【詳しく解説】マンション経営で経費になるのは?節税のポイントについて
マンション経営の際、経費として計上できるものが多ければ多いほど、節税効果は高まります。しかし、経費にして良いものにはどんな項目があるのかを知っていないと、経費にできるはずのものを計上できず、税額が高くなってしまう可能性もあります。
本記事では、マンション経営がスタートした後に、経費にできるものについて、基本的な内容を次のようにまとめています。
- マンション経営の経費とは
- マンション経営で「毎月」かかる経費
- マンション経営で「毎年」かかる経費
- マンション経営で「必要に応じて発生」する経費
- マンション経営の経費に関する5つの注意点
最後までお読みになれば、マンション経営全体の経費に対する理解が深まり、効果的な節税方法もわかります。
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この記事の内容
1.マンション経営の経費とは
マンション経営をするためにかかるお金は、すべて経費です。経営を円滑に進めるために必要なコストですので「必要経費」とも言います。マンション経営の経費には、毎年・毎月・必要に応じて発生するものがあります。
以下の表は、マンション経営で発生する、一般的な経費です。各説明は2章にあります。
毎月かかる経費 | |
---|---|
管理委託費 | 賃貸管理・建物管理の委託をする不動産会社に支払う費用 |
ローンの利息など | 毎月支払いをするローンの「利息」と「振込手数料」 |
通信費 | マンション経営のために使った電話代・ネット代など |
消耗品費 | マンション経営のために使った文具・日用品などすべて |
水道光熱費 | マンションの共用部分にかかる水道光熱費全般 |
毎年かかる経費 | |
損害保険料 | 火災保険・地震保険などの賃貸物件の損害保険料 |
税金 | 固定資産税・不動産所得税・住民税など |
減価償却費 | 物件価格を法耐用年数で割ったものを計上する帳簿上の経費 |
税理士報酬 | 税理士が必要なシーンで発生する |
必要に応じてかかる経費 | |
不動産取得税 | 不動産を所有としたときに発生する税金 |
仲介手数料・広告宣伝費 | 不動産会社に支払う入居者募集~契約に対する手数料 |
修理修繕費 | 建物の原状回復のためにする修繕の費用 |
大規模修繕費 | 建物の資産価値を維持するための修繕費用 |
内装などの原状回復費 | 入居者による原状回復以外の対応 |
旅費・交通費 | マンション経営のための移動手段など |
接待交際費 | マンション経営のための会食など |
情報収集費用 | マンション経営のために必要な新聞・本・雑誌・講習会など |
立退料・弁護士費用 | 入居者の立ち退きなど、法的な手続きが必要なケース |
1-1.経費めやすは家賃収入の20%くらい
マンション経営にかかる経費の原資は、マンションから上がってくる家賃収入です。一般的な経費めやすは、家賃収入の20%程度までと言われています。
経費をどのくらいかけるかは、オーナーの采配で自由にできるのですが、経費はたくさんかければよいというものではありません。
適切な金額を、必要なタイミングで必要なところにかけながら、良好なマンション経営をしていく必要があります。
◆コラム◆経費は節税になるっていうけど、これって、どういうこと?
マンション経営のための経費は、マンションの売り上げからの支出になります。つまり、マンションの家賃収入から、経営に必要な経費を差し引いた分が、オーナーの「手取り金額」になります。
マンション経営で利益が出ると、その金額に対して不動産所得税が発生しますので、収益が多いと所得税もたくさん取られることになってしまいます。しかし、経費が多くかかれば、利益から差し引ける金額も多くなり、所得税などの税金を減らすことができますので、節税になります。一般的に言われる「経費が節税になる」は、このことを指しています。
これ以外にも、マンション経営では、経営を赤字化させることによって節税する方法もあります。マンション経営で言う赤字とは、お金が足りなくなるという意味の「お金の支出>お金の収入」のことではなく、あくまで「帳簿上の費用>帳簿上の売り上げ」の状態になっていることを指します。
つまり、帳簿上で赤字になっていても、実際のお金はプラスになっていることもあり、さらには税金まで戻ってくることもあります。帳簿上の赤字を生み出すことができるものの中で、最も大きな赤字を生み出せるのが減価償却費、税金が戻ってくる可能性があるのが、損益通算です。
このように、マンション経営がスタートすると、経営者・社長としての節税方法なども、だんだんと身に着けていくことになります。どのような節税方法でも、賢く節税するためには、経費にできる項目をもれなく計上していくことが大切です。
2.マンション経営で「毎月」かかる経費
本章では、マンション経営がスタートすると、毎月発生するタイプの経費を5つにまとめています。
- 管理委託費 賃貸管理・建物管理の委託をする不動産会社に支払う費用
- ローンの利息など 毎月支払いをするローンの「利息」と「振込手数料」
- 通信費 マンション経営のために使った電話代・ネット代など
- 消耗品費 マンション経営のために使った文具・日用品などすべて
- 水道光熱費 マンションの共用部分にかかる水道光熱費全般
2-1.管理などの業務委託費
- 賃貸管理の委託費用
- 建物管理の委託費用
マンション経営をスタートさせると、入居者が快適に暮らしていくために必要な、さまざまな業務が発生します。多くの場合、管理業務は専門の不動産会社に代行してもらいますので、賃貸管理と建物管理の両方を委託する不動産会社へ、業務委託費を支払います。
- 賃貸管理
-
入居者募集・案内全般・契約業務・入退居対応・更新管理・賃料振込・滞納督促・クレーム対応・退去など、賃貸に関した業務全般を扱います。
- 建物管理
-
ゴミ集積に関する業務・館内の美化清掃・整理整頓・管理人・修理修繕対応・エレベーターなどの電気系統の管理・大規模修繕・管理組合への対応など、建物全般に関した管理業務をします。
各社管理プランがいろいろあり、委託管理をお願いする内容を細かく指定できます。さまざまな管理会社がありますので、マンションの建築プランを探したときと同様に、「賃貸経営 HOME4U」などの一括プラン請求を活用し、複数の管理プランを入手して管理委託をする不動産会社を比較検討してください。
はじめてのマンション経営の場合は、ひととおりの管理をお願いし、数年経過してからプランの見直しをしてみることをおすすめします。委託費は管理会社によって違いがありますが、賃貸管理の場合は居室一室あたり、建物管理の場合は建物一棟に対しての金額で、%報酬になります。
2-2.ローンの利息分
- マンション建築のローンを振り込む際の、利息分
- 振込手数料
マンションを建築するときに、金融機関でアパートローンを組んだ方は、毎月の返済額のうち、利息分と振込手数料は、マンション経営のための必要経費として計上することができます。
利息や手数料は、金融機関からもらう返済計画表に記載があります。
2-3.通信費
- 電話代
- ネット通信費
- 設備としてのWIFIやケーブルテレビ費用など
マンション経営のためにオーナーが使った電話代やネット代金を経費に計上できます。例えば、不動産の担当者との電話連絡や、スマホ動画撮影のために支払った課金代金などが対象です。
これ以外に、マンションにケーブルテレビやWIFIなどを設備として提供している場合は、毎月支払う費用を通信費として計上できます。公衆電話の設置や、家電対応のネット費用もすべて含まれます。
2-4.消耗品費
- 文具類
- 電子機器類
- 日用品類
- 一般的にオフィスにあるもの全般
マンション経営のために使う消耗品の代金です。文具や電子機器、日用品などが総合的に含まれます。例えば、マンション経営のために用意した、以下のようなものが対象です。
- 経営のために使うパソコン・スマホ・デジタルカメラ・プリンターなど
- 文房具(ペン・ノート・ポストイット・紙類など)
- 共用部分清掃のための掃除機
- 雑巾・タオル・ティッシュペーパー
上記以外にも対象になるものがありますが、基本的に、一般的なオフィスにあるようなもので、マンション経営の規模に対して適切なものであれば、経費として計上できます。
パソコンやスマホは、すでにお持ちのものを、マンション経営のためにも使うのであれば、利用割合で按分することになります。
2-5.水道光熱費
- マンションの室内以外で使われる電気・水道の代金など
マンションの共用部分に使う水道光熱費です。マンションのエントランス・外灯・管理人室・ゴミ置き場・自転車置き場・廊下・駐車場など、電気や水道を使う場所はかなりあります。
夜間は電気を使用し、清掃のたびに水道を使います。この電気や水道の、毎月の料金は、マンション経営には欠かせませんので、経費になります。
共用部分の水道光熱費については、家賃の中にあらかじめこれらの金額を含むか、または、共益費として別途徴収することができます。はじめてのマンション経営の場合は、メーカーから提示された経営プランの中におおよその金額が含まれている場合と、担当者と賃料設定の時に話し合って決める場合があります。
3.マンション経営で「毎年」かかる経費
マンション経営の経費のうち、毎年必ずかかるタイプの経費です。
- 損害保険料
- 固定資産税・所得税・住民税など税金
- 減価償却費
- 税理士報酬
3-1.損害保険料
- マンション建物に対する火災・水害・地震の損害保険料
- オーナー責任は建物と設備のみ
マンション建物にかける、火事と地震に対する損害保険料です。多くの場合、火事・水害・地震に対する補償がセットになっており、5~10年の長期契約※で、1年ごとの年払いをします。(※単年契約よりも割り引きがあるためです)
内容は保険会社によって違いがありますが、基本的に、マンション建物の構造・躯体・設備に関したものが対象で、入居者の個別の持ち物に対して、オーナーの保障義務はありません。入居者は、入居者用の家財保険などに加入をします。
各社プランが豊富にそろっていますので、複数の資料を取り寄せて比較します。ハウスメーカーで建てた場合は、提携する保険会社の紹介があり、個別で加入するよりもコストを抑えることができることが多い傾向にあります。
3-2.固定資産税・所得税・住民税など税金
- 固定資産税と都市計画税
- 年間20万円以上の利益が発生した場合の所得税
- 住民税
固定資産税は、不動産を持っている方は毎年必ず支払う地方税です。その年の1月1日時点での所有者に支払い義務があります。マンション経営を土地活用でスタートした方は、今までは土地に対する固定資産税の通知が来ていたと思いますが、今後は、土地と建物に対する固定資産税が発生します。
支払額は、自分で計算する必要はなく、公示地価に基づいて自治体が計算をしたものを、支払用紙と共に6月頃に送付してきます。地方税ですので、マンション経営をする土地がある自治体から郵送されてきます。
所得税と住民税は、マンション経営で「利益」が発生した年に支払う税金です。マンション経営で年に20万円以上の利益が発生した場合は、確定申告をして所得税を支払います。確定申告の内容をもとに、住民税が決まります。
マンション経営で20万以下の利益しかない、または赤字の場合でも、マンション経営以外に収入がある方は、損益通算によって節税ができるケースがあります。
3-3.減価償却費
- 物の場合は、建物の法定耐用年数で建築費を割ったもの
- その他、法定耐用年数がある商品価格を割ったもの
マンションの減価償却費とは、ご所有の土地に建築したマンションの建築費を、マンション経営のスタート時に一括で計上するのではなく、将来にわたって利用できる年月に分けて、毎年、経費として計上していこうという、税務上の考え方です。
マンションの建築費は、ローンを組んだ時にすでに支払い済ですので、実際には支出がないのに、必要経費として計上できるのですから、マンション経営者にとっては大きな節税効果があります。
ご所有の土地に建てたマンションが、将来にわたって利用できる価値が何年分あるかは、国が決めた法的耐用年数という、便宜上の「その品物が使えるめやす期間」を定めた数字があります。
例えば、鉄筋コンクリート造のマンションの場合、法定耐用年数は47年と決まっていますので、マンションの建築費は47回分の分割で費用として計上しましょう、という考え方です。この47年という年月は、マンションの寿命のことではなく、あくまで税務上の寿命のことです。
例えば、1億円の総工費がかかったマンションの毎年の減価償却費は、以下のようになります。
例)2020年(令和3年)1月竣工 1億円の総工費の新築マンション
- 構造:鉄筋コンクリート造
- 用途:住宅(賃貸)
- 建物の取得額:1億円
- 法定耐用年数:47年
- 残存期間:約45年
- 定額法による減価償却費:約227万円
帳簿上で、毎年約227万円もの経費を計上できます。経費はかかればかかるほど、家賃収入から差し引かれる金額が大きくなり、帳簿上の収益は少なくなります。
つまり、減価償却費があると節税効果があるのに、実際にはこの金額は手元から出ていかないお金ですので、手残りになります。減価償却費には、マンションの建物以外にも、車やパソコンなど、法定耐用年数がある20万円以上のものにも適用されます。
3-4.税理士報酬
- 税理士への費用(都度払い・年間契約などがある)
- 印紙税
- 交通費など
税理士報酬とは、税務に関わる作業を代行してもらったときに、税理士に支払う報酬のことです。マンション経営初年度の場合は、確定申告のために伝票や帳簿などに間違いがないかをチェックしてもらうために、年末~確定申告の期限である3月15日よりも前に、税務関連の事務作業・確認作業を依頼することがあります。
確定申告には白色申告と青色申告があり、どちらで提出するかは、マンションの事業性の高さで決まります。マンション経営が事業であるかどうかのめやすは、居室が10室以上あるか、複数棟のマンションを経営しているかどうかです。
※自治体や担当者によって判断の仕方に違いがありますので、自治体の税務署に確認をしてください。
青色申告で経営をすると複式帳簿が必要になり、帳簿上の間違いはそのまま事業上の間違いと見なされ、税務署からの監視が厳しくなることがあります。そのため、青色申告をすることが決まったら、税理士による伝票整理や帳簿管理などが毎月必要になりますので、税理士への月ぎめ報酬を支払う必要があります。
ご自身のマンション経営での申告方法は、ご自身で考えるのではなく、税理士に相談してから判断します。各自治体では無料の税務相談コーナーなどを特設していますので、まずは無料相談に行き、必要であれば、税理士に委託するようにします。
【参照:国税庁 確定申告が必要な方】
4.マンション経営で「必要に応じて発生」する経費
毎月・毎年など定期に発生するわけではないけれども、マンション経営をしている期間に、必要に応じて発生するタイプの経費をまとめています。
- 不動産取得税
- 仲介手数料・広告宣伝費
- 修理修繕費
- 大規模修繕費
- 内装などの原状回復費
- 旅費・交通費
- 接待交際費
- 情報収集費用
- 立退料・弁護士費用
4-1.不動産取得税(マンションを所有したときの1回だけ)
- 新規に取得した不動産のみが対象
- 土地活用の方は、マンション建物だけ
- 完成から1年以内に納付書が郵送される
マンションを所有した時に1回だけ発生する税金です。土地活用でのマンション経営の場合、すでに土地はお持ちですので、新規に建築をしたマンションに対して税金が発生します。
マンションの価格に対して3%の不動産取得税が発生します。ただしここでいう「マンションの価格」とは、総工費や市場での販売価格のことではなく、課税評価額という、市町村が決める固定資産課税台帳に登録された金額のことです。
新築の場合は、不動産登記後、固定資産課税台帳に掲載があるまでは、具体的な金額はわかりません。固定資産課税台帳は、固定資産税の支払い額を決定するためにも使われますので、早ければ3ケ月、遅くとも1年以内にはわかるようになります。
納税通知書が郵送されてきますので、記載のある期日までに支払いをします。
【参照:東京都主税局】
4-2.仲介手数料・広告宣伝費
- 入居者が決まったら支払う仲介手数料ほか
- インセンティブの広告費
マンションの入居者募集をお願いした不動産会社に、入居者が決まった時に支払う仲介手数料です。成功報酬型なので、入居者が決まり、契約が終わってから支払います。マンション経営をスタートさせたとき以外にも、退去後の空室に入居者が決まるたびに支払いが発生します。
入居者募集の仲介手数料として不動産会社が受け取れる金額の上限は、宅建業法により賃料の1ヶ月分までと決められています。
また、入居者募集の際に、インセンティブ報酬として、仲介手数料とは別に、広告宣伝費を支払うことがあります。インセンティブを設定することにより、営業活動が活発になり、早く空室が埋まっていく可能性が高くなります。
4-3.修繕費
- 建物や設備をもとの状態に戻すための修理修繕
- ひと月当たりの工事費が20万円以下の工事規模が対象
マンションの建物や設備を、元の状態に戻すために行った原状回復工事は、修繕費として経費になります。ただし、その年度に全額を経費として計上できるのは、ひと月あたりの修繕費が20万円までの工事のみです。
20万円以上かかるような工事は、マンションの原状回復ではなく、マンションに新しい価値をプラスしたとみなされるため、一旦、建物の資産として計上されます。そのうえで、その工事内容に対する減価償却をし、毎年の経費に分割して計上されるようになります。
4-4.大規模修繕費
- 5~10年に一回行われる、大がかりな修繕工事
- 外壁塗装・防水塗装・耐震工事などがある
- 大きな金額なため、分割で計上できる
大規模修繕費は、マンション建物の耐用年数に応じて減価償却をするタイプの必要経費です。よくある大規模修繕には、マンション全体の外壁塗装、防水塗装、耐震工事などがあります。
大規模修繕でかかる費用はとても大きな金額になります。工事をした時点からマンションの寿命を延ばし、不動産としての資産価値を向上させるためのもとみなされるため、一旦、マンション資産として計上し、マンション建物の残存耐用年数に応じて分割して計上します。
例えば、築年27年の鉄筋コンクリート造マンションに2,000万円の防水塗装費がかかった場合は、マンションの残存法定年数が20年になりますので、毎年100万円を経費計上していくことになります。
※計算を簡素化するために、消費税などは除外してあります。
4-5.内装などの原状回復費
- 経年劣化などを、なるべくもとの状態に戻すための費用
- 地域によっては入居者が支払う慣習がある
入居者が退去をした場合、内装や設備の一部を原状回復します。地域や契約内容にもよりますが、入居者は退去する際には、室内を入居時の状態に近づけるという原状回復義務がありますので、入居当時になかった大きな破損や汚れがある場合には、費用は退去をする住人が負担をします。
マンションオーナーが負担する原状回復費とは、このような入居者による著しい汚れや破損などがないものの、経年劣化による交換の必要があると判断した場合にかかる、内装や設備にかかる費用です。
- 畳→フローリングの交換
- 和式トイレ→ウォシュレット
- 壁紙の交換
- 電気系統の交換
- 設備の交換など
原状回復は地域・不動産会社によって考え方が違います。都心部では、劣化や汚れ度合いに関係なく、入居者が入れ替わるタイミングでフローリングと壁紙の全交換をすることが多い傾向にあります。
また、経年をしたマンションの場合は、外観の劣化をカバーして、賃料下落を回避する目的で退去のたびに原状回復をすることもあります。
4-6.旅費・交通費
- バス・電車・タクシー代金
- 自家用車でマンション経営のために使ったケース
- 旅費
- 駐車場代
マンション経営のために旅費や交通費が発生することがあります。経営するマンションがオーナーの住居から遠い場合、現地まで行くための費用は全額経費になります。
また、マンション経営の勉強や事前調査などのために遠隔地にあるセミナーなどに参加するために使った交通費やホテルでの宿泊代も経費になります。
車移動で活用予定地まで行く、内装などを選ぶために展示会などにいくための車の駐車場代、ガソリン代、高速代、タクシー代などもすべて経費になります。
4-7.接待交際費
- 懇親会や相談会などのお茶や食事代
- お中元やお歳暮など
マンション経営にも接待交際費があります。例えば、マンション経営セミナーや、大きな展示商談会などに参加した際、懇親会や喫茶店利用をした場合、その費用は経費になります。
入居者募集をお願いしている不動産会社へ挨拶に行った際に購入した菓子類や、打ち合わせで利用した喫茶店やレストランでの費用、マンション経営に関連したお中元お歳暮なども該当します。
4-8.情報収集費用
- セミナー代
- 本・雑誌・新聞など
- ネット課金
- コピー代
マンション経営をするために使った、あらゆる情報に対する費用は経費になります。例えば、新聞・書籍・雑誌代、ネット課金代、勉強会・セミナー参加費などが該当します。また、資料集めのために使用したコピー代、印刷代などもすべて対象となります。
マンションセミナーなどで有料の個別カウンセリングなどを受ける場合も、情報収集費用に該当します。
4-9.立退料・弁護士費用
- 交渉の際に決まった立ち退き費用
- 弁護士報酬
入居者に立ち退きをお願いするケースがあります。多くの場合、賃料の未払いが原因ですが、それ以外にも、近隣住民への迷惑行為などがあった場合、退去をお願いすることがあります。
お願いしても退去をしてもらえない場合は、立ち退き交渉をすることになりますが、多くの場合、問題が大きくなることを回避するために交渉には弁護士をたてて対応します。その場合には、交渉で決定した立退料と、弁護士報酬が発生します。
5.マンション経営の経費に関する5つの注意点
本章では、マンション経営の経費に関した、注意点を5つにまとめています。
- 領収証とメモを残すのを習慣にする
- プライベート支出との分け方
- 収入が増えてきたら青色申告か法人化へ
- マンション経営は節税のためにするものではない
- 収益性のあるプランを提案できる不動産会社をパートナーにする
5-1.領収証とメモを残すのを習慣にする
経費にするには、その金額を、いつ・どこで・何に使ったのかを証明するために、領収証やレシートが必要です。領収証やレシートは、税理士や税務署の担当者に「これは何に使った金額ですか?」と聞かれたときに、明確に応えらえるようにするためのものです。
領収証がない場合は、メモなどに日付・金額・但し書きを付けておくだけでも問題ありません。一年分の経費ですので、領収証やメモ書きがないと、「確かに支払いはしたけど、何に使ったかわからない」という、使途不明金がたくさんできることになります。
経費であることが証明できない場合は、実際に経費のために支払ったものでも、経費計上ができません。
計上できないと、賃料収入から差し引くことができませんので、節税もできず、ただの出費になります。
マンション経営を検討する段階から、さまざまな経費が発生していますので、専用のノートやアプリなどを利用して、こまめに領収書とレシート、メモをつけることを習慣にしはじめてください。
5-2.プライベート支出との分け方
生活費に相当するものであっても、マンション経営と関係していれば経費として計上できます。マンション経営は個人で経営している方が多いため、経費の中に、プライベートとマンション経営でかかる費用がかぶってくるものがあります。
例えば、自宅の一室を、マンション経営のための事務所として使っていると、本棚にはマンション経営関連の本と資料が並び、パソコンとプリンターがある自室兼オフィスの状態になります。
仕事中に自宅用のコーヒーを飲む・部屋が暗ければ電気もつける・寒い暑いでエアコンを使うなど、一般的な事務所と同じように使うことになります。このようなケースでは、仕事で使っている電気代や家賃相当額を、経費計上します。
めやすとしては、実際にオフィスとして使っている%をそのまま、按分します。仮に、家賃30万円の4部屋あるマンションに住んでいて、仕事場として1室を使っているのであれば、全体の約1/4室がビジネス使用ですので、生活費のうち光熱費と家賃の25%までくらいを経費計上できます。
ワンルームマンションで暮らしていて、生活場所と仕事場所がほぼ同一の場合には、50%くらいまでを経費計上できます。住むところは別にあり、マンション経営のためにワンルームマンションを借りているのであれば、事務所として借りているのですから、全額が経費になりますが、生活をそこではしていませんので、生活費の一部計上はできなくなります。
法律上、プライベート費との按分をする明確な線引きはないのですが、一般的な感覚として「このくらいだろう」という線引きは50%前後くらいまでであり、このくらいの按分方法であれば、税務署から何か言われることもありません。
5-3.収入が増えてきたら青色申告か法人化へ
マンション経営スタート後、収益が増えてきて、今までの節税方法では、経費を大きく取れないようになってきたら、確定申告の方法を白色から青色に変更する、または法人化することも検討してみてください。
青色申告・法人化とも、基礎控除額や必要経費にできる幅が広がるため、節税がしやすくなることは間違いありません。しかし、青色申告も法人化も、税務署の目は厳しくなるうえに、複式簿記での帳簿提出が義務となりますので、税理士の固定費が発生するようになります。
はじめから複数棟を経営し法人化などを目指している方以外は、マンション経営が小規模なうちは、個人事業主として白色申告で経営をし、マンションの数を増やした・その他の事業も始めたなど、今までの経費計上による節税方法では対応しきれなくなってから、青色申告や法人化を検討するのでも十分間に合います。
5-4.マンション経営は節税のためにするものではない
本記事ではマンション経営の経費に関することをまとめているため、節税方法の解説に多くを割いていますが、本来、マンション経営は節税目的でスタートするものではありません。
マンション経営の醍醐味は、入居者から支払われる家賃収入によって、長期安定した収益を得ながら、確実な資産形成ができる部分にあります。
そもそも、マンション経営で毎年大きく節税をするためには、家賃収入から経費を差し引いた金額が、赤字になっていないとなりません。マンション経営をスタートした当初は、大きな出費もあり、空室が発生するなどもありますので、そのような節税方法も期待できます。
しかし、入居者が安定し、ローン返済が進んでいくに従い、支払利息や減価償却費などの必要経費として計上できる部分は減っていきますので、最終的には、マンション経営は黒字化して税金を納めるようになります。
マンション経営が黒字化し、所得税や住民税をきちんと支払っているということは、それだけ、マンションの入居者の満足度が高く、長期的に家賃を支払ってくれている証拠でもあります。世間には「マンション経営は節税になる」といううたい文句で、耳目を集める記事などもありますが、マンション経営は節税目的で始めるタイプの土地活用ではないことを、ご理解ください。
5-5.収益性のあるプランを提案できる会社をパートナーにする
はじめてのマンション経営の場合、どうしても建築費や構造、デザインなどが気になってしまいます。しかし、マンションが完成し、マンション経営が長期的にうまくいき、しっかりとして賃料収入が得られるかどうかを知るためには、経営プランも大切です。
経営プランとは、ハウスメーカー各社が提案してくるランニングコスト・返済計画・収支計画などを含めた、経営を始めたら「毎月いくら賃料が入り、いくら支出があり、自分たちにはいくら手元にお金が残るのか」を、具体的な数字で示してくれているものです。
マンション経営で大切なのは、収益をしっかりとれるエリアニーズに合った建物を建てて、入居者から長期にわたって賃料が得得られることです。そのような視点に立った堅実なプランを探してみて下さい。
ハウスメーカー各社は、他者には負けないと自信のある工法やプランで提案をしてきますので、収益性までを含めてしっかり比較をしていきます。複数のプラン比較をする場合には、「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
活用予定地のエリアと大きさなどのカンタンな質問に答えていくだけで、建築プランに加え、具体性のある収益プランを含めた、経営戦略にも強いハウスメーカーを、日本全国から最大10社まで選んで比較することができます。
経営プランには、シミュレーション計算された経費なども記載されていますので、具体的に運営を始めた時のイメージも付きやすくなります。
まとめ
マンション経営にかかる経費についてまとめました。経費には毎月、毎年、発生に応じてかかる様々な費用があり、その費用は家賃収入から支払います。つまり、経費を上手に使いこなせば、節税した上に、手残りの金額も増やすことができます。
経費をきちんと計上するためには、いつ・何に使ったのかを証明できるためのレシートや領収証が必要であり、それらの管理は、マンション経営者がご自身でしていくことになります。
マンション経営には、経営者として身につけなければならない、さまざまな経費の把握が必要ですので、本記事を参考に、将来のマンション経営のシミュレーションにお役立てください。
マンション経営にかかる経費のうち、毎月出金があるものは以下の通りです。
- 管理などの業務委託費
- 通信費
- 消耗品費
- 水道光熱費
それぞれの費目については「マンション経営で「毎月」かかる経費」をご一読ください。
マンション経営では年に1度かかる「経費」があります。
- 損害保険料
- 固定資産税・所得税・住民税など税金
- 減価償却費
- 税理士報酬
実際には出金を伴わない経費もあります。詳しくは「マンション経営で「毎年」かかる経費」を確認してください。
マンション経営では経費計上は重要な業務です。注意点は5つあります。
- 領収証とメモを残すのを習慣にする
- プライベート支出との仕分けをしっかりする
- 収入が増えてきたら青色申告か法人化
- 節税目的ばかりに固執しない
- 収益性のあるプランを提案できる不動産会社をパートナーにする
それぞれのポイントは「マンション経営の経費に関する5つの注意点」で解説しています。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。