【基本を解説】マンション経営が相続税対策になる仕組みと節税額シミュレーション
本記事では、マンション経営が相続税対策につながる仕組みと節税額のシミュレーションについて解説します。
この記事を読むと、
- マンションが相続税対策になる仕組み
- マンションの相続税評価額が決まる仕組み
- マンション経営で相続対策する際の注意点
がわかります。
なお、1億円の資産を配偶者のいない子ども1人が相続した場合、現金相続するかマンションで相続するかでざっくり1,000万円以上の差がでます。
相続税評価額 | 相続税額 | |
---|---|---|
現金で相続した場合 | 1億円 | 1,220万円 |
マンションで相続した場合 | 600万円 | 60万円 |
マンションで相続した際に得する相続税額 | ー | 1,160万円 |
※配偶者のいない子ども1人が相続した場合
また、以下記事では「相続税対策」の基礎知識全般に関して解説しています。併せてご確認ください。
マンション経営に限らず、アパート経営も相続税対策に有効です。アパート経営が相続税対策になる仕組みは以下記事をご確認ください。
この記事の内容
1.マンション経営が相続税対策になる仕組み
マンション経営が相続税対策になる理由は、以下のとおりです。
- 相続税評価額が低くなる
- 小規模宅地の特例の対象になる
- 債務控除が使える
1-1.相続税評価額が低くなる
不動産を相続した場合、現金と比べて相続税の評価額が大幅に下がります。
特にマンションのような収益物件は、住居用の不動産よりも相続税評価額が減少し、現金で相続する場合の3〜5割程度になります。
たとえば、1億円の資産を相続する場合、現金で相続するなら相続税評価額はそのまま1億円です。
一方、マンションなら3,000〜5,000万円ほどの相続税評価額となり、節税に繋がります。
1-2.小規模宅地の特例の対象になる
小規模宅地の特例では、200平方メートルまでの貸付事業用宅地等の評価額が50%減額されます。
ここでの貸付事業用宅地等とは、以下を指します。
- 被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
- 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等
なお、特例が適用されるための要件は、以下のとおりです。
相続開始の直前における 宅地等の利用区分 |
要件 | 限度面積 | 減額される割合 |
---|---|---|---|
一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等 | 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 | 400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200㎡ | 50% | |
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 | 200㎡ | 50% | |
被相続人等の貸付事業用の宅地等 | 200㎡ | 50% |
出典:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
1-3.債務控除が使える
マンションを建築する際、一般的にはローンを組みます。
建築時のローンが相続時に残っていると、債務控除の活用可能です。
債務控除を活用することで、相続税評価額から借入金額分が控除できるため、相続税評価額はその分低くなります。
2.マンションの相続税評価額が決まる仕組み
マンションの相続税評価額は、以下の計算式で決まります。
【建物の評価額】
建物評価額=建物の固定資産税評価額×
(1-賃貸割合×0.3)
【土地の評価額】
貸家建付地評価額=自用地としての価額×(1-賃貸割合×0.3×借地権割合)
借地権割合は地域ごとに30〜90%に定められていますので、必要であれば確認してみましょう。
以下は、建物の相続税評価額の減額イメージです。
土地の相続税評価額の減額イメージは、以下になります。
3.マンションを相続した場合の節税額シミュレーション
本章では、1億円の資産を現金で相続した場合と、マンションで相続した場合の相続税の金額をシミュレーションして比較します。
それぞれの相続税評価額と相続税の金額は、以下のとおりです。
相続税評価額 | 相続税額 | |
---|---|---|
現金で相続した場合 | 1億円 | 1,220万円 |
マンションで相続した場合 | 600万円 | 60万円 |
マンションで相続した際に得する相続税額 | ー | 1,160万円 |
※配偶者のいない子ども1人が相続した場合
計算式は以下になります。
- 相続税評価額は1億円
- 基礎控除額の3,600万円を差し引いて、課税対象額は6,400万円
- 税率30%をかけて1,920万円
- さらに控除額の700万円を差し引いて1,220万円
【計算式】
- 1億円(相続税評価額)ー3,600万円(基礎控除額)=6,400万円(課税対象額)
- 6,400万円(課税対象額)× 30%(税率)=1,920万円
- 1,920万円 ー 700万円(控除額)=1,220万円
- 相続税評価額は6,000万円
- 満室のため、30%減額されて4,200万円
- 基礎控除額の3,600万円を差し引いて600万円
- 税率10%をかけて60万円
【計算式】
- 1億円×60%=6,000万円(相続税評価額)
- 6,000万円(相続税評価額)×70%=4,200万円
- 4,200万円ー3,600万円(基礎控除額)=600万円
- 600万円×10%(税率)=60万円
4.マンション経営で相続対策する際の注意点
マンションを相続する際は、以下の事項に注意しましょう。
- 親族で方針を決めておく
- サブリースの活用は慎重に検討する
- 優良な物件を建築する
4-1.親族で方針を決めておく
マンションを相続する場合は、親族で話し合って分割の方針を決めておくことが重要です。
マンションは、現金に比べて相続税評価額を下げられますが、分割しにくい特性があります。
親族間で揉めることなく、スムーズに分割するには「遺言」が有効です。遺言書があれば、相続が発生した際にその内容に基づいて資産を分割できます。
もしくは、弁護士に「分割案の意見書」を書いてもらうことも一つの手です。分割案の意見書には法的な拘束力はないものの、相続で揉める可能性を大きく減らせます。
不動産相続のトラブルを回避する方法は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
4-2.サブリースの活用は慎重に検討する
サブリースとは空室保証や家賃保証と呼ばれるもので、空室時にも管理会社が一定の家賃を保証してくれる制度です。
しかし、管理会社に満室想定賃料の17%を管理料として払う必要があります。
一般的な管理委託の管理料は約5%です。そのため、サブリース契約を結んだ場合、一般的な委託と比較すると収益性が大幅に減少します。
サブリース契約に関する詳細は、以下記事をご確認ください。
4-3.優良な物件を建築する
マンション経営で相続税の節税効果を高めるには、優良な物件の建築が重要です。
相続税評価額を算出する際、相続するマンションの「賃貸割合」は重要な指標の一つとなり、賃貸割合が100%に近ければ近いほど評価額が低くなります。
つまり、相続時により多くの入居者が入っている状態であれば高い節税効果を期待できるというわけです。
マンション経営を検討しているなら「HOME4U 土地活用」をご活用ください。最大10社から無料で相続税対策に繋がる建築・経営プランの提案を受けられます。
5.マンション相続の流れ・手続き
マンションを相続する際、以下の流れで手続きを行います。手続きの多くは、弁護士や税理士、司法書士などの専門家に依頼が可能です。
- 遺言の確認・検認
- 法定相続人の確定
- 相続遺産調査
- 遺産分割協議
- 限定承認・相続放棄の申述
- 準確定申告
- 遺産分割協議書の作成
- 相続税申告
- 相続登記
なお、相続手続きや必要書類に関する詳細は以下記事で解説しています。併せてご確認ください。
6.まとめ
相続税対策としてマンション経営をすることで、相続税評価額を抑えたり、控除や特例を活用できたりと節税効果を期待できます。
相続対策でマンション経営するなら、相続に強い不動産会社に依頼することが賢明です。
「HOME4U 土地活用」では、60秒で最大10社の相続に強い不動産会社にプラン請求できます。相続を控えている方はもちろん、早めに相続対策を講じたい方はぜひご活用ください。
マンションの相続税評価額は以下の計算式で算出できます。
【建物の評価額】
建物評価額=建物の固定資産税評価額×(1-賃貸割合×0.3)
【土地の評価額】
貸家建付地評価額=自用地としての価額×(1-賃貸割合×0.3×借地権割合)
詳細は「2.マンションの相続税評価額が決まる仕組み」をご確認ください。
現金と不動産で相続をした場合の相続税評価額と相続税額は以下のとおりです。
相続税評価額 | 相続税額 | |
---|---|---|
現金で相続した場合 | 1億円 | 1,220万円 |
マンションで相続した場合 | 600万円 | 60万円 |
相続税評価額・相続税の差額 | 9,400万円 | 1,160万円 |
※配偶者のいない子ども1人が相続した場合
詳細は「3.マンションを相続した場合の節税額シミュレーション」にて解説しています。
マンション相続の手続き・流れは以下のとおりです。
- 遺言の確認・検認
- 法定相続人の確定
- 相続遺産調査
- 遺産分割協議
- 限定承認・相続放棄の申述
- 準確定申告
- 遺産分割協議書の作成
- 相続税申告
- 相続登記
詳細は「5.マンション相続の流れ・手続き」をご確認ください。
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