【詳しく解説】90坪の土地に建てるアパート建築費の相場
90坪の広さがあれば、土地活用にはアパート経営が適しています。一戸建ての住宅にするには広すぎる一方、アパート賃貸経営をするにはちょうどよい広さがあるからです。
90坪は約297平米に換算でき、アパート1棟建てであればワンルームの間取りで10戸以上を確保できます。
この記事では、90坪のアパート建築費の相場とともに、以下のことをご紹介します。
- 90坪で建てるアパートの建築費相場
- 90坪で建てられるアパートのイメージ
- 90坪の土地にアパートを建てる前の注意点
なお、アパート経営を含む土地活用について相談したいという方は、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」をぜひご活用ください。以下のボタンから簡単に最大10社の土地活用プランの入手が可能です。
この記事の内容
1.アパート建築費の坪単価相場
90坪の土地にアパートを建てると、費用はどれくらいかかるのでしょうか。こうした時に参考となるのが坪単価です。
アパート本体の本体工事費(建築費用)は、坪単価を使って以下のように概算できます。
ただし、坪単価はアパートの構造や建てる地域によって相場が異なります。以下で詳しくご紹介しましょう。
1-1.構造別での坪単価相場
アパートは、基本となる部材の違いで構造が異なり、建築費用にも反映します。アパート構造別の坪単価は、以下のような相場になります。
木造 | 坪当たり77万~100万円 |
---|---|
軽量鉄骨造 | 坪当たり80万~100万円 |
重量鉄骨造 | 坪当たり90万~120万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 坪当たり90万~120万円 |
※HOME4U調べ
木造は木材を用いる工法で、2~3 階建てのアパート建築では一般的な構造です。
鉄骨造は、鉄骨と木材を組み合わせた工法で、鉄骨の厚さによって軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けられます。
鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋とコンクリートで固める工法で、主に4階建て以上の建物で採用される構造です。
90坪の土地にアパートを建てる場合、2~4階建てですべて工法を検討できるでしょう。ただし、階数が高くなるほど木造では難しくなり、また建築費用もかさみます。
1-2.地域別での坪単価相場
坪単価は、地域別でも相場が異なります。所有する土地の地域相場を知るには、国土交通省の「建築着工統計調査」が参考になります。全国の都道府県や主要都市における建築費を知ることができますが、ここでは2022年度の主な都道府県別の坪単価の相場を、アパート構造別でご紹介しましょう。
主な都道府県 | 木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 (RC造) |
---|---|---|---|
北海道 | 52.8万円 | 69.3万円 | 56.1万円 |
東京都 | 66万円 | 102.3万円 | 125.4万円 |
神奈川県 | 59.4万円 | 92.4万円 | 82.5万円 |
愛知県 | 56.1万円 | 79.2万円 | 56.1万円 |
大阪府 | 52.8万円 | 79.2万円 | 75.9万円 |
福岡県 | 49.5万円 | 72.6万円 | 69.3万円 |
出典:国土交通省|建築着工統計調査(2022年度)
※坪単価は1平米あたりの価格に3.3をかけて計算
首都圏でも東京都が突出していることからも分かるように、坪単価の地域別相場は、都市部であればそれだけ高くなる傾向にあります。これは都市部の方が、資材や重機の搬入が難しかったり、近隣へ配慮するための設備投資がかかったりして、追加の建築費用が発生するためです。
アパートの建築費については、以下の動画や関連記事も併せてご確認ください
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2. 90坪で建てられるアパートのイメージ
90坪の土地だと、どれくらいの規模でアパートを建てられるのでしょうか。そのイメージをつかむために、アパート建築の規模感や建築費用の内訳について見ていきましょう。
なお、アパートの建設費用を抑える方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
2-1. 90坪でのアパート経営規模
90坪という土地の広さは、アパートやマンションに適しています。
しかし、その土地に関わる建築規制によっては、建てられる建物の規模や間取りが変わってきます。具体的には土地の区分である「用途地域」や、建ぺい率・容積率などが立地条件によって、アパート経営の規模も異なります。
とはいえ、まったく事例がないのではアパート経営のイメージが持てないかもしれません。以下ではあくまで一例として、90坪の土地に建てるアパートの建築費とモデル年収をご紹介します。
建築費(初期費用)の例 | モデル収入 |
---|---|
8,000万円程度~ | ワンフロア6戸×2~3階建て 84万円=7万円×12戸/月 |
90坪は、約297平米と換算できます。1棟建てのアパートで2~3階建て、ワンルームの間取りなら12戸程度が標準的な規模でしょう。
2-2. 90坪のアパート建築費
アパートの建築費(初期費用)には、「本体工事費」以外に「別途工事費」や「諸費用」がかかります。これは土地の広さや坪数によらず、建築一般には共通する内訳です。
本体工事費は、建物の基礎や躯体、外装、内装の工事費用です。
別途工事費(付帯工事費)は、本体以外の工事費用です。地盤改良が必要な場合の工事費やライフライン(水道・電気・ガス等)の引き込み工事費などです。
諸費用は、それ以外の地盤調査費用や設計費、税金、保険料などになります。
それぞれがアパート建築費に占める割合は、一般的に以下のとおりです。
- 本体工事費:約7割
- 付帯工事費:約2割
- 諸費用:約1割
先述した「90坪で建てられるアパートの建築費とモデル収入」では、建築費を「8,000万円程度~」としていました。それぞれの割合で内訳を試算すると、本体工事費5,600万円、付帯工事費1,600万円、諸費用800万円となります。
3. 90坪のアパート建築費&収益シミュレーション
では、90坪の土地でアパート経営したとして、建築費や収益がどれくらいなのかシミュレーションしてみましょう。
3-1. 木造2階建てアパートの事例
以下は、90坪の土地に木造2階建てアパートを建てた場合のシミュレーション例です。ワンルーム12戸が入ることを想定しています。
<設定条件>
- 土地面積300平米(90.75坪)
- 建坪180平米・延べ床面積109坪(約360平米)
- 坪単価80万円
- 木造2階建て1R×12戸
- 家賃8万円
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:
80万円×109坪=8,720万円 - 付帯工事費:
8,720万円×20%=1,744万円 - 諸費用:
8,720万円×10%=872万円
※建築総額(初期費用):
8,720万円+1,744万円+872万円=1億1,336万円
<収益シミュレーション>
- 家賃収入:
8万円×12戸×12ヶ月=1,152万円 - 維持費等支出:
1,152万円×20%=230万4,000円
※年間収支:
1,152万円-230万4,000円=921万6,000円
建築総額(初期費用)が1億1,336万円、家賃8万円として年間収支は921万6,000円となりました。
3-2. 鉄筋コンクリート造4階建てアパートの事例
次は、90坪の土地に鉄筋コンクリート造4階建てのアパートを建てた場合です。2LDK16戸が入るシミュレーション例です。
<設定条件>
- 土地面積320平米(96.8坪)
- 建坪240平米・延べ床面積960平米
- 坪単価:110万円
- 鉄筋コンクリート造4階建て 2LDK×16戸
- 家賃14万円
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費:
110万円×290坪=3億1,900万円 - 付帯工事費:
3億1,900万円×20%=6,380万円 - 諸費用:
3億1,900万円×10%=3,190万円
※建築総額(初期費用):
3億1,900万円+6,380万円+3,190万円=4億1,470万円
<収益シミュレーション>
- 家賃収入:
14万円×16戸×12ヶ月=2,688万円 - 維持費等支出:
2,688万円×20%=537万6,000円
※年間収支:
2,688万円-537万6,000円=2,150万4,000円
建築総額(初期費用)が4億1,470万円、家賃14万円として年間収支は2,150万4,000円となりました。
2例ともかなり高収益に見えます。しかし、実際には自己資金で建築するには足りないでしょうから、アパートローンを組んで返済していくことになるでしょう。空室のリスクも含め、その返済計画も事前に検討する必要があります。
4. 90坪の土地にアパートを建てる前の注意点
90坪の土地は、アパートを建築し経営するのに適した広さです。
ただし、実際にアパートを建てる前には、事前に検討しなければならないことがあります。失敗しないように、以下のポイントに注意しましょう。
- 立地条件と賃貸ニーズを確認する
- 土地にかかる規制に注意する
- 固定資産税・都市計画税の節税対策
- 相続税の節税対策
なお、以下の記事ではアパート経営の基本的な知識について詳しく解説しています。
4-1. 立地条件と賃貸ニーズを確認する
アパートを建築するには、まず所有している土地がアパート建築に向いた地盤か確認する必要があります。
また、アパート経営に向いているかどうかは、その地域の賃貸ニーズに合っているかどうかも重要なポイントです。
賃貸アパート経営に向いている土地には、一般的に以下のような条件があります
- 駅に近く、徒歩10分圏内の立地
- 住宅街にあり、周辺にスーパーやコンビニなどがある
- 東西に長く、日当たり良好な整形の土地
ただし、アパートが建てられる地盤かどうか、地域の賃貸ニーズに合っているかについては自分で調査することは難しいでしょう。アパートメーカーや建築会社に相談することをおすすめします。
以下の記事では、90坪の土地活用について詳しく解説しています。
4-2. 土地にかかる規制に注意する
土地を所有しているからといって、そこに好きな建物を自由に建てていいわけではありません。土地には、建築基準法や都市計画法に定められた規制があります。
土地は13の「用途地域」が細かく定められていて、地域によってはアパートを建てられない場合もあります。
アパートを建築できるのは主に「都市計画区域」で、「都市計画区域外」「市街化調整区域」「工業専用地域」には原則的にアパートは建てられません。所有している土地がアパート建築の可能な地域か事前に確認する必要があります。
また、建築基準法では、建築物の規模や建て方、構造に制限が設けられています。建ぺい率や容積率、高さ制限が用途地域によって定められているほか、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制などの規制もあります。建てられるアパートの規模や構造が、土地にかかる規制により変わってくるため注意が必要です。
以下の記事では、建築記述法について詳しく解説しています。
4-3. 固定資産税・都市計画税の節税対策
土地は所有しているだけで毎年税金を納めなければなりません。そのため、節税対策にも注意しましょう。
土地の固定資産税と都市計画税は、その年の1月1日時点で所有している土地や建物に課税される地方税です。土地の広さや使い勝手、地域などの評価額によって税額が決定します。
ただし、アパートを建てた場合は軽減措置が受けられます。
- 住宅用地(土地)の軽減措置:固定資産税の計算の基礎となる土地の評価額を最大で1/6に
都市計画税の計算の基礎となる土地の評価額を3分の1に - 建物の軽減措置:一定面積に対する固定資産税額を1/2に
4-4. 相続税の節税対策
土地や不動産を相続した時も、評価額で相続税が計算することになります。その土地で賃貸アパート経営などを行っていると評価額はさらに低くなります。
相続税の節税対策としては、以下の適用が可能です。
- 小規模宅地等の特例:事業に使用している土地の評価額を最大で1/2に
- 借地権割合:地域ごとに設定(30~90%)
- 賃貸割合:相続時の賃貸事業の稼働率
このように、相続税でもアパート賃貸経営は有効な節税対策になります。
なお、アパート経営の節税対策について、以下の記事でも詳しく解説しています。
5. 90坪のアパート建築ではプランを比較
90坪の土地にアパートを建築して始める賃貸経営は、高い収益性と節税効果が期待できます。しかし、場合によっては初期費用に1億円以上かかることもあります。
そのため、信頼できるアパートメーカーや建築会社へ相談するのがおすすめです。設計や収支計画を含めた建築プランを依頼し、比較検討しましょう。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」では、土地の情報を入力することで、複数社からアパート建築プランを一括請求できます。
【詳しく解説】70坪のアパートの建築費はいくら?部屋数と向いている構造
【詳しく解説】100坪の土地に建てるアパート建築費の相場。土地を余らせない効率的な経営方法
90坪の土地にアパートを建てる前に注意したいポイントは、以下のとおりです。
- 立地条件と賃貸ニーズを確認する
- 土地にかかる規制に注意する
- 固定資産税・都市計画税の節税対策
- 相続税の節税対策
詳細は「90坪の土地にアパートを建てる前の注意点」をご一読ください。
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