この記事の監修者
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松浦玉枝
所属 東京税理士会
職業 税理士
中小企業や不動産オーナーの良き相談相手として、税務申告はもちろん、日常の経営課題や節税対策まで幅広く対応。効率的かつ安心感のあるサービスを提供し、専門知識と実務経験に基づく的確なアドバイスを行います。
土地を相続したり購入したりしたものの、「どう活用すればいいかわからない」「アパート経営は大変そう」と悩んでいませんか?
そんな方におすすめの土地活用が、駐車場経営です。少額の初期投資で始められ、複雑な管理も不要なため、不動産投資の入門として選ぶ方もいます。
とはいえ、「実際にどのくらいの年収が期待できるの?」「月極とコインパーキング、どちらが儲かるの?」「失敗を防ぐにはどうすればいい?」など、具体的な疑問もあるはずです。
そこでこの記事では、駐車場経営の専門家監修のもと、リアルな年収シミュレーションから年収を最大化するための戦略までをわかりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの土地に合った駐車場経営の最適な形が見えてきます。
この記事を読むと
などがわかります。
駐車場経営で得られる年収から、あなたの土地に最適な駐車場経営の形、失敗しないためのポイントまでをまとめて確認しましょう。
この記事の内容
駐車場経営を検討している方が最も気になるのが「年収」です。ここでは、月極駐車場とコインパーキングという2つの経営方式に分けて、30坪の土地でのリアルな年収をシミュレーションします。
総務省の調査によると、主要な都市別の月極駐車場の料金相場は次のとおりです。
都市 | 1か月の賃料(2024年)※ |
---|---|
東京都区部 | 27,139円 |
札幌市 | 12,433円 |
名古屋市 | 6,833円 |
大阪市 | 20,000円 |
福岡市 | 11,195円 |
※屋根なし・アスファルト舗装・小型自動車
※“小売物件統計調査/小売物価統計調査(動向編)”.総務省.(参照2025-09-07)をもとに、HOME4U土地活用が独自に作成
東京都心部の賃料が高い傾向にある一方で、地方都市は地域差があることがわかります。
次の表は、上記の調査結果を参考にしながら、都市部と郊外、地方の想定賃料から30坪の駐車場収入をまとめたものです。
立地 | 1台あたりの月額賃料 | 30坪6台分の総収入(概算) | 手取り年収(概算) |
---|---|---|---|
都市部 | 2.7万円 | 174万円 | 139万円 |
郊外 | 1.5万円 | 97万円 | 77万円 |
地方 | 7,000円 | 45万円 | 36万円 |
※小数点以下は切り捨て
月極駐車場の総収入は、以下の計算式で算出しています。
一般的に、安定した駐車場経営のために必要な稼働率は、80~95%といわれるため、ここでは稼働率を90%で試算しています。
総収入から委託管理費(収入の5%想定)と固定資産税を含めた維持費(収入の15%想定)を差し引いた金額を手取り年収として算出しています。
次に、コインパーキングの年収シミュレーションです。下表は、総務省の調査結果を基に、地域別に時間貸し駐車料金をまとめたものです。
都市 | 1時間の料金(2024年)※ |
---|---|
東京都区部 | 692円 |
札幌市 | 410円 |
名古屋市 | 527円 |
大阪市 | 417円 |
福岡市 | 200円 |
※平日・昼間、小型自動車
“小売物件統計調査/小売物価統計調査(動向編)”.総務省.(参照2025-09-07)をもとに、HOME4U土地活用が独自に作成
次の表は、上記の調査結果を参考にしながらコインパーキングの収入を試算したものです。
一般的な稼働率の平均が20~30%といわれるため、都市部の稼働率を30%、郊外の稼働率を20%とし、1時間あたりの賃料を都市部は500円、郊外は400円と設定しました。
なお、同じ30坪の土地でも、コインパーキングは、月極駐車場とは異なり精算機の設置スペースが必要となるため、駐車可能台数を5台としています。
立地 | 1時間の平均賃料/台 | 稼働率 | 30坪5台分の総収入(概算) | 手取り年収(概算) |
---|---|---|---|---|
都市部 | 500円 | 30% | 657万円 | 492万円 |
郊外 | 400円 | 20% | 350万円 | 262万円 |
※小数点以下は切り捨て
コインパーキングの総収入は、以下の計算式で算出しています。
また、精算機やゲートなどの設備機器があるため、メンテナンスや光熱費などの維持費が必要です。そのため、管理委託費を収入の5%、その他の維持費を20%として、手取り収入を試算しています。
シミュレーション結果を見ると、月極駐車場とコインパーキングでは、同じ30坪の土地でも、収益性に大きな違いが出ることがわかります。
また、同じコインパーキング経営でも、立地によって時間単価や稼働率が異なり、売り上げ規模に大きく影響します。
月極駐車場は安定性、コインパーキングは収益性の高さが特徴です。同じ30坪でも方式や立地により収入は大きく異なります。土地の条件や周辺環境を踏まえ、どちらの方式が長期的に適しているかを冷静に見極めましょう。
駐車場経営の運営方式によって、収益や手間は大きく異なります。ここでは、最適な運営方法を選ぶために、それぞれの特徴を解説します。
【駐車場経営の3つの運営方式比較表】
比較項目 | 自主経営 | 管理委託 | 一括借り上げ(サブリース) |
---|---|---|---|
内容 | 経営・維持管理をすべて自分で行う | 管理会社や運営会社に管理を委託する | 運営会社に土地を貸して、地代収入を得る |
収益性 | 最も高い ※売上から経費を引いた額が収入 |
高い ※売上から管理費と経費を引いた額が収入 |
低め ※毎月の地代収入 |
収入の安定性 | 稼働率や管理能力次第 | 中程度 ※管理会社からサポート受けられる |
高い ※稼働率に関係なく毎月一定の地代収入がある |
管理の手間 | 多い ※基本的にすべて自分で行う |
少ない ※管理業務全般を管理会社に任せる |
ほとんどなし ※すべての管理を運営会社が行う |
初期投資 | 数十万円~可能(月極想定) ※土地整備費が中心 |
・月極:土地整備費が中心 ・コインパーキング:機器設備の初期投資が必要 ※数百万円~ |
0円~ ※一般的には運営会社が負担するため初期費用は少ない、あるいはかからない(契約形態による) |
経営リスク | 高い ※すべての経営判断を自ら実施 |
中程度 ※管理会社のサポートでリスク軽減 |
低 ※経営リスクは基本的にないものの契約条件に注意 |
駐車場オーナー自らが、利用者の募集から契約、集金、トラブル対応まで行う運営方式です。駐車料金の売上がそのまま収入につながる一方、管理に多くの時間と手間がかかります。
安定した稼働率を実現できれば大きなリターンを得られますが、空き区画や賃料滞納などのリスクもすべて自分で背負うことになります。
時間に余裕があり、少しでも高い収益を狙いたい方、例えば、リタイア後の方や自営業で時間を融通しやすい方などに向いています。不動産や駐車場経営の知識を学び、積極的に実践したい方にもおすすめです。
駐車場の運営管理を専門業者に委託する方式です。オーナーは土地と必要な設備を準備し、日々の管理は管理会社に任せます。
駐車料金の売上はオーナーの収入となり、管理会社に売上げの5~10%を管理委託料として支払うのが一般的です。
本業があり管理に手間はかけられないものの、収益性にもこだわりたい方におすすめです。経営の最終判断は自分で行いたいけれど、日々の管理は専門業者に任せたい方にも向いています。
駐車場運営会社に土地を丸ごと貸し出し、毎月固定の地代(賃料)を受け取る方式です。運営会社が自社負担でアスファルト舗装や精算機などの設置をしてくれるため、オーナーは初期投資ほぼ0円で始めることも可能です。
駐車場の稼働率に関係なく安定した収入を得られる点が最大のメリットであり、コインパーキング経営では、この一括借り上げ方式が主流になっています。
ただし、契約内容について、以下の点に注意が必要です。
収入の安定性重視で、経営リスクを最小化したい方におすすめです。土地を相続したものの経営知識に不安がある方や、収入のブレなくローン返済に充てたい方などに向いています。
経営方式の違いは、収益性・安定性・管理の手間にあります。サブリースは初期費用を抑えて安定収入を得やすい一方、契約条件によっては将来の収益が制約される可能性もあります。数字だけでなく契約内容を丁寧に確認し、ご自身の経営方針に合った方式を選ぶことが重要です。
駐車場経営には、メリットがあればデメリットもあります。ここでは、他の土地活用方法との違いも踏まえながら、それぞれ解説します。
駐車場経営の主なメリットは、次の5つです。
建物を建てる必要がなく、舗装や区画線の整備、看板設置といった最低限の設備投資で始められます。コインパーキングの場合、精算機やゲートなどへの設備投資が必要ですが、一括借り上げ方式であれば運営会社が設置するため、少額の初期投資で始められます。
賃貸住宅運営に求められるような、建築や維持管理に関する複雑な知識は基本的に不要です。運営の仕組みもシンプルなため、土地活用の初心者でも取り組みやすいでしょう。
管理会社に委託する、あるいは契約内容に注意が必要ですが、一括借り上げ方式を活用すれば、手間や時間をかけずに運営でき、副業としても取り組みやすい事業です。
駐車場は更地に近い状態で活用するため、将来的に月極駐車場からコインパーキングへの切替えや、賃貸住宅への転換も柔軟に行えます。
建物の建築は難しい変形地や狭小地でも、車を1台停めることができれば駐車場として収益化できるといえます。
このように、駐車場経営には、初期費用の少なさ、運営の手軽さ、出口戦略の柔軟性、そして土地条件を問わない適応力があるため、幅広い土地に活用できる選択肢といえます。
一方で、駐車場経営の主なデメリットは、次の3つです。
地表しか活用しない平面駐車場は、アパートやマンションと比べると単位面積あたりの収益力は低くなる傾向にあります。十分な収益が見込めない場合は、他の土地活用方法を検討する必要もあるでしょう。
駐車場経営は手軽に始めやすい分、競合も生まれやすいビジネスです。特に、駐車場需要の高い都市部では、土地活用が積極的に行われることもあり、競合が出現する可能性は高いです。
経営の安定のためには、料金の定期的な見直しが大切です。また、キャッシュレス決済の導入や防犯カメラを設置して安全性を高めるなど、設備面で差別化を図ることも有効な対策です。
土地上に住宅が建っている場合、「住宅用地の特例」によって固定資産税が最大で6分の1に軽減されます。一方の駐車場は更地と同じ扱いになるため、特例が適用されません。その結果、同じ広さの土地でもアパート用地よりも税負担が重くなります。
軽減措置のない場合の固定資産税額をコストとして把握し、収益シミュレーションを行うことが大切です。
駐車場経営は初期投資が少なく用途転換もしやすい点が魅力ですが、税務面では注意が必要です。特に住宅用地と異なり固定資産税の軽減措置が受けられないため、想定以上に税負担が重くなるケースもあります。収益シミュレーションの際は維持費だけでなく税負担も正確に織り込み、長期的な収支を確認しましょう。
駐車場経営は、工夫次第で年収を上げられる可能性があります。年収を最大化する実践的な戦略は次のとおりです。
それぞれの戦略について詳しく解説していきます。
駐車場経営の成否は、立地調査で決まると言っても過言ではありません。徹底した調査を行い、その土地に本当に駐車場の需要があるのかを見極めましょう。
まず、半径500メートル圏内など、競合となりうる駐車場の「料金設定」や「稼働状況」を調査します。需要がある地域なのに空き区画が目立つ場合は、供給過多の可能性があります。
また、土地の周辺施設によって、必要とされる駐車場の種類が変わります。駅や商業施設・病院・オフィス街が近ければコインパーキング、マンションや住宅街に囲まれていれば月極駐車場の需要が見込まれます
さらに、曜日や時間帯ごとの需要も把握しましょう。
自分の土地に「どんな利用者が、いつ、どれくらい来るか?」を具体的にイメージできるまで情報収集することが、収益を最大化する第一歩です。
料金設定は、収益に直結する最重要ポイントです。相場よりも高く設定すれば稼働率が下がり、安すぎれば儲からないというジレンマがあるなかで、設定料金と稼働率の最適なバランスを見つけることが、収益の最大化につながります。
競合の月極駐車場の賃料を調べ、自分の駐車場の価値に見合った適正価格を設定します。新規オープン時は少し安めにして契約者を集め、満車が続くようなら値上げする戦略も有効です。
反対に空き区画が埋まらない場合は、値下げや初月無料キャンペーンなどでテコ入れしましょう。長期契約者には割引を設けるなど、稼働率維持を図ることも重要です。
周辺コインパーキングの料金体系(〇分〇円、最大料金の有無など)を調べ、自分の駐車場と比較しながら料金を設定します。
短時間利用の需要が多ければ料金設定の刻みを細かくして回転率を上げる、反対に長時間のニーズが高ければ、最大料金を抑えて稼働率を優先する対策も有効です。
駐車場の料金設定は一度決めたら終わりではなく、常に市場環境の変化や相場動向、稼働率の推移を見て調整することが大切です。
他の駐車場と差別化し、利用者に選ばれる駐車場にするには、設備面を充実させることも効果的です。
コインパーキングの場合、高性能な精算機やゲートを設置することで不正駐車の防止や支払い方法の多様化(電子マネーへの対応など)を図れます。
また、防犯カメラやセンサーライトを付けることで、いたずらや盗難抑止につながり、利用者の安心材料となります。
ただし、設備への過剰な投資は、収益を圧迫につながる可能性もあるため注意が必要です。収益規模や競合駐車場の状況から投資対効果を考え、本当に必要な設備に絞るようにしましょう。
駐車場経営の収入は、駐車料金だけではありません。収入源を多角化することで、経営がより安定します。
駐車場のフェンスや壁面、精算機のレシート裏などを広告スペースとして活用する方法です。地域の企業や店舗と契約する、あるいはデジタルサイネージを置いて複数社の広告を流す仕組みもあります。
自動販売機を設置すれば、飲料などの売上の一部を手数料収入として得られます。他にも、近年流行の電動キックボードやシェアサイクルのステーションを置く方法もあります。
電気自動車の普及に伴い、充電スタンドの需要も伸びつつあります。充電サービスの利用料だけでなく、充電目的のドライバーを呼びこむことで、駐車場本体の稼働率アップも期待できます。
土地の形状的に有効活用できないスペースなどを積極的に活用し、賢く収益を上乗せしましょう。
管理委託方式や一括借り上げ方式を選ぶ場合、どの運営会社と組むかで収益は大きく変わってきます。
まず、その地域での運営実績が豊富な会社は、地元の需要や競合状況を熟知しています。大手の安心感・ブランド力も大切ですが、地域の中小管理会社のほうが、より柔軟な対応を期待できる場合もあります。
次に、料金体系・契約内容の透明性をチェックします。管理委託料が固定額なのか歩合なのか、途中で契約条件が変わるケースがあるかなどを丁寧に説明してくれる会社が望ましいです。
また、管理委託と一括借り上げの両方に対応できる会社であれば、経営のステージに応じた切り替えも可能です。例えば、最初はサブリースで始め、軌道に乗ったら管理委託に切り替えて収入アップを狙うなどです。
信頼できるパートナーであれば、経営開始後も市場の変化に合わせた料金見直しや提案を受けられ、長期的に安定した運営が可能となります。
ただし、信頼できるパートナーを見つけるには、複数の会社を比較することが欠かせません。効率よく検討を進めたい方は、HOME4U(ホームフォーユー)土地活用の一括請求サービスを活用してみてください。無料で複数の運営会社から提案を受け取れるため、条件やサービスを横並びで比較し、自分に最適なパートナーを選ぶことができます。
立地調査や料金設定の工夫に加え、設備投資や副収入源の確保が収益向上につながります。ただし投資しすぎると利回りを圧迫するため、必要な範囲にとどめることが重要です。戦略は一度に導入するのではなく、段階的に取り入れることで安定した収益が見込めます。
年収(総収入)から実際の手取りを算出するためには、引かれる費用と税金を把握しておく必要があります。ここでは、初期費用も含めて、総収入から差し引くコストや税金について解説します。
初期費用の内訳は、次のとおりです。
例えば、6台駐車可能な月極駐車場(30坪)を始める場合、50~80万円程度の初期投資が必要です。
コインパーキングの場合、機器設備の追加費用がかかります。
例えば、6台駐車可能なコインパーキング(30坪)の場合、初期費用は、およそ250~450万円となります。
次に、ランニングコストの内訳です。
コインパーキングの場合、追加で設備機器のメンテナンスや光熱費が必要です。
駐車場経営で知っておくべき主な税金は以下のとおりです。
土地・設備に課せられる地方税です。固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して、土地の評価額に原則として1.4%の税率で課税されます。一方の都市計画税は、市街化区域内の土地に0.3%(標準)の税率で課税されます。
駐車場用地には住宅用地の特例が適用されないため、評価額の全額が課税標準となります。また、駐車場に設置した精算機や車止めなどは「償却資産」として課税対象になることもあります。
駐車場経営で得た利益には、所得税と住民税がかかります。駐車場収入は基本的に不動産所得として扱われ、「収入-必要経費」がその年の所得金額となります。これに他の所得を合算した総所得に対して税率が適用されます。
ただし、駐車場の規模や運営形態によっては事業所得として区分されるケースもあります。例えば、駐車スペースが50台以上の事業的規模かつオーナーが管理責任を負う場合は、事業所得として扱われます。なお、極めて小規模で臨時的な場合には雑所得に区分されることもあります。
駐車場の賃料収入は原則として消費税の課税対象です。土地の賃貸そのものは消費税非課税ですが、駐車場として車両を停めさせるサービス提供には、10%の消費税が課税されます。
そのため、一括借り上げ方式でオーナーが受け取る地代収入(借地料)は、土地の貸し付扱いとなり非課税ですが、管理委託方式で受け取る駐車料は課税対象となります。
ただし、年間売上1,000万円以下の事業者は消費税の免税事業者となり、消費税を納める必要はありません。
実際の税額や適用要件は市区町村や個別の事情によって異なります。詳細は税理士またはお住まいの市区町村窓口にご確認ください。
出典:“No1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得).国税庁.(参照2025-09-07)
出典:“No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算.国税庁.(参照2025-09-07)
出典:“No.6213 駐車場の使用料など”.国税庁.(参照2025-09-07)
ここでは、駐車場経営で必要経費として計上可能な主な費用をまとめます。
固定資産税・都市計画税、事業税など、駐車場経営に関わる税金(所得税や住民税そのものは経費になりません)
管理会社への委託料、管理ソフト利用料など
アスファルト舗装や精算機など、10万円を超える資産の購入費用を、それぞれの耐用年数に応じて、減価償却費として計上
舗装の補修、ライン引き直し、設備の修理交換費用など
車止めブロックやチェーンポールの購入費、清掃用具、除草剤など備品購入費用
照明や精算機の電気代、散水設備の水道代など
施設賠償責任保険や火災保険など、駐車場運営に関する保険料
清掃や警備などを外部委託した場合の費用
契約者への郵送費や電話代、インターネット回線料など
駐車場整備のための借り入れがある場合の利息
駐車場検索サイト掲載料、看板広告費、集客チラシ作成費など
駐車場の巡回や業務のために発生した交通費やガソリン代
他にも、事業に関連する支出は経費になり得るため、判断に迷うものは、運営会社や税理士に相談してみましょう。
出典:“減価償却資産の耐用年数表”.東京主税局.(参照2025-09-07)
駐車場経営では、管理費や固定資産税に加え、所得税や消費税も考慮が必要です。消費税は年間売上1,000万円が目安ですが、この金額に満たなくても、管理会社からインボイス登録を求められる場合があります。その場合は課税事業者として申告・納付が必要になるため、契約前に確認しておきましょう。
契約後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、契約前に必ず確認すべき重要なポイントをわかりやすく解説します。
駐車場管理会社や運営会社の中には、契約を取るために楽観的な数字を提示する会社もあります。そこで、次のポイントを参考に、現実的な収益予想になっているかを判断しましょう。
収益予想の前提となる料金設定や稼働率が、周辺の相場感とかけ離れていないかチェックします。例えば、周辺地域の月極相場が1.5万円なのに「月2万円/台で満車想定」といわれた場合は、その想定の根拠を確認しましょう。
提示された「稼働率○%」の根拠が、経験値なのか、近隣実績なのか、単なる希望的数値なのかも確認しましょう。「近隣駐車場の平均稼働率は?」と聞いてみて、明確なデータを示せない場合は要注意です。市場環境の変化が激しい立地であれば、稼働率を保守的に見ておくと安全です。
収益シミュレーションに、管理料以外の必要な経費(税金やメンテナンス費など)が漏れなく含まれているかチェックしましょう。税引き後のキャッシュフローまで必ず確認してください。
事業者が提案する数字をうのみにせず、自分なりに検証し、現実的な収益予想を把握しましょう。
契約書は、表面的な手数料だけでなく、不利な条件や隠れたリスクがないかを細部までチェックしましょう。
管理手数料が、「毎月の売上の○%」なのか「月額固定」なのか、広告費や修繕費が管理手数料に含まれるのか実費請求なのかで、オーナーの負担額は大きく変わります。
契約期間と中途解約の可否・条件を確認します。「契約開始から○年間は解約不可」「途中解約の場合、違約金として残存期間分の管理料を請求」といった条項がある場合は要注意です。解約予告期間や設備撤去費用の負担についても、事前に取り決めておくことが重要です。
設備故障や事故発生時の責任分担を明確にしておきます。精算機の故障やアスファルト補修、場内で利用者の事故が起きた場合の初動対応など、「誰が」「どこまで」責任を負うかを契約内容に含めます。契約書に定めがなければ覚書などで取り決めておくと安心です。
契約書に「○について、当社は一切の責任を負わない」といった免責条項がないかチェックします。例として、自然災害発生時の損害や駐車場利用中の盗難・破損事故などについて触れられていることがあります。責任範囲を曖昧にしないことが大切です。
なお、一括借り上げ方式(サブリース)では、安定収入が得られる一方、契約上のリスクもあります。
まず、毎月の賃料は固定されるため稼働率に左右されず収入は安定しますが、売上が好調でも収入は増えません。一方で、契約上の見直し条項によって賃料の引き下げを求められる可能性があります。
また、契約期間は2〜3年程度が一般的で、中途解約は難しく違約金が発生する場合もあります。契約更新時に不利な条件へ変わることもあるため、更新条件や解約条項の確認が大切です。
契約書に納得のいかない条項があれば、競合他社の条件を比較材料として、修正交渉を行いましょう。
駐車場工事の見積もりが適正か、不要な設備が盛り込まれていないかをチェックしましょう。
見積書の工事項目と単価を確認します。例えば、「舗装工事一式 200万円」「機器設置一式 150万円」のような記載では、適正価格か判断できません。
「アスファルト舗装○平米×単価○円」「ライン引き○メートル×単価○円」など、「数量×単価」の見積もりを求めましょう。
駐車場の規模や売上予測に見合わない過剰な設備が含まれていないか検証しましょう。
例えば、小規模な月極駐車場であれば、高価な全面コンクリート舗装ではなく砕石敷きでも運用できる場合があります。また、高機能な精算機が本当に必要かどうかなど、駐車場の規模を考慮して費用対効果を検討することが大切です。
1社だけの見積もりでは適正価格の判断は困難です。複数の施工業者に、同じ仕様・条件で見積もりを依頼しましょう。見積もりの一括請求サイトを利用すると、工事費用だけでなく複数の提案内容を効率的に比較できます。
必ずしも開業時からフルスペックの設備を整える必要はありません。段階的に設備投資することで、初期費用を抑え、利回りの向上も期待できます。自分でも相場を調べ、不要な工事にお金をかけていないか慎重に検討してください。
収益予想の前提や契約条件、工事費用は必ず細かく確認することが大切です。特に解約条件や原状回復費用は後々のトラブルにつながりやすいため注意が必要です。複数業者の提案を比較し、契約内容に納得できる業者を選ぶことが成功の第一歩となります。
駐車場経営で安定した収入を得るには、立地に合った経営方式を選び、現実的な収益シミュレーションの基で運営することが欠かせません。
自主管理は高収益を狙える一方、管理のための手間や時間、スキルが必要です。管理委託方式は、管理の手間の削減と収益のバランスを取りたい方、一括借り上げ方式は、収益性より安定性を重視する方に向いているでしょう。
どの方式を選ぶにしても、メリットとデメリットを理解したうえで、綿密な立地調査を行い、適切な料金設計・設備投資を行う必要があります。また、広告や自動販売機などから副収入を得られれば、土地を有効活用しながら収益性を高めることができるでしょう。
もっとも、駐車場経営は賃貸住宅経営などと比べると収益性は劣ります。そのため、駐車場経営を行うと決めてかからず、所有する土地にどのような可能性があり、どれくらいの収入を生み出せるかの比較検討も必要です。
複数のプランを効率良く検討したい方は、HOME4U(ホームフォーユー)土地活用を活用してみてください。全国の専門会社から一括で土地活用プランの提案を受けられるため、あなたの最適な土地活用法を見つけられます。
駐車場経営は土地活用の中でも比較的低リスクで始めやすい方法ですが、立地条件に加え、管理会社との契約内容や導入する設備の違いによって収益は大きく変わります。また、駐車場の規模や周辺の需要動向、将来の都市計画なども収益に影響します。短期的な試算にとらわれず、長期的な視点で土地活用全体を検討することが重要です。専門家の助言を得ながら、現実的かつ持続可能な経営を目指しましょう。
最後に、駐車場経営でよくある質問をまとめました。
A. はい、駐車場経営は一般的には土地所有者が行うものですが、駐車場用地を借りて運営することも可能です。
ただし、土地賃料の負担がある分、収益化のハードルは高くなるため、相場より安く借りられる好立地でないと採算を取ることが難しいかもしれません。
A. はい、住宅建築が難しい狭小地や変形地でも、車1台分のスペース(約4坪)があれば駐車場として活用できるケースはあります。むしろ、有効な活用策がない狭小地や変形地は、駐車場経営に向いているといえます。
A. 立地と条件によるため、一概にはいえません。一般的な傾向として、都心の繁華街や商業地など、短時間利用のニーズが旺盛な場所では、コインパーキングのほうが高い収益を見込めます。一方、駐車場が不足している住宅地などは、月極を選択したほうが長期的に安定した売上を見込めるでしょう。
A. 無人で24時間開放されている駐車場では、車両事故や無断駐車、不法投棄などのトラブルが起こる可能性があります。
主な対策としては、監視カメラの設置や定期的な巡回、注意喚起の看板設置のほか、オーナーとして賠償責任保険への加入が考えられます。
A. 土地活用プラン一括請求サービスなどを利用すると便利です。自宅からサイト上で土地情報と希望条件を入力するだけで、複数の駐車場運営会社から無料で収支プランの提案を受け取れます。
各社の提案を比較検討することで、自分の土地に合った最適なプランを見つけることができます。1社ずつ問い合わせる手間も省け、さまざまな角度からアドバイスを受けられる点もメリットです。
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