不動産投資における「LTV」とは?活用方法と投資判断の2つの注意点
不動産を使った資産形成方法には、ご所有の土地や建物を有効活用する不動産活用以外にも、賃貸物件を購入して賃料を得る不動産投資という方法もあります。不動産投資・不動産活用とも、経営リスクを抑えて健全経営をするための指標の一つとして、「LTV」というものがあります。
今回は、不動産におけるLTVを使って、投資や土地活用で効果的に資産形成をするために必要な情報を以下のようにまとめました。
- 不動産のLTVとは
- 不動産投資・不動産活用におけるLTVの使い方
- 理想の不動産のLTVは60~80%
- 不動産のLTVを指標に使う時に注意すべき3点
最後までお読みになれば、不動産投資と不動産活用におけるLTVの重要性、不動産に関した資料で目にする数字の意味やLTVの使い方がわかり、不動産活用・不動産投を、自信を持ってスタートすることができます。
1.不動産のLTVとは
不動産のLTVとは、Loan to Value(ローン・トゥー・バリュー)を略したもので、日本語にすると「総資産有利子負債比率」になります。
あまり聞きなれない言葉ですが、現時点での不動産の価値に対して、借金(ローン)がどのくらいあるかを、パーセンテージで表したものです。
もともとは、財務・会計における、リスク度合いを測るためのもので、不動産投資や土地活用では、金融機関がローンに関した審査や、財務状況を把握するための指標にしています。
プロの不動産投資家にとってのLTVは、主に、物件の財務状況やリスク度合いを見て、購入の是非を判断するときに使う指標です。一般的に、LTVはあまり高くないほうが良いとされています。
1-1.不動産LTVでわかる3つのこと
不動産投資をご検討の方にとっては、LTVがわかると、次のようなことがわかるようになります。
- 借入金への依存度がわかる
- 不動産投資リスクへの備え方がわかる
- 土地活用した不動産を売却するときの価値がわかる
1-1-1.借入金への依存度がわかる
LTVの数値は、その不動産を入手するのに、どのくらい借金に頼ったかを表しています。LTVの計算は、その物件を買うのに必要だった借金額を、その時の不動産の価格で割ったものです。
1億円の不動産を購入するケースを例にとると、LTVを見ることによって、以下のようなことがわかります。
A:自己資金100%・金融機関からの借り入れをしていない
負債額0円÷物件価格1億円×100=LTV0%
「この不動産は借金なしで買いました」
B:自己資金0円・1億円全額を金融機関で借りた
負債額1億円÷物件価格1億円×100=LTV100%
「この不動産は、全額借金して買いました」
C:自己資金5,000万円・残り5,000万を金融機関で借りた
負債額5,000万円÷1億円×100=LTV50%
「この不動産を買ったお金の半分は借金です」
つまり、LTVの数値が高ければ高いほど、不動産を入手する際に、多くの借金をしたことがわかります。
不動産投資で物件を購入する際や、土地活用をしてローンを組む場合に、LTV数値の意味が分かっていると、銀行融資が通りやすい資金計画を立てられます。
1-1-2.不動産投資リスクへの備え方がわかる
金融機関と不動産オーナーにとって、不動産投資・土地活用における最大のリスクとは、ローン返済ができなくなることです。
不動産投資や土地活用のために借りたローンは、原則、家賃収入を充当して返済することになっていますが、空室が多くなる、家賃が下がるなどの不動産リスクが発生すると、家賃収入が減る、または途絶えるため、ローン返済が滞る可能性が出てきます。
返済に問題がおきると、オーナーは自腹(持ち出し)で補填をしてローン返済を続けますが、それでも返済が苦しくなると、銀行は貸し倒れを防ぐために、担保にした不動産を売却してローン残高に充当し、貸し出した金額を回収しようとします。
このようなリスクやトラブルが起きるのを極力避けるため、金融機関ではローン審査時にLTVを計算し、いざとなったら不動産を売った金額で補填できるかどうかで、投資リスクを判断します。
投資リスクが高い不動産投資・土地活用に対しては、基本的に金融機関はお金の貸し出しをしませんので、金融機関が受け付けてくれる範囲のLTV、つまり、借入額を守っていれば、比較的、安全な不動産経営ができることになります。
LTVは、数値が低ければ低いほど安全経営ができ、高くなるほど、空室率や金利が上がったときや、不動産価格が下がってしまったときなどに支払いリスクへの弾力性が少なくなりますので、「リスクへの備え=自己資金の準備」が必要になります。
1-1-3.土地活用した不動産を売却するときの価値がわかる
土地活用でマンション経営やアパート経営をしたのち、将来、売却をして売却益を得る計画の場合にも、LTVは役に立ちます。
土地活用での不動産経営は、アパート一棟、マンション一棟で行うことが多いので、売却するときには、不動産投資家向けの物件として売り出すことになります。
売却することを決めた時点でまだローンが残っていても、LTVが低ければ、自己資金が多いか、返済が順調に進んでいると判断されます。
不動産投資家は、今後も空室が出にくい物件だと判断しますので、すぐ買い手が見つかります。
仮に、相場よりも高い金額で購入しても、すぐに回収できると判断しますので、売り主は売却益を得やすくなります。
LTVが高い場合は、より少ない自己資金で投資効率の良い投資を行ってはいるが、銀行ローンが多く残っていると判断されます。
特に、運営開始から時間が経過しているのに、LTVがあまり下がっていない場合には、返済が進んでいない、つまり空室リスクが高い可能性があるため、多くの場合、投資対象から外されます。
仮に、購入を検討するケースでも、ローンが多く残っていることを見越して、ローン残高ギリギリの金額まで値下げ交渉をされる可能性が高くなります。そのため、LTVが高いままで売り出すと、売り主にとっては利益を得にくくなることがあります。
ただし、不動産物件そのものの価値が高い(土地の価格が高い・人気エリアにある・土地条件が良いなど)ケースでは、LTVが高くても高値で売却できる可能性もあるため、一概に、LTVが高い=デメリットというわけではありません。
しかし、土地活用を含めた不動産経営そのものは順調にあるに越したことはなく、ある程度の期間を経営した後に、お持ちの不動産を売却する予定がある場合には、運営中からLTVの数値を意識しておき、売却益が下がるリスクを回避するための指標として使っていきます。
また、土地活用でも不動産投資でも、理想のLTVを維持していると、金融機関からの信用が向上しますので、次の不動産購入では、より良い条件で借り入れができることがあります。
◆コラム◆不動産活用は投資なの?
不動産を使って収益を得る言葉には、不動産活用・土地活用・不動産投資・不動産事業など、さまざまな言い方があります。本やサイトでも、それぞれの解釈の範囲で使っているため、読んでいる人にとっては「結局、不動産活用と不動産投資は同じなの?違うものなの?」とわからなくなってしまいますね。
- ・不動産活用とは
-
ご所有の土地や住宅などの不動産という資産を使って、より収益が得られるように、不動産の有効活用することを不動産活用と言います。アパート経営やマンション経営などのように、ご所有の土地に人に貸すためのものを建築し、賃料を得ます。賃貸併用住宅や、オーナーの住居があるマンションなど、土地オーナーが同じ建物に住むこともできます。
- ・不動産投資とは
-
不動産投資は、投資目的のために不動産を購入して収益を得ることです。マンションやビルを買って、それを人に貸して賃料を得るのが一般的です。人に貸すことだけが目的ですので、そこにオーナーが住むことはありません。
収益を得るために銀行からお金を借りるという意味では、どちらも「投資」です。ただ、不動産活用の場合は、手持ち資産の拡大が目的です。お持ちの不動産を担保にできますので、金融機関からの融資条件も良い傾向があります。不動産投資は、資産をゼロから作る、リスクが高いタイプの投資ですので、最初は金融機関の融資条件は良いとは言えません。
不動産活用は、手持ちの不動産を活用するので、不動産の持つ土地やエリア条件で、収益もある程度決まる傾向があります。不動産投資は、効率よく収益があげられる場所に不動産を購入することができます。
ご所有の不動産は、有効活用をして資産を増やした後、投資用物件として売却をして、利益を得ることもできます。また、ローンの終わった不動産を担保にして、あらたに不動産投資をスタートすることも可能です。
2.不動産投資・不動産活用におけるLTVの使い方
不動産活用・不動産投資など、投資内容を比較検討する際の、LTVの使い方です。
- 不動産投資のLTVは、2種類の計算方法を使う
- LTVテストを使った不動産物件の見かた
- LTVを用いて不動産評価をする代表的金融商品
2-1.不動産投資のLTVは、2種類の計算方法を使う
LTVの計算式は、前述の通りとても単純で、ローンの借入額を物件価格で割るだけです。
しかし、この物件価格の部分を、「簿価」で評価するか「時価」で評価するかで、数字の持つ意味が変わります。
価格 | 景気の影響 | 特徴 | |
---|---|---|---|
LTV簿価 | 帳簿にある数字 | 左右されない | 減価償却により毎年一定に下がる・帳簿上の指数 |
LTV時価 | 市場価格 | 左右される | 含み損益により上下するが、「今」の価格がわかる |
どちらの場合でも、LTV計算をする時点での評価であることは共通していますので、LTVは簿価と時価の両方を見て不動産の価値を判断します。
2-1-1.LTV簿価
価格 | 景気の影響 | 特徴 | |
---|---|---|---|
LTV簿価 | 帳簿にある数字 | 左右されない | 減価償却により毎年一定に下がる・帳簿上の指数 |
簿価とは、帳簿価額の略称で、会計書類に記載されている資産や負債の価格のことです。LTV簿価では、会計帳簿に記録されている評価額を使います。
ただし、不動産は減価償却があるため、不動産の簿価は、取得価額から減価償却累計額を引いた金額が記載されています。購入後に市場の物件価値が変わっていても考慮せず、帳簿に記載された数字だけで評価します。計算式は次のとおりです。
LTV=負債額÷帳簿価格×100
例)帳簿価格1億円 帳簿に記載されているローン残高2,500万円の場合
2,500万円÷1億円×100=LTV25%
LTV簿価は、帳簿に乗っている数値ですので、不動産を売却する時に、この投資の損益が確定します。
簿価LTVは、帳簿の記載に合わせ計算しますので、減価償却とローン返済が進んでいくにつれて、毎年一定数が減っていきます。しかし、市場の不動産価格が、購入価格を下回るほど景気が悪くなった時は、簿価LTVと実情に大きなズレが起きてしまいます。
その場合は、次項の時価LTVを使った指標を使って、「今」の不動産価値を見ます。
2-1-2.LTV時価
価格 | 景気の影響 | 特徴 | |
---|---|---|---|
LTV時価 | 市場価格 | 左右される | 含み損益により上下するが、「今」の価格がわかる |
不動産の時価とは、その時に市場で成立している不動産価格のことで、現在の価格・現在の価値のことです。
帳簿に記載されている現時点での価格と、現時点での市場の不動産価格を使って計算をしますので、時価のLTVは数字が変化しますが、「今」の価値を知るのに向いています。
計算式は次のとおりです。
LTV=負債額÷(帳簿価格+含み損益)×100
例1 含み損がある)簿価1億円 時価8,000万円 ローン残高2,500万円の場合
2,500万円÷(1億円-2,000万円)×100=LTV31.25%
例2 含み益がある) 簿価1億円 時価1億2,000万円 ローン残高2,500万円の場合
2,500万円÷(1億円+2,000万円)×100=LTV20.8%
不動産価格が上がれば、ローン残高が同じでもLTVが下がり、市況が悪くなると不動産価値が下がった結果、LTVが高くなります。
景気が良いときには不動産バブルが起きやすいため、不動産の価格が上昇して時価LTVがとても低くなります。この時、LTVが低いからと言って、さらに融資を受けて次の投資をしてしまった場合、バブルがはじけた途端に、物件価格が暴落して、LTVが跳ね上がります。
この時に、次項で解説をする金融機関のLTV基準から外れると、貸しはがしと呼ばれる、銀行側の回収がはじまります。このように、簿価と時価には数字根拠になるものに違いがありますので、LTVは必ず、簿価と時価2つの数値を見て投資価値を判断するようにします。
2-2.LTVテストを使った不動産物件の見方
LTVテストは、LTVを使って、返済能力やリスクに対する自己資金力が適切かを判断する方法です。
主に金融機関が使う、不動産評価の方法のひとつです。
金融機関にとっては、不動産投資や経営の健全性を計る基準であり、不動産経営の目標値でもあります。
LTVの計算方法は同じなのですが、使用する不動産価格が、不動産鑑定書による評価になります。
不動産鑑定は1~2年ごとに、新規に鑑定しています。
金融機関は、不動産鑑定書による価格で計算したLTVを物件の基準値として設定しておき、市場価格で出したLTVと比較をして、不動産価値の実態が、どんな状況になっているかを判断します。
例えば、金融機関が設定した基準値より高くなっていれば、なんらかの理由で、その不動産のローン割合が高くなったことがわかります。そして、LTVが高くなった理由が、市場経済が下落したか、それ以外の理由があるのかを精査します。
精査方法は、不動産評価額に関係する以下の6つの要素をチェックしながら、評価額にプラス・マイナスの影響があったかを判断(テスト)します。これを、LTVテストと呼んでいます。
【LTV評価に関わる6要素】
- ・立地条件やエリアの良さ
- ・施設の用途(住居・事務所・店舗など)
- ・建物のグレード
-
耐震グレードや設備グレードは入居者がわかりやすいグレードなため、賃貸・売買の時に影響します。
- ・不動産の管理状況
-
不動産の管理状況が悪いと、建物の外観の劣化・衛生面での問題・住民トラブルなどが起きやすくなり、空室リスクが高くなります。
- ・権利(所有権、借地権など)
-
建物や土地の権利が入り組んでいると、相続や贈与による売買の時にトラブルが起きやすくなります。購入者にとっては、利用に制限がかかる場合もあります。
- ・入居テナントの質
-
テナントがある場合は、そのテナントの職種や従業員・来店者の質が、建物全体の治安やイメージに直結するため、重要視されます。また、テナントに問題がなくても、テナントの入退店が多い場合は、賃料収入が安定しないため、マイナス評価になりやすくなります。
不動産のある立地とエリア条件の良さです。立地は、駅近いほど評価が高くなります。エリアは、例えば、港区、渋谷区など、人気のあるエリアであるほど、評価が高くなり、落ちにくくなります。
また、近隣で開発などによる利便性が増すことがわかっていると、不動産評価は上がり、過疎化することがわかっていると、下がります。
施設用途に制限はありませんが、住居<事務所<店舗の順に、建物の劣化がしやすくなりますので、経年すると不動産評価に影響が出ます。また、店舗や事務所は、最近のコロナ禍のような突発的な経済変化が起きたときには、すぐに退去をしますが、住まいとして借りている住居は、退去をしにくい傾向があります。
項目のチェック方法やタイミングは、金融機関によって違いがあります。
LTVテストをした結果、各機関の決めた基準値から離れると(ローン割合が大きくなると)、金融機関は返済不可能と判断し、ローン回収のため、担保に入れている不動産を売却して、債務を補填しようとします。
この時、経営者が自己資金を投入するなどでLTVを基準値に戻すことができないと、物件は金融機関によって売却されます。
売却額でローン残債をカバーできなかった場合は、残金は赤字となり、経営者は不動産を失った上に、借金を抱えることになります。
LTVテスト自体は金融機関が行うものですが、計算方法とチェック項目はわかっていますので、これらの項目にひっかからないように、経営者自身もLTVテストに準じた評価を常に行い、適切な不動産経営をしておく必要があります。
2-3.LTVを使って不動産評価をする代表的な金融商品
LTVは不動産の現物以外にも、不動産を扱う金融商品にも使われています。LTVを使って不動産の評価をする代表的な金融商品は、以下の二つです。
- REIT(リート)
- ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)
不動産投資として金融商品を選ぶ際、LTVの見方・使い方がわかっていると、利益を出しやすくなります。
2-3-1.REIT(リート)
REIT(リート)とは、不動産投資信託の略称です。
複数の投資家から資金を集めたお金で、ビルや商業施設・マンションなどを購入し、その不動産からの家賃収入や売買などで得た利益を、投資家に分配するという金融商品です。
投資目的で不動産を購入する、または土地活用でマンション建築などをすると、大きな金額が必要となりますが、REIT(リート)であれば、プロのアセットマネージャーが運用する証券を購入するだけですので、ポケットマネーのような小さなリスクで不動産投資をスタートできます。
このREIT(リート)商品を選ぶ時にも、LTVを使います。
REIT(リート)に組み込まれている不動産は、パフォーマンスによって入れ替えがおきます。
「LTV値が低い=不動産の買い付け余力がある」ことがわかりますので、より条件の良い不動産を組み込め、パフォーマンスが良くなる可能性が高いと予想できます。
LTVが高いREIT(リート)は借入額が大きい物件が多いため、投資効率は大きいかもしれませんが、運用結果によっては無配当、または元本割れをする可能性が高いハイリスクハイリターンな商品であることがわかります。
また、過去に公募増資をした経緯がある場合には、「LTVが高くなってくる=不動産の買い付け資金が足りない状態」であることがわかりますので、公募をするタイミングが近いことがわかります。気になっていた金融商品を買い損ねた場合には、LTVが役立ちます。
前項で解説をしたLTVテストは、REIT(リート)で組み込んだ不動産にも行われています。
LTVテストで基準値よりも下回った場合は、LTVが基準値に達するまでの期間は、無配当または配当の制限があります。
このように、不動産投資には常にLTVが関わってきますので、REIT(リート)での不動産投資をする場合は、複数の金融商品のLTVを比較してから選ぶようにします。REIT(リート)の平均的なLTVは40%程度と言われています。
2-3-2.ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、貸付型クラウドファンディングのことです。投資案件は複数ありますが、不動産をメインにした案件を選ぶと不動産投資になります。案件にもよりますが、手ごろな金額だと1万円代からあるため、ハードルも低く、個人の投資家が参加しやすい背景があります。
ソーシャルレンディングサービス会社は、インターネット上で案件を募集し、個人投資家からお金を集め、事業資金を必要としている企業へ融資します。融資時に設定する、企業への貸付金利が、個人投資家の利益になります。貸付金利の%は、ソーシャルレンディングサービス会社と契約する時に割合を設定します。
基本的に、LTVの見方はREIT(リート)と同じく、LTVが低いと事業資金に余裕があり、LTVが高いと追加募集を必要としていることがわかります。
ソーシャルレンディングで気を付ける点は、ソーシャルレンディングは証券・債券など、国や上場企業が販売する金融商品ではないため、貸付先の事業が悪化した場合は、投資資金の貸倒が起きる可能性があります。
ソーシャルレンディングサービス会社は複数の案件を同時に運営していますので、仮に、選択した不動産案件が問題なく運営されていても、ソーシャルレンディングサービス会社自体が赤字化した場合にも、投資資金は回収不可となります。
ソーシャルレンディングで投資をする際には、案件のLTVだけではなく、サービス会社のLTVもよく比較してから選ぶ必要があります。
3.理想の不動産のLTVは60~80%
本章では、不動産におけるLTVの理想が60~80%だと言われる理由についてまとめています。LTVが低いとリスクも低いのですが、不動産投資や不動産活用は、自分のお金や不動産を使った「投資」である以上、投下した金額を出来るだけ効率よく活用して、ある程度のパフォーマンスを出す必要があります。
その基準となる数値が、LTV60~80%です。LTVの理想値の中で経営をしている限り、その数字がいくつであっても、バランスの取れた経営ができていることになり、金融機関が行うLTVテストの基準値からも外れにくく、投資の失敗をしにくいことになります。
3-1.高すぎるLTVはどう見れば良いか
不動産投資のための資料を見ていると、LTVが理想の数値よりも高いものも見受けられます。特に、不動産投資として不動産購入を検討している場合に、そのような物件はどう見たらよいのかを解説します。
まず、LTVが高い不動産は、借金への依存度が高いわけですから、空室などが発生すると、ローンが返済できなくなる可能性があり、これが、LTVが高いことの最大のデメリットになります。
しかし、LTVが高いということは、少額の自己投資で大きな金額の借入に成功していますので、自己資金に対する投資効率が高い=レバレッジ※が高い不動産である可能性があります。
不動産投資に限らず、投資というのは、自分が出した資金が最終的にどうなって自分のところに帰ってきたかがポイントになります。つまり、自分は少ししかお金を出していなくても、たくさんの他人のお金(銀行のお金)を使って不動産経営をして利益を得ているのであれば、それは、とても効率の良い投資になります。
数多くの投資物件の中には、無計画にフルローンを組んでしまった結果、何らかのリスクによりパフォーマンスが下がったことでLTVが高くなってしまっているケースと、上記のように、金融機関がなにかしらの高い不動産価値があると判断した結果、高めのLTVでも資金を貸し付けているケースが混在しています。
不動産投資情報は玉石混交であることを前提に、いくつもの不動産のLTVを比較していくと、とても勉強になります。
4.不動産のLTVを指標に使う時に注意すべき3点
本章では、不動産のLTVを不動産投資や不動産活用に使う時、注意しておくべきことを3つにまとめています。
- 鵜呑みにしない
- あくまで実績を重視する
- 頼りになる不動産会社とパートナーシップを組む
4-1.鵜呑みにしない
不動産の情報が書かれているLTVを鵜呑みにしないことです。特に、時価LTVは、あくまで「その時」の不動産価値を表しているだけですので、将来において、ずっとその価値が続くのかはわからない部分があります。
LTVが高いと、借金が多い状態であることは確かですが、実際の不動産経営がうまくいくか、売却時の利益がどうなるかは、その不動産が持つ土地条件なども含めて総合的にリスクを判断すべきです。また、LTVが低いとローンが少ないのは事実ですが、自己資金を多く用意しなければならなかった理由が、お金持ちであること以外にないかなど、不動産が持つ条件を様々な観点から見てみることが大切です。
LTVは不動産市況の変化や、自己資金の追加によってすぐに変化しますので、LTVが不動産のすべての可能性を肯定したり、否定したりするものではないことをよく理解し、あくまで、判断基準の一つとして見ておく必要があります。
投資用の不動産を買う、土地活用をする最大の目的は、収益を上げて資産を増大させることにありますので、この目的にかなった物件を選び、経営ができるようにしてください。
4-2.あくまで実績を重視する
不動産投資や不動産活用の情報を集め始めると、さまざまな数字が出てきますが、数字を基準に物件を追いかけるのではなく、ご自分が希望するタイプの利益を得られる実績があるかどうかを基準に、プラン選びをするようにします。
例えば、不動産投資の短期売買でまとまった利益を得たいのであれば、LTVがとても高くても、売買による差額で利益が確定できる市場の状況があれば、何も問題はありません。同じ不動産投資でも、売却をせずに長期運営による資産増大を目指している場合は、スタートからLTVが年々減っていくのが正しい運営をしている証拠になります。
また、不動産の金融商品であるREIT(リート)を購入するのであれば、LTVが高い商品は、ハイリスクハイリターンの商品である可能性が高く、運用状況によっては、無配というリスクの可能性があります。LTVが低いREIT(リート)商品は、還元される金額によっては、他の金融商品を選ぶほうが、効率が良い投資ができる可能性もあります。
不動産活用でアパートやマンション経営をするときには、金融機関はこれから建てる不動産と土地を合わせたLTVで借入金額を決定するため、自己資金が少なくても、比較的、条件の良い借り入れができます。しかし、自己資金を少なくすればLTVが上がり、それを防ぐために自己資金を多く用意すればLTVは下がりますが、効率の良い経営ができるかは、また別の話になります。
このように、不動産投資や不動産活用をする方の立ち位置によって、LTVが示していることが変わってくるため、LTVだけでは運用や経営の全体像をつかむことは難しいことがあります。
不動産投資や活用をする場合には、LTVなどの計算上の数字だけではなく、その他の情報、例えば、同条件の物件の利回り、周辺相場、売却情報などの具体的な情報も参考にしながら、不動産実績の全体像をつかむことが、不動産投資や不動産活用で失敗避けるための近道となります。
ただし、どの投資・活用方法の場合でも、LTVが高いと経営や運用に失敗した場合には、大きな金銭的な損失があることだけは共通しています。
4-3.頼りになる不動産会社とパートナーシップを組む
これから投資として、ゼロから資産を作っていく不動産投資でも、ご所有の不動産を有効活用する不動産活用をする場合でも、頼りになる不動産会社と良好なパートナーシップを組めるかどうかで、不動産投資と不動産活用の結果が違ってきます。
不動産を扱うと、とても大きなお金が動きます。投資・活用のどちらの場合でも、ご自身の希望する結果が得られるようにするためには、不動産のプロフェッショナルである、不動産会社からの情報とサポートを頼りにしながら、慎重に進んでいくことになります。
お客様第一主義の、誠実で実力のある不動産会社と組めば、不動産投資でも不動産活用でも鬼に金棒ですが、中には、自社の利益だけを優先するような会社も紛れていることがあります。良質な不動産会社と巡り合えることは、不動産投資・不動産活用で成功するための、最初のハードルだと言っても過言ではありません。
頼りにできる不動産会社と巡り合える確率を可能な限り高くするためには、複数の不動産会社のプラン内容を比較してから、会社選びをすることが大切です。不動産投資や不動産活用のパートナー探しには、NTTデータグループが運営する「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」の一括プラン請求サービスをご活用ください。
インターネットによる一括査定の業界で、20年間の運営実績がある最老舗の「HOME4U 土地活用」では、NTTデータグループの厳しい審査をクリアできた、信頼と実績のある企業と不動産会社のみが提携をしています。提携後も、常に悪質な企業がいないか常にパトロールして安全性を保っていますので、安心してお申し込みいただけます。
スマホやパソコンから、たった1回の入力で、最大6社までの不動産会社にプラン請求ができます。ご自身がお住まいのエリアや、活用予定地があるエリアと広さなど、かんたんな項目に答えるだけで、全国から、信頼と実績のある会社をマッチングします。
現在、土地をお持ちで活用されたい方や、土地を持ってはいないけれど不動産投資を行いたい方のどちらでも、これからの資産形成に役立ちます。
まとめ
不動産のLTVについて、まとめました。LTVとは、現在の不動産を得るために、どのくらい借金に頼ったかがわかる数字であり、なるべくLTVは低い方が良いとされていることがわかりました。
金融機関では、LTVをローン審査の指標の1つとしており、事業計画の段階でLTVが高いと、審査が下りない可能性があることもお分かりいただけたと思います。
また、投資目線でのLTVは、高いとローン残高が多いが、効率の良い経営をしている証拠になります。LTVが低いと、自己資金が多い、または順調にローン返済が進んでいることがわかります。
このように、LTVは不動産におけるローン依存度を計る指標としては有効ですが、市場の不動産価格の影響を受けやすく、LTVは変化しやすいことから、LTVが不動産経営の全体像を表しているわけではないことが、お分かりいただけたと思います。
はじめての不動産投資・不動産活用のどちらを始めるにしても、不動産情報は数字だけではなく、信頼と実績のある不動産会社とのパートナーシップも大切であることから、情報収集から経営スタートまで、しっかりとしたサポートをしてくれる良質な不動産会社とのめぐり逢いも、成功のカギとなります。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。