土地を貸したら固定資産税は安くなる?土地を貸す方法と複数の節税効果
土地活用には、持っている土地を貸し出すだけというシンプルな方法があります。収益性は大きくありませんが、初期費用も手間もかからず「固定資産税分だけでも収入があればよいな」という気軽な気持ちでスタート出来ます。半面、土地を貸す契約後はご自分の土地でも自由にはできなくなりますので、注意が必要です。
この記事を読むと、
- 土地の貸し方は複数の種類がある
- 土地をどう貸すかは土地オーナーが「今後どうしたいのか」を整理して決める必要がある
- 土地を貸す前に、土地に合った活用方法を検討することも重要
といったことがわかります。
なお、「土地活用方法について、まだ迷っている」「いろんな土地活用方法を提案してほしい」という方は、下のボタンからご自身の土地に合った経営プランの一括請求をすることもできます。ぜひご利用ください。
1.土地を貸す2つの方法
土地を貸す方法は大きく分けて2種類あります。個人・企業のどちらでも、土地オーナーが貸し出す土地に建物を建てることを認めた上で貸し出すと、借地権が発生し借地借家法が適用されます。
1-1.普通借地契約
将来において、貸し主借り主ともに合意の上で更新をすることが前提の借地です。契約期間は一回目が30年、二回目からは10年くらいの期間で借りるのが一般的です。これよりも長い期間には設定できますが、短くすることはできません。
法的には、契約期間が終了したときに、土地の上に建物がある場合には、貸し主と借り主の間に合意が無くても、借り主からの希望があれば、それまでと同じ条件で更新できます。
土地オーナーに正当な理由があれば、更新時に更新拒否をする権利はありますが、正当な理由が認められるかは、その時の貸し主借り主の事情によります。
よく「土地を貸したら一生返ってこない」と言われるのは、土地オーナーからの更新拒否が通りにくいこと、更新拒否が原因でトラブルになることが理由です。
1-2.定期借地契約
貸した土地を確実に返してもらいたい時に結ぶ契約です。多くの土地オーナーは、土地を貸して有効活用したくても、もしかしたら土地が返ってこない可能性があれば、貸すことに慎重になります。
定期借地契約では、一定期間が経過したら、貸していた土地が必ず返却され、更新は行わないという特約を付けることが制度として認められています。
定期借地には3種類あり、契約期間や目的によって土地オーナーが貸し方を選ぶことができます。
- 一般の定期借地契約
50年以上の期間を任意で設定する契約方法です。建てる建物に制限はありません。借り主が建てた建物を、土地オーナーに「買い取って下さい」という買取請求権が発生しません。 - 事業用定期借地契約
コンビニなどの店舗を作る時などに利用される契約方法です。10~50年未満の契約期間で、建物は事業用に限定されます。建物の買い取り請求権がありませんので、借り主である企業は、退去時に建物を撤去してくれます。 - 建物譲渡特約付き借地契約
契約期間は30年以上で、具体的な期間は当事者同士で契約時に決めます。建物の制限はありません。退去時には、土地オーナーが借り主の建築した建物を買い取ることが条件です。
2.土地からの賃料収入と節税効果
土地活用をしていない状態で土地を所有していると、固定資産税の負担が大変です。多くの方は「せめて固定資産税分だけでも、なんとかならないかな」と考えます。ご所有の土地を、実際に貸したらどのくらいの節税になるのかを解説します。
- 土地貸しで得られる収入の計算方法
- 地代に消費税は課されない
- 固定資産税額は変わらない
- 相続税対策としても使える
- 土地貸し以外にも節税方法はある
2-1.土地を貸して得られる収入の計算方法
土地から得られる収入の計算方法はいくつかありますが、最も計算方法が単純で、固定資産税や土地の維持のための費用を、必要経費に組み入れることができる「積算法」を紹介します。土地の賃料収入は地代と言います。
地代(土地の賃料)=A更地価格×B期待利回り2%+C必要経費
Bの期待利回りは、その年やエリアの状況によって違いが出るため、不動産のプロによる計算が必要です。一般的な試算をする場合には、不動産業界でも2%を適用します。例として、50坪の土地でシミュレーションしてみます。
例)土地代5,000万円 固定資産税その他が50万円の土地の場合
- A更地価格×B期待利回り2%+C必要経費
5,000万円×2%+50万円=150万円 地代相当額
実際のA更地価格は市場価格の8割程度で計算しますので、ご所有の土地の路線価を調べれば、おおよその金額を自分で確認することはできます。しかし、地代の計算方法は複数あり、どの計算方法が適切なのかは、プラン請求などで不動産のプロに判断してもらう方が、より現実に近い金額がわかります。
2-2.地代に消費税は課されない
土地活用全般に言えることですが、「居住用」として土地や建物の土地活用をした場合は、その収入に対して消費税は発生しません。消費税が非課税ということは、2023年10月からスタートするインボイス制度の登録も必要ありません。
例えば、貸した土地で戸建を建てる、マンション経営をする前提で貸す場合には、個人でも事業者でも、地代に消費税はかかりません。消費税が発生するときは、貸した土地で事業をする場合のみです。
別の言い方をすれば、せっかくアパートやマンションを建てられるだけの十分な土地があるのに、それを住宅の賃貸をする個人や事業者に貸してしまうと、土地オーナーはご自身では地代しか受け取れないことになってしまいます。
そのため、同じ土地活用をするのであれば、土地だけを貸すよりも、土地にアパートやマンションを建てて、住居として家賃を得る方が、持っている土地からの利益を最大化させることができます。このような比較検討は、建築プランを複数集めて比較すると、数字の上でもハッキリ理解できるようになります。
【参照:国税庁 インボイス制度】
2-3.固定資産税額は変わらない
土地を貸した場合でも、固定資産税の支払い義務者は、引き続き土地オーナーのままです。ただし、貸した相手が個人でも事業者でも、土地の上に住居(アパート・マンション・戸建て住宅など)を建てた場合は、固定資産税の住宅用地の特例が適用され、更地の時の1/6くらいの価格まで減額されます。
土地を借りている方が住居以外の事業をした場合には、固定資産税は更地の時と同じ値段になります。ただし、どちらの場合でも、土地を貸すことによって土地から収入が発生していますので、土地オーナーの固定資産税の負担は軽くなります。
2-4.相続税対策としても使える
人に貸している土地は、相続をして土地を受け継ぐ人が、自分の思った通りには土地を使えなくなるため、相続税評価額の減額をしてもらえます。さらに、貸している土地から発生している地代は、相続税の課税対象外なので、地代収入を相続税の支払いに充てることもできます。
相続税対策として貸地をご検討の場合は、複数のハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして複数の土地活用プランを理解した上で、税理士に相談をしてください。税金のプロであれば、どの方法が最も節税効果が大きいかを的確にアドバイスしてくれます。
2-5.土地貸し以外にも節税方法はある
土地を「貸す」ことを検討中の方の多くは、アパート経営などの本格的な土地活用をすることに負担を感じていて、なおかつ、固定資産税の支払いにも負担を感じている可能性があります。
土地を貸すと、地代を得ることができますが、土地は一旦貸してしまうと、手元に戻ってくる可能性が極めて低く、100%手元に戻る事業用借地は、住宅用地の適用ができなくなるため、固定資産税負担額が減りません。そのため、土地貸しは収入と比較すると、制約の多い土地活用方法ということになります。
土地活用方法は数多くあります。貸地以外の方法でも地代と同程度の収入を得る方法があり、なおかつ貸地のように制約が付きにくいものもあります。
例えば、コインパーキング経営のように、初期費用0円からスタート出来て、管理をすべて事業者に委託でき、ご自身が別の土地活用をしたい時には、即時撤去してくれるような土地活用方法もあります。
また、アパート経営のように、初期費用は大きくかかりますが、経営開始後は管理運営をすべて任せられるサブリース契約による経営方法もあります。
土地を貸すのは、あくまで数多くある土地活用方法の1つです。選択肢を知るために、複数のハウスメーカーや建築会社にプラン請求をしてみてください。プラン請求には、一度の入力で最大10社までの土地活用プランの請求ができる「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
ご所有の土地があるエリアや広さなどから、相性の良い土地活用方法のアイデアを、不動産のプロフェッショナルが無料で提案してくれます。気になるプランがあれば、現地調査に来てもらうことで、より具体的なプランを作ってもらえます。
3.土地の貸し方3STEP
これから土地を貸す場合、どんな流れになるのかを3STEPで説明します。
3-1.土地活用のプロフェッショナルに相談
複数のハウスメーカーや不動産会社などに相談をして、土地を貸す予定であることを伝えてください。担当者が土地オーナーのご意向などを十分に理解した上で、必要なプランをいくつか提案してくれます。
この時に、土地を貸すことに関した将来的な不安なども相談してください。例えば、土地オーナーのご意向によっては、貸すよりも売却してしまったほうが良いケースもあり、他の土地活用方法も含めて、広い選択肢の中から考えるようにしてください。
土地を貸す以外の土地活用をする場合でも、この時にプラン請求をして相談に乗ってくれた会社からパートナー会社を選ぶことが多くなりますので、担当者の受け答えの内容などもよく比較してください。
3-2.借主と契約する
土地を貸す方向で土地活用をすることが決まったら、契約をした不動産会社に借り主を募集してもらいます。借り主が見つかったら、賃貸経営をします。
借りてくれる方が知りあいであっても、必ず不動産会社を仲介させ、適切な契約書を作成してください。契約書には法的な効力がありますので、万が一、契約違反があった場合には契約期間中であっても、契約解除ができるような特約も付けてください。
契約前の段階で、担当者に契約書の下書きを見せてもらい、念のために弁護士に契約書の不備がないかを確認してもらうことで、今後のトラブルを回避できます。
3-3.確定申告して税金を納める
土地貸しがスタートすると、地代として賃料収入が入ってきます。年間の収入から必要経費を差し引いた金額が年間20万円以上あれば、確定申告をしてください。
サラリーマンなどの本業で給与収入をもらっている方も、不動産所得が年間20万円以上あれば、不動産の分だけ確定申告をする必要があります。
2023年10月からはインボイス制度が施行されますので、土地を借りている方が事業をしている場合は、地代に消費税が発生しますので、適用事業者登録をした上で消費税の納税・還付の申告も必要です。土地を借りている方が住居の運営をしている場合は、消費税非課税ですのでインボイスは不要です。
【参照:インボイス制度の概要】
4.土地を貸すときの5つの注意点
ご所有の土地を貸し出すときの注意点を5つにまとめています。
- 他の土地活用もあわせてプロに相談する
- 貸しにくい土地もあることを知っておく
- 賃料は変更される可能性があることを知っておく
- 貸出期間をハッキリさせておく
- 複数の不動産会社のプランを比較する
4-1.他の土地活用もあわせてプロに相談する
せっかく土地を所有しているのですから、はじめから「貸す」ことに限定せず、広い選択肢の中から土地活用方法を見つけるようにしてください。
また、ご所有の土地にどのような土地活用方法が適しているのかは、素人にはわからないのが普通です。数多くのハウスメーカーや建築会社に土地活用プランを請求し、不動産のプロフェッショナルの知見をもとに、適切なものを見つけてもらうようにしてください。
最終的な決定権は土地オーナーにありますので、複数の選択肢を比較検討すれば、ご所有の土地から利益を最大化する方法を発見できます。
4-2.貸しにくい土地もあることを知っておく
借り手がつきにくい土地があります。例えば、道路に面している部分が少ない旗竿地、敷地内に埋蔵物がある可能性が高い、土地条件で建物を制限している土地などです。
このような土地は、住居として土地を借りようとしている方にとっては、思ったような家やアパートが建てられない、事業として借りようとしている方にとっては、運営や経営がしにくいなど、想定しているビジネスを自由に展開させられない可能性があります。
ご所有の土地がそのような条件を持つ土地であった場合は、借り手がつきにくい可能性があります。まずは、貸す予定の土地がどのような条件を持ち、どのような建物であれば使えるのかなどを、調査しておく必要があります。
このような土地条件は、プラン請求をする際に、ハウスメーカーや建設会社が住所をもとに調査をしたうえで土地活用プランを出してくれます。
4-3.賃料は変更される可能性があることを知っておく
賃貸契約を取り交わし、賃料(地代)が決まっていても、契約の途中で賃料が変わることがあります。借地借家法では、「税金や社会情勢によって土地価格が上下した場合には、実勢の価格などと照らし合わせた時に、明らかに賃料とのバランスが取れていないとなった時には、契約書に書いてあっても賃料を変える請求ができる」という趣旨の文言があります。
基本的に土地を貸す契約は、定期借地契約でも最低10年、その他の契約では30~50年と長期になるため、社会背景がガラリと変わることがあり、契約時の状況と土地周辺エリアの条件が変わってしまうことは十分に考えられます。
賃料が上がる分には良いですが、下がってしまうこともあります。例えば、将来の年金代わりを想定していて賃料が下がってしまった場合などは、セカンドライフの計画が狂ってしまうことも十分にあり得ますので、エリアの開発計画なども考慮に入れて、適切だと思える賃料設定をしてください。
賃料の変更は、貸し主である土地オーナーが請求することもあれば、借り主から請求されることもあります。相続などで貸している土地を引き継いだ場合は、契約時と比較してバランスが悪くなっていないかも確認をして、適切な賃料を得るようにしてください。
【参照:借地借家法11条1項】
4-4.貸出期間をハッキリさせておく
土地は貸し出したら契約が解約になるまでは、戻ってきません。特に、普通借地契約をした場合には、借り主に更新の意志がある以上、よほどの理由がなければ解約は難しく、世間で言われる「土地は貸したら返ってこない」の通りになる可能性があります。
このようなトラブルを防ぐためには、土地オーナーがその土地を使って何をする予定であるかをハッキリさせるのが重要です。ご自分と子世代や孫世代までを含めて、ご所有の土地で土地を貸す以外の土地活用をしないのか、アパート経営などに乗り出すつもりがあるのか、相続対策はどうするのか、などです。
借り主になる方にも「最低でも〇年は借りたい、事業がうまくいくならずっと借りていたい」など、ビジネス上の計画がありますので、お互いの利害が一致する相手を探して貸す必要があります。
借り主が、貸した敷地に建物を建てることが前提の場合は、解約のタイミングで建物を買い取る意志があるのかどうかによって、契約方法を変えなければなりません。このように、土地を貸す土地活用にも、事前に考えておくべきことはたくさんあります。
4-5.複数の不動産会社のプランを比較する
土地を貸す土地活用をご検討の場合には、まずは「貸す」ことにこだわらず、ご所有の土地でどんな土地活用ができるのかを、全て知ってから、最善の方法を選び出すようにしてください。
複数の土地活用プランを比較検討していく中で、「こんな方法もあるのか」と発見があります。また、苦手意識のある土地活用方法も、ご自分の土地条件を前提にプランが出来上がるとリアルに感じられます。土地活用でどのようなメリットがあるのか、とてもよく理解できるようになるでしょう。
複数のプラン請求をする際には、一度の入力で最大10社までのプラン請求ができる、NTTデータグループの運営する、日本で最老舗の不動産情報サイト「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
不動産と土地活用のプロフェッショナルによる、適切な土地活用プランを無料で請求でき、一度にたくさんの会社のオリジナルプランが入手できます。その中で、どこの会社でも提案してきたプランは、おそらく、ご所有の土地に最も適した土地活用プランである可能性が高いでしょう。
最終的にどのような土地活用をするのかは、土地オーナーの判断にゆだねられますが、あらゆる可能性の中から取捨選択することで、ご所有の土地からの利益を最大化し、資産形成と資産拡大ができることだけは間違いがありません。
5.まとめ
何も活用していない土地がある場合、最もシンプルな土地活用が土地を貸すことです。土地の貸し方にも、長期間の貸し出しになるタイプと、一定期間が来たら必ず土地が返却されるタイプがあり、どちらにするのかは、土地オーナーがご所有の土地を将来にわたってどうする予定であるかと関係してきます。
土地を貸すことをご検討の場合は、まずは、土地活用プランをご請求いただき、複数の選択肢の中から、最善と思えるプランを探し出してください。
土地を貸すには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- 普通借地契約:将来的に、貸し主借り主ともに合意の上で更新をすることが前提の借地
- 定期借地契約:一定期間が経過したら、貸していた土地が必ず返却されることが可能な借地
定期借地にも種類があり「一般の定期借地契約」「事業用定期借地契約」「建物譲渡特約付き借地契約」から、契約期間や目的によって土地オーナーが貸し方を選ぶ必要があります。
詳しくは「土地を貸す2つの方法」をご確認ください。また、土地からの賃料収入の目安や節税効果については「土地からの賃料収入と節税効果」をご確認ください。
土地を貸すには、以下の3ステップで進めます。
- 土地活用のプロフェッショナルに相談
- 借主と契約する
- 確定申告して税金を納める
それぞれのステップについて、詳しくは「土地の貸し方3STEP」をご確認ください。
土地を貸す際、注意したいポイントは以下の5つです。
- 他の土地活用もあわせてプロに相談する
- 貸しにくい土地もあることを知っておく
- 賃料は変更される可能性があることを知っておく
- 貸出期間をハッキリさせておく
- 複数の不動産会社のプランを比較する
詳しくは「土地を貸すときの5つの注意点」をご確認ください。
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