローンを受けてくれやすそうな銀行を紹介してくれる場合もあります。

3.田舎のアパート経営を成功させる3つの条件

田舎でアパート経営を成功させる条件として、以下の3つが挙げられます。

3-1．土地選び・立地条件の検討を慎重に行う

都市部のアパート経営においても共通の事項ですが、田舎においても物件自体のスペックだけでなく、交通アクセスや日当たりなどといった「立地条件」が非常に重要となります。

また田舎固有のポイントとして、車が生活の足となっている田舎では駐車場を建設するスペースがあるか否かで入居率が大きく左右されるので、アパート本体だけでなく駐車場のためのスペースも確保できるかどうか、必ず検討しましょう。

商業施設など、生活利便性がアップするような施設が近くsにある事も物件の大きなウリになります。

3-2.間取り設計はターゲットに合わせて行う

物件の間取りは交通アクセスなどの立地条件に次いで入居者からの人気を左右する要素です。

都市部であれば、学生や単身者用へ向けてワンルームや1Kの部屋を用意することが収益力向上につながりますが、田舎においては広めの間取りの需要が高いです。

田舎のメインターゲットになるファミリー層はもちろん、1人暮らしの人でも広めの間取りを希望する傾向があります。

入居者募集のしやすさを考えると、広めの間取りを前提とした設計が必要です。

専用面積の広さは入居希望者からの人気に繋がるだけでなく、家賃収入の引き上げという観点でも重要です。

3-3.実質利回りのシミュレーションをしっかり行う

これは「田舎・都会」に関わらず共通する成功の条件です。

一般的に「利回り」と言えば「表面利回り」であることが多いですが、物件を選ぶ際に決め手となるのは「実質利回り」と呼ばれる、物件の収益性をより正確に反映した指標です。

シミュレーションを行うときは表面利回りで考えるのではなく、実質利回りで考えることがポイントになります。

4.「アパート経営」以外の田舎でできる土地活用

田舎でできるアパート経営以外の土地活用は、主に以下のようなものがあります。
アパート経営以外の選択肢としてご参考ください。

4-1.介護系施設

田舎でも需要があるのが介護系施設です。日本では高齢者の数が年々増え続けています。
介護系施設が不足していることに加え、田舎でもニーズは伸び続けると言えるので手堅い土地活用方法でしょう。

4-2.ロードサイド店舗

田舎で活用できる商業系の施設としては、コンビニやドラッグストアなどのロードサイド店舗です。

立地さえよければ、少ない投資額でハイリターンを狙うことができます。
国道など利用者の多いロードサイドに土地をお持ちの方に向いていると言えます。

4-3.月極駐車場・コインパーキング

田舎でも駅や観光地に近い場所であれば、駐車場という選択肢もあります。

手軽に始めることができるので土地活用に資金を充てられない方や、土地の良い活用方法が見つかるまでの間暫定的に利用したい方におすすめの活用方法です。

4-4.トランクルーム

郊外の田舎でも、近くに都市があればトランクルームとして活用できる可能性があります。

建設費がかかってしまうため駐車場ほど手軽に始めらませんが、アパート経営に向いていない駅から離れた土地や小さな土地でも活用することが出来ます。

4-5.太陽光発電

太陽光さえ当たる場所であれば、場所を選ばずに土地活用できるのが太陽光発電です。

ある程度の広さの土地があれば、固定価格買取制度（FIT）があるため初期費用や維持費を抑え、長期的に安定した収入が得られる土地活用方法になります。

その他の田舎の土地活用については以下の記事をご覧ください。

5.田舎の土地でアパート経営を成功させるには

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