【詳しく解説】農地・遊休農地の活用法7選|パターンごとに徹底解説
本記事では、農地・遊休農地の活用法を解説します。
この記事を読むと、
- 農地・遊休農地の活用法
- 農地・遊休農地転用後の活用法
- 農地・遊休農地を活用する際の注意点
といったことがわかります。
この記事の内容
1.「農地・遊休農地」をどうする?
農地・遊休農地は「そのまま活用」するか、「農地転用して活用」するかで選択肢が大きく変わります。
おすすめの活用法は次の7つ。詳細は後述します。
大区分 | 活用方法 |
---|---|
農地のまま活用 |
|
農地転用して活用
|
2.農地・遊休農地のままで活用する方法3選
農地・遊休農地をそのままで活用する方法には、次の3つがあります。
- 農地として貸し出す
- 農地バンクを活用する
- 農地のまま売却する
それぞれ解説していきます。
2-1.農地として貸し出す
遊休農地を農地として他人に貸し出すケースでは、農業法第3条で決められているため、農業委員会の許可が必要になります。
農地として貸し出す際にすべきことは以下2つです。
▼すべき事
- 農地のある市区町村の農業委員会に相談(直接訪問または電話)
- 申請書の記入・提出
▼始めに取るべきステップ
- 該当地域の農業委員会にコンタクトを取る
申請書受理後、内容の審査と農業委員会総会を経て、農業委員会から農地を貸す許可が降りれば、許可書が交付されます。
申請から許可書の交付までは2週間~1ヵ月日程度です。
2-1-1.近所の農家への貸し出し
近所の農家に貸し出す場合のメリットとデメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
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農地・遊休農地を近所の農家へ貸し出す場合、農業委員会からの許可以外に必要な申請はありません。
近所の農家であれば、顔も見知っているので、心理的負担が軽いのもメリットです。
借主からの賃料で固定資産税を補填できるので、近所や周囲の人間に土地を貸せる農家の方がいれば、貸し出すのがおすすめです。
2-1-2.市民農園として契約
市民農園として契約する場合のメリットとデメリットは、以下になります。
メリット | デメリット |
---|---|
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市民農園として契約する場合、次の3つがあります。
- 農園利用形式
- 特定農地貸付法による方式
- 市民農園整備促進法による方式
なかでも農園利用方式は、農園の開設者と利用者との間で「農園利用契約」を締結して行なう市民農園で、施設整備が必要なく、手軽に始められます。
具体的な手続き等に関しては、農林水産省のページをご覧ください。
2-1-3.体験農園として観光産業にする
体験型農園のメリットとデメリットは以下です。
メリット | デメリット |
---|---|
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体験型農園は、入園料を徴収して農作業体験を提供する事業で日々の農作業に抵抗がない方におすすめです。
古くからある「いちご狩り」「梨園」という形で運営されているパターンもあれば、実際の農作業まで一定期間に渡って継続的に都会の人に体験させるパターンもあります。
集客はもちろん、農作物の管理や手間が常時かかるところがデメリットといえます。
2-2.農地バンクを活用する
農地バンクとは、農地中間管理機構が農地の仲介を行う制度です。
不要な農地を農地バンクが一度借り受け、農地が必要な人に転貸してくれます。
農地バンクのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
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農地バンクを活用する際にすべき事は以下です。
▼すべき事
- 各自治体の役場等に併設されている窓口に、農地バンク登録申請書を提出する。
▼始めに取るべきステップ
- 「農地バンク登録申請書」を記入する。(市役所のHPで書式をダウンロードできる場合もあります。)
農地バンクの案内の詳細は、各自治体のHPにありますのでご覧ください。
また、農地バンクの窓口は、市区町村の役場に併設されている事が多いです。
例)名古屋市の農地バンクの案内ページ:名古屋市:農地バンク制度で農地を貸したい方(暮らしの情報)
2-3.農地のまま売却する
農地としての活用方法が見つけられない場合や遠方に住んでいて土地を管理しにくい方は、売却するのもひとつの方法です。
ただし、農地は売却先が地元の農業委員会に許可を受けた農家か農業従事者に農地法の規定により限られています。
農地を売却するメリットとデメリットは下記のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
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農地を売却する際にすべき事は以下4つです。
▼すべき事
- 売却先を探す(農業従事者または農業法人)
- (許可が出る事を条件とする)売買契約を締結する
- 農業委員会に売買許可を申請する
- 所有権移転登記をする
▼始めに取るべきステップ
- 近所に農地を買いたい農家がいないか探してみる
農地は売却先が見つかりにくいので、不動産業者などの専門家に売却相談をするのもおすすめです。
また、整備されている農地は売却先が見つかりやすいので、除草したり、土地を整備したりしておきましょう。
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3.農地・遊休農地転用後の活用法4選
農地のままだと売却先が見つからない場合、地目(登記上の土地の用途の分類)を変更して活用・売却する方法があります。
地目変更することを農地転用といい、農家や土地所有者が農地転用する場合は、農地法4条、5条に則り、地域の自治体の長や農業委員会に許可を取る必要性があります。
(※ただし、市街化区域内の農地は、届け出のみで転用可能)
転用が許可されれば、地目が「農地」以外の住宅地や資材置き場等に変更でき、活用・売却先の幅が広がります。
農地転用後に活用する方法には主に次の4つがあります。
- アパート経営
- 駐車場経営
- 太陽光発電(野立て)
- 売却
この章では、それぞれの活用方法について解説します。
なお、以下の記事ではおすすめの土地活用を25種厳選して解説しているので、ぜひ参考にしてください。
3-1アパート経営
アパート経営をする際にすべき事は以下3つです。
▼すべき事
- アパート経営に向いている土地かどうかを確認する
- アパート経営プランを相談する
- 農地転用許可申請・届け出の後、地目変更の登記をする
▼始めに取るべきステップ
- アパート経営プランを取り寄せ、比較する
アパート経営に向いている土地の特徴には、以下があります。
- 60坪以上の広さ
- 東西に間口が長い長方形
- 住宅街(に近い・市街化区域内)
- 生活利便施設が近い
土地の特徴がアパート経営に向いているのか判断に困ったら、ハウスメーカーや建築会社に相談するのがおすすめです。
アパート経営については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
3-2.駐車場経営
駐車場経営をする際、すべき事は以下の3つです。
▼すべき事
- 駐車場経営に向いている土地かどうかを確認する
- 駐車場経営プランの提案を業者から受ける
- 農地転用許可申請・届け出の後、地目変更の登記をする
▼始めに取るべきステップ
- 駐車場経営プランを提案してくれる業者に問いあわせる
駐車場運営企業に一括借り上げで経営してもらうことも場合によっては可能で、初期費用がなくても駐車場経営を始められケースもあります。
まずは、駐車場を経営している企業に問い合わせて、どんなプランがあるのか説明を受けましょう。
駐車場経営はアパート経営に比べて初期費用が低く、狭い土地でも利用できる活用方法です。
駐車場経営については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
3-3.太陽光発電(野立て)
野立てで太陽光発電をする際、すべき事は以下5つです。
▼すべき事
- 太陽光発電に向いている土地かどうかを確認する
- 太陽光発電プランの提案を業者から受ける
- 農地転用許可申請・届け出の後、地目変更の登記をする
- 都道府県知事に許可を得る(0.5 haを超えるもの)
- 土地造成、電柱の設置、木の伐採等の環境整備をする
▼始めに取るべきステップ
- 太陽考発電経営プランを提案してくれる業者に問いあわせる
太陽光発電も他の活用法と同じく、専門業者に相談するところからスタートするのが一般的です。
太陽光発電システムを屋根等に設置せず、土地に直接設置する方法を野立てといいます。
農地転用して太陽光発電をする場合、地盤を安定させるために造成が必要になる場合があります。造成とは土地を伐根したり地盤改良して整地したりすることで、費用は1㎡あたり600〜20,000円です。
太陽光発電装置設置に伴う農地転用に関しては下記の農林水産省HPに詳しく書いてあります。
参考:農林水産省:再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可
3-4.用途・地目変更して売却
農地のままでは売れない土地も、用途・地目変更して住宅用地等にすれば、買い手が付きやすくなります。
(※ただし、市街化区域内の農地は、届け出のみで転用可能)
▼すべき事
- 不動産業者に相談する
- 不動産会社に価格査定をしてもらい、売却するかどうか決断する
- 農地転用許可申請・届け出の後、地目変更の登記をする
▼始めに取るべきステップ
- 「元農地」の売却に強い不動産会社に相談する
「元農地」の売却に強い不動産会社は存在します。
そういった会社であれば、「農業委員会」への許可申請や手続きもフォローしてくれるので安心です。
そういった会社を、不動産売却HOME4Uの様な一括査定サイトも活用して探すとよいでしょう。
4.農地転用の基礎知識
ここでは、農地転用について解説します。
最低限理解しておくべきポイントは以下の通りです。
項目 | 説明 |
---|---|
農地法の適用 | 農地転用には農地法4条と5条に沿った手続きが必要 |
農地別の届出先 |
|
費用 | 届出・許可申請:無料 ※手数料別途必要 ※書類を自分で揃えるのが難しければ、行政書士への依頼も検討する |
必要書類 | 申請書、住民票、登記簿謄本、公図、利用計画図など ※事業用転用の場合は事業計画書や事業証明書も必要 |
無許可・無届の場合 | 工事停止命令や原状復帰命令が下される可能性がある |
許可権者 |
|
農地転用には、申請書・住民票・登記簿謄本・公図・利用計画書などが必要です。
自分で書類の用意が難しい場合は、行政書士に依頼することも検討してみましょう。
行政書士に依頼することで官公庁に提出する書類を作成したり、代理で提出を行ってくれたりします。
また、土地によっては農地転用できない場合があるので注意が必要です。
以下の表に農地転用できる土地とできない土地の特徴をまとめました。
区分 | 特徴 | 農地転用許可の方針 |
---|---|---|
第2種農地 |
|
条件付きで許可 |
第3種農地 |
|
原則許可 |
農用地区域内用地 | 農業生産性が高く、農地転用が非常に難しい農地 | 原則不許可 |
甲種農地 | 市街化調整区域内の土地改良事業が8年以内に施された農地 | 原則不許可 |
第1種農地 | 面積が100,000平米以上の集団農地であり、土地改良事業などの対象となった農地 | 原則不許可 |
参考:農地転用許可制度の概要
5.農地・遊休農地を活用する際の注意点
農地・遊休農地を活用する場合の注意点を表にまとめました。
注意点 | 説明 |
---|---|
農地法を遵守する | 農地を活用する際は、農地法を遵守する |
農地転用許可の取得する | 農地を非農業目的で使用する場合は、農業委員会または都道府県知事から転用許可を取得する |
土地の特性を理解する | 農地の特性(地質、水はけ、日照条件など)を理解し、適切な活用方法を選ぶ |
近隣農地への影響を考える | 農地活用によって近隣の農地に影響が出ないよう配慮する |
環境を保全する | 環境保全に配慮し、持続可能な方法を選択する |
契約内容を確認する | 賃貸や売買の場合は、契約内容を十分に確認し、法的な問題がないかチェックする |
農地・遊休農地は、農地法で制限されているため、賃貸・売買・農地転用の際は必ず農業委員会や都道府県知事に許可申請が必要です。
また、農地によっては地盤がゆるい場合があるので、建物の建設に向かない場合もあります。
「遊休農地」に関しては、下記リンク先で詳しく説明しています。
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詳細は下記ページをご覧ください
農地・遊休農地の活用法に以下の2パターンがあります。
- 「農地のまま」活用する
- 「農地転用してから」活用する
農地のまま貸し出す場合、近所の農家に貸したり農地バンクに登録したりして農地の仲介をしてもらいましょう。
地目を変更後に貸す場合、基本的には農業委員会や都道府県知事の許可が必要となります。
所有する農地の区分を確認し、転用できる農地かどうかの確認が必要です。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。