【基本を解説】「不動産」に関する税金対策・軽減制度一覧&解説まとめ|取得時・保有時・売却時・相続時
本記事では、不動産に関する税金の軽減制度について解説しています。
この記事を読むと、
- 不動産にかかる税金の軽減制度の一覧
- マンションの取得・保有・売却・相続にかかる税金の軽減制度
- 戸建ての取得・保有・売却・相続にかかる税金の軽減制度
- 土地の取得・保有・売却・相続にかかる税金の軽減制度
といったことがわかります。
1.不動産にかかる税金の軽減制度について
不動産の取得時・保有時・売却時・相続時にかかる主な税金と使える軽減制度は、以下のとおりです。
状況別 | 税金 | 詳細 | 軽減制度 |
---|---|---|---|
取得時 | 不動産取得税 | 不動産を取得したときに一度だけ課税される税金 | 不動産取得税の軽減制度 |
保有時 | 固定資産税 | 不動産を購入し保有すると課税される | 固定資産税の軽減制度 |
売却時 | 譲渡所得税 | 所有している不動産などを売って得た利益にかかる税金の総称 | 譲渡所得税を抑える特例 |
相続時 | 相続税 | 不動産を相続したときに課税される税金 |
|
不動産にかかる税金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
2.マンション・戸建てに適用される軽減制度
本章では、マンションや戸建てに適用される軽減制度について取得時・保有時・売却時・相続時の状況別に分類して一覧形式で概要を示します。
なお、詳細に関しては以下の記事をご参照ください。
2-1.マンション・戸建て取得時に使える不動産取得税の軽減制度一覧
マンション・戸建ての取得時には、マンションだけでなく土地にも「不動産取得税」がかかります。
取得時に不動産取得税に適用される主な軽減制度は、以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
土地 | 以下1.2.のうちいずれか大きい方から減額
|
マンション (新築) |
(固定資産税評価額-控除額(1,200万円))×3% |
マンション (中古) |
(固定資産税評価額-控除額(新築年次に準ずる))×3% |
参考:新築住宅の不動産取得税とは|計算方法・2024年以降の軽減措置・申告方法を解説 | HOME4U 家づくりのとびら
なお、土地の軽減税額は新築・中古に関わらず同様に計算されます。
また、中古マンションでは、物件が新築された日に応じた控除を受けられます。中古マンションに関する控除額は以下のとおりです。
新築された日 | 控除額 |
---|---|
1981年7月1日(昭和56年)~ 1985年6月30日(昭和60年) |
420万円 |
1985年7月1日 (昭和60年)~ 1989年3月31日(平成元年) |
450万円 |
1989年4月1日(平成元年)~ 1997年3月31日(平成9年) |
1,000万円 |
1997年4月1日(平成9年)以降 | 1,200万円 |
2-2.マンション・戸建て保有時に使える固定資産税の軽減制度一覧
マンションや戸建てを保有していると「固定資産税」がかかり、土地と建物でそれぞれ使える軽減措置や適用要件が異なります。
適用される軽減制度は、以下のとおりです。
項目 | 軽減制度 | 詳細 |
---|---|---|
土地 | 固定資産税の住宅用地の特例 |
|
新築マンション・ 戸建て住宅 |
新築住宅に係る税額の減額措置 ※2024年3月31日までに新築された住宅が対象 |
|
認定長期優良住宅に関する特例措置 ※2024年3月31日までに新築された住宅が対象 |
|
|
中古マンション・ 戸建て住宅 |
省エネ改修に係る固定資産税の軽減措置 (2024年3月31日まで) |
翌年度の固定資産税額から1/3が減額 |
長期優良住宅化リフォームに係る固定資産税の軽減措置 (2024年3月31日まで) |
翌年度分の固定資産税から2/3が減額 |
マンション・戸建ての固定資産税については、以下の記事もご参考ください。
2-3.マンション・戸建て売却時に使える軽減制度一覧
マンションや戸建てを売却した際、譲渡所得が発生すると「譲渡所得税」がかかります。
譲渡所得税で適用される軽減制度は以下のとおりです。
- 3,000万円特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
- 相続後に売却する際の取得費加算特例
- 損益通算及び繰越控除の特例
上記の制度はマイホームに限られ、賃貸マンションやアパートなどの売却では適用されない点に注意しましょう。
また、新築するまでの仮住まいとして使った家屋や、別荘として所有していた家屋には適用されません。
項目 | 詳細 | ||||
---|---|---|---|---|---|
3,000万円特別控除 | 譲渡所得を最大3,000万円まで控除できる | ||||
10年超所有軽減税率の特例 | 所有期間が10年超えたマイホームを売却する場合
|
||||
相続後に売却する際の取得費加算特例 |
相続後3年以内に売却する際の相続税の一部を譲渡所得の計算に扱う取得費に加算できる 取得費の計算式
|
||||
損益通算及び繰越控除の特例 | 譲渡損失(売却損)が出た場合に、損失分を他の所得から差し引ける |
なお、「3,000万円特別控除」と「10年超所有の軽減税率」は併用可能です。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
2-4.マンション・戸建て相続時に使える軽減制度一覧
マンションや戸建てを相続した際、相続財産が基礎控除額を超えた場合、超えた部分に限り「相続税」がかかります。
相続税で適用される主な軽減制度は、以下2つです。
- 小規模宅地の特例
- 配偶者の税額の軽減
小規模宅地の特例では、住宅の種類により税額を最大80%まで減額できます。
住宅の種類 | 上限面積 | 減額割合 |
---|---|---|
特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
配偶者の税額の軽減とは、次のうちどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
法定相続分の相当額については以下の表を参照ください。
相続人 | 配偶者の法定相続分 |
---|---|
配偶者と子供 | 財産の1/2 |
配偶者と父母など直系尊属 | 財産の2/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 財産の3/4 |
参考:国税庁「配偶者の税額の軽減」
3.土地に適用される軽減制度
土地に適用される軽減制度について、取得時・保有時・売却時・相続時の状況別にそれぞれ解説します。
なお、土地の軽減制度の詳細に関しては以下の記事をご参照ください。
3-1.土地の取得時に使える不動産取得税の軽減制度一覧
土地を取得した際は、「不動産取得税」がかかります。
土地にかかる不動産取得税においては、次のうちいずれか大きい方から減額されるという措置が設けられています。
- 4万5,000円
- (固定資産税評価額×1/2÷地積)×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×住宅の持ち分×3%
土地の不動産取得税に関する軽減制度の詳細は以下の記事をご覧ください。
取得した土地の活用を検討しているなら「HOME4U 土地活用」が便利です。最大10社から無料で取得した土地に合わせた最適なプランを受け取れます。
3-2.土地の保有時に使える固定資産税の軽減制度一覧
土地を保有している場合、毎年「固定資産税」や「都市計画税」がかかります。
しかし、土地に住宅を建てることで「住宅用地の特例」が適用されるため、固定資産税の軽減に効果があります。
住宅用地の特例の適用要件については以下のとおりです。
住宅用地の要件 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
1戸あたり200平米までの部分(小規模住宅用地) | 課税標準額= 評価額×1/6 |
課税標準額= 評価額×1/3 |
1戸あたり200平米を超える部分(一般住宅用地) | 課税標準額= 評価額×1/3 |
課税標準額= 評価額×2/3 |
土地のみを保有する際にかかる維持費や、軽減措置の詳しい内容については以下の記事を参考にしてください。
3-3.土地の売却時に使える軽減制度一覧
土地を売却した際、譲渡所得が発生すると「譲渡所得税」がかかります。
土地の譲渡所得税で適用される軽減制度は以下のとおりです。
項目 | 詳細 | ||||
---|---|---|---|---|---|
3,000万円特別控除 | 居住用財産が建っていた土地の場合、譲渡所得を最大3,000万円まで控除できる | ||||
10年超所有軽減税率の特例 | 所有期間が10年超えた居住用財産を売却する場合
|
||||
相続後に売却する際の取得費加算特例 |
相続後3年以内に売却する際の相続税の一部を譲渡所得の計算に扱う取得費に加算できる 取得費の計算式
|
||||
損益通算及び繰越控除の特例 | 譲渡損失(売却損)が出た場合に、損失分を他の所得から差し引ける |
なお、土地を売却する際の消費税は非課税となります。
土地を所有していて固定資産税が負担になっている場合は、売却して現金化する方法もおすすめです。
3-4.土地の相続時に使える軽減制度一覧
土地の相続税には、被相続人が住んでいた、もしくは事業をしていた土地に対し、80%または50%まで評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」が使えます。
ただし、以下2つの条件に当てはまっている必要があります。
- 対象の土地に建物や構築物が建っていること
- 被相続人や被相続人と生計をともにする親族が居住・事業をしていること
また、住宅の種類によって減額割合が異なる点に注意してください。
住宅の種類 | 上限面積 | 減額割合 |
---|---|---|
特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
また、小規模宅地等の特例は、土地のみを相続した場合には適用されません。
土地の相続が負担になる場合は、売却して現金化するのも一つの手です。
以下記事では、土地の相続税について詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
不動産にかかる税金に関する主な軽減制度は以下のとおりです。
- 不動産取得税の軽減制度
- 固定資産税の軽減制度
- 譲渡所得税を抑える特例
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者の税額の軽減
全体の概要は「1.不動産にかかる税金の軽減制度について」にて、住居種別の詳細は「2.マンションに適用される軽減制度」」「3.土地に適用される軽減制度」にて解説しています。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。