社員寮の建設費はいくらくらい?土地活用で社員寮を建築するメリット・デメリット
会社の福利厚生として、所有地に社員寮を建てる土地活用方法があります。会社で寮を建てると、その建物は会社所有の資産になるため、会社の財務状況が良くなることがあります。また、入社や転勤にまつわる業務・経費の負担も軽減されます。
今回は、社員寮を建設するメリットとデメリットを比較したうえで、どのような社員寮を作れば、より経営効率が良く、福利厚生として社員に良い影響が与えられるようになるのかを解説します。
寮建設について不安や悩みがある方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U 土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。建てたい土地や予算から、どんなハウスメーカーに依頼すればいいのかが複数社一括で比較できます。
1.社員寮建設をする5つのメリット
本章では、社員寮を建設するメリットを5つにまとめています。
- 会社の資産を有効活用できる
- 離職率が下がり採用枠が広がる
- 節税対策になる
- エリア条件に左右されにくい
- 一般住宅への転用もできる
1-1.会社の資産を有効活用できる
会社所有の土地に建てる社員寮は、自社の社員を住まわせれば会社の福利厚生になりますし、将来、寮を利用する社員が少なくなった場合は、他企業の借り上げ社宅として貸し出すこともできます。
どちらにしても、そこに寮として使える建物があるからこそ、土地からの利益が発生します。現在、会社保有の遊休地がある場合には、積極的に社員寮建設を検討してみる価値があります。
1-2.離職率が下がり採用枠が広がる
社員寮は福利厚生の一つですので、社員は同エリアの賃貸住宅を借りるよりも格段に安く住めます。費用負担割合は会社によって違いますが、税法上における社員寮の家賃相当額は3つの計算の合計額を指します。仮に、延床面積が660平米(200坪分)、固定資産税額と土地建物それぞれが100万円だった場合、家賃相当額は以下のようになります。
(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2% | 100万円×0.2%=2,000円 |
12円×(建物の総床面積を平米換算したもの) | 12円×660=7,920円 |
(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22% | 100万円×0.22%=2,200円 |
合計 社員寮の家賃相当額(サンプル) | 11,920円~ |
【参照:国税庁 使用人に社宅や寮などを貸したとき】
これだけ安ければ、寮以外の就労条件が同等であれば、社員は転職をするよりも会社に残りやすくなり、結果、離職率が下がります。企業にとっては社員から賃料の一部を徴収することによって、事業収入が増えますので、社員寮を作ると、会社と社員の両方にメリットが発生します。
さらに、これから入社を検討する新卒や転職者にとっては、上京や引っ越し費用の心配をせずに応募できますので、会社にとっては社員の採用枠が広がり、より優秀な人材を雇うことができます。
1-3.節税対策になる
社員寮の建設費は減価償却費として、寮の運営にかかる費用は福利厚生費として経費計上されますので、社員寮を持つと節税効果が期待できます。遊休地であった場合は、人が住むための土地建物に対して住宅用地の特例が適用されますので、固定資産税が最高で1/6まで下がります。さらに、寮費が社員の給与から天引きされると社員の所得税が下がりますので、会社の社会保険料の負担額軽減につながります。
寮に入る社員はわずかな寮費を支払うだけですので実質的な収入が増え、さらに、寮費は給与天引きされるので、本人の所得税額も割安になります。
社員寮を持つことは、社員と会社の双方に節税効果が期待できるというメリットにつながります。
1-4.エリア条件に左右されにくい
ご所有の土地が人気のあるエリアの駅前など、土地条件もエリア条件も良い場合であれば、マンションやアパートを建てても満室経営が期待できます。しかし、駅から遠くて生活利便性が高くない場合は、一般的な土地活用をしても、リスクの方が高くなる可能性があります。
しかし、社員寮であれば、会社に通いやすい条件さえクリアできていれば、駅から遠くても問題がありません。また、近隣に生活利便性の高い施設などがなくても、敷地内に食堂や売店を設ければよいので、エリア条件に左右されにくい土地活用ができます。
1-5.一般の賃貸住宅にも転用可
社員寮を作るときに、はじめから社外の人も借りる前提で設計をすれば、寮を使う社員が減ってきたときにも、一般の賃貸住宅に転用して収益物件にすることが可能です。一般の賃貸物件と社員寮の一番大きな違いは、共同で使う食堂や風呂などがあることですので、バストイレ付の部屋を整備すれば建築基準法上「共同住宅」として扱われ、あとで一般賃貸に切り替えることができます。
土地の節税対策の相談は一括プラン請求からが便利です。
2.社員寮建設4つのデメリット
社員寮を所有することで、以下のようなデメリットも発生します。本章では、デメリットの内容と、対策案をあわせて解説します。
- 100坪以上の広い土地が必要
- 管理費と修繕費がかかる
- 老朽化に伴い稼働率が落ちる
- はじめに建築費がかかる
2-1.100坪以上の広い土地が必要
会社の規模にもよりますが、福利厚生として社員に提供するのであれば、不公平感がでないよう、なるべく数多くの社員に提供できる体制を整える必要があります。
なるべく数多くの社員に部屋を提供するためには、大きな建物を建てられる広い土地が必要です。建ぺい率や容積率などの土地条件にもよりますが、最低でも100坪(330平米)くらいの広さは必要です
<デメリットへの対策>
ご所有の土地が100坪以下の場合は、社員寮に加えて、福利厚生として住宅手当も設けておくことで、住居に関した福利厚生を社員が選べるという公平性を保てます。また、近隣に空き地がある場合には、買い足してより広い土地にすることも検討してみてください。
2-2.管理費と修繕費がかかる
社員寮は複数の人が暮らすための場所ですので、美化清掃や建物設備のメンテナンスなど、プロによる管理が必要になります。寮によっては大浴場や食堂があり、一般の賃貸物件よりも共用部分が広くなります。これらのメンテナンス管理の費用は、全て会社負担になります。
<デメリットへの対策>
メンテナンス費用は発生しますが、経費として計上でき、会社としての節税になります。また、管理費を入寮者から徴収することも可能です。
2-3.老朽化に伴い稼働率が落ちる
社員寮も5年10年と経過していくうちに、建物のあちこちに修繕箇所が出てきます。社員寮は会社の施設で、新規入居者が他物件と比較して入居するタイプの不動産ではないため、苦情も出にくい傾向です。そのため、敷地内の各所に適切なメンテナンスをしないままで放置いると、見た目も内部も「古い建物」という印象になりやすく、手を入れないことによって劣化スピードも速くなります。
老朽化によって入寮する人が減ってくると、使われない部屋はますます傷んでいきますので、メンテナンス費用が増えていき、寮の経営を圧迫し始めるようになります。
<デメリットへの対策>
必要な個所に適切なメンテナンスをすることにより、経年劣化スピードを遅くすることはできます。社員寮は福利厚生ですので、建物や設備が古いという理由で極端に安い賃料や無料にしてしまうと、会社から社員への利益供与とみなされてしまい、その分が課税されます。そのため、社員寮はどんなに古くても、税法で決められた範囲の適切な金額を徴収する必要があります。
社員が寮費を払うからには、会社側は使用に不便のない範囲で適切なメンテナンスをする必要があります。寮経営に強い管理会社に委託管理をすることで、会社の財務状況にあった、適切な提案を受けられます。
2-4.はじめに建築費がかかる
寮を建てるためには、はじめに建築費が必要です。建設総額がいくらになるのかは、エリアとプランによっても変わりますが、アパート一棟、マンション一棟に相当する規模のものですので、かなりのまとまった金額が必要です。
<デメリットへの対策>
社員寮の建設費は、会社の設備投資のひとつとして、全額を会社の経費負担にできます。ただし、一般の不動産経営とは違い、社員から徴収できる賃料はわずかです。寮経営をする前提でさまざまな経営計画と運営計画をシミュレーションしておく必要があります。まずは、複数の寮建築プランを請求し、たくさんのプランから、予算のめやすを把握するようにしてください。プラン入手は、一度の入力で最大10社にまでプラン請求が可能な「HOME4U土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
3.社員寮の建築費めやす
本章では、社員寮を建てるときの、建築費めやすのつけ方をまとめています。
- 建築費めやす
- 補助金を探してみよう
3-1.建築費めやす
ひとくちに寮と言っても、木造アパート風の建物から、共同の浴場・キッチン・食堂がついた学生寮のようなスタイルまで、幅広い選択肢があります。一般的な建設費の出し方は、構造坪単価に建物の延床面積をかけたものになります。
アパートの構造 | 構造坪単価 | 建築費めやす(延床面積100坪の場合) |
---|---|---|
木造 | 77~97万円 | 77~97万円×100坪=7,700~9,700万円 |
鉄骨造 | 84~104万円 | 84~104×100坪=8,400~1億400万円 |
鉄筋コンクリート造 | 92~120万円 | 92~120×100坪=9,200~1億2,000万円 |
※HOME4U調べ
寮の場合は、トイレ・風呂・キッチンを共同にすると、建物内の個室設備を少なく建てることもできるため、一般的なアパートやマンションよりも割安になる傾向があります。寮に必要な設備や間取りは、自社の社員構成などをもとにして検討します。
3-2.補助金を探してみよう
自治体によって、雇用促進や若い人材の県外流出を抑制するため、社員寮建設などに関した補助金があります。このような補助金は、自治体の予算や状況により、年度ごとに内容の変更がありますので、社員寮建設を検討し始めた時点で、建築予定地の自治体に確認をしておく必要があります。以下は、2023年11月現在の補助金事業例です。
自治体 | 補助金名 | 補助内容 | 限度額 |
---|---|---|---|
厚生労働省 | 作業員宿舎等設置助成コース | 作業員宿舎等設置への助成金 | 2/3まで |
山口県光市 | 中小企業等人財定着・定住支援補助金 | 社員寮として使う民間住宅の借上げ費 | 50万円 |
兵庫県丹波市 | 丹波市設備投資支援事業補助金交付制度 | 福利厚生施設の新築及び改装事業 | 50万円 |
茨城県八千代市 | 社宅・社員寮整備支援事業 | 社員寮の建設・整備に対するもの | 300万円 |
北海道室蘭市 | 社宅建設等支援事業補助金 | 社宅、寮等の住環境整備 | 1,000万円 |
社員寮建設をご検討中の方は、まずは、複数のハウスメーカーや建築会社に、社員寮の建設プランを請求し、現在ご所有の土地であれば、どのような建物が建設可能かを確認してください。複数のプランを比較したうえで、良さそうな会社には、建設予定地に現地調査と会社の見学に来てもらい、不動産のプロフェッショナルとして、エリアと社員に必要だと思われる社員寮を提案してもらいます。
複数の社員寮建築プランを請求する際には、一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができる、「HOME4U土地活用」をご利用ください。日本で最老舗の不動産情報のプラン請求サイトですので、社員寮建設と経営に関して、信頼と実績のある企業の中で、相性の良い企業を提案しています。
4.社員寮で土地活用を成功させる4つのポイント
社員寮経営を成功させるために大切なポイントを、以下の4つにまとめました。
- 一般賃貸部分を含むかはプランの段階で決めておく
- 社員寮+アルファの機能を持たせるようにする
- 飲食の機能をつける
- 「アクセス」機能を充実させる
4-1.一般賃貸部分を含むかはプランの段階で決めておく
一般的な社員寮は、玄関・キッチンまたは食堂・トイレ・バスなどは共用であり、寝室だけが各入居者用に用意されている学生寮のような建物です。同じく社員寮と呼ばれていても、ファミリー世帯向けに作られているものは、各住戸に玄関・キッチン・トイレなどがあり、賃貸アパートやマンションなどの共同住宅とほぼ同じつくりをしています。
将来、社員以外の方への賃貸も想定するのであれば、学生寮タイプの社員寮には、各部屋にビジネスホテルなどのような小型の冷蔵庫やキッチンが設置できるスペースがある方が、入居者が付きやすくなります。そのためには、あらかじめ配線と配管だけはしておく必要があります。
ファミリー向け寮は社員しか利用しない場合、お互いに生活スタイルも似通っており、顔見知り同士ですので、共同住宅につきものの音や臭いのトラブルは発生しにくい傾向にあります。しかし、一般賃貸にもする予定であれば、音が響きにくい構造や資材を使うなど、一般の共同住宅との競合にも負けないレベルの建物にしておく必要があります。
遠い将来、社員寮をどのように使う計画があるかによって建築プランが変わります。建物の仕様変更は、後からはできないものもありますので、プランニングの段階で想定しておかなければなりません。
4-2.社員寮プラスアルファの機能を持たせるようにする
社員寮を建設すると、木造ならこの先20年以上、鉄筋コンクリート造であれば50年以上も利用することになります。長い年月の間には、ライフスタイルや、世の中の利便性も変わっていきます。つい最近も、コロナ禍によって、リモートワーク化が進んだり、宅配サービスの発展で個食化が進んだりと変化している現状です。
このような早い時代の変化に対応できるように、建物に可変性を持たせられるようにしておきます。例えば、社員寮の食堂やカフェテリアとして使う部分は、将来的に会社の研修施設としても使える、またはレジャー健康施設(フィットネス・室内運動用施設など)に転用できるようにしておく、などです。
さらに、災害時の緊急避難施設としても使えるような設計にしておくと、寮に住んでいる社員だけではなく、会社全体やエリア全体で利用できる、機能性の高い価値のある建物になります。
4-3.飲食の機能をつける
社員寮を建てる場所が、駅から遠い、郊外にあるなどで利便性が高くない場合には、寮内または寮の敷地内に食堂や深夜まで営業している店舗を併設しておく必要があります。特に独身寮の場合は、最低でも社員が朝食と夕食を調達できるだけの機能は、福利厚生である以上は必要です。
近隣に24H営業のコンビニエンスストアやファミリーレストランがない場合は、社員の飲食に不便が出ないように気を付けておく必要があります。寮付属のカフェテリアを昼間の時間帯は周辺エリアの住民が喫茶店としても利用できるようにするなど、社員寮にプラスアルファの機能を付けることで、利便性が高く、利益も出せる寮経営が期待できます。
4-4.「アクセス」機能を充実させる
社員寮を建築する場所が、駅から遠く、近隣にコンビニ・スーパー・ドラッグストアがないなど、生活利便性の高い場所ではない場合には、駅やショッピングモールへ自由に移動できるように、社員の足の代わりになるものを複数使えるような配慮が必要です。
例えば、自転車を利用する方向けに自転車置き場を用意する以外にも、自転車を所有していなくても使えるレンタル自転車やレンタルキックボードのステーションを設置しておくなど、社員が自分で自由にどこにでも行けるようにしておきます。レンタル自転車やキックボードは、会社にもステーションを置いておけば通勤にも使えます。このようなシェア自転車は、エネルギーのリユースという観点から、国が積極的な導入を支援していますので、自治体によっては導入支援補助金が用意されていることがあります。
また、活用予定地が会社から遠い場合には、朝晩の決まった時間に社バスなどでのピストン輸送をするなど、通勤の不便さを補うアイデアを考えておく必要があります。また、高速Wi-Fiの完備などによる、ネットアクセスの良さも必要です。今後も、テレワークによる在宅勤務の選択肢があることは、新卒や転職者にとっては、企業を選ぶときの大切な労働条件のひとつです。プライベートでも仕事でも、快適なネット環境を会社側が用意しておく必要があります。
5.会社の寮建設で気を付けるべき7つのポイント
本章では、寮を建てるときに検討段階から考慮しておくべきポイントを7つにまとめました。どれも会社の福利厚生として機能しながら、賃貸住宅としても成功させるために大切な要素です。検討する際には、不動産のプロとしての視点も必要になるため、ハウスメーカーや建築会社へプラン請求をして、担当者に相談してください。
- 住宅設備と機能を充実させる
- 個別契約が主流になる前提にする
- 他社でも使えるようにする
- セキュリティを強化する
- 土地が足りない場合は近隣の土地をプラス
- 良質な管理会社を探す
- 複数のハウスメーカーや建設会社にプラン請求をする
5-1.住宅設備と機能を充実させる
入寮する社員の立場に立って、現代のライフスタイルに合った設備と機能をそろえるようにしてください。寮は会社の福利厚生施設であり、社員にとっては毎日の生活をする場所です。暮らしやすさを大前提にプランを考えてください。
一般的に、独身向けの社員寮には共同大浴場、共同キッチン、共同リビングなどがありますが、このような設備は、年代によっては全く使わない可能性もあります。先に、社内でアンケートを取るなどして、ニーズを確認するとよいでしょう。これらの情報は、ハウスメーカーや建築会社の担当者も、自社の統計データとして持っています。相談すると自社の社員寮にピッタリのプランが見つかる可能性が高くなります。
さらに同じエリアの人気物件を参考にして、必要だと思ったものは標準設備としたほうが社員には喜ばれます。また、せっかく家賃が安くても、外食ばかりでは出費が多くなりますので、寮内や敷地内での食堂やカフェテリア機能、または近隣のスーパーなどにサッと行けるような環境作りも大切です。
5-2.個別契約が主流になる前提にする
一般的に、社員寮を会社が所有している場合は、入寮希望者は「社員寮の使用契約書」を会社と直接取り交わします。これに対して、社員寮の個別契約とは、社員が不動産管理会社を通じて入寮契約を結ぶ方法です。
どちらも会社の福利厚生を使用するための契約ですので、一般的な賃貸契約のような連帯保証人や敷金礼金制度はなく、多くの場合が更新期間や更新料もありません。また、社員からすると、どちらの契約方法でも、あまり違いは感じないことのほうが多いでしょう。
しかし会社からすると、社員寮は転勤者のために会社が住居を用意する機能でもありますので、不動産管理会社を通じた契約方法にしておくと、転勤の時期に合わせて適切な部屋数の確保をしやすくなります。
例えば、来春に合計で20名の新卒者・転勤者が来ることが決まっていて、社員寮に空きが10名分しかない場合には、会社に早くなじんでほしい新卒を優先的に寮に入れ、転勤の方は不動産管理会社が提携をしている、近隣のマンションを一時的に社宅として利用してもらうなど、柔軟な対応ができます。
5-3.他社も使えるようにする
前項で解説をした個別契約方法を選択することによる、二次的なメリットです。社員寮を経営しているうちに、自社の社員があまり寮を使わなくなり、空室が目立つようになることもあります。寮を個別契約にしておくことで、近隣エリアで寮を探している企業向けに、空室を提供できるようになります。
寮の空室が多い場合は、他社の借り上げ社宅として、一部または全部を貸し出すこともできます。借り上げ社宅の場合は、その部屋数を数年単位で他企業に借り上げてもらうことになりますので、不動産経営上の「空室」の概念がなくなり、賃貸住宅としては一定期間の安定収入を確保できます。
5-4.セキュリティを強化する
寮建物のセキュリティは、一般のアパートやマンションレベルと同程度にしておいた方が、入寮者が集まりやすくなる傾向にあります。特に、管理人が常駐ではない場合には、エントランス部分の防犯カメラ、エントランスのスマホ入館認証、大き目の宅配ボックス設置をするなど、入寮者以外の人物が出入りできないような工夫が必要です。
また、同じ会社に勤める社員同士であっても、今の時代、プライバシーは大切です。個室には鍵をつけて、先輩や同僚でも勝手には室内に入れないようにするなど、現代のライフスタイルに合った配慮をするようにしてください。
5-5.土地が足りない場合は近隣の土地をプラス
土地が持つ条件から建てられる建物の規模が決まり、その範囲内で部屋数を確保することになりますので、社員寮を建てる土地は、広い方がより良い建物が建てられます。社員寮を建てる場合には、最低でも100坪の広さは必要です。
寮はキッチン・バス・トイレが共同であることが多いため、個室は一般的なワンルーム(25平米)の部屋よりも小さい傾向がありますが、それでも、快適に暮らすためには15~20坪程度の広さは必要です。
単純計算で、50坪の土地に15~20坪の部屋をぎっしり詰め込んだ場合、ワンフロアには2~3部屋しか作れません。しかし100坪あれば5~6部屋が確保できるようになります。あとは建築条件によって、上方向にフロアを増やせる分だけ部屋数がとれますので、土地は広いほうが利益を最大化しやすくなります。
もし、ご所有の土地の周辺に空き地や売地がある場合は、そこを買い足してより広い敷地にしてから寮建設をするほうが、社員寮経営としては成功しやすくなり、福利厚生施設としても機能しやすくなります。これらはご自分で探すよりも、プラン請求をしたハウスメーカーや建築会社の担当者に相談をして、近隣にまとまった敷地がないか探してもらうことをおすすめします。
5-6.良質な管理会社を探す
寮の管理内容は、もっともシンプルなものであれば、美化清掃、設備管理、安全管理の3つです。管理内容は会社の就労スタイルによって変わります。例えば、社員が基本的に9時17時などの決まった時間にしか勤務せず、食堂も設置しないのであれば、管理は週何回かの出勤で対応できます。しかし、営業や出張などで早朝から深夜まで人の出入りがある、共同の大浴場・食堂・キッチンなどがある場合には、安全管理・建物管理・衛生管理のために、常駐または日勤の管理人を置いておく必要が出てきます。
同じ社員寮でも、共有部分が少なく、ほぼ一般のアパートやマンションと変わらないタイプであれば、管理人はゴミの日などに合わせて出勤すればよいことになります。寮をどのような管理体制にするのかは、寮建設を検討し始めた段階から考えておく必要があります。
どのような管理方法をするにしても、管理会社がスピーディでスムーズな対応をすることにより、寮に住む社員たちはストレスなく暮らせるようになります。社員寮のプランを比較するのと同様に、複数の管理プランを請求し、良質な管理会社を探しておく必要があります。
【参照:賃貸経営HOME4U】
5-7.複数のハウスメーカーや建設会社にプラン請求をする
社員寮の建設を検討し始めたら、まずは社有地にどのような規模の建物が建てられるのかを、ハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして確認しておきます。プランの中には、建設費めやすも記載されていますので、どのくらいの初期費用が必要なのかなどを、会社の財務担当者と一緒に確認することで、適切な節税対策が打てるようにもなります。
プランは最初から会社を決め打ちするのではなく、なるべく数多くのハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして、たくさんの候補の中から、最適だと思われるプランを選び出してください。社員寮に共同の浴場や食堂などを設置する場合には、寮建設の実績の多いハウスメーカーや建築会社に相談する必要があります。たくさんのプラン請求する際には、一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができる「HOME4U土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
社有地に寮を建設することで得られるメリットは以下の通りです。
- 会社の資産を有効活用できる
- 離職率が下がり採用枠が広がる
- 節税対策になる
- エリア条件に左右されにくい
- 一般住宅への転用もできる
詳しくは「社員寮建設をする5つのメリット」で解説しています。
寮建設を成功させるための注意点は以下の通りです。
- 住宅設備と機能を充実させる
- 個別契約が主流になるようにする
- 他社でも使えるようにする
- セキュリティを強化する
- 土地が足りない場合は近隣の土地をプラス
- 良質な管理会社を探す
- 複数のハウスメーカーや建設会社にプラン請求をする
それぞれの注意点については「会社の寮建設で気を付けるべき7つのポイント」をご一読ください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。