再建築不可物件を活用しよう!14種の活用方法と活用前の注意点
相続などで譲り受けた不動産が、再建築不可物件であった場合、どのような活用方法があるのでしょうか。
注意しなければいけないのは、再建築不可物件は、一度取り壊しをすると新規の建物が建てられなくなるので、どのような土地活用をするかを決断してから、行動するようにしてください。
今回は、再建築不可物件の活用方法と、土地活用の際に気をつけることなどをまとめています。
また、土地活用を始めたい、というかたは、以下のボタンから最大10社の土地活用会社に収支計画などがまとめられた土地活用プランを取り寄せることができます。ご活用ください。
1.再建築不可物件とは
再建築不可物件とは、土地の立地や形状が、現行の建築基準法上においては問題があるため、建物の再建築ができない不動産のことです。
土地によってさまざまな要件がありますが、基本的には、公道・私道に関係なく、土地がエリアで規定されている道幅の道路(敷地間口2メートル以上、道路幅4メートル以上)に接していないと、再建築不可物件となります。
再建築不可とは、今ある建物を解体して更地にすると、新規に建物を建てることができないという意味ですので、今ある建物をリフォーム・リノベーションする分には問題ありません。
再建築不可物件には次のような特徴と注意点があります。
1-1.再建築不可物件の特徴
再建築不可物件には次のような特徴があります。
- 固定資産税が安い
- 相続税評価額も低め
- エリアの風情が残り価値が出る
1-1-1.固定資産税が安い
再建築不可物件は固定資産税が安くなります。
再建築不可物件はご自分の土地でありながら自由に建て替えができません。
さらに、現行の建築基準法よりも前に建てられた築年の古い不動産であるため、建物には資産価値がないことの方が多いと言えます。
このようなことから、不動産市場では不動産としての価値が低めに見積もられるため、固定資産評価額が低くなり、その結果、固定資産税も安くなります。
1-1-2.相続税評価額も低め
一般の不動産と比較すると、再建築不可物件は、建物・土地のどちらも固定資産評価額が、相場よりも低くなります。
相続税では、不動産の課税評価は固定資産評価額をもとにしますので、不動産としての資産価値が低めに評価される再建築不可物件は、普通の不動産と比べると、相続税の課税対象額を抑えることができます。
1-1-3.エリアの風情が残り価値が出る
再建築不可物件は個別の土地だけではなく、エリア全体に規制がかかることがあります。特に、都市計画区域や準都市計画区域にある、道幅の狭いエリアや、伝統的な建物が多く残されたエリアの場合は、自治体で決めた街づくり計画に沿って建て替えが進められることがあります。
このようなエリアに土地がある場合は、個人が自己判断で建て替えることができなくなりますが、代わりに、昔ながらの街並みや景観を残したままでエリア全体を再生することができます。
再建築不可物件として建て替えをしますので、エリア内には新築の建物がありません。そのため、街全体がまとまった雰囲気となります。時間はかかりますが、最終的には地域全体の不動産価値が上がる可能性があります。
【参照:京都市 路地のある町並みを再生する新たな制度を始めます】
1-2.再建築不可物件の注意点
再建築不可物件ならではの注意点もあります。
活用するのがどうしても難しいと判断した場合は、売却して新しい場所での土地活用を検討することも視野に入れてみてください。
- 地震や火災で倒壊・消失しても再建築できない
- 建物が古くなるにつれて売却が難しくなる
- リフォーム時に住宅ローンが利用できないことがある
- 隣接住人以外に購入希望者が現れにくい
1-2-1.地震や火災で倒壊・消失しても再建築できない
再建築不可物件は原則、建物を新築することができません。例えもらい火による火災や、地震などの自然災害で建物が倒壊・焼失した場合でも、再建築はできません。
ただし、建物の一部が残っていた場合は、リフォーム・リノベーションという形で再建することができます。
もともと、再建築不可物件は、緊急車両などが入りにくく、救助や消火活動が困難なエリア、災害が広がりやすいと判断されたエリアにのみ設定されています。
エリアに再建築の制限をしておけば、新しく不動産を購入する方は少なくなり、今住んでいる方も、次に家を建て替える時には別の土地への移動を検討するようになります。
このようにして、エリアの安全性を確保しながら、少しずつ街並みを整えることが、再建築不可物件を設定する目的です。
そのため、原則として、例え災害が理由であっても、土地オーナーの過失ではなくても、再建築不可物件の建物がなくなってしまうと、再建築はできなくなります。
1-2-2.建物が古くなるにつれて売却が難しくなる
再建築不可物件は、もともと不動産市場での流通が良くはありません。
理由として、不動産購入希望者のほとんどはマイホームを希望していますので、ご自分の希望にかなった好条件の物件を探しています。
そのため、再建築ができない不動産を、わざわざ買いたいと思う購入希望者は、全体から見ると、少ない傾向にあるためです。
さらに、建物は築年がすすむほど経年劣化が目立ってきますので、購入後にはリフォーム費用負担が大きくなることが多いため、費用の問題から、買い手がつきにくい物件と言えます。
1-2-3.リフォーム時に住宅ローンが利用できないことがある
再建築不可物件は、現行の建築基準法よりも前に建てられていることが多いため、築40~50年以上の建物が多い傾向にあります。
このような建物をリフォームしようとすると、手を入れる箇所が多いため、まとまった費用が必要になります。
金融機関から見た場合「将来において建て直しができない」ことが大前提の再建築不可物件は、前項で解説した通り、不動産市場での流通が見込めないため、担保価値が非常に低くなります。
そのため、一般のマイホームのリフォームで使える住宅ローンでの融資金額は非常に低いか、アパートローンや事業用ローンなどの、金利の高いローンへの切り替えを提案される可能性が高くなります。
再建築不可物件を、大きなリフォームやリノベーションする予定の場合は、こまめなリフォームを繰り返すか、多額の自己資金を準備しておく必要があります。
1-2-4.隣接住人以外に購入希望者が現れにくい
前述のとおり、再建築不可物件は不動産投資家・不動産会社などのプロにも売りにくい物件です。
マイホームを求める一般の購入希望者とは違い、不動産投資家や不動産会社はビジネスとしての「費用対効果」を求めます。
再建築不可物件は古い建物が多いため、現金一括で相場より安く購入できたとしても、その後、不動産賃貸物件や再販物件にするための莫大なリフォーム費用がかかることを計算に入れると、一般的な物件を購入するほうが、投資効率が良いと判断されます。
ただし、隣地の方にとっての再建築不可物件だけは、相場よりも安く土地が入手できて、自分の敷地を広く出来る方法になります。
土地を売却希望の場合は、不動産会社を通じて隣地の方に購入意志があるかを確認してみてください。
また、ご所有の再建築不可物件の四方に売地がある場合は、購入することを前提に土地活用プランを検討しておくと、土地活用の選択肢が広くなります。
2.再建築不可物件を活用するには?
再建築不可物件はリフォームとリノベーションしかできませんので、新規の建物で土地活用ができるようにするには、土地の条件に手を加える必要があります。以下の4通りの方法があります。
ただし、どれも不動産に関する専門知識が必要ですので、土地活用プラン請求の際にハウスメーカーや建築会社の担当者に相談をし、一緒に考えるようにすると最善策が見つかりやすくなります。
- 自分の土地を位置指定道路にする
- セットバックする
- 隣地を買い上げる・借りる
- 43条但し書きの許可を取得する
2-1.自分の土地を「位置指定道路」にする
再建築不可物件の原因が接道義務の場合は、自分の土地の一部を必要な分だけ、建築基準法上の道路として認められている位置指定道路にすることで、再建築不可物件から外れ、普通の土地活用ができるようになります。
位置指定道路を作ることは、住宅建築では珍しいことではありません。
大きな敷地を何分割かして宅地造成をした場合、奥の方にある土地は道路から離れてしまいますので、奥にある土地にまで入って行けるように道路を作る必要が出てきます。
そのときに新しく作る道路が、位置指定道路と呼ばれる「私道」です。
ご所有の再建築不可物件に位置指定道路を作る場合は、接道義務をクリアするために、道幅が4メートル以上か、車両の通り抜けができることが最低条件になります。
自治体への申請と許可が必要ですが、必要とされる道路幅や諸条件がエリアによって違いますので、土地活用プランを請求したときの担当者に相談をし、必要な条件を調査してもらう方が間違いのない土地活用になります。
自治体の出す条件と合わない場合は、次項のセットバックをすることになります。
【参照:第42条1項5号に基づく「位置指定道路」】
2-2.セットバックする
セットバックとは、道路の幅員が合計4メートルになるように、敷地自体を後退させる方法です。
道路の幅が1メートル足りないのであれば、ご自分の敷地を道路から1メートル後退させて、もともと自分の敷地だった部分を「道路」として使います。
道路となった自分の敷地は、建築基準法上で「公道」という扱いになるので、建造物を建てることができなくなります。また、後退した分だけ、使える敷地面積も少なくなります。
前項の位置指定道路と似ていますが、セットバックした部分が公道になるのに対し、位置指定道路は私道のままであるため、私道利用には所有者(オーナー)の許可が必要であるという違いがあります。
どちらがより適切なのかは、周辺の道路状況や土地の形などをふまえて、不動産のプロフェッショナルによる判断が必要です。
【参照:建築基準法】
2-3.隣地を買い上げる・借りる
隣地を買い上げる、または借りるという交渉・契約をして、接道義務をクリアする方法です。
隣地への交渉は、理解の行き違いなどでこじれると関係修復が難しくなりますので、ご自分では行動せずに、かならず、ハウスメーカーや建築会社に代理で行ってもらうようにして下さい。
必要な分だけの土地が購入または借りられれば良いので、状況によっては、わずか数センチくらいで問題が解決することがあります。
不動産会社に代理人をしてもらうと、交渉の際に、相手の方にとってメリットが大きくなるような提案をし、OKが出やすいように上手に交渉をしてくれます。
2-4.「43条但し書き」の許可を取得する
再建築不可の物件でも、建築審査会の許可を受けることによって、再建築が認められることがあるケースを、建築基準法・接道義務の中の「43条但し書き」と呼びます。
ご所有の土地に、次のような条件があることが前提になります。
A 周囲に公園・緑地・広場などの広い空き地がある
B 農道などに接している
C 道路に通じて避難時に安全に利用できる通路に接している
上記の条件を見るとわかるとおり、建築基準法の接道義務を満たしていない場合でも、本来の接道義務の目的である、
- 緊急車両の乗り入れの道幅が確保できる
- エリア住民が安全に避難できる
- 周辺の家屋から延焼が起きにくいレベルでの距離がある
など、街の安全性が担保できると判断された場合のみ、但し書きの許可が下ります。
ただし、どのレベルでクリアできるのかは、エリアの状況と自治体の建築審査会の考え方にゆだねられます。
また、この但し書きは、一度許可を受ければ、将来にわたって建築できるというタイプの許可ではないため、建築のたびに建築審査会の許可申請をしなければなりません。
そのため、委員会が設定する条件に変更があれば、従前までできたことでも許可が下りなくなることがあります。申請内容には慎重さが必要となるため、ご自身では動かずに、ハウスメーカーや建築会社の担当者に相談の上、プロの判断を参考にするようにしてください。
3.再建築不可物件14種の活用方法
本章では、再建築不可物件をお持ちのオーナー向けに、どのような土地活用ができるのかのアイデアを14種にまとめてご紹介しています。
1.戸建賃貸経営
2.店舗テナント経営
3.トランクルーム経営
4.ガレージハウス経営
5.駐車場・駐輪場の経営
6.貸農園経営
7.家庭菜園に使う
8.自宅として住む
9.自動販売機の設置
10.太陽光発電設備
11.資材置き場として貸す
12.ドッグラン経営
13.売却する
3-1.戸建賃貸経営
戸建て賃貸経営とは、一軒家を丸ごと賃貸に出して賃料収入を得る土地活用方法です。
再建築不可物件は取り壊して新規の建物を建てられないだけですので、今ある建物をリフォームやリノベーションをするのであれば、接道義務などを満たすなどの対策をしないままで、土地活用がスタートできます。
ただし、リフォームやリノベーションをするためには、ボロボロの状態であってもそこに建物が立っていなければなりませんので、土地活用の検討をする際には、建物を残しておいた状態でプランを考える必要があります。
大手ハウスメーカーや建築会社であれば、経年劣化をした家屋でも、新品同様にリノベーションできるノウハウを持っていますので、安心して任せることができます。劣化度合いにもよりますが、一般的には、新築と同価格またはそれ以上の費用がかかることが多い傾向にあります。
ケースによっては、土地建物を担保に入れてもリフォームやリノベーションの費用の満額を融資できない可能性もありますので、自己資金は多めになることを前提に計画をしてください。
周辺に戸建て賃貸のニーズが高ければ、新品同様にまでしなくても、必要なレベルのリフォームだけをして貸し出すことも可能です。
3-2.店舗・テナント経営
商業を営んでも良いエリアであれば、住居ではなくテナントとして賃貸に出すこともできます。周辺にテナントのニーズがあることが前提ですが、古民家風カフェや、古い家屋をオフィスとして使うケースも増えていますので、戸建の見かけのままでもテナント貸しができます。
テナントの入居希望者によってはご自分のイメージ通りに改装をしたい方もいますので、そのような入居者が見つかった場合は、今お持ちの家屋をそのままで賃貸に出せます。このように、初期費用をほとんどかけないで経営スタートすることも可能です。
このような貸し方の場合、入居者が希望する内容で室内外が改装されてしまいますので、賃貸期間が終わったあとも、またテナント貸しになる可能性が高くなります。
一般的なテナント貸しとは違う、イレギュラーな賃貸スタイルですので、エリアニーズを確認したうえで、入居希望者を待つ期間も必要です。なかなか借り手がつかない場合には、テナント用にオーナーがリノベーションをしやすいようにスケルトン(中の内装を作らず、構造と壁だけのガランドウの状態)にして空室対策をします。
説明が必要なタイプのテナントですので、地元の不動産会社か、プラン請求をするハウスメーカーや建築会社の担当者に相談をしたうえで、積極的な営業活動をしてサポートをしてもらう必要もあります。
3-3.トランクルーム経営
トランクルームはレンタル収納スペースを貸し出す賃貸経営です。建物内に人が住まないため、住居ではありません。
そのため、接道義務を満たす必要がなく、今のままの状態ですぐにスタートできる土地活用です。
建物の中を個別に使えるように区切りブース設置をして、預かった物品が湿気や乾燥に影響しないように空調に気をつければよいだけなので、個人で経営することも可能です。
ただし、預かっている荷物の防犯管理などが悪いと借り手がつきませんので、警備保障会社などの監視システムを入れるか、トランクルームの専門会社に委託をする方法もあります
トランクルーム専門会社に委託した場合は、フランチャイズ加盟料などが発生しますが、土地建物を丸ごと貸し出すだけになりますので、手間をかけずに土地活用ができます。
また、次の活用方法が決まった場合でも、すぐに撤退してもらえます。
3-4.ガレージハウス経営
ガレージハウスとは、もともとは車庫や倉庫として使う簡易な建物を、セカンドハウスや趣味の場所として使う使い方です。
例えば、工場のようなスタイルの簡易ハウスを作り、バイクを室内にまで乗り入れて、そこで解体できるスペースを作ってバイク改造をするなど、さまざまな使い方があります。
車を入れるとガレージハウス、モノをしまっておくとコンテナハウスと呼ばれることもあります。
一般的なガレージハウスは、郊外などの遠い場所にあることが多いので、再建築不可物件があるような都心部で賃貸できるコンテナハウスには、一定数の強い需要があります。
再建築不可物件をコンテナハウスにする場合は、今ある建物の一部を残して小型コンテナハウスを設置し、リフォーム扱いにすることで土地活用がスタートできます。
コンテナハウスを設置する場合にも建築基準法が関係してきますが、住居の建設とは違い以下の条件がクリアできれば良いので、接道義務を満たしていなくても問題がなく、さらに人が住む前提ではないため建築許可申請も不要です。
- 床面積が10平方メートル以下
- 防火地域・準防火地域以外の場所
- 新築以外(増築・改築・移転)
コンテナハウスの賃料は、あくまで車庫や倉庫に準じるため、一般の戸建て賃貸と比較すると低めの設定になりますが、郊外にあるコンテナハウスよりは高額になります。
スタートの際の初期費用も抑えめで、土地活用としての費用対効果は高いと言えます。
3-5.駐車場・駐輪場の経営
接道義務がクリアできていなくても、小型車やバイク・自転車などが出入りできるだけの間口が取れれば、駐車場や駐輪場として土地活用ができます。
例えば、接道面が2メートル以下の狭い間口だけれども、敷地内は広い土地などは、都心部や駅に近いエリアでのバイク駐車場・自転車駐車場に適しています。
駐車場の場合は、間口を楽に通れる車幅の軽自動車をターゲットに、敷地内でUターンができる台数まで駐車場経営が可能です。
ご自身で経営をするスタイルと、駐車場・駐輪場の専門会社に経営委託をする方法があります。経営方法の詳細は、関連記事を参考にしてください。
3-6.貸農園経営
都心という便利な場所に住みながら、田舎暮らしのようなスローライフができるということで、都心部での農園利用には人気があります。
土地が農地ではなくても、農園やガーデンとして人に貸し出すことで、賃料や利用料を収入にすることができます。
ほとんどの参加者が素人ですので、1人で使う農園の広さは1~4坪程度と小規模です。
仮に100坪の敷地があれば、通路や日陰の部分として20%ほどを除いても、20~80人程度までの契約数が期待できます。
都内では貸農園ビジネスの専門会社がいくつかありますが、1坪貸しで平均月額1万円前後のレンタル料です。
現地で使える複数の農具の用意と、畑の区画をロープで仕切るだけですので、初期費用も少なくスタートできます。
ただし、全てを農園として貸すためには建物を解体しなければなりませんので、新規に建物を建てることはできなくなります。
土地に余裕があれば、敷地のうちの日当たりの良い部分のみ農園として貸し出し、古い家屋は取り壊さずに休憩所や農具入れ、休憩所として利用しておくことで、別の土地活用に切り替える時に建物をリフォームやリノベーションして使うことができます。
3-7.家庭菜園に使う
前項の貸農園にするほどの広さがない敷地の場合は、ご自分で家庭菜園をするために使うことができます。家屋はそのまま残しておけば、後でリフォームやリノベーションも可能です。
また、近隣で庭がなくて家庭菜園ができない方に、庭だけ貸し出すなどもできます。
前項の農園とは違い、何も準備をする必要がないうえに、家庭菜園で貸し出している結果、庭が雑草で荒れるのを防ぐこともできます。
3-8.自宅として住む
相続などで引き継いだ不動産が再建築不可の物件に、ご自分で住むことも可能です。
自分が住むのであれば、とりあえず最低限のリフォームだけを行い、あとは必要に応じて室内を修繕していけば、再建築不可であることがデメリットになりません。
再建築不可物件は相場よりも固定資産税も安く済み、都心部や準都心部に自宅が持てるのですから、これも有効な土地活用方法と言えます。
建物が劣化をしているケースが多いので、水回りと配管の変更、屋根の雨漏り点検をしっかりしておけば、家の傷みを遅くすることができ、さらに後で人に貸す時にも、賃貸をしやすくなります。
3-9.自動販売機の設置
敷地内に自動販売機を設置する土地活用方法です。
自動販売機の土地活用は、その他の土地活用方法とあわせて使えます。例えば、駐車場と自動販売機、農園と自動販売機などです。
最近の自動販売機は薄型でスペースも取りませんので、家屋がある状態でも土地活用ができます。
自動販売機設置に申請は不要ですので、いつでも始められます。
自動販売機は専門会社があり、機械のリースまたは買取システムがあります。
機械管理や商品補充なども専門会社に委託できますので、初期投資やメンテナンスがほとんど必要ないのも魅力的です。
最近は、飲料以外にも、餃子・チャーシュー・お菓子・果物など、さまざまな自動販売機がありますので、敷地に余裕があれば複数台設置し、街の休憩所のようにしてスペースを貸し出すこともできます。
ただし、管理会社が入っていても、敷地内の清掃はこまめに行い、近隣から苦情が出ないように気をつけておく必要があります。
3-10.太陽光発電設備
建物の屋根やベランダに太陽光発電設備を設置するという土地活用方法も使えます。
再建築不可物件の場合、建物を壊してしまうと次に新しい建物が建てられませんので、今ある建物に設置するようにしてください。
その物件にご自身が住むのでしたら、太陽光パネルからの電気で生活の電気代はまかなえますし、余った分は電力会社に買い取ってもらうこともできます。
また、戸建やテナントとして賃貸に出す場合でも、太陽光パネルによる省エネハウスであることは、他の物件との差別化にもなり、入居者確保につながりやすくなります。
太陽光発電パネル設置には100万単位の初期費用が必要になるので、他の土地活用に組み合わせる形で考えると、より土地からの利益を最大化しやすくなります。また補助金があるケースが多いので、先に申請方法などを良く調べてから動くようにしてください。
3-11.資材置き場として貸す
都市計画区域や準都市計画区域などの都心部であっても、資材置き場のニーズはあります。多くの企業は郊外などに大規模な資材用施設を持っていますが、運搬するには経費がかかるため、近隣エリアに適度な量の資材を置いておける場所を探している可能性があります。
特に、ガーデニング用品・エクステリア用品・石材・砂利など、店舗や会社内にある倉庫には収納しにくいタイプの物を、店舗から比較的近いエリアで一時保管できる場所は、潜在的なニーズがあります。
賃料は住居に比べれば割安になりますが、代わりに、貸すために建物に手を加える必要がないため、初期投資がほとんど不要で土地活用をスタートできます。
また、物件の中にあるものは「モノ」ですので、オーナーが他の土地活用方法をしたい場合は、1ヶ月ほど前に告知をすれば、すぐに撤退してもらうことができます。
地元エリアへの営業が強い不動産会社か建築会社に相談してみると、エリアニーズもハッキリしてきます。
あくまで、他の活用方法が見つからない場合の一時的な策として使いますが、優良企業に長く使ってもらえることになれば、長期安定収入になる可能性があります。
3-12.ドッグラン経営
都心部では、ペットとして犬を飼っている方が多い割に、犬を自由に走らせることができる場所がほとんどないため、ドッグランには高い需要があります。
都心部では、基本的に犬はリードにつないでいる必要があり、公園や河原などの広く開けた場所に出ても、リードをはずしてはいけないことになっています。
そのため、犬がリード無しで自由に走り回れる場所はドッグランのみとなります。
複数頭の犬が自由に走りまわれるためには、最低でも30坪程度の広さが必要です。間口が細い・長いなどで、車やバイクの乗り入れができない場所でも、ドッグランであれば、地元エリアの人たちの憩いの場として利用してもらえます。
また、間口が狭いことで犬の飛び出しなどがしにくくなり、ドッグランとしての安全性は、かえって高くなります。
ドッグランで土地活用するには、ランエリアに人工芝や芝生、飛び出し防止用の柵の設置、糞尿の片づけに使う水道ホース、飼い主が座るベンチ類などの簡易設備が必要です。
施行費用は地域・敷地の広さにもよりますが、エクステリア(外構)の人工芝庭の設営で50~100万円くらいの初期費用がめやすです。
現在、ドッグラン経営を委託できる専門会社はありませんので、ドッグランの土地活用は、ご自身が経営することが前提になります。
収益化のためには、周辺エリア全体へのSNSでの呼びかけ以外に、チラシ配布やトリミング会社へのチラシ設置など、認知されるまでにある程度の営業努力は必要です。
ご自身が建物スペースでカフェ経営することも可能です。ただし、24時間経営にする場合は、ドッグラン利用権を自動販売機で販売し、飼い主のための休憩スペースにもドリンク類などの自動販売機を用意しておき、トラブル防止のための防犯カメラ設置をするなど、運営コストを抑えるアイデアも必要です。
ドッグラン設営のために敷地内のすべてを更地にしてしまうと、次に建物が建てられなくなりますので、一部を休憩所やカフェスパースとして残した状態で、適切な広さのランスペースを作るのが望ましいと言えます。
比較的新しい土地活用方法ですので、土地活用プランを請求する際にハウスメーカーや建築会社の担当者に相談してみるのと同時に、近隣のペットショップにも需要があるかを相談してみることで、経営がしやすくなる可能性があります。
3-13.売却する
土地活用としてさまざまな可能性を検討した結果、諸事情により今すぐには土地活用ができず、将来的には空き家として放置してしまう可能性が高い場合は、思い切って売却してしまうことも検討してください。
ご所有の物件がどのエリアにあるのかにもよりますが、自治体によっては空き家の固定資産税が高くなるエリアもありますので、ご確認の上、早めに動くようにしてください。
土地活用での売却が視野に入っている場合は、土地活用プラン請求の際にハウスメーカーや建築会社の担当者にその旨を伝えてください。
各企業には顧客のウエイティングリストがあり、エリアをピンポイントで探している購入希望者がいるケースもあります。土地活用を検討はしているが、値段によっては売却の意志があることを伝えれば、土地活用と売却の両方を前提に、さまざまなプラン提案をしてもらえます。
4.再建築不可物件を活用する前に
再建築不可物件を活用する際に、以下の点に注意しましょう。
- 活用方法が決まるまでは絶対に更地にしない
- すでに更地の場合の対処法
- どうしても使い道がなければ売却を考える
- 複数の土地活用プランを比較する<
4-1.活用方法が決まるまでは絶対に更地にしない
再建築不可物件は、活用の方向性が決まるまでは更地にしないようにしてください。
再建築不可物件は、一度更地にすると二度と建物を建てることができない土地です。
更地にしてしまうと、もう一度、建物が建てられるようにするためには、本記事で紹介したとおり、接道義務などを満たすために手間ひまと費用をかけて再建築不可を取り消さなければなりません。
また、経年劣化がひどくても、建物が残っていれば、固定資産税の軽減税率の対象となりますが、更地になってしまうと最高で6倍にまで跳ね上がります。
誰も住めないほど老朽化していたとしても、建物を壊すのは、土地活用の方向性が決まってからにしておくことで、無用な出費を回避できます。
4-2.すでに更地の場合の対処法
今ご所有の再建築不可物件が、すでに更地の場合は、本記事2章で解説した通り、接道義務などの再建築不可物件の原因になっている部分を取り除けば、普通に土地活用ができるようになります。
何もせずに更地のままで所有していると、毎年、高額の固定資産税を支払い続けることになり、土地を持っているだけで出費が続くようになります。
3章で解説した13種の土地活用の中から土地活用を選び、固定資産税などの税金分だけでも収益を得るようにしてください。
4-3.どうしても使い道がなければ売却を考える
土地活用も、再建築不可物件の要因をクリアすることもしない場合は、売却を前提に不動産会社相談をして、売却を検討してみてください。
ただし、その前には、複数の土地活用プランを比較して、ご所有の土地の可能性をしっかり見極める必要があります。
売却の際には、なるべく数多くの会社に査定を依頼し、その中から、納得のいく金額の会社に現地調査に来てもらった上で、売却に踏み切るようにしてください。
売却に関する査定請求は、NTTデータグループが運営する日本初・日本最大級の不動産一括査定サイト「不動産売却HOME4U」の一括査定をご利用ください。
4-4.複数の土地活用プランを比較する
再建築不可物件を活用する際には、なるべく数多くのハウスメーカーや建築会社に土地活用プランを請求し、たくさんの候補を比較検討しながら、慎重に決めてください。
本記事で紹介した土地活用方法以外にも、土地のあるエリアで高いニーズのある活用方法がある可能性がありますので、数多くの会社に提案してもらうことで、より適切な活用方法を見つけやすくなります。
複数の土地活用プランを請求する際には、一度の入力で最大10社にまでプラン請求ができる、NTTデータグループが運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご利用ください。
日本全国にあるハウスメーカーや建築会社の中から、NTTデータグループの厳しい審査をクリアした企業のみが提携していますので、再建築不可物件の活用に関して信頼と実績のある会社をご紹介できます。
気になるプランがあれば、現地調査に来てもらい、周辺の状況確認、道幅などの計測をしてもらうことによって、より具体的な土地活用プランが提案されます。プラン作成の際には、再建築不可物件のままで活用するパターンと、接道義務などの諸条件をクリアして、再建築不可物件が外れた状態での土地活用のプラン比較もできます。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。