【詳しく解説】立ち退き料の相場と計算方法、料金を抑えるテクニック
立ち退き料は、住宅か店舗によっても異なり、店舗の場合は業種・業態・階数・売上等でかなり異なります。
- アパートなど賃貸住宅の立ち退き料相場は、大体40~80万円程度です。
この記事では、これからアパートの建て替え等に伴う立ち退きに着手する方に向け、立ち退き料の相場と支出を抑えるテクニックを、実際に沿った形で解説します。
この記事の内容
また、建て替えのために立ち退きを検討されている方は、「HOME4U 土地活用」で複数の企業の提案を受けてみることをおススメします。
アパートや店舗の建て替えに精通した大手ハウスメーカー・建築会社から、個別のケースに対応する建て替えプランの提示が受けられ、立ち退きのサポートも受けられます。
1.立ち退き料の相場
立ち退き料の相場は以下です。
用途 | 立ち退き料の相場 | |
---|---|---|
住宅(アパート・戸建て) | 40万円~80万円程度 | |
店舗 | コンビニ・ドラッグストア | 7,000万円~1.5億円 |
診療所・歯医者 | 1億円~2億円 | |
小規模物販店舗 | 300万円~600万円 | |
飲食店(1階) | 1,000万円~1.5億円 | |
飲食店(1階以外) | 500万円~1,000万円 | |
美容院 | 400万円~500万円 |
アパートや戸建て等の賃貸住宅の立ち退き料の相場は、ざっくり言うと40万円~80万円程度です。
これは以下のような計算式をもとに割り出します。
店舗に関しては、業種や業態、規模、立地によっても異なり、営業補償が加味されるため、住宅よりも高額になります。
建て替えが伴う賃貸住宅の立ち退きは、オーナーが一人でやるには負担が大きいため、基本的に建築会社に任せてしまうのが一般的です。
古い賃貸物件の建て替えを検討する際は、立ち退きについても一緒に相談できる建築会社に依頼するようにしましょう。
ただ、一社ずつ問い合わせるのは骨が折れるので、「HOME4U土地活用」の一括見積依頼をご活用ください。
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2.そもそも立ち退き料とは
この章では、そもそも立ち退き料がなぜ生じるのか、以下の2点について解説します。
- 立ち退き料の法的根拠
- 正当事由と立ち退き料の関係
また、上記の2点を踏まえて立ち退き料が必要ないケースについても解説します。
2-1.立ち退き料の法的根拠
立ち退き料は、普通借家契約において貸主から契約解除の申出をした際に、借主に対して支払う金銭的給付のことです。
普通借家契約とは、更新ができる契約のことを指し、立ち退き料の法的根拠は、借地借家法第28条に定められています。
借地借家法第28条 転記
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
貸主から契約を解除するには「正当事由」が必要で、財産上の給付(立ち退き料の支払)も「正当事由」の正当性を補完・構成する一部であり、総合的に考えて「正当」である認められる場合には、立ち退きができると定めています。
つまり立ち退き料とは立ち退きを求める際には「ほぼ必ず払わなければならない」ものなのです。
2-2.正当事由と立ち退き料の関係
立ち退き料は正当事由を補完する関係にあります。
強い正当事由があれば立ち退き料が少なくなり、弱い正当事由であれば立ち退き料を多く支払わなければならないという関係です。
一般的に、強い正当事由とは、貸主が自分で利用せざるを得ないため、借主に立ち退いてもらうというケースが該当します。
自分で利用する必要性のことを「自己使用の都合性」と呼びます。
例えば建物所有者が他に建物を持っておらず、どうしても家を使わなければならないようなケースは自己使用の都合性が認められます。
アパートのような賃貸物件は、建物所有者が他に自宅を持っていることが一般的であるため、正当事由としては弱いです。
アパートの場合、例えば「老朽化で建て替えたいから退去して欲しい」とか、「売却したいので退去して欲しい」といった理由は十分な正当事由としては認められないこととなっています。
2-3.立ち退き料がいらないケース
正当事由の内容が立ち退き料の増減に影響しますが、立ち退き料を用意せずとも立ち退きを求められるケースもあります。主に以下のようなケースです。
賃借人が契約違反をしたケース | 契約に違反がある場合、賃貸人から契約を解除できる。この場合、借地借家法は適用されない。 |
---|---|
定期建物賃貸借契約のケース | 契約内容に更新がないため、契約期間満了時には立ち退き料は発生しない。 |
契約時に期限を設けた賃貸借契約のケース | 契約締結時にすでに取り壊しが決定している、一時的な使用など、期限が明らかに決まっており、借地借家法が適用されない場合。 |
賃貸借物件に重大な危険が発生したケース | 住み続けることに危険を伴うような欠陥や問題が生じた場合、強い正当事由として立ち退き料がいらないこともある。 |
物件に重大な危険が発生したケースは、過去裁判で争われています。ただし、判例は少なく、立ち退き料が必要ないとなることはまれです。
3.立ち退き料の内訳
立ち退き料は以下の3つの要素で構成されています。
- 借主が支払わなければならない移転費用の補償
- 立ち退きにより消滅する利用権の補償(借家権)
- 立ち退きにより事実上失う利益の補償(営業補償)
これらがどういった趣旨で発生する補償なのか、ひとつずつ解説します。
3-1.移転費用の補償
借主が支払わなければならない移転費用の補償とは、移転の実費です。
貸主の都合で借主を退去させるには、最低限、下表のような移転費用の実費は保証しなければならないと考えられています。
項目 | 内容 |
---|---|
引っ越し費用 | 引っ越し代、梱包、運送、保険、分解取付調整、住所変更届、移転通知費用 |
移転先確保のための費用 | 不動産会社への仲介手数料、敷金の差額、礼金 |
移転先で増加した賃料差額 | 従前の賃料と移転先の賃料の差額 |
3-2.利用権の補償(借家権)
立ち退きにより消滅する利用権の補償とは、通称、借家権と呼ばれる権利の補償のことを指し、住宅の場合、住み心地といったあいまいな居住権を侵害された部分の補償が借家権に該当します。
しかしながら、借家権の補償額を合理的に算出することは難しく、前節の「移転費用の補償」の中に含まれていると考えるのが一般的です。
3-3.利益の補償(営業補償)
利益の補償とは、店舗に発生する営業補償のことです。
営業権の補償は店舗だけに発生する固有の考え方であり、住宅や事務所では生じない補償となります。
店舗は立地が売上に大きく影響することから、移転をすると視認性が悪くなったり、既存顧客を失ったり等の被害を大きく受けます。
住宅では、サラリーマンが引っ越しても給料が変わるわけではないので、住宅の立ち退き料には営業補償は含まないという考え方をします。
また店舗では、移転に伴い以下のような不利益を被ります。
- 休止期間中の収益の減少
- 休止期間中の固定的経費の発生
- 休止期間中の人件費の負担
- 営業再開後の得意先喪失等による売り上げ減少
店舗は立ち退きにより大きく不利益を受けることから、「移転費用の補償」に「営業補償」が加わります。
そのため、売上規模等が大きな店舗の立ち退きでは、立ち退き料が極めて高額になるのです。
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4.住宅(戸建て・アパート)の立ち退き料の計算方法
住宅(戸建て・アパート)の立ち退き料の計算について、本章では以下の4点の方式を解説します。
- 収益還元方式(差額賃料還元方式)
- 割合方式
- 収益価格控除方式
- 比準方式
1~4は鑑定評価における借家権の求め方です。それぞれの方式を確認したうえで実際の計算を紹介します。
4-1.収益還元方式(差額賃料還元方式)
収益還元方式は、以下の算式で立ち退き料を求めます。
従前の賃料と移転先の賃料との差額に注目するため、差額賃料還元方式とも呼ばれています。
移転先との賃料差額について、1~2年程度分を現在価値に割り戻して補償額を決定するという計算方法となります。
4-2.割合方式
割合方式の算式は以下の通りです。
不動産の価格から借主の利用権を求める計算方法となります。
借地権割合や借家権割合は、相続税路線価で規定されている数値が用いられることも多いです。
4-3.収益価格控除方式
収益価格控除方式の算式は以下の通りです。
その建物を自分で利用(自用)した場合の価格から、借家として利用している現在の価格を差し引くという計算方法となります。
貸すことによって価値が落ちている場合には、貸さない場合との差額が借家権に相当するという考え方です。
4-4.比準方式
比準方式の算式は以下の通りです。
この手法は借家権の取引事例に着目した計算方法となります。
しかしながら、借家権は借地権とは異なり市場で取引されることはほとんどありません。
借家権の取引事例は事実上存在しないことから、あくまでも概念的に考えられる求め方ということに留まります。
4-5.実際の立ち退き料をシミュレーション
前節までの計算方法は、不動産の鑑定評価で用いられる借家権の求め方となります。
しかしながら、借家権は実際に市場で取引されるものではなく、価格を合理的に把握することが困難です。
そこで、実際の立ち退き料の求め方としては、移転の実費を積み上げることで求められることが多くなっています。
住宅における一般的な立ち退き料の求め方は以下の通りです。
(1)引っ越し料
引っ越し料 = 必要トラック台数 × 1台あたりのトラック単価
(2)仲介手数料
仲介手数料 = 周辺における標準家賃の1ヶ月分
(3)家賃増加分等
家賃増加分 = (周辺における標準家賃 ― 現在の家賃) × 家賃差額補償月数※
礼金 = 周辺における標準家賃 × 周辺における標準礼金月数
敷金の不足分 = 周辺における標準家賃 × 周辺における標準敷金月数 ― 現在の物件からの返還敷金額
(4)立ち退き料
立ち退き料 = 引っ越し料 + 仲介手数料 + 家賃増加分等
※家賃差額補償月数は1年(12ヶ月)~2年(24ヶ月)となることが一般的。
【事例】立ち退き料の試算・シミュレーション
(条件)
引っ越し代:13万円
現在の家賃:15万円
現在の預かっている敷金:30万円
周辺における標準家賃:17万円
周辺における標準礼金月数:1ヶ月
周辺における標準敷金月数:2ヶ月
家賃差額補償月数:1年(12ヶ月)
(試算・シミュレーション)
(1)引っ越し料
引っ越し代は13万円となります。
(2)仲介手数料
仲介手数料 = 周辺における標準家賃の1ヶ月分 = 17万円
(3)家賃増加分等
家賃増加分 = (周辺における標準家賃 ― 現在の家賃) × 12ヶ月 = (17万円 ― 15万円) × 12ヶ月 = 24万円
礼金 = 周辺における標準家賃 × 周辺における標準礼金月数
= 17万円 × 1ヶ月
= 17万円
敷金の不足分 = 周辺における標準家賃 × 周辺における標準敷金月数 ― 現在の物件からの返還敷金額
= 17万円 × 2ヶ月 - 30万円
= 4万円
家賃増加分等 = 家賃増加分 + 礼金 + 敷金の不足分
= 24万円 + 17万円 + 4万円
= 45万円
(4)立ち退き料
立ち退き料 = 引っ越し料 + 仲介手数料 + 家賃増加分等
= 13万円 + 17万円 + 45万円v = 75万円
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5.店舗(テナント)の立ち退き料の考え方
店舗(テナント)の立ち退き料は主に5点の補償で構成されます。
工作物補償 | テナントが移転先の店舗で行う内装工事費用の補償 |
---|---|
動産移転補償 | 商品や棚、レジ、カウンター等の店舗内における動産の移転費用 |
借家人補償 | 新たな店舗に移転したときに生じる家賃や保証金(敷金)の差額の補償 |
移転雑費補償 | 移転に伴い店舗に負担が発生する費用の補償 |
営業休止補償 | 退去から新規店オープンまでの休業期間中における損失の補償 |
それぞれの補償について以下で解説します。
5-1.工作物補償
通常、店舗はスケルトン状態の区画に自ら内装工事を行って入居します。
移転先で行う新たな造作工事費用を保証するため、内装工事費用の坪単価に移転先の賃貸面積を乗じて工作物補償を求めます。
例えば、飲食店の内装工事費の坪単価が50万円の場合、20坪の店舗を改装すると1,000万円の工事費がかかる計算です。
5-2.動産移転補償
動産移転補償は住宅でいう引っ越し費用が動産移転補償に相当します。
店舗の備品には業務用冷蔵庫などの大きな什器があることが多く、専門業者に頼まなければならないこともあることを考慮しなければなりません。
5-3.借家人補償
借家人補償は差額の1~2年程度の期間を保証するのが一般的となっています。
転居先と生じる家賃の差額が5万円の場合、1年分の補償とすると
5万円 × 12ヶ月 = 60万円
の補償額です。
5-4.移転雑費補償
移転雑費補償とは移転に伴う付帯費用分の補償です。
店舗の移転では、主に以下のような項目の雑費が生じます。
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 商業登記費用(本店が変わってしまう場合)
- 営業許可申請手数料(許可を要する店舗の場合)
- 名刺作成費用
- 新聞折込チラシ等の広告費用
- 得意先への移転通知費用(はがき代、切手代等)
- 開店祝日(オープン時の招待客への祝費等)
- 従業員の就業不能賃金の補填
これらは移転という状況に置かれなければ発生しえなかった費用です。
5-5.営業休止補償
営業休止補償の内訳は、下表のようになります。
内訳 | 内容 |
---|---|
収益減補償 | 休止期間中の営業利益の補償 |
得意先喪失補償 | 移転に伴い既存の得意先を失うことによる損失の補償 |
固定的経費補償 | 休業中に発生する支払利息や保険料等の固定費の補償 |
従業員休業補償 | 従業員に対する休業手当の補償 |
一般的に、店舗の立ち退き料では、工作物補償と営業休止補償が高額となることが多いです。
6.立ち退き料を安くする10個の方法
高額になりがちな立ち退き料。
「なんとか安く抑えられないか」と悩んでいる大家さんも多いと思います。
立ち退き料を安くする方法としては、以下の10点があげられます。
- 入居者数が少なくなってから着手する
- 定期借家契約への切り替えを打診する
- 代替物件を提供する
- 用法違反等の解除事由がないかを確認する
- 最初から誠意をもって交渉するv
- 原状回復を免除する
- 敷金を先に返済する
- 退去までの賃料を免除する
- 再入居を確約する
- 裁判は避ける
それぞれのちょっとしたコツを解説します。
6-1.入居者数が少なくなってから着手する
立ち退きは、入居者数が少なくなってから着手することが基本中の基本です。
建て替えると決めたら新規募集を止め、空室が7~8割程度となったところで行うと、交渉の手間も立ち退き料も少なくすることができます。
また、店舗付きのアパートであれば、店舗のテナントが自然退去したタイミングが大きなチャンスです。
店舗の立ち退きは最大の難関ですので、古い物件は店舗が立ち退いたら建て替えを考えてみてください。
6-2.定期借家契約への切り替えを打診する
定期借家契約への切り替えを打診することができると、立ち退き料をゼロ円にすることができます。
定期借家契約とは、更新ができない契約です。
契約期間満了時に確定的に契約が終了するため、立ち退き料を払うことなく物件を取り戻すことができます。
ただし、住宅の場合、2000年(平成12年)3月1日よりも前に契約された普通借家契約は、定期借家契約に切り替えられないことには注意が必要です。
住宅で定期借家契約に切り替えるには、契約締結日を確認してから打診することがポイントです。
一方で、店舗や事務所等の住宅以外の普通借家契約は契約時期に関係なく定期借家契約に切り替えることができます。
定期借家契約の切り替えでは、交換条件として賃料を大幅に減額して契約することが一般的です。
6-3.代替物件を提供する
代替物件を提供することも立ち退き料を安くする方法です。
借地借家法で定められている「財産上の給付」とは、金銭の給付だけを指しているものではありません。
建物所有者が所有している他の物件をあてがうことも財産上の給付に該当します。
例えば、近くにもう1棟のアパートを持っている場合、そのアパートに優先的に入居させることで立ち退き料を大幅に削減することができます。
6-4.用法違反等の解除事由がないかを確認する
立ち退き料を安くするには、用法違反等の解除事由がないかを確認することも重要な事項です。
そもそも解除事由が発生していれば、契約解除をすることができますので、立ち退き料が不要となります。
例えば、禁煙物件なのに喫煙していたり、住宅以外不可としているのに店舗として利用していたりといった事実がある場合には用法違反です。
ただし、用法違反による契約解除は、裁判にまでもつれてしまうと認められないケースもあります。
貸主との間で信頼関係が十分に破壊されている状態でなければ、解除事由に認められないというのが一般的です。
用法違反で契約解除をする場合は、事前に弁護士に契約解除できそうかどうかを確認した上で打診するようにしてください。
6-5.最初から誠意をもって交渉する
最初から誠意をもって交渉することも立ち退き料を抑えるコツです。
昨今の借主は、インターネットで立ち退き料について調べているため、お金がもらえることをわかっています。
「1円も払うつもりはない」といったスタンスで臨むと、逆に借主の反感を買ってしまい、交渉がもつれて金額がつり上がってしまうことが多いです。
「こちらからのお願いですので、もちろんある程度の補償はさせてもらうつもりです」といった雰囲気で、紳士的に柔らかく打診することが立ち退き料を安くすることにつながります。
6-6.原状回復を免除する
原状回復を免除することも立ち退き料を安くするコツです。
借主には、退去時に原状回復義務が課せられています。
建て替えを予定している建物であれば、わざわざ原状回復をしてもらわなくても構わないので、原状回復を免除すると借主の負担を軽くすることができます。
特に、店舗は原状回復に多額の費用がかかりますので、交渉カードとして原状回復の免除を使うと効果的です。
6-7.敷金を先に返金する
敷金を先に返金することも、立ち退き料を安くする方法の一つです。
敷金は、本来は家賃不払や原状回復費用に充当するために借主から預かっているものですが、立ち退きをするのであれば敷金を預かっている意味合いは低くなります。
特に、店舗の場合、多額の敷金を預かっていますので、敷金を先に返金するとテナントの資金繰りが大幅に改善するため、好意的に受け取ってもらえることが多いです。
6-8.退去までの賃料を免除する
退去までの賃料を免除することも、立ち退き料を安くする方法の一つです。
定期借家への切り替えではなく、無償の使用貸借に切り替えます。
使用貸借であれば借主の権利が弱くなるため、貸主はいつでも借主を退去させることができるようになります。
使用貸借に切り替える場合には、一旦、今の普通借家契約を合意解除し、新たに使用貸借契約を締結することがポイントです。
6-9.再入居を確約する
建て替え後の再入居を確約することも立ち退き料を安くする方法の一つとなります。
特に店舗の場合は、再入居の確約は効果的です。
新しい建物のプランも、現在のテナントの意見を取り入れながら設計すると、先方もかなり納得感をもって立ち退きに応じてくれます。
6-10.裁判は避ける
立ち退きは、裁判までもつれてしまうと貸主の立場が非常に弱くなってしまいます。
司法の判断は、あくまでも借地借家法の法律に基づいて行われます。
借地借家法は、借主の権利を強力に守るための法律ですので、裁判所は借主を手厚く守ろうとする発想で裁判を進めていきます。
立ち退き料は、借主が主張する金額に寄せられてしまうため、裁判になってしまうと立ち退き料は高くなってしまうのです。
よって、裁判にはせず、あくまでも任意の話し合いで解決することが安く抑える方法となります。
7.立ち退きを伴う建て替えプランを相談できる企業の選び方
住宅の立ち退き料の相場は、40万円~80万円程度です。 店舗は小規模なものは300万円~1,000万円、売上規模の大きなものは1億円超となることもあります。
賃貸物件建て替え計画では、ファーストステップが立ち退き交渉といえます。
そんな立ち退き交渉時に頼れる企業を選ぶ基準はずばり
- 建て替えの実績・経験が豊富な企業である
です。
実績や経験が豊富であれば、さまざまな立ち退き事例やノウハウを蓄積しています。ケースに見合ったアドバイスが受けやすいでしょう。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」では、「建て替えの実績・経験が豊富な企業」を選んで資料を請求することも可能です。
国内大手のハウスメーカーや建築会社が多数参画するサービスで、最大10社を選択できます。取り寄せたプランをもとに比較検討することで、個々の条件に合った企業を簡単にみつけやすくなります。ぜひ以下のボタンからご活用ください。
アパートなど賃貸住宅の立ち退き料は一戸ごとに40~80万円の負担となるのが一般的です。
店舗では業種によって数百万円から億単位の金額の負担があります。
立ち退き料の相場について詳しい解説は「立ち退き料の相場」でご確認ください。
立ち退き料の計算では内訳ごとに加算していきます。
- 賃貸住宅:立ち退き料 = 引っ越し料 + 仲介手数料 + 家賃増加分等
- 店舗:立ち退き料 = 工作物補償 + 動産移転補償 + 借家人補償 + 移転雑費補償 + 営業休止補償
計算方法や考え方は「住宅(戸建て・アパート)の立ち退き料の計算方法」「店舗(テナント)の立ち退き料の考え方」で解説しています。
立ち退き料の支出を抑えるには10の方法があります。
- 入居者が少なくなってから着手
- 定期借家契約への切り替えを打診
- 代替物件を提供する
- 用法違反等の解除事由がないか確認
- 最初から誠意をもって交渉する
- 原状回復を免除する
- 敷金を先に返金する
- 退去までの賃料を免除する
- 再入居を確約する
- 裁判は避ける
取り入れやすいこれらのコツは「立ち退き料を安くする10個の方法」でご確認ください。
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