老人ホーム建築の基礎知識。建築費・間取り・建築規制について解説
土地活用での老人ホーム経営は、施設建築に際して建築規制や設備基準を順守して建てる必要があります。設備を整えるために建築費用も高額になりがちです。
そこで本記事では、老人ホームについて、経営成功に導く建築のポイントや間取り、建築費用の相場を解説します。
この記事を読むと、
- 老人ホーム建築は守るべき建築基準と設計基準がある
- 老人ホームの建築費はアパート・マンション建築より相場が高い
- 老人ホーム建築と経営の相談は「HOME4U土地活用」の活用から
といったことがわかります。
土地活用での老人ホーム建築をご検討の方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。建てたい土地や予算から、どのような活用ができるか、どこに依頼すればいいのかが複数社一括で比較できます。
この記事の内容
1.老人ホームの種類とそれぞれの設計基準
土地活用として賃貸経営できる老人ホームの形態にはいくつか種類があります。ここでは、老人ホームの種類と種類別に定められている設計基準と建築規制について解説します。
土地活用としての老人ホーム経営については以下の記事で解説しています。
1-1.老人ホームの種類
老人ホームとは、高齢者が同じ建物に居住する施設のことを指しますが、サービス内容や施設設備によっていくつかの種類に分類されます。公的施設と民間施設にも分かれ、土地活用での老人ホーム経営は主に民間施設での運用となります。
施設の種類 | 特徴 | |
民間施設 | 有料老人ホーム | 護付き有料老人ホームと住居型有料老人ホームに大別できる。介護サービス提供型か見守りサービス型かで名称が変わる。施設によっては自立した高齢者の入居も可能。 |
グループホーム | 要支援2からを対象としている。認知症の高齢者数人で見守りや介護の支援を受けながら共同生活を送る施設。 | |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 見守りサービスや介護サービスを受けられる高齢者向け住宅。見守りサービスのみの一般型の場合、外部の介護サービスを利用する。 | |
公的施設 | 特別養護老人ホーム | 要介護3以上の認定を受けた人が入居対象となる施設。比較的低価格で介護サービスが終生受けられる。 |
介護老人保健施設 | 入院加療を経てすぐの在宅生活に不安がある場合に数か月間をめどに滞在する施設。通常生活への復帰を目標にリハビリが受けられる。 | |
ケアハウス | 生活支援が目的の一般型と介護サービスも利用できる介護型がある。独居生活に不安があるなどの自立した高齢者も入居が可能。 |
1-2.老人ホーム建築にかかわる建築基準法と建築規制
老人ホームは建築基準法では、有料老人ホームまたは共同住宅、寄宿舎と分類されます。老人福祉法で定められたサービスを提供している施設の分類は「有料老人ホーム」です。
「共同住宅」や「寄宿舎」に分類される老人ホームでは、介護や生活支援のサービスを提供しません。サービスを提供しない建物のうち、共同で使用する生活施設(風呂等)がある場合は「寄宿舎」に分類され、住戸にそれぞれ風呂やトイレなどの住設が設置されているのが「共同住宅」です。
そのほか、構造によって消防法に基づいた基準を満たす必要があったり、自治体で独自に定めている条例に順守したりする必要があります。
1-3.老人ホーム建築にかかわる設備基準
都道府県や厚生労働省では設備設置基準などを設けています。改正社会福祉法に基づいて居室の定員、入所者1人あたりの床面積などを定めているものです。居室面積は原則7.43平米以上としていますが、これらの基準は、都道府県によって、施設の種類や規模によって細かく異なります。
また、老人福祉法でも特別養護老人ホームの設備基準が設けられています。静養室の設置階数や開放可能な面積、廊下の幅などの基準です。
設備基準に関しては設備の規模などで大きく変わり、建築費への影響も大きくなります。
2.老人ホーム建築における成功のポイント
老人ホーム建築は、ほかの建物建築とは異なる基準を持っていることもあり、建築時に気を付けておきたいポイントがあります。また、建築費用も高額になりがちなことから建築時の工夫が経営に影響することもあるでしょう。ここでは、老人ホーム建築時にできる成功のポイントを紹介します。
2-1.老人ホーム経営向きの土地か見極める
老人ホームでの土地活用を検討するとき、まず大切なのは老人ホーム経営向きの土地であるかどうかを多角的に見極めることです。
例えば立地でいうと、アパートなどで有利になる駅近であることより、閑静な住宅街など、静かな環境が好まれます。また、土地の形状や広さによって、ふさわしい施設の種類も異なることが一般的です。サ高住やグループホームなどであれば、少し広めの住宅が1軒建つ程度の広さがあれば可能ですが、有料老人ホームなどの場合は、100坪以上は最低限でも必要になります。
さらに、自治体によっては、ニーズの有無で老人ホーム建築を制限している場合もあります。検討の前には自治体の窓口などに相談するとよいでしょう。
2-2.安全性を考慮した設計にする
高齢者施設に必須の条件として、バリアフリー化があります。床に段差を設けないことや、引き戸の設置などはもちろんのこと、車椅子で取り回し可能な廊下の広さなど、社会福祉法で定められている基準もあります。
また、老人ホームは、高齢者の住居施設となるため最低限のプライバシー確保が可能な空間設計にしつつ、いざというときにすぐに対処できる介護スタッフの動線に考慮した設計にするなど、入居者とスタッフに配慮して安全性の高い設計にすることが求められます。
2-3.基準や規制を満たしているか確認する
老人ホームは規模や構造などによって細かく基準や規制が設定されています。一般的な集合住宅にも適用される消防法による防火対策などだけでなく、高齢者施設では老人福祉法や社会福祉法で定められた設備基準などもあるため、設計段階で基準や規制を満たしているかを厳しくチェックしなければなりません。
高齢者施設建築の実績が豊富な建築会社への依頼であれば、自治体ごとの基準などにも詳しく安心して任せられるでしょう。
2-4.快適に過ごせる空間づくりを考慮する
有料老人ホームの場合、独自性を出して入居希望者に選ばれる工夫をしている施設はたくさんあります。入居希望者が重視するのは居住空間の快適性やサービスの充実ぶり、安全性などさまざまです。このうち、居住空間の快適性に関しては設計段階での工夫がものをいいます。
快適性をアップさせるにはニーズに応えられる設計にすることがポイントです。自立した高齢者が多いと想定している施設ではプライバシーの確保を考慮したり、要介護度の高い入居者が多い施設では明るく暖かい場所に共用スペースを設けたりすることも工夫のひとつです。
3.老人ホーム建築費相場
老人ホームの建築費は、集合住宅に比べ高額になるのが一般的です。本章では、老人ホームの建築費の特徴と坪単価相場、老人ホーム建築に活用できる補助金を紹介します。
3-1.老人ホーム建築費の特徴と内訳
有料老人ホーム建築には、多くの費用がかかります。内訳としては、建築費(本体工事費)のほか、付帯工事費、諸経費などで構成されます。
規模が大きくなれば開放的な大きなスペースを必要とすることもあり、強度の高い構造を選択することもあるほか、介護サービスのための設備導入には多額の費用を要するためです。
また、サ高住建築でも同様のことが言えます。規模は有料老人ホームより小さくなるものの、設備にかかる費用、バリアフリー化のための機能、耐火性能などの基準を満たすためには建材そのものにも規定値以上の性能が求められるためです。
3-2.老人ホーム建築費の坪単価相場
老人ホームの建築で多い構造は鉄骨造です。建築費の坪単価相場は構造によって異なり、国の建築着工統計調査によると、鉄骨造で105万1,069円、木造で約83万1,335円の坪単価相場となっています。全体の坪単価相場は約90万4,574円です。
ただし、この調査は予定額から算出しているため、実際の建築費はもっとかかると考えてよいでしょう。
3-3.老人ホーム建築で活用できる補助金
老人ホーム建築にかかる補助金、助成金は自治体によって内容が異なります。対象となる施設も変わるため、事前の確認が必要です。
補助金制度が充実しているのはサ高住です。国が開設に対する助成金を用意しており、新築工事費の10分の1を補助しています。助成を受けるには、国が定める条件を満たすほか、建設予定地のある都道府県が設ける基準を満たす必要があります。
そのほか、自治体独自で建築に対する補助金制度を設けていることがあります。
施設の種類 | 補助金・助成金制度例 |
有料老人ホーム | ・介護専用型有料老人ホーム補助制度(東京都) ・都市型軽費老人ホーム整備事業(国) ・小規模な養護老人ホーム整備事業(国) |
グループホーム | ・介護基盤の緊急整備等特別対策事業(国) ・地域密着型サービス等整備費補助制度(東京都) |
このほかにも自治体ごとに補助金制度を設けていることもあります。依頼するハウスメーカーや建築会社に相談すると調べてくれます。
老人ホーム建築の相談には「HOME4U 土地活用」をご活用ください。実績豊富なハウスメーカー・建築会社が多く参画しています。
4.老人ホーム建築の間取り事例
老人ホーム建築では工夫も成功の一つのポイントです。ここでは老人ホームの種類別に間取りの例を紹介します。
4-1.有料老人ホーム
有料老人ホームは100坪以上の広さがある土地が向いています。240坪の土地に3階建てで想定して間取り例を紹介します。
- 敷地面積240坪
- 建ぺい率60%、容積率150%
- 重量鉄骨造3階建て
<1F> <2F、3F>
4-2.サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅はデイサービスや訪問介護事業所との併設である場合も多いため、1階はそうした施設を持っていることが多くあります。ここでは、100坪の土地に2階建てで想定して間取り例を紹介します。
- 敷地面積100坪
- 建ぺい率80%、容積率200%
- 木造2階建て
<1F>
<2F>
5.老人ホーム建て貸しの仕組みと手順
土地活用で行う老人ホーム経営は「建て貸し」の経営形態をとることがほとんどです。建て貸しは土地オーナーが建物を建て、土地、建物を一括で事業者に貸すかたちをとります。
老人ホームを建てて事業者に一括で借り上げてもらうには、建築前に事業者の選定を行います。土地活用で建て貸しの場合、事業者はハウスメーカーや建築会社の紹介であったり、自治体からの紹介であったり、と第三者を介して事業者選定となるのがほとんどです。
事業者選定後は契約を結び、施設に事業者が必要な設備などを盛り込んで設計、建築へと移ります。したがって、施設は福祉事業者の事業内容に沿った間取りとなります。竣工後は事業者へ引き渡し、一定額の賃料を収入として得るかたちです。賃料は空室があっても基本的には変わりません。また、通常の管理も事業者が行うため、オーナーの手間は少なくて済みます。
6.老人ホーム建築を依頼する会社の選び方
老人ホームの建築には、建築基準や設備規制など、守るべき規制が多くあります。これら条件を満たさないと事業を始められないため、建築を依頼するハウスメーカーや建築会社を選ぶ際には実績が豊富な企業を選ぶと安心です。
また、老人ホーム建築は事業者選びが大切になってきます。福祉施設の建築実績があるハウスメーカーの中には福祉事業者との関係がある企業もあり、紹介をしてもらえることもあります。福祉事業者の紹介を受けられるハウスメーカーであれば、賃貸開始後も安心です。
老人ホームでの土地活用のパートナー選びには「HOME4U 土地活用」をご活用ください。老人ホームなど介護福祉施設の建築実績が豊富なハウスメーカー・建築会社が多く参画しています。
老人ホームの建築ではいくつかの成功ポイントがあります。
- • 老人ホーム経営向きの土地か見極める
- • 安全性を考慮した設計にする
- • 基準や規制を満たしているか確認する
- • 快適に過ごせる空間づくりを考慮する
詳細は「老人ホーム建築における成功のポイント」で解説しています。
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