【コンビニ経営で土地活用】知っておくべき注意点とは?
収益性の高い土地活用の一つにコンビニ経営があります。
コンビニ経営は都市部だけでなく、郊外でもできる希少な事業系の土地活用です。
ただし、コンビニの土地活用は、アパート経営にはないリスクも存在します。
土地活用でコンビニ経営を選択するなら、事前にメリットとデメリットを踏まえて判断することをおススメします。
この記事では、「コンビニ経営で土地活用をやってみよう」と検討中の方に向けて、
- 土地活用におけるコンビニ経営の方式
- コンビニ経営のメリットとデメリット
- コンビニ経営に向いている土地
- コンビニ経営の注意点
などについて解説します。
ぜひ最後までおつきあいいただき、適切な活用法を選択するためにお役立てください。
1.土地活用におけるコンビニ経営の方式
まずは、土地活用における「コンビニ経営の方式」について、3種類を解説します。
- 1.通常の建物建築方式
- 2.建設協力金方式
- 3.事業用定期借地権
それではひとつずつ見ていきましょう。
1-1.通常の建物建築方式
土地活用としてのコンビニ経営で最も一般的な形が、通常の建物建築方式です。
土地オーナーがコンビニのために建物を建築し、一棟貸しをするケースが該当します。
一棟貸しの場合には、建築前にコンビニからの出店要請があり、既にテナント(借主)が決まっているケースが通常です。
また、1階にコンビニをテナントとして誘致し、2階以上を住宅として貸す場合も通常の建物建築方式であるといえます。
通常の建物建築方式では、土地オーナーが銀行から建物資金のために融資を受け、建物を建築します。
土地所有者は建物所有者にもなり、コンビニへ建物を貸して家賃収入を得ます。
銀行への返済は、コンビニからの家賃の中から返済することになります。
1-2.建設協力金方式
土地の立地条件が良い場合、コンビニでは建設協力金方式による土地活用がなされるケースも多いです。
建設協力金方式とは、テナントであるコンビニが建物資金を土地オーナーに融資して、家賃の中からテナントへ建設資金を返済していくタイプの土地活用になります。
建設協力金方式では、テナントが借主と銀行の2つの役割を果たします。
土地所有者はテナントから建築資金の融資を受け、テナントから受領する家賃の中からテナントに対し借入金の返済を行います。
銀行がテナントに入れ替わっただけであるため、建設協力金方式の建物所有者はあくまでも土地オーナーです。
建設協力金方式の場合、テナントは通常の銀行よりも有利な条件で融資をしてくれます。
土地オーナーには、銀行からお金を借りるよりも低い金利で借りることができる等のメリットがあります。
また、テナントは土地オーナーに建築資金を貸し付けていることから、そう簡単に撤退するわけにはいきません。
少なくとも貸したお金を返してもらいたいと考えるため、建設協力金方式は撤退されにくいというメリットもあります。
1-3.事業用定期借地権
コンビニの土地活用では、事業用定期借地権による出店のケースも多いです。
事業用定期借地権とは、事業用の建物を所有することを目的とした定期借地権の一種になります。
定期借地権とは、賃貸借契約の期間が満了すれば、確実に借地契約が終了する借地権のことです。
事業用定期借地権は借地事業であるため、建物所有者はテナントです。
土地オーナーは、テナントから地代収入を得る形になります。
建物投資はテナントが行うことから、土地所有者は何も投資をせずに土地活用をすることができ、借入金を借りたり返済したりする必要もありません。
また、テナントは建物投資を行ってまでも出店するため、事業用定期借地権の場合は撤退リスクがかなり低くなる点もメリットです。
2.コンビニ経営のメリット
コンビニ経営のメリットについて、本章では以下の3点を解説します。
- 1.賃料が高い
- 2.初期投資か比較的少ない
- 3.一棟貸しのため管理が容易
それではひとつずつ見ていきましょう。
2-1.賃料が高い
コンビニは家賃負担力が高く、賃料が高いのがメリットです。
賃料が最も高いのはドラッグストアですが、コンビニはその次くらいになります。
コンビニは地方でもでき、なおかつ、賃料が高いので魅力的な土地活用といえます。
2-2.初期投資が比較的少ない
初期投資が比較的少ない点もメリットです。
コンビニは、郊外型の一棟貸し店舗では延床面積が90坪程度となります。
軽量鉄骨で建築が可能であり、仮に坪45万円で建てたとしても4,050万円程度です。
2-3.一棟貸しのため管理が容易
郊外型のコンビニは一棟貸しのため管理が容易です。
日常的な小修繕もコンビニが対応しますので、撤退されない限り、貸主は基本的にほとんどやることがありません。
3.コンビニ経営のデメリット
コンビニ経営のデメリットについて、本章では以下の3点を解説します。
- 1.賃料減額要請を回避しにくい
- 2.撤退リスクが高い
- 3.後継テナントの賃料が大きく下がる
それではひとつずつ見ていきましょう。
3-1.賃料減額要請を回避しにくい
郊外型のコンビニは一棟貸しとなることが多いです。
一棟貸しのコンビニでは、テナントからの賃料減額要請を回避しにくい点がデメリットとなります。
一棟貸しはテナントに退去されてしまうと家賃収入がゼロ円となってしまうことから、貸主側の交渉力は弱くなる傾向があります。
3-2.撤退リスクが高い
コンビニは、撤退リスクが高い点もデメリットとなります。
コンビニの撤退は、近隣に競合店が出店するケースが最もよくあるパターンです。
コンビニは差別化しにくいビジネスであることから、商圏内に他店ができると顧客を簡単に奪われ、売上を大きく落とします。
アパートなどは、仮に近くにアパートができたとしても入居者が全員退去するようなことはありません。
コンビニの撤退リスクの高さは、他の土地活用と比べるとかなり高いといえます。
3-3.後継テナントの賃料が大きく下がる
コンビニは、退去された後の後継テナントの賃料が大きく下がる点もデメリットです。
場合によっては後継テナントの家賃がコンビニの半額以下となってしまうケースもあります。
コンビニは、フランチャイズ本部の各社が動向を把握していますので、コンビニが退去した後に他のコンビニが入るケースはほとんどありません。
コンビニが撤退したという事実は、「あそこでコンビニ経営は無理だ」というメッセージとなってしまい、退去後に他のコンビニは入ってくれないのです。
コンビニは家賃が高いだけに、次に入る業種の家賃は大幅に下がることになります。
4.コンビニ経営に向いている土地
では、コンビニ経営に向いている土地の条件とは、どのようなものでしょうか?
土地の条件について、以下の2点を解説します。
- 1.建築可能な用途地域
- 2.コンビニ経営に適した土地
それではひとつずつ見ていきましょう。
4-1.建築可能な用途地域
コンビニは原則として、建築可能な用途地域が定められています。
用途地域とはエリアによって建築可能な用途を規定している規制のことです。
用途地域は13種類あります。
コンビニは、都市型店舗の場合は少なくとも50坪(約165平米)程度、郊外型店舗の場合は少なくとも80坪(約264平米)程度の店舗面積が必要です。
コンビニは、建築基準法上の店舗に該当します。
150平米超かつ500平米以下の面積の店舗を建てられる地域は、原則として以下の用途地域になります。
【150平米超かつ500平米以下の店舗が建てられる用途地域】
用途地域 | 建築可否 |
---|---|
第一種低層住居専用地域 | 例外規定有 |
第二種低層住居専用地域 | 例外規定有 |
第一種中高層住居専用地域 | 〇 |
第二種中高層住居専用地域 | 〇 |
第一種住居地域 | 〇 |
第二種住居地域 | 〇 |
準住居地域 | 〇 |
田園住居地域 | × |
近隣商業地域 | 〇 |
商業地域 | 〇 |
準工業地域 | 〇 |
工業地域 | 〇 |
工業専用地域 | × |
市街化調整区域 | 例外規定有 |
結論からすると、コンビニはほとんどの用途地域で建築可能です。
用途地域の中には、低層住宅街である第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域があります。
第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域に関しては、原則としてコンビニを建てることはできませんが、一定の要件を満たす土地では許可を得ることでコンビニ建築が可能となる規制緩和が存在します。
また、市街化調整区域においても一定の要件を満たすとコンビニは建築可能です。
市街化調整区域とは市街化を抑制する区域のことであり、原則として建物を建てることができなくなっています。
ただし、市街化調整区域でも「市街化調整区域周辺に居住している者の日常生活に必要なもの(都市計画法第34条第1号)」に関しては建築が認められる例外規定があり、コンビニは多くの自治体の許可基準で「都市計画法第34条第1号」の対象業種とされています。
市街化調整区域でコンビニを建てるには、一定の基準を満たす必要がありますが、全く不可能ではないのです。
4-2.コンビニ経営に適した土地
コンビニ経営に適した土地について、郊外型店舗に絞って解説します。
郊外型店舗はトラックの運転手も主要なターゲットとなるため、トラックがゆったりと駐車できるような土地が望ましいです。
トラックが通るような幹線道路に面し、敷地の面積として少なくとも300坪以上あることが望まれます。
前面道路は中央分離帯がない道路が適切です。
中央分離帯がなければ、双方向から来客を引き寄せることができます。
ただし、中央分離帯がない土地でも、前面に万年渋滞が発生しているような道路は避けるべきです。
万年渋滞がある道路はドライバーに早く先に進みたいという意識が働き、双方向の道路からの来客が見込めなくなります。
また、立地は「アウトカーブの先の土地」がドライバーからの視認性が高く、適切な土地です。
それに対して「インカーブの手前の土地」はドライバーからの視認性が低く、適切とはいえない土地になります。
5.コンビニ経営の注意点
本章では「コンビニ経営の注意点」について、以下の3点を解説します。
- 1.まずは幅広い選択肢で検討すること
- 2.ブランド力を意識してテナントを選ぶこと
- 3.建設協力金方式は撤退時の債務免除益に課税があること
それではひとつずつ見ていきましょう。
5-1.まずは幅広い選択肢で検討すること
コンビニは撤退リスクがある等の一定のデメリットがあるため、コンビニの話に飛びつく前にまずは幅広い選択肢で土地活用を検討することがポイントです。
コンビニができるような土地は立地条件が良い物件が多いことから、他の選択肢も十分に考えられます。
また、アパートの賃貸需要もあるような立地であれば、1階にコンビニを建てて2~3階をアパートにするといった選択肢もあり得ます。
条件が優れた土地活用を探すには、複数のハウスメーカーから土地活用提案を受けると良いプランを見つけることができます。
ハウスメーカーの各社は、事業系や住居系といった土地活用の得意分野があります。
1社だけから土地活用の提案を受けている限りでは、他の良い選択肢がなかなか見つけにくいのが実際のところです。
そのため、良い土地活用の選択肢を知るには、まずは複数のハウスメーカーの提案を比べることが重要 となります。
複数のハウスメーカーから土地活用の提案を受けるなら、NTTデータグループが運営する「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」がおススメです。
土地の所在地や広さなどを入力するだけで、最大10社のハウスメーカーや専門企業に「適切な活用法」「初期費」「収益」「節税効果」などをまとめた「土地活用プラン」を請求できます。
コンビニ以外の良い活用方法が見つかる可能性も高いので、ぜひ最初の検討段階で利用してみてください。
5-2.ブランド力を意識してテナントを選ぶこと
一棟貸しのコンビニでテナントを決定する際は、賃料よりもブランド力を意識して選ぶことがポイントです。
コンビニの早期撤退を防ぐには長く営業してもらう必要がありますが、長く営業できるコンビニは人気のあるブランドに偏る傾向があります。
コンビニのブランド力は大手トップ3のチェーン店が高く、中でもトップを走り続けているチェーン店の人気がダントツに高いです。
人気のあるコンビニが必ずしも提示賃料が高いとは限りません。
メジャーではないコンビニの方が賃料は高いこともありますが、ブランド力の低いコンビニは開店後の営業力が弱く、早期撤退が生じやすいことを念頭におくと良いでしょう。
5-3.建設協力金方式は撤退時の債務免除益に課税があること
建設協力金方式は撤退時の債務免除益に課税があることが注意点です。
建設協力金方式は、基本的に撤退リスクは低いですが、それでも撤退されてしまうことはあります。
建設協力金方式の場合、テナントへの借入金返済中に撤退されてしまうと、テナントの抜けた建物と借入金の残債が残ってしまいます。
そのため、賃貸借契約書では、万が一、借入金返済中に撤退した場合は、テナントに債権(貸したお金を返してもらう権利)を放棄してもらう契約をすることが多いです。
この債権放棄の条項を入れることは、撤退への抑止力になるため、適切な対応といえます。
本当に撤退された場合、債権放棄によって土地オーナーは残った借入金残債の返済義務も免れることになります。
ただし、テナントから債権放棄を受けると、土地オーナーには債務免除益と呼ばれる利益が生じます。
債務免除益とは、本来返済しなければならない債務を免除されたことに対する経済的な利益のことです。
この利益には、税金が課税されます。
土地オーナーには、撤退されたタイミングで税金が課税されてしまうため、債務免除益に対する課税は負担が重くなることが多いです。
よって、建設協力金方式であっても、コンビニのブランド力を重視し、撤退されにくいテナントを選ぶことがポイントとなります。
まとめ
いかがでしたか。
土地活用によるコンビニ経営について解説してきました。
土地活用のコンビニ経営は、「賃料が高い」や「初期投資か比較的少ない」といった点がメリットですが、「賃料減額要請を回避しにくい」、「撤退リスクが高い」といったデメリットもあるので、「本当にコンビニ経営以外に活用法がないのか」をしっかり比較検討してから判断することをおススメします。
まずは「HOME4U 土地活用」で様々な活用法の収益性や節税効果などを比べてみて、ご自分に合う活用法が他にあるかを検討することから始めてみてください。
皆さんが安心して収益を出せる土地活用が見つかることをお祈りしています。
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