土地活用のメニューの一つにトランクルーム経営があります。
トランクルーム経営は、アパート経営に向いていない土地でもできる土地活用であり、活用方法がなかなか見つからない土地におススメです。
トランクルームはコンテナを置いているだけに見えますが、実はトランクルームに似た建物を建てて賃貸経営を行っています。
建物投資を伴うことから、駐車場のように気楽にできる土地活用とは言い難く、それなりの投資も必要です。
そこでこの記事では、トランクルーム経営の基礎知識や始めるまでの流れ、メリットとデメリット、初期費用、トランクルーム経営の失敗例について紹介していきます。
ぜひ最後までおつきあいいただき、トランクルーム経営を始めるための足掛かりとしてください。
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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット
1.トランクルーム経営とは
トランクルーム経営とは、コンテナハウスと呼ばれるコンテナに似た建物を建築し、その中のスペースを貸す事業のことです。
監視が緩かった昔は、本当にコンテナを置くだけの「置き型」というものが存在しましたが、今では国土交通省の指導が厳しく、市街地では単に置くだけのトランクルーム経営はできないようになっています。
1-1.トランクルームの経営方式
トランクルームの経営方式には、大きく分けて「一括借り上げ方式」と「管理委託方式」の2種類があります。
一括借り上げ方式とは、トランクルーム事業者に建物全体を一棟貸しする経営方式です。
いわゆるサブリース(転貸)方式であり、トランクルーム事業者が個々のユーザーとの契約を行ってトランクルームを経営していきます。
一括借り上げ方式は、トランクルーム事業者からの固定賃料をもらう形になるため、収益が安定しているというメリットがあります。
ただし、管理委託方式よりは収益性が落ちる点がデメリットです。
一方で、管理委託方式とは、建物保有者が直接個々のユーザーとの契約を行い、管理の部分だけをトランクルーム事業者に委託する方式になります。
管理委託方式は、ユーザーからの使用料を直接受領することになるため、一括借り上げ方式よりも収益性が高くなるという点がメリットです。
ただし、ユーザーの増減によって収入が変動するため、収益が安定しない点がデメリットとなります。
いずれの経営方式であっても、トランクルームは荷物を置くことを目的としたスペース貸であり、借地借家法が適用されない契約であるという点がポイントです。
1-2.トランクルーム経営に適した土地
トランクルームは、駅から離れた土地や、小さな土地でも経営が成り立ちます。
アパート経営が難しい土地であっても行うことができる点がメリットです。
特に、近隣にマンションやオフィスビルがあるような土地は、荷物の保管需要が高いため、トランクルーム経営に向いています。
ただし、トランクルームはコンテナハウスを敷地内に運び込むため、敷地の間口や前面道路の幅員が一定規模以上あることが必要です。
一般的には、土地の間口は6m以上、前面道路の幅員も6m以上あるところがトランクルームに向いている土地となります。
前面道路の幅員が狭く、間口の狭い旗竿状の敷地などは、コンテナハウスが建てられない可能性があります。
1-3.トランクルーム経営ができない土地
トランクルームは「ただ置くだけ」ということはできないため、トランクルームに似た建物を建てることになります。
建物を建てるには建築確認申請が必要です。
建築確認申請とは、「これからこういう建物を建てます」と役所等に図面チェックを受ける手続きのことを指します。
図面チェックである確認申請で非合法な建物と判断されれば、建物を建てることができません。
建築基準法では、建てられる建物の用途が用途地域によって制限を受けています。
用途地域とは、エリアごとに建築可能な用途を制限している規制のことです。
トランクルームの用途は、「倉庫業を営まない倉庫」に該当します。
倉庫業を営まない倉庫の建築制限と用途地域との関係は下表のとおりです。
用途地域 |
倉庫業を営まない倉庫 |
第一種低層住居専用地域 |
× |
第二種低層住居専用地域 |
× |
第一種中高層住居専用地域 |
× |
第二種中高層住居専用地域 |
△:2階以下かつ1,500平米以下 |
第一住居地域 |
△:3,000平米以下 |
第二種住居地域 |
〇 |
準住居地域 |
〇 |
田園住居地域 |
△:農産物等を貯蔵するものに限る。 |
近隣商業 |
〇 |
商業地域 |
〇 |
準工業地域 |
〇 |
工業地域 |
〇 |
工業専用地域 |
〇 |
第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域は、規模にかかわらずトランクルーム経営ができないことになります。
また、市街化調整区域でもトランクルームの建築はできないことになっています。
市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域のことです。
2.トランクルーム経営の初期費用
トランクルームの初期費用としては、9坪弱のもので1台あたり400万円~500万円程度が相場です。
トランクルーム本体の価格は100万円程度が相場となります。
ただし、トランクルームは建物ですので、建物を固定するための基礎工事も必要です。
また、足場や養生等の仮設工事やクレーンを使っての設置工事、搬送費用等も必要となります。
ただし、仮設工事や搬送費用は、ある程度なら台数が増えても比例して増加するものではないため、トランクルームの台数を増やした方が工事費は割安となっていきます。
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3.トランクルーム経営を始めるまでの流れ
トランクルーム経営を始めるまでの流れは下図のとおりです。
(1)土地活用相談
トランクルーム経営を始めるには、最初にトランクルーム事業者に土地活用相談を行います。
できるだけ良い条件のトランクルーム事業者を見つけるためにも、土地活用相談は複数のトランクルーム事業者に相談することが重要です。
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(2)現地・マーケット調査
事業者に相談をすると、各社が現地やマーケットを調査してくれます。
法的な調査も無料で行ってくれますので、建築確認が通る地域かどうかも調べてもらえます。
そのため、用途地域等も特に自分で調べておかなくても大丈夫です。
(3)プラン提案・請負工事契約締結
調査が終わったら、事業者よりトランクルームのプラン提案があります。
プランでは、想定の収益シミュレーションや建築費、維持費等が全てわかるようになっています。
トランクルームは建物ですので、事業者が決まったら、施工会社と請負工事契約を締結します。
(4)着工・竣工・運用開始
コンテナハウスの工事は、現場では2~3週間程度で完了します。
ただし、着工前に建築確認申請手続きに2か月ほどかかるため、トータルの工期は3か月程度見込んでおくことが適切です。
4.トランクルーム経営のメリット
この章ではトランクルーム経営のメリットについて解説します。
4-1.アパート等に向いていない土地でもできる
トランクルーム経営は、アパート等に向いていない土地でもできる点がメリットです。
30坪程度の狭小地でも可能ですし、駅から10分以上離れた立地でも行うことができます。
ユーザーの中には、一度荷物を預けたらほとんど訪れない方も多いので、地方の郊外の土地でもできる土地活用となっています。
また、トランクルームはいったん借りると長期間解約しない方も多いです。
そのため、収益も安定している点もメリットとなっています。
4-2.修繕費があまりかからない
トランクルーム経営では、アパートと比べると修繕費があまりかからない点もメリットです。
アパートの場合、入居者の入れ替えが発生すると、クロスの張り替え等の修繕を行う必要があります。
また、アパートにはエアコンや温水洗浄便座、給湯器等の10年程度で寿命を迎える設備も多く、定期的に設備交換をしていくことも必要です。
一方で、トランクルームでは、ユーザーが入れ替わってもクロスの張り替え等のような修繕は生じません。
給排水、電気、空調等の設備もたいしてないため、設備交換もほとんど不要です。
アパートのように入居者から急に「お湯が出ない」とクレームが入ることもないため、管理もしやすいといえます。
5.トランクルーム経営のデメリット
この章ではトランクルーム経営のデメリットについて解説します。
5-1.アパート等よりも収入は少ない
トランクルーム経営は、アパート等よりも収入が低いという点がデメリットです。
トランクルームを建てることのできる「第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域」以外の地域は、容積率が高く指定されている土地であるため、賃貸マンションのような高層建築物が建てられる土地でもあります。
容積率とは、延床面積の敷地面積に対する割合のことです。
容積率が高く指定されている土地ほど、高い建物を建築することができます。
トランクルーム経営は、本来なら賃貸マンションが建てられるようなポテンシャルの高い土地に、低層のコンテナハウスを建てるに留まる土地活用となっています。
本来ならもっと稼げるはずにもかかわらず、トランクルームでしか利用しないのは、少しもったいない土地の使い方です。
狭小地であっても、16坪以上あれば賃貸マンションを建てている事例もあります。
立地の良い土地であれば、狭い土地でも他の土地活用も含めて検討することをおススメします。
5-2.相続税の節税効果が低い
トランクルーム経営は、アパート等に比べると相続税の節税効果が低い点がデメリットです。
アパートや賃貸マンション、オフィスビル、店舗等の人が借りる賃貸借契約は、すべて借主の権利を守る借地借家法が適用されます。
借地借家法が適用されると、貸主から賃貸借契約を簡単に解約することができず、不動産の所有者には権利の制約が生じます。
権利の制約が生じる分、不動産の相続税評価額が低くなり、相続税も節税できるという仕組みです。
一方で、トランクルームの賃貸借契約は民法が適用される賃貸借契約であり、借主の権利は守られておりません。
貸主から簡単に賃貸借契約を解約できるため、不動産の所有者に権利の制約が生じていないと判断されることから、アパートのように相続税評価額が低く計算されないことになっています。
よって、相続税対策をするのであれば、アパートのような借地借家法が適用される活用方法の方が有利です。
6.トランクルーム経営でよくある2つの失敗
この章ではトランクルーム経営でよくある失敗について解説します。
6-1.固定資産税が上がってしまった
トランクルーム経営を始めることで固定資産税が上がってしまったという失敗があります。
この失敗は、住宅であった空き家を取り壊してトランクルーム経営を始める方に生じる失敗です。
土地の上に住宅が建っていると、「住宅用地の軽減措置」が適用されており、土地の固定資産税が安くなっています。
また、古家の木造の建物は固定資産税が少額となっていることも多いです。
空き家を取り壊してトランクルームを建てると、住宅用地の軽減措置が適用されなくなるため、土地の固定資産税が上がります。
200平米以下の土地だと、約4.2倍程度に土地の固定資産税が上がってしまいます。
さらに、トランクルームの建物自体にも固定資産税が生じます。
トランクルームはJIS鋼材と呼ばれる鋼材で建てられるため、木造よりも建築単価が高く、規模の割に固定資産税が高いです。
よって、空き家を取り壊してトランクルームを建てるケースでは、思いのほか固定資産税が高くなってしまうことは知っておく必要があります。
6-2.中古コンテナを購入したら建築確認が通らなかった
トランクルームを経営では、中古コンテナを購入したら建築確認が通らなかったという失敗もあります。
以前のように国土交通省の監視が緩かった時期では、海洋輸送用コンテナを置くだけでトランクルーム経営ができる時代がありました。
そのため、今でも中古の海洋輸送用コンテナを購入してトランクルーム経営ができると勘違いしてしまう方がいます。
トランクルームで建築確認申請を通すには、トランクルームがJIS鋼材で作られていること等の一定の要件を満たしていることが必要です。
中古の海洋輸送用コンテナは、建築確認申請を通すための要件を整えていないため、購入しても無駄になってしまいます。
よって、トランクルーム経営を始めるなら、新築することが一番間違いはありません。
まとめ
いかがでしたか?
トランクルーム経営について解説してきました。
トランクルーム経営とは、トランクルームに似た建物を貸す賃貸事業です。
トランクルームは、第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域では営業できないことになっています。
アパート等に向いていない土地でもできる点がメリットですが、アパート等よりは収入が少なくなってしまう点がデメリットなことを押さえておいてください。
また、トランクルーム経営には、固定資産税が上がってしまった等の失敗もあるので注意しましょう。
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