学生向けアパート建築のメリット&デメリット!経営成功のポイントと注意点
学生向けアパートは、入居者の在学中は転居や退出が少なく、また入退居のタイミングが予測しやすいため、賃貸経営がしやすいカテゴリーです。
しかし、少子化で18歳人口が減っている時代でもあり、入居者を確保できるか心配な方もあるのではないでしょうか。
この記事では、学生向けアパートを建築し、賃貸経営を成功させるポイントや注意点など、以下について解説します。
- 学生向けアパート建築のメリット
- 学生向けアパート建築のデメリット
- 学生向けアパート経営を成功させるポイント
- 学生向けアパート建築の注意点
なお、土地活用での学生向けアパート建築を相談したい方は、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」をぜひご活用ください。以下のボタンから簡単に最大10社の土地活用プランの入手が可能です。
この記事の内容
1. 学生向けアパートとは
学生向けアパートとは、学生を入居者に想定したアパートです。近くに大学などがある住宅地であれば、学生向けアパートはぜひ検討したい土地活用の方法です。
では、具体的にどのようなメリットが期待できるのか見ていきましょう。
なお、住宅地でおすすめの土地活用方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
2. 学生向けアパート建築のメリット
現在の日本は少子化が進み、18歳の人口が減ってきています。しかし、実は大学の数や在学者数は上昇傾向が続いています。
文部科学省の「学校基本調査」によると、大学数・在学者数の推移は以下のようになっています。
1950年時点の大学数は201校、在学者数は22万4,923人でしたが、2023年時点では大学数810校、在学者数294万5,599人と、学校数で4倍以上、学生数では10倍以上に増えています。この傾向は近年も安定的に微増しており、大学数・在学者数ともに過去最多となっています。
そのため、学生層の入居者を獲得できれば、安定的なアパート経営が期待できます。
学生向けアパート建築には、以下のようなメリットがあります。
- 家賃の滞納が少ない
- 入居・退居のタイミングがつかめやすい
- 収益性の高い間取りにできる
順を追って、見ていきましょう。
2-1.家賃の滞納が少ない
大学や在学者が増加している理由は2つあります。1つは私立大学が増加していること、もう1つは女子の進学率が上がってきていることです。
先の統計グラフではご紹介していませんが、一方で短期大学は減少傾向にあり、短大生の数も大幅に減少しているというデータがあります。にもかかわらず、女子大学生が増加しているということは、4年制大学に通う女子が増えていることになります。
学生向けアパート建築のメリットはここにあります。つまり、学生向けアパートでは、入居する子どもを心配する保護者が賃貸契約を結び、家賃を支払ったり仕送りをしたりするケースが多く、滞納が少ないことです。
実際に学生の生活費がどれくらいかかるのかを見てみましょう。日本学生支援機構「学生生活調査」によると、学生の生活費を知ることができます。
以下は、自宅と下宿の居住形態別に、学生の年間生活費を比較したものです。
学生生活費「大学生(昼間部)の国公私立の平均」
自宅 1,601,500円 |
下宿 2,151,000円 |
---|
出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」
下宿に住む学生は、自宅から通学する学生に比べて、約55万円高く生活費がかかっています。
さらに、下宿住まいの学生の生活費の内訳を見ると、「家庭からの給付」がどれくらいあるかが分かります。
学生生活費「下宿・アパート、その他」から通う場合(単位:円)
費目 | 国立 | 公立 | 私立 | |
---|---|---|---|---|
収 入 |
家庭からの給付 | 1,164,800 | 981,300 | 1,637,100 |
奨学金 | 317,400 | 436,600 | 464,900 | |
アルバイト | 320,800 | 367,000 | 334,600 | |
定職収入・その他 | 50,000 | 40,500 | 60,400 | 計 | 1,853,000 | 1,825,400 | 2,497,000 | 支 出 |
授業料 | 487,700 | 486,500 | 1,073,500 |
その他の学校納付金 | 8,900 | 17,500 | 162,500 | |
修学費 | 47,000 | 46,500 | 45,700 | |
課外活動費 | 26,900 | 13,100 | 23,300 | |
通学費 | 8,500 | 12,100 | 17,700 | 小計(学費) | 579,000 | 575,700 | 1,322,700 |
食費 | 288,400 | 265,600 | 267,400 | |
住居・光熱費 | 530,400 | 493,000 | 483,000 | |
保健衛生費 | 40,200 | 43,900 | 43,100 | |
娯楽・嗜好費 | 136,900 | 137,400 | 135,700 | |
その他の日常費 | 146,900 | 173,400 | 162,400 | 小計(生活費) | 1,142,800 | 1,113,300 | 1,091,600 | 計 | 1,721,800 | 1,689,000 | 2,414,300 |
出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」(詳細版)【分割版】集計表(大学・短期大学)PDF 「A-1表 居住形態別・収入平均額及び学生生活費の内訳(大学・昼間部)」の「下宿、アパート、その他」の項
「家庭からの給付」は、国立大学生116万4,800円、公立大学生98万1,300円、私立大学生163万7,100円となっています。
これが学生の収入のどれくらいを占めるのかを表したものが、以下のグラフです。
出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」
「家庭からの給付」が約60%を占めています。安定した収入があるので、滞納の可能性は極めて少ないでしょう。学生向けアパートの経営では、安定した家賃収入が見込めることが最大のメリットといえるでしょう。
なお、未成年者の入居者や親に頼らないで家賃を支払う学生でも、不動産屋の斡旋により家賃保証会社の審査が入ります。連帯保証人の代わりをしてくれる保証会社を利用している入居者であれば、安心して物件を貸すことができるでしょう。
2-2.入居・退居のタイミングがつかめやすい
入居や退居のタイミングがつかめやすいのも、学生向けアパートのメリットです。
4年制大学の学生であれば、通常は4年間で卒業するため、入居時期からどれくらいの年数で退居となるか、予定が立てやすくなります。入学と卒業・退学のサイクルを把握することで、空室リスクを防ぐことができます。
在学中に途中で退去する可能性は低く、また卒業による退居で空室が発生してもまた次の新入生が入居するので、入居率も安定します。
2-3.収益性の高い間取りにできる
学生向けアパートの間取りは、単身者向けのワンルームや1Kと同等とするのが一般的です。
同じ敷地面積でも、戸数を多くできるワンルームや1Kなど単身者向けの間取りは、収益性が高くなるメリットがあります。
また、仮に学生の入居者がない場合でも、社会人の単身者に貸し出すなどして、空室リスクを避けることができます。
なお、賃貸経営のメリットやリスク対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。
3. 学生向けアパート建築のデメリット
一方、学生向けアパート建築には、以下のようなデメリットが挙げられます。
- 学校の移転で賃貸ニーズがなくなる
- 競合物件が多い
- 原状回復費がかかる
順番に見ていきましょう。
3-1.学校の移転で賃貸ニーズがなくなる
学生向けアパートの最大のデメリットは、大学の存在に大きく依存している点です。
近年は都市部にある大学が郊外に移転したり、またここ数年では郊外の大学が都市部へ移転したりする事例が増えています。学生を獲得するために、大学や学部の改編も盛んになっています。
付近にある大学そのものの移転やキャンパスの統合・廃止によって、その地域での賃貸ニーズがなくなることがあります。
3-2.競合物件が多い
所有する土地の付近に学校があれば、入居者の賃貸ニーズも期待でき、安定した収入の見込めるのが学生向けアパートのメリットです。ただし、それだけ学生をターゲットにした競合物件が多くなるというデメリットもあります。
学生向けアパートの収益性が高いことは、不動産業界ではよく知られています。競合物件が増えると、空室リスクも高くなることが予想されます。
3-3.原状回復費がかかる
学生向けアパートでは、学生の入居・退去のタイミングがつかめやすいのがメリットです。しかし、在学期間の4年を目処にそれが繰り返されるため、その都度、原状回復のための工事が必要となり、費用がかかります。
もし、原状回復工事を怠って古臭い印象を持たれてしまった場合、次の入居者を獲得するのが難しくなり、長期で空室リスクが発生してしまうことも考えられます。
4.学生向けアパート経営を成功させるポイント
では、学生向けアパートの経営を成功させるためのポイントを整理しておきましょう。
以下のポイントがあります。
- 学生の需要だけに頼らない
- 競合物件と差別化する
- 維持管理に手を抜かない
なお、以下の記事ではアパート経営を成功率について詳しくご紹介しています。
4-1.学生の需要だけに頼らない
学生向けアパートの経営を成功させるためには、学生の需要だけに頼らないという意識が重要です。一見矛盾する考え方かもしれませんが、デメリットでもご紹介したように、学生向けアパートは付近にある大学などが移転してしまうと、賃貸ニーズそのものがなくなってしまうリスクがあります。
そのため、大学の動向によって学生の入居者がいなくなる場合に備えて、他の賃貸ニーズにも応えられるようなリスクヘッジが大切です。
向けアパートも入居者を確保が難しくなるリスクは常にあります。
具体的には、社会人の単身者もターゲットとして呼び込めるように工夫をすると、間取り等を改築することなく対応できるでしょう。会社員であれば、学生同様に年度初めが就職や退職のタイミングとなることも多く、対応しやすいでしょう。
なお、以下の記事では社員寮を経営するメリットとデメリットについて、詳しくご紹介しています。
4-2.競合物件と差別化する
学生向けアパートは高い収益性が期待できるメリットがある反面で、競合物件が多いデメリットがあります。競合物件が増えると、空室リスクが高くなることが予想されます。同じ地域内で学生入居者の獲得合戦は避けられません。
こうした状況に対応するには、周辺の競合物件との差別化を図ることが重要です。差別化で一番効果的なのは、家賃を引き下げることです。ただし、どのくらい引き下げれば良いのか判断できないこともあるでしょう。そうした場合は、インターネットで賃貸大手ポータルサイトの「家賃相場」を確認しましょう。周辺の競合物件によって家賃相場が変動していないかチェックし、同時に間取りや付帯設備などに差がないかリサーチします。所有するアパートと競合物件を比較することで、差別化のポイントも見えてきます。
また、入居者の獲得には仲介会社の協力も大切です。大学と提携していたり、学生向け賃貸物件の仲介が得意だったりする仲介会社などと早い段階から連携して、入居者の獲得を目指しましょう。
さらに近年では、賃貸物件探しにインターネットを利用するのが主流です。賃貸大手ポータルサイトに「学生向け物件」として登録しましょう。可能であれば、「合格前予約」のできる賃貸物件として登録しておくのもおすすめです。新入生をターゲットに入居者の募集をしっかり行うようにしましょう。
4-3.維持管理に手を抜かない
新入生の入居者を募集する際には、維持管理に手を抜かないことも重要です。入居希望者の内見までに原状回復をしっかり確認し、印象が悪くならないように努めましょう。
なお、学生向け賃貸アパートの入居・退居をスムーズに行うには、定期借家契約とする方法もあります。退居者の在学期間に合わせて契約満了となる賃貸契約をあらかじめ交わしておけば、確実に退去がなされます。新規の入居募集や原状回復工事の予定が立てやすく、効率的です。
なお、以下の記事ではアパートの委託管理について、詳しくご紹介しています。
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5.学生向けアパート建築の注意点
高い収益性が望める学生向けアパートですが、建築する前に気を付けておきたい注意点があります。以下の注意点です。
- 立地が良いか確認する
- 設備を充実させる
- 学校の動向をチェックする
5-1.立地が良いか確認する
学生向けアパートの建築は、付近に大学があることが前提条件となります。特に通学するのにアクセスが良い立地であるかどうかが重要になります。
日本学生支援機構「学生生活調査」では、通学時間の統計があります。
片道通学時間 | 東京圏 | 京阪神 | その他 |
---|---|---|---|
0〜10分 | 25.1 | 39.5 | 51.1 |
11〜20分 | 35.4 | 38.0 | 35.4 |
21〜30分 | 17.5 | 11.0 | 9.2 |
31〜60分 | 17.7 | 7.8 | 3.3 |
61〜90分 | 3.6 | 2.3 | 0.8 |
91〜120分 | 0.4 | 0.9 | 0.2 |
121分以上 | 0.3 | 0.4 | 0.1 |
出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」(詳細版)【分割版】集計表(大学・短期大学)PDF 「O-1表 居住形態別・地域別片道通学時間(大学・昼間部)」の「下宿、アパート、その他」の項(平均)
下宿やアパートなどに住む大学生の通学時間は、片道20分以内が多いという結果が出ています。東京圏では21~30分の割合もやや多めですが、これは住宅難や家賃相場が関係していると思われます。
また、一人暮らしの大学生の通学手段としては、以下のような統計があります。
大学生の通学手段としては徒歩や自転車などが多く、できるだけ交通費がかからない立地である方が望ましいようです。
5-2. 設備を充実させる
家賃の滞納が少ないことが、学生向けアパートのメリットです。これには保護者が代わって家賃を振り込んだり、仕送りをしたりするという背景があります。
学生向けアパートの入居者を確保するには、学生の趣味に合っていることも大事ですが、親御さんの安心を確保することがなにより大切です。
入居する学生本人だけでなく、保護者に安心してもらうためには、防犯やセキュリティの設備を充実させましょう。エントランスのオートロックやモニター付きインターホン、防犯カメラなどが設置されていると、保護者も安心できるでしょう。アパートの共有部分や周辺の手入れが行き届いていると、好印象が得られるので注意しましょう。
また、学生向けアパートでインターネット環境は必須です。課題やレポート、論文の執筆のほか、コロナ禍ではオンライン受講も普及しました。インターネットを入居者が個人で契約する場合、工事費や月額使用料などを支払わなければなりません。しかし、アパートのオーナー側で設備し、入居者が無料でインターネットを利用できれば、魅力的な物件となります。
全国賃貸住宅新聞の「入居者に人気の設備ランキング」によれば、「インターネット無料」は5年連続1位となっている人気設備です。
順位 | 設備 |
---|---|
1位 | インターネット無料 |
2位 | エントランスのオートロック |
3位 | 高速インターネット(1Gdps以上) |
4位 | 宅配ボックス |
5位 | 浴室換気乾燥機 |
6位 | 独立洗面台 |
7位 | システムキッチン |
8位 | 防犯カメラ |
9位 | 24時間利用可能ごみ置き場 |
10位 | ウォークインクローゼット |
出典:全国賃貸住宅新聞 「入居者に人気の設備ランキング2023」
このほか、学生に好まれる設備としてはバス・トイレ別の水回りなどが挙げられます。
こうしたアパート設備は、学生だけでなく社会人の単身者にも向いているため、空室リスクを回避することにもつながります。
5-3. 学校の動向をチェックする
学生向けアパートの最大のデメリットは、大学の移転によって賃貸ニーズがなくなってしまうことです。そのリスクを回避するために、大学の動向を常にチェックすることが肝心です。
キャンパスの移転だけでなく、学部の新設や縮小・廃止、入学定員数の変化など、入居者に影響しそうな動向をキャッチするようにしておきましょう。
また、今後検討しておくことをおすすめしたいのは、外国人留学生の受け入れです。日本は治安が良いこともあり、留学する外国人留学生も今後増加することが予想されます。そうした外国人留学生の入居を受け入れることができれば、近隣の競合物件と差別化もできます。
ただし、外国人留学生の受け入れは、生活習慣の違いや言葉の壁があるため、対応策が必須となります。大学や卒業後の就職先となる外資系企業などには、保証人となって賃貸契約を代行している場合もあるので、確認してみると良いでしょう。
なお、以下の記事では外国人向け賃貸経営について、詳しくご紹介しています。
6. 学生向けアパート建築を相談するなら
学生向けアパートを建築して賃貸経営を成功させるには、メリットとデメリットをよく理解して、競合物件と差別化することが重要です。
また、アパート建築を相談できるアパートメーカーや建築会社などのパートナーを選ぶことも大切です。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」では、土地の情報を入力することで、土地活用プランを複数社へ一括で請求できます。学生向けアパートについて相談できるパートナー探しに、ぜひご利用ください。
学生向けアパートのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 家賃の滞納が少ない
- 入居・退居のタイミングがつかめやすい
- 収益性の高い間取りにできる
詳細は「学生向けアパート建築のメリット」をご一読ください。
学生向けアパート経営を成功させるポイントには、以下の点が挙げられます。
- 学生の需要だけに頼らない
- 競合物件と差別化する
- 維持管理に手を抜かないとなる
詳しくは「学生向けアパートを成功させるポイント」をご一読ください。
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