【初心者向け】「マンション」に関する税金対策・軽減制度一覧&解説|取得時・保有時・売却時・相続時
本記事では、マンションに関する軽減制度について解説しています。
この記事を読むと
- マンションを取得・保有・売却・相続した場合の軽減制度
- 軽減制度を適用するための要件
- 軽減制度の計算方法
といったことがわかります。
この記事の内容
1.【簡単解説】マンションの軽減制度について
マンションの取得・保有・売却・相続に関する軽減制度は以下のとおりです。
マンションの 状況 |
対象となる 税金 |
軽減制度名 |
---|---|---|
取得 | 不動産取得税 | 軽減税率の適用 |
保有 | 固定資産税 |
|
売却 | 譲渡所得税 |
|
相続 | 相続税 |
|
新築マンションと中古マンションが受けられる固定資産税の軽減措置についての表をご覧ください。
建物 | 軽減措置 | 要件 | 期間と減額 |
---|---|---|---|
新築マンション | 新築住宅に係る税額の軽減措置 | 床面積が一戸につき50平方メートル以上280平方メートル以下 |
|
軽減措置 | ケース |
---|---|
|
中古マンションを購入した場合 |
|
以下のリフォーム工事を行った場合
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|
新築と中古マンションはともに、固定資産税の住宅用地の特例という軽減措置を受けられ、課税評価額が減額されます。
- 200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地):1/6に減額
- 200平方メートルを超える部分(一般住宅用地):1/3に減額
軽減制度に関して、以下の記事で詳しく解説しています。
2.マンションを取得した際に使える軽減制度
ここでは、マンションを取得した際に使える軽減の計算方法と要件について、新築と中古に分けて解説します。
なお、土地に関する軽減制度については以下の記事をご参考ください。
2-1.新築マンションを取得した場合の軽減の計算方法と要件
以下の要件を満たす新築マンションを取得した場合、不動産所得税について軽減措置を受けられます。
- 床面積50㎡以上240㎡以下
- 取得者の居住用(セカンドハウスも含む)
不動産取得税の軽減の計算方法は以下のとおりです。
家屋の不動産取得税=
(家屋の固定資産税評価額 – 控除額)× 3%
※控除額は原則1,200万円
令和6年3月31日までに新築された認定長期優良住宅は1,300万円
2-2.中古マンションを取得した場合の軽減の計算方法と要件
以下の要件を満たす中古マンションを取得した場合、不動産所得税の軽減措置を受けられます。
- 床面積50㎡以上240㎡以下
- 取得者の居住用(セカンドハウスも含む)
- 耐震基準要件を満たしている(昭和57年1月1日以降に新築、建築士等の耐震診断によって基準に適合していること)
不動産取得税の軽減の計算方法は以下のとおりです。
家屋の不動産取得税=
(家屋の固定資産税評価額-控除額)×3%
なお、控除額は中古マンションが新築された日によって異なります。
新築された日 | 控除額 |
---|---|
1981年7月1日(昭和56年)~ 1985年6月30日(昭和60年) |
420万円 |
1985年7月1日(昭和60年)~ 1989年3月31日(平成元年) |
450万円 |
1989年4月1日(平成元年)~ 1997年3月31日(平成9年) |
1,000万円 |
1997年4月1日(平成9年)以降 | 1,200万円 |
3.マンションを保有している場合に使える固定資産税の軽減制度
ここでは、マンション保有時に使える固定資産税の6つの軽減制度について解説します。
- 住宅用地特例
- 新築住宅特例
- 耐震リフォームによる減額措置
- バリアフリー改修工事による減額措置
- 省エネ改修工事による軽減措置
- マンションの不動産取得税の軽減措置
マンションの固定資産税については以下の記事もご参照ください。
3-1.住宅用地特例
住宅用地特例とは、土地の面積によって固定資産税評価額が軽減される特例を指します。
土地面積ごとの軽減の割合は以下の表のとおりです。
土地の面積 | 軽減の割合 |
---|---|
200平米以下 | 1/6 |
200平米以上 | 1/3 |
3-2.新築住宅特例
新築住宅特例とは、床面積120平米までの部分に対する固定資産税評価額が2分の1に軽減される特例です。
新築住宅特例が適用される要件は以下のようになります。
- 2024年3月31日までに新築された住宅
- 床面積が50平米以上280平米以下
- 居住用部分が床面積の2分の1以上を占める
なお、住宅の種別や構造によって、軽減措置が適用される期間が異なります。
物件種別 | 軽減措置適用期間 |
---|---|
一般(下記以外)の住宅 | 3年度分 |
3階建て以上かつ耐火・ 準耐火構造の住宅 |
5年度分 |
一般の長期優良住宅 | 5年度分 |
3階建て以上かつ耐火・ 準耐火構造の長期優良住宅 |
7年度分 |
新築マンションの固定資産税については、以下の記事もご参照ください。
3-3.耐震リフォームによる減額措置
耐震リフォームによる減額措置とは、リフォーム工事が行われた住宅において、1戸あたり120平米までの部分の固定資産税評価額が翌年1年間にわたり1/2に減額される特例です。
減額措置を受けるには、以下の要件を満たした耐震リフォーム工事が完了したあと、3ヶ月以内に市町村へ申請を行う必要があります。
- 1982年1月1日以前から所在する住宅である
- 現行の耐震基準に適合する耐震リフォームである
- 一戸あたりの工事費用が50万円以上である
- 2024年3月31日までに適用を受けること
耐震リフォームによる減額措置の詳しい内容については、国土交通省のホームページをご参考ください。
参考:耐震リフォーム|住宅:住宅リフォームにおける減税制度について – 国土交通省
3-4.バリアフリー改修工事による減額措置
バリアフリー改修工事による減額措置とは、対象となる下記の工事が行われた住宅において、100平米までの部分の固定資産税評価額が、翌年1年間にわたり1/3に減額される特例です。
- 通路などの拡張
- 階段の勾配の緩和
- 浴室の改良
- トイレの改良
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 出入口ドアの改良
- 滑りにくい床材料への取り替え
また、バリアフリー改修工事による減額措置の適用要件は以下のとおりです。
- 築10年以上であること
- 工事後の床面積が50平米以上280平米以下である
- 工事後の居住部分が床面積の2分の1以上を占める
- 工事費用が50万円超えである(補助金等を除く)
- 2024年3月31までに適用を受けること
- 65歳以上もしくは、以下に該当する方が住んでいる
1.要介護
2.要支援認定者
3.障害者
バリアフリー改修工事による減額措置の詳しい内容については、国土交通省のHPをご参考ください。
参考:バリアフリーリフォーム|住宅:住宅リフォームにおける減税制度について – 国土交通省
3-5.省エネ改修工事による減額措置
省エネ改修工事による減額措置とは、工事が行われた住宅において、120平米までの部分の固定資産税評価額が翌年1年間にわたり1/3に減額される特例です。
省エネ改修工事による減額措置の適用要件は、以下のとおりとなっています。
- 2008年4月1日以前から所在する住宅
- 工事後の床面積が50平米以上280平米以下
- 工事後の居住部分が床面積の1/2以上を占める
- 工事費用が60万円超え(補助金等を除く)
- 2024年3月31日までに適用を受ける
3-6.マンションの固定資産税の軽減措置
マンションを取得した際の初期負担を軽減するため、新築マンションにかかる固定資産税が5年間、1/2に減額される軽減措置が設けられています。
また、この軽減措置の適用期限は令和6年3月31日までです。
なお、6年目からは固定資産税の額が元に戻ることになり、増税されるわけではない点に注意してください。
4.マンション売却時に使える譲渡所得税の軽減措置
ここでは、マンション売却時に使える3つの軽減措置と適用要件について紹介します。
- マイホームを売却した際の軽減税率の特例
- 売却した際の3,000万円特別控除の特例
- マイホームを買い換えたときの特例
4-1.マイホームを売却した際の軽減税率の特例
所有期間が10年を超える所有したマイホームを売却した場合、以下の軽減税率が適用されます。
- 譲渡所得が6,000万円以下の場合:譲渡所得×14%(所得税10%+住民税4%)
- 譲渡所得が6,000万円超えの場合:譲渡所得×20%(所得税15%+住民税5%)
なお、軽減税率の特例を受けるには、所有期間だけでなくいくつか要件を満たさなければなりません。
特例の詳細や適用要件に関しては、以下記載の国税庁のホームページをご参照ください。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
4-2.マイホームを売却した際の3,000万円特別控除の特例
マンションを売却した場合、所有期間にかかわらず3,000万円の特別控除を受けられます。
売却した際に譲渡所得が3,000万円を超えると税金がかかってしまいますが、この特例を活用することで多くの人が支払いを免除されています。
なお、新居を購入する場合、住宅ローンの控除と一緒に受けることはできません。
譲渡所得が少額であれば、住宅ローンの控除を受けるほうがお得になることがあります。
譲渡所得の額によりどちらを活用するか検討すると良いでしょう。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
4-3. マイホームを買い換えたときの特例
マンションを買い換える際、売却したマンションより新居の価格が高い場合に活用できるのがマイホームを買い換えたときの特例です。
特例を活用すれば、譲渡益に対する課税を次の売却まで先送りできます。
しかし、この特例も住宅ローンの控除と一緒に受けられないため、マンションの価格によっては特例を受けないほうがお得になる場合もあります。
参考:国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
5.マンションを相続した際に使える相続税の軽減制度
ここでは、マンション相続時に使える相続税の軽減制度について解説します。
- 小規模住宅等の特例
- 基礎控除
- 贈与税額控除
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
マンションにおける相続税対策については、以下の記事もご参照ください。
5-1.小規模住宅等の特例
小規模住宅等の特例とは、以下の要件に当てはまる土地に対して80%または50%まで評価額を減らせる制度です。
また、土地は以下4つのいずれかに区分され、それぞれ適用される限度面積と減額割合が80%または50%に定められています。
- 特定居住用宅地等
- 特定事業用宅地等
- 特定同族会社事業用宅地等
- 貸付事業用宅地
小規模住宅用地等の特例を活用すると大幅に相続税を軽減できるため、条件に当てはまっている場合は積極的な活用がおすすめです。
小規模宅地等の特例に関する詳しい内容や適用要件については、国税庁のホームページでご確認ください。
参考:国税庁「小規模住宅用地の特例」
5-2.その他の控除一覧
小規模住宅等の特例の他にマンションを相続した際に使えるその他の控除は以下のとおりです。
控除 | 内容 |
---|---|
基礎控除 | 条件なしに差し引ける控除 |
贈与税額 控除 |
相続発生時点よりさかのぼり3年以内に被相続人から贈与財産を受ける利用できる控除 ※贈与時点で贈与税を支払わなければ適用されない |
配偶者控除 | 相続税が配偶者にできるだけかからないようになっている。 |
未成年者 控除 |
法定相続人が満20歳未満のときは適用され、一定の額を相続税から差し引ける 控除額:満20歳になるまでの1年につき10万円 |
障害者控除 |
85歳未満で障害がある相続人の場合、相続税から一定の額を控除 控除額
※障害者の相続税額より控除額が多くて控除額を全額引けないときは、その控除額を障害者の扶養義務者の相続税額が引ける |
相次相続 控除 |
一次相続・二次相続が10年以内に続いて発生した方を対象とする控除 |
それぞれの控除の詳細については、以下のリンクからご覧ください。
マンションを取得した際の軽減の計算方法と要件について、新築と中古に分けて解説したので、ぜひご確認ください。
- 新築マンションを取得した場合の軽減の計算方法と要件
- 中古マンションを取得した場合の軽減の計算方法と要件
詳細は「2.マンションを取得した際に使える軽減制度について」にて解説しています。
マンションを保有持に使える固定資産税の軽減制度は、以下のとおりです。
- 住宅用地特例
- 新築住宅特例
- タワーマンション例外措置
- 耐震リフォームによる減額措置
- バリアフリー改修工事による減額措置
- 省エネ改修工事による軽減措置
- マンションの不動産取得税の軽減措置
詳細は「3.マンションを保有している場合に使える固定資産税の軽減制度」にて解説しています。
マンション売却時に使える軽減措置は、以下のとおりです。
- マイホームを売却した際の軽減税率の特例
- マイホームを売却した際の3,000万円特別控除の特例
- マイホームを買い換えたときの特例
詳細は「4.マンション売却時に使える譲渡所得税の軽減措置」にて解説しています。
特例や6つの控除を表にまとめて解説したので、ぜひご覧ください。
- 小規模住宅等の特例
- 基礎控除
- 贈与税額控除
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
詳細は「5.マンションを相続した際に使える相続税の軽減制度」にて解説しています。
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