アパートの建て替えを行う際など、貸主都合で、入居者に退去してほしいこともあります。
こうした状況では、事前に立ち退きの交渉が必要で、ほとんどの場合で立ち退き料を払わなければいけません。
この記事では、アパート建て替えに伴う立ち退き交渉について、立ち退き料の根拠や、具体的な支払い額などを詳しく解説します。
また、立ち退き交渉を伴うアパート建て替えについてプロに相談したい方は以下のボタンをご活用ください。最大10社の専門企業からアパート建て替えプランを取り寄せられます。
カンタン60秒入力
大手10社の建築費収益プランを一括比較!
1. アパート建て替えには立ち退き料が必要
入居者に立ち退きしてもらうには、賃貸借契約を解約しなければいけません。
ただし、借地借家法により、賃貸人が賃貸借契約の解約を申し入れるには、正当事由が必要であると定められています。
解約を申し入れるに足りる正当事由がない場合は、立ち退き料でその分を補い解決を図ります。
次章で詳しく解説しますが、立ち退きは、裁判に発展しない限りは賃貸人と賃借人間の交渉で成り立つもののため、立ち退き料も当人の事情により異なります。
以下では、『正当事由とは何か』『建て替えが正当事由にならない』の2点を解説します。
1-1.正当事由でなければ立ち退き料が必須
賃貸人の意思で賃貸借契約の解除を行うには、正当事由が必要です。
ここでいう正当事由とは、「契約を解除するにふさわしい事実」をさします。
例えば、建物の老朽化がひどく自然災害による倒壊リスクが高い場合は、修繕や立て直しのためでも正当事由と認められるケースがあります。
他にも、貸賃人がその住居に戻らなければいけない事情がある場合も正当事由に当たるケースがありますが、その事実だけは十分な正当事由にはならないことがほとんどです。
正当事由に足りる契約解除の理由がない場合は、十分な立ち退き料を支払うことで正当事由を補います。
例えば、『賃貸任がその住居に戻らないければいけない事情』と『立ち退き料100万円』をもってして、やっと正当事由としてみなされ、契約解除ができます。
なお、正当事由であるかの判断は裁判により決まります。
裁判まで発展せず、賃貸人と賃借人間の交渉で解決するケースも多く、その場合も相場に見合った立ち退き料を交渉の材料として話しを進めます。
1-2.建て替えは正当事由に足らない
建て替えを理由として立ち退きをお願いする場合は、十分な正当事由とみなされないことがほとんどです。
建て替えは、賃貸人の利益に直結することであり、賃借人側から見てまったく「契約を解除するにふさわしい事実」とは言えません。
緊急度の高い、安全性確保ための建て替えでなければ、賃借人に立ち退きを納得してもらうことは難しく、立ち退き料という名目の金銭で交渉を進めるほかありません。
1-3.立ち退き料が不要なケース
立ち退き料を払わなくとも、正当事由として認められる場合は立ち退き料を支払う必要はありません。
賃借人との交渉の段階では、立ち退き料を要求される可能性もありますが、裁判で正当事由が認められれば支払わずに契約解除ができます。
以下は、立ち退き料が不要となるケースの例です。
- 老朽化による倒壊や健康被害のリスクがあり、緊急で建て替えが必要
- 定期借家契約での契約期間満了時
- 賃借人が契約違反を起こしている場合
2.建て替え時の立ち退き料相場
居住用の賃貸アパートにかかる立ち退き料の相場は、賃借人の家賃の6か月分+引っ越し費用です。
ただし、立ち退き料はあくまでも交渉の材料であり、双方の事情や賃借人の意思次第で金額は上下します。
法律で立ち退き料が定められているわけではない点に注意しましょう。
例えば、『家賃8万円』『引っ越し費用20万円』の住居の立ち退き料相場は68万円となります。
一方で、以下のような理由で立ち退き料が上下するケースもあります。
- 転居先の家賃との差額
- 建て替え(立ち退きを要求)する理由
- 転居に伴う賃借人の精神的・肉体的な負担
- 立ち退き交渉する時期
立ち退き費用が高額なのは、転居に伴う費用が高額であることと、迷惑料的な意味合いがあるためです。
転居にかかる初期費用は転居先の家賃が基に決まるので、家賃の差額は必ず考慮しなければなりません。
また、精神的・肉体的に負担重くなる状況であれば、その分割高な金額を提示しないと交渉にならない可能性があるのです。
3.妥当な立ち退き料の決め方
立ち退き料は、多くの判例から賃借人の家賃の6か月分+引っ越し費用が相場と言われいます。
立ち退き料を決める際は、相場価格を計算してから、以下の項目における状況に合わせて適宜上下させる様に考えていきましょう。
- 転居先の家賃との差額
- 建て替え(立ち退きを要求)する理由
- 転居に伴う賃借人の精神的・肉体的な負担
- 立ち退き交渉する時期
3-1. 転居先の家賃との差額
転居先の初期費用はもちろん、今後の固定費は、転居先の家賃が基に決まります。
相場は『賃借人の家賃の6か月分+引っ越し費用』と言ってはいますが、この家賃というのは本来、転居先の家賃で考えるべき数字です。
そのため、現在の家賃と転居先の家賃の差額を補償として立ち退き料に加える『賃料差額補償』という計算方法を行います。
転居先の家賃は、賃借人の契約時まで判明しないため、事前に候補となるような条件の近い物件の家賃を参考とします。
複数の候補物件を調べ、その平均額を転居先の家賃として考えます。
また、家賃の差額は今後数年の生活に関係するので、差額保証は1~3年の期間で考えるのが一般的です。
例えば、現在の家賃が8万円、規模や立地、築年数などの条件の近い物件の家賃が9万円の場合は、差額が1万円あります。
加えて、時期と規模感に応じた引っ越し費用が20万円である場合は、立ち退き料相場が以下の通りとなります。
8万円 × 6 + 20万円(引っ越し費用) = 68万円
1万円(賃料差額)× 12~36(補償期間) =12万~36万円
立ち退き料 = 80万円~104万円
3-2. 建て替え(立ち退きを要求)する理由
立ち退きを要求する理由が、借地借家法で認められる正当事由に該当する場合は、そもそも立ち退き料が必要ありません。
ただ、建て替えに伴う立ち退きで正当事由が認められるケースもほとんどありません。
しかし、正当事由として認められないとは言え、立ち退き要求に理由が正当事由に近い>か程遠いかといった違いはあります。
正当事由に近い程、相場より安い立ち退き料でも交渉しやすくなりますし、裁判に発展しても有利に働きます。
例えば、直近の自然災害で露呈した安全面での問題がある場合は、建て替えに伴う立ち退きも正当自由に近いと言えます。
反対に、単に収益性の向上を図った建て替えは、正当自由と程遠いと言えます。
「収益性を高めるために建て替えをする」と素直に説明するオーナーもいませんが、正当事由に近い理由がなければ、交渉は難しく、立ち退き料相場も上がる傾向にあります。
立ち退きについても総合的に相談できるハウスメーカーを探すなら「HOME4U土地活用」をご活用ください。最大10社から建て替えプランを手に入れられます。
アパート経営プラン請求で、ベストな建築会社を探すアパート経営プラン請求で
ベストな建築会社を探す
3-3.転居に伴う賃借人の精神的・肉体的な負担
賃借人が転居に伴ってどれほど負担を担うのかも、立ち退き料の計算には重要です。
立ち退き料には、慰謝料や迷惑料的な役割があるためです。
例えば、賃借人や賃借人の家族に、高齢者や病気を患っている方がいる場合、健康な人より転居は大変になります。
また環境の変化が心身にストレスを与える可能性もあります。
このような転居に伴う負担に対して、補償という形で相場の立ち退き料に上乗せすることで、同意を得やすくなります。
3-4.立ち退き交渉する時期
立ち退きを交渉する時期が早ければ早いほど、賃借人の負担は減るため、相場よりも安い立ち退き料で納得してもらえるケースもあります。
一方で、交渉時期が遅く、すぐにでも退去してほしいような状況では、割高の立ち退き料でないと同意を得られない可能性が高くなります。
なお借地借家法では、立ち退きの請求をする場合、契約期間満了の1年~半年前に行うことが原則とされています。
立ち退き要求のタイミングがたった半年違うだけでも、賃借人からすると負担の度合がまったく異なります。
仕事や転居先など様々な事情を考慮して、立ち退きが現実的でないと考えれられれば、立ち退きを拒絶され続ける可能性もあります。
4.立ち退き・建て替えまでの流れ
立ち退きの交渉をして、建て替えまで事を運ぶには、どのような手順で進めていけばいいでしょうか。
この章では、建て替えまでの流れを、以下の項目に分けて解説します。

4-1.建て替え計画を立てる
新規募集の停止や、立ち退き交渉を考えると、遅くても2~3年前には建て替え計画を立てられると安心です。
建て替え時・建て替え後の収支のシミュレーションと、建て替え工事までのスケジュールを練りましょう。
立ち退き交渉を伴う建て替えをご検討なら、このタイミングでハウスメーカーに相談するのがおすすめです。建て替え実績豊富な企業探しは「HOME4U土地活用」をご活用ください。
建て替えプラン請求で、ベストな建築会社を探す建て替えプラン請求で
ベストな建築会社を探す
4-2.入居者の募集を止める
建て替えの計画が決まったら、入居者の募集をとめます。
計画の立ち退き期日まで長い期間がある場合は、定期借家契約で入居者を募るようにしましょう。
定期借家契約であれば、1年未満の契約も結べるうえに契約更新もできないため、立ち退き料が余分にかかることがありません。
4-3.立ち退き交渉を始める
立ち退き要求は、賃貸借契約更新の6~12カ月前までに行わなければいけません。
更新までの期間が差し迫るほど、高い立ち退き料を必要とする場合が多いため、できるだけ早く立ち退きの交渉を進めていきましょう。
立ち退き交渉の段取りは以下の3ステップです、
- 1.私書の作成
- 2.立ち退き交渉
- 3.引っ越し先の選定
4-3-1.私書の作成
「立ち退き理由」「立ち退き時期」「立ち退き料」などを明記した覚書などの私書を作成し、賃借人に対して送付します。
送付方法に関しては郵送、またはメールという手段も取られますが、一方的な印象が強く、反発を持たれる恐れがあります。そのため、直接持って行くのがベストです。その時点で賃借人が内容に納得すれば、スムーズに立ち退きが完了できます。
4-3-2.立ち退き交渉
私書で納得を得られない場合には、一般的に、立ち退き料や、その時期についての交渉をすることになります。
賃借人は立ち退きによって住む場所を追われます。事情を充分にくみ取り、賃借人の要望に最大限応えることが有効です。
4-3-3.引っ越し先の選定
こちらは必ずしも必須の段取りではありませんが、立ち退き交渉が難航した場合などに、近隣にある家賃が元より安い物件を紹介したりすることで、応諾してもらえる場合もあります。
上記が立ち退きに関する一連の段取りですが、解決しない場合には裁判に持ち込まれることになります。その場合は、弁護士に相談するという流れが一般的です。
4-4.建て替え関連の契約を進める
立ち退きが完了し次第、すぐに解体工事と建築工事が進められるよう、もろもろの契約を進めていきましょう。
設計事務所と結ぶ『設計管理契約』や、『解体工事』と『建築工事』の契約、『ローンの契約』などが必要です。
解体工事と建築工事は、別々の業者に依頼できますが、同じ業者にまとめると、連携がとれるためスムーズな工事が期待できます。
4-5.立ち退き期日を迎える
立ち退き期日通りに退去いただけるよう善処しましょう。
賃借人全員が立ち退きの交渉に応じて、すんなり退去してくれるとは限りません。
期日を迎えるまでの、粘り強い交渉が大切です。
立ち退き期日までに退去いただけない場合は、訴訟を起こし、裁判にて立ち退きを要求する流れになります。
4-6.解体工事の着工
立ち退きが完了し次第、解体工事の着工となります。
スムーズに工事が始められるよう、事前に手続きや契約を不足なく済ませておきましょう。
なお、アパートの解体工事は2週間程かかります。規模や構造によっては1カ月近くかかる場合もあります。
建築工事の方は一般的に、『階数+1カ月』かかると言われています。
3階建てアパートであれば、4カ月が目安になります。
5.立ち退きに応じてもらえない場合は
立ち退きに応じてもらえない場合は、最終的に訴訟を起こし、裁判にて争うこととなります。
立ち退きを要求する理由と立ち退き料を合わせて、正当事由と認められれば強制執行ができますが、立ち退き請求が棄却される場合もあります。
賃貸人としては、できるだけ穏便かつスムーズに立ち退きしてもらえることが理想です。
裁判に発展させないためには、立ち退き交渉の方法が大切です。
代替物件を探したり、引っ越しに関係する業者の手配をしたりと、相手が立ち退きにできるだけ負担を感じないような提案を考えてきましょう。
また、弁護士を通した交渉も効果的です。
弁護士が介入することで、賃借人側は感情面切り離して、法律や判例に基づいた妥協点をイメージしやすくなります。
6. 事例別の立ち退き交渉方法
立ち退き交渉は、難航すると最終的には裁判で争われることになります。けれども、その裁判もまた借地借家法にのっとって行われるので、賃貸人の立場は弱くなり、結局正当事由とは認められない場合が非常に多いです。
ここでは実際に取り上げられたいくつかの事例を紹介し、課題と、裁判に持ち込まずに済む回避策をお教えします。
6-1.耐震性の問題
- ・事例
- 建物の老朽化による耐震性の悪化のために、賃借人に退去を求めた事例です。
耐震性の悪化による退去要請は、基本的に正当事由として見なされにくい傾向にあります。
専門家に耐震検査を依頼して、「大地震による倒壊の恐れあり」という結果が出たとしても、その発生の確率を考えた時に、賃借人の不都合をおしてまで早急に立ち退かせる必要のある事項にはなりにくいからです。
- ・回避策
- このような場合、補修工事をするならば、どのくらい費用がかかるかどうかの見積もりをとってみると良いでしょう。補修工事で済みそうならば、立ち退きを求めて建て替える必要はありませんし、結局建て替えた方が費用が余程安く済む場合には、正当事由として認められる可能性があります。
ただし、その場合でも、立ち退き料は必要となる場合がほとんどです。
6-2.賃借人の建物の必要性が高かった場合
- ・事例
- 賃貸物件の建て替えにおいて、借主自身が病気を患っていたり、一緒に住んでいる家族の人数が多かった場合です。このようなケースでは、健康な人や、一人暮らしの人よりも、引っ越しは容易でないことが想像できます。
- ・回避策
- 対策として、引っ越し先を近くに選定したり、住み慣れた土地を離れなければ行けない時にかかる精神的負荷を考えて退去費用を上乗せしてあげるなどの配慮をし、借主のストレスを軽減するような方法を考えましょう。
それでも難航する場合には、建物の耐久性を考慮するなど、他の視点から考えてみると、突破口が見つかるかもしれません。
6-3.賃貸人に収益性向上の希望があった場合
- ・事例
- 建て替えることによって、現段階よりも収益性をアップさせられる希望があり、そのために立ち退きをお願いし、賃借人を納得させなければならないケースです。
- ・回避策
- このような場合は、建て替えることによって、実際どのくらい利益が出るのか、今現在どのくらい経営が逼迫しているのかといったことを、包み隠さずきちんと賃借人に説明をすると良いでしょう。それでも納得してもらえない場合には、立ち退き料を上げて応諾してもらうなどの手段を取ります。
6-4.頑固に立ち退きに応じてくれない人がいる場合
- ・事例
- 交渉を重ねても立ち退きに応じてくれない人がいるという事例です。
- ・回避策
- この場合、更に粘り強い交渉が必要となります。例えばどのような事情があって応じないのかを、当人に詳しく聞き、立ち退き料の条件を変更するといった手段を取ることで、応じてもらえる可能性があります。
それでも応諾が取れなければ、弁護士をたてるという手があります。
6-5.住人に迷惑行為があった場合
- ・事例
- 過去に、その住人に何らかの不品行があり、そのため立ち退き料を払うべきかどうか悩んでいるというような事例です。
- ・回避策
- その場合、住人が迷惑行為をしたという確かな証拠を集めましょう。まずは賃借契約書の項目に違反していないかを確かめ、その他、近隣住民から苦情が出ているならばそれを紙面に起こしたり、騒音の問題があれば、録音を取るなどしておきます。
証拠を掲げた上で本人と話し合いをし、それでも応諾してもらえないようであれば、立ち退き料を支払うことで迅速に解決できる場合があります。あまりにも話し合いが停滞する場合、弁護士を立てるのも一つの手です。
6-6.建物の使用頻度が変わる場合
- ・事例
- 長期出張などの理由から遠地で生活していたものの、期間が終わったので賃貸で生活していた建物に戻って生活したいという事例です。
- ・回避策
- この場合は、オーナー都合での立ち退きとなりますので、話し合いと立ち退き料の支払いは必須のものとなります。
どういう必要があって立ち退いて欲しいのかを丁寧に説明し、借主の事情を考慮したうえで、立ち退き料を調整するなどして、お互い歩み寄った話し合いが必要でしょう。
ただし、借主の方が建物をほとんど使っていなかったりした場合、立ち退き料の高額化は免れる可能性があります。
7. 立ち退き料を安くする10個のポイント
立ち退き料を安くするために、気をつけるべきポイントは以下の10個です。
- 1.入居者数が少なくなってから着手する
- 2.定期借家契約への切り替えを打診する
- 3.代替物件を提供する
- 4.用法違反等の解除事由がないかを確認する
- 5.最初から誠意をもって交渉する
- 6.原状回復を免除する
- 7.敷金を先に返済する
- 8.退去までの賃料を免除する
- 9.再入居を確約する
- 10.裁判は避ける
7-1.入居者数が少なくなってから着手する
建て替えると決めたら新規募集を止め、自然退去によって空室が7~8割程度となったところで行うと、交渉の手間も立ち退き料も少なくすることができます。
7-2.定期借家契約への切り替えを打診する
定期借家契約は更新がなく、期間満了時に確定的に賃貸借契約が終了する契約です。
普通借家を定期借家に切り替えれば、契約期間満了時に借主が必ず出ていかなければならないので、立ち退き料は発生しないことになります。
アパートの場合、2000年3月1日以降に締結された賃貸借契約であれば、借主と貸主の合意のもと、普通借家契約から定期借家契約に切り替えることが可能です。
逆に、2000年3月1日より前に締結された賃貸借契約は定期借家契約には切り替えることができないとされています。
ただし、定期借家契約への切り替えは、体の良い立ち退きに過ぎないため、借主へ相応のメリットを与えることが必要となります。多くの場合、家賃を50%~80%程度に下げて応諾してもらうことになります。
賃料減額幅には定まったルールはありませんが、定期借家契約の期間を短くするほど賃料を大きく下げるのが一般的です。退去時の原状回復は全て免除し、なおかつ、敷金も全額返すといったオプションもつけると、話が通りやすくなります。
7-3.代替物件を提供する
代替物件を提供することも立ち退き料を安くする方法です。
例えば、近くにもう1棟のアパートを持っている場合、そのアパートに優先的に入居させることで立ち退き料を大幅に削減することができます。
7-4.用法違反等の解除事由がないかを確認する
解除事由が発生していれば、契約解除をすることができますので、立ち退き料が不要となります。例えば、禁煙物件なのに喫煙していたり、住宅以外不可としているのに店舗として利用していたりといった事実がある場合には用法違反です。
ただし、その場合は、貸主との間で信頼関係が修復不可能なほど破壊されている状態でなければ、解除事由に認められないというのが一般的です。
また、ペット不可の物件で熱帯魚を飼っているケースなど、厳密にいえば違反ではあるものの建物を汚損するものでもなく、近隣へも迷惑をかけないような場合には、契約解除は認められません。
用法違反で契約解除をする場合は、事前に弁護士に契約解除できそうかどうかを確認した上で打診するようにしてください。
7-5.最初から誠意をもって交渉する
立ち退き交渉で失敗するケースは、書面やメール、電話などの一方的な通知で終わらせようとしていることがほとんどです。書面やメールは相手に言い分を与える余地をなくすため、憤りを感じさせてしまうことがよくあります。
交渉を上手く成功させるためには、借主に直接会いに行き、面と向かって立ち退きをお願いすることがコツです。
その際、立ち退き料については引っ越し代程度なら考えていることをハッキリ伝えるようにしてください。1円も払わないような姿勢で臨むと、相手の態度も硬直しますので、こちらも誠意ある対応を見せて話を軟着陸させていくようにします。
なお、立ち退きに関しては、弁護士以外の第三者に依頼することはできませんので、注意して下さい。
7-6.原状回復を免除する
借主には、退去時に原状回復義務が課せられていますが、建て替えを予定している建物であれば、してもらわなくても構わないので、原状回復を免除すると借主の負担を軽くすることができます。
7-7.敷金を先に返済する
敷金は、本来は家賃不払や原状回復費用に充当するために借主から預かっているものですが、建て替えをするのであれば、充当の必要はなくなります。
7-8.退去までの賃料を免除する
定期借家への切り替えではなく、無償の使用貸借に切り替えるという方法です。
その場合には、一旦現在の普通借家契約を合意解除し、新たに使用貸借契約を締結することがポイントとなります。
7-9.再入居を確約する
新しく建て替えた物件に、元の住人を優先的に入居させることで、住み慣れた土地を離れなければならない借主の精神的な負担を減らしてあげる事が出来ます。
7-10.裁判は避ける
立ち退きは、裁判までもつれてしまうと貸主の立場が非常に弱くなってしまいます。
司法の判断は、あくまでも借地借家法の法律に基づいて行われます。借主の権利を強力に守るための法律ですので、借主の言い分が認められやすくなります。
また、立ち退き料は、借主が主張する金額に寄せられてしまうため、元の設定よりも高くなってしまう場合もあります。
よって、裁判にはせず、あくまでも任意の話し合いで解決することが安く抑える方法です。
8. 立ち退き交渉に悩んだ時の相談先
建て替えに関しての立ち退きでは、たとえ正当事由があっても、賃借人がスムーズに退去しない場合は交渉が必要になります。
非常に手間がかかり、問題の発生率も高いので、私書で立ち退きを通知し、交渉を受けた時点で、実行は専門家に任せることをおすすめします。
8-1. 弁護士
立ち退き交渉は、弁護士法第72条により禁止される法律事件に該当するため、第三者が報酬を受け取って立ち退き交渉をすることは非弁行為に値します。
そのため、立ち退き交渉を直接行えるのは、弁護士か貸主本人だけです。
弁護士に立ち退きを依頼すれば、立ち退きに関する全ての業務を行ってくれます。
ただし、費用は高額になります。弁護士事務所によりますが、着手金と報酬がそれぞれ数十万円ずつなどとなり、合計100万円を超えてしまうことも少なくありません。
8-2. コンサルティング会社など
不動産関係や建築関係の会社に、立ち退き相談を依頼することが出来ます。
交渉は弁護士か貸主本人しかできないので、依頼した場合はコンサルティング会社がアドバイザーとなり、立ち退き交渉の進め方や交渉の仕方などを貸主本人が主導で行うことになります。
物件・貸主ごとに立ち退き戦略を立案し、賃借人の転居先を探すなども行ってくれます。
費用については、会社によって異なりますが、一例としては、成功報酬として1案件10万円ほどです。
8-3. 依頼する前に準備しておくべきこと
立ち退き交渉を依頼する前に、準備しておくべきことは以下の3点です。
- 1.立ち退き交渉の目的を明確化する
- 2.立ち退き料の予算を決める
- 3.交渉の記録を残す
- 1.立ち退き交渉の目的を明確化する
-
建て替え交渉をするにあたっては、「なぜ建て替えるか?」ということが非常に重要です。
賃借人と交渉するときにも、建て替え理由に納得できるかどうかによって、やりとりの難易度が変化します。
- 2.立ち退き料の予算を決める
-
立ち退き料は状況により変化します。予算決めをするときは、正当事由の正当性に重きをおいて考えてみて下さい。
耐震の問題などによって、立ち退きが正当事由と判明すれば、支払うべき立ち退き料は高くならずに済む場合もありますし、賃借人も納得がいきやすいでしょう。
一方正当事由に欠けている場合は、高額になる可能性があります。完全に賃貸人の都合で発生する立ち退きであれば、なおのことです。
- 3.交渉の記録を残する
-
私書を送る時点から、コンサルティング会社や弁護士に相談することも出来ますが、もしも、送った後の賃借人の反応によって依頼するか決めたい場合には、交渉の記録は必ず残しておいてください。
送付する場合は、できれば内容証明郵便が良いですが、少なくとも配達証明付きの郵便にはしておきましょう。賃借人と話しあったのであれば、その議事録を作成し、保管しておいてください。相談する際に必要な資料になります。
9.立ち退きの対応の仕方まで相談できる建築会社の選び方
選ぶ際の基準は以下の通りです。
- 経験豊富な会社である。
- 立ち退き料に関する相談を受けたことがある。
- 度重なる相談に親身に対応してくれる人がいる。
- ・経験豊富な会社である
-
様々な条件下でのアパート建設を経験して来た会社を選ぶことで、ご自身の選択肢を豊富に持つことが出来ますし、発生したトラブルについても聞いておけば同じ事が起こらないように対策するのに役立ちます。
- ・立ち退き料に関する相談を受けたことがある
-
建築会社の中には、立ち退きに関するアドバイスを行っている企業も存在します。
建築時からそのような会社を選んでおけば、いざ交渉時に問題が生じても、安心して相談を依頼することが出来ます。
- ・度重なる相談に親身に対応してくれる人がいる
-
アパートを建築する際にも、その後も、相談すべきことは多く発生していきます。
気後れがして対応が先延ばしになった、というようなことを避けるためにも、相談しやすく、人間力のある人がいる会社を選ぶと良いでしょう。
上記の条件を満たす企業を探すには一括プラン請求サービスの活用が便利です。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」ではお客様の状況に合わせて、「上記の基準を満たしたアパート建設の対策について知見・経験が豊富な企業」を選んでご紹介いたします。
国内大手ハウスメーカーや建築会社を含む実績豊富な企業から最大10社を比較検討できます。
「どの会社が最も建設費についてのサポートが充実しているか」、「どの会社が一番自分のアパート経営に合った魅力的なプランを出してくるか」など、客観的に判断することができます。
是非ご活用ください。
カンタン60秒入力
大手10社の建築費収益プランを一括比較!
理想のアパート建築を実現させるには、構造/工法/間取りなどの設計部分はもちろん、 建築費や収支計画をまとめた建築プランを複数の企業に依頼し、各社の提案を比較して、 長期安定アパート経営につながる「収益最大化」プランを見つけることが大切です!
ただ、アパート建築の依頼先は「ハウスメーカー」や「建築会社」「専門会社」など様々です。 「どこに依頼すればいいか分からない」「何から始めたらいいか分からない」とお悩みでしたら、 複数の信頼できる企業へまとめて相談、プランが請求できる「HOME4U 土地活用」をご利用ください。
“HOME4U 土地活用 3つの特徴”
- 提携企業は、信頼できる業界大手企業が勢ぞろい!この顔ぶれはHOME4Uならではのラインアップ!
- 複数社へプラン一括請求、比較できるからいろんな工法や間取り、坪単価の提案を幅広く受けることができる!
- NTTデータグループが運営。19年の実績があり、セキュリティも安心!
アパートを建てたい土地の住所など簡単な項目を入力するだけで、厳しい審査によって厳選された複数の大手企業へまとめてプラン請求ができるので、各社の提案を比べながら、あなたの土地にぴったりなアパート建築プランを見つけることができます。
ぜひ「HOME4U 土地活用」を利用して、あなたの土地・地域、希望にあったアパート建築の「収益最大化」プランに出会ってください!
ぜひコチラから大手企業に一括相談して、成功への足掛かりをつかんでください!