【基本を解説】定期借地権の基礎知識とメリット・デメリット
本記事では、土地を貸したい方、借りたい方の両方を対象に「定期借地権」について解説します。定期借地権の種類や、メリット・デメリットについて理解を深めることが可能です。
1.定期借地権は4種類ある
定期借地権とは「期間を定めて土地を貸す権利」のことで、下記の4種類があります。
- 一般定期借地権
- 事業用定期借地権
- 建物譲渡特約付借地権
- 一時使用目的
契約期間や利用目的の制限、借地契約の終了時の返還方法など、それぞれ違いがあります。
一般定期借地権 | 事業用 定期借地権 |
建物譲渡特約付 借地権 |
一時使用目的 | |
---|---|---|---|---|
契約期間 | 50年以上 | 10年以上 50年未満 |
30年以上 | 一時的に決められる |
契約形式 | 公正証書 | 公正証書 | 書面 | 決められる |
利用目的制限 | なし | 事業用のみ | なし | 決められる |
借地契約の終了タイミング | 契約期間の満了 | 契約期間の満了 | 30年経過時点で譲渡を特約 | 決められる |
借地契約の終了時 | 更地にして返還 | 更地にして返還 | 貸主が建物を買い取る | 決められる |
また「借地料の相場」もそれぞれ異なりますが、一般的な相場は以下のとおりです。
借地の使われ方 | 借地料の相場(年間) |
---|---|
個人用(住宅) | 更地価格の1.5〜3% |
事業用(店舗など) | 更地価格の4〜5% |
借地料の相場や計算方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
1-1.一般定期借地権とは
一般定期借地権とは契約期間満了後、貸主である地主は確実に土地を取り戻すことができる借地権です。
契約更新や期間延長をすることはできません。
一般定期借地権 | |
---|---|
契約期間 | 50年以上 |
契約形式 | 公正証書 |
利用目的制限 | なし |
借地契約の終了タイミング | 契約期間の満了 |
借地契約の終了時 | 更地にして返還 |
一般定期借地権では契約期間が最低50年とされ、マンションや老人ホームといった継続的に居住する建物の借地として利用されることが多く、安定した収入と相続税の節税効果が見込めます。
借主が住居用の建物を建てた場合も、固定資産税が軽減される点もポイントです。
1-2.事業用定期借地権とは
事業用定期借地権とは、事業用建物の所有を目的とした定期借地権のことです。
事業用定期借地権 | |
---|---|
契約期間 | 10年以上50年未満 |
契約形式 | 公正証書 |
利用目的制限 | 事業用のみ |
借地契約の終了タイミング | 契約期間の満了 |
借地契約の終了時 | 更地にして返還 |
契約期間は10年以上50年未満となっており、比較的短期で終了できる借地権になります。
定期借地権の一種なので、契約満了時に確実に土地を取り戻すことができ、地主にも正当事由は不要です。
1-3.建物譲渡特約付借地権とは
建物譲渡特約付借地権とは、借地権設定後30年以上経過した日に地主が建物を買い取ることで消滅する借地権のことです。
建物譲渡特約付借地権 | |
---|---|
契約期間 | 30年以上 |
契約形式 | 書面 |
利用目的制限 | なし |
借地契約の終了タイミング | 30年経過時点で譲渡を特約 |
借地契約の終了時 | 貸主が建物を買い取る |
貸主が建物を買い取れば確実に借地権が終了しますが、築30年以上の建物を買い取るメリットがないため、実態としてはあまり利用されていません。
1-4.一時使用目的とは
借地借家法25条で「臨時設備の設置その他一時用のために借地権を設定したことが明らかな場合」と規定されている借地権のひとつで、以下のように任意で設定できる項目が多いのが特徴です。
一時使用目的 | |
---|---|
契約期間 | 一時的に決められる |
契約形式 | 決められる |
利用目的制限 | 決められる |
借地契約の終了タイミング | 決められる |
借地契約の終了時 | 決められる |
以上から、「短い期間」で貸したい、借りたいケースにおいては、この契約方法がおすすめです。
土地活用を検討する際には、複数の企業にプランを請求し、比較・検討することが大事です。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」を使えば、最大10社から土地活用プランを無料で請求することが可能です!
土地活用を検討するなら、
まず一括プラン請求を!
土地活用を検討する際にはなるべく数多くの会社にプランを請求し、比較するのが良いでしょう。
2.【貸主向け】借地権付与のメリット・デメリット
本章では、貸主の方にとっての、4種の借地権それぞれのメリット・デメリットについてまとめています。
借主の方にとってのメリット・デメリットは「3.【借主】各借地権のメリット・デメリット」で解説しています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一般定期 借地権 |
50年以上、安定した収入がある | 50年間、土地が使えなくなる |
事業用 定期借地権 |
高い地代を設定できる | 相続税効果が低い |
建物譲渡 特約付借地権 | 30年以上安定した収入がある | 建物を買い取る必要がある |
一時使用 目的 |
短期間の契約が可能 | 賃料が安い |
以下からそれぞれ詳しくメリット・デメリットをご説明します。
2-1.【貸主向け】一般定期借地権付与のメリット・デメリット
一般定期借地権には、相続・生前贈与含めた長期的な土地活用を検討している方にとって、大きなデメリットはありません。
貸主の メリット |
|
---|---|
貸主の デメリット |
|
相続税、固定資産税の節税効果も高く、利用制限もないため、メリットの多い借地権です。
契約時に、建物を建てる場合には建物買取請求権はないと記載して契約するのが一般的です。
2-2.【貸主向け】事業用定期借地権付与のメリット・デメリット
一般定期借地権との違いは、利用目的が事業用に制限される点と契約期間が最短10年になる点です。
貸主の メリット |
|
---|---|
貸主の デメリット |
|
利用目的が事業用に制限されるため、借主の事業者の事業内容によっては、高い地代が設定できる点もメリットのひとつです。
2-3.【貸主向け】建物譲渡特約付借地権付与のメリット・デメリット
建物譲渡特約付借地権は、貸主が建物を買い取る必要があり、経年劣化や耐用年数を超えた建物を買い取った場合デメリットの方が大きく、実態としてはあまり利用されていません。
貸主の メリット |
|
---|---|
貸主の デメリット |
|
2-4.【貸主向け】一時使用目的のメリット・デメリット
一時使用目的は「自由度が高い契約形式」である点が大きな特徴です。
契約形式や契約期間、利用目的など幅をもって契約ができます。
貸主の メリット |
|
---|---|
貸主の デメリット |
|
自由度が高い反面、契約内容をしっかり確認しましょう。
土地活用を検討する際には、複数の企業にプランを請求し、比較・検討することが大事です。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」を使えば、最大10社から土地活用プランを無料で請求することが可能です!
土地活用を検討するなら、
まず一括プラン請求を!
土地活用を検討する際にはなるべく数多くの会社にプランを請求し、比較するのが良いでしょう。
3.【借主向け】借地権取得のメリット・デメリット
本章では、借主の方にとっての、4種の借地権それぞれのメリット・デメリットについてまとめています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一般定期 借地権 |
利用目的の制限がない | 「更地」にして返還する必要がある |
事業用 定期借地権 |
契約期間が短い | 「更地」にして返還する必要がある |
建物譲渡 特約付借地権 | 建物買取請求権があるため、買い取ってもらえる | 契約更新ができない |
一時使用 目的 |
家賃が相場に比べて安くなる傾向にある | 解約の申入があった場合、断ることができない |
以下からそれぞれ詳しくメリット・デメリットをご説明します。
3-1. 【借主向け】一般定期借地権取得のメリット・デメリット
一般定期借地権には利用目的による制限がなく、大きなデメリットはありません。
借主の メリット |
|
---|---|
借主の デメリット |
|
契約更新はできず、契約満了後には「更地」にして返還する必要があります。
3-2.【借主向け】事業用定期借地権取得のメリット・デメリット
借主の メリット |
|
---|---|
借主の デメリット |
|
一般定期借地権と同様、契約満了後には「更地」にして返還する必要があります。
3-3.【借主向け】建物譲渡特約付借地権取得のメリット・デメリット
借主の メリット |
|
---|---|
借主の デメリット |
|
借主のデメリットは契約更新ができない点のみですが、実態としてはあまり利用されていない借地権です。
3-4.【借主向け】一時使用目的のメリット・デメリット
借主の メリット |
|
---|---|
借主の デメリット |
|
一時使用目的は「自由度が高い契約形式」である点が大きな特徴で、借主の使用目的に合わせて契約内容を貸主に相談することができ、家賃が相場に比べて安い傾向があります。
一方、貸主から解約の申入があった場合に断ることができない点は留意して契約しましょう。
土地活用を検討する際には、複数の企業にプランを請求し、比較・検討することが大事です。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」を使えば、最大10社から土地活用プランを無料で請求することが可能です!
土地活用を検討するなら、
まず一括プラン請求を!
土地活用を検討する際にはなるべく数多くの会社にプランを請求し、比較するのが良いでしょう。
4.定期借地権付きマンションについて
定期借地権付マンションとは、貸主が期限付きで土地の賃借を行い、そこに建てられた建物の所有者が地代を支払う形式です。
契約期間満了時には、建物を解体し更地にして地主に返還するのが原則で、貸主から立退料などは支払われません。
借主の メリット |
|
---|---|
借主の デメリット |
|
定期借地権とは、「期間を定めて土地を貸す権利」のことで、以下の4種類があります。
- 一般定期借地権
- 事業用定期借地権
- 建物譲渡特約付借地権
- 一時使用目的
詳細は「1.定期借地権は4種類ある」にて解説しています。
4種の借地権それぞれのメリット・デメリットをざっくり比較しました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一般定期 借地権 |
50年以上、安定した収入がある | 50年間、土地が使えなくなる |
事業用 定期借地権 |
高い地代を設定できる | 相続税効果が低い |
建物譲渡 特約付借地権 | 30年以上安定した収入がある | 建物を買い取る必要がある |
一時使用 目的 |
短期間の契約が可能 | 賃料が安い |
詳細は「2.【貸主・地主】各借地権のメリット・デメリット」にて解説しています。
4種の借地権それぞれのメリット・デメリットをざっくり比較しました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一般定期 借地権 |
利用目的の制限がない | 「更地」にして返還する必要がある |
事業用 定期借地権 |
契約期間が短い | 「更地」にして返還する必要がある |
建物譲渡 特約付借地権 | 建物買取請求権があるため、買い取ってもらえる | 契約更新ができない |
一時使用 目的 |
家賃が相場に比べて安くなる傾向にある | 解約の申入があった場合、断ることができない |
詳細は「3.【借主】各借地権のメリット・デメリット」にて解説しています。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。