【基本を解説】アパート建築に関連する法律・手続きの基礎知識
本記事ではアパート建築を検討している方向けに、建築する際に最低限押さえておきたい法律や行政手続きに基礎的な事項を簡潔にまとめて解説しています。
この記事を読むと
- 「建築基準法」の要点
- 「建築基準法」に則った行政手続きの概要
について理解できます。
1.建築基準法とは
建築基準法とは、建築物を建てる際に最低限順守しなければならない基本的なルールを定めたもので、日本で建築されるすべての建造物に対して適用されます。
建築基準法は、建物の最低限の基準を定めることで、そのエリアに関係のある人が安全で快適に暮らしていけることを目的とした法律です。
2.アパート建築時に注意すべき建築基準法の要点
建築基準法の中でも、特に押さえておきたい5項目を解説します。
- 都市計画区域と用途地域
- 建ぺい率・容積率の制限
- 高さの制限
- 道路に関する規制
- 災害等に対する対策や制限
建築の際は専門家に任せることが多いですが、ある程度概要を知ることで、どのようなアパートを建てられるかの検討をつけられるようになりましょう。
2-1.都市計画区域と用途地域
都市計画区域は、以下3つの区域に区切られています。
- 優先的勝計画的に市街化が進められる市街化区域
- 現段階において市街化を抑制している市街化調整区域
- 区分が定められておらず、建築に関する制限が緩やかな非線引き区域
「市街化調整区域」、及び現段階で「都市計画区域」外とされる区域には、原則としてアパートを建てられません。
また、「市街化区域」では、さらに13の「用途地域」が定められています。その内「工業専用地域」にも、同じくアパートの建築はできません。
2-2.建ぺい率・容積率の制限
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を上から見下ろした時の水平投影面積)の割合で、建物を建てるために敷地の広さの何%を使用しているかを指します。
容積率は、敷地面積に対する延床面積(すべての階の床面積を合計した面積)の割合で、敷地の広さに対してどれくらいの規模の建物なのかを示します。
いずれも用途地域ごとに決められている「数値以下」でなければならないとされており、同じ広さの土地でも用途地域によって建てられるアパートの大きさは異なります。
2-3.高さの制限
建物の高さも、用途地域毎に高さの上限値が決められています。
例えば、第一種・第二種低層住居専用地域では、都市計画で定めた10メートルまたは12メートルを超える高さの建築物を建てることはできません。
また、高さについては更に「道路斜線制限」「北側斜線制限」「日影規制」など、複雑な制限が多く設けられています。
自身で計算することもできますが、詳細はプロにしっかりと依頼し、計算してもらいましょう。
「HOME4U 土地活用」のプラン請求を使えば、お持ちの土地に建てられるアパートの規模などはもちろん、運用プランの提案もしてくれます。
2-4.道路に関する規制
敷地の前面道路が幅4メートルに満たない場合、道路中心線から2メートルバックしたラインが道路境界線とみなされます。
これを「セットバック」といいます。
セットバックした部分は建物などの建築が制限され、敷地面積にも含まれません。
また、敷地には道路に対する「接道義務」があり、敷地が道路に2メートル以上接していなければ、建物を建築することができません。
2-5.災害等に対する対策や制限
「防火・耐火」や「耐震」など、災害発生時に被害が拡大しないことや、建物自体を守ることを目的に設計された条例があります。
防火については、土地が
- 防火地域
- 準防火地域
- 22条区域
の3つに分けられており、各地域によって耐火建築物でなければならない、一部不燃材料を用いなければならない、などが定められています。
地震については「耐震基準」が設けられており、現在では震度7程度の地震が起きても倒壊しない耐震性が求められています。
3.アパート建築時に必要な手続き
アパートの建築時には、工事の着工前、建築中、竣工後にそれぞれ必要な手続きがあります。
主には「建築基準法を満たした建築物を建てるのか」を確認するための申請で、通らなければ建築を始めることができません。
3-1.着工前に必要な手続き「建築確認申請」
建築前には「建築確認申請」を行う必要があります。
着工前に建築基準法や条例を満たした建築物かを確認するために行われます。
建築確認申請は、基本的に特定の検査機関か自治体に提出します。
提出の際には、公図や平面図など必要な書類が多くあるため、事前に準備しておき、スムーズに申請を行ってください。
3-2.建築中に必要な手続き「中間検査」
3階建て以上のアパートを建築する場合には、建築途中にも中間検査を受けなければいけません。
中間検査では、建築中の建物を目視や測定により、建築基準法に則った施工が行われているかが確認されます。
3-3.竣工後に必要な手続き「完了検査」
建築後には完了検査を受けなければなりません。
実際に建築された建物が、建築基準法等に適合しているかを判断されます。
完了検査は、工事完了後4日以内に申請を行い、申請から7日以内に検査を行わなければならないと定められています。
完了検査に合格し検査済証を受け取るまでは、建物の利用はできません。
各手続き共に、基本的には建築会社などに委託して行うケースが多いです。
4.地方自治体の条例も事前にチェックする
建築基準法は全国共通の法律ですが、都道府県や地域によっては条例により建築物に制限がかかる場合もあります。
したがって、建築エリアの地方自治体条例もかならず確認するようにしましょう。
以下は、2エリアの例です。
4-1.条例①|岩手県盛岡市
岩手県盛岡市では「戸数が10以上」または「高さが10mを超える」場合に、「盛岡市中高層建築物等の建築等に係る住環境の保全に関する条例」の対象となります。
例えば、高さが10mを超える場合、テレビの電波を妨害しない対策をしなければならない、と定められています。
出典元:盛岡市
出典元:盛岡市中高層建築物等の建築等に係る住環境の保全に関する条例・同条例施行規則
4-2.条例②|千葉県船橋市
千葉県船橋市では、ワンルーム形式の共同住宅を建築する場合の条例が定められています。
これは、建築によって近隣住民等に及ぼす影響に配慮しなければいけない、という内容です。
具体的には、
- 建築の周知のため、建築予定地の見やすい位置に標識を設置する
- 近隣住人や自治体に対する建築計画等の説明をする
- 1戸当たりの専用面積を16㎡以上とする
などです。
建築基準法の中でも、特に押さえておきたい5項目があります。
- 都市計画区域と用途地域
- 建ぺい率・容積率の制限
- 高さの制限
- 道路に関する規制
- 災害等に対する対策や制限
詳細は「2.アパート建築時に注意すべき建築基準法の要点」にて解説しています。
以下3件が工事の着工前、建築中、竣工後の手続きです。
- 着工前に必要な手続き「建築確認申請」
- 建築中に必要な手続き「中間検査」
- 竣工後に必要な手続き「完了検査」
詳細は「3.アパート建築時に必要な手続き」にて解説しています。
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