不動産投資の中では比較的リスクが小さいと言われるアパート経営ですが、避けられないのが老朽化です。
一般の戸建て住宅の建て替え検討の目安は築30年と言われていますが、アパートの場合でも目安として築25年を経過すると何らかの対策が必要になります。
この記事ではアパートの老朽化によって起こるリスクを説明し、その対策について考えます。
対策としてはリノベーションと建て替えがありますが、果たしてアパート経営にとってどちらの対策方法にメリットがあるのでしょうか。
また、アパートの建て替えの理由は老朽化だけではありません。建て替えるべきかの判断基準についても、わかりやすく解説していきます。
いずれ直面するアパート老朽化問題については、本記事をご覧になった上で「HOME4U土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。建て替えを含むその後の土地活用についてどうすればよいか複数社一括で比較できます。
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1. アパートの老朽化によるリスク
アパート経営では経年劣化による老朽化を考えておく必要があり、そのために修繕費などを別途準備しておくことが大切です。
ただし、目安である築25年も経過すると修繕では追いつかないようなリスクも発生します。
まずは、老朽化によってどのようなリスクが生まれるのか、具体的に見ていきましょう。
1-1. 入居者が集まらない
アパート経営のリスクは空室の発生ですが、老朽化すると入居者が集まらなくなります。
特に最近は建物の外観デザインや室内のおしゃれ感のある物件が増えてきていて、最新物件に惹かれるので、築年数が古いアパートは家賃を周辺相場よりかなり下げるなどの工夫をしないと、空室が出てしまいます。
ただし、家賃を下げると収入全体が下がるので、有効な対策とはいえません。
1-2. 耐震性の問題
日本は世界でも有数の地震国です。アパート経営者なら入居者の安全を第一に考えるべきでして、耐震性の問題はとても重要です。
特に1981年5月31日以前に建てられたアパートは新しい耐震基準に適合していない可能性があるので、耐震診断を受ける必要があります。
その結果によっては、大幅な耐震補強工事(リノベーション)をするか、建て替えるかの選択を迫られることになるでしょう。
ちなみに1981年6月1日以降に建てられたアパートは、震度6強程度の地震では、損傷はしても倒壊・崩壊しないと言う法定基準に沿って建築されています。
また地震などの大災害は不可抗力としてオーナーの責任は問われませんが、管理が不十分な場合には法律上の管理責任を問われることがあります。この点も老朽化に際して考慮すべきでしょう。
1-3. 負のスパイラルに陥る
老朽化したアパートは新規の入居者を集めにくくなり、空室が発生します。空室期間が長引くと他の空室も出るなど全体の空室数が増え、稼働率が低下します。
空室を出さないために、家賃を下げたり、礼金をゼロにしたり、敷金を安くしたりします。
その結果全体の収入が下がり、退居後のメンテナンスも十分にできなくなります。
メンテナンスができないとさらに老朽化が進み、ますます入居者が確保できなくなります。
老朽化を放置するとこのような負のスパイラルに落ち込んで、最終的に売却しようと思っても相場より安い価格で売らざるをえなくなります。
2. 老朽化における2つの対策
アパートの経営を続けていると、定期的に修繕やメンテナンスを行っても全体の老朽化にまで考えが及ばない場合があります。
ここでは老朽化に直面したときに慌てないよう、2つの対策について解説します。
2-1. リノベーションを行う
リフォームは機能や外観を元に戻すのが目的ですが、リノベーションは今ある老朽化したアパートを改修するだけでなく未来志向の改修を行うことです。
新しい付加価値をつけることができるため、入居者にとって魅力的なアパートに変えることが可能です。
リノベーションに適しているのは基本的な建物の構造が頑丈な鉄筋コンクリート造りなどの場合です。
基本構造に耐久性があるため、思い切った改修をすることができます。
木造建築の場合はリノベーションよりもリフォームが適していますが、築古の建物をリフォームしても新規の入居者を惹き付けるだけの効果は得られません。
その理由は、構造柱も交換することになると、新築と同等の費用が掛かるためです。木造建築の場合は、建て替えが第一候補になるでしょう。
リノベーションを行う場合、給排水設備、外壁などの全面取り替え、防水処理など大がかりな再生工事が必要になります。
さらに集客率を上げるために、デザインや設備などの付加価値が必要です。
上記の施工費を合計すると、かなりの費用が必要です。アパートの規模にもよりますが、2,000万円から4,000万円ぐらいかかることもあります。
建て替え費用と比較した場合、どちらがよいか判断が分かれるところです。
2-2. 新しく建て替える
すでに述べたように、木造建築の場合はリノベーションよりも建て替えになります。
古い木造アパートは耐震性の問題も出てくるので、最初から建て替えを念頭に計画しておくことが大切です。
ある程度早い時点で建て替えのための準備に着手したほうが老朽化のリスクを減らすことができます。
また建て替えのメリットは、新築アパートとして入居者を募集することができる点です。
新築は入居者を集めやすくなるというメリットがあり、家賃を上げても集客率のアップにつながります。
建て替えのために行うべきことは、今後のどのような収益で賃貸経営を継続したいのかの事業計画の作成、適正な施工会社の選択、適正な建築プランと仕様の選択、入居者の立ち退き、そして実行の判断です。
これらを決めるためには、現状の築古物件での問題点をより多く見つけ出し、建て替えることでどれほどの改善効果がみられるのかを確認することが有効です。
また、建て替え費用は、それぞれの構造(木造・鉄骨造など)や、部材と設備の仕様などにより大きく異なるため、一概には言えません。
一般的には、2階建て木造アパートでは1棟6室アパートで3,000万円~4,000万円、3階建て1棟6室の鉄骨造では4,500万円から5,500万円を見込んでおくとよいでしょう。
ただし、最新の建築技術はそれぞれの個性や特徴があるため、一律に見積価格だけ比較するのではなく、施工会社の説明を確認し、建材・設備の仕様や作業内容などをみて、目的に見合った選択をすることが大切です。
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3. 老朽化による建て替えの判断基準
老朽化したアパートにはリノベーションと建て替えという2つの方法があることを説明しましたが、どちらも多額の費用が掛かります。
どのような場合に建て替えたほうがよいのか判断する基準について説明していきます。
3-1. 木造アパートであること
築古の木造アパートは現実問題としてリノベーションが難しいことも多いため、建て替えを選択することになります。
古い木造アパートの場合は耐震性の問題も関わってくるので、安全性の上でも建て替えせざるを得ないでしょう。
3-2. 投資コストが小さいこと
アパートを建て替えるとなると、建築費などの投資コストがかかります。また入居者がいる場合は立ち退き料というコストもかかります。
建て替える時にはなるべく投資コストを抑えられる状況で行います。
例えば10戸の部屋が満室の時よりも、半数が空室の時のほうが立ち退き料は安くてすみます。
建築費などのコストに比べれば小さなコスト削減かもしれませんが、立ち退き交渉などの大変さも含めて考えれば、空室が多く出ている時こそが建て替えの決断に踏み切るべきタイミングではないでしょうか。
3-3. 容積率に余裕があること
老朽アパートでも容積率に余裕がある場合は、建て替えにメリットがあります。
なぜなら、容積率に余裕があれば現状よりも戸数の多いアパートに建て替えることができるからです。
部屋数が増加するので家賃収入を増やすことができます。
戸数を増やすことによって家賃収入も増えるので、その分を建て替えの建築コストに回すことができます。
逆に建築基準法の改正などによって、建て替えた場合に現状よりも小さいアパートしか建てられないようなケースでは戸数が減ってしまう場合があります。
そのようなケースは建て替えよりリノベーションのほうが戸数を減らさずにすむので有利になります。
3-4. 経営を引き継ぐ後継者がいること
老後の生活設計のためにアパート経営を行っているという方は少なくありません。
そのようなオーナーが老朽化したアパートを建て替えるかどうか判断する1つの基準に、後継者がいるかどうかという問題があります。
オーナーの子どもがアパート経営を引き継ぐ意思がある場合は、さらに長期間の利用を目的として、未来志向で新しく建て直したほうがよいでしょう。
後継者にアパート経営を引き継ぐことで節税効果もあります。被相続人が生前にアパートと敷地を売却して現金化してしまうと、高額の相続税がかかってしまいます。
しかし、アパートとして相続すると現金よりも評価額を引き下げられ節税になります。
建て替えはさまざまな対応が求められることもあり、早期のプロへの相談がおすすめです。「HOME4U土地活用」を活用すれば、節税対策や立ち退き対策を含むアパート建て替えプランを最大10社から手に入れられます。
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4. 老朽化してなくても建て替えたほうがよい場合
これまでは老朽化したアパートの建て替え判断基準について説明してきましたが、老朽化していなくても建て替えたほうがよい場合があります。
そのようなケースでの判断基準についても触れておきましょう。
4-1. 建物デザインや設備が時代遅れ
ファッションの流行は季節ごとなどと早く移り変わります。アパートも10年経過すると建物デザインや部屋の設備などが時代遅れになります。
最近の変遷を見てもわかるように、今では3畳ほどの狭いワンルームでもロフトを装備した部屋が人気となり、必須になりつつあります。
若い人は多少家賃が高くてもロフトのあるなしで入居を決めるようになってきました。
このようにデザインや設備が時代遅れになってしまった時は、思い切って建て替えを決断するチャンスでもあります。
結果的に入居率を上げることができ、家賃収入も増加します。時代遅れのアパートで入居者募集に四苦八苦するよりも、時代の流れに乗って建て替える決断も必要です。
4-2. 周辺に新しいアパートができた
前の項目とも関連してきますが、周辺に新しいアパートができると古いアパートは見劣りします。
新規の入居者は古いアパートと新築のアパートを比較して、多少家賃が高くても新しいアパートを好みます。
古いアパートは家賃を下げざるを得なくなります。それが負のスパイラルのきっかけになることもあるのです。
だからといって何が何でも建て替えたほうがよいというわけではありません。その時点でアパートの建築費のローンを払い終わっている場合に特に適しています。
ローンの支払いが終わっていないのに建て替えをすると、二重にローンを組むことになってしまいます。
4-3. 低金利であること
アパートを建て替えするとなると、それなりの建築資金が必要になります。頭金ぐらいは準備できても、全額用意できるオーナーはあまりいないでしょう。ほとんどの場合は銀行などの金融機関から融資を受けることになります。
日本はずっと超低金利が続いています。このような低金利の時に思い切って建て替えをすればローン返済の負担を軽減することができます。
まだそれほどアパートの老朽化が目立ってなくても、低金利の時には思い切った決断も必要です。
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5. アパート建て替えのプロセスと成功ポイント
老朽化したアパートを建て替える決断をしたら、具体的なプロセスについて知っておく必要があります。
その上で、最も大切なことは適切な費用で建て替えることです。
適正価格を知るためには、複数のハウスメーカーや建築会社からプランを取得して比較検討することが有効です。では、プロセスから見て行きましょう。
5-1. 建て替えのプロセス
(1) リサーチ
建て替えの時にも周辺のリサーチは必要です。
アパート経営を始めた20年以上前に比べて、現在は住民構成も変わっている可能性がありますし、周辺のアパートも新しく建て替えられていることが多々あります。
また周辺環境も変化している場合があり、大企業や工場、学校や研究施設、公的機関や商業施設ができているかもしれません。
そのような変化によって、どのような入居者が(新たに)見込めるのかを把握します。ターゲットを絞ることで新しいアパートのデザインや室内の間取りなども決まってきます。
(2) プランニング
リサーチによって入居者のターゲットが決まったら、アパートの具体的な設計プランを立てる段階になります。
例えば学生やサラリーマン、ファミリー層それぞれに合わせて、間取りや全体の戸数をプランニングします。
容積率に余裕があればアパート自体を大きくすることも可能です。
(3) 立ち退き交渉
リサーチやプランニングと並行して行わなければならないのが入居者との立ち退き交渉です。実は建て替えプロセスの中でも最も難しいのがこれです。
借地借家法は入居者に有利な規定や内容になっているため、正当な事由がないとオーナーが入居者の契約更新を拒むことはできないのです。
入居者にスムーズに退居してもらうためには、建物の老朽化しっかりと説明すること、またときには立ち退き料を支払うこともあります。
立ち退き料の相場といったものはありませんが、一般的には家賃の3か月~6ヶ月分といわれています。
大事なことは丁寧に説明をし、また立ち退き料を出し惜しみして交渉をこじらせないことです。
多少の出費は覚悟してもスムーズに立ち退きが進行すれば、それだけ早く建て替えができ、家賃収入を得ることができるのです。
5-2. 建て替えの成功ポイント
建て替えでもっとも重要なポイントは、施主がしっかりと賃貸経営を理解し、適正なプランで、適正費用で行うことです。
建て替え時は、賃貸経営を始めた時とは周辺環境や流行などが変化しています。
しかし、建て替えを決めたオーナーは、リサーチからプランニング、立ち退き交渉もこなさなければなりません。
そのため、プランニングから立ち退きまでサポートしてくれる信頼できるハウスメーカーや建築会社を見つける事が成功の秘訣となってくるのです。
建て替え費用や将来の収益なども含めて、できるだけ複数の会社からプランを取得してしっかり比較検討する事が重要です。
まとめ
アパートの老朽化が引き起こすリスクとそれをクリアする2つの対策、そして建て替える場合の判断基準について説明してきました。
また建て替えを決めてからのプロセスと成功させるポイントにも触れてきました。
最後まで本記事をお読みいただいた方は、老朽化したアパートをどのように未来志向でとらえたらよいか、わかっていただけたと思います。
記事の最後、5章で触れたように、大事なことは、できるだけ複数のハウスメーカーや建築会社から提案を受け複数プランを比較検討して最適なプランを選ぶ事です。
今、目の前の老朽化したアパートを前に思い悩んでいる人は、まずは「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」を利用し、複数の一流企業にまとめてプラン請求されてみてはいかがでしょうか。
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