アパートローン金利の基礎知識|金利相場と低金利で融資を受ける方法
アパートローンとは、不動産投資や不動産賃貸業を対象とした事業用ローンです。アパートやマンションを新築して賃貸経営を始めるとき、ほとんどのケースでアパートローンを活用します。土地活用を始めるにあたってアパートローンの金利相場は気になるのではないでしょうか。
本記事では、アパートローンの金利について、仕組みや金利相場、融資を受ける際の注意点を詳しく解説します。
この記事を読むと、
- アパートローンの金利相場は1%後半から5%程度
- アパートローンは金融機関によって金利相場が変わる
- アパートローンの金利対策は「HOME4U土地活用」の活用から
といったことがわかります。
不動産賃貸経営について不安や悩みがある方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。建てたい土地や予算から、どんな土地活用が向いていて、どこに依頼すればいいのかが複数社一括で比較できます。
この記事の内容
1.アパートローンの金利の仕組み
ローンの金利は、利息制限法の範囲内で金融機関が設定する借入金に対する支払利息の割合です。まずは、金利の種類とアパートローンの特徴について解説します。
1-1.固定金利と変動金利
ローンには固定金利と変動金利という異なる仕組みの金利があります。
固定金利は金利の数値が変わらないことを指し、固定される期間が決められているのが一般的です。期間が終わると変動金利に移行します。
変動金利は金利が半年に一度見直される仕組みで、変動によるリスクが高い分、固定金利より低金利となるのが一般的です。
アパートローンの変動金利は、短期プライムレートの影響を受けます。
プライムレートとは、大手銀行などが優良とした企業に資金を融資する際の金利を指し、金融商品の多くはこれを指標としています。プライムレートには長期と短期があり、短期は1年以内の短期融資の金利を指し、長期は1年を超える長期融資の金利です。
アパートローンの金利はこの短期プライムレートを指標として、半年に一度見直しが行われます。
1-2.アパートローンと住宅ローンの金利の違い
賃貸事業を始めるためには莫大な資金が必要です。資金調達にはほとんどのケースで金融機関の融資を受けます。その際、賃貸用とはいえ住宅を建てるとしても住宅ローンは利用できません。事業を行うための資金調達には事業用ローンであるアパートローンを利用します。
住宅ローンは他種のローンに比べ低金利であることが一般的です。また借入期間も最長で35年と長い設定となっています。さらに、返済原資が借り手の給与所得とされるため、所得税に対する控除も受けられます。
アパートローンは事業資金として調達するもので、事業利益で返済します。そのため、借入審査は事業計画も対象です。アパートローンは事業の見通しによって借入額にも影響があります。
2.アパートローンの金利相場一覧
アパートローンの金利は利息制限法に基づき各金融機関が決めるため、どこで借りるかによって金利にばらつきが出ます。
金融機関 | 都市銀行 | 地方銀行 信用金庫 信用組合 |
ネット銀行 | ノンバンク | 日本政策金融公庫 | 農協 |
金利相場 | 1.0%~ 2.0% |
2.8%~ 7.0% |
1.9%~ 8.4% |
4.1%~ | 1.1%~ 2% |
2.0%~ |
本章では金融機関の金利相場の特徴を見てみます。
2-1.都市銀行
全国に支店をもつ大手都市銀行は、他の金融機関に比べ低金利で融資が受けられることが最大の特徴です。店頭金利で2%程度が相場となっています。
ただし、審査が厳しく、事業の確実性が求められます。資産状況や担保となる不動産についても審査されますが、状態が良いと判断されると金利を範囲内で下げて借りることも可能です。
2-2.地方銀行・信用金庫・信用組合
営業エリアを限定していることもある信用金庫や信用組合、地域密着型のサービスに定評のある地方銀行はメガバンクに次いで低金利で借りられる金融機関といえるでしょう。おおむね2%が相場といわれています。
営業エリアの不動産事業にも知見があるため、地域限定の強みがあることが特徴です。ただし、融資対象となるのは営業エリアに限定されます。
2-3.ネット銀行
近年はネット銀行の利便性が高まり、一部の銀行ではアパートローンの取り扱いを始めています。ネット銀行の金利は、2%後半程度~です。審査が比較的緩く、ノンバンクに比べても金利が低いことから、選択肢のひとつとして挙げられるようにもなりました。
ネット銀行のバックボーンはさまざまです。中にはメガバンクの系列のネット銀行でアパートローンや不動産投資ローンを取り扱うところもあります。
2-4.ノンバンク
ノンバンクは審査が緩く、借入しやすい一方で、金利は高いという特徴があります。ノンバンクのアパートローンの金利相場は4%程度です。金利1%程度の差でも総額数百万円の差が出ることもあるため、ノンバンクでの借り入れは慎重に検討することをおすすめします。
ただし、ハウスメーカー提携のローンなどは手続きがスムーズに進むなどのメリットもあります。
2-5.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は主に中小企業や小規模事業主に対して融資を行っています。金利は1.1%~で、女性や若年層を対象にした優遇措置もあります。
他の金融機関で借り入れができない場合でも、日本政策金融公庫では融資を受けられるケースがあります。ただし、借入期間は最長20年と長くありません。しっかりした返済プランと事業計画が土台となる融資と考えたほうがよいでしょう。
2-6.農協
農協の金融機関的位置づけであるJAバンクは各都道府県に組織され、アパートローンや賃貸住宅ローンといった名称の不動産投資ローンを展開しているところもあります。金利は2.0%~が相場です。
特徴的に地域密着型の地方銀行や信用金庫などと近い位置づけと考えてよいでしょう。融資の対象は、営業エリアによります。
3.アパートローンの金利別返済額シミュレーション
アパートローンは借入金が同じであっても金利や期間によって返済額は変わります。
借入金額と借入期間が同じケースを想定して、異なる金利設定でシミュレーションしてみました。
金利2%の場合 | |
<設定条件> ・借入金:5,000万円 |
・返済期間:20年 ・アパートの規模:1K8戸 ・家賃収入(月額):56万円=7万円×8戸 <返済シミュレーション> ローン返済額(年額):303万5,292円 年間収益:602万4,000円=672万円―69万6,000円(管理費等) 収益―ローン返済額=298万8,708円=602万4,000円―303万5,292円 |
上記の経費は管理費や修繕積立金のみを対象としており、減価償却費や固定資産税などは考慮していません。また、金利が変動しないと仮にした場合の総返済額は6,070万5,840円です。
金利3.5%の場合 |
<設定条件>
・借入金:5,000万円 ・返済期間:20年 ・アパートの規模:1K8戸 ・家賃収入(月額):56万円=7万円×8戸 <返済シミュレーション> ローン返済額(年額):347万9,748円 年間収益:602万4,000円=672万円―69万6,000円(管理費等) 収益―ローン返済額=254万4,252円=602万4,000円―347万9,748円 |
金利が変動しないと想定した総返済額は6,959万4,960円です。1.5%の差である2%の返済総額により900万円弱、返済額が増えます。
4.アパートローン金利の最近の傾向と今後
現在のアパートローンの金利は変動金利の場合、1%後半から5%程度の範囲に収まるのが一般的です。
2016年末にあった金融庁の監視強化に伴い、金利は上昇し、フルローンを組むことも難しくなりました。また、コロナ禍後は世界的に見ると金利には若干の変化が見られます。
住宅ローンなど固定金利の指標となる長期金利は2023年11月まで上昇し続けていましたが、その後下降傾向に一転しています。
一方、アパートローンは長期金利を指標としていないため、この影響を受けにくいといわれています。指標となるのは短期プライムレートや政策金利です。日本の政策金利は-0.1%を維持しているため、いますぐに利上げが起こるなどの可能性は少ないとみられています。
ただし、世界に目を向けるとインフレに伴う利上げを行っており、日本に影響がある可能性も否定できません。動向は注意深く見守る必要があるでしょう。
5.アパートローンを低金利で借りるためにできること
3章でシミュレーションしたように、金利は1%上がると返済負担が重くなります。そこで、本章ではアパートローンを低金利で借りるにはどのようにすべきかを紹介します。
5-1.金融機関を比較検討する
金利は、金融機関によって設定が異なり、同じ条件、同じ借入金額でも同じ金利で借りられるとは限りません。また、大手都市銀行などは店頭金利と実際提示する金利とが異なるケースもあり、実際に話を聞いて複数を比較検討することは大切です。
5-2.事業計画を綿密に仕上げる
アパートローンは事業用ローンです。事業の収益が返済原資となることからも審査では事業計画の実現性が重視されます。事業の収支計画書はもちろん、返済計画、経営プランの将来性も厳しくチェックされるでしょう。
これらの計画を綿密に仕上げるには、プロの知見が不可欠です。例えば、土地活用を検討している所有地の近隣で開発計画が進んでいたり、逆に企業の撤退が検討されていたりすると賃貸市場に大きく影響します。近隣の不動産事情はハウスメーカーや建築会社に相談することでわかることもあります。
また、土地の将来性を見越した土地活用プランの提案も受けられるでしょう。こうした将来の収益性も見込んだ計画を建てることで、金融機関の信頼度をアップすることができます。
5-3.信頼性の高いハウスメーカーを選ぶ
建物を新築して賃貸経営を始める場合、建築を依頼するハウスメーカーや建築会社に実績豊富で信頼性の高い企業を選ぶこともひとつの方法です。
事業用ローンの場合、金融機関は事業の実現性を重視する傾向にあります。したがって、実績面も審査の対象となり、初めての事業に着手するための資金調達となると苦戦することも少なくありません。そのときに頼りにできるのがサポート体制を整えた信頼性のあるハウスメーカーや建築会社です。
例えば、初めての土地活用でオーナーに不動産事業の実績がない場合でも金融機関の信頼性の高い企業がサポートにつくと不足する実績部分をカバーできることもあります。
また、大手ハウスメーカーによっては提携先のローンを利用できることもあります。その場合、手続き等もハウスメーカー側で受け持ってくれることが多く、融資調達がスムーズです。
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5-4.将来的に借り換えを検討する
アパートローンは当初固定金利で借りていたとしても数年後には変動金利へと移行するパターンがほとんどです。変動金利となると現状の金利のほうが低金利になっていたり、より好条件で借り入れができる商品と出会ったりすることもあるでしょう。
そのケースも考慮して将来的にアパートローンの借り換えを検討しておくことも低金利で借りるためのコツです。
6.アパートローンの金利で注意するポイント
アパートローンの借り入れの際、金利面で注意しておきたいポイントがあります。ここでは、3つの注意点を紹介します。
6-1.住宅ローンの残債があると融資額が下がる
アパートローンは事業用ローンであり、事業収益が返済原資になるとしても、借り手の属性や債務、保有資産の審査もあります。その際、住宅ローンの残債があると、借り入れするアパートローンにも影響を及ぼします。
具体的には、住宅ローンの残債の分だけ、借り入れ可能金額は減ると考えておくとよいでしょう。
金融機関は審査でさまざまな可能性を探ります。その際、住宅ローンの残債があれば、多重債務者となることから回収が難しくなる可能性も想定しなければなりません。このようなことからそのほかにも債務を抱えているケースでは、借り入れに不利に働くと考えておきましょう。
6-2.借り換えはプロに相談する
アパートローンは変動金利での返済期間が長くなることから、利息支払いを減らす目的で借り換えを検討するオーナーもいるでしょう。
しかし、借り換えは手数料がかかるだけでなく、信頼の上に成り立っていた金融機関との関係性を反故にすることであり、その後の事業経営に影響があるかもしれません。また、審査に通るという保証もありません。
事業用のローン借り換えは慎重に検討し、プロに相談するのがおすすめです。
例えば、ハウスメーカーに経営計画の見直しとともに借り換えを相談するのもよいでしょう。プロによる計画見直しであれば、借り換え時の審査もスムーズです。また、借り入れしている金融機関にまず相談を持ち掛けると、関連金融機関への案内なども受けられる可能性があります。
6-3.長期プライムレートに注意する
アパートローンの多くは短期プライムレートを指標とした変動金利設定となっていますが、一部長期プライムレートに連動しているアパートローンもあります。
長期プライムレートは近年、事実上の利上げ傾向にあり、一部金融商品にも利上げの動きがあります。アパートローンも長期プライムレートと連動している商品は利上げ傾向です。当初の固定金利期間が終わり、変動金利になったときにも利上げの動きがあるため、不利に働くと考えてよいでしょう。
借り入れしているアパートローンが長期プライムレート連動タイプの商品であれば、借り換えも視野に検討するのがおすすめです。
7.アパートローンの金利相談は信頼できるハウスメーカー探しから
アパートローンの金利はその後の経営に大きな影響を及ぼすリスクとなりえるものです。適性金利で借り入れを行うには、事業計画つまり経営プランをしっかり練り、事業の安定性を目指す必要があります。
その時、頼りになるのが、実績豊富で金融機関の信頼度の高いハウスメーカーです。ただし、ハウスメーカーにはそれぞれ得意なジャンルがあるため、同じ条件で土地活用を依頼しても同じプランとはなりません。そのため、プランの比較はアパートローンを低金利で借りるための重要なポイントにもなります。
土地活用のパートナー選びには「HOME4U 土地活用」をご活用ください。金融機関への信頼度も高く、実績豊富なハウスメーカー・建築会社が多く参画しています。
アパートローンの金利相場は1%後半から5%程度です。
ただし、金融機関の種類によって金利相場には開きがあります。
詳しくは「アパートローンの金利相場一覧」で解説しています。
アパートローンを低金利で借りるには、以下のようなコツがあります。
- 金融機関を比較検討する
- 事業計画を綿密に仕上げる
- 信頼性の高いハウスメーカーを選ぶ
- 将来的に借り換えを検討する
詳細は「アパートローンを低金利で借りるためにできること」で解説しています。
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