【詳しく解説】80坪の土地に建てるアパート建築費の相場
80坪の土地を有効活用するには、アパート経営が向いています。一戸建ての住宅にはやや広すぎ、賃貸住宅を建てるのにほどよい広さだからです。80坪は換算すると約264.4平米で、アパート1棟建てならワンルーム10戸程度の間取りが確保できます。
この記事では、80坪にアパートを建築して賃貸経営する方法について、以下のことをご紹介します。
- 80坪で建てるアパートの建築費相場
- 80坪で建てられるアパートのイメージ
- 80坪の土地にアパートを建てる前の注意点
なお、アパート経営を含む土地活用について相談したいという方は、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」をぜひご活用ください。以下のボタンから簡単に最大10社の土地活用プランの入手が可能です。
1.80坪でのアパート建築費の相場
80坪の土地にアパートを建築すると、どれくらいの費用がかかるのかを知るには、坪単価を参考にする良いでしょう。
アパート本体の本体工事費(建築費用)は、以下の数式でおおよそを計算できます。
坪単価を設定し、延べ床面積(階数)でかけると、アパートの本体工事費(建築費用)を算出できます。
なお、アパートの構造別や地域別によって、坪単価の相場は異なります。以下で詳しくご紹介しましょう。
1-1.構造別での坪単価相場
アパートの構造別で、坪単価の相場は以下のように異なります。
アパート構造別 建築費坪単価の相場 | |
---|---|
木造 | 坪当たり77万~100万円 |
軽量鉄骨造 | 坪当たり80万~100万円 |
重量鉄骨造 | 坪当たり90万~120万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 坪当たり90万~120万円 |
※HOME4U調べ
木造は、2~3 階建てのアパート建築でもっとも一般的に採用される工法です。
鉄骨造は、鉄骨部材の厚さの違いで軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けられます。
鉄筋コンクリート造(RC造)は、4階建て以上の建物におすすめな構造で、木造や鉄骨造より強固な工法となります。
80坪の土地であれば、どの構造でも可能で、2~4階建てのアパートを検討できるでしょう。
1-2.地域別での坪単価相場
坪単価の相場は、地域別でも異なります。国土交通省の「建築着工統計調査」では、全国の都道府県や主要都市における建築費を知ることができます。ここでは2022年度の主な都道府県別の坪単価の相場をご紹介します。
地域(主な都道府県)別 建築費坪単価の相場 | |||
---|---|---|---|
主な都道府県 | 木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造(RC造) |
北海道 | 52.8万円 | 69.3万円 | 56.1万円 |
東京都 | 66万円 | 102.3万円 | 125.4万円 |
神奈川県 | 59.4万円 | 92.4万円 | 82.5万円 |
愛知県 | 56.1万円 | 79.2万円 | 56.1万円 |
大阪府 | 52.8万円 | 79.2万円 | 75.9万円 |
福岡県 | 49.5万円 | 72.6万円 | 69.3万円 |
出典:国土交通省|建築着工統計調査(2022年度)
※坪単価は1平米あたりの価格に3.3をかけて計算
地域別での坪単価の相場は、都市部で高くなるという傾向があります。首都圏でも、東京都が突出しているのは、建築工事の際に資材や重機の搬入が難しかったり、近隣へ配慮するための設備投資が必要になったりするため、追加費用がかかるためです。
アパートの建築費については、以下の動画や関連記事も併せてご確認ください
また、以下のボタンから土地の情報を入力すると、あなたの土地にあったアパートの建築費の見積もりを、最大10社の建築会社から無料で取り寄せることができます。
2.80坪で建てられるアパートのイメージ
80坪の土地は、アパート経営を行うのに申し分のない広さです。では、どれくらいの規模でアパートを建てられるのかを見ていきましょう。
なお、アパート建設をローコスト化する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
2-1. 80坪でのアパート経営規模
アパートは建てる場所の区分である「用途地域」や、建ぺい率・容積率などの立地条件によって規模が変わってきます。こうした立地条件については、次項の「80坪の土地にアパートを建てる前の注意点」で詳しく解説します。
あくまで一般的な事例ですが、80坪の土地に建てるアパートのモデルとしては以下のような経営規模となります。
【80坪で建てられるアパートの建築費とモデル収入】 | |
---|---|
建築費(初期費用)の例 | モデル収入 |
7,000万円程度~ | ワンフロア5戸×2~3階建て 70万円=7万円×10戸/月 |
80坪は、約264.4平米と換算できます。1棟建てのアパートであれば、2~3階建てで、ワンルームの間取り10戸程度が標準的でしょう。
以下は、82坪の土地にワンルームのアパートを建てた場合のシミュレーション例です。
<設定条件>
- 敷地面積:82坪(建ぺい率80%、容積率200%)
- 建物建坪:65坪
賃貸物件として人気のある日当たりの良い間取りとするために、南面のバルコニーを最大限とるように配置します。東西に長い長方形の土地なら理想的です。
また、容積率があるようであれば、以下のように4~5階建てのマンションにすることもできるでしょう。
<設定条件>
- 敷地面積:88坪(建ぺい率80%、容積率300%)
- 建物建坪:65坪
容積率が高ければ、階数を増やして戸数を多くすることも可能です。
ただし、用途地域や立地条件によっては、近隣の日照権を確保する必要も出てきます。アパート経営は、さまざまな規制や条件によって規模も変わってくるので、注意しましょう。
2-2.80坪のアパート建築費
アパートの建築費(初期費用)には、アパートの「本体工事費」のほかに「別途工事費」や「諸費用」がかかります。
本体工事費は、建物の基礎や躯体、外装、内装の工事費用で初期費用の大部分を占めす。
別途工事費(付帯工事費)は、本体以外にかかる工事費用です。地盤改良工事やライフラインの引き込み工事などの費用です。
諸費用は、それ以外にかかる地盤調査費用や設計費、税金、保険料などです。
それぞれの費用がアパート建築費に占める一般的な割合は、以下のとおりです。
- 本体工事費:約7割
- 付帯工事費:約2割
- 諸費用:約1割
先の「80坪で建てられるアパートの建築費とモデル収入」では、建築費を「7,000万円程度~」としていましたが、その内訳として試算すると本体工事費4,900万円、付帯工事費1,400万円、諸費用700万円となります。
ただし、坪単価と同様に、建築費は建ぺい率・容積率・構造などによって変わってきます。より具体的な建築費を算出するには、アパートメーカーや建築会社の専門家に相談してみましょう。
なお、以下の記事では、アパート建築費について詳しく解説しています。
2-3. 80坪のアパート収益シミュレーション
80坪の土地の広さがあれば、比較的高い収益でアパートが経営できます。
以下で、どれくらい収益が期待できるのか、シミュレーションしてみましょう。80坪の土地に4階建てワンルームのアパート32戸が入ることを想定したシミュレーション例です。
<設定条件>
- 土地面積280平米(84.7坪)
- 建坪220平米・延床面積880平米
- 4階建て1R×32戸
- 家賃8万円
<収益シミュレーション>
- 家賃収入
8万円×32戸×12ヶ月=3,072万円 - 維持費等支出
3,072万円×20%=614万4,000円
※年間収支
3,072万円-614万4,000円=2,457万6,000円
かなりの高収益に見えますが、実際には建築費(初期費用)がかかります。自己資金だけは足りないでしょうから、アパートローンを借りて返済していかなければならないでしょう。
返済期間も踏まえて、収支の計画を事前に検討することも必要です。
3.80坪の土地にアパートを建てる前の注意点
80坪の土地でのアパート経営は、一般的な規模といえます。
ただし、建てる際に検討しなければならないことはたくさんあります。竣工後に失敗しないためにも、事前に注意しておかなければならないポイントがあります。
以下の注意点が挙げられます。
- 立地条件と賃貸ニーズを確認する
- 土地にかかる規制に注意する
- 利回りとキャッシュフローを意識する
- 固定資産税・都市計画税の節税対策
- 相続税の節税対策
なお、以下の記事では、80坪の土地活用について詳しく解説しています。
3-1. 立地条件と賃貸ニーズを確認する
一般的なアパート経営では、初期費用をアパートローンで負担し、長期にわたって返済を続けていきます。
ローンの返済額や返済期間を抑えるには、所有している土地がアパート建築に向いている地盤か、地域の賃貸ニーズに合っているかを確認することが重要です。
ただし、アパートが建てられる地盤かどうか、地域の賃貸ニーズに合っているかについては調査が難しいので、アパートメーカーや建築会社に相談すると良いでしょう。
3-2. 土地にかかる規制に注意する
所有している土地には、好きな建物を自由に建てられるわけではありません。建築基準法や都市計画法に定められた制限により、地域によってはアパートを建てることができない場合もあります。
アパートの建築は、主に「都市計画区域」で行われ、さらに13の「用途地域」が細かく定められています。「都市計画区域外」「市街化調整区域」「工業専用地域」に区分される地域には、原則としてアパートを建てることはできません。そのため、土地がアパート建築に向いているか、まず用途地域の区分を事前に確認しなければなりません。
また、建築基準法では建築物の規模や建て方、構造についての制限が設けられています。建ぺい率や容積率、高さ制限も用途地域ごとに決められています。ほかにも、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制などがあり、土地にかかる規制によって建てられるアパートの規模や構造も変わってきます。以下の記事では、アパート建築に関連する規制について詳しく解説しています。
3-3. 利回りとキャッシュフローを意識する
アパート経営を始めるには、収益性も気になるところです。どれくらいの収益が上げられるかを考える場合は、利回りとキャッシュフローを意識すると良いでしょう。
利回りは、「表面利回り」であれば、以下の計算式で簡単に求めることができます。
年間賃貸収入を建物に投資した額(アパート本体価額)で割った割合が、表面利回りです。
ただし、表面利回りでは年間の支出額(経費)が考慮されていません。より正確にアパートの収益力をより知るためには「実質利回り」(NOI利回り)で計算します。
実質利回りは、以下の計算式で求められます。
年間純利益(NOI)とはNet Operating Incomeのことで、年間の賃貸収入から支出を差し引いたものです。差し引く支出は、固定資産税および都市計画税、損害保険料(火災保険等)、管理委託料などですが、そこには借入金の返済額や減価償却費などは含みません。
計算が複雑になるため、表面利回りから簡易的に求めることもできます。以下では、表面利回りを7%、NOIの費用の合計割合を20%とした場合で実質利回りを試算してみます。
NOIの費用の合計割合:20%
実質利回り(NOI利回り)の概算値
=表面利回り×(1―NOIの費用の合計割合)
=7%×(1-20%)
=5.6%
通常のアパートローンでは金利相場が2%〜4.5%なので、実質利回りで5%を上回っていれば、投資額を回収して余裕のある理想的なアパート経営ができるでしょう。
もう一つ注意したいのが、キャッシュフローです。キャッシュフローとは、賃貸収入からアパートローンの返済額を差し引いて手元に残るお金ことです。
キャッシュフローが黒字でないと、修繕などの維持管理費が急に発生した場合、ローンの返済に行き詰って赤字経営に陥ってしまいます。
そのため、アパートの建築を始める前に収支プランを作成しておく必要があります。
建築費などの初期費用だけでなく、高い利回りの収益率、維持管理費やキャッシュフローなどにも配慮して資金計画を立てましょう。
3-4. 固定資産税・都市計画税の節税対策
土地を所有しているだけでも税金は毎年発生します。80坪という土地の規模では、納めなければならない税金も大きくなってきます。そのため、節税対策についても注意しておきましょう。
ただし、固定資産税や都市計画税は、土地は使い方や状態によって軽減措置が受けられます。
例えば、土地や家屋などにかかる固定資産税では、アパートを建てた場合に以下のような軽減措置が適用されます。
- 住宅用地(土地)の軽減措置:固定資産税の計算の基礎となる土地の評価額を最大で1/6に
都市計画税の計算の基礎となる土地の評価額を3分の1に - 建物の軽減措置:一定面積に対する固定資産税額を1/2に
これは住宅用地の特例として、土地の評価額を減額することで税額が軽減される措置です。この特例は1戸当たり200平米までで、80坪の土地では適用の範囲を超える場合がありますが、アパートなどを建てて戸数を増やせば、敷地全域で特例措置が適用となります。参考:東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
ちなみに所得税や住民税も、アパート経営の賃貸収入(利益)に課税されます。「損益通算」(利益と損失を相殺すること)によって必要経費が認められれば、税額が少なくなり、節税対策ができます。
3-5. 相続税の節税対策
相続税にも、土地の評価額を減額できる特例措置があります。
- 小規模宅地等の特例:計算の基礎となる土地の評価額を最大で1/2に
アパートなどの賃貸住宅を建てた場合は、この「小規模宅地等の特例」が適用されます。
このように、アパートなど集合住宅の賃貸経営を行っている土地は、相続税の節税効果がとても高くなります。建物も財産となるため、課税対象として一般的には時価の3~5割安い評価額となります。
なお、アパート経営の節税対策について、以下の記事でも詳しく解説しています。
4.80坪のアパート建築ではプランを比較
80坪の土地でアパートを建築し、賃貸経営を始めるには、信頼できるアパートメーカーや建築会社へ相談するのがおすすめです。設計や収支計画を含めた建築プランを依頼し、比較検討するのが、最適なアパート建築への近道です。
「HOME4U 土地活用」では、土地の情報を入力することで、複数社からアパート建築プランを一括請求できます。
【詳しく解説】70坪のアパートの建築費はいくら?部屋数と向いている構造
【詳しく解説】100坪の土地に建てるアパート建築費の相場。土地を余らせない効率的な経営方法
80坪で建てられるアパートのイメージは、以下の要素から検討できます。
- 80坪でのアパート経営規模
- 80坪のアパート建築費
- 80坪のアパート収益シミュレーション
詳しくは「80坪で建てられるアパートのイメージ」で紹介しています。
80坪の土地にアパートを建てる前に注意したいポイントは、以下のとおりです。
- 立地条件と賃貸ニーズを確認する
- 土地にかかる規制に注意する
- 利回りとキャッシュフローを意識する
- 固定資産税・都市計画税の節税対策
- 相続税の節税対策
詳細は「80坪の土地にアパートを建てる前の注意点」をご一読ください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。