アパートの建て替えにかかる費用は、「解体費用・退去費用・新築費用」の3つに分けられ、以下の計算式で割り出すことが出来ます。
- 解体費用=延床面積×解体費用の坪単価
- 新築費用=本体工事費+別途工事費+諸費用
- 立ち退き費用=賃料×6ヶ月分(相場)
アパート建て替えの費用について不安や悩みがある方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U 土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。予算や環境から、どんなハウスメーカーや建築会社に依頼すればいいのかが複数社のプランを一括で比較できます。
この記事の内容
1.アパートを建て替える費用はいくら?
アパート建て替えにかかる費目には、大きく分けて以下の 3 つがあります。この合計金額が建て替えに必要な費用です。
- 解体費用
- 新築費用
- 立ち退き費用
それぞれの相場や詳しい計算方法について、説明します。
1-1.解体費用
アパートの解体費用は、以下の計算式で求められます。
解体費用=
延床面積×解体費用の坪単価
一般的なアパートの一坪当たりの解体費用を、構造別の4種類に分けて考えてみます。目安は以下の通りです。
2階建て | 3階建て | |
---|---|---|
木造 | 30,000~40,000円/坪 | 60,000~80,000円/坪 |
鉄骨 | 35,000~45,000円/坪 | 65,000~85,000円/坪 |
鉄筋コンクリート | 40,000~50,000円/坪 | 80,000~100,000円/坪 |
プレハブ造 | 25,000~35,000円/坪 | 55,000~75,000円/坪 |
解体費用は建物の構造や、物件の所在するエリア、規模や周辺環境によっても異なります。加えて、取り壊しによって発生する廃棄物の処理や土地の整備費なども入ってきます。
鉄骨造アパートや鉄筋コンクリート造アパートでは、重機の大きさが違ったり、廃材の処分などの手間が発生し、解体作業が長引くことがあったりします。その分、解体費用も高くなります。また、階数が一階分増えるだけで、解体費用は2倍になります。
解体を含めて、建て替えに対する補助金制度を設けている自治体もあるので、該当するかどうか要件を調べておくと良いでしょう。
自治体の補助金制度については、以下の記事でも解説しています。
1-2.新築費用
更地となった土地に、新たなアパートを建てるための費用を指します。新築費用の相場は、以下の計算式で求められます。
新築費用=建築費(延床面積×構造別の坪単価)+諸費用(建築費の10%程度)
構造別の坪単価の目安は、以下のとおりです。
木造 | 77~100 万円 |
---|---|
鉄骨 | 80~120 万円 (軽量)80~100 万円 (重量)90~120 万円 |
鉄筋コンクリート | 90~120 万円 |
※構造別の坪単価は、HOME4U 調べ
例えば、2階建木造アパートで戸数が10室(すべて1DKで30平米)とした場合、アパートの総面積(各階の床面積の合計)は300平米(約90坪)です。
木造アパートの坪当たり単価を約80万円とした場合、単純計算で7,200万円が建築費となります。
同じ条件の鉄骨アパートなら、坪単価が約100万円として9,000万円。鉄筋コンクリートなら坪単価110万円として、9,900万円かかることになります。
以上はおおよその金額ですが、実際には解体費用と同じく、アパートの構造やエリアによって値段が異なります。また、この金額に火災保険料や不動産取得税などの諸費用が10%ほどかかってきます。
アパートの建築費については、以下の動画や関連記事も併せてご確認ください
また、以下のボタンから土地の情報を入力すると、あなたの土地にあったアパートの建築費の見積もりを、最大10社の建築会社から無料で取り寄せることができます。
1-3.立ち退き費用
入居者がいる場合、建て替えのために退居をお願いすることになります。
あくまで目安ですが、立ち退き費用は、以下の計算式で相場がわかります。
立ち退き費用=賃料×6か月分
オーナーからの解約申し入れ(退去勧告)は、期間満了の6ヶ月以上前までにしなければなりません。
借地借家法により、入居者は『正当な理由がなければ、入居者は解約に応じなくてもよい』という権利が定められています。
そこでスムーズな立ち退きのために、オーナーは立ち退き料を支払うこととなります。したがって、老朽化したアパートの建て替えには立ち退き料も含めて考えることが重要です。
立ち退き料の一般的な相場は家賃の6ヶ月分となっています。それだけでの交渉が困難な場合、引っ越し費用などを加えることもあります。入居者の事情を充分に考慮し、対処してください。
アパートの建て替えでオーナーがもっとも気にするのは、この「立ち退き」です。
入居者への交渉などストレスがかかる作業ですが、建て替えについて事前に建築会社に相談していれば、立ち退きについても一緒に進めてくれます。
2.アパートを建て替える費用をシミュレーション
建て替えにかかる全体的な費用を概算でシミュレーションしてみましょう。おさらいですが、建て替え費用は以下の計算式によって算出する事が出来ます。
- 解体費用=延床面積×解体費用の坪単価
- 新築費用=本体工事費+別途工事費+諸費用
- 立ち退き費用=賃料×6か月分(相場)
2-1.築 50 年・ 2 階建て木造アパートの場合
2 階建て木造アパートを建て替える場合、合計金額の概算は5,592 万円というシミュレーションになります。
【前提条件】
- 築 50 年・木造 2 階建て
- 延べ床面積 60 坪(30 坪×2 階)
- 立ち退き料は 2 戸の住人に対して支払う(家賃 6 万円 / 月)
【アパート建て替え費用】
解体費用:60 坪(延床面積)×4 万円(坪単価)=240 万円
新築費用:60 坪(延床面積)×80 万円(坪単価)×1.1(諸費用分)=5,280 万円
立ち退き費用:6 万円(家賃)×6(月数)×2(戸数)=72 万円
合計金額:240 万円+5,280 万円+72 万円=5,592 万円
また、築50年のアパートの建て替えについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
2-2.築 60 年・3 階建て鉄骨造アパートの場合
3階建て鉄骨造アパートを建て替える場合、合計金額の概算は1 億 656 万円というシミュレーションになります。
【前提条件】
- 築 60 年・鉄骨造 3 階建て
- 延べ床面積 90 坪(30 坪×3 階)
- 立ち退き料は 3 戸の住人に対して支払う(家賃 7 万円 / 月)
【アパート建て替え費用】
解体費用:90 坪(延床面積)×7 万円(坪単価)=630 万円
新築費用:90 坪(延床面積)×100 万円(坪単価)×1.1(諸費用分)=9,900 万円
立ち退き費用:7 万円(家賃)×6(月数)×3(戸数)=126 万円
合計金額:630 万円+9,900 万円+126 万円=1 億 656 万円
もっと詳細にご所有の土地にあわせた建て替え費用が知りたい場合には「HOME4U 土地活用」をご利用ください。
3.アパートを建て替える費用はどう捻出する?
アパート建て替えには多額の費用がかかるため、多くのオーナーは金融機関から融資を受けることで建て替え費用を賄っています。主な融資としては、2つの方法が挙げられます。
3-1.アパートローンを利用する
銀行などの金融機関には、アパート経営者のためのアパートローンがあります。利用する場合は、建設費の10~30%の自己資金があれば、融資が下りやすくなります。
先の例でいえば、90坪の木造アパートの建設費用は9,900万円なので、準備する自己資金は約1,000万円~3,000万円程度ということになります。
3-2.国の融資を受ける
アパート建て替えの準備金については、政府系の金融機関である日本政策金融公庫から借りるという方法もあります。主に中小企業を支援するのが目的の日本政策金融公庫は、低金利で長期の固定金利が特徴です。
民間の金融機関より金利が低いので、返済は有利です。借入条件としては、不動産賃貸事業であること、担保物件があること、公共料金や税金の未払いがないことなどが挙げられます。なお、担保物件の評価目安は3割ぐらいです。
借入可能期間は、最大で15年(男性の場合)から20年(女性の場合)です。79歳までに完済しなければならないので、年齢から逆算して借入期間を決めることになります。
どちらの場合も、融資を受ける際に注意したいのは、借入金額をなるべく抑えるということです。余裕のないローン返済では、一室でも退居者が出て家賃収入が減った場合に行き詰まる恐れが出てくるからです。
そのため、自己資金はしっかりと準備しておきましょう。
4.アパートを建て替える時期・限界の築年数は?
アパートを建て替える時期の目安はどれくらいなのでしょうか。建て替えのタイミングを考えるにあたり、大きな要因となるのは建物の老朽化ですが、ほかにもさまざまな要素が考えられます。順を追って、見ていきましょう。
なお、建て替え時期の目安やメリットなどについては、以下の記事でも解説しています。
4-1.建て替えを検討する事項
建て替えを検討する理由としては、おおまかに以下の5つの要素が考えられます。
- 築年数
- 収益状況
- 高額なリフォーム費用が発生する場合
- 空室率が五割以上
- 入居者のニーズ変化
アパートの建て替えでは、築年数が長く、建物が老朽化しているために建て替えることが多いでしょう。この「築年数の限界」については次項でご説明します。
ほかの要素としては、アパート経営の視点から建て替えた方が良いと思われる場合がほとんどです。空室が増えて収益が減った、リフォームで済ませたいが予算がかかる、家族世帯向けの間取りにしたが単身者のニーズが増えてきたなど、より魅力的なアパート物件にするために建て替えを必要とする場合もあります。
4-2.限界の築年数は30年が目処
アパートの老朽化によって建て替え時期を考える際は、法定耐用年数がよく参照されます。アパートには構造ごとに法定耐用年数が定められています。
木造 | 22年 |
---|---|
鉄骨造(3mm以下のもの) | 19年 |
鉄骨造(3mmを超え4mm以下のもの) | 27年 |
鉄骨造(4mmを超えるもの) | 34年 |
法定耐用年数は、あくまでも税法上で定められた減価償却期間で、実際の「築年数の限界」とは異なります。老朽化していても適切なメンテナンスをしていれば、より長くアパートを使い続けることができます。
ただし、アパートは建材の部位ごとに劣化の度合いも異なります。部位別の一般的な「築年数の限界」は、以下のようにいわれています。
構造体(柱・梁・土台など) | 60~100年 |
---|---|
外壁/屋根 | 30~40年 |
水回り設備/給排水管) | 30年 |
外壁や屋根、水回りの配管設備は、30年を超えると寿命を迎えます。そのタイミングで改装や交換が必要になるので、アパート全体の建て替えを検討してもいいでしょう。つまり、アパートの「築年数の限界」は30年を目処とすると考えやすくなります。
もちろん、適切にメンテナンスしていれば、もっと長く使い続けることも可能です。
4-3.耐震基準をクリアしているか確認も
なお、アパートの耐震基準も、建て替えを検討する際の重要なポイントです。耐震基準は1981年5月31に大きく改正されています。
- 旧耐震基準:震度5程度で倒壊しない
- 新耐震基準:震度6強から7の地震でほとんど損傷しない
この改正前後に建築確認申請をしたアパートであれば、旧耐震基準で建てられている可能性があります。大きな地震が起これは損傷・倒壊のリスクも高いため、すぐにでも建て替えを検討しましょう。
5.アパートを建て替える前の注意注意事項
次に、アパートの建て替えを考える前に注意したいポイントについてご説明します。
5-1.リフォームより多くの時間と費用がかかる
建物を直すという観点では、建て替え以外の選択肢として「リフォーム」がありますが、メリットとデメリットを見極めて決断しましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
建て替え | ・空室率の改善 ・家賃が高く設定できる ・減価償却や相続税削減が可能 |
・コストが高い ・建て替えにかかる時間が長い |
リフォーム | ・コストが安い ・一定の空室改善効果がある ・期間が短い |
・新築同様にはならない ・空室や家賃下落への対策としては限定的 ・リフォーム後も修繕は必要 |
また、建て替えに必要な期間の目安は以下の通りです。
スムーズに進んだとしても、1年~1年半は家賃収入が途絶えることに留意しましょう。
- 入居者と立ち退き交渉:6ヶ月~1 年前
- アパートの解体:1ヶ月
- アパートの建築:4~5ヶ月
5-2.収支計画を立てておく
収支計画とは、賃貸経営にともなう収入と支出を想定し、長期的な資金運用のシミュレーションをすることです。アパートを建て替える前には、必ずこの収支計画を立てましょう。収支計画書には、以下の3点を記載します。
- 収入
- 支出
- 収支
の 3 点を記載します。内訳は以下の通りです。
収入 | 家賃収入 駐車場賃料 礼金など |
---|---|
支出 | 建物保有税 土地保有税 共益費 保険料 修繕積み立て費 管理手数料 ローン返済額など |
収支 | 月額手取り収入 年額手取り収入など |
アパート経営は、長期間の事業運用になります。収支計画書で、将来にわたってお金の流れを把握し、アパート経営がうまくいくかどうかを判断することができます。
収支計画を立てるに当たって、大切になるポイントは以下の通りです。
5-2-1.家賃の変動
家賃は厳しめに設定し、周りの物件の相場なども頻繁に見直しておきましょう。また、建設から10年、20年が経ち、アパートが古くなれば、元々の家賃から値下げをすることも考えなくてはいけません。
5-2-2.空室の発生
空室の発生は、1年目から考えに入れておきましょう。空室率は、経年とともに増加していくことを見込みで、こちらも厳しめに見積もっておくことをおすすめします。
5-2-3.修繕費の発生
毎年の細かな修繕費に加え、アパートは建設から15年ほどで、大規模な修繕を必要とするところが出てきます。また、臨時に修繕が必要になることも考えられます。
他のアパートの経営状況などを参考にして、どのくらいの頻度で修繕が発生しているのか、ある程度の予測を立てておくのも良いかも知れません。
5-2-4.ローン返済
ローンの返済は、無理のない程度に設定をしましょう。今後の経営に響いてくる可能性があります。
また、収支計画書ではアパート経営の収益性を表す「利回り」をみることができます。
「利回り」とは、投資した金額に対する年間の収益率のことです。例えば、アパートの建て替えに1,000万円を投資して、年間100万円の収益があった場合、利回りは10パーセントということになります。
毎年10パーセントの利回りが達成できれば、初期投資額は10年で回収できることになります。一般的なアパート経営における平均的な利回りは、都市部で5%から9%、郊外で8%から12%といわれています。
このような利回りのアパートは、「収益物件」と呼ばれています。アパートを建て替える時には、この利回りを達成できる「収益物件」を目指したプランニングが大切です。
6.アパート建て替え費用を抑えるコツ
アパートの建て替え費用をうまく抑えるコツを理解しておくと良いでしょう。解体費用、建築費用、立ち退き費用をそれぞれ抑えるコツをご紹介します。
6-1.解体費用を抑えるには
以下3点に気をつけましょう。
- ハウスメーカー・建築会社経由で解体工事会社の相見積を取る
- 近隣への配慮を十分に行う
- 固定資産税の課税のタイミングを考慮する
6-1-1.ハウスメーカー経由で解体工事会社の相見積を取る
解体工事後にアパートを新築して土地活用するのであれば、解体工事会社を探すより前に、新築工事を請け負うハウスメーカーお建築会社を選んでおくことをおすすめします。管理費用の分だけ高くはなるものの、解体と新築をまとめて一社に依頼すれば、工事の移行をスムーズにすることができます。
ハウスメーカーや建築会社には多くの解体工事会社とのコネクションがあります。解体工事費用が最も安くなるのは、重機を自社で保有し、自分たちで直接解体作業をする会社ですが、一般の方がそうした会社を自力で探すのは容易ではありません。
解体費用を抑えるためには、解体前に新築工事の計画を決定し、ハウスメーカーや建築会社に依頼して、2~3社の相見積を取るようにすることが有効な策です。
「HOME4U 土地活用」なら、土地の所在地や広さなど簡単な項目を入力するだけで、最大10社のハウスメーカーから提案が受けられます。
6-1-2.近隣への配慮を十分に行う
解体工事は新築工事よりも騒音や振動が激しいため、近隣住民とのトラブルが起きやすくなります。その時の対応で不手際があると、近隣住民に不満が溜まり、新築工事でクレームが増えることもしばしば起こります。それがもとで後々に余計な工事費がかかってくる場合もあります。
対策として、解体着工前には近隣住民に対してしっかりと挨拶を行うことが大切です。向こう三軒両隣に、工事長(現場担当者)と一緒に挨拶に回るようにし、工程表と工事長の連絡先を記載した書面を配布します。何かトラブルが発生したときは、近隣の方がすぐに工事長に連絡できる体制にしておくと、解体工事中の不満を抑えることができます。
また、新築の予定が決まっている場合は、それも併せて説明すると良いでしょう。近隣対応は新築よりも解体時が肝心なので、必ず解体前に行うようにしてください。
6-1-3.固定資産税の課税のタイミングを考慮する
固定資産税は1月1日時点の状態で1年間の課税価格が決まります。1月1日時点に建物があればその年は建物の固定資産税が課税され、1月1日時点に建物がなければその年は建物の固定資産税は課税されません。
一方で、アパートが建っていることでその土地には住宅用地の軽減措置が適用されています。そのため、土地の固定資産税は安くなっているのですが、1月1日時点に建物が取り壊されると、住宅用地の軽減措置がなくなることから、土地の固定資産税は上がります。
アパートの土地は、アパートが取り壊されることで土地の固定資産税が4.2倍程度に上がることが多くあります。そのため、以下の関係を比較して解体のタイミングを決めると固定資産税を節税することができます。
1月1日までに壊す
→「現在の土地と建物の固定資産税」>「現在の土地の4.2倍の固定資産税」
1月1日以降に壊す
→「現在の土地と建物の固定資産税」<「現在の土地の4.2倍の固定資産税」
ただし、取壊しのタイミングは、固定資産税を考慮するよりも、建物の竣工時期を加味して決める方が重要です。竣工時期が3月だと、引っ越しシーズンに重なり、入居のスタートダッシュが良くなるためです。
3月竣工が目指せるスケジュールであれば、間に合うタイミングで取り壊すことをおすすめします。
6-2.建築費用を抑えるには
建て替えの建築費用を抑えるためには、以下3点を確認しましょう。
- 複数のプランを比較する
- 建築費よりも利回りを重視する
- 余った土地は売却または活用する
6-2-1.複数のプランを比較する
建築費用を抑えるには、複数のハウスメーカーや建築会社のプランを比較検討することが基本です。複数社のプランを比較することで、会社同士に緊張感も生まれ、より良い条件のプランを入手することができます。
また、アパート建築の際は、大手ハウスメーカーを選んで依頼するのがベターです。自社で工場を保有しており、多くの部材を工場で生産する工業化工法が可能です。その工法を採用することによって品質を高く保持し、建築費を安く抑え、工期も早めることができます。
6-2-2.建築費よりも利回りを重視する
今のアパートがファミリー向けなら、小さな間取りに建て替えることで収益性を上げることができます。
同じ面積でも戸数が増えるため、キッチンやバス、トイレなどの住設機器も多くなり、広い間取りよりも建築費単価は上がります。その一方で賃料単価も高く設定することができます。建築費用の総額は高くなるものの、賃料単価がアップする効果の方が上回れば、利回りも高くなります。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018(平成30)年推計」によると、今後の国内の世帯数の将来予測は以下のようになっています。
ファミリー世帯は2020年にピークを迎えて、今後は減少の一途を辿りますが、単身世帯は2030年までは増加傾向にあります。よって、今後の世帯数動向を加味すると、3LDKよりも2DKや1LDK、1Kのような小さな間取りのアパートに建て替えた方がより高い収益性を望めます。
おすすめは40平米の2DKです。1戸を40平米以上にすることで、建物の不動産取得税が安くなりますし、郊外なら単身者需要も拾えます。
6-2-3.余った土地は売却または活用する
土地の容積率(延床面積が敷地面積に対して取る割合のこと)が余っている場合、同じ規模のアパートを建て替えるのにもっと小さな土地でも充分に対応できることがあります。
このようなケースでは、余った分の土地を売却するか、活用するならば現状と同規模のアパートを建て替えることにこだわらず、敷地内の建物の配棟から見直すことが重要です。
アパート1戸に対して1台の駐車場があるにもかかわらず、駐車場の借手がほとんどいないような場合、建て替えても駐車場が無駄になることが予想されます。そのため、思い切って駐車場は削り、売却するのも一つの手です。
地型が悪く活用しにくい土地は、「アパート+戸建賃貸」で配棟し直すことで、敷地がさらに有効に使えるようになる例も多く報告されています。なお、売却する際は、敷地を分筆(ぶんぴつ)することが必要です。「分筆」とは土地を複数に分割して登記しなおすことを言い、敷地の境界がすべて確定していることが必要条件となります。
6-3.立ち退き費用を抑えるには
アパートを建て借るためには、現在入居している住人へ立ち退きの交渉をする必要があります。その際、立ち退き料を払わなければなりません。
入居者に立ち退いてもらうには、建物の老朽化などの正当事由に基づく賃貸借契約解約を申し入れる必要がありますが、正当事由がない場合は立ち退き料を支払うことで補います。
もちろん、丁寧な対面交渉を行うことが前提ですが、この立ち退きの費用を抑える方法も事前に把握しておきましょう。
- 入居者数を減らしてから着手する
- 定期借家へ切り替える
- 過去までの賃貸料を免除する
- 代替物件の提供や再入居を確約する
6-3-1.入居者数を減らしてから着手する
建て替えを決めたら、新規の入居者募集を止め、空室が7~8割程度となったタイミングで建て替えに着手できるようにしましょう。入居者が少なければ、その分、立ち退き料も少なくて済みます。
6-3-2.定期借家契約へ切り替える
普通借家契約を定期借家契約に切り替えれば、契約期間満了時に借主は出ていかなければならない条件となるので、建て替え時の立ち退き料は発生しません。
ただし、借主側にとってはデメリットとなるため、50%~80%程度家賃を下げて契約の借り換えに応諾してもらうなどの工夫が必要です。また退去に際して、原状回復は免除する、敷金を全額返却するといった条件を提示すると、話がまとまりやすくなります。
6-3-3.過去までの賃貸料を免除する
定期借家契約へ切り替えるではなく、無償の使用貸借に切り替える方法もあります。この場合、いったん現在の普通借家契約を合意の上で解除し、新たに使用貸借契約を交わすことになります。
6-3-4.代替物件の提供や再入居を確約する
近くで経営している他のアパートがあれば、建て替えまでの間の代替物件として提供したり、あるいは建て替え後の再入居を優先的に確約したりすることで、立ち退き料を削減できます。借主が住み慣れた土地を離れなくて済み、安心して建て替えを待つことができます。
建て替えによる入居者退去時のトラブル回避テクニックは、以下の記事でも詳しく解説しています。
7.建て替え費用の不安も相談できる建築会社の選び方
アパートの建て替えで建築会社を選ぶ際の基準は、以下の通りです。
- 初心者をサポートした実績がある
- 解体工事や新築工事を一手に請け負った実績がある
- 経験豊富な会社である
- 度重なる相談に親身に対応してくれる担当者がいる
7-1.初心者をサポートした実績がある
「そもそも、分からないところがどこか、見当がつかない」という初心者の悩みにも、懇切丁寧に向き合ってくれる会社を探すことが大切です。アパートの建て替えに当たって、ご自身の中で不透明な部分がなくなります。
7-2.解体工事や新築工事を一手に請け負った実績がある
解体の後に、新築工事の予定がある場合には、解体工事会社とコネクションのあるハウスメーカーや建築会社にまとめて依頼しましょう。工事の移行をスムーズにすることができ、工事費も安く済みます。
7-3.経験豊富な会社である
さまざまな条件下でのアパートの建て替えを経験してきた建築会社を選ぶことで、ご自身の選択肢を豊富に持てます。工事の際に発生したトラブルなどについて聞いておけば、事前に問題を防ぐことができます。
7-4.度重なる相談に親身に対応してくれる担当者がいる
アパートの建て替えの際だけでなく、竣工後も相談すべきことは多く発生します。気後れがして対応が先延ばしになった、というようなことを避けるためにも、相談しやすく、人間力のある担当者がいる建築会社を選ぶと良いでしょう。
これらをサポートする機能がある代表的な建築会社は、以下の4種類となります。
- ハウスメーカー
- 工務店
- ゼネコン
- その他専門業者
それぞれに違った特徴があり、自分の持っているアパートの現状次第で相談先も変わってきます。しかし、「どこへ相談したらいいのか」「自分にはどこの会社が合っているのか」といった悩みに一人で対処するのは難しいでしょう。
「HOME4U 土地活用」ではお客様の状況に合わせて、ここまでご紹介したようなアパート建て替えの不安点について知見・経験が豊富な企業を選んでご紹介いたします。土地の所在地や広さなどを入力するだけで、国内の優良ハウスメーカー最大10社へ無料で「アパート建て替えプラン」の請求ができます。
もし「自分の土地にアパート以外の活用法があるのか気になる」という場合でも、駐車場・ビル・店舗・高齢者施設・倉庫など、さまざまな土地活用の収益プランの提案が受けられるオプションがあるので、幅広く検討することもできます。
アパートの建て替えにかかる費用には、解体費用・退去費用・新築費用があります。
それぞれ以下の計算式で割り出すことができます。
- 解体費用=延床面積×解体費用の坪単価
- 新築費用=本体工事費+別途工事費+諸費用
- 立ち退き費用=賃料×6ヶ月分(相場)
詳しくは「アパートを建て替える費用はいくら?」でご確認ください。
アパートの「限界の築年数」は、建材の部材によって異なります。
- 構造体(柱・梁・土台など) 60~100年
- 外壁/屋根 30~40年
- 水回り設備/給排水管 30年
アパートの建材は30年を超えるタイミングで改装や交換が必要になるため、建て替えを検討していいでしょう。もちろん、適切にメンテナンスしていれば、もっと長く使い続けることも可能です。詳細は「アパートを建て替える時期・限界の築年数は?」をご一読ください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。