日本政策金融公庫でアパートローンを組む条件と申し込みの手順
日本政策金融公庫とは、不動産賃貸業を含む事業主に対して事業資金融資を実施している政府系金融機関です。アパートローンでの借り入れが難しくても日本政策金融公庫での融資は受けられるケースもあります。
本記事では、日本政策金融公庫を活用した不動産投資を始めるための条件や借入の注意点を詳しく解説します。
この記事を読むと、
- 日本政策金融公庫は条件を満たせば不動産投資ローンが組める
- 日本政策金融公庫の融資は他の金融機関よりも金利が低め設定
- 賃貸事業の融資調達相談は「HOME4U土地活用」の活用から
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この記事の内容
1.日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは、一般の金融機関が行う金融を補完することを目的として生まれたもので、起業や事業再生、グローバル化などに要する資金を融資して支援する政府系金融機関です。
国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業を主な業務内容としており、地域経済の活性化支援、融資先事業の成長支援、中小企業のグローバル化支援を目的としています。また、災害発生時には一定の信用供与を行う業務も担います。
国が出資して設立した金融機関という性質上、不動産投資など個人の利益追求のための資金調達としては利用できません。ただし、住環境の整備の一翼となる不動産賃貸事業に関しては融資対象となります。
また、利用者によって金利優遇を受けられることも特徴です。
2.日本政策金融公庫を利用するメリット・デメリット
日本政策金融公庫で融資を受けることは、アパートローンと比較して異なる点が多くあります。ここではメリットとなる点とデメリットとなる点をまとめました。
2-1.メリット
日本政策金融公庫での融資は以下のようなメリットがあります。- 固定金利で低金利の傾向
- 保証人がいらない
- 起業時でも融資を受けやすい傾向
- 女性や若年層向けの金利優遇制度がある
日本政策金融公庫で融資を受ける最大のメリットは比較的低金利・固定金利であることです。2024年1月現在、担保を提供する融資の基準利率は1.10~2.8%になっています。大手都市銀の金利相場が2%台であることからも低水準であることがわかります。
民間の金融機関の多くは事業用ローンを組む際、保証人や団体信用生命保険への加入が求められますが、日本政策金融公庫での融資は原則、個人事業主であれば必要ありません。
また、事業用ローンの審査基準の一つとされる実績が審査対象とならない融資もあります。
2-2.デメリット
民間の金融機関に比べてのデメリットは、以下のようなものがあります。- 融資限度額が低く設定されている
- 審査期間が長い
日本政策金融公庫の融資限度額が低く設定されています。特定設備資金を対象とした融資で最大7,200万円です。
民間の金融機関では実績や担保評価額、借入する事業主の属性次第でそれ以上の融資を引き出すこともできます。 また、同じく特定設備資金融資では、借入期間が20年以内です。返済期間が短ければ、毎月の返済額が大きくなります。 期間があまり長く設定できないことも経営に大きく影響するでしょう。
加えて、審査にかかる期間も長めである傾向です。事業開始までの期間を逆算して融資の申し込みをしておく必要があります。
なお、そもそもアパートローンについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
3.日本政策金融公庫で不動産投資ローンを組む条件
日本政策金融公庫での事業融資の対象は、事業の創業者や中小企業などの事業主です。ここでは、どのような条件で日本政策金融公庫を利用できるかを解説します。3-1.不動産賃貸業を営むための融資であること
日本政策金融公庫で行う融資は事業主に対するもので、投資家は対象になりません。したがって、不動産投資のための資金調達としてではなく、不動産賃貸業の事業主として、であれば日本政策金融公庫で融資を受けられる可能性があります。 日本政策金融公庫は地域経済の活性化、国民生活の向上(成長支援)、中小企業のグローバル化支援を目的として、融資を行っています。そのため、個人資産を増やすことを目的とする不動産投資は融資の対象にはなりません。 同じような不動産を利用した資産形成でも、不動産賃貸事業のための融資であれば対象となります。審査では投資を匂わす表現は避けるようにするのが無難です。3-2.融資対象物件を担保とすること
日本政策金融公庫での融資には、不動産賃貸事業を始めるための不動産を担保にします。アパートローンでも不動産を担保とするケースがほとんどですが、日本政策金融公庫での担保評価は民間の金融機関より厳しめとなるため、融資額が少なくなる可能性があることに注意が必要です。3-3.税金の未納などがないこと
日本政策金融公庫での融資審査は、民間の金融機関に比べて通りやすいといわれています。しかし、国の出資で成り立つ金融機関であるため、税金の未納や公共料金の滞納がある場合は審査に影響があります。
また、担保評価が低くなりがちであるため、融資対象以外の不動産を所有していれば、そちらも担保に入れることが可能です。担保となる評価額が高くなれば、融資上限まで引き出せる可能性は高まるでしょう。
さらに、日本政策金融公庫の融資は上限が目的によって設定されており、アパートローンと比べると高いとはいえない額です。アパート等を建築するための資金としては不十分であることも考えられます。そのため、自己資金をある程度用意しておく必要があります。
4.日本政策金融公庫を利用するべきケース
日本政策金融公庫の融資制度は他の金融機関のローンとは異なる特徴があり、メリットを最大限生かせるケースというものがあります。ここでは、日本政策金融公庫の活用がおすすめのケースを3つ紹介します。
4-1.事業主が女性か29歳未満か55歳以上である
日本政策金融公庫の融資は、事業主の属性によって優遇措置を受けられるケースがあります。一般的に民間金融機関の融資で不利になりがちな、「女性」「35歳未満」「55歳以上」が優遇措置の対象です。
新規開業資金の調達を目的としている場合などが適用条件となります。
具体的には特別利率が0.4%程度低金利で借りられるものです。
4-2.10%を超える高利回りを期待できる物件である
日本政策金融公庫の融資期間は最長でも20年と、アパートローンに比べ短くなっています。そのため、返済原資となる家賃収入がしっかり得られる高利回りの物件のほうが返済リスクを減らすことが可能です。 p>賃貸アパート経営のひとつの指針となるのは期待利回りです。通常、期待利回りは5%程度が目安となりますが、日本政策金融公庫で資金調達を検討する際は10%程度の高利回りが望ましいといえるでしょう。
4-3.調達資金が1億円を超えるような計画ではない
日本政策金融公庫での融資限度額は、資金調達目的によって異なりますが、最高でも7,200万円です。アパートやマンションの新築には億単位の初期費用がかかることも少なくありません。初期費用の多くを融資で賄おうとする場合、日本政策金融公庫での融資ではカバーしきれないことになります。
対策としては、自己資金を多く用意することです。自己資金割合を3割程度引き上げて借入金を圧縮することで、日本政策金融公庫での融資も視野に検討が可能になります。例えば、1億円の初期費用が必要なアパート新築であれば、3割の3,000万円を自己資金で用意することで日本政策金融公庫の限度額に収めることが可能です。
5.日本政策金融公庫で不動産投資を始める際の注意点
日本政策金融公庫での融資において不動産投資は対象となりませんが、不動産に投資して賃貸経営をするなら融資の対象となる可能性があります。本章では日本政策金融公庫で融資を受けて賃貸経営するために不動産投資をする際の注意点を解説します。
5-1.審査に備えて信用情報に問題を無くしておく
日本政策金融公庫は政府系金融機関であるため、震災において信用情報は重視されます。税金の未納や公共料金の滞納は審査結果に大きく影響し、借入が難しくなるでしょう。
また、他のローンの残債がある場合、返済能力に疑問を抱かれる恐れがあります。日本政策金融公庫の返済期間は他のローンに比べても短く設定されることが多く、しっかりとした返済プランが必要です。そこに他の返済が重なると返済リスクが高まることは想像に難くありません。
5-2.自己資金をある程度用意しておく
限度額が比較的低い日本政策金融公庫の融資では、資金調達の自己資金割合を増やすことで初期費用をそろえることも検討する必要があります。 また、自己資金を多く用意することは経営においても好影響となり、結果実質利回りを高くする効果も期待できます。アパート経営を始める際の自己資金割合の理想は1~3割といわれています。できる限りこの割合を引き上げることで、毎月の返済額を減らすことができれば、経営も安定しやすくなり、返済リスクも軽減できるでしょう。5-3.しっかりとした事業計画を立てる
日本政策金融公庫の融資を受けてアパート経営をするには、しっかりとした事業計画で安定経営を目指すことが特に重要になってきます。理由は他のアパートローンに比べ、借入期間が短くなるためです。 事業計画をしっかり立てるにはプロの知見に頼るのが最善です。 事業計画には土地の将来性も鑑みなければなりません。開発計画があったり、逆に大学などの撤退が検討されていたりするとその土地の賃貸市場が大きく動きます。こうした賃貸市場の状況と将来性は、地元に強いハウスメーカーが多く持っています。 計画段階でハウスメーカーに相談することで、安定経営を目指すことができるでしょう。相談の際は、日本政策金融公庫の利用の検討を伝えると、より具体的な対策がとれます。
ハウスメーカーへの事業計画の相談には「HOME4U 土地活用」をご活用ください。賃貸市場に詳しく実績豊富なハウスメーカー・建築会社が多く参画しています。
6.日本政策金融公庫の申し込み手順
一般的に以下のような流れで日本政策金融公庫の融資を申し込みます。- 1.日本政策金融公庫に相談する
- 2.手続きに必要な書類をそろえる
- 3.書類提出と面談
- 4.審査~決定通知
- 5.契約~融資開始
日本政策金融公庫の融資を申し込み、融資が開始されるまでの流れを紹介します。
6-1.日本政策金融公庫に相談する
まずは、融資相談をします。日本国庫相談ダイヤルナビ(事業資金相談ダイヤル)で、事業資金調達の相談を受け付けています。 電話相談の次の段階は面談となるため、この電話で面談申し込みをすることもあります。
6-2.手続きに必要な書類をそろえる
融資相談をして、融資面談の申し込みをした後は、手続きに必要となる書類をそろえ始めます。日本政策金融公庫での融資申し込みに必要な主な書類は以下の通りです。
- 事業計画書(創業計画書)
- 物件の建築図面や物件概要書
- 土地の登記簿謄本
- 固定資産税評価証明
- 源泉徴収票、確定申告書の写し(最低過去2年分)
- 公共料金や税金の支払い状況がわかる領収書や証明書
- 印鑑登録証明書と実印
- 住民票や身分証明書
事業内容や融資の種類によって必要な書類は異なります。事前に確認しておくとスムーズです。
6-3.書類提出と面談
用意した書類を提出し、面談申し込みをすることで面談する日が決められます。面談は、主に書類に基づく質問に答える内容で、小一時間ほどの所要時間です。
書類提出は郵送提出のほか、オンラインでも受け付けています。
6-4.審査~決定通知
面談後、審査が始まります。提出書類や面談内容で融資の安全性や事業の将来性などを測ります。審査に要する期間はおおよそ1、2週間です。
審査の結果は事業者が申し込んだ場合、直接知らせが入ります。不動産会社やハウスメーカーを介した場合は申し込みした企業側に連絡されます。
6-5.契約~融資開始
融資決定通知が来たら契約に進みます。不動産賃貸業の契約内容は金銭消費貸借契約と抵当権設定契約の2種です。契約書のやり取りは郵送のほか、中小企業事業取引の場合、オンラインでもできます。
契約手続きが完了後、所定の金融機関に借入金が振り込まれ、融資開始の流れです。
6-5. 契約書や保証書の内容を確認する
建築プランに納得できたら、本契約を結び、着工することになります。ただし、本契約書にサインする前におかしな点はないか、あらためて慎重にチェックしましょう。
本契約の書類には「工事請負契約書」のほかに、「工事請負契約約款」「設計図書」「仕様書」「工事費見積書」などがあります。サインをする最低1週間前にこれらの書類を送ってもらい、しっかり確認しましょう。
もし契約後に何か不具合が生じた際、工事の追加料金が必要になる場合もあります。例えば、地盤調査による地盤改良費が見積もりに入っていなかったということも起こりえます。
書類に不備や漏れがあった場合に誠実に対応してくれるかも、建築会社選びでは大切です。
7.不動産投資の融資の相談もできるハウスメーカーの探し方
日本政策金融公庫での融資は、不動産投資という名目では受けられません。不動産に投資して賃貸経営を行うなど、賃貸事業として成り立たせる必要があります。その時、相談したいのはさまざまな賃貸事業支援の実績があるハウスメーカーです。 土地活用のパートナー選びには「HOME4U 土地活用」をご活用ください。返済プランも含む、実現性の高い事業計画を作成する段階から頼りになる実績豊富なハウスメーカー・建築会社が多く参画しています。日本政策金融公庫で融資を受けるとアパートローンとは異なるメリットがあります。
- 固定金利で低金利の傾向
- 保証人がいらない
- 起業時でも融資を受けやすい傾向
- 女性や若年層向けの金利優遇制度がある
詳細は「日本政策金融公庫を利用するメリット・デメリット」をご一読ください。
日本政策金融公庫は多くメリットを享受できるケースというものがあります。
- 事業主が女性か29歳未満か55歳以上
- 高利回りを期待できる物件を所有する予定
- 1億円を超えるような融資を必要としている
- 将来的に借り換えを検討する
詳しくは「日本政策金融公庫を利用するべきケース」で解説しています。
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