【詳しく解説】建築費1億5000万円で建てられるアパートのイメージと収益期待値

建築費1億5000万円の予算でアパートを新築する場合、どのようなアパートが建てられるのでしょうか。また、そう収益期待値がどのくらいになるのかも気になるところです。
この記事では、建築費1億5000万円で建てられるアパートをシミュレーションしながら、期待できる収益や利回りなどについてご紹介します。
この記事では、以下のことが分かります。
- 建築費1億5000万円で建てられるアパートのイメージ
- アパート建築費用の内訳
- 建築費1億5000万円で建てられるアパートのシミュレーション例
- 建築費1億5000万円のアパート収益期待値
なお、アパート経営を含む土地活用について相談したいという方は、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」をぜひご活用ください。以下のボタンから簡単に最大10社の土地活用プランの入手が可能です。
この記事の内容
1.建築費1億5000万円で建てられるアパートのイメージ
建築費1億5000万円で建てられるアパートのイメージをつかむには、坪単価を参考にするとだいたいの規模感が分かります。
アパート本体の本体工事費(建築費用)は、以下の数式でおおよそを計算できます。
本体工事費(建築費用) = 坪単価 × 延べ床面積
建築費1億5000万円と想定し、坪単価を設定すると、延べ床面積(階数)を逆算できるでしょう。
なお、坪単価の相場は、アパートの構造別や地域別によって異なります。
アパートの建築費については、以下の動画や関連記事も併せてご確認ください
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1-1.構造別でのアパート建築費の相場
坪単価の相場は、アパートの構造別では以下のように異なります。
アパート構造別 建築費坪単価の相場
木造 | 坪当たり77万~100万円 |
---|---|
軽量鉄骨造 | 坪当たり80万~100万円 |
重量鉄骨造 | 坪当たり90万~120万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 坪当たり90万~120万円 |
※HOME4U調べ
木造はもっとも一般的な工法で、2~3 階建てのアパート建築でよく採用されます。
鉄骨造は鉄骨部材の厚さの違いにより、軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けられます。
鉄筋コンクリート造(RC造)は、木造や鉄骨造と比較してより強固な工法です。4階建て以上の建物で検討すべき構造です。
建築費1億5000万円の予算であれば、木造はもとより、鉄骨造もしくは鉄筋コンクリート造も検討できるでしょう。
1-2.地域別でのアパート建築費の相場
地域別の坪単価相場は、国土交通省の「建築着工統計調査」が参考になります。全国の都道府県や主要都市における建築費のデータ統計ですが、ここでは2022年度の主な都道府県別の坪単価相場をご紹介します。
地域(主な都道府県)別 建築費坪単価の相場
主な都道府県 | 木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造(RC造) |
---|---|---|---|
北海道 | 52.8万円 | 69.3万円 | 56.1万円 |
東京都 | 66万円 | 102.3万円 | 125.4万円 |
神奈川県 | 59.4万円 | 92.4万円 | 82.5万円 |
愛知県 | 56.1万円 | 79.2万円 | 56.1万円 |
大阪府 | 52.8万円 | 79.2万円 | 75.9万円 |
福岡県 | 49.5万円 | 72.6万円 | 69.3万円 |
出典:国土交通省|建築着工統計調査(2022年度)
※坪単価は1平米あたりの価格に3.3をかけて計算
地域別の坪単価相場では、都市部の方が高くなる傾向があります。首都圏でも、東京都が突出しています。これは建築工事の際、資材や重機の搬入が難しい、近隣へ配慮するための設備が必要になるなどの理由で、工事費用の追加が多くなるためです。
2.建築費1億5000万円で建てるアパートの費用内訳
アパート建築の初期費用には、アパート本体の建築工事費のほかにもさまざまな経費が含まれます。
アパート建築の予算を1億5000万円と想定される場合、本体工事費以外にどのような経費がかかるのか理解しておきましょう。
アパート建築にかかる初期費用の内訳は、主に以下の3つです。
- 本体工事費
- 別途工事費(付帯工事費)
- 諸費用
なお、アパート建設をローコスト化する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
2-1.本体工事費
本体工事費は、アパートの建物本体の建築費です。
初期費用の大部分を占めますが、これには建物の基礎や躯体に加え、外装、内装の設備も含まれます。
なお、アパートメーカーや建築会社によって、内装の設備費を別途のオプション費用として追加請求する場合があるので、予算見積もりの際に注意しましょう。
2-2.別途工事費(付帯工事費)
別途工事費(付帯工事費)は、アパート本体以外に工事が必要となった場合にかかる費用です。地盤改良工事や駐車場の整備、ライフラインを引き込む工事の費用などです。
すでに建っている建物を解体しなければならない場合は、解体費用が別途工事費として請求されることもあります。
別途工事費は、総工費の20%程度を目安にすると良いでしょう。
2-3.諸費用
諸費用は、それ以外にかかる経費です。地盤の調査費用やアパート建物の設計費、税金、保険料などです。
設計費は、大手建築会社であれば設計部門があるので総工費の1%〜3%で依頼できます。工務店や設計事務所の場合は7%〜8%が相場です。また、アパートローンを組む際の手数料や、司法書士に支払う報酬なども含みます。
諸費用は、総工費の10%程度が目安となります。
3.アパート建築費1億5000万円のシミュレーション
アパートの建築費は、建物の構造や階数によっても見積もりが異なってきます。
建築費1億5000万円の予算で、どのようなアパートが建築できるのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
3-1.木造2階建てアパートの場合
アパート経営では、ワンルームなど単身者向けの画一的な間取りにするイメージが強いかもしれません。
しかし、土地のニーズも考慮してファミリー向けの間取りも用意したいということがあるかもしれません。そうした場合は、設計の自由度が利く木造にして、ワンルームとメゾネットタイプを併設することも可能です。メゾネットタイプは、集合住宅で2階建ての間取りのことです。
以下は、100坪の土地で木造2階建て、ワンルームとメゾネットタイプを併設したアパートのシミュレーション例です。
<設定条件>
- 土地面積100坪
- 木造2階建て
- 1K×4戸、2LDKメゾネットタイプ×3戸
- 坪単価77万円
- 土地の建ぺい率60%、容積率200%の場合


<建築費シミュレーション>
- 本体工事費等
77万円×120坪=9,240万円 - 付帯工事費
9,240万円×20%=1,848万円 - 諸費用
9,240万円×10%=924万円 - ※建築費総計
9,240万円+1,848万0円+924万円=1億2,012万円
3-2.軽量鉄骨造2階建てアパートの場合
鉄骨造は、鉄骨の厚みによって軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分かれます。2~3階建てのアパートを低予算で建てたいのなら、軽量鉄骨造がおすすめです。
以下は、100坪の土地に軽量鉄骨造2階建てのアパートを想定したシミュレーション例です。ワンルームと1Kで14戸が入居できます。
<設定条件>
- 土地面積100坪
- 軽量鉄骨造2階建て
- 1R×8戸、1K×6戸
- 坪単価85万円
- 建ぺい率60%、容積率120%


<建築費シミュレーション>
- 本体工事費等
85万円×105坪=8,925万円 - 付帯工事費
8,925万円×20%=1,785万円 - 諸費用
8,925万円×10%=892万5,000円 - ※建築費総計
8,925万円+1,785万円+892万5,000円=1億1,602万5,000円
なお、鉄骨造アパートの坪単価については以下の記事でも詳しく解説しています。
3-3.重量鉄骨造3階建てアパートの場合
重量鉄骨造は、2~3階建てのアパート建築に向いた構造です。
ただし、2階建てに比べて3階建ての場合は、構造計算等が必要になるため、坪単価が高くなることもあります。
以下は、60坪の土地に、重量鉄骨造で3階建てアパートを想定したシミュレーション例です。
<設定条件>
- 土地面積60坪
- 重量鉄骨造3階建て
- 坪単価100万円
- 坪単価100万円
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費等
100万円/坪×120坪=1億2,000万円 - 別途工事費+諸費用
1億2,000万円×30%=3,600万円 - ※建築費総計
1億2,000万円+3,600万円=1億5,600万円
3-4.重量鉄骨造4階建てアパートの場合
アパートメーカーや建築会社には、建材を自社工場で生産して規格化アパートのブランドを展開している会社が多くあります。重量鉄骨造を採用し、規格化アパートを提供する会社も多く、耐久性とローコスト化を実現しています。耐震性や遮音性に優れているのも、重量鉄骨造のメリットです。
以下は、延べ床面積140坪、重量鉄骨造で4階建てのアパート(メゾネットタイプ)を想定したシミュレーション例です。
<設定条件>
- 重量鉄骨造4階建て
- 2LDKメゾネットタイプ×3戸
- 坪単価100万円
- 延べ床面積140坪
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費等
100万円×140坪=1億4,000万円 - 付帯工事費
1億4,000万円×20%=2,800万円 - 諸費用
1億4,000万円×10%=1,400万円 - ※建築費総計
1億4,000万円+2,800万円+1,400万円=1億8,200万円
3-5.軽量鉄骨造3階建て賃貸併用住宅の場合
土地活用の方法として、自宅と賃貸アパート経営とを両立できるのが賃貸併用住宅です。オーナーが住む自宅部分とアパート部分を併設した建物とすることができます。鉄骨造は間取りを広くし、強度も出せるので、賃貸併用住宅に向いた構造です。
以下は、軽量鉄骨造3階建てで賃貸併用住宅を想定したシミュレーション例です。
<設定条件>
- 軽量鉄骨造3階建て
- 賃貸併用住宅
- 坪単価95万円
- 延べ床面積120坪
<建築費シミュレーション>
- 本体工事費等
95万円×120坪=1億1,400万円 - 付帯工事費
1億1,400万円×20%=2,280万円 - 諸費用
1億1,400万円×10%=1,140万円 - ※建築費総計
1億1,400万円+2,280万円+1,140万円=1億4,820万円
賃貸併用住宅は、自宅の部分が含まれるため、建築坪単価は高めとなります。
一方、住宅ローンを利用して資金調達ができるメリットもあり、家賃収入を自宅のローン返済に充てることができます。
賃貸併用住宅については、以下の記事でも詳しく解説しています。参考にしてみてください。
4.建築費1億5000万円のアパート収益期待値
アパート建築費として1億5000万円の予算を想定するなら、どのくらいの収益が見込めるのかも知りたいところでしょう。
ここからは、アパート経営の利回りやランニングコストについて解説します。
以下のポイントが、注意点として挙げられます。
- 実質利回りで収益を計算する
- アパート経営の利回り相場
- 維持管理費や空室率に注意する
- 節税対策と資産運用
利回りなどを試算し、資金計画を検討すると良いでしょう。
なお、以下の記事では、アパート経営を始める際の初期費用・自己資金について詳しく解説しています。
4-1.実質利回りを計算する
アパート経営の利回りを知るには、「表面利回り」の計算式で簡単に求めることができます。
表面利回り = 年間賃料収入 ÷ 投資額(アパート本体価額)
年間賃貸収入を、建物に投資した額(アパート本体価額)で割ると、表面利回りになります。
ただし、表面利回りでは年間の支出額(経費)が考慮されていないため、実際の収益期待値とはなれません。あくまでも参考程度に考えるようにしましょう。
アパートの収益力(稼ぐ力)をより正確に把握するには、「実質利回り」(NOI利回り)で計算します。実質利回りは、国際的に投資家が用いている標準的な利回りです。アパート経営では、理想的な実質利回りは5%〜となります。
通常、アパートローンの金利相場は2%〜4.5%です。実質利回りが5%を上回っていれば、余裕もあるでしょう。
実質利回りは、以下の計算式で求められます。
実質利回り(NOI利回り) = 年間純利益(NOI) ÷ 投資額(アパート本体価額)
まず、年間純利益(NOI)を求めます。NOIはNet Operating Incomeの略で、年間の賃貸収入から支出を差し引いて求めます。
【年間純利益(NOI)を求めるときに差し引く支出】
- 固定資産税および都市計画税
- 損害保険料(火災保険等)
- 管理委託料(管理会社へ支払う管理料)
- 軽微な修繕費(クロスの張替え費用や空室対策費用等)
- 入居者募集費用(仲介手数料)
ここで注意しなければならないのは、本来は支出と考えられる「借入金の返済額」や「減価償却費」、「大規模修繕費」などを含まず、差し引く点です。差し引く支出は、一般的に賃貸収入の15%~30%となります。
なお、実質利回りは表面利回りから簡易的に求めることができます。以下は表面利回りが7%、NOIの費用の合計割合が20%であった場合の実質利回りです。
表面利回り:7%
NOIの費用の合計割合:20%
NOI利回りの概算値 = 表面利回り × (1 ― NOIの費用の合計割合)
= 7% × (1 - 20%)
= 5.6%
利回りについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
4-2.アパート経営の利回り相場
アパート建築費が構造や地域によって相場が異なることをご紹介しましたが、利回りも地域によって異なります。日本不動産研究所 「不動産投資家調査」(2023年10月現)によると、賃貸物件の期待利回りの相場は、主な都市別で以下のようになります。
主な都市別の期待利回り相場
主な都市 | ワンルーム | ファミリー向け |
---|---|---|
東京 城南地区(目黒・世田谷) | 3.8% | 3.8% |
東京 城東地区(墨田・江東) | 4.0% | 4.0% |
札幌 | 5.0% | 5.0% |
仙台 | 5.0% | 5.1% |
さいたま | 4.6% | 4.6% |
千葉 | 4.7% | 4.8% |
横浜 | 4.4% | 4.4% |
名古屋 | 4.5% | 4.6% |
京都 | 4.7% | 4.8% |
大阪 | 4.4% | 4.4% |
神戸 | 4.8% | 4.9% |
広島 | 5.2% | 5.2% |
福岡 | 4.6% | 4.6% |
出典:日本不動産研究所|第42回不動産投資家調査(2023年10月現在)(PDF)
※すべての建築構造を含めた数値
ワンルームとファミリー向けの間取りで、それぞれの都市別に期待利回りの相場が分かります。
ただし、期待利回りは、不動産投資の市場調査における期待値で、実際の利回りとは異なります。こちらも、あくまで目安として参考にすると良いでしょう。
4-3.維持管理費や空室率に注意する
建築費などの初期費用だけでなく、維持管理費や空室率などを事前に考えておくことも、アパート経営では重要です。高い利回りの収益率を求めるだけではなく、ランニングコストやリスクにも配慮しましょう。
例えば、アパート建築の規模が大きくなれば、その分、維持管理費もかさみます。また、地域のニーズに合わない設計や間取りのために空室率が高まれば、期待していた収益率も下がってしまい、アパートローンの返済にも苦労することになります。
事前に賃貸物件に対するニーズをよくリサーチし、中長期的な資金計画を立てて、どのようにアパート経営するのか検討するようにしましょう。
4-4. 節税対策と資産運用
所得税や住民税は、アパート経営の賃貸収入(利益)に課税されます。そのため、必要経費が認められれば税額が少なくなり、節税対策になります。
また、アパート経営が赤字になっても、「損益通算」(利益と損失を相殺すること)によって他の所得にかかる税金を減らすこともできます。
例えば、会社勤めなどで高い給与所得を得ている場合、損益通算によって税金が還付される場合もあります。
その意味で、アパート経営は不動産投資として、取りかかりやすい資産運用の方法でもあります。
不動産投資としてのアパート経営や節税対策について、以下の記事でも詳しく解説しています。
5.アパート建築費1億5000万円で依頼するならプランを比較
建築費1億5000万円でアパート経営を検討するには、信頼できるアパートメーカーや建築会社へ設計プランや資金計画プランを依頼し、比較検討するのがおすすめです。
「HOME4U 土地活用」では、土地の情報を入力することで、複数社からアパート建築プランを一括請求できます。
アパート建築費には相場があり、1億5000万円で建てられる条件を確認できます。
- 構造別でのアパート建築費の相場
- 地域別でのアパート建築費の相場
詳細は「建築費1億5000万円で建てられるアパートのイメージ」をご一読ください。
新築アパートの収益期待値を知るには、以下のポイントが大切です。
- 実質利回りで収益を計算する
- アパート経営の利回り相場
- 維持管理費や空室率に注意する
- 節税対策と資産運用
詳細は「建築費1億5000万円のアパート収益期待値」をご一読ください。
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