アパート経営は何年で黒字化できる?黒字化までの年数シミュレーション方法
アパート経営はしてみたいものの、まとまった金額の借入もしなければならないし、いったい、何年くらいで黒字化するものなのかは気になるところですね。アパート経営で適切な運営をして黒字化を目指すためには、スタート前の段階からの準備も大切です。
この記事を読むと、
- アパート経営が何年で黒字化すべきかに正解はない
- 黒字化のカギは健全なキャッシュフローにある
- 早期黒字化と健全な経営をするにはプロに相談がおすすめ
といったことがわかります。
アパート経営が黒字化するまでのかんたんなシミュレーション方法や、黒字化のために大切なことを、はじめてのアパート経営の方でもわかるようにまとめています。
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この記事の内容
1.アパート経営は何年で黒字化するべきか?
ひとくちにアパート経営と言っても、土地条件に加え、自己資金額、借入額、建物の規模、どのくらいの利益を得たいかなどが個別に違うため、アパート経営における黒字化タイミングの正解というものはありません。
しかし、どのような条件下であっても、アパート経営のための建物を建て、それを返済するという部分は共通しています。そのため、アパート建築費を何年で返済するかのシミュレーション計算をしておくことにより、黒字経営になる時期を、アパート経営の検討段階から、ある程度は予測することができます。
1-1.シミュレーション方法
アパート経営黒字化までに何年必要かは、かんたんなシミュレーション方法で計算することができます。基本的に、アパート建築にかかった総工費を、アパート収入のみで返済したときに、何年かかるかを計算します。
仮に、アパート総工費が1億円(A)、アパート収入が年間1,000万円(B)、経費が200万円(C)であれば、1億円 ÷ (1,000万円 -200万円)=12.5年となり、黒字化のタイミングは、おおよそ12年目以降であることがわかります。
このようなシミュレーションをもとに、これからはじめるアパート経営で、いつまでに・どのような経営をしたいのかという、ご自身の経営計画とすり合わせをしていくことになります。
ただし、アパート総工費は、アパートの規模と部屋数などが記載された詳細な建築プランがないと、正確なことがわかりません。アパート建築の黒字化シミュレーションする場合には、先に、複数のハウスメーカーに建築プラン請求をし、希望するプランの総工費をもとに、いくつかのシミュレーションを比較するようにしてください。
1-2.土地活用でのアパート経営なら早期黒字化も可能
アパート経営黒字化のシミュレーションは、投下資金を何年で回収できるかという話ですので、ご所有の土地にアパート建物を建てる、土地活用によるアパート経営の方が、早期の黒字化が期待できます。
ご所有の土地に、どのくらいの規模の建物が建てられ、何室作ることができるのかなどは、おひとりで悩むよりも、不動産のプロフェッショナルの力を借りてしまう方が、より良い結果につながります。
ご所有の土地でアパート経営などの土地活用をスタートしようとお考えになった際には、まずは、ご所有の土地にどのような土地活用ができるのかをひととおりチェックし、そのうえで、アパート経営プランを比較し、黒字化の経営シミュレーションをしてみることをおすすめします。
複数の土地活用プランや建築プランをたくさん見ていくことで、ご所有の土地に最適だと思えるプランやアイデアが見つかりやすくなります。複数のハウスメーカーや建築会社にプラン請求をする際には、1度の入力で最大10社にまで土地活用プランが請求できる、NTTデータグループの運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
2.アパート経営黒字化のカギは「キャッシュフロー」
本章では、アパート経営の規模を問わず、アパート経営成功と黒字化の大切な要素である「キャッシュフロー」について、はじめてのアパート経営の方もわかるように、やさしくまとめています。
2-1.キャッシュフローとは
キャッシュフローとは、アパート経営をして、最終的に手元に残る「現金の流れ」のことです。具体的には、アパート経営による家賃収入から、経費・ローン返済額・税金(所得税・住民税など)などの、アパート経営に必要な費用のすべてを差し引いた後の、手残りの金額のことです。
アパート経営で起きる経営上のさまざまな支払いは、アパート経営で得た収入から支払うのが基本です。毎月のローン返済額を支払った上で、経営のための必要経費や税金もまかなえており、さらに現金での手残りがあるのが、健全な経営状態と言えます。
仮に、毎月100万円の家賃収入があっても、月に120万円の支払いがあり、毎月マイナス20万円になるのであれば、どれほど家賃収入が多くても、キャッシュフローはマイナスとなり、赤字経営となってしまいます。
アパートが生み出すお金が、何にいくら使われて、いくら残るのかというお金の流れ=キャッシュフローを把握し、問題がある場合は健全にすることで、アパート経営の黒字化ができるようになります。
2-2.所得とキャッシュフローの違い
キャッシュフローとよく似た言葉に「所得」があります。どちらも、アパート経営に関した記事で見かける言葉ですが、所得とキャッシュフローには、以下のような違いがあるため、ふたつの数字は同じにはなりません。
- 所得=家賃収入-(経費+ローンの利子+減価償却費)
- キャッシュフロー=家賃収入-(経費+ローン返済費+税金)
全く同じアパートに関した計算をしているのに、計算上で違いが出てくるのは、所得は確定申告で、所得税や住民税を計算するための、帳簿上・会計上の収支であるためです。
このような計算方法の中には
- お金が出ていくが必要経費にはならないもの(借入金の元本、所得税・住民税)
- お金が出ていかないが必要経費になる減価償却費など
があり、帳簿上の計算と、実際の収入・支出が違うことがあります。そのため、所得で計算したら黒字でも、キャッシュフローがマイナスになっていることは十分にあり得ます。
実際のアパート経営で、現金がどのように手元に残っているのかを知りたい場合には、キャッシュフローを正確につかんでおく必要があります。
詳しい収支を知りたい場合は「HOME4U 土地活用」をご活用ください。
3.アパート経営リスクを理解して早期黒字化を目指す
本章では、アパート経営の黒字に影響を与える、アパートの経営リスクを理解して、なるべく早期にアパート経営の黒字化をめざすために、大切なことをまとめています。
- 空室リスク
- 老朽化リスク
- 修繕リスク
- 災害リスク
- 金利上昇リスク
- 滞納リスク
- 賃料下落リスク
3-1.空室リスク
空室リスクとは、アパートに入居者が決まらないことにより空室が発生し、その物件からの家賃収入が途絶えるリスクです。アパート経営のローン返済原資は家賃収入ですので、空室が長期化することにより、ローン返済に影響が出ることがあります。
入居者の入退去はこちらの意志ではどうにもなりませんので、空室が起きた場合に、空室期間をなるべく短く抑えることが具体的な対策になります。入居者属性や季節で、空室の出るタイミングの予測が、ある程度は可能です。
良質な管理会社と業務提携しておくことで、原状回復~入居者募集~入居までの時間を短くし、迅速に次の入居者確保につなげることで、空室リスク回避をします。
3-2.老朽化リスク
アパート建物が老朽化することで、大きな修繕のための費用負担が増えるリスクです。特に、外壁や外構などの目につくところは、経年劣化が目立ちやすく、手入をせずに放置しておくと、入居者も付きにくくなり、前項の空室リスクも起きやすくなります。
おおよそ10年目くらいをめどに、アパート建物を維持するための費用が増えていき、経営を圧迫しはじめる傾向があります。
老朽化しない建物はありませんので、こまめなメンテナンスと、悪くなるまえに手を入れる「予防」が対策になります。
例えば、外壁や屋根の防水塗装などは、何もなくても5~10年ごとに塗り直しを計画するなど、何かトラブルが起きる前に手をかけておくことが、建物の老朽化を遅らせる一助になります。
木造アパート経営の場合は、建物の減価償却期間が22年であることから、ひどく老朽化してきた場合には、大がかりな修繕費用をかけるよりも、新築に建て直してしまうという対策方法もあります。
3-3.修繕リスク
アパート建物の躯体ではなく、設備などのこまめな修理修繕が増えることによる経営リスクです。基本的に、アパート建物に最初から付帯している設備は、アパートオーナー負担で修理修繕をしますので、水回りや室内の設備全般の修理修繕が増えると、その分、費用がかかり、経営を圧迫します。
アパートの中で修繕や交換が必要なものには、ガス給湯器・エアコンや換気扇などの空調類・水回りにある設備類があり、どれも5~10年の間に耐用年数を迎えます。
アパート経営者にとって頭が痛いのは、このような機器のトラブルは、耐用年数を過ぎたタイミングで一斉に起きることが多いため、一室の費用はそう多く無くても、複数件重なれば、大きな出費となる点です。
対策としては、空室や入退去があるタイミングで、こまめに点検・修理をしておき、必要な場合はトラブルが無くても交換しておくことで、自然と、費用がかかるタイミングをずらすことができます。
3-4.災害リスク
自然災害をふくめた災害全般のリスクです。不動産の性質上、火事と地震が最も大きなリスクとなります。最悪のケースでは、アパート建物の倒壊・焼失などにより、アパート経営そのものを中断せざるを得ないケースもあります。
自然災害のうち、地震に関しては、設計の段階で適切な免震耐震をすることで、トラブルを最小限にすることができます。
それ以外の自然災害は、アパートの建築予定地エリアのハザードマップを確認し、エリアで起きやすい災害にどんなものがあるのかを確認し、被害を予測します。
例えば、水害が出やすい地域であれば、1階のエントランスにあたる部分を少し高くしておくことで、大雨や河川増水時でも、アパート建物への浸水を予防することができます。
火事に関しては、なるべく不燃性・難燃性のものを採用するなど、延焼による建物全体の被害が大きくならない様に、設計の段階からの災害対策も必要です。起きてしまった災害への対策としては、損害保険に加入しておき、万が一のケースに備えます。
3-5.金利上昇リスク
金利上昇リスクとは、アパートローンの金利が上昇することで、毎月のローン返済額が増加することです。金利上昇は突然何パーセントも上昇するわけではありませんので、金利上昇リスクだけでは、アパート経営の直接的なダメージにはなりにくいと言えます。
しかし、空室リスクや家賃下落リスクなど、複数のリスクがある状態で金利上昇が起きると、経営収支にも影響が出ることがあります。
金利上昇がある場合をつねに考慮し、1~2年おきくらいに、ローンの借り換えを視野にいれた返済計画の練り直しをしておきます。金融商品は金利政策の変化によってプラン内容も変わることが多いため、より良いローンが出ていないかを、定期的にチェックしておくようにしてください。
金利上昇がアパート経営に直接的に響くのは、変動金利で借りている場合のみですので、はじめから固定金利設定することで、金利上昇リスクを回避することができます。
3-6.滞納リスク
入居者が家賃支払いをしない結果、賃料収入が0になるというリスクです。どれほど気をつけていても、アパートの規模が大きくなり、入居者の分母が大きくなると、家賃滞納の発生を0にするのは難しくなる傾向があります。
契約内容にもよりますが、一般的には3ケ月以上連続で滞納がない限り、一方的に契約解除にはできないことが多いため、家賃の滞納があっても次の入居者を募集することができず、オーナーとしては頭の痛い問題となります。
滞納リスクを回避するためには、入居時に家賃保証会社への加入を義務付けるのが、有効な対策となります。家賃保証会社とは、借り主が家賃を滞納した際に、家賃の立替・督促・回収・立ち退き勧告などを行ってくれる専門会社です。
一般的に加入料として家賃の1ヶ月分相当の金額が必要で、多くのケースで、入居者が加入料を支払います。保証会社以外の対策としては、敷金の預かりを2か月以上、または連帯保証人をつけるなどで、万が一のケースに備えます。
3-7.賃料下落リスク
アパートの家賃が下落することにより、賃料収入が減少するリスクです。賃料下落リスクの主な理由は空室です。さまざまな理由により入居者が決まらない場合は、空室リスクを回避するため、募集中の物件であっても賃料を下げてライバル物件に対抗することになります。
アパートの賃料は新築時が最も高く、そこから徐々に下がっていくのが一般的です。アパートローンの返済計画は、家賃がだんだんと下がっていくことを前提に計算してありますが、さまざまな事情で家賃を下げないと入居者が決まらない場合は、想定よりも早く賃料が下がることになります。
一旦下げた家賃は、途中から上げることが難しいため、複数の部屋で家賃を下げた場合は、再度、返済計画を練り直す必要が出てきます。
賃料下落リスクを回避するためには、建築プランの段階で、相場家賃に沿った賃料設定と、賃貸ニーズに沿った設計をすることで、リスクをある程度は回避できます。
リスクを踏まえたアパートづくりには、複数の建築プランを比較するのがおすすめです。「HOME4U 土地活用」を利用すると、最大10社から間取りや建築費を含むアパート経営プランを取り寄せできます。
アパート経営のリスクについては、以下の記事もご確認ください。
4.アパート経営を黒字化させるために大切な5つのこと
本章では、これからはじめるアパート経営を早期に黒字化させ、健全な経営をしていくために大切なことを5つにまとめています。
- 自己資金を多く入れる
- 借入金利は低めに
- 繰り上げ返済をする
- 良質な管理会社を選ぶ
- 複数の会社にアパート建築プランの請求する
4-1.自己資金を多く入れる
多くのケースで、アパート建物を建てるための資金は、銀行からの借り入れでまかないます。その際、なるべく自己資金を用意できると、借入金額を抑えることができますので、毎月の返済額が減り、その結果、毎月のキャッシュフローが良くなり、黒字化しやすくなります。
自己資金のめやすは総借入額の2割程度と言われていますが、余裕があれば、すこしでも多く用意しておくようにします。
4-2.借入金利は低めに
アパートローンの借入の際は、複数の金融機関へ相談をしたうえで、借入金利の低いところを選ぶようにしてください。例えば、借入金5,000万円・借入期間20年で比較した場合、0.5%の金利差は毎月の返済額に以下のような差を生み出します。
金利 | 毎月の返済額 |
---|---|
2% | 約252,900円 |
1.5% | 約241,300円 |
1ヶ月に支払う返済額は11,600円の差、年間で139,200円の支払い額の差が生じます。仮に、このままローンの借り換えなどをせずに2%の金利のままで借り続けると、10年で約140万、ローン返済が終わる20年では約280万円ものキャッシュフローの差を生み出すことになります。
金利は個人の力で変えるのは難しいため、そのときに最も低金利のものを選び、タイミングを見て、より低金利な商品があれば借り換えを検討するなどで、アパート経営の上で余分なキャッシュを失うことがないように注意しておく必要があります。
4-3.繰り上げ返済をする
繰り上げ返済とは、借入金額の毎月の返済以外に、10万円、100万円などのようなまとまった金額を返済して、ローン借入額を、前倒しに返済する方法です。繰り上げ返済はいつ行っても良いため、年に数回行う、3年に一度行うなど、ご自身で計画を立てていくこともできます。
繰り上げ返済はローンの元本に対して行いますので、繰り上げ返済をするたびに、金利が再計算され、毎月の返済額大きく減らすことができると同時に、ローンの総額も減らすことができます。
アパート経営が軌道にのり、空室も少ない時期はキャッシュフローが良くなりますので、このようなタイミングで積極的に繰り上げ返済をすることにより、さらにキャッシュフローが良くなり、経営状態も黒字化しやすくなります。
4-4.良質な管理会社を選ぶ
アパート経営のリスクの中には、良質な管理会社を選ぶことで、リスクを大きく回避できる項目がいくつかあります。特に、空室リスクや家賃滞納リスクは、入居率に実績が高く・営業力のある質の良い管理会社との提携があれば、かなりのリスク回避が可能です。
また、入居者トラブルも空室を作ってしまう原因の一つですが、良質な管理会社であれば、適切で迅速な対応により、トラブルを未然に防ぎ、不要な退去を発生させずに済む傾向があります。
このように、入居者の募集・管理などに関した仕事は、専門性の高い分野でもあるため、実績のある不動産管理会社に委託することが、経営状態をよくするためには大切なことだと言えます。
管理会社選びには賃貸経営HOME4U」をご活用ください。
4-5.複数の会社にアパート建築プランの請求する
アパート経営を検討し始めたら、まずは、なるべく多くのハウスメーカーや建築会社に、アパートの建築プランを請求し、複数のプランを比較検討してから、じっくり進めるようにしてください。
はじめから1つの会社の工法やプランに決め打ちしてしまうと、そのプランの良し悪しが正確にわからないばかりか、もっとキャッシュフローが良い経営ができるはずのアパートプランを見逃してしまうことにもなります。
複数のアパート建築プランを請求する際には、NTTデータグループの運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご利用ください。1度の入力で最大10社にまでプラン請求ができます。
アパートプランの中には、建築プラン以外にも、経営シミュレーションプランなども含まれていますので、ご所有の土地で、どのくらいの規模で何部屋、毎月いくらの家賃収入などの、かなり具体的な数値の入ったプランを比較することができます。
気になるプランがあれば、現地に調査に来てもらうことで、さらに正確な数字をもとに比較ができますので、「これならば」と思えるプランに出会えます。もちろん、それぞれのプラン・シミュレーションをもとに、何年目で黒字化するかを比較していくことで、ご希望に近いアパート経営がわかるようになります。
まとめ
アパート経営が何年で黒字化するのかは、アパートオーナーの持つ個別の条件によって違ってくるため、正解はないことがわかりました。しかし、かんたんなシミュレーション方法として、アパートの総工費を家賃収入だけで返した計算方法が、おおよその黒字化への分岐タイミングになります。
しかしながら、アパートの総工費、および、賃料設定がいくらになるのかは、アパートの建築プランがないとわかりません。そのため、アパート経営に関したことが気になり始めたら、まずは、数多くのハウスメーカーや建築会社に、アパート建築プランの請求をするのがおすすめです。その中にある総工費や、部屋の賃料・部屋数などをもとに、個別に試算してみましょう。
また、アパート経営の黒字化には帳簿上の計算よりも、現金が入って出ていく流れである「キャッシュフロー」に注目すべき必要があります。また、実質的な黒字にするためには、さまざまなアパート経営リスクに対策を売っておくことも重要です。
はじめてのアパート経営の場合は、わからないことも多い反面、しっかりと準備をすれば、アパート建築プランの段階からさまざまな経営の対策が打てます。まずは、数多くのアパート建築プランと経営プランを請求し、内容をじっくり検討するところからスタートしてみてください。
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