【詳しく解説】築50年のアパート建て替え費用と建て替えの注意点
アパートは築50年ともなると、どの構造であっても建て替えを検討する時期に来ていると言えます。実際にアパートの建て替えを検討している方が気になるのは建て替えにかかる費用ではないでしょうか。
アパート建て替えにかかる費用は、
- 建築費用+退去費用+解体費用
の計算式です。築50年と築古アパートになる場合、解体に関して思わぬ費用がかかったり、長期入居者に対しての立ち退き交渉が難航したりと独特の問題が起こることがあります。
そこで本記事では築50年のアパートの建て替えについて、さまざまな問題点を解決する方法を紹介します。建て替えのタイミング、かかる費用、注意点、その後の賃貸経営についても触れている内容です。
また、以下のボタンから土地情報を入力すると、最大10社の大手ハウスメーカー・建築会社から建築費や予想収益が含まれた、「アパート建て替えプラン」を取り寄せることができます。
「収益を改善したい」「いくらで建て替えられるのか知りたい」という方はぜひご活用ください。
この記事の内容
1.築50年のアパートが抱える問題点と建て替えタイミング
築50年のアパートは空室が目立つようになり、以前のような収益を上げられない状況に陥っていることも多いでしょう。しかし、長く経営を続けているとどのタイミングが建て替え時なのかを見失うこともあります。
まずは、築50年のアパートが抱える問題点とアパートの建て替えのタイミングを結び付けて確認します。
1-1.空室が目立つ
アパートの建て替えを検討する空室率の基準は「5割」と言われています。
築50年のアパートの場合、ローンは完済しているのが一般的です。経営は空室率が5割程度あっても収入を返済に充てる必要がないため、経営を続けるには問題がないかもしれません。
5割というのは建て替え費用面での分岐点です。建て替えには立ち退き交渉が伴います。建て替えでの立ち退きの場合、交渉材料となるのは立ち退き料です。立ち退きを交渉する入居者が少なければ建て替えにかかる費用は抑えられます。
したがって、空室が5割を超える状態となったら建て替えに動くと決めておけば、スムーズに建て替え計画を進められるでしょう。
1-2.修繕費がかさむ
建物は一般的に竣工から時間がたてばたつほど、修繕する箇所が増え、一つの修繕も大規模になっていきます。築50年ともなると、配管の寿命もとうに過ぎている時期です。時には経営を及ぼすような費用と時間をつぎ込む必要が出てきます。
費用は計画的にプールして対応が必要になったときに賄うとしても、プールした額は目減りして修繕に対する費用対効果も落ちていきます。回収が難しい、となったら建て替えのタイミングです。
収益性も落ちている中では修繕で収益性を回復させることはできないと考えておいたほうがよいでしょう。
建て替え時期の判断は建て替えた後の収益プランを検討することでも可能です。具体的なアパート収益プランの比較検討には「HOME4U土地活用」をご活用ください。
1-3.収益性が落ちている
アパートの収益性が落ちている場合、打開策としては以下の3つの方法があります。
- 家賃設定を減額して入居率を上げる
- 入居条件などを見直して付加価値をつける
- リフォームをする
築50年のアパートの場合、上記のうち費用のかからない上2つで対処できれば、建て替えのタイミングではありません。
しかし、リフォームでの対応は注意が必要です。築50年を経過している場合、いざリフォームが始まったら構造などにほころびがあり追加で費用がかかることが発覚した、ということが発生する可能性が高まります。
また、リフォームは費用をかけた分家賃をアップできるというものでもありません。建て替えを選択したほうが、収益を確実に上げられる場合も多くあります。
1-4.耐震基準を満たしていない
建築基準法で定められている建物の耐震基準には「旧耐震基準」と「新耐震基準」があり、分かれ目は1981年6月です。2022年段階で築50年のアパートは多くが旧耐震基準をもとに建てられていることになります。
新旧の違いは、震度7程度の地震で損傷しないことを基準としているかどうかです。この基準を満たしていないアパートは売却もできません。売却はせずとも建て替えるか耐震補強をするかの選択をする必要があります。
耐震補強をするにも費用がかかります。過去耐震補強をしていない築50年のアパートは建て替えのタイミングに来ていると判断できるでしょう。
1-5.入居期間が長期化している
長期入居は本来、賃貸経営では好ましいことです。しかし、築古アパートの場合は、それがマイナスに働くこともあります。
長期間入居している部屋には基本的に必要性が出ない以上、オーナーは管理ができません。積もり積もった修繕が、築古になった段階での退去でのしかかることもあります。
また、長期入居者に対しての立ち退き交渉は難航するのが一般的です。
長期入居者がいる場合、建て替えのタイミングを前もって決めて早めに交渉に動き出すことが大切です。
2.築50年のアパート建て替え費用内訳
アパートの建て替え費用は大きく分けて3種類あります。アパート建て替えにかかる費用と相場の計算式を表にまとめました。
相場の計算式 | 内容 | ||
---|---|---|---|
新築費用 | 本体工事費 | 延床面積×建築坪単価 (構造によって異なる) |
建物の本体工事にかかる費用。 相場は構造別の坪単価相場で計算する。 |
付帯工事費 | 本体工事費×20% | 本体工事以外の工事費用。 外構工事費など。 |
|
建築諸費用 | 100万~200万円 | 建築時にかかる諸費用。 水道分担金や不動産取得税など。 |
|
退去費用 | 賃料×4~6ヶ月×入居者数 +交渉にかかる費用 |
立ち退き交渉にかかる費用。 交渉材料として立ち退き料を用意するのが一般的。 |
|
解体費用 | 延床面積×解体坪単価 (3万~7万円) |
古いアパートの解体費用。 解体費用も坪単価で算出する。 構造によって差がある。 |
また、新築費用のうち、建築坪単価の相場は以下の通りです。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|
77万~100万円 | 軽量鉄骨:80万~100万円 重量鉄骨:90万~120万円 |
90万~120万円 |
※HOME4U調べ
延床面積60坪の築50年の木造アパートを延床面積はそのままで軽量鉄骨造に建て替える場合、以下のようにシミュレーションできます。
<新築費用>
本体工事費:5,400万円=60坪×90万円(建築坪単価)
付帯工事費:1,080万円=5,400万円×20%
諸費用:150万円
合計:6,630万円
<退去費用>
立ち退き料:75万円=5万円×5ヶ月×3室
<解体費用>
解体工事費用:240万円=60坪×4万円(解体坪単価)
<総計=建て替え費用>
6,945万円=6,630万円+75万円+240万円
具体的な建て替え費用を知りたい方は「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」を使えば、最大10社から無料でアパート建築プランが手に入れられます。
3.築50年のアパートを建て替えるべき3つの理由
築50年のアパートは建て替えを選択したほうが多くの場合で不動産経営の状態改善につながると考えてよいでしょう。ここでは、築50年アパートを建て替えるべき理由を詳しく解説します。
3-1.収益性を上げられる
アパートを建て替える場合、よく比較されるのがリフォームやリノベーションですが、収益性を上げるという目的がある場合は建て替えに軍配が上がります。
建て替えであれば、築年数は0からの再スタートです。アパートは新築時がいちばん家賃設定を高くできます。
一方、リノベーションの場合、見た目は新築同然で家賃を以前よりも高く設定できても建て替えの魅力には劣ります。物件情報には築年数が掲載されるからです。築古の物件はそれだけで入居者が敬遠する理由になります。
空室リスクを減らし、収益性を上げて経営を安定させるには建て替えが望ましいと言えるでしょう。
3-2.相続税対策になる
もともと不動産、特にアパート経営は相続税対策として有効であるのはご存知の方も多いでしょう。しかし、築50年にもなっている場合、相続税の節税対策効果が薄まる可能性があります。
相続税は被相続人の相続財産すべてを合計して相続人の人数などの条件を控除して計算、課税される仕組みです。アパートは土地だけでなく建物そのものも相続財産になります。アパートの相続税評価額は以下の計算式で算出します。
- アパートの相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
築50年のアパートは多くで空室率が上がっている状態です。その場合、賃貸割合が下がり、上記の計算式によってアパートの相続税評価額が上がります。アパートなど賃貸物件は相続税の節税効果目的では、相続時に空室率をできる限り低下させることが有効です。
そのため、築50年のアパートは相続税対策としても建て替えて空室をできるだけ減らすことが効果アップにつながるでしょう。
また、建て替え費用をアパートローンで借り入れることで相続財産を減らすことも節税対策につながります。
3-3.所得税の節税につながる
アパートは建て替えると減価償却期間が0からスタートになります。減価償却は建築時にかかった費用を法定耐用年数の期間に分割して経費として計上できるものです。所得税申告時に実際の支出にはない経費を計上できるため、減価償却期間中は所得税節税効果が生まれます。
木造アパートであれば減価償却期間は22年です。その間、少なくない額を経費に上乗せできるため、高い節税効果が期待できます。
アパート建て替えで税金対策をご検討中の方は「HOME4U 土地活用」をご活用ください。相続税、所得税など税金対策を施した建築プランを手に入れることができます。
4.築50年のアパートを建て替える際の4つの注意点
築50年と年輪を刻み続けたアパートを取り壊して建て替える場合、通常よりも注意しておきたいポイントが増えます。
- 費用が高額になる
- 立ち退きが難航することがある
- 収入がいったん途絶える
- 解体も一貫して相談できるハウスメーカーに相談する
以下、詳しく解説します。
4-1.費用が高額になる
アパート建築にかかる費用は他の土地活用と比べても高額です。建て替えになると解体費用や立ち退きに伴う費用もかかるため、負担は増えます。
築古アパートの場合、環境の変化によって建物が隣接していたり庭木が生い茂っていたりしてスムーズな解体の妨げになることがあります。そうした場合、解体を手作業で進めたり養生が必要になったりするため、解体費用は高額になりがちです。
4-2.立ち退きが難航することがある
新築から50年へても経営を続けられているということは、入居率がある程度保たれており長期入居者もいるという状態かもしれません。
長期入居者は物件の住みやすさや立地が気に入り入居を続けている方です。通常の立ち退きよりも転居先が見つかりにくかったり、準備に時間がかかったりと交渉が難航することが考えられます。
立ち退き交渉は最低でも半年前に文書で知らせることから始めますが、それよりも早めに動き始めるとよいでしょう。また、立ち退き料を上乗せして交渉するなどの手段をとる必要があるかもしれません。
4-3.収入がいったん途絶える
アパートの建て替えでは立ち退きから建て替えまでの最低でも1年ほど、収入が途絶えます。
立ち退き交渉の手法によっては、入居がある状態であっても退去までの家賃を免除することもあります。解体に時間がかかり工期が長引くこともあるでしょう。
計画段階からおおよそどの程度の期間、家賃収入がゼロになるかを把握しておくと安心です。また、竣工後すぐに入居が始められるように準備を整えておきます。
4-4.解体も一貫して相談できるハウスメーカーに相談する
建て替えの工事は解体工事と新築工事の2種類があり、それぞれの工事を専門とする会社が担当するのが一般的です。
しかし、別々に専門会社を選定して依頼した場合、問題が発生することがまれにあります。
解体工事のみを依頼した会社の場合、その後の新築工事担当会社との連携がとれません。したがって、工期が遅れたり問題が起こったりしても情報の共有がなされず、オーナーが間に立つ必要があります。
こうした事態を避けるためには、新築工事を依頼するハウスメーカーに解体工事についても相談しておくとよいでしょう。系列会社を手配できることもあります。
連携がとれていれば工事中の周辺への配慮も一貫してとられるため、新築工事が進めやすくなります。
解体費用も含めたアパート建て替えを相談したいときは「HOME4U 土地活用」をご活用ください。最大10社から建築時にかかる費用シミュレーションを含めた建築プランが手に入れられます。
アパートの解体費用についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
5.築50年のアパート建て替えの流れ
アパートの建て替えは以下のような手順で進めます。
全体では、おおよそ3~4年をかけて進めるイメージです。
6.築50年のアパート跡地の土地活用
築50年にもなるアパートのその後の検討では、敷地にもゆとりがあったり環境の変化があったりして、さまざまな土地活用を検討するべきケースもあります。ここでは、さまざまな選択肢から賃貸住宅経営に絞って3つの土地活用を紹介します。
6-1.賃貸アパート
エリアのニーズや環境、建ぺい率・容積率が変わらない場合には、同規模のアパート経営を検討することがほとんどでしょう。
ただし、木造で3階建てアパートが建てられるようになったことから、条件を満たして「木造3階建て共同住宅(木3共)」とし、規模を拡大する手もあります。
土地にはさまざまな制限があり、建てられる最大規模は決まっています。高さ制限などは複雑な計算が必要なことからも、アパート建て替えの場合でも、最大規模はどの程度になるか確認しておくとよいでしょう。
6-2.賃貸マンション
新築から50年もたつと、アパートの周辺の状況は一変するものです。新路線が開通し立地が駅前となったことで容積率が倍増するケースもあります。
現状の規模より大きくできる場合には、堅牢な構造の賃貸マンションを建築して採算がとれるかを検討するべきです。マンションは50坪程度の土地でも形状によっては建設できます。
マンションの構造は重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造が一般的です。これらの構造は減価償却期間も長いため、いずれ売却したいというときにも有利に働きます。
6-3.賃貸併用住宅
自宅がアパートより不便な場所にある、同時に建て替えるには資金に不安があるなどのケースでは賃貸併用住宅に建て替えるという手もあります。
賃貸併用住宅は自宅にアパートを併設するかたちの賃貸経営です。
賃貸併用住宅の最大のメリットは、建築資金調達に住宅ローンを利用できることです。建物の自宅占有率が50%を超えれば、金利面や借入期間で優位性のある住宅ローンでアパート部分も建築できます。
また、アパートの家賃収入を自宅建築のローン返済に充てられるのも魅力です。
築50年のアパートのその後を相談するには「HOME4U 土地活用」が便利です。ひと手間で最大10社から土地活用プランを手に入れられます。
7.築50年のアパート建て替えを相談できるハウスメーカーの選び方
築50年のアパートの建て替えとなると、建築当時のオーナーから代替わりしているかもしれません。また、再度一からとなると変化に対応できず、どうすればよいのかわからないということもあるでしょう。
築50年アパートでは、建て替え時に注意すべき点に立ち退き交渉が難航するケースがある、建て替え費用が高額になるなどの項目が増えます。こうしたことを考慮しつつ成功を目指すならまずハウスメーカーに相談することから始めるのがおススメです。
相談先を選ぶ際は「HOME4U 土地活用」をご活用ください。「HOME4U土地活用」は、アパート建て替え実績も豊富な大手ハウスメーカーが多く参画する老舗の一括プラン請求サービスです。
提携するハウスメーカーの中には解体から建築後の管理まで関連企業で対応できるところもあります。
アパート建て替えでは、建築プランの比較・検討は定石です。各社から提示されたプランを検討することで最適なプランを見つけられるだけでなく、さらにプランを磨き上げていくこともしやすくなります。
「HOME4U 土地活用」で最適な建築プラン、アパート経営のパートナーを見つけて、アパート経営の次の50年を成功に導いてください。
築50年のアパートの状況が以下の項目にあてはまれば建て替えのタイミングといえます。
- 空室が目立つ
- 修繕費がかさむ
- 収益性が落ちている
- 耐震基準を満たしていない
詳細は「築50年のアパートが抱える問題点と建て替えタイミング」で解説しています。
築50年のアパートを建て替えることで得られるメリットは以下の3つです。
- 収益性を上げられる
- 相続税対策になる
- 所得税の節税につながる
メリットは建て替えるべき理由とも言えます。「築50年のアパートを建て替えるべき3つの理由」でご確認ください。
築50年のアパート建て替えでは、通常よりも多くの注意点があります。
- 費用が高額になる
- 立ち退きが難航することがある
- 収入がいったん途絶える
- 解体も一貫してハウスメーカーに依頼する
詳しくは「築50年のアパートを建て替える際の4つの注意点」で解説しています。
アパートの建て替えは以下のように進めます。
- 建て替え後のプランを検討・決定
- 入居ストップ
- 立ち退き交渉
- 解体工事
- 新築工事請負契約・着工
- アパート竣工
詳し期間や時期は「築50年のアパート建て替えの流れ」で解説しています。
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