住宅用地の特例とは?固定資産税を軽減する方法をわかりやすく解説
住宅用地の特例とは、固定資産税を軽減できる特例措置です。
固定資産税は不動産を所有する方が負担する税金ですが、同じ土地でもマイホームやマンション・アパートなど、人が住むための土地に対しては、税額が大きく減免されます。
これが「住宅用地の特例」です。
この記事では、これから土地活用を検討される方に向けて、住宅用地の特例が適用されるとどのようなメリットがあるのかをわかりやすく解説していきます。
この記事の内容
1.住宅用地の特例とは
住宅用地の特例とは、住居が建っている土地に対して固定資産税が減税される特例です。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課せられる地方税で、市街化調整区域内に土地があれば、都市計画税も一緒に課税されます。
「住宅用地」は、人が住む目的で建てられた家屋の建っている土地のことです。
家には、戸建て住宅のような住居専用の建物と、事務所とマンション居室が混在したような併用建物の2種類があります。
住宅用地の特例は、住居専用の建物には100%適用され、併用された建物の用地にはその建物の条件に合わせた範囲で適用されます。
用地 |
対象 |
課税評価額 |
1. 小規模住宅用地 |
一戸あたり200平米までの土地 |
固定資産税1/6 都市計画税1/3 |
2. 一般住宅用地 |
200平米を超えた部分から |
固定資産額1/3・都市計画税2/3 |
※併用建物の用地 |
住宅専用部分の割合と、階数・耐火建築物の有無で内容が変わる |
1-1.小規模住宅用地
1つの住居(一戸)あたりの面積が200平米(約60坪)までの土地を、「小規模住宅用地」といいます。
住宅用地の特例が適用されると、固定資産税が更地の1/6、都市計画税は1/3に軽減されます。
1戸あたりの計算になるため、アパートやマンションなどの集合住宅の場合は、1室=1戸の計算となり、全室に適用できます。
例えば、10室あれば10室すべてに適用できるため、大きな節税効果が期待できます。
1-2.一般住宅用地
「一般住宅用地」とは、上記の小規模住宅用地以外の住宅用地のことを言います。
200平米を超えた部分から、住宅用地の特例が適用されます。
例えば、300平米の土地であれば、200平米と100平米に分かれ、200平米の部分までは小規模住宅用地(前項)、残りの100平米に一般住宅用地が適用されます。
一般住宅用地の固定資産税は1/3に減額されます。
1-3.併用建物の用地
併用住宅とは、住居エリアとそれ以外のエリアなどが混在した建物のことです。
例えば、1つのマンション建物にテナント事業用フロアと住居用フロアがあるようなタイプの建物です。
建物全体で住居部分が占める割合と、5階建て以上の耐火建築物であるか、4階建て以下の耐火建築物またはそれ以外の建物であるかによって、適用される減額率が変わります。
住宅があれば、軽減措置は適用されます。
これらの計算は自分でする必要はなく、毎年送られてくる固定資産税の評価証明書に、適用範囲と減額割合などが記載されています。
このように、土地を所有している方は、住居がある建物を建てると、固定資産税が大きく減額できます。
その際には、土地条件やエリアニーズにあった土地活用の方法の中から、最も良いと思える土地活用プランを選びだすようにしてください。
土地活用は、たくさんのプランを比較するところから始まります。
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2.住宅用地の特例が適用されているかを確認する2つの方法
所有する土地に住宅用地の特例が適用されているかを確認する方法は、2つあります。
住宅用地の特例は固定資産税にかかわる制度なので、各自治体が適用しています。
- 納税通知書で確認する
- 自治体に直接確認する
普段支払っている税額が「何となく高い気がする」と思う方は、今一度、住宅用地の特例が適用されているかどうか確認してみてください。
適用されるべき土地に適用がなかった場合は、本来適用される日時にさかのぼって、過払い分が全額返金されます。
2-1.納税通知書で確認する
不動産を所有している方は、毎年6月ごろに、土地が所在する自治体から納税通知書が届きます。
同封される課税資産の内訳の備考欄に、適用されている特例の記載があります。
居住用の家屋が建っている敷地にもかかわらず、課税明細の備考欄に書かれていない場合は、自治体の固定資産税課に連絡を入れ、特例の適用がされているかなどの確認をしてください。
2-2.自治体に直接確認する
手元に納税通知書などがなく、特例の適用の有無が確認できない場合は、証明書の発行を申請できます。
役所窓口での手続き・郵送・電子申請によって、証明書を発行できます。
証明書の発行手数料は400円、郵送の場合は1週間から10日程度かかります。
また、委任状があれば代理人による申請もできます。
法定代理人(親権者、成年後見人等)の場合は、委任状に相当する書類として法定代理人であることを証する書類(戸籍謄本・登記事項証明書等)が必要です。
パソコンとスマホからの手続きは、事前に電子申請用の登録をしておく必要があります。
例えば、東京都の場合は「東京共同電子申請・届出サービス」の「申請者区分選択」に登録をしてから申請します。
自治体によって申請方法や形式に違いがあるので、確認したい不動産のある自治体のホームページで確認をしてください。
参照:東京共同電子申請・届出サービス「申請者区分選択」
3.所有地に住宅用地の特例を適用させる4つの方法
住宅用地の特例が適用されていない土地を所有している、またはそのような土地を相続する可能性がある場合は、固定資産税対策として居住するための建物を建てることを検討してみましょう。
主に、次の4つの方法があります。
- 【新築】住むための住居を建てる
- 【新築】人に貸すための住居を建てる
- 【リフォーム】今ある建物を長く使えるように保存していく
- 【建て替え】今ある建物を建て替える
3-1.住むための住居を建てる
まず、自身や家族が住む住居を建てることを検討してみてください。
土地に住居があると、住宅用地の特例が適用されるので、今まで支払っていた更地での固定資産税額が1/6にまで減額できます。
例えば、100万円支払っていたら、約16万円にまで下がります。
建物には、固定資産税の新築住宅の減額制度が適用され、2026年(令和8年)3月31日までの新築分に対しては、以下のような割合で減額になります。
住宅の種類 |
床面積 |
減額範囲 |
専用住宅 |
|
|
併用住宅(居住部分が1/2以上) |
居住部分の床面積が50~280平米 |
建物の種類によって適用される期間が違うので注意してください。
3階建て以上の準耐火構造および耐火構造住宅は新築後5年間、それ以外の住宅は一律で新築後3年間です。
建物に関してはこの期間が終了すると、減額制度はなくなりますが、宅地(土地)は住居がある限り、住宅用地の特例が続きます。
住居が含まれる建物を建てた場合、オーナーが自分で減額制度へ申請する必要はありません。
家屋がある自治体の担当者が、登記などで提出された資料や家屋調査などをもとに、照会・確認します。
ただし、新築した建物が長期優良認定住宅である場合は、別途ご自分で自治体へ申請する必要があります。
これらの計算は煩雑であり、さらに間違えると適用ができませんので、必ず節税に強い土地活用のプロに相談しましょう。
ハウスメーカーや建築会社には節税に強いスタッフもあるので、担当者と一緒に進めるようにしてください。
また、自分や家族が住む住居部分を確保しながら、賃貸部分も確保する、「賃貸併用住宅」を建てる、という選択肢もあります。
3-2.人に貸すための住居を建てる
自身や家族がすでにマイホームを所有している場合は、人に貸すための住居を検討してみてください。
例えば、戸建て賃貸、アパート、マンションなどの人に貸して家賃を得る賃貸物件です。
住居部分がないと住宅用地の特例が適用されませんので、気を付けてください。
今活用していない土地や不動産を所有している場合、賃貸など人に貸して住む部分のある住宅を建てることにより、固定資産税の減額制度が適用され、土地活用と節税の両方が実現できます。
どのような活用方法が良いのかは、土地の持つ条件や広さによって変わってきます。
まずは、NTTデータグループの「HOME4U 土地活用」をご活用いただき、ご所有の土地にあった活用方法を探してみてください。
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3-3.今ある建物を長く使えるように保存していく
使う予定がないまま年が経ってしまっている家屋を相続する予定がある場合は、まずその建物に手を加えて保存ができるかを検討してください。
人が住んでいた家であれば、その土地には住宅用地の特例が適用されています。
家屋を取り壊さなければ、特例も適用され続けます。
当面住む必要がないのであれば、リフォームまでの必要はなく、家が悪くならない程度に手入れをしていれば良いでしょう。
例えば、定期的に換気をして、電気・ガス・水道などが安全に使えるように点検をし、家の外観や庭の草木の状態にも気を付けておくなど、管理ができていれば問題はありません。
このような手入れを継続しておくだけでも、家の傷みの速度は遅くなり、必要なときに最低限のリフォームをするだけで、人が住める家として再利用できます。
自分で管理ができない場合は、地元の不動産管理会社に委託をして、定期清掃や換気に入ってもらうことで、家屋の劣化を防げます。
管理をせずに放置してしまうと、だんだんと朽ちて廃屋に近い姿になり、最終的には自治体から空き家と認定をされてしまう可能性が高くなります。
空き家に認定されてしまうと、住宅用地の特例が適用できなくなり、固定資産税額が更地と同じ金額になる可能性があるので注意が必要です。
最近は、入居者が自分で家屋に手を加えられる賃貸住宅として「DIY賃貸借」という方法も注目・推奨されています。
参照:国土交通省「DIY賃貸借のすすめ」(PDF)
古い家屋でもメンテナンスをきちんとしておけば、のちにコストをかけずに賃貸住宅として貸し出し、収益物件にすることもできます。
3-4.今ある建物を建て替える
今ある建物が傷んでいて、小まめなメンテナンスをしても保存するのが難しい場合は、建て替えを検討してみてください。
その際には、建て替えのタイミングが重要です。
住宅用地の特例は、1月1日時点で建物がない土地には、原則として適用はできません。
しかし、建て替え中の土地(更地)でも住宅用地として認められれば、固定資産税の特例措置が適用され、今までと同じ固定資産税額のままで済みます。
ただし、特例措置にはクリアしなければならない要件が複数あります。
ハウスメーカーや建築会社などプロに相談をしたうえで、適用ができるスケジュールかどうか確認し申請してください。
固定資産税の節税が希望であれば、節税と土地活用の両方に詳しいプロフェッショナルのアドバイスを受けながら進めていくのが安心です。
土地活用のパートナー探しは、NTTデータグループが運営する「HOME4U土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
一度の入力で最大10社にまで一度にプラン請求ができ、便利です。
複数のプランを比較することで、もっとも適した土地活用方法がわかり、節税を含めた将来の資産作りがスムーズになります。
4.住宅用地の特例に関したよくある質問
住宅用地の特例に関して、よくある質問7つをまとめました。
- Q:更地にどんな土地活用をすれば、特例の適用対象になりますか?
- Q:空き家にも、住宅用地の特例は適用されますか?
- Q:アパートの隣にある駐車場にも特例を適用させられますか?
- Q:更地のままで固定資産税を安くすることはできますか?
- Q:固定資産税が高くて払い続けられません。どうすればいいですか?
- Q:古い建物はいつ解体するとお得ですか?
- Q:自分が住まない賃貸住宅にも、住宅用地の特例は適用されますか?
4-1. Q:更地にどんな土地活用をすれば、特例の適用対象になりますか?
A:住居のある建物であれば、住宅用地の特例が適用されます。
住宅用地とは、専用住宅や併用住宅などの住居がある建物の敷地のことです。
「人が住む・住める」住居があることが前提のため、更地・店舗・工場・倉庫など人が住む部分のない建物や、人が住む部分が建物全体の1/4未満の場合には、住宅用地として認定されません。
住宅用地の特例を適用したい場合には、特例の要件に合った住居を建て、土地活用する必要があります。
ハウスメーカーや建築会社とよく相談しながら、計画を進めてください。
4-2. Q:空き家にも、住宅用地の特例は適用されますか?
A:過去に住居として建てていれば、住宅用地の特例が継続して適用されます。
現在、空き家となっていても、過去に住居として建てていれば、住宅用地の特例が適用されたままの状態でいる可能性が高いと言えます。
ただし、必ず固定資産税評価証明書などで確認をしておいてください。
むやみに取り壊しをして更地にしてしまうと、特例の要件から外れて固定資産税が高くなる可能性があるので注意してください。
2023年(令和5年)12月13日の空き家法改正により、適切な管理がされていない空き家に対しては、自治体から「管理不全空き家」としての指導が入ります。
改善されない状態が続いて特定空き家として認定されると、住居があっても更地の扱いになり、固定資産税が跳ね上がる可能性があります。
空き家の状態で建物を維持し、住宅用地の特例の適用を続ける場合は、適切な管理保全をすることが前提であることに注意してください。
4-3. Q:アパートの隣にある駐車場にも特例を適用させられますか?
A:土地利用を一体化する申請をすれば、住宅用地の特例が適用されます。
アパートと駐車場の土地が隣同士で、その駐車場を利用する大半が入居者である状況であっても、土地が登記上で分かれていると、住宅用地の特例はアパート用の敷地にしか適用されません。
このような場合、アパートと隣の駐車場の土地を一体利用する申請をすれば、駐車場用の土地にも特例が適用できるようになります(分筆されているものを一筆にする必要はありません)
申請の際には、アパート入居者が駐車場を利用者していることが証明できる賃貸契約書の写しなどが必要です。
ただし、アパート宅地と駐車場用地が道路などで分断されている場合は、原則として駐車場への特例は適用されない可能性が高い傾向にあります。
治体の担当者の判断によるところが大きいのですが、住宅用地の適用があるとないとでは、固定資産税額に大きな差があります。
これから土地活用をする場合は、先にアパート建築プランを下地にした駐車場経営の資料を持参して、相談をしてみることをお勧めします。
参照:東京都「「固定資産税の住宅用地等申告書」について」(PDF)
4-4. Q:更地のままで固定資産税を安くすることはできますか?
A:更地が一番、税額が高い状態です。
建物が何も建っておらず、手を加えていないままの状態にある土地を、更地と呼びます。
所有する土地をどう活用するのかはオーナーの自由なので、更地のままで置いておいても問題はありません。
しかし、何度か解説している通り、更地には住宅用地の特例が適用できず、高い固定資産税と都市計画税が課せられます。
別の言い方をすれば、持っている土地に住宅さえ建っていれば大きな節税ができます。
当面使う予定のない土地であっても、節税の面からみると土地活用はしておいた方が良いと言えます。
どのような土地活用ができるのかは、「HOME4U土地活用」をご利用ください。
一度の入力で最大10社にまでプラン請求ができ、一度にたくさんの土地活用プランを比較していくなかで「これならば」と思えるプランと企業に出会えます。
4-5. Q:固定資産税が高くて払い続けられません。どうすればいいですか?
A:土地を活用するか売却するかを検討してください。延滞金に注意してください。
固定資産税が高い理由は大きく分けて2つあります。
1つは、更地のままでは、住宅用地の特例など固定資産税が減額される制度が利用できていないということ。
2つめは、地価がとても高いエリアに土地を所有しており、さらに土地面積が大きい場合です。
更地の場合は、売却をすれば高額な固定資産税の支払いをしなくて済むようになります。
また、何らかの土地活用をして住宅用地の特例を適用させ、さらに賃貸経営をすれば、入居者の賃料から固定資産税が支払えるようになります。
地価が高い場合は、個人では対応ができません。
やはりマンションやアパートなどの賃貸経営をして、固定資産税代を土地に稼いでもらうのが具体的な解決策になります。
地価の高いエリアは人の多い人気エリアであることが多く、賃料の設定も高めに設定でき、土地活用としては成功しやすい傾向にあります。
固定資産税は地方税として、不動産を所有する方に支払い義務があります。
高額で払えないから放置しておくと、延滞金が生じます。
納期限の翌日から1か月を経過するまでの期間は2.4%、それ以後は8.7%もの利息が付きますので注意してください。
支払いに問題が起きそうな場合は、早めに自治体の固定資産税課に連絡をして、割賦支払いなどの相談をしてください。
4-6. Q:古い建物はいつ解体するとお得ですか?
A:取り壊しを正月、新家屋の竣工を翌年の正月前にするとスムーズです。
固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税されます。
そのため、古い建物を1月1日以降に壊し、次の年の1月1日までに新しい建物を建てれば、自治体に何の申請もしなくても、住宅用地の特例が適用されたままで、住居の解体と建て替えができます。
気を付けたいのは、新しい建物を必ず次の年の1月1日までに完成させておかないとならないことです。
工事期間を逆算して、スケジュール内で工事を完了できるハウスメーカーや建築会社を探さなくてはなりません。
建物や市場の状況によっては、予定通りに完成しないケースもあります。
どのような土地活用の方法を選ぶのかによっても、古い建物を取り壊すタイミングは変わってきます。
建築に1年以上かかるようであれば、固定資産税の特例措置を使って、住宅用地の特例を外さないままで建て替えをすることになります。
参照:東京都 「住宅を建て替える土地の特例措置のご案内」(PDF)
4-7. Q:自分が住まない賃貸住宅にも、住宅用地の特例は適用されますか?
A:住居があれば住宅用地の特例は適用されます。
人に貸していて自分が住んでいないマンションやアパートにも、住宅用地の特例は適用されます。
ただし、他の人が住んでいても、固定資産税・都市計画税の支払い義務は、その不動産の所有者にあるので、支払わなくてはなりません。
5.住宅用地の特例を賢く利用して節税対策を
住宅用地の特例は、人が住むための土地に対する固定資産税の特例措置であり、最大で1/6にまで税額を抑えることができます。
所有する土地に住居が建っていない場合は、土地活用によって住宅用地の特例を使い、固定資産税や都市計画税の節税をご検討ください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。