土地活用でのコインランドリー経営の年収めやすとメリットデメリット
コインランドリー経営は、一般的に言ってローリスク・ミドルリターンなビジネスです。その理由として、基本的に立地条件さえ地域とエリアに合致していれば、毎日コツコツと確実に現金収入が発生するからです。
土地活用でのビジネススタートであればなおさら、土地代や家賃は不要、主に水道・ガス・電気代くらいしか経費がかからずに済むため、手間のかかりにくい資産の活用方法としてスタートができます。近年では、
- 花粉症対策
-
花粉やダストなどを避けるため、外干しをしない人が増えています。
- アレルギー対策
-
布団・毛布・シーツなど大きな洗濯物が一度に丸洗いできて乾燥が完全にできるコインランドリー利用が増えています。
- 働く女性の激増
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仕事を持つ女性が多いため、洗濯は週末に大型洗濯機のあるコインランドリーで洗濯から乾燥までをすますご家庭が増えています。
- ミニマルなライフスタイル
-
若い世代の中にはミニマリストという、家の中に家電などをほとんど置かない暮らし方を選択する人が増えています。このような暮らし方をする方たちにとっては、コインランドリーはなくてはならないものです。
など、時代の変化とライフスタイルの多様化により、コインランドリーの需要はほぼ一年中ありますので、コインランドリー経営と収入がどのくらいになるのかの情報は、土地活用のヒントとして知っておくとよいかもしれません。
1.コインランドリー経営と年収に関係する5つのめやす
本章では、土地活用のひとつとして、コインランドリー経営をした場合に、どのくらいの年収になるのかなどのめやすになるものを5つにまとめました。
1-1.開業に必要な土地の大きさめやす
コインランドリー開業に必要な土地の大きさのめやすは、最低で8~10坪程度からです。コインランドリーには洗濯機と乾燥機などの機械設備が必要になりますので、この2つの機械が複数台入っても人が行き来できる広さとして、最低でも8坪(約26平米・16畳)程度からがコインランドリーに必要な土地の大きさのめやすになります。30坪(約100平米・60畳)以上あると大型店舗と呼ばれます。
都心は小さな店舗が多く、郊外に行くと車で乗り付けをする大型店舗が多い傾向にあります。大型店舗であればたくさんの機械を置けますので、小型店舗よりも高い売上が見込めます。
1-2.開業に必要な設備と資金めやす
開業資金めやすを、10~15坪の小型店舗モデルでまとめてみました。お持ちの土地に小型のコインランドリーを設営する前提で見てみましょう。
必要な機器 | 個数 | 1台の値段めやす | 合計額 |
---|---|---|---|
全自動洗濯乾燥機12㎏タイプ | 1 | 約180万円 | 180万円 |
全自動洗濯乾燥機22kgタイプ | 2 | 約260万円 | 520万円 |
2段式乾燥機14㎏タイプ | 3 | 約130万円 | 390万円 |
乾燥機25㎏タイプ | 1 | 約100万円 | 100万円 |
両替機能付き集中清算機 | 1 | 約300万円 | 300万円 |
給排水工事・電気ガス工事・内装工事 | 250万円 | ||
建物代金 | 450万円 | ||
活用予定地に小型店舗を開設するための費用合計 | 約2,200万円 | ||
クリーニング加盟店権利金(フランチャイズの場合) | 1 | 100万円前後 | 100万円 |
◆コインランドリー経営をスタートさせるまでに必要な総開業資金のめやす◆小型店舗 | 約2,300万円 |
【機械・建物代金参考元:TOSEI 千駄木店】
各機械の費用は、選別したマシンの種類やブランド、加盟店が推奨する仕様、新品か中古かによって上下します。フランチャイズチェーン(フランチャイズ)に加盟をした場合は、フランチャイズが提示してきた金額になります。フランチャイズ加盟方法は企業によって対応が違い、
- フランチャイズ入会と設備・メンテナンス・集金作業などがセット
- フランチャイズ入会でマシンレンタル・集金と施設管理は自前
- フランチャイズ入会で加盟金なし、その他選択制
- フランチャイズ入会なしで、必要な部分だけを外注
など、複数の組み合わせが可能であり、フランチャイズ加盟をしないとコインランドリー経営ができないわけではありません。また、フランチャイズ加盟をしても、フランチャイズによってロイヤリティ(月額の加盟料)があるところと、ないところがあります。
コインランドリーの加盟店やコインランドリー経営サポートをする企業は全国に複数ありますので、いくつか資料を取り寄せ、良いと思ったところで複数見積もりを取って比較するのが良いでしょう。また、上記のコインランドリー機械は販売もしています。
【参照:WASH HOUSE】
【参照:エレクトロラックス コインランドリー経営】
【参照:TOSEIコインランドリービジネス】
1-3.コインランドリー経営の売上めやす
売上めやすは、店舗の大きさとほぼ比例します。コインランドリー経営の平均的な必要経費は売上の25%*ですので、残りが粗利となります。粗利とは、固定費や人件費などの費用を引いていない状態のことですので、土地活用でご自分の土地にコインランドリーを設営する場合は、25%で計算したものがほぼそのまま、コインランドリー経営の年収となります。
1日の平均売上は10,000~50,000円です。金額に幅があるのは、店舗の規模と、使用している機器と設置台数によって売上金額が変わるためです。
客単価は大型機械がないお店で平均500円前後、大型機械のあるお店では、600~1,200円くらいです。大型機械があると布団や毛布などの大きなものを扱えますので、客単価が上がります。目安として、1日1店舗20人くらいの集客ができれば、平均の売上に達することができます。
上記の条件をもとにして、小型店と大型店をそれぞれ計算してみました。
- 小型店の場合(フランチャイズ加盟 ロイヤリティなし)
-
- 月額売上:1日20人 × 小型店客単価500円 × 30日= 300,000円
- 必要経費:300,000 × 25%= 75,000円
- 月額粗利:売上 - 必要経費 = 225,000円
- 年収めやす:225,000円 × 12か月= 270万円
- 大型店の場合(フランチャイズ加盟 ロイヤリティなし)
-
- 月額売上:1日20人 × 大型店客単価600~1,200円 × 30日 =360,000~720,000円
- 必要経費:360,000~720,000 × 25% =90,000~180,000円
- 月額粗利:売上 - 必要経費 = 270,000~540,000円
- 年収めやす:270,000~540,000 × 12か月 = 324万~648万円
コインランドリー経営は24H経営ですので、店舗の大小に関係なく、ざっくりと12時間で10人、6時間で5人程度の集客だと考えると、ビジネスモデルとして、そこまで大きなハードルではないことがお分かりいただけると思います。
1-4.コインランドリー経営の平均利回りめやす
利回り計算方法は複数ありますが、本記事は土地活用でのコインランドリー経営を前提としているため、お手持ちの土地や不動産が生み出す収益として考え、賃貸不動産の実質利回りの計算方法を使って、平均利回りを出してみましょう。
不動産の実質利回りの計算方法は、以下のとおりです。前項1-2,1-3で出した、小型店の数字を当てはめてみます。
- 小型店の場合 利回り約11.7%
-
- 開業のための投資金額合計めやす 2,300万円(フランチャイズ加盟あり)
- 月額売上:1日20人 × 小型店客単価500円 × 30日 = 300,000円
- 月額必要経費: 300,000 × 25% = 75,000円
- 月額粗利:売上 - 必要経費 = 225,000円
- 年収めやす:225,000円 × 12か月= 270万円
- 利回り計算式に当てはめる
年収めやす270万円 ÷ コインランドリー経営投資額合計2,300万円 × 100 = 11.73%
コインランドリー業界で通説となっている利回りの平均は、賃貸物件を利用した経営スタイルでも10~15%前後と言われています。上記の具体的な数値を入れたシミュレーションでも類似した数値が出てきていますので、業界平均はクリーニング経営の実態と大きくかけ離れてはいないようです。複数のコインランドリー企業が提案する利回りなどを含めた見積もりを比較したうえで、納得のいく利回り率を探していきます。
1-5.個人経営でもフランチャイズ加盟でもスタートできる
コインランドリー経営は、フランチャイズ加盟でも、個人経営でもスタートができます。どちらも一長一短がありますので、ご自身で納得のいくほうを選ぶことになります。フランチャイズ加盟経営・個人経営を選択した場合の差を表にまとめました。
フランチャイズ加盟 | 個人経営 | |
---|---|---|
フランチャイズの成功マニュアルに従う | 経営方法 | 自分で考えて自分でやる |
フランチャイズから実績のある返済計画書があり有利 | 資金確保 | ローンが下りないケースもある |
マニュアルあり・加盟店が販促をする | 広告集客 | 自分で告知 集客 |
フランチャイズの指定する機材プランから選んでいく | 機材選び 導入プラン | 購入・リース・中古品から自分で選ぶ |
商圏データがあり、競合店なども把握済 | 市場調査 | 自分でやる・専門業者に依頼 |
フランチャイズからのリース・定期メンテナンス | マシンのメンテナンス・リース | 外注契約・個人事業者に非対応あり |
プランの中に組み込まれている | 防犯 監視 | 外注契約、または監視モニター設置 |
プランに上乗せ、または月額料で徴収 | ロイヤリティ | なし |
2つの経営スタイルを大きく分ければ、フランチャイズは未経験で会社員をしながらでもできるほど手取り足取り教えてくれるが、余分な上乗せ費用も多いので支出も多い。個人経営は、何でも自分で考えて自由に経営ができる反面、事業主としての負担や仕事量も多い、ということになります。
- フランチャイズに入るメリットは
-
- 経営ノウハウをもらい、指導もしてもらえる
- 機械などの仕入れに苦労しなくてもよい
- 銀行から融資を受けやすい
- 企業ブランドによる信頼を得やすい
- フランチャイズに入るデメリットは
-
- 売上の状況に関わらずロイヤリティを支払うことになる
- 好きなマシン、好きな運営方法などは、フランチャイズに制限されてできない
- 契約期間があり、その期間が過ぎると再契約が必要になる
などです。個人経営の場合は、ほぼフランチャイズの逆になると想定しておいてよいでしょう。どちらが良い悪いではなく、土地活用をする上で、ご自身はどのようなタイプの事業主になりたいのかを基準に考えてみるとよいでしょう。
各社のコインランドリー経営セミナーはオンラインでも開催されており、フランチャイズ加盟の方、加盟だけして機械リースだけをして個人事業をしている方、すべて自分でしている方など、複数の背景を持つ方が登壇してお話をしてくれますので、ご自身の経営方法の参考になるかと思います。また、複数の関連書に目を通すことで、ご自身の目指すスタイルのコインランドリー経営と出会える可能性もあります。
個人経営での最も大きなデメリットは、事業計画がしっかりしていないと、活用予定地の土地を担保にした分までしか融資が下りず、自己資金をかなり多めに準備しておかないとならない点です。特に初心者の場合は、事業経験がないことから、審査基準が厳しくなる傾向があります。
フランチャイズの場合は、金融機関側に、すでに成功した資金計画マニュアルに沿ってローン回収をした前例が複数あるため、事業計画に対する信用があり、審査が通りやすい傾向にあります。
また、個人経営の場合、洗濯機などのマシンリースを、個人にはしてくれない会社もいくつかあります。その代わりに、個人経営の場合は中古マシンを仕入れていくこともできるため、開業のための費用を自分で大幅に抑えることもできます。
【参照:「S級立地戦略」で突き抜ける 賢者のコインランドリー投資】
【参照:大型コインランドリー 開業・運営マニュアル】
【参照:年商1200万円以上稼ぐ! 失敗しないコインランドリー経営】
◆コラム◆コインランドリービジネスは、新しい土地活用方法のひとつ
コインランドリー経営は、土地活用の新しい方法として注目をされています。多くのコインランドリー経営のビジネスモデルが「土地を賃貸してスタートする」ところにあるため、ご自身がお持ちの土地活用であれば、より利回りが良く失敗しにくいローリスク・ミドルリターンなビジネスになります。
また、コインランドリー経営は、一般の人の生活の中に入り込むライフラインの一つでもあるため、景気の良し悪しに左右されにくく、常に一定需要が見込まれています。
コインランドリーのイメージが一昔前と違って大きく変わったのには、日本の社会背景があります。共働きの家庭・独身者が増え、昼間の時間に洗濯をすることができない上に、夜遅く帰ってから洗濯・干すのは体力的にも厳しいうえに、仮に洗濯をしても夜の室内干しでは良く乾きません。
さらに、常識的に考えて21時以降に洗濯機を回すのは、一軒家でもない限り近所迷惑になりますので平日の洗濯そのものを避けるようになり、休みの日にまとめてコインランドリーで済ませる方が増えていきました。このような需要に合わせ、コインランドリーは明るく・清潔で・安全な場所に生まれ変わっています。
このような背景の中、単身者・主婦層・高齢者などが一週間分の選択ものをまとめてコインランドリーで洗濯をし、その場で畳んで家に持って帰るという生活パターンが定着しつつあります。
実際、洗濯というのは洗ってから乾かすまでに最も時間がかかるため、業務用のパワーある洗濯乾燥機で1時間以内にすべての選択が終わるコインランドリーの便利さを体感すると、定期的に使うようになり、結果的にそのほうが効率的であるため、利用が定着化していきます。
また、ダニやアレルギー対策としての布団や毛布、シーツ、カーテンなどの大型寝具やリネン類を、天気などに一切左右されずに、まとめて洗うことができる大型機械のあるコインランドリーがあれば、定期的にダニとホコリを取り除くことができる上に、クリーニング店に出すよりも安上がりです。
このような明確な目的があると、利用者は遠くから車に乗ってでも来ますので、エリア対応範囲が広い、商圏が大きいビジネスなのです。
2020年のコロナショック以降は、世界と日本のライフスタイルが大きく変わっていくことも含め、コインランドリー経営はこの先も十分に需要が見込まれており、人口に対してのコインランドリー数はまだ十分とはいえません。厚生労働省の調査によれば、コインランドリー市場は年平均300店舗のペースで増加をしています。
2.コインランドリー経営と収入に関したメリットデメリット
本章では、コインランドリーを経営する側になった時に、どういうメリットとデメリットがあるのかをまとめました。
2-1.コインランドリー経営のメリット
コインランドリー経営をした場合のメリットをまとめています。
- 経費が少ない
- 景気に左右されない
- 地形や土地条件に左右されない
- リスクが少ない
- マシンの寿命が長い
- 特別な知識や資格が不要
2-1-1. メリット1 経費が少ない
コインランドリー経営は、経費があまりかからないビジネスです。コインランドリー経営をスタートすると、投資資金は設置したマシンが回収してくれ、洗濯は来た人がセルフサービスでやってくれます。そのため、コインランドリー経営のために人を雇う必要がありません。一般的に、人件費は収益の20%程度はかかりますので、その分が最初からないビジネスです。
また、スタート後からのランニングコストも水道・ガス・電気と、清掃に使う洗剤代くらいしかかからないので、経費がかさむ心配がありません。仮に、清掃などで人を雇う必要があったとしても、その人に何かノウハウなどを教えて育てる必要もないため、手間もかかりません。
一般的なビジネス、土地活用でのアパート経営などと比較しても、非常に経費が少ないビジネスです。
2-1-2. メリット2 景気に左右されない
洗濯は誰もがしますし、生活を支ええるライフラインの一つです。景気が悪くなって給料が下がったからと言って、洗濯をしなくなる、洗濯する回数を減らす人はほとんどいませんので景気動向に左右されにくいビジネスです。
2-1-3. メリット3 地形や土地条件に左右されない
活用予定地が理想的な地形や土地条件ではなかった場合、アパート経営や家を建てようとするといろいろな制限がかかり、思ったような経営と収入にならない可能性もあります。
コインランドリー経営であれば、多少の地形の悪さや、土地条件(日照・水はけ・道路が狭い)は問題にならず、基本的に、洗濯物を持った状態で出入りできるのであれば、コインランドリー経営をスタートさせることができます。
2-1-4. メリット4 リスクが少ない
コインランドリー経営は、立地とエリアさえしっかりとマーケティングをして、需要と店舗面積のバランスを間違えさえしなければ、毎日、確実に小さな収益が発生し続けるタイプのビジネスです。必要経費は水道・ガス・電気代などの代金のみで、人件費もいらず、粗利率の高い経営ができますので、失敗しにくい経営ができます。
2-1-5. メリット5 マシンの寿命が長い
レンタルや購入したマシンの耐用年数が長く、ほぼほったらかしの状態で収益を生み出し続けてくれます。日頃の掃除と定期メンテナンスをしっかりしていれば、平均で20~40年は使え、途中に大きな修繕費用などが発生しにくい傾向にあります。
また、仮にマシンに故障が起きたとしても、店内の機械すべてが故障して動かなくなることはほぼありませんので、必要なマシンにのみ修理をすればよく、運営を止める必要がないので営業損失が出にくいビジネスです。
気になる方は、近隣に古くからあるコインランドリーにある機械の製造年月日を見てみると、昭和製のマシンがいくつもあることがわかります。そのくらい、壊れにくく、頑丈なマシンなのです。
2-1-6. メリット6 特別な知識や資格が不要
コインランドリー経営を始めるための特別な知識や資格が一切不要ですので、下準備が済んでさえいれば、明日からでもスタートできるのも大きなメリットです。事業ですので、関連書籍に目を通す、加盟店のセミナーに参加してマニュアルを理解するなどの基本的な勉強は必要ですが、専門知識などは無くても経営ができます。
2-2.コインランドリー経営のデメリット
コインランドリーを経営する際のデメリットをまとめました。
- 初期費用がかかる
- セキュリティが心配
- クレーム対応が心配
- 新しいマシンが普及しづらい
2-2-1. デメリット1 初期費用がかかる
一般的な土地活用方法であるアパートやマンション経営に比べれば初期費用は少な目ですが、それでも1章で説明したように、コインランドリーを作るために、ある程度のまとまった金額はかかります。
10坪前後の小規模店で機材をすべてそろえてスタートさせるためには、フランチャイズ加盟料を支払って総額1,900万円ほどですので、より大きな店舗を作る場合には、これ以上の金額がかかることは間違いありません。
対策
初期費用で特に大きなハードルになるのは、主にローンの問題なので、自己資金で多くを賄えない場合は、
- 毎月のロイヤリティが発生しないフランチャイズグループを選ぶ
- 小規模な状態でスタートし、様子を見ながら規模を大きくしていく計画で運営をする
などで、初期費用を抑えながらやっていく方法があります。ローン返済のシミュレーションに関しては、フランチャイズ制度のあるグループ企業のほうが、経営シミュレーションに長けていますので、複数のフランチャイズグループに経営プランを出してもらい、比較検してみると、初期費用を上手に抑えられるプランに出会えます。
また、準備できる自己資金が少ないことを担当者に説明し、そのうえで、どのような方法があるのかも聞いてみましょう。
2-2-2. デメリット2 セキュリティが心配
コインランドリーは基本、無人営業ですので、セキュリティを良くしておく必要があります。セキュリティ対策をすることにより、コインランドリーでの軽犯罪や、町の不良などがたむろするなどの、環境劣化を防ぐことができます。
環境の良い地域であれば、定期見回りなどでも問題なく運営ができますが、治安の悪い地域の場合はしっかりとした対策をする必要があります。
対策
<オンライン監視>
オンラインの場合は光回線を利用した動画監視になります。誰かが24時間監視をするのではなく、室内を24時間365日動画撮影し、何か起きた場合に現地録画から犯人などの特定ができるようにするのが目的です。その場合、
- 光回線設備:
-
月額料金・プロバイダー料金などを合わせて月額で5,000~10,000円ほどかかります。
- カメラ設置:
-
1台3万円前後 室内の4角に設置すると、合計で12万円かかります。
また、最近はご自分のスマホで24時間監視ができるタイプの監視カメラもあり、これであれば、自宅にいたまま定期的なセキュリティチェックができます。フランチャイズ加盟をしている場合は、チェーン企業が提携しているセキュリティを導入します。
【参照:スマホで監視できる クラウド型防犯カメラ】
【参照:NTT ギガらくカメラ】
<有人監視>
オーナーがご自身でするか、アルバイトを雇って、定期・不定期を織り交ぜて巡回をするタイプの監視です。オーナーが近隣に住んでいる場合は、朝夕のかんたんな清掃などのついでに、店内に異常がないかをチェックするなどで、犯罪の抑制につながります。頻繁に見回りができない場合は、不定期のアルバイトなどをお願いして、チェックをしてもらうようにします。
どのような形でも、「チェックをしに来る人がいる」という事実があると、犯罪防止には役立ちます。
<警官立ち寄り所として登録をする>
近隣の派出所や警察署などに依頼をし、警察官立ち寄り所として、警らの時に定期立ち寄りをしてもらう登録をします。毎日の巡回をする警察官が立ち寄って不審者などがいないか・変わったところがないかを確認してくれますので、犯罪抑制につながります。「警察官立ち寄り」の小さな看板やシールがあり、それを店舗入り口に貼ることもできます。
<地元の方とコミュニケーションを持つ>
普段から、コインランドリー周辺の地域住民とコミュニケーションをよくしておき、周辺の目をセキュリティに役立てる方法です。地域住民の方々も、自分たちが暮らす場所で犯罪などは起きてほしくありませんので、普段とは違う様子があればオーナーや警察にすぐに知らせてくれます。
2-2-3. デメリット3 クレーム対応が心配
コインランドリーの店舗には専用の人員を常駐させていませんので、それが裏目に出る場合があります。例えば
- 釣銭が出ない
- 洗濯機が故障して洗濯物が取り出せない
- 洗濯物が盗まれた
- 洗濯ものの放置がある
など、現場に常駐する人員がいれば、すぐに対応できるのですが、無人経営であるがために起きることです。自主管理をする場合は、クレームが起きるたびに現場へ直行して対応をする必要があります。フランチャイズ加盟をしておけば、これらのクレーム対応はすべて、フランチャイズ企業のコールセンターが対応しますので、クレーム対応を直にする必要はなくなります。
2-2-4. デメリット4 新しいマシンが普及しづらい
こちらも、現場に人がいないゆえに起きるデメリットです。例えば、布団の丸洗いができるようにと、高額な布団丸洗い洗濯マシンを導入したとしても、そのマシンの説明をする人がその場にいませんので、多くの来場者にはその価値がわかりません。
導入に高額なマシンは一回の使用料も高いので、わざわざ高い料金を支払って、良くわからない洗濯機は使いません。その結果、その機械の資金回収が遅れ気味になる可能性があります。
対策
店舗内にサイネージ動画などが流せるパネルなどを設置し、説明が常時流れるようにします。または、サイト・ブログ・SNSなどを利用して、利用者向けに情報シェアができるようにしておきます。これらの販促活動はフランチャイズ加盟していれば、その企業が広告を代行してくれますが、個人で運営をしている場合は、ご自身で外注をする必要があります。
【参照:NTT ひかりサイネージ】
3.コインランドリー経営で確実な年収を得るためのQA10
本章では、コインランドリーの経営を検討した場合に気になる、素朴な疑問を集めてみました。
3-1. Q1.どんな地域やエリアならばコインランドリー経営が成功しやすいでしょうか?
A. 主婦が子連れでも行かれる場所です。
近年のコインランドリー利用者のメインは主婦層ですので、女性が子供を連れたままでも立ち寄れるような場所が理想的です。繁忙期はほぼ一年中ですが、特に以下のタイミングは、コインランドリーが混雑をする時期です。
- 3~5月 衣替えと花粉のシーズンで屋外に干せない。
冬用の布団を夏用に変えるタイミングで、布団の丸洗いに来る方が増えます。 - 6~8月 梅雨入りをして洗濯物が乾きにくき時期。夏場の洗濯ものが一気に増える時期。
- 9~11月 長雨や台風が続く。運動会やスポーツ大会などの時期で洗い物が増える。衣替え。
- 12~2月 大掃除で布団やカーテン・カーペットなどの洗濯。
冬時期の中盤で、一度、コートやダウンなどの洗濯をクリーニングではなく洗いたい人が利用。
上記のようなタイミングで頻繁に洗濯物をもって足を運ぶ場所として、使いやすい、通いやすい場所であれば、コインランドリー出店に地域や良いエリアと考えます。
3-2. Q2.出店に良い、ベスト・エリアはありますか?
A. あります。ただし、郊外と都市部でベスト・エリアは違います。
郊外の場合は、コンビニやドラッグストアが建てられるような土地とエリアが理想的です。つまり、間口が広く、駐車場が多く取れて、ガラス張りにしても大丈夫なエリアであれば、大型のコインランドリー店舗も可能です。
住宅街や都市部の場合は、角地・自動車の停車スペースが最低でも1台分はある・自転車が停められる・出入り口だけでも間口が広いことなどがあげられます。
しかし、どのエリアであっても、すべての条件を兼ね備えた土地は滅多にありませんので、全体的に見たときに、地域のコインランドリー利用者が来やすく・通いやすい土地とエリアであれば、出店の検討をしてみてもよいでしょう。
3-3. Q3.オーナーの家から近いほうが良いのでしょうか?
A. 近いほうが何かと便利ではあります。
コインランドリー店舗とオーナーの自宅は近いほうが、何かと便利です。特に、フランチャイズ企業にお任せするプランではない経営を選択した方、加盟せずにご自身で運営する方は、最低でも月に2回は掃除や集金などの業務が発生しますので、自宅からは近いほうが仕事をしやすいといえます。業務以外にも、クレームやトラブル対応などが発生する可能性もあり、家から近いほうが、対応も早くできます。
特に、最初の1店舗目はオーナー自身もコインランドリー経営の初心者でもあるため、どうしても経営や業務内容などを何度も確認したい気持ちも強まりますので、通いやすい、自宅のお近くのほうが良いでしょう。
慣れてきたら2店舗3店舗の出店には、すこし離れた地域で業務を代行・外注するのもよいでしょう。活用予定地が自宅から遠い場所にある場合は、はじめからフランチャイズ加盟をしてすべてお任せのプランにしたほうが、オーナーの負担は軽くなります。
3-4. Q4.開業資金が少な目なのですが、開業できますか?
A. できます。開業資金は借入ができます
土地活用の場合、土地を担保に土地の評価額の7割程度までの融資が可能です。フランチャイズ加盟をせず、個人で経営をする場合、金融機関は個人経営の事業投資(特に初心者)に厳しい傾向がありますので、日本政策金融公庫での借り入れを並行して検討しておくことをおすすめします。
金融機関・金融公庫とも、綿密な事業計画書と資金計画書が必要です。これらは、関連書籍や各コインランドリー加盟店のセミナーなどでも説明がありますので、少し勉強をしておく必要があります。
フランチャイズ加盟をする場合は、フランチャイズ担当者が計画書作成などを指導してくれます。また、フランチャイズ加盟で運営をする選択をした場合は、フランチャイズ企業が提携する金融機関でのローンが可能です。
【参照:国民生活金融公庫 小規模事業>一般貸付 小規模企業向けの小口資金や新規開業資金】
3-5. Q5.中古マシンだけでそろえれば開業資金が少なく済むと思うのですが
A. 結論から言えば少ない資金で開業できますが、おすすめはしません。
開業資金が潤沢に用意できない、金融機関でローンも組みたくない場合、中古品でそろえれば機械代金が半額くらいになりますので、開業資金が少なくても楽にスタートできるかな、と考える方は多くいらっしゃいます。そして、確かに中古品でそろえれば開業資金は少な目で済むのですが、あまりおすすめはできません。
理由としては、コインランドリーは閉店する店舗が少ないため、そもそも中古のコインランドリー機器はほとんど市場に出回っていません。そのため、うまく中古品を見つけられたとしても、同じメーカーや機種でそろえるのが難しい点があげられます。
店内に、1台1台違う機械が並べられていると、見た目もよくないですし、メンテンナンスの際にも、それぞれの機械に詳しい業者を別々に呼んで点検をしてもらう必要があり、結果的に、経費がかさむことになります。
ただし、スタート時点での費用を抑えるために、機械の一部を中古で導入する程度であれば、問題はないでしょう。
3-6. Q6.たくさんあるマシンの中から、どんなものを選べばよいのでしょうか
A. 寿命とメンテナンスの良さで選びましょう。
基本的には、好みのものを選べばよいと思います。もし、複数の機械やブランドの中で迷った場合は、
- 寿命が長いもの
- 企業メンテナンスの良いもの
を基準にして選びます。コインランドリー機械の減価償却期間は13年ですので、その期間よりも寿命を長くするためには、メンテナンスの良さが決め手になりますので、メンテナンスの対応が良い会社(定期巡回がある・万が一の故障の場合の対応が早いなど)から選んでいけば損が出にくく、経営にプラスの選択になります。
2章1-5で触れましたが、基本的に、コインランドリーの機械は耐用年数を大きく超えても普通に使えるものが多く、寿命が長い頑丈な機械が多い傾向にあります。昔の機械メーカーが今も、同じだけの頑丈さを保っているかは不明ですが、近隣で古くから経営しているコインランドリーをのぞいてみて、そこで使用されている機械のメーカーが今でもあれば、それもマシン選びの候補に入れて検討してみるとよいかと思います。
【参照:国税庁 減価償却費 洗濯業・理容業・美容業・浴場業用設備】
3-7. Q7.マシン選びで気を付けることはありますか?
A. 布団と毛布が洗えるマシンはマスト
コインランドリーでそろえる機械の中に、最低でも一台は、布団や毛布などの大型洗濯物を洗えるマシンを設置しましょう。
今や国民病とまで言われる花粉症の対策として、定期的に布団・シーツ・カーテンを丸洗いする家庭は増えつつあります。特に、花粉の時期は布団の外干しもできませんので、乾燥だけでもとコインランドリーの利用をします。
また、アレルギーの原因となるダニ・ノミ対策としても、コインランドリーでの布団丸洗いは効果的です。アレルギーの原因となるダニ・ノミは65度以上の高熱をかけないと死滅しませんが、これは真夏の太陽で外干しをしても温度が足りません。しかし、コインランドリーの大型乾燥機であれば、80度以上の熱風で乾燥させることができます。
特に、アレルギーや喘息などの症状がある小
さなお子さんがいる家庭では定期的な利用が想定されますので、布団と毛布が丸洗いできる大型の洗濯機と乾燥機は、小規模店舗であっても、最低でも1台は用意をしましょう。
3-8. Q8.24時間経営は大変なのではないでしょうか?
A. 基本的には無人営業なので大変ではありません。
コインランドリーは24時間365日営業ですが、そこに人が常駐するわけではありませんので、基本的には大変なことは何もありません。コインランドリー経営を検討されているうえで、24時間営業であることが気になるのは、主にセキュリティの面だと思いますが、店内の管理は監視カメラなどを含めた委託管理と、自主管理が選択できます。(2章2-2 セキュリティを参照)
おすすめは、スマホなどで遠隔監視ができるタイプの監視カメラを導入しておくことです。ご自身で定期的に遠隔でスマホから店内の様子を確認できます。お近くに住んでいればご自身で確認に行くこともできますし、何かあれば、近隣の警察に連絡をして対応をしてもらうこともできます。
また、無人による盗難の心配ですが、置いてある機械はすべて、家庭用以上の大型機械のため、機械を持ち逃げされるようなことは、想定しなくてもよいでしょう。コインランドリーで起きる主な盗難とは、利用者の衣類や、両替機から小銭を盗難するものです。
衣類の盗難は監視カメラを付けることで制御が可能です。両替機の盗難は、自動精算機がマシンと一体型になって容易に壊されないようなものを選ぶことで、犯罪の可能性を低くすることができます。また、万が一、被害にあった場合のことを考えて、店舗事業者用の損害保険に入っておけば、保険で損失分を充当できます。
保険は、フランチャイズチェーンの場合はフランチャイズで指定する保険会社、自主経営の場合は店舗向けの損害保険に入ります。
【参照:うさぎせんたくチェーン 保険】
【参照:店舗保険 USEN】
3-9. Q9.コインランドリー経営は、相続税対策にも使えますか?
A. 「小規模宅地等の特例」が使えます。
活用予定地が現在、何もしていない状態なのであれば、リスクが少ないビジネスであるコインランドリー経営をスタートさせておくと、将来、「小規模宅地の評価減の特例」を使って相続税の節税ができます。
「小規模宅地の評価減の特例」とは、相続を受ける家族にとって、生活の糧を生み出している店舗やアパートなどを、相続税のために手放したりすることがないように、土地の相続税評価額を減額してくれる制度です。
コインランドリーは店舗の扱いですので、400平米までであれば、相続税評価額が80%減になります。
仮に、5,000万円と評価されている土地に400平米までの大きさのコインランドリーをオープンさせておけば、評価額5,000万円の80%減で、1,000万円分の土地として相続税の対象となります。
この制度は同じ土地にアパートを建てても適用されますが、アパートの場合は200平米・50%減ですので、「小規模宅地の評価減特例」の場合は、コインランドリーを経営しているほうが大きな節税となります。
【参照:国税局 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)】
3-10. Q10.その他の節税方法はありますか?
A. 設備費用の即時償却で大きな節税ができます。
コインランドリーを開業するために購入した機器の代金を、一度にまとめて経費にしてしまうことで、その年の税金を大幅に減らすことができます。コインランドリーで使う機械の法定耐用年数は13年です。法定耐用年数とは、税務上の資産価値を表す年数のことで、機械の寿命とは違います。
仮に1,300万円の機械の場合、13年の法定耐用年数では年間100万円が減価償却費となり、費用を13年に分けて各年度で経費に計上していきます。
しかし、即時償却を選択すると、1,300万円の経費がすべて当年に経費計上されますので、コインランドリー経営の収入が多くても、経費が大きくかかることになり、所得が減りますので税額が大きく下がります。
【参照:国税庁 減価償却費 洗濯業・理容業・美容業・浴場業用設備】
まとめ
コインランドリー経営の年収にまつわる、気になるポイントを以下のようにまとめました。
1章 コインランドリー経営と年収に関係する5つのめやす
2章 コインランドリー経営と収入に関したメリットデメリット
3章 コインランドリー経営で確実な年収を得るためのQA10
土地活用におけるコインランドリー経営の実態が少しご理解いただけたのではないでしょうか。一般的な土地活用にはアパートやマンション経営がありますが、活用予定地が集合住宅に向いていない地形やエリアである場合は、コインランドリーの経営も視野に入れてみることもご検討ください。
また、すでに土地活用としてアパート経営やマンション経営をご検討されている場合は、コインランドリーが今後、生活に必要不可欠なライフアイテムであることを前提に、敷地内にアパート専用のコインランドリーを設置するなど、プラスアルファの魅力を持つアパート経営の方法としても、ご検討ください。
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